« 『Anthar l'invincibile』 1964 | トップページ | 『The Lost Jungle』1934年 »

2006年3月24日 (金)

『金星怪人ゾンターの襲撃』 1966

 

『金星怪人ゾンターの襲撃』(『ZONTAR THE THING FROM VENUS1966年)とは何ぞや、それは金星ガニで有名な『金星人地球を征服』のリメイクである。しかもよりにもよって稀代のリメイク下手、ブキャナンが監督したのだ。絶対ろくな映画になる筈ねーと思っていたら本当にそのとおり、しょうもない映画でありました(笑)。

 冒頭、今にもレーザー通信衛星ロケットを打ち上げんとしているアメリカの軌道ロケット基地Zone6。ロケット科学者たち、ジョン、アリスなどが計画主任のカート・テイラー博士(ジョン・エイガー)指揮のもと忙しく立ち働いています。

 そこに現れたのがテイラー博士の友人でもある科学者、キース・リッチー(アーサー・ヒューストン)。彼は突然にカートにロケット打ち上げ中止を勧告するのでありました。「そんな馬鹿な、この計画には5,000万ドル注ぎ込んでいるのだ、いまさら中止などできるか」と最もなことをいうカート。しかし、キースは「いや、いけない、我々は地球外知的生命体に監視されているんだ。彼らは我々地球人がいまだ宇宙に進出するのは早いと思っている。この間の衛星が爆発してしまっただろう、あれは彼らからの警告だったのだ」カートは呆れて「はいはい、寝言は熟睡してからいいましょう」キースの警告も空しく発射されるロケット。順調に飛行してなんだか円盤のようなレーザー通信衛星が地球軌道を周回し始めます。ここでオープニングクレジット。

 キース家で会食しているキース、妻のマーサ(スーザン・プジャーマン)、カートと妻のアン(パトリシア・デラニー)、和やかなムードの中食事が進んでいきます。このまま和やかなムードが続くと思ったらさにあらず、カートに「あれから3ヶ月たつけど、衛星は何事もなく周回しているねえ」と言われたキースがかっとなって部屋に備え付けられた無線機のような機械を見せたのです。そしてこんなトンデモなことを言い出した!「僕はね、この機械で金星の友達と2ケ月も交信しているんだ」2ケ月ったらこの前の衛星の打ち上げ後じゃないの(笑)。

 「この機械はレーザー衛星いらずで金星と交信できるんだ」力説するキースですがその機械から聞こえてくるのはぴーぴーがーがーという空電ばかり。カートがそのことを指摘しますと「いや、これは催眠術みたいなもので僕には彼らの言葉が分かるのだ」あぶねえなあ(笑)。

 この金星人とやらの名前を無理やり英語に当てはめると「ゾンター」になるのだとか。いるよなあ、こんなトンデモさん。

 長年の友人がついに狂ってしまった。愕然とするカートでしたがここで基地から電話が掛かってきます。なんとあの衛星が消えてしまったというのです。カートは急いで基地に戻ることになりました。カートとアンが帰った後、不気味に微笑むキーン。「ふふふ、ゾンターがやったのだ。あの衛星を宇宙船にして地球にくるのだ」衛星奪って宇宙船にするってか。こんな奴等がよくも「チキュウジンハミジュクデスカラウチュウニキテハイケマセン」とか言えたもんだな。

 だいたい衛星ってのは地球の衛星軌道回るから衛星じゃないのか。金星からわざわざ衛星引き寄せたのか、そんなことするなら自前の宇宙船作れ、金星人!

 さて基地では大騒ぎ。計画責任者のヤング将軍(二ール・フレッチャー)もやってきて「一体全体どうしたのだ」と喚き散らします。科学者たちは「いや、もう何がなんだか分かりません。衛星は故障もしていないのにふいと消えてしまったのです」「ギャーッ!5,000万ドルが!」「もう計画はおしまいだ」と頭を抱えるカート。しかし、再び変事が起こりました。ふいと理由もなく消えた衛星が今度はふいと理由もなく現れたのです。あきれ返るカートたち。とりあえずペンタゴンに連絡、この衛星を回収して原因を探ることになりました。

