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2006年6月30日 (金)

『ロイドの大勝利』(『The Cat's-Paw』 1934年)

 

『ロイドの大勝利』(『The Cat's-Paw』 1934年)

 中国から故郷サンフランシスコに帰省した青年がひょんなことから市長候補に祭り上げられてという物語。フランク・キャプラの『スミス都へ行く』を思い起こさせるストーリーですが、じつはこちらの方が7年も早かった。ラストでロイドが大演説ということにはなりませんが、こっちも結構面白いですよ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

時は1914年、アメリカはサンフランシスコからはるか中国のシェン・トゥに旅立とうという宣教師の一家。ジュリアン・コブ(サミュエル・S・ハインズ)とその妻(ネル・クレイグ)、そして息子のエゼキエルであります。牛車を使った長い旅のすえにようやく到着したシェン・トゥで地元住民の大歓迎を受ける一家。エゼキエルはキーン・ラング(フレドリック・バート)からリン・ポー(ええと、凌波と書くのかな)という哲学者の本を貰います。この本にはためになりそうなリン・ポー語録が一杯入っていて、エゼキエルはこれで中国語の勉強をするのでした。

 そうしてあっという間に20年が過ぎ去って少年だったエゼキエルも立派に成人してロイドになるという・・・。そしてアメリカに嫁探しの旅にでることになったのでした。滞在先は生まれ故郷のサンフランシスコ、父の師であるジュニアス・P・ウィザーズ(チャールス・セロン)の教会。しかし何しろ彼はこの20年間田舎町も田舎町、兵隊の位でいえば田舎の将軍様みたいなシェン・トゥから出たことがなかったのです。それがいきなりアメリカのサンフランシスコへ。心配したキーンは彼に箱一杯の金貨を持たせたのであります。

 さて、場面が変わっていきなりサンフランシスコに到着しているのが映画の良いところ(笑)。ロイド、教会の場所を探して道行く人々に尋ねます。しかしなんてったって、20年もシェン・トゥにいたんです。だからだいぶ英語が怪しくなっていて「あの、私、ウィザースの教会へ行こうと欲しております。道案内の情報をください」てなもんでやたらに馬鹿丁寧。それに対して帰ってきた答えが「ああ、教会ね、そりゃ、あっこの角をぴゅーっと曲がって三番目で左に行って右見たらあらあね」ロイド、これを理解できずに目を白黒。結局タクシーを使って教会へ行くことになりました。

 しかし教会でも彼のピンチは続きます。ストックポートの市長選に立候補していたウィザーズはその対策に夢中。良き政府党党首のジェイク・メイヨ(ジョージ・バービアー)と「ねえ、お願いですから、私を市長にしてくださいよう、私の夢なんですよう、市長」なんて話し合いをしております。そこに面会を申し込んだロイド、「あのチャイナから来たんですけど」「なに、陶器(ボーンチャイナ)を売りに来た、今忙しいから帰れ!」と相手にされないのです。がっかりして歩道に座り込むロイド。チャイナタウンの知り合いのところへ行こうかなと思い悩んでおります。

そんな彼を目に留めたのが教会から丁度出てきたメイヨ。彼は困っているロイドにヌーン夫人(ガートルード・ホフマン)の下宿屋を紹介してあげたのでした。この親切に?感激したロイド、「あなたは信頼に値する人だと思います。私が持ってきた貨幣を預かって貰いたいと思います」メイヨは彼のいう貨幣を見てびっくり。ウワー、全部金貨だ、すごい金だ!そして自己紹介をしてタクシーに乗り込んだロイドに「君、いっぺん、良き政府党のホールに来なさい」と声を掛けたのであります。

 ロイドを見送ったメイヨは「今時あんな青年がいるんだ」と感心しきり。もちろん、凄くお人よしだという意味ですけどね(笑)。

 ここで大事件が発生。選挙を二週間後に控えていたウィザーズが急死してしまったのです。「わあ、こりゃ大変だ」と大騒ぎの良き政府党本部。実はこの選挙、現職市長のモーガン(アラン・ディンハート)との馴れ合いで、彼を再選させて、その見返りとして援助を貰おうという計画があったのです。馴れ合いといっても対立候補が死んじゃったら選挙にならない。ということは援助もパー。メイヨたちは早急に次の候補者を選ばなければならない羽目に。そこへのこのこやってきたのがロイドですよ。メイヨは彼の真摯なる人柄に感動していたので(笑)「よっしゃ、こいつにしよう」そしてスタッフたちと、「なに、君は宣教師の息子なのか」「そうだ、宣教師といえば改革、この男は腐敗しきったストックポートの政治を改革するためにはるばる中国から戻ってきた、このフレコミはどうっすかね」「いいね、それ、うん」と大盛り上がり。メイヨは何のことやら分からずぼんやりとしているロイドに「後から下宿屋に電話するわ」

 さて下宿屋に戻ったロイドは落ち着きません。何しろ電話を使うのは20年ぶりなのです。彼はヌーン夫人に「私は電話装置によるコミュニケーションを予期しています。電話装置はどこに設置してあるのでしょうか?」「食堂だよ!」その食堂で出会ったのが本作のヒロイン、ペット嬢(ユナ・マーケル)であります。この人、本名がぺトウニア・プラッティというのですが、とにかくぺトウニアという名前が大嫌い。「あたしのことをぺトゥニアって呼んだら張り倒すからね」などとなかなかブッソウなことを言うのです。

 その後電話があってシティホールへ呼び出されたロイド。中国人のお友達、ティン・ウアン(E・アリン・ワーレン)とお茶を飲んでいて記者会見をすっぽかすというアクシデントもあったのですが、なんとか立候補を承諾します。しかし、その理由というのが振るっている。「私、米国において将来の結婚相手を見つけようと考慮しております。ゆえにあまり時間がとれません。選挙に勝たないという条件付で承諾します」すると、みんな一斉に「勝つわきゃない、勝わきゃない!」これにてロイドの出馬決定。

 そして改めて行われた記者会見。この会場の売店で働いていたのがペット嬢。「ふーん、あの人、ええっ、市長候補なの」とびっくり。ロイドはどうもペット嬢が気になっているのか記者会見をいい加減にすませて彼女と話しをします。そんなロイドにペット嬢は「あなた、いつも同じ服をきているわね」という手厳しいお言葉。これに奮起した(笑)ロイド、燕尾服に山高帽というりゅうとした身なりを拵えて彼女を夕食に誘うのでした。それがもう豪華なナイトクラブという・・・。

偶然居合わせたメイヨたちは「あ、あいつはロイド、一体こんなところで何やっているんだ。改革の人、宣教師の息子というイメージが台無しじゃないか」さらにはモーガンまでいて「あいつ、俺達のことを探りに来たのか」そんなこととは梅雨知らず、暢気に自分の女性の理想像をペットに語るロイドであります。

 「米国人女性には個性というものがありません。皆、同じ格好、同じメーキャップ、見分けがつかないのです」ふーんと面白くなさそうに聞いているペット。ロイドはさらに「それに女性本来の役割を失念しているように思えます。男性あっての女性、これが世の理というものです。私、米国へ将来の伴侶を探しにきたのですが、正直言って大変失望しております」ここでモーガン市長のお仲間の女性歌手が歌を歌い始めます。その歌詞と言うのが「私はあなたが全て、あなたの言うことならどんなことでも従うわ~」ペットは皮肉な口調に「ねえ、あの人だったらぴったりじゃない」ロイドは「はい、そうです、彼女の要旨も好みです」ペットちょっとムカつきますね(笑)。

 女性歌手、実はモーガンに関係がある人でして、え、どんな関係かって、そんなこと私の口から言わせないで下さいよ(笑)。彼女はハロルドを客席からステージへ誘い出します。ロイドの袖と歌手の衣装がひっかかってぱらりぱらり衣装が落ちていってしまいにはビキニ同然となるというちょっとエッチなギャグあり。ロイドは調子に乗って歌手やバックダンサーたちと踊りだします。ナイトクラブの方も店内に「彼が市長候補のロイド氏であります」なんてマイクで知らせちゃう。「ああ、こりゃもう駄目だ」と頭を抱えるメイヨたちであります。

 モーガンも不機嫌に。何しろ客席でロイドが大うけしているのですから。帰ろうとしたモーガン、しつこく新聞を買えと迫ってきた売り子の少年を「てめえ、あっちへいけ」と殴り飛ばしてしまいます。これを見て義憤に駆られたロイド、モーガンの鼻面にパンチ一閃!なんてことをしてしまったのだと呆然とするロイドですが、これがさらに彼の人気を煽ってついに市長に当選してしまいましたとさ(笑)。

 ペットを始めとする下宿屋の人たちは大喜び。ペットも彼を祝福するのですが、ロイドは浮かない顔をしています。「任期が二年もあります。その間、私は当地に滞在することが不可欠になります。これは不可能です」要するに早く嫁見つけて帰りたいってことね(笑)。これで怒ったのがペット。「なによ、あなた、改革する、改革するって言っておいて戦わずに逃げるのね、なんて腰抜けなのよ」これでロイド逆に奮起してしまうという…。どやどやと押しかけてきたメイヨやモーガンたちは「これはアヤマチなのだ」と彼を言いくるめて辞職させようとしたのですが、ロイドは聞き入れません。それどころか、この腐敗した町の政治をたてなおすことのできるのは私だけだと張り切るのであります。

 そして下宿屋のところに集まってきた大群衆、あ、なぜかブラスバンドまでいて音楽演奏しているぞ。

群集に向かって演説しようとするロイド。後ろからメイヨが「ほら、こういうんだ、親愛なる市民の皆さん、正義とアメリカンウェイのためにこの身を捧げます。124時間片時の休みもなく粉骨砕身で働く所存であります」ロイド、なんとか、「親愛なる市民の皆さん」までは言えたのですが、ここでつっかえちゃった。「市民の皆さん・・・、とにかくベストを尽くします」後ろでメイヨががっかり。「もう演説の一つもできないのかね」

 演説は駄目だったけれどもこれから始まる市長ロイドの大進撃。もうぼんぼん不正をしている奴や賄賂を貰っている奴の首を切っていきます。しまいには警察のおえらいさんまで不当な利益を得ているということで首。「わあ、なんてことをするんだ」と大慌てのメイヨと良き政府党の党員たち。「ロイドはどこにいるのだ!」と叫びますが、当のロイドはティエン・ワンと食事中。「政治と言うものはどうも困難なものです」「いやいや、ロイド君。簡単なことだ、真実を為せばいいのだ」などという会話をしております。そこにティエンの部下がやってきて、「なに、フゥ・ウォンの宝剣を手に入れたとナ!」これを手に入れるのがティエンの長年の夢だったのです。さっそく地下室に行って運び込まれた宝剣をうっとりと見つめるティエンとロイドであります。

