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2006年3月24日 (金)

『Moon of the Wolf』 1972

 

Moon of the Wolf』(1972)のテレビムーヴィ。意外ときちんとした狼男ものです。謎解きの過程がちょっとわざとらしい嫌いもありますが、なかなか見られる映画。ただ主役のデヴィッド・ジャンセンの声がなんというかものすごい悪役声(笑)。とても正義の味方とは思えぬだみ声でちょっとびっくりします。

 タイトルどおり夜空にぱあっと月が光っているオープニングに苦笑。犬がわんわん咆えております。あまり犬が騒ぐので不審を覚えたのがトム・ガーマンディ・シニア(ロイヤル・ダノ)とトム・ガーマンディ・ジュニア(ジョン・ディビス・チャンドラー)の親子。ライフルを持って外へ様子を見に行くのでした。そしてあるものを見つけて立ちすくむ二人。「おっとう、大変だ、これは死体だべ」「こらぁ、ローレンスのところのエミリーでねえべか。お、おめえ、保安官に電話してこい」「わかっただ、おっとう」

 翌朝になって(笑)アーロン・ウィティカー保安官(デビッド・ジャンセン 逃亡者!)とドルートン医師(ジョン・ベラディーノ)が沈痛な面持ちでエミリーの遺体を調べている訳です。ドルートン医師の見立てによるとどうやら彼女は山犬どもにやられたらしい。でも不審な点があるので遺体を病院へ運んで詳しく調べなければならないということになります。そこへ飛び込んできたのが知らせを聞いて駆けつけてきたエミリーの兄、ローレンス(ジェフリー・ルイス)であります。彼は半狂乱になって死体へすがりつこうとします。そこを保安官に止められて「誰だ、誰が殺しやがった」もう大変な騒ぎ。

 なんとか遺体をドルートン医師の病院へ運び込んで再び詳しい検視が行われました。その結果、直接の死因は山犬だが、その前に彼女を手ひどく殴りつけたものがいる、気絶した彼女を山犬が襲ったのだ、これは殺人だよということになったのです。彼女の顔の傷から見て犯人は左利きに違いない。これから保安官はこのわずかな手がかりでエミリー殺人犯の捜査を開始するのでありました。

 まずエミリーの実家へ行く保安官。兄のローレンス、お手伝いの黒人女性、サラ(クローディア・マクニール)に迎えられます。ローレンスとエミリーの父親のヒュー(ポール・R・デヴィル)はベッドで寝たきり。エミリーの突然の死に錯乱状態となって「ルカルク、ルカルク」という訳の分からない言葉を叫んでいます。ローレンスに「ルカルクってのはフランス語か」と尋ねた保安官ですが、「いんや、俺も聞いたことがねえよ」という返事が得られたのみ。

 この後、保安官はローレンスから昨夜のことについて聞き出します。エミリーはどうやら男と問題を抱えていたらしい。ピーカンヒルでその男と会うことになっていたようだとローレンスは言うのです。彼は「俺は妹を止めるためにぶん殴ってしまった」保安官はその言葉にぴくりと反応して「それで、どうやって殴ったんだ」「どうやってって、こうやって左でバシッと」保安官、にやりとして「君が左利きだったのは知らなかった」はい、第一の容疑者出ました。

 次に保安官が赴いたのは町の大立者、ローダンテ家のお屋敷。当主のアンドリュー(ブラッド・フォード・ディリアン)に面会します。この屋敷の地所はエミリーが出かけていったと思われるピーカンヒルと彼女の家の中間に位置していたので近道した彼女を目撃しているかも知れないと考えたのです。しかし、アンドリューは「うーん、見ていませんな。何はともあれ犯人が早く見つかるよう祈ってますよ」ここで聞き込み終わりかと思ったら新たな登場人物。アンドリューの妹ルイーズ(バーバラ・ラッシュ)です。旧家のお嬢様らしからぬ奔放な性格の彼女は保安官に声をかけて「知っている?私中学生の時、あなたに夢中だったのよ」などと告白するのであります。さらに「近くにきたら気軽に寄っていらしてね」という彼女に辟易したアンドリューは彼女を家に追い返すのでした。そうして保安官に向って曰く「彼女は病気なのです」実はアンドリュー、ニューヨークで男と同棲していた彼女を無理やり連れ戻していたのであります。

 保安官は改めて殺人現場である沼地に出かけて遺留品を探します。あっという間に見つかったのがペンダント。そこにやってきたのが第一発見者であるガーマンディ親子。保安官は二人にあの夜のアリバイを聞きただします。「おら、寝ちまってたけど、何か問題あるんけ?犬にやられたんだろ」いぶかしむガーマンディ・シニア。保安官は「そうだったら簡単なんだけどな」と答えて沼地を後にするのでした。