 その頃キースはあの通信機に向かって「へ、さすがゾンターの若旦那ですなあ。衛星引っ張っていって宇宙船にする、こらもう私のような凡人には思いもつかない妙手でげすなあ。はい、なんですか、もうすぐ地球に来てくださる?はいはい、わたくしめ、誠心誠意お迎えさせていただくでげす」すっかりゾンターのタイコモチになっております。

 さて早速実施される衛星回収計画。しかしなんとしたことか衛星はまるで自分の意思を持っているかのように基地のコントロールを脱し地球大気圏に突入したのです。カート博士たちは驚いてなんとかコントロールを回復しようとするのですが時すでに遅し、衛星とのレーダーコンタクトを失ってしまったのでした。「きいい5,000万ドル損したぞ、畜生」わめき散らす将軍。もうとにかく5,000万ドルがとしかいわないの、この人(笑)。

 その頃通信機の前でキースが大はしゃぎ。「さすがゾンターの旦那、大気圏の突入の仕方なんか私ら素人にはできませんよ、すぱっと入ってずぱーっと抜ける、まるで水と戯れるとびうおのごとしですな!へえ、地球におつきになったらここから6マイルほど離れた洞窟に御逗留なさいませ。洞窟の中は金星と似た温度ですから、ごゆっくりおくつろぎになれるってもんでげす!」すっかりタイコモチが板についてきたキースであります。それからキースはマーサに「金星人ゾンターがきたぞ、彼こそ人類の救世主になってくれるお人だ。戦争だってなくしてくれるぞ」マーサ狂喜しているご主人見て「はあ」ひそかにため息をついております。

 それから次々起こる怪事件。まずはジャクソンの町が大停電。いや、それどころか車、電気、水、あらゆるエネルギーが中和されてしまったのです。カートとアンは車で立ち往生。ジャクソンの人々はこの変事にパニックを起こしてわあわあ駆け回っております。Zone6基地も同様にすべての機械が動かなくなっちゃった。そんな中キーンは、あ、この馬鹿、ジャクソンの有力者の名前をゾンターに教えてやがる。「へい、まずは警察署長のブラッド・クレンショー(ビル・サーマン)、ジャクソン町長のシドニー・パーカー、Zone6基地の責任者、ヤング将軍、ロケット計画主任カート博士、この人たちを抑えれば間違いないとぞんじますです、へい」この後どこかわからないけど洞窟の中かなあ、とにかくふいと姿を現すゾンター。でも画質が悪くって暗くって何がなんだかよくわからない(笑)。

 森の中をキーンの家目指して歩いているカートとアン。彼らの頭上を奇妙な鳥が旋廻しております。あれ、ひょっとしてこれ、ゾンターの手先?でもあんまりばたばたうるさく飛び回ったので怒ったカートに木の枝投げつけられちゃうの。そしてそのまま逃げちゃうの。なんだ、お前は。一方パニックで逃げ惑う人々に当惑しているマーサをキーンが車で迎えにきます。「なんであなただけ車が使えるの?」と尋ねるマーサに「そりゃ、ゾンターがこの町のエネルギーを中和したからさ。友達である僕だけがこうして車を使えるのだ」

 カートとアン、ようやくキーンの自宅にたどり着きます。カートはキーンに「いったいこれはどうしたことだ、君は何か知っているのか」キーン、にやりと笑って「まあ、そうせかさないで、そのうちわかるから」この後キーン、カートにゾンターがエネルギー中和した云々を話したようです。ようですってのは変なのですが、何しろキーンの説明するシーンがないものですからそう推定するしかないんです(笑)。カートは当然ながらゾンターの話を信じません。堂々としているカートにキーンは何を勘違いしたか、「すごい、彼はこんな話をされてもパニックにならない。さすがだ」マーサはがっくりとなって「彼はあなたの話を信じていないだけよ、キチガイだと思っているのよ」

 そうこうするうちに基地を出て森を歩いていた将軍。先ほどカートが木の枝ぶつけた(笑)鳥に襲われます。拳銃で撃退しようとしたのですが、油断したすきに鳥が頭にごーん!将軍ばったり倒れてしまいました。すぐに起き上がったのですが、あ、もうゾンターに操られているらしい。彼は鳥の死体を木の葉で隠すと急いで基地へ戻るのであります。ははあ、あの鳥はゾンターの洗脳装置らしいですな。将軍、基地に戻るやいなや、全兵士に出動してパトロールせよと命令。同時に科学者たちに「この危機が終わるまで外にでてはならぬ」と申し渡します。兵士を追い出して基地を占領するつもりなのか、ゾンター。

