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2006年8月 4日 (金)

『豪勇ロイド』(『Grandma's Boy』 1922年)

 

気の弱い男が暴漢相手に大活躍。馬鹿にしていた人たちを見返して美しい花嫁までゲット!めでたし、めでたしって、ロイド映画ってこういうのばっかですな(笑)。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

田舎町ブロッサム・ベンド。火曜日の急行が水曜日の午後やっと到着するというくらいのんびりしたところ。ここに住む青年ロイド、彼は子供の頃からそれは気が弱くていじめられてばかり。今でも好きな女の子ミルドレッドと仲良くアイスクリーム作りをしていると、彼のライバル、チャールス・スティーブンソンが現れて彼を邪魔するのです。「何、アイスクリームだあ」チャールスは彼をぐんぐん押して井戸に追い詰めると、「こうしてやる」彼のネクタイを毟り取って井戸へぽい!カラーも毟り取って井戸へぽい!しまいにはロイドを持ち上げて井戸の中へぽい。「うわああ、そんな人を貞子みたいに!」

 チャールスはこの隙にアイスクリームを持ってミルドレッドのお母さんにおべんちゃら。「どうです、このアイスクリーム、僕が一人で作ったんですよ!」どうにもヒドイ奴で。一方ロイド、井戸からやっと這い上がって家へと戻ります。しかし、ずぶ濡れになった背広が乾くにつれてぴちぴちぴちーと縮んじゃってロイド、つんつるてん。女の子達に笑われたロイド、恥ずかしさのあまりだーっと走り出すのでした。そのまま家に戻っておばあちゃん(アンナ・タウンゼンド)に「うわーん、大変だよう、背広が縮んじゃったよう。今夜のミルドレッドのパーティに着ていけないよう」

 さらに悪いことに悪漢ローリング・ストーン(ディック・スザーランド)が図々しくもロイド家の庭に侵入。椅子にどっかと納まって鼻くそなどほじっております。このローリング・ストーンという男、転石苔むさずなんだけど、土は集めるということでつまりは埃まみれ。大層汚い。おばあちゃん、「あいつを追っ払わなきゃ」そうしてロイド、ローリング・ストーンに近づくと、「あの、ここはウチの地所なんで、どっか他所へ行って貰えますか」ローリング・ストーンは彼をじろりと見て「がおー」ロイドぴゃっと逃げ出します。それじゃというので家の飼い犬のくさりを解いて「ほら、あいつをやっつけろ」わんわんわん、わわわん、わんと威勢よく駆け出す犬ですが、ローリング・ストーンはまた「がおーっ」犬もあっさり逃げ出します。次にロイドは箒を振り上げるのですが、ローリング・ストーンが立ち上がって迫ってくると、「お出かけですか、レレレのレー」お掃除始めちゃうという・・・。

 業を煮やしたおばあちゃん、ロイドからぱっと箒を取り上げると、「出ていきな、この極つぶし」ローリング・ストーンの頭を箒でばっしんばっしん叩いてあっさりと追い出してしまうのでした。これを見たロイド、「ああ、僕はやっぱり駄目だ」すっかり落ち込んでしまうのです。

 おばあちゃんはそんなロイドのためにこう言い出します。「背広が駄目になったって、いいさ、おじいさんの背広があるからこれを仕立て直せばいいんだよ」そうですかね(笑)、おばあちゃんの気持ちも分かるけど、おじいちゃんの背広は1862年モード。いくらなんでも古くさすぎるでしょ。おまけにおばあちゃんたら魚脂を塗って靴を光らせているし、もう知らないよ!

 背広の用意が出来ました。これをりゅうと着こなしたロイドは意気揚々とパーティに出かけます。しかし、やっぱり背広は誰の目にもおかしく映ったようで、出迎えてくれたミルドレッド、彼女の両親もへんな顔。さらに奥から出てきた黒人召使の背広がまったくロイドのおじいさんのそれにそっくりだったという・・・。これでロイド、がっかりしますが、ミルドレッドは優しいですねえ、彼をピアノのところへ引っ張っていって「理想のあなた」なんて歌を歌ってくれるのでした。その歌詞が「愛してる、愛してる、あなた、愛してる」だったからたまりませんよ。ロイド、あっという間に機嫌を直してにやにやしております。