 町に戻った保安官。サルファ剤を買いに来たというサラと出会います。彼女は保安官に「ローレンスは犯人じゃないよ。私は真犯人を知っているから」当然ながら保安官、それは誰かと尋ねますな。サラは「それは言えない。誰がエミリーを妊娠させたか調べてみるがいいよ」さあ、急展開。保安官は早速ドルートン医師のところへ行き、エミリーの妊娠について確認します。そう確かにエミリーは妊娠していました。どうして分かっていたはずのドルートン医師がそれを知らせなかったかというと・・・、はい、ドルートン医師がパパだったからです(笑)。あの夜ドルートン医師は子供のことを相談するべくエミリーをピーカンヒルに呼び出したのですが、結局彼女は来ず、そのまま帰って屁ェこいて寝たというのでした。じとーっと疑いの目で医師を見つめる保安官。

 そしてこの後ドルートン医師の言うことが酷い。「エミリーは俺と結婚したがっていた。そして町の人間に知られないようどこか遠くへ行こうと言っていたんだ。俺は真っ平ごめんだった。子供を始末して欲しかった。だって、俺はもう50なんだ。いまさら50で他の町に行って一からやりなおすなんてイヤだったんだよ!」この身勝手きわまることを言う医師をじとーっと疑いの目で見つめる保安官。それに気づいた医師は「いや、俺じゃないって、違うって!」

 まあ、もろに「エミリーが殺されてラッキー!」てなことを言っている訳ですから疑われぬ筈がない(笑)。

 保安官はうろたえるドルートン医師に沼地で拾ったペンダントを見せます。「これはエミリーのものかい」「いや、違う、そんなもの見たことない」頭をふる医師。保安官は「それともうひとつ、あんたは左ききだったかね」「いや違うよ」誠に疑わしい人物ですが、とりあえず保留。保安官はさらに捜査を続けるのでした。

 保安官は医師に不可解な質問をします。「サルファ剤ってなんに使うのかね」「詳しくは知らんが、祖母が狼よけになるっていうのを聞いたことがある」ここで唐突に狼が出てきましたなあ(笑)。

 病院を出た保安官、ルイーズと出会います。保安官は彼女とちょっとコーヒーでもということで町のレストランへ。そこでいろいろとルイーズの身の上話を聞くのであります。彼女はニューヨークでローダンテ家とは身分のつりあわない男と恋に落ち、同棲していた。アンドリューは私立探偵を雇って彼女の行方を捜し、そうして無理やり連れ戻した・・・。こういう話がえんえん続くのであります(笑)。もういい加減にしてくれ、そんな話面白くないと思ったところでアンドリュー登場。妹を連れ出すのでした。帰り際、アンドリューは保安官に「明日山犬狩をします。保安官も良かったら参加してください」

 さて、エミリーの妊娠の相手がドルートン医師であったことがローレンスに知られてしまいます。サラが「あんた、落ち着いて聞いてよ、へんなことをしたら駄目だよ」といいながら彼に秘密を教えてしまったのですな。ローレンス、これを聞いて逆上。だいたい、こんなことを聞いて落ち着いていられる筈がありません。彼は山犬狩でみんなが集まっているところに乗り込んでいって、保安官と話していた医師に「てめえ、俺の妹に手ェ出しやがって」パンチ、続いて「50男が何してけつかる」キックを浴びせたのでした。ローレンスは保安官に取り押さえられたのですが、人々はドールトンをじとーっといやな目でにらんでおります。こんな不穏な空気の中、山犬狩りが始まりました。

 保安官は狩には参加せずローダンテ家へ行きルイーズにお呼ばれ。「暑いね、どうも」ということでレモンスカッシュをご馳走になるのでありました。それから仲良く話す二人です。保安官とルイーズの意味がないレモンスカッシュ対談が終わって(笑)、日が暮れました。月がでています。どこからかうぉぉーんという狼の咆え声がします。保安官事務所には保安官、部下のテリー、そして犬狩りの直前でドクターをぶん殴ったローレンスが牢屋に収監されております。でもまあ、逃げる心配はないだろうというので牢屋には鍵がかかっておりません。保安官はふあーと伸びをして「今日は疲れたから、もう俺帰るわ。テリー、後頼むよ」と帰っていってしまいます。