 ここで珍客。モーガンの子分、ストロッチィ(ナット・ペンドルトン)が現れたのです。彼は地下室へどかどか押しかけていって「やい、ロイド、モーガンさんからのメッセージだ。とっとと市長やめて中国に帰りナ」と散々にロイドを脅すのですが、ティエンの部下の大男が宝剣研ぎだしたのを見て急に弱気になっちゃった(笑)。彼は逃げ腰になって「ロイド、と、とにかくモーガンさんのいうとおりにするのだ」はい、逃げていってしまいましたとさ。

 オフィスに戻ったロイドですが、こっちはこっちでメイヨが待っていた。いきなり「なんで警察庁長官を罷免したの」「彼は不正な手段で不正な利益を得ていたからです」「それにしたって即首はないだろ、空気を読めよ、物事にはシステムってものがあるんだ。何もかもぶっ壊してどうする!」もうメイヨはついていけない風情。しかしロイドは彼に「あなたは良い人だ。私の父に似ています。彼は中国のために命を捧げて働いています、あなたもそうです」このあからさまなヨイショに思わず相好を崩すメイヨ(笑)。するとロイドは「ということで、あなたに次の警察庁長官になってもらおうと思うのです」「ヒー、そりゃ勘弁してくれ」悲鳴を上げるメイヨでした。

 さて、我慢の限界に達したモーガン、彼は自分の持っている会社に市の道路清掃を請け負う契約をさせようとします。モーガンは「これがロイドの最後のチャンスだ。わしの会社をはねるようなことがあれば、その時は・・・」ロイド、あっさり跳ねてしまいます。そりゃ、そうだ、モーガンの会社と他の会社じゃ請負金額が20万ドルも違うんだもの(笑)。激怒したモーガン、ロイドに対して最後の手段を発動させるのです。

 ペットとデートして帰ってきたロイドをあの女性歌手が訪ねてきました。彼女は暴漢に追われているのです、と言って彼の部屋に上がりこみます。すると本当に暴漢が襲ってきた。ロイドに見つかってあっさりと逃げる暴漢ですが、女性歌手は「あの人たち、私の手紙を狙ってますの。お願いですからこの手紙をあなたの貸金庫に隠してくださらない」とロイドに手紙を渡すのです。どう考えたって怪しいのですが、ロイド、「いいですよ、承知しました」あっさり手紙を受け取ってしまいます。

 女は帰り際にロイドにキスをします。これを偶然見ちゃったペットは怒り心頭。「良かったわね、お休みなさい」自分の部屋に入ってドアに鍵を掛けてしまったのでした。慌てるロイド、そこで、「はて、僕は何を慌てているのかしら。ペットが怒る、僕が慌てる、そうだ、僕は彼女を愛しているんだ。だから彼女が怒ると心穏やかでいられなくなるんだ」どうにも周りくどい気づき方(笑)。ロイドはドア越しに「ペット、僕と結婚してください」とプロポーズ。慌てたペット、ドアを開けるなり彼の頬桁張り飛ばして「馬鹿、早く寝なさいよ」

 そしてモーガンたちによって流布されたロイドの不正疑惑。「ロイドは賄賂を貰って自分と関係のある会社に道路清掃の契約をさせた!」メイヨはまさかあの男に限ってそんなことはあるまいと安心しきっておりまして、モーガン側の地方検事によって提案された貸金庫の内容公開をあっさり引き受けてしまったのです。「そんなところ調べたってロイドの疑惑がまったくのウソ八百であることが分かるだけさ。何なら新聞記者も連れてこいよ」自信満々で金庫開けたら出てきたんですねえ、ロイドがあの女から預かった手紙が。なんとその中には清掃会社の株券が1.500株。まあ、不正をする奴がそんなに分かりやすいところに隠して置く訳がないと思うけれども(笑)とにかくロイドはモーガンの罠に掛かってしまったのです。

 当然ながらロイドは良き政府党から追放。明日には市長を辞任しなければならないということになってしまいます。がっかりしたロイドは売店で働いているペットのところへ行って「僕、あなたに結婚申し込んだけど、撤回します。明日には市長をやめなければならないんだ。党も首になって一人になっちゃったし。とても結婚なんかできません」あ、言い忘れていましたが、ロイド、さすがに英語に慣れたと見えまして映画始まりの頃とは別人のように砕けた英語を喋っております(笑)。「まあ」眉をひそめるペット。「それは残念ね。それに一人ぼっちになったってまるで独裁者じゃない」この言葉になぜか反応するロイド、「独裁者?そうだ、僕は後1日、24時間は市長でいられるんだ、ヨーシ」彼は何事かを考え付いたのです。

 そのアイデアとは町中の悪党どもを一斉に検挙するということでした。「証拠もなしに捕まえるのかい、そんな馬鹿なことができるか」仰天するメイヨと警察副長官。「できなくったってするの、何、モーガンが黙っちゃいない、よろしい、彼も逮捕してしまいましょう」「ええっ」さらに驚くメイヨたち。「モーガン捕まえるったって20分と牢屋に入れておけないぞ」「じゃあ、いいよ、僕が適当な場所みつくろうから」そしてこんなことを言い出したロイド。「フゥ・ウォンの話を知っていますか。彼は悪党どもによって陥れられ処刑されることになったのですが、その寸前に逆に悪党どもを捕まえてみーんな首を切ってしまったのです」何を言い出すんだといぶかるメイヨと副長官。「ひょっとしたらこいつ、捕まえたのを片っ端から首切っちゃうつもりじゃないか」

 さて、午後7時を期して悪党撲滅作戦の始まり、始まり。街中でありとあらゆる悪党が警官に連行されてしまいます。もちろん、モーガンも、その子分、ストロッチィも例外ではありません。そして彼らはロイドが見繕った適当な場所、ティエン・ウォンの店の地下室へ押し込まれるのです。一体何が始まるのだと戦々恐々の悪党ども。メイヨも副長官も心配そう。なぜかあのティエンの部下の大男がフゥ・ウォンの宝剣をがりがりきーきー研いでおります。そしてそんな中、ロイドが遂に口を開いた!「あー、これから皆さんに悪事を白状してもらいます。白状しない人は首を跳ねますのでヨロシク!」「ヨロシクじゃないだろう」「馬鹿なことを考えるな」驚いて抗議するメイヨと副長官ですが、縛られてしまいました。「いいですか、白状して刑務所に行くか、口をつぐんで地獄へ行くか、究極の選択です。さあ、ファイナルアンサーまで二分!」

 まあ、悪党どもはみんなこれが脅しだと思っているのです。中にはへへへと薄ら笑を浮かべているのもいます。モーガンはあくびなんかして余裕綽々。そして二分が過ぎました。ロイドは無造作に一人の悪党を指差して「どうですか、白状しますか」「馬鹿いうんじゃねえよ」「じゃあ、首切っちゃいます」その悪党はあっという間に連行されて、首をあの宝剣で跳ねられてしまいました。「ギャーッ」響き渡る悲鳴。本気だったのか、腰を抜かす悪党ども。メイヨは「ああ、ついにやった」がくりと身を落とします。そして葬送行進曲と共に担架で運ばれてくる首なし死体。みんなひゃーと情けない悲鳴を上げるのでした。

 もちろん、これは仕掛けがありまして、担架の中はがらんどう。これに頭をぽくりと殴って気絶させた悪漢をいれ、首だけ模型の体の上に出していたのです。芸の細かいことに首の周りにはケチャップで血を演出しております。

 しかしそうとは知らない悪漢どもはもう泣かんばかり。次に連行されたのはあのモーガンでした。また悲鳴が上がって運ばれてくる首なし死体。これでついにストロッチィが降参です。「分かった、分かった、何でも白状するから殺さないでー。あの株券もモーガンがやったの、みんな、みんなモーガンのたくらみなの」メイヨ、これを聞いて大喜び。「よーし、ロイド、その証言を紙に書かせてサインさせるんだ!」これでロイドの疑惑は解消です。そのほかの悪党もみーんな白状してストックポートの未解決事件がいっぺんに解決しちゃったのです。

 ラジオはニュースでこのロイドの偉業をたたえます。聞いていたペット、飛び上がって「ロイド、ついにやったわね!」そこにやってきたのがロイド。「あのペット、僕は君にプロポーズして一旦それを断ったけど、改めて言うよ、僕と結婚してください」ペット彼に抱きついて「じゃあ、今度は撤回できないようにプロポーズの言葉を紙に書いてサインしてね!」

 二人は結婚、そして中国へ帰るという『ロイド大勝利』のおしまいでございます。

このラスト、アメリカへ残って市長として仕事するというロイドをペットが説得するのですが、いいのか、ペット、中国行ったら後悔するんじゃないの(笑)。

 モノクロ・スタンダード、モノラル音声。英語字幕付。この作品から画質がぐっと良くなりました。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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『猛進ロイド』(『Girl Shy』 1924年)

 

『猛進ロイド』(『Girl Shy』 1924年)

 ハロルド・ロイドがお金持ちのお嬢さんと恋をした!!身分違いだ、相手には婚約者もいる、僕にはお金がない、色々と思い悩むロイド。この恋の顛末果たしてどうなりますやら。どうぞ、ごらん下さいませ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 一日に三つのことしか起こらないリトルベンドの町、この三つのこととは午前・午後・夜で、つまりはたいくつな田舎町。ここに一人の男、ハロルド・ロイドが住んでおりました。彼は女性がてんで駄目で、女性がそばに来るだけでアガってどもってしまうようなタイプ。ちょっとイタイですね(笑)。彼は叔父さんの営む仕立て屋さんで働いているのですが、もう女性のお客さんが来るだけでどぎまぎ。「ねえ、この破れたストッキングを縫ってくださらない」いきなりぬっと足を突き出す女性客。ハロルド、針で縫おうとするのですが、手がぶるぶる震えて女性客の足にぐさっ。「ギャー、何すんのよ、今ブスって言ったわよ!」なんて怒られてしまいます。次に来たのは「主人のズボンを取りにきましたの」という御夫人。またもハロルド、上がってしまい「あの、ご、ご、ご、ご、主人のズ、ズボン、ですか、それは、あの、あの、あっあっあっ」見かねた叔父さんがこっそりぴいと笛を吹くと吃音が収まるというギャグ。

 そんなハロルドに叔父さんが声を掛けます。「ハロルドや、お前は今晩の町のダンスパーティにはいかないのかい」「駄目だよ、本を今晩中に仕上げなくちゃならない。明日出版社に持っていくから」本当はハロルド、ダンスパーティに行きたいのです。でも女性が駄目だから行けないんです。ますますイタイですね。

