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2006年6月30日 (金)

『猛進ロイド』(『Girl Shy』 1924年)

 

『猛進ロイド』(『Girl Shy』 1924年)

 ハロルド・ロイドがお金持ちのお嬢さんと恋をした!!身分違いだ、相手には婚約者もいる、僕にはお金がない、色々と思い悩むロイド。この恋の顛末果たしてどうなりますやら。どうぞ、ごらん下さいませ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 一日に三つのことしか起こらないリトルベンドの町、この三つのこととは午前・午後・夜で、つまりはたいくつな田舎町。ここに一人の男、ハロルド・ロイドが住んでおりました。彼は女性がてんで駄目で、女性がそばに来るだけでアガってどもってしまうようなタイプ。ちょっとイタイですね(笑)。彼は叔父さんの営む仕立て屋さんで働いているのですが、もう女性のお客さんが来るだけでどぎまぎ。「ねえ、この破れたストッキングを縫ってくださらない」いきなりぬっと足を突き出す女性客。ハロルド、針で縫おうとするのですが、手がぶるぶる震えて女性客の足にぐさっ。「ギャー、何すんのよ、今ブスって言ったわよ!」なんて怒られてしまいます。次に来たのは「主人のズボンを取りにきましたの」という御夫人。またもハロルド、上がってしまい「あの、ご、ご、ご、ご、主人のズ、ズボン、ですか、それは、あの、あの、あっあっあっ」見かねた叔父さんがこっそりぴいと笛を吹くと吃音が収まるというギャグ。

 そんなハロルドに叔父さんが声を掛けます。「ハロルドや、お前は今晩の町のダンスパーティにはいかないのかい」「駄目だよ、本を今晩中に仕上げなくちゃならない。明日出版社に持っていくから」本当はハロルド、ダンスパーティに行きたいのです。でも女性が駄目だから行けないんです。ますますイタイですね。

 そんなダンスパーティの誘惑を振り切って自宅に戻ったハロルド、さっき言っていたの執筆に取り組みます。この本のタイトルはなんと「恋愛の秘訣」。おいおい、ハロルド、君がそんな本架いちゃいけないでしょ。しかも巻頭言には「最近の若い人は女性について何にも知らないのでアル。そこで我輩が恋愛の実体験を踏まえて女性との恋愛必勝法を教授するものでアル」だって。

 ここからハロルド・ロイドのタイプ別女性攻略法の始まり。まずは「高ビー女」、こういう高慢ちきな女は男に尽くされることに慣れているからその逆を行くべし。部屋に入ったらいきなりコートや帽子を女に投げつけて「これ、片付けといてくれよ」この野生的な荒々しさに高ビー女はもうあなたにメロメロとなるのでアル。そんなに上手くいくものかと思いますが(笑)。

次に「ゴスロリ女」こういうファンタジーの世界で生きている女にはやっぱり荒々しく接するべし。部屋に入るなりいきなりキス、そしてへんなアクセサリーや部屋に飾られている小物をみーんなぽんぽん捨てて、お尻ぺんぺん。これでゴスロリ女もあなたにメロメロとなるのでアル。なんか荒々しくやれ、ばっかりですな(笑)。

 さて、ここで場面が変わって大金持ちバッキンガムさんのお屋敷。この家の娘、マリー・バッキンガム(ジョビナ・ラルストン)に求婚すべく訪れていたのがこれまた金持ちのロナルド・デ・ヴォア(カールトン・グリフィン)、しかしマリーは不在。お母さんによると今車で帰宅中だそうな。「はっはっは、愛するマリーのためだ、すこしばかり待つぐらいなんでもないですよ」と鷹揚に笑うロナルドでしたが・・・。マリーの車はリトルベンドの町で故障、立ち往生していたのです。修理に来たおっさんは「お嬢さん、駄目ですな、こりゃ。列車に乗り換えたほうがいいですよ」

