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2006年8月 3日 (木)

『ドクター・ジャック』(『Dr. Jack』 1922年)

 

『ドクター・ジャック』(『Dr. Jack』 1922年)

               

 やさしいお医者様に扮したロイド、病弱な娘さんを藪医者から助けるために大活躍。ただ、その大活躍の方法というのがちょっとモンダイありかなと思うのです。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

あるお金持ちの娘(ミルドレッド・ディヴィス)、しかし彼女はそれはそれは病弱でした。彼女はあまりにも病弱であったので主治医のルドウィグ・フォン・ソールスバーグ先生(エリック・メイン)からいろんなことを禁じられております。まず日光、これは体に障るってドラキュラじゃないんですから(笑)。飾られている花の香りを楽しむのも駄目、体に良くない。階下でお手伝いさんが歌っている歌を聞くのも駄目、神経が休まりません。そんなこんなで4年間、家族の古い友人である弁護士(C・ノーマン・ハモンド)はさすがにソールスバーグ先生を怪しみ娘のお父さん(ジョン・T・プリンス)に「そろそろ医者変えたほうがいいんじゃないの」とささやくのでした。それを聞きつけたソールスバーグ先生、いきなり「私のサナトリウムで転地療養しましょう」と言い出します。あわただしく出かける一家。

 場面はさっと変わってここは田舎町、マグノリア・ミアドゥ。どのくらい田舎というと楽しみといえば蹄鉄投げとクロケットぐらいしかない、兵隊の位でいえば田舎の大将閣下というところで。ここで住民の信頼を集めているのがドクター・ジャック(ハロルド・ロイド)。今日も今日とて小さな女の子から電話。「マリーが死にそうなの、助けて」ロイドはお手伝いさんにテーブル持たせて朝飯を食べながら用意をして、朝飯食べながら家を出て朝飯食べながら車のエンジンかけて、出発です。しかし、「あ、しまった、薬箱忘れちゃった」ロイドは車のハンドルをぐいっ、家の前庭で車をぐるぐる周回させてさっと飛び降ります。家に入って薬箱をとってくると周回を続けている車にさっと飛び乗って今度は本当に出発したのでした。

 「いそげや、いそげ」車を飛ばすロイド。しかし運の悪いことに車がオーバーヒート、お手伝いさんに朝食を届けてくれと頼まれて追いかけてきた白バイに乗せて貰うのですが、いくらも走らないうちに振り落とされてしまいます。それではと自転車を修理していた少年にお金を渡して「これで君の自転車貸してくれたまえ」しかし走り出したとたんに、「おーい、ロイド先生、その自転車チェーンついてないよ」とたんにずっこけるロイド。まあ、それでもなんとか女の子の家に到着する訳です。女の子は泣きながら「マリーが井戸に落ちちゃったのよう」ロイド、急いで覗いてみると、なんと浮かんでいたのは女の子の人形でした。ロイド、苦笑しますが、それでも人形を拾い上げ心配する女の子のために人口呼吸の真似までしてあげるのでした。

 こんなことばっかりやっているから年中無休で112時間働いているのに年収が300ドルしかないんです(笑)。

 ロイドは今度はある少年の家へ。母親が「どうも息子は重い病気のようなんです」しかしロイドが脈を取ってみると、なんともありません。「ははあ、仮病だな」ロイドはお母さんに向かって「そういえば今朝学校が焼けちゃったそうですなあ、当分休校になるんじゃないですか」それを聞いたとたん、「ええ、本当?」と飛び上がる少年。はい、ばれちゃった。かんかんになったお母さん、少年の尻を棒でひっぱたこうとするのですが、可愛そうに思ったロイド、少年のズボンを借りてマクラを詰め込み、偽の尻を作ります。そしてそれをお母さんに叩かせるのでした。ロイドは少年にささやきます。「ほら、痛がっているふりをするんだ」このロイドの心遣いのおかげで少年はピンチを逃れることが出来たのです。

 続いてロイドは老婦人の家に。「おばあさん、元気を出して、僕が電報で注文した薬が届きますよ」呼び鈴がなって入ってきたのはあの弁護士ではありませんか。彼は元気な母親の姿を見てびっくり。「急病って言われたから仕事放り出して帰ってきたのに」ロイドはにこにこと「お母さんにとって、あなたが一番の妙薬なんですよ。これから月に一度、同じ処方箋を書きますからね」最初は憤然とした弁護士でしたが、何しろ母親が大喜びしているものですから怒るに怒れません。それどころか、ロイドのやり方にいたく感心してしまうのです。「この医者こそ、彼女(ミルドレッド)に必要じゃないのかな」と考えたのでした。