 そんなダンスパーティの誘惑を振り切って自宅に戻ったハロルド、さっき言っていたの執筆に取り組みます。この本のタイトルはなんと「恋愛の秘訣」。おいおい、ハロルド、君がそんな本架いちゃいけないでしょ。しかも巻頭言には「最近の若い人は女性について何にも知らないのでアル。そこで我輩が恋愛の実体験を踏まえて女性との恋愛必勝法を教授するものでアル」だって。

 ここからハロルド・ロイドのタイプ別女性攻略法の始まり。まずは「高ビー女」、こういう高慢ちきな女は男に尽くされることに慣れているからその逆を行くべし。部屋に入ったらいきなりコートや帽子を女に投げつけて「これ、片付けといてくれよ」この野生的な荒々しさに高ビー女はもうあなたにメロメロとなるのでアル。そんなに上手くいくものかと思いますが(笑)。

次に「ゴスロリ女」こういうファンタジーの世界で生きている女にはやっぱり荒々しく接するべし。部屋に入るなりいきなりキス、そしてへんなアクセサリーや部屋に飾られている小物をみーんなぽんぽん捨てて、お尻ぺんぺん。これでゴスロリ女もあなたにメロメロとなるのでアル。なんか荒々しくやれ、ばっかりですな(笑)。

 さて、ここで場面が変わって大金持ちバッキンガムさんのお屋敷。この家の娘、マリー・バッキンガム(ジョビナ・ラルストン)に求婚すべく訪れていたのがこれまた金持ちのロナルド・デ・ヴォア(カールトン・グリフィン)、しかしマリーは不在。お母さんによると今車で帰宅中だそうな。「はっはっは、愛するマリーのためだ、すこしばかり待つぐらいなんでもないですよ」と鷹揚に笑うロナルドでしたが・・・。マリーの車はリトルベンドの町で故障、立ち往生していたのです。修理に来たおっさんは「お嬢さん、駄目ですな、こりゃ。列車に乗り換えたほうがいいですよ」

 マリーはペットの犬を連れてリトルベンドの駅へ。そこで列車に乗ろうとしたのですが、車掌から「お嬢さん、犬は駄目っすよ」と言われて途方にくれてしまいます。仕方ないというのでマフラーで犬をくるんで隠し強引に列車に乗り込もうとしたのですが、きゃん、嫌がった犬が走り出した列車から飛び降りちゃった。「あー」と悲痛な声を上げるマリー。そこで現れたのが偶然、出版社に原稿を届けにいくために同じ列車に乗り込んでいたハロルドですよ。彼は最後尾までだだだっと掛けていくと、お客さんの杖を借りて見事犬を救いあげたのです。「まあ、ありがとう、本当に助かりましたわ」と大喜びのマリー。これで二人は仲良くなってしまう、いわゆるボーイ・ミーツ・ガールですな。

 この後、同じ席に座ることになったハロルドとマリー、検札に来た車掌から犬を隠すために大奮闘。隣のおばさんのバックをひそかに借りて(笑)中の衣服を出して犬を押し込めます。これで安心と思いきや、所詮は犬畜生、中でわんわん吠えるのです。困ってしまったハロルド、自分で犬の鳴き声を真似て「わんわんわん」犬はごまかせたけど、ちょっとヘンな人だと思われてしまいました。周囲の乗客は気味悪そうにハロルドを見て「ほら、あれだから、暖かくなってくると」などとささやき交わしております。

ここでマリーが犬用のビスケットをハロルドに渡して「これを食べさせれば吠えなくなるわ」ハロルド、ビスケットを手にとるのですが、また悪いタイミングで車掌がやってきた。ハロルド、あわてて犬のビスケットとぱくり。「いや、なかなか、これも乙なもんですよ」だって。ますます周囲から気味悪がられるハロルドです。

 こんなことやっているうちにハロルドとマリーはますます仲良くなっていきます。マリーはハロルドが抱えていた原稿の束見つけて「えー、何々、それ、え、原稿、きゃー、あなた作家さんなの」「いや、これはね、私の恋愛論の本でね、私の恋愛体験を元に書いたのです」そのままずーっとグランドシティに到着するまで本についてお話。別れ際、マリーは「本、出版されるといいわね」といいつつ、タクシーに乗り込んであら、窓から身を乗り出してハロルドのほっぺにチュっだって。「初めてのチュー」に舞い上がったハロルド、ふわふわしながら出版社に行ってふわふわしながら原稿をわたし、ろくすっぽ説明もしないままふわふわとリトルベンドの町への帰途についたのであります。

 原稿を受け取った出版社の社員、社長のロジャー・ソンビーに「あのなんか犬のビスケットの箱持った男が原稿置いていきましたよ」ロジャーは当然ながらたいした関心を示さず、「あ、そこに置いといて」だって。

 さて、それからのハロルド、マリーの面影が脳裏から離れません。せっかくの日曜日、ボートで釣りをしていても水面にマリーの顔がぼんやり浮かんでくる始末。そのマリーはあの金持ち男、ロナルド・デ・ヴォアとドライブ中。ロナルドはいきなり懐から婚約指輪を取り出して「ええやろ、させんかい」じゃなかった(笑)、「僕と結婚してください」驚いたマリーは車の運転を誤り道路わきの溝に突っ込ませてしまいます。これじゃレッカー車がいるなということでロナルドが町へ行くことに。その間、マリーはあたりを散策するのですが、ここで偶然ハロルドに再会すると。こういう御都合主義は悪くはありません。

ハロルドと再会したマリー、一方ロナルドも町で都合の悪い女性と会ってしまいました。なんと彼女はロナルドの妻。彼は元妻と正式に離婚することなくマリーにプロポーズしていたのです。悪いやっちゃなあ。

 ハロルドとマリー、「まあ、あなたはハロルド」「君はマリー」てなもんでまたまた仲良くお話するわけですよ。ロイドが座った石がなぜか海亀で(笑)そのまま水に入ってしまいズボンがびしょぬれになったり、足になぜか捨てられていた網がからみついてなかなか取れなくなったりという細かいギャグを挟んでついにロイド「本が売れて僕が金持ちになったら、君にお願いしたいことがあるんだ」と言い出した。ついにプロポーズか。この二人の様子を偶然通りかかった叔父さんが見つけてびっくり仰天。そしてついにあの甥にガールフレンドができたというので大喜び。傍らにいた男を捕まえて「見てくだされ、わたしの甥についにガールフレンドができたのですじゃ!」ところがこの男と言うのがレッカー車の手配を終えて帰ってきたロナルドだったからたまらない。

 「てめー、俺の女に何をする」という金持ちらしからぬ下品な叫びとともにハロルドに殴りかかったのであります。ハロルド、これをひょいと交わして逆に痛烈なるパンチをカウンターでお見舞い。ロナルド、伸びてしまいました。しかし、ここでマリーが「彼はわたしの友達なの」と言い出したからハロルドがっくり。ロナルドを抱き起こして車に乗り込むマリーを呆けた目で見つめております。そんなハロルドを悲しげにみたマリー、車をスタートさせたのでありました。

 さて、出版社に預けたままになっていたハロルドの「恋愛の秘訣」がロジャー・ソンビーの目に止まったのです。彼は原稿をふむふむ読むと「ぷっ」と噴出して「なんじゃ、こりゃ」部下に手渡して、「これを会社の女の子たちに読ませてみなさい」さあ、タイピストの女性たちがこの原稿を読んでこれまた大笑い。中には「アハハハハ、こんな愉快なことを書いた人に会ってみたいわ」と叫ぶものもいる始末。ここにのこのこ現れたのがハロルドです。彼はロジャー・ソンビーに面会して「私の原稿はいつ本になるのですか」と聞くのですが、「バカ、あんなものが出版できるか、おととい、来い!」さらに女性達から大笑いされたのでロイド、すっかり意気消沈してしまうのです。

 とぼとぼと出版社から出てきたハロルド。その彼を見つけて駆け寄ってきたのがマリー。彼女は出版社の前にいれば彼に会えると張っていたのです。一瞬喜んだハロルドですが、しかし、彼は「駄目だ、本が出版されなきゃ、僕は貧乏な仕立て屋の見習い店員のままだ。そんなんじゃ、マリーと結婚できる筈がない」そうして彼はうれしそうに話しかけてくるマリーに「列車で仲良く話したのは本の執筆のための実験だったんだよ。君ったらそんなことも分からなかったのかい」がーん、なんて酷いことを言うの。立ち尽くすマリー。ハロルドも内心大泣きしながら彼女を放って立ち去ります。これで二人の恋は終わったのね、マリーはついにドナルドとの結婚を決意したのでありました。

 結婚式は来週の木曜の決まりました。一方ハロルドは元通り仕立て屋の仕事に戻って鬱々とした毎日を過ごすのみ。

 ここで出版社に場面は戻ってある編集者がロジャー・ソンビーに「あの本を出版しましょう」と持ちかけたのです。「バカ言うな、あんなしょうもない本が出せるか」「いやいや、社の女の子に大うけでしたよ。あんなに笑える本もないって大評判でしたよ。だからタイトル変えてお笑いの本として出版するんです」「そうか、これはあれだな、著者の知識の欠如や妄想により、著者の意図とは異なる楽しみ方ができるようになってしまったという、所謂トンデモ本だな」「そうです、そうです、さしずめ、タイトルは「トンデモ恋愛論」にしましょう」「よし、早速あの若者に前払い金として3,000ドルの小切手送るのだ」はい、とんとん拍子に出版決まっちゃった(笑)。

 さあ、小切手が届けられた。しかしハロルド、出版社からの出版お断りの手紙だと思って破り捨ててしまいます。あまつさえ、このきれっぱしを使っておじさんがパイプに火をつけた。おじさん、きれっぱしが小切手の一部であることに気づいて大慌て。ハロルドと二人できれっぱしを拾い集めて元どおりに組み合わせてみますと「貴殿の「恋愛の秘訣」を出版します。ただし、「トンデモ恋愛論」というタイトルに改題してお笑い本としての出版です。同封の小切手は前渡金です。どうか、よろしく」ハロルドは最初、「ウウーム、許せない、僕の本をお笑い本として出すなんて」と憤ったのですが、すぐにマリーのことを思い出し、「この金があれば彼女と結婚できる。お笑いだろうとなんだろうとかまうものか」恋愛というものは人を極めて現実的にするものでありますな。

 さあ、マリーに会いにいこうとしたのですが、ハロルド、マリーとロナルドの結婚記事を見て愕然。「あー、間に合わなかった!」しかし、ここで登場したのがロナルドがリトルベンドの町にレッカー車を探しに来たときに会った元妻です。彼女は頼んでいた洋服を取りにきたのですが、マリーとロナルドの記事を見るなり、「ンマー、なんてこと、ロナルドはまだ私と結婚しているのよ、そんなの重婚じゃないの」事情を知ったハロルド、「結婚を止めなくちゃ」と走り出したのです。待ってろ、マリー、僕が行くからな。