 彼が車に乗り込んだのを見計らって事務所に近づく謎の人物。ハアハア喘いでおります。こいつはいきなり事務所のドアを破壊、中に躍りこむのでした。ドアの破壊音を聞きつけたテリー、「お前、ここにおれや」とローレンスの牢屋に鍵をかけてよせばいいのに(笑)様子を見に行きます。当然ながら謎の人物、もうはっきり言ってしまいましょう、狼男ですな、に襲われてずったずったのぎったんたんにされてしまうのでした。狼男は次に牢屋の中のローレンスに迫ります。恐怖に顔をゆがめる彼の前で狼男は怪力を発揮、牢屋をあっさり破ってしまったのです。そしてローレンスに襲い掛かってやっぱりずったずったのぎったんたん。もうひどい有様でこの死体を見た葬儀屋さんがあまりのむごさに葬式断っちゃったくらい。

 翌朝騒然となる町の人々。事務所に押し寄せております。その中で検死をするドクター。「エミリーの時と同じだな」保安官は「こいつは素手で牢屋を破っている。並みの人間にこんなことができる筈がない。ドクター、あんたはもう容疑者から外れたよ」この展開はちょっと安易だな(笑)。とにかくこの町を得体の知れない化け物が徘徊している。こうなればボランティア募って24時間見張りを立てよう。保安官はこう宣言するのですが、誰もボランティアにならない、それどころか「そんなあぶねーことやってられるかっての」と怒られる始末です。

 いや、ただ一人志願者がおりました。アンドリュー・ローダンテです。「うちは町一番の名家で金持ちだからね、こういうことはまめにやっておかないとね」保安官はなんてハナモチならない奴だと思うのですが、今はとにかく贅沢を言っている時ではありません。一人でも手が欲しいのです。ということで彼をパトカーに乗せて昨夜殺されたローレンスの家へ向うのであります。到着して車を降りたアンドリュー、「僕は町のこのへんにくるのは初めてだな」とやっぱり人を見下したようなことをいう(笑)。

 その罰があたったのか、ローレンス家のポーチで炊かれていたサルファ剤(狼よけ、正確な名前はよく聞き取れず)の煙にむせて「うご、げは、げへ、ずっず、ぎげげ・・・」と苦しみだしてあげくのはてに失神してしまうのでした。ああ、狼よけの薬に当たって失神する、はい、皆さん、もう分かりましたね。気がつかないのはこの映画の登場人物たちぐらいのもので・・・。保安官はアンドリューをドルートン医師の病院へ担ぎ込みます。診察した医師は「彼の過去の病歴が分からんと話にならんよ」ということで保安官、ルイーズのところへ聞きにいくことになるのです。しかし、本当にこの保安官は良く働きますな(笑)。

 さてローレンスの屋敷へいってルイーズに話を聞く保安官。彼女によると祖父も同じような発作を起こすことがあったとのこと。ふうむと顎をかく保安官です。ここで彼はルイーズとアンドリューの母親の写真に目を留めます。彼女がどこかで見たようなペンダントをしていたからです。そう、保安官が沼地で拾ったペンダント。再びルイーズを問いただすと、「それは母親のかたみに私が貰ったもの。でもなくしちゃったのよ」保安官はようやくアンドリューを疑い始めたのでした。保安官はルイーズを連れてドクターの病院へ戻りアンドリュー本人から事情を聞くことになりました。

 アンドリューの話。実は彼は一年ほどまえから意識を失って自分が何をしていたのか分からないという発作を起こすようになっていたのです。その発作を抑える薬をドルートン医師に内緒で彼に運んでいたのがエミリーだったという訳。おお、アンドリューとエミリーを繋ぐ線が出てきましたな。ちなみに、なんで医師にも内緒で薬を貰っていたのかというと「ほら、俺って町一番の名家でしかも大金持ちだろ、病気なんてことになったら町の奴から何言われるかわかんねーもん」なのだそうで。やっぱりハナモチならん奴だなあ。

 エミリーが殺された晩もやっぱり彼のところへ薬を運んでこようとしていたのですねえ。その時の彼女は誰かと会うためにこぎれいなカッコをしていたのだが、何故か沈んでいた。はい、今は分かってますけど、ドルートン医師と深刻な話をする予定だったからです(笑)。「だから僕は彼女にペンダントをあげたのさ」一応話は繋がっております。しかし保安官から「エミリーと別れてから何をしてました」と聞かれたアンドリュー「何故か薬を飲む気になれなくってソファに座っていたんだ」おお、やばくなってきたぞ。「そこではっと意識を失って気がついたら午前5時、シャワーを浴びていたよ」保安官、さらに質問します。「アンドリュー、あんた左ききだっけ?」「いや、僕は両ききさ。左右どちらでも同じ筆跡で名前をかけるんだ」そんなことを嬉しそうに言うな、馬鹿(笑)。保安官の疑いはますます深くなったのであります。