 さて、家に戻ったカート、町がパニックになっているのを見てびっくり。逃げ惑う男を捕まえて「何が起こったのだ」と問いただすのですが「放せ、邪魔するな」と振り切られてしまいます。たまらなくなったカート、アンに家にいるよう言って自分は自転車で基地へ向かうのでした。

 ブラッド保安官、人々が逃げ出したジャクソンの町で通りをふさいでいる車を押しております。そこへ飛んできたのがおなじみの鳥。もうゾンター鳥と呼んでしまいましょう。ゾンター鳥は保安官の首にぐさっ。はい、何かを植えつけて洗脳してしまいました。もはや他の存在となった保安官、避難せずに居残っていた老人を見つけると、あ、無造作に射殺しやがった。

 たまたま自転車で通りかかったカートは仰天、「お、お前、ブラッド何をするのだ!」保安官は彼をじろりと見ると「カートか、お前を探していたのだ」「それは誰の命令だ」保安官はにやりとして「聞いて驚くな、ゾンター様よ。お前もそのうちわれわれの仲間になるのだ」でも保安官、仲間になるなんて言っているくせにそのままカート行かせちゃうのですからなんだかよく分かりません(笑)。ここで捕まえてしまえばいいじゃないですかねえ。

 キーンはマーサにゾンターのことを話して聞かせています。「ゾンターは彼の組織の一部を人間の首に埋め込んで、いわばわれわれを彼の一部とするのだ」マーサは呆れます。「なによ、そんな気味の悪いこと、私ごめんだわ」「大丈夫だよ、ゾンターの一部になればそんな感情すら消えてしまう・・・」「えー!」ますますいやな顔をするマーサ。ここでちょっといい場面、マーサ、キースを抱きしめて「私、あなたを愛している。でもこの感情もゾンターに消されてしまうのだわ」しかしそれも効果なし。どんどんゾンターに入れ込むキースです。

 さてようやく基地にたどり着いたカート、警備兵もおらず封鎖されていることに驚きます。そこに出てきたのがヤング将軍、「君、基地は封鎖されて無人になったよ。良かったらジープ、ああ、このジープは特別な試作品だから動くのだ、でジャクソンの町まで送ろう」カート、ジープに乗り込むのですが、偶然に将軍の首筋を見てしまってぎょっ。なにやら怪しい針のようなものが刺さっていたからです。「あ、こいつもやられている」カートは隙をみて将軍をげしと蹴り飛ばしジープを奪います。そうしてキーンの家へ向かうのでした。

 再びキーンと対面したカート、「君の言ったことは本当だったのだな、しかし、ゾンターは地球人を殺しているぞ、いったいどういうことなのだ」キーンは彼をソファーに座らせます。そして「ゾンターは数万年前から金星で文明を気づいていた生命体。しかし、彼らは一種の寄生体でホストを必要とするのだよ。しかし災害で彼らはそのホストを失ってしまった。だから彼らは地球人を欲しているのだ。われらの利害は一致したのだ」「この馬鹿野郎」たまりかねたカートが叫びます。「地球人を殺しているんだぞ」「それは改革につきものの犠牲というやつだ」カートはついに立ち上がり「この裏切り者め」家に帰ってしまいました。

 自宅に戻ったカート、「アン、みんな狂ってしまった。将軍だって操られている大変だぞ」はい、皆様の予想通りアンもすでにゾンターの犠牲者となっていたのです。嫣然と微笑んで「あなた贈り物よ」というアン。彼女の手から飛び出したのはゾンター鳥だ!でもカート、暖炉から火かき棒とってぼかっ。あ、ゾンター鳥死んじゃった(大爆笑)。ここでキースから電話が入ります。ゾンターによって電話も使えなくなっているのですが協力者であるキーンだけは別なのです。電話とめたり使えるようにしたりゾンター電話局の人か。「カート、大事な話がある。もう一回きてくれないか」フツー行くものかと思いますけど、何しろブキャナンの映画ですから、いっちゃうんですねえ(笑)。カート、愛する妻であったものを射殺、キーンの家に向かうのでした。