 ハロルドの猛進が始まりました。まず、列車に乗ろうとしたのですが、乗り遅れてだめ。後を追っかけて走るのですが、所詮人間が列車に叶うすべもなし、引き離されてしまいます。じゃあ、ヒッチハイクだってんで道路で車を止めようとするのですが誰も止まってくれません。一計を案じたロイド、紙袋を膨らませてパン!パンクしたと思った運転手が止めた車に乗り込みます。「お願いだから乗っけて頂戴」車は走り出しますが、すぐに曲がってガレージに入ってしまうというオチ。

 ハロルド、今度は道端に車を止めてお弁当食べているアベックの車を奪い暴走します。でも道路が工事中、迂回路を通るとそれがすごい凸凹道で、車ががったんがったんと跳ね回ります。ようやくマトモな道に戻ってもやっぱり車はがったんがったん。ハロルド、ついにこの車を捨ててしまいました。次に乗り込んだのが花に酒瓶を隠して運ぼうとしていた男の車。これを狙っていたギャング達が後を追いかけてきて、もう大変。ギャング達は拳銃を乱射。

こらたまらんとハロルドは狭い農道に車を乗り入れます。しかしあまりに狭いもので対向車とすれ違うことができません。困り果てたハロルド、相手の運転手に交渉して車を交換しようということになります。しかし、交換した車がひどいボロ。エンジンがとまってしまったので始動用のクランク差し込んでぐるぐる回すのですが、うんともすんとも言いません。それどころかうっかり車体を押しちゃってがけ下に落としちゃった。車はばらばらまた走り出すハロルドです。

 ギャングたちがまた追ってきた。ハロルドは今度は馬に飛び乗ります。どんどん飛ばすのですが、あまりにムチを当てすぎたので馬から放り出されてしまいました。次に乗り込んだのが消防車。しかしこちらも簡単に振り落とされてしまいます。ハロルドはもうやけのやんぱち。路面電車を電車ジャックして爆走します。線路上の車はどけどけ、どきやがれ、ハロルド様のお通りだ。路面電車はついに霊柩車と衝突、ごろんと転がりでた棺桶の蓋がぱかっと開いて、白装束の死体が起き上がって「こら、何をするんだ、アブナイだろ!」

 このショックで電線と電車を繋ぐポールが外れてしまいました。屋根に上ってポールを修理するハロルド。はい、お約束、ポールが嵌った瞬間、電車は彼を屋根に乗せたまま走り出します。カーブで放り出されるハロルド、しかし幸い落ちたのは自動車の上でした。びっくりしている運転手にかまわずアクセルをがっと踏みつけます。たちまち加速する車。しかし白バイに止められた。するとハロルド、今度は白バイ奪って走り出すのです。この白バイも道路工事の現場に突っ込んでしまって、次に乗り換えたのはジャリ運搬用の馬車。しかし走らせているうちに車輪が外れて転倒しそうになります。ハロルドはなおもめげず、馬に乗り換えてマリーの結婚式が行われている屋敷を目指したのです。

 ついに到着、ガラス窓を破って中に入り込むハロルド。今まさに結婚式は神父さんが二人の結婚成立を宣言しようとしているところ。ハロルドはいきなりその場に飛び込んで「待てい、この重婚野郎、きさまのような口クサにはマリーは渡さんぞ」と叫んで彼女を引っさらってしまったのであります。そのまま彼女をひっかついで屋敷を脱出。そして抱き合う二人でありました。マリーは「ねえ、あの時、本が出たら私に頼みたいことがあるっていってたけど」ハロルドは世にもうれしそうな顔で「決まっているじゃないか、プロポーズさ」「マー、うれしい」ということでキス。これで映画は終わります。

いやもう、トンデモ本の種はつきまじ。80年以上も前にすでに存在していたということを示す貴重な?映画ですな。

モノクロ・スタンダード、サイレント。画質はいまひとつ。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
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2006年6月29日 (木)

『ロイドの用心無用』(『Safety Last!』 1923年』)

 

『ロイドの用心無用』(『Safety Last!』 1923年』)

 チャールズ・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド、この三人を三大喜劇王と称します。このハロルド・ロイドの作品でもっともスリリングかつ危険かつピカレスクかつオマージュと言われる(ピカレスクのあたりから意味が分からなくなる)のがこの『ロイドの用心無用』、さあ、はじまり、はじまり。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

冒頭今しも絞首刑に処されようとしているロイド。彼にしがみつくようにして別れを惜しんでいるのは母と彼の婚約者ミルドレッド・ディヴィスであります。時間が来て処刑台につれていかれるロイドと思いきや、実はこれはグレートベンド町の駅。あの処刑台に見えていたのは列車への連絡塔だったというギャグ。ロイドはここから列車に乗ってニューヨークへ、そして一旗上げてミルドレッドと結婚するという夢を抱いていたのです。「恋人よ、僕は旅立つ、東へと向かう列車で、華やいだ街で、君への贈り物、探すつもりだ」とどこかで聞いたようなことを言うロイド。ミルドレッドも「いいえ、あなた、欲しいものはないのよ。ただ都会の絵の具に染まらないで帰って」てなことを言いますな。

 ロイドは列車に飛び乗り一路ニューヨークへ。

 ロイドはニューヨークでビル・ストローザーという男とルームメイトになります。しかし二人の懐はいつもすかんぴん。家賃の支払いも遅れがち。そんな中息せき切って戻ってきたロイド、ビルに素敵なアクセサリーを見せるのでした。「これ、故郷の彼女に買ってきたんだ」ビルは「でもこれチェーンついてないじゃん、ついてないとなんかカッコ悪いよ」「チェーンは後回しなの。とにかく送って彼女を安心させてやるの」その時ビルはレコードプレイヤーがなくなっているのに気がつきます。するとロイドがすまなそうに懐から取り出したのが質札。「レコードープレイヤー 12ドル」と書いてあります。「なんだ、質入しちゃったのかい、実際お前はしょうがないねえ」と呆れるビル。ロイドは彼が持っているレコードを見て「それをあったらチェーンもつけられたのになあ」「おい、よせやい!」この時とんとんとノックの音。大家さんがやってきたのです。とたんにコートを着て洋服掛けにぶら下がる二人。大家さん部屋に入ってきますが、洋服掛けの二人には気がつかず「モー、いつもいないんだから」とボヤいて帰っていくという・・・。

 ロイドからのプレゼントとアクセサリーを受け取ったミルドレッド。手紙には「上手く行っているからもうちょっと待っててね」と書いてある。「ああ、ロイド、私、待ちきれないわ、早く会いたい!」目をハートマークにするミルドレッドでありました。

 ロイド、洋服屋に就職します。朝もはよから張り切って出社するロイドですが、うっかりタオル交換業のトラックの荷台にこしかけたらばたん、ドアが閉まって閉じ込められちゃった。そのままトラックは発進、ロイドは就業間際というのに遠く離れた場所に連れて行かれてしまったのです。ようやくトラックから脱出したロイド、早く会社に行かないと遅刻で首にされてしまう!まずは満員の路面電車にむりやり乗り込むロイド。でもこの路面電車、スピードが非常に遅い。これじゃ間に合わないというのでロイド、走ってきた車に合図、電車から直接飛び移ろうとしたのです。でもあえなく失敗。驚いたドライバーは親切なことに車を駐車してロイドを助けにいきます。そして車に乗り込んでさあ出発と思いきや運転手、うっかり消火栓の前に車を止めておいたものですから巡査に駐車違反の切符を切られちゃった。これを渡されたロイド、済ました顔で運転手に渡すと「ほな、サイナラ」、唖然とする運転手。

 次にロイド、止まっている救急車を見つけます。いきなり路上にバターッと倒れて「ウウーム、苦しい」これでまんまと救急車に乗っちゃった。救急隊員が脈を取ったり聴診器当てたりするのを尻目にちらちらと外を見て、「あ、ついた、運転手さん、次の信号で止まってください」ばーっと降りていく、ロイド。これまた唖然とする救急隊員。

 ロイド、なんとか会社についたのですが、すでに出社時間の午前8時を過ぎている。オマケにタイムレコーダーの前には怖い上司のスタッブズ(ウェストコット・クラーク)が頑張っています。見つかったら首です。一計を案じたロイド、マネキンに化けて配達の人に中へ運び込んで貰うのでした。そしてそっと手を伸ばしてタイムレコーダーの時間を戻して打刻。すきを見て販売カウンターにもぐりこんでさあ、一件落着。仕事だ、仕事。

 さて土曜日、半ドンでおまけに待望の給料日。ロイドも週給15ドルを貰ってにっこにこ。しかし終業のベルが鳴っても帰らないお客さんがいて、ロイドにあの生地見せて、うん、あれもそれもこれも、際限なく生地を出させるのでした。その挙句に「一番最初に見せて貰ったあの柄がいいわ」ロイド、ムカッとしますが(笑)お客様は神様です。最初の生地を引っ張り出して切ろうとします。するとさらに、「あ、そんなに切らなくってもいいの、ただのサンプルでいいんだから」ロイド、がっくりします。

 ようやく仕事から解放されたロイド、ここで偶然に故郷の知り合いに再会します。彼は警官として働いていたのでした。「おー、お前、ロイドじゃん」「へー、あんた警官になっていたの、久しぶりだね」さっそくこの出会いをビルに吹聴するロイド、彼は警官を指差して「あれ、おれの友達なんだ、警官だぞ、すごいだろ」それでちょっといたずらしても友達だから大丈夫だよといささか訳の分からないことを言い出します。ロイド、警官の背後にしゃがみこんでビルが前からとんと押すと、警官見事にひっくり返った。「わははは、俺だよ、いたずらだ・・・」ロイド、仰天します。友達のはずの警官が別人に入れ替わっていたからです。激怒して二人を追いかける警官。ロイドは素早く隠れて難を逃れます。ビルは高い建物にフリークライミング状態でぐいぐい登ってって、これ、怖いなあ、命綱も何にもないですよ、屋上までたどり着き、警官を振り切るのでした。警官、悔しがって「今度会ったら覚えていろ!」

 さてロイド、50セントのサラリーマン定食を食おうかと考えるのですが、隣の宝石店で「プラチナチェーン、本日限りの大安売り。半額ぽっきり!」このチェーンの値段が15ドル50セント、ロイドはさっき貰ったばかりの給料を全額だして、後は10セント玉を一枚二枚と出していきます。もうこれ払ったら所持金ゼロ。だから10セント玉払うたびに定食の見本のパイが消える、サンドイッチが消える、最後にコーヒーが消えて・・・というギャグ、チェーンは買えたけど腹ペコのロイドでした。

 チェーンを受け取ったミルドレッドはまた大喜び。ついていた手紙にも「僕は出世したから」なんて書いてある。ここでロイドのママが世界一余計なことを言い出します。「若い男が大都会でお金を持ってたった一人、これはアブナイわ、わたしだったら彼を放っておかない」ミルドレッド、「分かったわ、私、決心した、もう待たない、ニューヨークに行きます」