 さて、サナトリウムから帰宅することになったお嬢さん、ソールスバーグ先生と共に偶然にマグノリア・ミアドゥに立ち寄ることになりました。小腹も空いたからレストランで食事しようということになります。そこで偶然彼らと相席になったのがロイドという・・・。ところが外であの仮病少年が遊んでいた。彼はロイドの姿を見つけて「やあ、先生」とばかりにフットボールを投げ込んできます。ロイド、はっしと受け止めてすぐに投げ返す、ソールスバーグ先生はなんという男だろうと呆れています(笑)。さらに少年の飼い犬がテーブルの下にもぐりこんできた。先生はぎょっとして飛び上がり犬を蹴りだします。憤然となるロイドと病弱な少女。ここで少年が投げたフットボールが先生の頭に命中。「も、わし帰る!」少女を連れて出て行ってしまうのでした。ロイド、なかなか好ましい女性だと思っていたのでがっくり。

 この後、ホテルで若い女性からまた頼まれるロイド、「先生、父が上の階でポーカーやっているんです。いつも負けてばかりなんだけど、ちっともこりないんです、やめさせて貰えませんか」もはや医者の仕事とは全然関係ないし(笑)。でもロイドは快く引き受けてポーカールームへ。彼はトランプの箱を次々と開けてAの札を集めます。そして女性のお父さんをちょんちょんとつついて「いいの、ありますよ」もともとAのワンペアだったところにA二枚を渡してフォアカードにしちゃった。これで勝たせるのかと思いきや、隣のおっさんにも擦り寄って「いいの、ありますよ」今度はAのスリーカード!そんなこんなでゲームに参加している全員にAを渡しちゃうのです。みんな、うわあ、凄くいい手になったってんでどんどんレイズ。有り金全部掛けちゃいます。そして手札を開けてみるとAがたくさん、たくさん。「てめえ、イカサマやりやがったな」ということになってゲームはお開きに。ロイドは女性の頼みを見事果たしたのですが、場面が長かった割に今ひとつ面白くなかったですなあ(笑)。

 さて、ここからが本番。弁護士はロイドを病弱な女の子の家へつれていきます。そして、「ソーンバーグ先生は無視して君のやり方で治療したまえ、ヨロシク頼んだよ」女の子にあったロイドは驚いて「ああ、君はあの時の」女の子もうれしそうに「まあ、あの時の」何言ってんだか(笑)。ロイドは彼女を診察して「脈も正常、顔色も良い、君はどこも悪くないんじゃないの」ロイドはお手伝いさんに頼んで締め切ってあった窓を全開、女の子は大喜びです。ところがここでソーンバーグ先生がやってきた。彼は日の光の下ではしゃいでる女の子を見て顔色を変え「何をしているのだ、今すぐ窓を閉めるのだ!」そうして彼はロイドを別室に引っ張っていって「一体全体君は何をしてくれたのかね」と問い詰めるのでした。

 ソーンバーグ先生はがみがみと「いいかね、これからは私の治療方針にしたがって貰うよ、まず」彼はカルテを取り出してロイドに見せます。ロイドがそれをぺらりとめくるたびに先生の顔に当たるのがおかしい。先生はそれからいろいろ説明するのですが、ロイドは女の子の方に注意がいっててまるで上の空。そのうち、女の子に向かってハンケチ振り出します。先生が気がつくと、そ知らぬ顔で「ああ、どうも、ここは虫が多いですな」だって。

 続いて先生、ロイドに「彼女の目を診察してみたまえ、それでいろいろなことが分かるのだ」ロイドは前かがみになって女の子の目を覗き込みます。「もっと近づいて」立ち上がってさらに顔を近づけるロイド、「もっと、もっと」うっかり足を滑らせたロイド、女の子にチュッとキスしてしまったのです。それを見ていた父親、先生、そして彼を推薦した弁護士までがかんかん。「君はもうなんてことをするのだ。君はクビだ、明朝一番の列車で帰りたまえ!」キス一つでえらいことになっちゃった(笑)。