 キーン、通信機、これもゾンター通信機と呼んでしまいましょう、に向かって「ゾンターの旦那、カート呼びました、へへ、へへ、さすがですなあ、そんな妙手このイッパチめにはとても思いつけません。ああ、あなたのそのおつむりの良さにあやかりたい、あやかりたい」って誰がイッパチなんだよ(笑)。ゾンターは要するにカートを殺せと命令してきたのです。また基地の科学者たちもとうの昔にゾンターの餌食となっておりまして将軍とともにアメリカ大統領暗殺を計画中。将軍に爆弾持たせて大統領もろとも自爆させようというのですな。こんな計画だったら何も科学者たち操らなくても良さそうですが(笑)。

 キーンからカートを殺すのだといわれたマーサ。ついに、“切れて”しまいます。「ゾンターのハゲデブインポの口クサめ、あたしの夫をこんな風にしてもう許さないからね!」彼女は拳銃を用意するとカートと入れ違いに家を出て彼の車に乗り込み洞窟を目指すのでした。一方カートはキーンに対して最後の説得を試みるのです。「キーン、私はアンを殺したぞ。彼女は何か別のものに変わってしまったからだ。今からでも遅くはない、二人で協力してゾンターをやっつけよう!」うーんとこの期に及んでも悩むキーン(笑)。「考えさせてくれ」ですって。

 マーサ、洞窟に入ってゾンターを探します。はい、現れましたゾンター、ぞんざいな感じの三つ目こうもり人間といった風情。「きゃー」マーサ、悲鳴をあげつつも拳銃を乱射します。しかしゾンターには効果なし。あっという間にやられてしまいます。「ギャーッ」この断末魔がゾンター通信機通じてキーンに届くという・・・。「マーサ、マーサ」彼女の死を悟って泣き喚くキーンであります。カートは「どうだ、分かったろう、ゾンターは救世主などではない、ただの侵略者だ」ついにゾンターを見限ったキーン、ゾンターを倒すことを決意するのでした。

 二人は手分けして戦うことになります。カートは基地へ、キーンは洞窟へ。「拳銃が通じないぞ」と注意するカートにキーンはにやり、「いいの、あるよ!」最初に金星と通信するために作ったレーザー光線兵器を持ち出してくるのです(笑)。なんでもプルトニウムルビークリスタル光線銃っていうんだそうで、どうしていきなりこんなもの出してくるのか、ブキャナン。

 この騒動の間、ずうっと外をうろちょろしている兵士たち、その一人が洞窟でゾンター見つけてきゃー。仲間を連れて戻るもまたもゾンター現れてみんな逃げ惑うという何のためにやっているのかわからないシーン。とりあえず尺を伸ばすためでしょうか。

 さあ、ここからゾンター攻撃の始まり。カートは基地へ忍び込んで大統領暗殺計画を実行に移そうとしていた科学者たちと将軍を情け容赦なく銃殺。ひでぇなあ。キーンは洞窟にもぐってゾンター捜索。ほどなく現れるぞんざいな三つ目こうもり人間ゾンター、彼はゾンターに抱きつくようにして例の光線銃を発射、ともに果てるのでありました。

 基地から戻ってきたカート、例の兵士の一人にあって「彼らはどうなったのだ!」すると何にも知らないはずの兵士が「残念ながら死にました」と答えたところでエンドマーク。ああ、疲れた。

 だらだらとしてメリハリのないストーリー。何をしたいのか今ひとつ分からない金星人ゾンター。へたへたと空を飛び回るゾンター鳥。ああ、人生のいくばくかを無駄にしたなと思ってしまいましたとさ。

 カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はひどい、音質はもっとひどい。わんわんノイズが入っていて台詞がろくざま聞き取れやしない。12枚のDVD50本の SF映画が収録された「SciFi Classics Collection: 50 Movie Pack」の一本。 Digital 1 Stop DVD

         エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『Anthar l'invincibile』 1964 | トップページ | 『The Lost Jungle』1934年 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『金星怪人ゾンターの襲撃』 1966:

« 『Anthar l'invincibile』 1964 | トップページ | 『The Lost Jungle』1934年 »