 その頃ロイドはバーゲンセールで大忙し。つめかけたおばさんたちにやいのやいの引っ張られて服装もうぼろぼろ。これをスタッブズさんに見咎められて「君は服装を正してきたまえ」とお説教。しかしその後でロイドに代わってカウンターにたった男もあっという間にぼろぼろにされてしまうのですが。

 こんな時にミルドレッドがやってきた。ロイドは喜びますが、彼女は彼が大出世したと思っているのです。その期待にこたえるため突如として店内で横暴に振る舞いはじめるロイド。店員捕まえて「あー、君、君、お客様は神様なんだよ、そこんとこ分かっておるかね」と説教したりしております。みんな、一体どうしたのだと不思議かっております。この時、支配人に呼ばれたロイド、また服装について注意を受けたのですが、支配人室から出てくる彼をみたミルドレッドが「ええ?あなた、支配人になったの、凄いわねえ」と勘違い。弱ってしまうロイドです。

 ミルドレッド、ロイドにあなたのお部屋が見たいと言い出します。ロイド、支配人が外出したのを見計らってミルドレッドを支配人室に案内。ゴージャスなオフィスに興奮したミルドレッド、なんと、机についていた呼び出しボタンを押しちゃったのです。

 店員達がわらわらとやってきます。これはまずいとロイド、何食わぬ顔で彼らに加わっていかにも私も呼ばれたのですという振り。これが効を奏してようやくピンチを逃れたロイド。彼はミルドレッドを外へ連れ出そうとしたのですが、彼女は「あ、私、財布あの部屋に忘れちゃった」「このあま…」思わず彼女の頭をはたきそうになるのですが、何しろこれは明るく楽しいドタバタ喜劇。ぐっとこらえて再び支配人室へ赴くロイドであります。

 しかし中に入れず支配人室の前でうろうろするロイド。その彼に聞こえてきたのは支配人と副支配人のこんな会話でした。「ああ、客集めのいいアイデアを出したものには1,000ドルのボーナスを出すのだがなあ」ロイド、この会話に激しく反応。彼は警官から追われたビルがするすると高い建物を登ったことを思い出し、そうだ、これだと手を打つのでした。そして支配人室に飛び込み「僕にやらせてください、きっとこのデ・ボア・洋品店の前を人で一杯にしてみせます」ロイド、それからビルに電話して「君、500ドルで12階建てのボルトンビルに登ってくれないか」「なに、500ドル、まかせとけ、ボルトンビルどころか天国にまで登ってやるよ」

 ロイド、大喜びでミルドレッドをホテルに向かうタクシーに乗せ「ダーリン、やっと僕らの夢がかなうぞ。明日結婚しよう。午後3時にここにきてくれ」

 しかし、映画の常で事がすんなり運ぶ筈がない。ロイドは新聞社を使って「ミステリー・マン ボルトンビルに登る、明日、午後2時!」という広告を出させるのです。この時使ったのが顔を白抜きにしたビルの写真。これを見たあの警官、ビルにしてやられた彼ですね、が「うぬー、彼奴か、今度こそ逃がさぬぞ」と張り切ってしまったのであります。

 さて、いよいよビル登りの開始が目前に迫りました。ロイドはビルを連れてボルトンビルに行こうとするのですが、「あ、あの警官が頑張っているぞ」困った挙句、ビルはこんなことを言い出します。「ロイド、君、とりあえず一階分登りたまえよ、2階で僕が君の帽子や上着着て入れ替わるから。そうすりゃ分からないよ」ロイド、不承不承ビルを登り始めます。ビル、建物の2階に行ってさあ、入れ替わろうとしたのですが、追いかけてきたのがあの警官。「うわあ、入れ替わるどころじゃないや、ロイド、君、もう一階分登りたまえ!」ビル、警官と延々追いかけっこです。

 ロイド、「聞いてないよー」とボヤキつつさらに登ります。途中、上の窓から撒かれたハトの餌を被ってしまい、それ目当てのハトにたかられて危うく転落死しそうになったり、スポーツ用品店の窓から落ちてきたテニスのネットが絡まったり、大ピンチの連続です。ここでミルドレッド、登場、愛するロイドが何故かビルに登っているのを知ってびっくり仰天。彼女もボルトンビルの中に駆け込むのでした。

 ぜえぜえはあはあ、なんとか時計台のあるところまで登ってきたロイド、するとビルがいきなり「よし、ロイド、良く頑張った、ここで交代しよう」窓をあけたからたまりません。弾き飛ばされたロイド、あわや転落死かと思われたのですが、なんとか時計台の針にしがみつきます。ジャッキー・チェンが『プロジェクトA』でオマージュ捧げたあの有名な場面ですね。ここから這い上がろうとするロイドですが、今度は文字盤が前に倒れてきた。下で見ている見物客の皆さんはもうはらはらどきどき手に汗を握っております。

見ている私もはらはらどきどき手に汗握っております。だってこれ命綱とか安全ネットとかなしですよ。落ちたらはい、それまでヨ、ですよ。

 文字盤からようやくのことで壁に取り付いて再び登り始めるロイド。上の階からビルがロープをたらして「おい、これを使うんだ」ありがたいとロイドがロープを掴んだ瞬間、また警官が来てビル逃げちゃった(笑)。当然ながら落下するロイド、さっきの時計台に逆戻りです。これはヤバイということでおっかけっこも忘れて二人でロープを引っ張るビルと警官。しかし張り切りすぎてロイドの頭がでっぱりに三度ばかり叩きつけられてしまいましたとさ。もう踏んだり蹴ったりのロイド、さらに彼のズボンにネズミが侵入します。「あひゃひゃひゃ」ネズミを追い出そうとして狭い庇の上でもがくロイド。下の観客は彼が踊っていると思って拍手喝采。ようやくネズミを追い出してまた登り始めるのです。

 なんとか屋上にまでたどり着いたロイド、上がろうとするのですが何故か設置してある風速計測器がぐるぐる回って彼の頭を一撃。ふらふらとなった彼はあっと思う間もなくビルから転落します。今度こそ、墜落死と思いきや彼の足にロープが絡まってぶらーんぶらーんと空中ブランコ状態になるのでした。そこをがっきと抱きとめたのがミルドレッド。感極まって熱いキスを交わす二人。隣のビルの屋上ではまだビルと警官がおっかけっこしています。映画はここでおしまい。

 映画史に残るビル登り。実はこの人1920年の『Haunted Spooks』の撮影中に小道具の爆発事故で右手の親指と人差し指を失っていたんですねえ。だからこのビル登りも義指をつけて撮影に挑んだのです。なんかもう言葉がありません。

 モノクロ・スタンダード、サイレント。画質はそれほど良くはありませんが、年代を考えれば立派なもの。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

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『Abbott and Costello Meet the Keystone Kops』 1955年

 

Abbott and Costello Meet the Keystone Kops』 1955

 A&Cがキーストン・コップスと競演!他にも馬車によるおっかけ、飛行機での大アクションシーンなどなどえらく盛りだくさんの映画で実に面白い映画であります。冒頭、あからさまな詐欺にひっかかるA&Cもお間抜けでもう最高。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

時は1912年、世はサイレント映画花盛り。今日も今日とてコステロ、劇場で映画に見入っております。赤ん坊をつれて雪の荒野を逃げる女、犬を使って追う悪漢ども。追い詰められた女は大河を流れる流氷に飛び乗ります。コステロ、もう滂沱の涙。そして「頑張れ、ちくしょー、そんなひどいことを、そんなの僕が許さないぞ!!」あんまり騒ぐもんで警備員にたたき出されてしまいましたとさ。

 さて、コステロ、おばさんに届ける5,000ドルを持っていたのですが、ここでアボットから悪魔の誘い。新聞の広告をみた彼が「おい、コステロ、これ見ろよ、一流の映画スタジオが5,000ドルで買えるってさ、これで俺達も映画作って大儲けだぜ!」コステロもほいほい乗せられて売主のジョセフ・ゴーマン(フレッド・クラーク)とロレッタ・ヴァン・クリーフ(リン・バリ)に会うことになりました。このジョセフ・ゴーマンがまた調子のいい野郎で「いやー、あなたがたは幸運ですよ、私はね、西海岸と東海岸のそれぞれに一つずつスタジオ持っている、でも二つを往復するの大変、だから売るのです、分かりましたか」「分かりました、分かりました」と頷くA&C。ゴーマンはさらに「ほら、これがお売りするスタジオです、ほらね立派なものでしょ」「あのー」コステロが手を上げて「ここにエジソンって看板出てますけど、これ何スカ?」「おー、エジソン、それは私のミドルネーム」ってウソつけ(笑)。つまりは詐欺だったのです。

 まんまとA&Cにエジソンスタジオを売りつけ5,000ドルを毟り取ったボーマン、ヨーロッパの映画監督セルゲイ・トゥマノフと名前を変えてロレッタと一緒に逃げちゃった。一方、さっそく「A&Cスタジオ」の看板を拵えてエジソンスタジオに向かった二人、警備員のおじさんから「やあ、またきただね、カモが」と言われて仰天。ようやく自分達が騙されたことに気がついたのでした。他にも騙された奴がいっぱいいてその数だけ看板が残っているというギャグがケッサク。

あわててボーマンの行方を捜しますが判明したのは彼らがLAに向かったということだけ。「LAたって広いよ、見つかるかなあ」不安そうなコステロをアボットが張り倒します。「ばか、なんとしてもあの詐欺師めを見つけて金を取り戻すんだ!」って最初に騙されたのはあんたやんか(笑)。

 LAに行くといっても金はなし。そこで二人は線路をたどって歩き始めます。そこで早速発揮されるコステロのドジ能力(笑)。線路に足を挟まれてしまったのです。しかも列車が来た!まっさおになったA&C、アボットが慌ててポイントを切り替えようとするのですが上手く行きません。列車はどんどん近づいてきます。危うし、コステロ、しかし彼は大丈夫でした。轢かれる寸前になんとか足を引き抜いたのです。しかしアボット、いきおい余って転倒したコステロを見て「ウワー、轢かれちゃったよ、コステロ、大丈夫か、しっかりしろ、俺がLAまで負ぶって行ってやる」この後、ずっとコステロを背負って歩くアボット。おお、たまにはやさしいことをしますな、この人も(笑)。この二人を見つけたのが馬車のおじいさん。親切にも「乗っていくかね」と声をかけてくれたのです。すると意識のない筈のコステロがぱちっと目を開けて「うん、乗る、乗る」アボット、コステロを放り出して「われ、目ぇ覚ましとるやないけ!」