 ドルートン医師から薬をローレンス・バリファーの実家へ届けるよう頼まれた保安官、ルイーズと一緒に車で向います。バリファー家ではヒューが相変わらず「ルカルク、ルカルク!」と錯乱状態。するとルイーズが「あれはフランス語ね、フランス語だったら分かるわ、私」という誠に都合の良い展開となりまして、ルイーズはヒューとフランス語でしばらく話すのです。そうして真っ青となったルイーズ、「ルカルクじゃないわ、ルガルー、彼は人狼だと言っているの、つまり、狼男よ。そしておお、恐ろしい、狼男の犠牲者は私ですって!」これですべての謎は解けた!アンドリューは狼男だったのであります。

 ちょうど、その頃病室で狼男に変身するアンドリュー。タイミングのいいことですなあ。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」と暴れ周ります。ドルートン医師を背後からど突き倒し、看護士たちを怪力でふっ飛ばします。病院をめちゃくちゃに荒らしたあげく、窓ガラスをやぶって外へ飛び出してしまいました。はい、場面はそのまま次の朝となります(笑)。集まった男たちの前で熱弁をふるう町長。「アンドリューは狼男だ、化け物だ、奴がこの町の人間を都合三人も殺したのだ。かまわないから見つけ次第ライフルで蜂の巣にしてやれ!」保安官とパトカーで通りかかったルイーズはこの言葉に仰天して「兄は病気なんです。それを見つけ次第ロープでぐるぐる巻にして車でにつないで10キロばかり引きずり回すなんて、そんな殺生な!」と抗議するのですが、男たちからは「その妹のお前も狼になるんじゃないのか、ロープでぐるぐる巻きで引きずるなんてそんなことはいってないぞ」という野次が飛ぶばかり。ルイーズ保安官に促されて屋敷に戻るのです。

 この後町の男たちが手に手にライフルを持って狼男、アンドリューを追いつめて云々・・・なんてことは一切ありませんのであしからず(笑)。

 屋敷に戻ったルイーズ、書斎にあった本、曾祖父が残したという狼男病についての文献であります。この内容を保安官に読んできかせますな。「これは紛れもない病気で薬でコントロールできる。しかし、次の犠牲者の手のひらには五茫星形の印が現れるという伝説もある」「なんだ、要するに迷信じゃん、今はそんなこと言っている場合じゃないよ」不満顔の保安官に構わず続けるルイーズ。「狼男は聖なる弾丸によって滅ぼされなければならない」聖なる弾丸というのはつまり銀の奴ということなんですかね。

 ここで馬の鳴き声。「やばい、納屋の方だ、おれ、ちょっと見てくる」、ルイーズを部屋に残して出て行く保安官です。でそのまま保安官は狼男を見つけることができず、外をうろうろ(笑)。そうしているうちに屋敷に狼男が潜入して「ウォーでがんす!」ルイーズを狙うのです。ぎゃっと逃げ出すルイーズ、納屋に入り込みます。ランプに火をつけてさあ、どうしようかと考えていたら「ウォーでがんす、ウォーでがんす」納屋の窓から入ってきやがった。ルイーズとっさにランプを投げつけます。干草に火がついて火達磨となる狼男。この間、外をうろうろしている保安官(笑)。

 しかしこんなことで参る狼男ではありません。屋敷に逃げ戻ったルイーズをまたも「ウォーでがんす、ウォーでがんす」と襲うのです。この間やっぱり外をうろうろしている保安官。ルイーズは狼男に追われてアンドリューの寝室に逃げ込みます。そしてベッドのもの入れから拳銃をみつけて、狼男めがけてずどん、ずどん、もう一発ずどん、ばたりと倒れふす狼男=アンドリュー。ここでようやく保安官が駆けつけてきた(笑)。ルイーズは彼にすがりついて「兄さんは私に自分を殺させたのよ、この銃も銀の弾丸もあらかじめ用意していたのだわ」アンドリューの顔がゆっくりと元に戻ったところでエンドマーク。

 いやあ、謎解きが結構面白かったですな。特にじいさんの喚くルカルクの意味が分かるシーンではぞっとさせられました。だってこのじいさん、エミリーが殺されてからこっち、ずっとベッドにねたまま「ルカルク、ルカルク」って喚き続けていたんですよ。だのに映画の後半になるまで誰もその意味が分からずじいさんほったらかしになってたんですからって怖いのはそこかい!

 カラー・スタンダード、モノラル音声。画質・音質、どっちもまあひどいものですわ。12枚のDVD50本の SF映画が収録された「SciFi Classics Collection: 50 Movie Pack」の一本。 Digital 1 Stop DVD

         エロの冒険者 

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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