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2006年3月24日 (金)

『金星ロケット発進す』 1959年

 

Der Schweigende Stern』(『金星ロケット発進す』ドイツ公開1959年 109分 ドイツ公開版130分)

 多種多様の人種で構成された金星探検隊が金星へ出発。そこで彼らが見たものは…。かなりセットに手がかけられておりまして豪奢といってもいいくらい。しかし、なんかアメリカのSF映画に比べると地味で垢抜けないのですなあ。今見るとその垢抜けなさがかえって“味”になってはいるのですが。

 これは今はなきディレクTVSFチャンネルで録画したものです。放映時間の関係で多少カットされております。そのため映画に矛盾が出ることもありますがまあ、あんまり気にしないでください。

 時は1985年、地球人類はすでに月への進出を果たしておりました。人類初の月基地ルナ3が建設されここを足がかりとして更なる宇宙進出をもくろんでおります。そんな中、緑化計画が進められていたゴビ砂漠より奇妙な岩石が発掘されました。急ぎ分析してみますと、これがなんと地球のものではないらしい。地球外の物質だということになります。そこで思い出されたのが1908年にシベリアで起こった大爆発。いわゆるツングースカ隕石であります。国連調査団による再調査の結果、これは地球外の宇宙船が墜落したのではないかという結論になった。岩石はこの宇宙船から放たれたものではないかと考えられたのであります。

 岩石についてさらに分析を進めますと、どうやらこれがある種の記憶メディアであることが判明、作業にあたっていた科学達、核物理学者オルロフ博士(イグナシー・マホフスキー)、言語学者のチェン・ユー(タン・ハター)、インドの数学者シカーナ(カート・ラックルマン)たちは大興奮。この岩石から地球の大気成分や元素名などのデーターが続々と出てきたからです。さらには異星語らしい言葉も発見されました。

 宇宙船のコースも解析されてこれはどうやら太陽系内の惑星から飛来したもののようだ、それも地球のすぐ近くから、近くからというと水星か金星?水星はとても生物が住む環境ではない。そうだ、宇宙船は金星から来たのだって結論が早いですな(笑)。さあ、これが発表されて地球に時ならぬ金星ブームが巻き起こった!各国はこぞって所有するパラボラアンテナを金星に向けてメッセージを送ります。目端の利く業者は金星饅頭とか売り出します。金星のヴィーナスちゃんというフィギュアが発売されて大ヒット。アニメにもなります。歌謡界だって負けてはいません。「金星小唄」「金星のあなた」「金星に帰れ」「旅情金星港町」とか金星ソングを乱発していずれも大ヒット。映画界も遅れてはならじと「金星と火星の間に」「金星七転び八置き」「金星いたるところ青山あり」等々の文芸大作を発表。人々が映画館に押し寄せたのでありました。小説界も大ノリで「金星殺人事件」という本格ミステリ、「金星のよろめき」という恋愛小説等々を世に問うてこれまた大ベストセラー。

 ええ、こういうクスグリはここまでにしておきましょう(笑)。

 しかしこんな地球の金星ブームにも関わらず期待された金星からの応答はまったくなし。そこで国際宇宙財団で作られた最新型宇宙ロケット コスモストレーターで金星にいくべえということになったのでありました。これから宇宙船のクルーがてきぱき紹介されていきます。隊長はソ連の科学者アルセニエフ・デュランド(ミハイル・ポストニコフ)、オルロフ博士、チェン・ユー博士、シカーナ博士、ハリングウェイ博士(オルドリッチ・ルークス)、アメリカ人パイロットのブリンクマン(ガンサー・サイモン)ケニア人パイロット助手のタルア(ユリウス・オンゲア)、そして日本人女医のスミコ・オギムラ(谷洋子)、世界中から満遍なく集めてみましたという国際色豊かな顔ぶれであります。