 マリーはペットの犬を連れてリトルベンドの駅へ。そこで列車に乗ろうとしたのですが、車掌から「お嬢さん、犬は駄目っすよ」と言われて途方にくれてしまいます。仕方ないというのでマフラーで犬をくるんで隠し強引に列車に乗り込もうとしたのですが、きゃん、嫌がった犬が走り出した列車から飛び降りちゃった。「あー」と悲痛な声を上げるマリー。そこで現れたのが偶然、出版社に原稿を届けにいくために同じ列車に乗り込んでいたハロルドですよ。彼は最後尾までだだだっと掛けていくと、お客さんの杖を借りて見事犬を救いあげたのです。「まあ、ありがとう、本当に助かりましたわ」と大喜びのマリー。これで二人は仲良くなってしまう、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールですな。

 この後、同じ席に座ることになったハロルドとマリー、検札に来た車掌から犬を隠すために大奮闘。隣のおばさんのバックをひそかに借りて(笑)中の衣服を出して犬を押し込めます。これで安心と思いきや、所詮は犬畜生、中でわんわん吠えるのです。困ってしまったハロルド、自分で犬の鳴き声を真似て「わんわんわん」犬はごまかせたけど、ちょっとヘンな人だと思われてしまいました。周囲の乗客は気味悪そうにハロルドを見て「ほら、あれだから、暖かくなってくると」などとささやき交わしております。

ここでマリーが犬用のビスケットをハロルドに渡して「これを食べさせれば吠えなくなるわ」ハロルド、ビスケットを手にとるのですが、また悪いタイミングで車掌がやってきた。ハロルド、あわてて犬のビスケットとぱくり。「いや、なかなか、これも乙なもんですよ」だって。ますます周囲から気味悪がられるハロルドです。

 こんなことやっているうちにハロルドとマリーはますます仲良くなっていきます。マリーはハロルドが抱えていた原稿の束見つけて「えー、何々、それ、え、原稿、きゃー、あなた作家さんなの」「いや、これはね、私の恋愛論の本でね、私の恋愛体験を元に書いたのです」そのままずーっとグランドシティに到着するまで本についてお話。別れ際、マリーは「本、出版されるといいわね」といいつつ、タクシーに乗り込んであら、窓から身を乗り出してハロルドのほっぺにチュっだって。「初めてのチュー」に舞い上がったハロルド、ふわふわしながら出版社に行ってふわふわしながら原稿をわたし、ろくすっぽ説明もしないままふわふわとリトルベンドの町への帰途についたのであります。

 原稿を受け取った出版社の社員、社長のロジャー・ソンビーに「あのなんか犬のビスケットの箱持った男が原稿置いていきましたよ」ロジャーは当然ながらたいした関心を示さず、「あ、そこに置いといて」だって。

 さて、それからのハロルド、マリーの面影が脳裏から離れません。せっかくの日曜日、ボートで釣りをしていても水面にマリーの顔がぼんやり浮かんでくる始末。そのマリーはあの金持ち男、ロナルド・デ・ヴォアとドライブ中。ロナルドはいきなり懐から婚約指輪を取り出して「ええやろ、させんかい」じゃなかった(笑)、「僕と結婚してください」驚いたマリーは車の運転を誤り道路わきの溝に突っ込ませてしまいます。これじゃレッカー車がいるなということでロナルドが町へ行くことに。その間、マリーはあたりを散策するのですが、ここで偶然ハロルドに再会すると。こういう御都合主義は悪くはありません。

ハロルドと再会したマリー、一方ロナルドも町で都合の悪い女性と会ってしまいました。なんと彼女はロナルドの妻。彼は元妻と正式に離婚することなくマリーにプロポーズしていたのです。悪いやっちゃなあ。

 ハロルドとマリー、「まあ、あなたはハロルド」「君はマリー」てなもんでまたまた仲良くお話するわけですよ。ロイドが座った石がなぜか海亀で(笑)そのまま水に入ってしまいズボンがびしょぬれになったり、足になぜか捨てられていた網がからみついてなかなか取れなくなったりという細かいギャグを挟んでついにロイド「本が売れて僕が金持ちになったら、君にお願いしたいことがあるんだ」と言い出した。ついにプロポーズか。この二人の様子を偶然通りかかった叔父さんが見つけてびっくり仰天。そしてついにあの甥にガールフレンドができたというので大喜び。傍らにいた男を捕まえて「見てくだされ、わたしの甥についにガールフレンドができたのですじゃ!」ところがこの男と言うのがレッカー車の手配を終えて帰ってきたロナルドだったからたまらない。