 その夜居間で物思いに沈むロイド。そこへやってきたのは女の子です。「明日は見送るなって言われてるから今のうちにさよならをしにきたの」女の子のこのかわいらしい台詞にロイドはがきーん!彼は女の子に「よし、僕は帰らないぞ、ここに残ってきっと助けてあげる」と、ここでいきなりどこかでピストルがずどん、ですよ。なんだ、なんだとみんな起きてきて大騒ぎ。二人のおまわりさんがやってきて、「脱走犯のバンピー・ローガンがこの辺に逃げ込んだようです。皆さん、戸締りをきちんとして外に出ないようにしてください」真夜中の大捕物でありますな。これでみんなは大コーフン。女の子まで目をきらきらさせて「怖いわ、脱走犯が来たらどうしましょう」その姿をみたロイドはぽんと手を打って「そうだ、彼女は今まで興奮したことがなかったのだ。興奮、スリル、これが彼女に必要なものだ」そ、そうかなあ(笑)。

 ロイド、部屋に隠れてモップで髪の毛をつくり、帽子を被ります。紙で鋭い牙をつけて、ああ、これは変装しているのですなあ。そしてぱっと飛び出してみんなを脅かしにかかるのです。これからロイド=悪漢の大活躍。悪漢、部屋へ逃げ込む、中で変装をといて転がりだしてくる。みんな、「あ、ロイドが悪漢と戦っている!」と思う訳ですよ。ロイド、また部屋へ飛び込んで椅子で床をがんがん叩いて大きな音を出します。みんなますます「ロイドが戦っている」と思うわけですよ(笑)。

 ロイド、部屋から出てきて「みなさん、悪漢はこの部屋の中ですぞ」そしてみんなを部屋へ呼び込むとベッドの下に飛び込んで隠して置いた変装道具でまた悪漢へ。ぴゃっと飛び出します。「あ、悪漢がいたぞ」みんなは彼を追いかけるのでした。女の子も大張り切り。「これでひっぱたいてやるわ!」と長い棒を振り上げます。そしてソファの後ろでもぞもぞやっていた人陰を一撃。しかし、それはロイド、「あ、ごめんなさい女の子は一生懸命ロイドを介抱します。そんなこんなでいいムードになりかけるのですが、ここで召使の一人が世界一余計なことをしちゃいました。なんと彼は番犬を家の中に話したのです。当然ながら三度悪漢に変装したロイドを追っかけます。一度は浴室にあった睡眠剤をしみこませたタオルで犬を眠らせたのですが(ヒドイ!)、逃げ出そうとしたら召使がドアをばんと開けちゃった。弾き飛ばされたロイドが朦朧としている内に犬復活(笑)。また追いかけられるのです。さんざんに追っかけまわされたロイド、ついに起死回生の妙手、戸棚の扉を開けると犬を誘い込んで閉じ込めちゃったのであります。

 さてと安心してソファーの陰で変装を解くロイド。これを女の子が見ていたのですねえ。「まあ、あの人だったの」と何故かさらに好意をもってしまう女の子(笑)。一方、ソーンバーグ先生はこの夜中にも関わらずホテルへ行くのだと言い出しております。「こんなアブナイところにいられませんな」しかしロイドが「いや、悪漢は僕が追い出しましたよ」というと態度を一変させ「んじゃ、残りましょうか」これを聞いて怒った女の子、ロイドが隠して置いた変装道具で悪漢に変身、うわっと飛び出て先生を脅かしたのであります。

 そして正体を現して父親に「ロイドが私たちのためにやってくれたのよ」ソーンバーグ先生は「一体全体なんてことをしてくれたのだ」と怒り狂うのですが、父親は彼に治療されて沈み込んでいる女の子、そして、今の元気一杯の女の子との姿を心の中で比べて、「先生、出て行くのはあなたです」と彼をクビにしてしまったのでありました。先生、なおも抗議するのですが、ここでロイドが戸棚を開けると閉じ込められた犬が飛び出してきて、先生の尻にがぶり。哀れ、先生、ズボンの尻を食い破られた格好ですごすご逃げ出していくのです。おしまい。

 いくら女の子のためとは言え、悪漢に変装して家族を死ぬほど怖がらせるのはどうかと思いますよ、ロイドさん。

  モノクロ・スタンダード、サイレント。画質はまあまあというところ。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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