 さらにこれに加わるのがデュラン博士が考案・製造したロボット、オメガ。小型の戦車に頭をつけたような格好。デュラン博士はみんなの前で「このロボットは凄いんだ、天気予報ができるんだぜ」するとオメガの頭がかーっと開いてぽんと何かが飛び出てきた。ああ、あれは日本の下駄じゃないか(笑)。下駄がからんころーんと転がってはい、ひっくり返ってしまいました。オメガは「ハイ、アシタノテンキハアメデアリマス」みんな「おお、なんて凄いロボットだ」としきりに感心するという、どうも古臭いネタで申し訳ありません。でもロボットに天気予報をさせるのはホントなんですよ。

 さあ、人類の期待を担って宇宙船コスモストレーター、いよいよ発進です。すらりとした船体に巨大な三対のひれをつけたようなデザインのコスモストレーター、しゅばーっと発進して大気圏を離脱、ここでおなじみ無重力騒動。クルーがベルトを外して宙に浮かびあがり大はしゃぎというアレですな(笑)。人工重力装置を作動させこの騒動を終わらせたデュラン博士、「ようし、いよいよ金星に向けて出発だ」そして月を通過します。この時窓から月をみて涙にくれるスミコ。彼女の知り合いであったブリンクマンは「彼女は夫を月で亡くしたのさ。彼は俺の親友だった」まあ、はっきりいってどうでもいい話ですけれども(笑)。もうひとつどうでもいいエピソードがあって、オメガとチェスで対戦するオルロフ、しかしなんどやっても適わず腐ること、腐ること。デュランはあまりに彼が落ち込むものでスミコのアドバイスもあってオメガを改造、ちょっと弱くしてあげます。そしてついにオルロフが勝利。大喜びするという、うわあ、これも本当にどうでもいい話だ。

 その後一度これもお約束の流星群に遭遇。減速ロケットをやられてしまうのですが、決死の船外作業で修理。なんとか機能を回復することができたのでした。

 ここで新たな展開。宇宙旅行の合間に岩石の分析を進めていたシカーナとチェン・ユーがついに異星語(金星語)の解読に成功したのであります。しかし、読んでみると「まず大量の核兵器を地球にぶち込む、しかるのち地球に進出して生物を皆殺しにする」だって(大笑い)。なんと金星人、地球侵略を計画していたのでした。戦慄するクルー達。そんなヤクザみたいな金星人はいやだ、もういっそこのまま地球に帰ろうかという意見も出たのですが、ここでデュランが「この岩石がきたのは80年も昔だ、でも金星人は未だ侵略に来てない。この謎を探らずに帰ることはできないぞ」と鶴の一声。予定通り金星に着陸することとなります。

 しかし問題がまた一つ。金星からの猛烈な妨害で地表の様子が分かりません。おまけに地球や月との連絡も途絶えてしまいました。さあ、どうしよう。するとブリンクマンが「ようがす、あっしがひとつ探査艇クローラーで先発しましょう」彼はオメガを連れてクローラーに乗り込みます。そしてそのまま船を離れて降下したのでありました。金星の大気圏はもうえらい嵐で何もみえやしない。ブリンクマンは「山とかあったらずどんだぜ」と危惧しているのですが、さすがは人類初の月着陸を果たした男、「根性と気合でばーっと行け!」強引に着陸してしまったのです。

 さっそくオメガを連れて外にでるブリンクマン。オメガは大気を分析して「キョウドノホウシャノウデス、ワレワレハハチフンシカタエラレマセン」大気の組成は二酸化炭素27パーセント、フォルムアルデヒド14パーセントで、当然ながら呼吸はできず。「こりゃやなところに来ちゃったな」と呟くブリンクマンです。おまけに何故か突然探査艇クローラーが爆発しちゃった。「ええっ、なんでそうなるの」と仰天したブリンクマン、走り出したとたんに洞窟のようなところに落ちちゃいました。「ひー、泣きっ面に蜂ってのはこのことだよ」その彼の目の前を飛び交う不思議な物体。捕らえてみるとそれは超小型の飛行ロボットでありました。「これが金星の文明というやつか」