 「てめー、俺の女に何をする」という金持ちらしからぬ下品な叫びとともにハロルドに殴りかかったのであります。ハロルド、これをひょいと交わして逆に痛烈なるパンチをカウンターでお見舞い。ロナルド、伸びてしまいました。しかし、ここでマリーが「彼はわたしの友達なの」と言い出したからハロルドがっくり。ロナルドを抱き起こして車に乗り込むマリーを呆けた目で見つめております。そんなハロルドを悲しげにみたマリー、車をスタートさせたのでありました。

 さて、出版社に預けたままになっていたハロルドの「恋愛の秘訣」がロジャー・ソンビーの目に止まったのです。彼は原稿をふむふむ読むと「ぷっ」と噴出して「なんじゃ、こりゃ」部下に手渡して、「これを会社の女の子たちに読ませてみなさい」さあ、タイピストの女性たちがこの原稿を読んでこれまた大笑い。中には「アハハハハ、こんな愉快なことを書いた人に会ってみたいわ」と叫ぶものもいる始末。ここにのこのこ現れたのがハロルドです。彼はロジャー・ソンビーに面会して「私の原稿はいつ本になるのですか」と聞くのですが、「バカ、あんなものが出版できるか、おととい、来い!」さらに女性達から大笑いされたのでロイド、すっかり意気消沈してしまうのです。

 とぼとぼと出版社から出てきたハロルド。その彼を見つけて駆け寄ってきたのがマリー。彼女は出版社の前にいれば彼に会えると張っていたのです。一瞬喜んだハロルドですが、しかし、彼は「駄目だ、本が出版されなきゃ、僕は貧乏な仕立て屋の見習い店員のままだ。そんなんじゃ、マリーと結婚できる筈がない」そうして彼はうれしそうに話しかけてくるマリーに「列車で仲良く話したのは本の執筆のための実験だったんだよ。君ったらそんなことも分からなかったのかい」がーん、なんて酷いことを言うの。立ち尽くすマリー。ハロルドも内心大泣きしながら彼女を放って立ち去ります。これで二人の恋は終わったのね、マリーはついにドナルドとの結婚を決意したのでありました。

 結婚式は来週の木曜の決まりました。一方ハロルドは元通り仕立て屋の仕事に戻って鬱々とした毎日を過ごすのみ。

 ここで出版社に場面は戻ってある編集者がロジャー・ソンビーに「あの本を出版しましょう」と持ちかけたのです。「バカ言うな、あんなしょうもない本が出せるか」「いやいや、社の女の子に大うけでしたよ。あんなに笑える本もないって大評判でしたよ。だからタイトル変えてお笑いの本として出版するんです」「そうか、これはあれだな、著者の知識の欠如や妄想により、著者の意図とは異なる楽しみ方ができるようになってしまったという、所謂トンデモ本だな」「そうです、そうです、さしずめ、タイトルは「トンデモ恋愛論」にしましょう」「よし、早速あの若者に前払い金として3,000ドルの小切手送るのだ」はい、とんとん拍子に出版決まっちゃった(笑)。

 さあ、小切手が届けられた。しかしハロルド、出版社からの出版お断りの手紙だと思って破り捨ててしまいます。あまつさえ、このきれっぱしを使っておじさんがパイプに火をつけた。おじさん、きれっぱしが小切手の一部であることに気づいて大慌て。ハロルドと二人できれっぱしを拾い集めて元どおりに組み合わせてみますと「貴殿の「恋愛の秘訣」を出版します。ただし、「トンデモ恋愛論」というタイトルに改題してお笑い本としての出版です。同封の小切手は前渡金です。どうか、よろしく」ハロルドは最初、「ウウーム、許せない、僕の本をお笑い本として出すなんて」と憤ったのですが、すぐにマリーのことを思い出し、「この金があれば彼女と結婚できる。お笑いだろうとなんだろうとかまうものか」恋愛というものは人を極めて現実的にするものでありますな。