 馬車のおじいさんには「俺達、もっと早くにLAに行きたいから」と断って二人の旅は続きます。浮浪者の残していったパンを齧ったり、逆に浮浪者たちに服やなけなしのお金をとられたり、貨物列車の車掌とサイコロばくちやって浮浪者が残していったイカサマサイを使って大儲けしたりして、ようやくLAにたどり着いたのです。「やったー、はるばるきたぜ、LA」と喜ぶ二人ですが目の前をあのおじいさんの馬車が通り過ぎていくではありませんか。「なんだ、あの馬車の方が早かったのかよ」

 それならやっぱり馬車に乗せてもらおうということになって後ろから飛び乗るのですが御者台にいたのはおじいさんとは似ても似つかぬ屈強な男が二人。「あれ、ヘンだな」二人が首をかしげた瞬間、後方から馬に乗ったインディアンの一団が現れ襲ってきたのです。御者台の二人はライフル銃で応戦するのですが矢で射殺されてしまいます。「わあ、大変だ」慌てたA&C、御者台に移って馬車を走らせるのですが・・・。はい、当然ながらこれは映画の撮影だったのですね。しかも監督していたのがあのジョセフ・ゴーマン=セルゲィ・トゥマノフ。偶然ですねえ(笑)。彼はLAへの逃亡中にアマルアルガメーラ社の社長、ルドルフ・スナーベリー(フランク・ウィルコックス)にスカウトされていたのです。当然ながらロレッタもインディアン娘の役でこの映画に参加しております。

 本物のインディアンに追われていると勘違いしたA&C、むちゃくちゃに馬車を走り回らせます。しまいには崖の間をびゅーんと飛び越したってそりゃいくらなんでも無茶や。セルゲィは「わたしの映画がムチャクチャになりましたデス」とカンカンなのですが、スナーベリー社長はいたく感激。「なんてすごいスタントだ」はい、A&C、スタントマンとして雇われることになっちゃいました。この展開はいいですなあ(笑)。二人をみてぎょっとするセルゲィ。なんとか取り繕って「ふむ、ヨロシイ、私が面倒見るデショウ」 何の面倒を見るつもりなんだ、コラ。

 ちなみにA&C、つけひげで妙なアクセントで喋るセルゲィが捜し求めるゴーマンだとは気がついておりません。ロレッタにも「僕、どこかで君と会った様な気がするんだけど」とコステロが尋ねたのみ。もちろん、「会ったことなんてないわよ」の一言で済まされちゃってます。んー、セルゲィはともかくロレッタには気がつけよ、A&C

 さて、A&Cの二人をスタントマンとして使うことになったセルゲイ、さっそくコステロに「ロレッタのダブルで飛行機に乗るデス!空中戦のシーンを撮影するデス!」もちろん、ただの飛行機じゃありません。セルゲイの部下ハインズ(マックス・ローゼンブルーム)が操縦かんに細工した奴です。彼はセルゲイにこっそりと「くくくく、操縦かん抜けるようにしておきました。おまけに機銃を撃つ飛行機には実弾積んでおきましたから、あいつらイチコロですよ、うひひひひ」セルゲイは「良くやった、イチコロか、むひひひひ」どうにも悪い奴らですなあ(笑)。

 セルゲイ、コステロにシーンの説明をします。「ロレッタのインディアン娘、ワシントンへ飛びマス、アメリカ政府とインディアンとの仲良し条約を結ぶためデス、しかし、それ面白くない人いる、そこで追っ手を差し向けてゲキツイ企みマス!」これを聞いたアボット、「いやー、そんな時代に飛行機あったのかね」「ウルサイ!」どなりつけるセルゲイ。「細かいこと気にする、それあなたの悪いクセ!」さらに続けて「飛行機、サンセットに向かって飛びます、ベリー、とても美しいシーン」ここでコステロ、「ワシントンだから東でしょ、太陽は沈まないと思うけどなあ」「ウルサイ!」どなりつけるセルゲイ、「私の映画では太陽、いつも東に沈んでイル!」説明になってないですけど。

 アボット、パラシュートを背負ってよろよろしているコステロを補助するために飛行機へ。なんとか彼を後部座席に押し込みます。さあ、降りようとしたその瞬間、しのび寄ったハインズが車輪止めを外しちゃった!パイロットがまだ乗り込んでいないのに飛行機滑走を始めちゃったのです。機上のA&C、大慌て、「コステロ、お前操縦できるか」「できる訳ないじゃん!」そうこうするうちに飛行機は飛び上がっちゃった。セルゲイもカメラマンを連れて飛行機で舞い上がります。あくまでも映画撮影中の事故にするためですね。

 さあ、大空をむちゃくちゃに飛び回るA&Cの飛行機。アボットはハインズの狙い通り操縦桿を引っこ抜いてしまって「きゃーっ」、またコステロが操縦席から転がり出て尾翼にしがみつくのはお約束(笑)。セルゲイ、なんともうれしそうにこれをカメラマンに撮影させております。やがて空中戦の場面、ハインズによって銃弾を実弾に変えられたことなど知らない銃撃担当のパイロット、何のためらいもなくA&Cの飛行機をずどどどど、「うわあ、これ、実弾じゃん」でももう後の祭り。撃たれたA&Cの飛行機は地上へ向かってまっさかさま。たまらずアボット、コステロからパラシュート奪ってってひどいなあ(笑)。機から脱出、コステロも後に続いてアボットにズボンにぶら下がった。「うわあ、よせ、離せ」「離したら死んじゃうっての!」やがてアボットのズボンがびり、びりりり。カメラマンは撮影しながらわっは、わっは、と笑っております。セルゲイ、カッとなって「これはコメディ違うデス!」と怒ったりなんかしております。

 A&C、そのまま海へどぼん。カメラマンが心配して「どうやって助けるんすかね」セルゲイ、無責任に「潜水艦が浮上してきたりして」すると本当に潜水艦がA&Cを乗っけて浮上してきたという・・・。

 結局A&Cの暗殺は失敗。おまけにこの時撮影したフィルムを社長の前で映してみると、なぜか映写技師が大笑い。アボットのズボンがびりびり破れるくだりになるともうたっておられず床をのたうち回ってひいひい言ってます。セルゲィ、またもカッとなって「これはコメディ違うデス!」しかし、ここで社長が大英断。「よし、あの二人を我が社の新コメディチームにしよう。セルゲイ、彼らを使ってコメディを撮影するのだ」セルゲイ、憤然となって「わたし、コメディ違う、ドラマ専門、そんなの困るデス!」すると社長はにやりとして、「分かっているんだよ、君、ゴーマン君」セルゲイ、ぎくっ。「カツラ、ひげ、そしてその奇妙な言葉のアクセント、上手く変装したものだ」セルゲィ、ぎくっ、ぎくぎくっ。「私は君の指紋を警察に送って調べて貰ったのだ。なんだな、ゴーマン、君はいろんな人から金を騙し取っていたんだってねえ。そこで僕は君のために被害者たちと協定を結んだのさ。君はこれから映画を作る。そして毎月の給料から被害者たちに金を返していくんだ、いいね」

 さあ、えらいことになった。セルゲイ、いや、ゴーマン、慌ててハインズ呼び出して「状況が変わった、あのデブとヤセを殺すのはヤメだ」 一方、ひょんなことからセルゲイがカツラだったことを知ったA&C、彼がゴーマンではないかと疑い始めます。「じゃあ、夜奴の家に忍び込んで証拠を探そうということになるのですが・・・。さて、警官に扮したコステロ、覆面被って強盗に扮したアボット、「万が一捕まってもコステロの警官が来れば問題なし作戦」の開始であります。さっそくセルゲイ邸に忍び込もうとするアボットですが、悪いことに先客がいた。アボットと同じ格好、畢竟こそ泥なんて同じような格好になるものです、おまけに覆面までしている別の泥棒です。彼はあっさりゴーマンに見つかってお酒の壜でガンとやられて昏倒します。そして電話を取り上げて「オペレーターさん、警察へ繋いでクダサイ」とたんに、玄関の呼び鈴がなって警官のコステロが現れると。「な、なんだ、早いね」呆然とするセルゲイ(笑)。「いや、もうそれが我々のモットーですから」、コステロはアボットと間違えて泥棒をひっかつぎ、「じゃ、どうもさようなら」しかし玄関を出たとたんに意識を取り戻した泥棒に殴られ昏倒します。

 さて、ようやく窓を破ってセルゲイの家に侵入したアボット、しかしすぐに見つかって酒の壜でガン。セルゲイ、呆れて「何デスカ、もう逃げ出してまたきたデスカ」警察を呼びます。今度やってきたのは本物の警官。またこれがコステロが扮した警察官にそっくり。セルゲイ、当然同一人物だと思い込んで「まったくもう逃がさないでクダサイ」本物の警官はそんなこと知りませんからけげんそうに「はっ、本官は逃がしてなぞおりませんが」とにかくアボットを警察の護送車に放り込んで連行しようとするのですが、どーん、発進と同時に後部ドアを破ってアボットが飛び出してきた。彼はまたセルゲイの自宅へ向かいます。ええ、この後、こういうことが延々と繰り返されるのです(笑)。

 同じ泥棒が捕まえても捕まえても逃げてやってくる。そしてその度に同じ警官がやってくる、これが繰り返されてセルゲイ、頭に来ちゃった。ついに夕食のターキーの皿を持ったまま、やってきたコステロに「わたしをいい加減に休ませてクラサイ! Let Me Have a Little peace!」、コステロ、「はっ、何スカ?」「だから休ませナサイ言っているんデス!Have a Little peace!」「あ、一切(piece)れいかがってことですね」コステロ、ターキー食っちゃった。「もふもふ、これは美味しいターキーですなあ」この手間が掛かった割に今ひとつ面白くないギャグにセルゲイズッコケます。

 その翌日、ハインズがこんなことを言い出した。「あれでしょ、映画の制作費が75,000ドル、社長の金庫に入っているんでしょ、それ頂いてトンズラしましょうや」一度は社長の提案どおり真面目に金を返すつもりだったセルゲイ、いやゴーマン、もともとこつこつ働くのが嫌いな性分ですからあっという間に心変わり。「よーし、いっちょ、ぶわーっとやったろうか」真昼間からロレッタと二人で金庫破りであります。当然ながらその現場を何故か警察官の格好をしたA&Cに見つけられると。「ややや、お前はやっぱりゴーマン、それにその女はなんだ、そうだ、ロレッタだ、やっと見つけたぞ」ゴーマンとロレッタ、二人を金の袋でぶん殴って逃走します。