 一方衛星軌道上のコスモストレーター、クローラーの爆発を観測して大慌て。「攻撃か、ブリンクマンが危ない」結局コスモストレーターも着陸しちゃう。どうもあまり偵察の意味が無かったようで(笑)。おまけにクルーが外にでてみるとブリンクマンがあっさり姿を見せて「いやー、危なかったよ」そしてクローラーの爆発の原因も判明します。なんとクローラーの下に高圧電線が通っていたという・・・。「よし、この高圧電線を辿れば金星の都市にいけるはずだ」

 な、なんですか、高圧電線って。

 さあ、金星の探検だ。ドロシーたちは黄色のレンガ道をたどったのですが、この隊員たちは高圧電線ををたどるのです。フォロー・ザ・イエロー・ブリック・ロードならぬフォロー・ザ・ハイ・ボルテージ・ラインということですな。そしていきついた先がオズの国ならぬゴルフボールのような形をした巨大なドーム。調べて見てもこれが何なのか良く分からない。さらに結晶状の森とでもいうべき構造物も発見されたのですが、こっちも何のための施設なのか分からない。あれほど地球を攻撃するぞ、おーっ!と張り切っていた筈の金星人も出てこない。謎だけが膨らんでいくのでありました。

 そんな中、チェン・ユーがブリンクマンの捕まえて来たロボット昆虫を分析します。するとなんとこれがある種の記憶装置であることが分かったのです。あのゴビ砂漠で発見された岩といい、金星人は記憶させるのが好きですな。よっぽど物忘れが酷かったのでしょうか。記録されていた金星人の言語を解析しますとなにやら地球攻撃を計画した後に金星人は未曾有の災害に襲われたらしいことが分かります。「未曾有の災害?」オーロフはにやにやして、「これはあれだ、一夜にしてキングギドラに滅ぼされたんだ」誰も相手にしませんでしたけど(笑)。さらにあの結晶の森は巨大なエネルギー投射装置、つまり兵器であることも判明します。シカーナは「災害のことを調べなくてはならない。高圧電線の出発点を探すのだ」はい、またフォロー・ザ・ハイ・ボルテージ・ラインの始まり。

 だから高圧電線って何?

 探査車クローラー(探査艇とは違うのか)でがらごろ進む探検隊のメンバー。彼らは巨大な建物を発見します。その壁面はなぜか真っ白。近辺に恒星に匹敵するという超高熱地帯も見つかって、どうやら建物はこの超高熱で焼かれたらしい。「一体全体どんな災害だったのよ」とうめくスミコ。まあ見ている私らにはうすうす分かっていますけどね。そしてようやく高圧電線の出発点を発見。これまた巨大な建造物。しかも内部の装置はまだ作動しております。わいわい中に入っていたブリンクマンたちは「おお、太陽系の模型があるぞ、すげー」「おお、竪穴があるぞ、覗いてみよう」覗いてみたら覗いてみたで「おおー、下にまた部屋がある、あっちはコントロールルームか」ってうるさいよ。観光客じゃないんだから(笑)。

 ここでスミコ・ブリングマン・シカーは下へと降りていきます。この辺ちょっと良く分からないのですが、あのコントロールルームとは別の場所らしい。そこは広い空洞になっていて巨大な柱が何本も立っています。そしてその柱のひとつひとつに斜路がついているのでした。窓のようなものもあってこれは金星人の居住区なのでしょうか。またこの洞窟の一部は泥の海になっておりましてこれが不思議なことにうんがり、うんがりとうねっております。三人はあちこち調べるのですが、うっかり足元の小石を蹴飛ばして泥の海に落としちゃった。するとなんとしたことでしょう、泥が生き物のように盛り上がり三人を追ってきたのであります。「ウワー、やばい、逃げろ」しかしそのスピードを速めて追ってくる泥に退路をふさがれてしまった!三人は仕方なく柱の斜路を登り始めます。同じく彼らを追う泥。斜路を逃げる三人、ああ、行き止まりだ。もはや絶体絶命かと思われたその時、ブリングマンが光線銃で泥をしゅぴぴぴぴー。追い詰められた末の発作的な行動だったのですが、これが見事に当たった。泥は攻撃に驚いたのか退き始めたのです。このチャンスを逃がすなとばかり斜路を駆け下り無事外へ逃げ出す三人であります。