 さあ、マリーに会いにいこうとしたのですが、ハロルド、マリーとロナルドの結婚記事を見て愕然。「あー、間に合わなかった!」しかし、ここで登場したのがロナルドがリトルベンドの町にレッカー車を探しに来たときに会った元妻です。彼女は頼んでいた洋服を取りにきたのですが、マリーとロナルドの記事を見るなり、「ンマー、なんてこと、ロナルドはまだ私と結婚しているのよ、そんなの重婚じゃないの」事情を知ったハロルド、「結婚を止めなくちゃ」と走り出したのです。待ってろ、マリー、僕が行くからな。

 ハロルドの猛進が始まりました。まず、列車に乗ろうとしたのですが、乗り遅れてだめ。後を追っかけて走るのですが、所詮人間が列車に叶うすべもなし、引き離されてしまいます。じゃあ、ヒッチハイクだってんで道路で車を止めようとするのですが誰も止まってくれません。一計を案じたロイド、紙袋を膨らませてパン!パンクしたと思った運転手が止めた車に乗り込みます。「お願いだから乗っけて頂戴」車は走り出しますが、すぐに曲がってガレージに入ってしまうというオチ。

 ハロルド、今度は道端に車を止めてお弁当食べているアベックの車を奪い暴走します。でも道路が工事中、迂回路を通るとそれがすごい凸凹道で、車ががったんがったんと跳ね回ります。ようやくマトモな道に戻ってもやっぱり車はがったんがったん。ハロルド、ついにこの車を捨ててしまいました。次に乗り込んだのが花に酒瓶を隠して運ぼうとしていた男の車。これを狙っていたギャング達が後を追いかけてきて、もう大変。ギャング達は拳銃を乱射。

こらたまらんとハロルドは狭い農道に車を乗り入れます。しかしあまりに狭いもので対向車とすれ違うことができません。困り果てたハロルド、相手の運転手に交渉して車を交換しようということになります。しかし、交換した車がひどいボロ。エンジンがとまってしまったので始動用のクランク差し込んでぐるぐる回すのですが、うんともすんとも言いません。それどころかうっかり車体を押しちゃってがけ下に落としちゃった。車はばらばらまた走り出すハロルドです。

 ギャングたちがまた追ってきた。ハロルドは今度は馬に飛び乗ります。どんどん飛ばすのですが、あまりにムチを当てすぎたので馬から放り出されてしまいました。次に乗り込んだのが消防車。しかしこちらも簡単に振り落とされてしまいます。ハロルドはもうやけのやんぱち。路面電車を電車ジャックして爆走します。線路上の車はどけどけ、どきやがれ、ハロルド様のお通りだ。路面電車はついに霊柩車と衝突、ごろんと転がりでた棺桶の蓋がぱかっと開いて、白装束の死体が起き上がって「こら、何をするんだ、アブナイだろ!」

 このショックで電線と電車を繋ぐポールが外れてしまいました。屋根に上ってポールを修理するハロルド。はい、お約束、ポールが嵌った瞬間、電車は彼を屋根に乗せたまま走り出します。カーブで放り出されるハロルド、しかし幸い落ちたのは自動車の上でした。びっくりしている運転手にかまわずアクセルをがっと踏みつけます。たちまち加速する車。しかし白バイに止められた。するとハロルド、今度は白バイ奪って走り出すのです。この白バイも道路工事の現場に突っ込んでしまって、次に乗り換えたのはジャリ運搬用の馬車。しかし走らせているうちに車輪が外れて転倒しそうになります。ハロルドはなおもめげず、馬に乗り換えてマリーの結婚式が行われている屋敷を目指したのです。

 ついに到着、ガラス窓を破って中に入り込むハロルド。今まさに結婚式は神父さんが二人の結婚成立を宣言しようとしているところ。ハロルドはいきなりその場に飛び込んで「待てい、この重婚野郎、きさまのような口クサにはマリーは渡さんぞ」と叫んで彼女を引っさらってしまったのであります。そのまま彼女をひっかついで屋敷を脱出。そして抱き合う二人でありました。マリーは「ねえ、あの時、本が出たら私に頼みたいことがあるっていってたけど」ハロルドは世にもうれしそうな顔で「決まっているじゃないか、プロポーズさ」「マー、うれしい」ということでキス。これで映画は終わります。

いやもう、トンデモ本の種はつきまじ。80年以上も前にすでに存在していたということを示す貴重な?映画ですな。

モノクロ・スタンダード、サイレント。画質はいまひとつ。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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