 後を追うA&C、「警察はいないか、警察、悪党が逃げ出したぞ!」そこにいたのがキーストンコップスだったという。キーストンコップスの一団、二人の願いを快く聞き届けて映画撮影用の警察車両でA&Cともどもゴーマンとロレッタを追跡するのです。それからなつかしのサイレント時代のどたばた喜劇。キーストンコップスのトラックはカーブを曲がるたびに二台の警察官達を振り落とします。警官たちはわらわらと起き上がってトラックの荷台へ。何事もなかったかのように走り出すのがスゴイ。A&Cは途中で落っことされますが郵便配達員のサイドカーを奪って追跡を続行。このサイドカーが木に激突して左右泣き別れになるのもお約束ならば、またくっついて元に戻るのもお約束。

 その後も線路で立ち往生したキーストンコップスのトラックをみんなで「ひっぱれ、ひっぱれ」「いや違う、押すんだ」と両側から引っ張った挙句真ん中から切れて列車が通過。その後、前後を繋ぎ合わせて走り出すギャグ。A&Cのサイドカーが農場に突入、干草の山に突っ込んでそのまま走ると怪奇、走る干草の出来上がり。これを見た案山子が慌てて逃げ出したり、一杯やりながら作業をしていた老人がこりゃいかんと酒瓶叩きわったりするギャグ。まあ、いろいろやってくれます。

 最後に飛行場へ突っ込んだゴーマンとロレッタ、愛用の飛行機で逃げようとしますが、ついにコステロたちに捕まってしまった。後から社長が本物の警官隊を連れて現れついにこの稀代の詐欺師コンビは逮捕されてしまったのです。悄然として警察の護送車に乗り込むゴーマンとロレッタ。護送車には先客、すでに捕まっていたハインズです(笑)。コステロは取り返した金が入っているカバンを高く掲げて「どうです、僕たちはあなたのお金を守りましたよ」と叫んだ瞬間、ゴーマンの飛行機のプロペラから発せられた風で札束がぶわわと吹き飛んでまたまた大騒ぎというオチで映画は終わります。

 ラストのおっかけは凄いの一言。本当に猛スピードで走るトラックの荷台から人間がばらばら落ちている。こんな映画でムチャやりますなあ(笑)。また劇中で喜劇の王様、マック・セネットが本人の役でカメオ出演しているのもウレシイ。

 モノクロ・スタンダード、モノラル音声。両面二層のディスク2枚に映画と特典が収録されている良心的な仕様。画質・音質は文句のつけようがなし。素晴らしいですね。英語字幕付 Umvd のDVD。

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『Abbott and Costello Meet Jeckyll and Hyde』 1953年

 

Abbott and Costello Meet Jeckyll and Hyde』 1953

今宵凸凹コンビのお相手を勤めまするは注射をするとあら不思議、端正なる科学者がたちまち野蛮人へと変身して夜な夜なロンドンの街を脅かす。稀代の怪人、ジキル博士(ボリス・カーロフ)であります。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 オープニングクレジットが終わってどーんと広がる夜のロンドンの街。霧の街という呼び名にふさわしく濃密は霧があたりを包んでいます。そしてかつかつと歩く男。すると突然、物陰から怪しい人物が飛び出して男の首を締め上げます。「がるー、がるるるー」人間とは思えない唸り声と怪力。ぽきん、男の首はへし折られてしまいました。死体となって転がった男を偶然発見したのが本作の事実上の主人公であるブルース・アダムス(クレイグ・スティーブンス)、彼は男の懐を探ってって、こんなの人に見られたら絶対介抱泥棒と思われますけれども(笑)。彼が見つけたのは身分証明書。この男の身元は高名なる医学者、プール博士だったのです。

 翌日の紙面に「プール博士、惨殺さる」「ロンドンの恐怖再び」ははあ、するとこういう事件が今までに何度も起こっているのですね。

 さあ、新聞記者のブルース・アダムス、これをきっかけに事件解決へ乗り出すかと思いきやそんなことはない(笑)。公園でのんびり昼寝なんかしております。とそこで始まったのが「女性に選挙権を与えよ」というデモ。主催者のヴィッキー・エドワーズ(ヘレン・ウェストコット)がやたらに元気良く「選挙を男だけにまかせてはおけませーん」とデモの仲間たちと「選挙権の歌」を歌います。実はこのヴィッキー、本職の歌手・ダンサーなのでこの歌が上手い、上手い、おまけにフレンチカンカン風に足を振り上げちゃったりなんかしちゃったりするもんですから、男どもの目は釘付けですよ。

 しかし、歌が終わったとたん、男達はあっという間に正気に戻って「女なんか料理やお茶くみ、コピーをしてりゃいいんだ、後、夜に旦那を楽しませてくれればいうことなしだ、うひひひひ」こんな心ない野次を飛ばします。それどころかこの生意気な女めと怒って殴りかかってくる乱暴モノもいる。ここで見かねて助けに入ったブルース、ヴィッキーをかばいつつ、男達と大格闘。他の女達もフライパンや箒で応戦してもうてんやわんやの大騒ぎ。ここでぴぴーっと笛が鳴って駆けつけてきたのが我らがA&C。今回の彼らはスコットランドヤードの巡査という役どころなのです。

 ようやく登場したA&Cですが、もちろん、この騒ぎを鎮めるのにはまったく役立たず。コステロなんかおばさんにフライパンに思いっきり殴られて地面に潜り込んだりしています。さらに応援が駆けつけてきて、暴徒たちは「こらいかん」と逃げちゃった。残されたA&C、実際には何の罪もないヴィッキーたちとブルースを捕まえてしまうのです。意気揚々と引き上げるA&Cですが、何故か他の人たちと一緒に牢屋へ放り込まれてしまうという・・・。おまけに誤認逮捕をしたということで警視(レジナルド・デニー)に大目玉。首になっちゃうのです。

 牢の中で急速に仲良くなるブルースとヴィッキー。ヴィッキーの保護者を任じているジキル博士が保釈金を払って二人は釈放されるのですが「ヴィッキー、もっと一緒にいたいよ」などと抜かすブルースであります。そして極めて図々しいことにこの男、ヴィッキーをミュージカルホールまで送っていくジキル博士の二人乗り馬車に強引に乗り込んだのです。「これじゃ、狭いよ」とかなりムッとしている博士(笑)。そんな博士を歯牙にもかけずヴィッキーといちゃつくブルース、ひそかに彼女を狙っていたジキル博士、「こいつ、殺しちゃる!」

 この馬車の中でジキル博士が取り組んでいる研究が明らかになります。「人間には善と悪の二面性がある。このふたつのうち悪をコントロールできるようになれば人間から暴力衝動が消えてしまうだろう。もしかしたら戦争をなくすことだってできるかも知れない。あの死んだプール博士はこのわしの理論を笑い飛ばしたけどね」にやっと凄絶な笑みを浮かべるジキル博士です。

 さて、ジキル博士の自宅に到着。博士は降りてブルースに「君も降りろよ」と言うのですが、これまた図々しいブルース。涼しい顔で「いや、僕はいいっすよ、ヴィッキー、ミュージカルホールまで送っていくから」ジキル博士、内心、送っていくってそりゃわしの馬車じゃと思ったとか思わなかったとか(笑)。憤懣やるかたない彼は自宅に入ると本棚の裏の秘密の通路から実験室へ。おしの助手バトレィ(ジョン・ディレクス)に「お前、注射しとけっていったのにしてないじゃないか」と八つ当たり。それから博士、暗い顔つきになって「私の実験でジキル博士は凶暴極まりないハイド氏に変身した。しかしコントロールが効かない、善と悪の塩梅が難しいのだ」善と悪の塩梅って料理の味付けしようてぇんじゃないんだから。

 「だから丁度いい塩梅が見つかるまで実験を中止しようと思ったのだが」博士は憤怒の表情。「もう一回だけ変身せねばならぬ、わしのヴィッキーに近づくあの新聞記者めをやっつけるためにな!」彼は大きな注射器を取り出し、腕にぶすりと差し込みます。チューと薬液を注入すると、おお、博士の顔はみにくくよじれあっという間にひげぼうぼう。手には狼男みたいな毛がもさもさはえてきたではありませんか。ちょっと安易にハイド氏の正体が明らかになってしまいましたが、これはA&Cの映画、あまり気にせず参りましょう。

 すっかり変身した博士、いやハイド氏、がおおっと唸って出動です。ミュージカルホールへ忍び込んでブルースめを縊り殺してやる!彼はミュージカルホールの外壁に取り付きするすると登り始めます。そしてここにたまたま偶然通りがかったA&C、「手柄をたててスコットランドヤードに復職させてもらおう」彼らもハイド氏を追ってミュージカルホールへ。楽屋に逃げ込んだハイド氏をコステロが探すのですが、見つからない。おかしいなと外にでると仮面を被った役者に会って「ぎゃっ」と驚いたり、モンスターだ、モンスターだと慌ててアボットを呼んでくるとその役者が仮面を脱いで「おい、こりゃフツーの人間じゃないか」と殴られたり、まあ、いつものA&C式どたばたが展開される訳です。

 この間、さらに急速に仲良くなるブルースとヴィッキー。あ、なんてことだ、「あったばかりでそんな・・・」などといいながらぶちゅぶちゅぶちゅちゅちゅー。キスなんかしてやがる。

 ハイド氏、A&Cの隙をうかがってぴゃーっと逃げ出します。するすると屋上へ登って屋根づたいに逃げようとするのですが、そうはさせじと追っかけるのがブルースと我らがA&C。もっともコステロはやっぱり役に立たず、建物と建物の間とを飛び越えようとして失敗。ぴゅーっと落ちて洗濯物のロープに絡んじゃった。それをみたアボットが呆れて「お前、洗濯物干している場合じゃないだろ!」ハイド氏は彼らの追跡に辟易してロンドンだからどこにでもある蝋人形館へ潜り込んだのでした。この蝋人形館、まあ、お約束ですがフランケンシュタインモンスターやドラキュラが飾られております。ハイド氏から逃げようとしてうっかりこの蝋人形館に迷い込んでしまったコステロがこれらの人形をみて「ふぃー、ふぃー」とビビリまくるのもいつものA&C映画ですね。

 さらに背後からコステロを襲うハイド氏!しかしコステロ、彼の影にいち早く気がついていた。コステロはハイド氏を蝋人形館の展示物である牢屋に誘い込み、まんまと閉じ込めてしまったのです。「ウワー、やった、やった、モンスターを捕まえたぞ」大喜びでアボットたちを呼びにいくのですが、そんなに上手く行くわけがありません。牢屋の中で変身が解けてハイド氏はジキル博士に戻ったのです。そこへ得意満面のコステロがアボット、ブルース、さらには警視まで連れてきた。「さあ、ごらんなさい、僕の大手柄ですぞ」そのとたんに「われ、これはハイド博士やんけ」アボットに激しくツッコまれるコステロです。その勢いでぼいーんと飛んで壁にどかーん。警視もかんかん。「なんで、こんな紳士がモンスターなんだ、名誉毀損で逮捕するぞ、逮捕」コステロ、すっかり面目丸つぶれになりましたとさ。