 探検隊はとりあえず宇宙船に戻ることになりました。またクローラーに乗り込んでがたごとと。途中、スミコは白い岩に人影が焼きついているのを発見します。「なんと恐ろしい災害だったのかしら」まあ、岩に人影が焼きついていたら考えられるのはアレだけなんですけど(笑)。船に無事到着して調査結果の解析が行われます。そしてシカーナがついに未曾有の大災害の正体を発見するのです。彼はみんなを集めて「金星は地球攻撃を計画した後に核兵器を暴走させてしまったのだ。すべての金星の核兵器が連鎖反応して彼らの文明を全滅させてしまったのだよ」そう、思ったとおりというかなんとひねりのないというか(笑)金星人は核によって自滅していたんですねー。

 さあ、そろそろ地球へ戻ろうかということになるのですが、ここで最後の変事が勃発。どうやらあの泥を攻撃したのが良くなかったらしい。金星の防衛機構が作動を開始してしまったのです。例のドームが赤く光って強大な重力を発生させます。このため宇宙船は離陸が不可能。しかも結晶の森からは放射線がどばー。おまけにその影響を受けたオメガが狂いだしへリングウェイに大怪我負わせちゃった。スミコが直ちに手術を開始したもののその容態は油断を許しません。

 考えたらこのロボット、ほとんど役にたってない(笑)。ブリンクマンに金星の大気組成を教えただけじゃないのか。

 こうなりゃやけだ。あのコントロールルームに行って防衛機構をとめようということになります。この任務にあたるのがチェン・ユーとトルア。彼らはクローラーに乗って再び高圧電線の出発点へ。そしてトルアがロープを使ってコントロールルームに下りていきます。そのロープを引っ張っていたチェン・ユー、あ、ロープが切れてしまった。おまけに切れて跳ね飛んだロープが彼の宇宙服を切り裂いてしまったのです。「あ、空気が漏れる、ああ、駄目だ、死んじゃう」トルアはコントロールルームの中で立ち往生。無線で様子を聞いていた宇宙船からブリングマンが救出に向かいます。彼はいきなり出てきた探査機に乗り込み飛び立つのであります。探査艇とは違うのかしら?また、こんなものがあるなら今までの探検でも使えば良かったのにと思うのは素人の浅はかさでしょうか(笑)。

 ところがなぜか例のドームが発する重力波が急に弱くなった。コントロールルームに入ったトルアが何かしたらしいのですが、このへんは何が何だか分かりません。とにかく重力が弱まって宇宙船スターストレーターは浮かび上がってしまった。ブリングマンの探査機もコントロールを失い切り揉み状態。一方なんとかコントロールルームを脱出、地上に戻ってきたトルアですが、スターストレーターもブリングマンも彼を助け出すことはできません。「あー、おれおいてきぼりになっちゃったよう」悲痛な叫びを上げるトルアです。

 チェン・ユーは窒息死、トルアは置いてきぼり、ブリングマンは行方不明。ひでー(笑い)。断腸の思いで金星を飛び立ち地球へ向かうスターストレーター。たった一つの救いはスミコの手術が成功してへリングウェイが一命を取り留めたことだけでした。そして地球へ帰還。へリングウェイは彼らを迎える群集の前で「われわれは犠牲となった三人を決して忘れないでしょう。そして科学の暴走で滅亡した金星の轍を踏まぬよう努力します」と演説。スミコがはらはらと涙をこぼしたところでエンドマーク。

 ところであの泥はなんだったんでしょうねえ。結構力の入っている特撮シーンなのですが意味が良く分かりません。金星人の侵入者に対するトラップでしょうか。泥を光線銃で撃ったら金星の防衛機構が作動というつながりもなんだかなあ。

 カラー・スタンダード モノラル音声。画質は赤く変色しています。また例によって暗いシーンでは何やっているのかさっぱり分かりません。日本語字幕つき

 エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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