 さて、牢屋から出してもらったジキル博士、恐縮するA&Cの二人に向かって「モンスターが怖いので今夜一晩泊まっていってくださらんか。一人頭五ポンドだしますから」コステロはもう博士が怪しいと思っているのですが、アボットが大喜び。「ほう、五ポンド、泊まるだけで五ポンド、そりゃいい話ですなあ」はい、結局二人してジキル博士の家にお邪魔することになったのであります。博士は二人を2階の寝室に案内して「ぐっすりとお眠りなさい、おやすみ」しかし彼はその足で秘密の研究室へ行ってバトレィ相手に「あのチビデブ(コステロのこと)に見られた。危険だ、始末しないと」そんなこととは露知らずベッドでがーがー眠りこけているA&C

 ふと目を覚ましたコステロ、部屋を抜け出します。そして屋敷の中を調べるのですが後から怪しい影が、そう、バトレィです。彼はコステロのすぐ後ろを追っていくというまさに「志村、後ろ、後ろ」状態。コステロ、やっと気配に気がついてふっと振り向くとばーん、バトレィと御対面です。「きゃー」悲鳴を上げたコステロは階段からごろごろ転げ落ちてしまいました。必死に立ち上がったコステロ、外へ出ようと玄関開けるとなぜかブルドッグがいて、「わんわんわん!」たまらずジキル博士の部屋は逃げ込みます。そうして偶然に本棚を押しちゃった。コステロ、ぐるりと本棚が回って地下室の通路が現れたので仰天しますが、とにかくバトレィから逃げなくちゃということで飛び込みます。

 地下の実験室をみて息を呑むコステロ。しかしなにしろコステロですからなあ、実験動物と思しきウサギをみつけて「おー、可愛いウサギちゃん」「わんわん!」と吠えられてしまいました(笑)。他にもにゃーにゃー鳴く犬やモーモーなくサルまでいてコステロ、もう何がなんだか分かりません。「んがー」おまけにバトレィが襲ってきた。コステロ、命からがらまた書斎に戻ります。ここでようやくこの騒ぎに気づいておき出してきたアボットとジキル博士に鉢合わせ。コステロ、ぶるぶる震えながら「怪物で秘密の地下室でうさぎがわんわん犬がにゃーにゃーサルがモーモーで」と訴えるのですが当然ながらアボットに「われ、何言っているのか分からんわ!」と激しくドつかれるのでありました。

 ジキル博士、内心しまったと思いながらも(笑)、表面はにこやかに「おお、実験室を見つけられたのですか、何、ちょっと人に見せたくない実験をやっておりましてな、それであんな風な実験室を作りましたのじゃ。良かったら御案内しましょう」喜んで博士の後をついていくアボット、コステロは逃げ出そうとしますがアボットに無理やり連れ戻されてしまいます。アボット、わんわんうさぎ、にゃーにゃー犬、もーもー猿を見てびっくり仰天。「うわあ、コステロの言ったとおりだ」ジキル博士は「これはですな、犬の性格をウサギに猫のそれを犬に、牛のそれを猿に入れ替えたものです。ははは、すごいでしょ」ここでジキル博士、「ちょっと失礼しますよ」と別の部屋に行っちゃった。そして隠れていたバトレィと合流、注射器を用意して「よし、あいつらを怪物に変えて殺してしまおう」だって。

 そんなこととは夢にも思わず喉が渇いたといって実験室の給水タンクのようなものから水(液体)を出して飲むコステロ。こんな実験室でそんな得体の知れないものを飲むなよ。この後、コステロは急に怖くなって外へ逃げ出してしまうのです。「おーい、待てよ」後を追うアボット。パブの近くまで逃げてきたところで追いついたアボット、コステロに「やい、どうして逃げるんだ。一人頭5ポンドの仕事をフイにしちゃったじゃないか!」「だってよう」すでに涙目のコステロです。「うさぎを犬にできるんだぜ、人間だって変えられるかも知れないだろ、実験台にされたらどうするんだよ」この時、コステロに異変が起こります。むやむやと顔が変わってはい、ネズミ人間になってしまいました。どうやら実験室で飲んだ水(液体)がまずかったらしい(笑)。

 しかしこの異変に気がつかないA&C、「じゃ、一杯やっていこう」パブに入ります。当然ながら店主は「あー、何になさいますか、ひっ、ひー」逃げちゃいました。二人いた酔客もやっぱり「あ、あれは、ひっ、ひー」逃げちゃいました。いくらなんでもこりゃおかしいと思ったアボット、ようやくコステロの異変に気がついて「きゃーっ」失神してしまいます。「どうしたんだよう、アボット」コステロは立ち上がった拍子に鏡に映った己の姿をみて「きゃーっ」こっちも失神しちゃいましたとさ。でも失神から覚めたらもうコステロ、元に戻っている。A&C、「今のはジキル博士の薬が原因に違いない、警視に知らせよう」ということで飛んでいくのですが「何、パブでネズミ人間になった?バカー、そりゃ酔ってたんだよ」とたたき出されてしまいましたとさ。

 収まらないA&C、翌朝、ブルースとヴィッキーを伴ってジキル博士の自宅に押しかけます。警視が駄目なら新聞記者のブルースに証人になってもらおうと企んだのですが、あにはからんや、ジキル博士に案内された地下室にはワインが貯蔵されているだけ。面目まるつぶれのA&C、呆れたブルースとヴィッキーはジキル博士と書斎に戻ってしまいます。取り残されたA&C、「じゃあ、ここを探して証拠を見つけよう」ってんでいろいろあさったのですが、出てくるのはワインばかり。しかし、そのワインの一本に目をつけたのがアボットです。彼は壜のラベルを見て「お、MOSELL、これだ、これだよ、お前が昨日飲んだのは」言うまでもなくこれはワインの品種名なのですが(笑)。「よし、飲め飲め、もう一回ネズミ人間になったらブルースも信じるだろう」「飲め飲めってそんな人を黒田節みたいに。それに元に戻らなくなったらどうするんだよ」「大丈夫だよ、毎日俺がチーズ食わせてやるからさ、さ、ぐいっと行け!」ぐいっと行くコステロです(笑)。彼は期待に目を輝かせたアボットが「どうだ、効いてきたか、ネズミになってるか」と尋ねるのにも構わずどんどん酔っ払っていきます。しまいにはべろんべろんとなって階段から転げ落ちる始末、実際どうにも困ったことですなあ。

 その頃書斎ではいきなりブルースとヴィッキーがジキル博士の前で僕たち結婚します宣言をぶちかましております(大笑い)。ジキル博士一応祝福、しかし二人で帰ろうとしたヴィッキーを引き止めて「結婚式の企画を相談しよう」と書斎へ引っ張り込んでしまうのです。そしてこのおっさんもいきなり、「わしはお前を子供の頃から愛していた」ってアブねえなあ。「お前と結婚するのはこのわしだ」彼は注射器を取り出して「これでブルースを怪物にしてやる。そうして殺せば警察はわしがお前を守るためにやったと思うわ!ひひひひひ」キチガイですな(笑)。ヴィッキーは必死で彼の手にしがみつき注射器を奪って投げ捨てます。ソファーに落ちた注射器、クッションの隙間で針の方を上にしてたっております。はい、誰か必ずこれが刺さるであろうという仕掛けですな(笑)。

 ここでジキル博士は不意に変身を開始。いまや彼は薬がなくとも爆発的な感情の高まりで自然と変身するようになっていたのでした。悲鳴を上げるヴィッキー。「怪物はあなただったのね!」先ほど、ソファーの上の注射器について誰か必ずこれが刺さるであろうと申しましたが、その誰かといえばもちろん、コステロ。ヴィッキーの悲鳴を聞いて書斎に戻ってきた彼は「怪物め、この僕が相手だ」組み付くのですがあえなくぼいーんと跳ね飛ばされます。ソファのうえにどさっと着地したとたんに針がぶす。たっぷり薬液を注入されてしまったのでありました。ここにアボット、ドアを蹴破って戻ってきたブルースが加わります。さらにバトレィまで拳銃を持って現れるのですが、ブルースに拳銃を奪われて逆に射殺されるオソマツ。

 形勢危うしと見たジキル=ハイドは窓から外へ逃げ出します。「さあ、逃がすな」後をおうアボット・コステロ・ブルースですが・・・、コステロの様子が見る見るおかしくなって、はい、コステロも変身してしまいました。仮にこの変身後のコステロをコスイド氏と呼ぶことにしましょうか。ブルースは本物のハイド氏を見つけて「それ、おっかけろ」アボットはコスイド氏を見つけて「それ、おっかけろ」お互いハイド氏とコスイド氏を追っかけてロンドン中を駆け巡ることになります。ヴィッキーから連絡をうけた警視はただちに巡査たちを派遣するのですが、もうモンスターが二人いるものですからとても間に合いません。「えー、イーストエンド公園とウェストエンド公園で目撃されたあ?わしゃ、もう知らんよ!」とヤケクソになる警視です。

 さあ、さんざん(延々ともいう)おっかけっこを繰り広げたあげく、コスイド氏はアボットに棒でがんとやられて昏倒します。「これで警視の鼻を明かせるぞ」大喜びのアボットは早速コスイド氏を警察署に連行します。一方、本物のハイド氏、自宅に舞い戻り再びヴィッキーを人質に取った。しかしここにブルースが駆けつけてきて「もう諦めろ、ジキル博士、ここはもう包囲されているぞ」ハイド氏、ヴィッキーを放り出すと窓から出て上に上ろうとしたのですが、はい、手を滑らせて路上に落下、死んでしまいましたとさ。

 さて、意気揚々とコスイド氏を連行してきたアボット、コスイド氏は手ひどく暴れて警官やはては警視にまで噛み付きます。「ふー、またえらく凶暴な奴だなあ」ここでリーンと電話がなって警視が出ると「何、ジキル博士の自宅で怪物が墜落死?そんな筈はない、ここに怪物はいるぞ」すでにコスイド氏はコステロに戻っているという・・・(笑)。「バカモン、そりゃ、コステロじゃないか。まったくお前らはもう」「何が起こったの」と尋ねるコステロ、どうやら彼は変身中の記憶を全て失っているようです。アボットは「お前、怪物になったんだよ、警察署でも四人の警官と警視に噛み付いたんだよ、大変だぞ、こりゃ」

 うがーという唸り声。はっとA&Cが気がつくと、コスイド氏に噛み付かれた警官と警視が怪物に変身していたというオチで映画は終わり。

 おっかけっこの場面が長くておまけに単調。ステロがうっかり注射されちゃってコスイド氏に変身というお約束は非常に楽しめたのですが。

 モノクロ・スタンダード、モノラル音声。両面二層のディスク2枚に映画や特典が収録されている良心的な仕様。画質・音質も極上。英語字幕付 Umvd のDVD。

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