 しかし、ここでまた事件発生。靴を磨いた魚脂の臭いをかぎつけて子猫がやってきたのです。子猫はロイドの靴をぺろぺろ。追っ払ってもすぐに戻ってきます。しかも戻ってくるたびに猫の数が増えてくる。もう五匹ぐらいでぺろぺろやっているんです。弱ったロイド、犬の置物に目をつけて、それを床に置くと「うーわん、わん」子猫たちは驚いて一目散に逃げ出すのでした。

 さて、ミルドレッド、「あら、ロイド、ネクタイが緩んでいるわよ」結ぼうとして彼の背広に顔を近づけるのですが、「あれ、なんだか変なにおいがするわ」実はこれ虫食い予防の樟脳だったという・・・。慌てたロイド、彼女の目を盗んで樟脳を取り出すとお菓子入れの中に放り込んでしまいます。これで安心と思ったロイドですが、ミルドレッドがお菓子と間違えて樟脳をつまみ上げると、はい、あーん。ロイド、口をもぐもぐさせて「げーっ」でもまさか吐き出すわけにもいかないので必死にこらえております(笑)。

 ここで同じく招待されていたチャールスがやってきて図々しいことにロイドとミルドレッドの間に割り込むのでした。そして何の気なしにお菓子いれに手を伸ばすと、はい、彼もまた樟脳を食べてしまうのです。ロイドとチャールス、「げーっ」ミルドレッドが席を外したとたん、トイレへダッシュ!二人してげーげーやるのであります。

 いきなり保安官が飛び込んできます。なんでもあのローリング・ストーンが宝石店を襲い、駆けつけた警察官を一人撃ち殺してしまったというのです。保安官は彼を探すためにボランティアを募っていたのです。チャールス、これを聞いてニヤー。ロイドに「君、やりたまえよ」、ライフルをおしつけます。あろうことかミルドレッドも「ロイド、これはチャンスよ、あなたが一人前の男だって証明するのよ」なおもためらうロイドですが、ミルドレッドから励ましのキスをちゅっとしてもらって「よーし、やるぞー」でもやっぱり、ロイド。外に出るなり、「なんだ、僕一人かよ、保安官とかみんな、どこ行ったんだよ」いきなり置いてあった鍬を踏みつけます。バターンと跳ね上がった鍬の柄に背中を叩かれて「だ、誰だ、ひーっ、お助けー」馬小屋に逃げ込んだのですが、ここでも馬に鳴かれて「ヒーッ」豚に脅かされて「ギャーッ」鶏が飛び出してきて「アウ、アウ、アウ」ついにロイド、ライフルを放り出して家に逃げ帰ってしまったのです。

 どたばたと家に戻ってきて寝室に飛び込みぶるぶる震えているロイド。おばあちゃんはそんな彼の様子を見て「ここは私がなんとかしなくちゃ」と決心します。翌日、後悔の念に苛まされながら起きてきたロイドにおばあちゃんは「ロイドや、大事な話がある。お前のおじいさんのことだよ」おばあちゃんが指差したその先には口ひげ生やして軍服着たロイドの写真が飾ってあるという・・・(笑)。ここから場面は1862年南北戦争佳境の時代にすっ飛びます。北軍(多分)に従軍したロイドのおじいちゃん、やっぱり臆病者であちこちで爆弾が爆発する戦場をひいひい言いながら駆け回っております。ほどなく目的地である南軍(多分)の拠点に到着するのですが、警備が厳しくとても潜入できそうにありません。

 ここへやってきたのが物乞いの老婆。「あのよお、兵隊さんよお、おら、3日も食べてないだよう、何かおくれよう」しかし無慈悲な南軍(多分)の兵士は老婆をげしげしと殴る蹴るの乱暴。ほうほうの態で逃げ出した老婆、北軍(多分)のロイドおじいちゃんを見つけて「お兄ちゃんよう、頼むよう、あいつらやっつけておくれよう」「駄目だよ、僕はベル将軍の暗号を盗みにきたんだけど、臆病者だから潜入するなんてとてもできないよう」と見ず知らずの老婆に自分の任務をぺらぺら喋ってしまうのはどうかと思いますが(笑)。

 老婆はふところから木の人形を取り出してロイドおじいちゃんに渡します。「これはよう、ズンのお守りだよう、これさえ持っていれば怖いものなんかないよう」その言葉を裏付けるかのようにロイドおじいちゃんを襲ってきた南軍(多分)の兵士、かわされた銃剣が壁にぐさっ。抜けなくなったところで老婆がぽか。さらにもう一人襲ってくるのですが、ロイドおじいちゃんがたじたじと後ずさりをしていたら玄関の木の板踏み抜いて跳ね上がった端が兵士のアゴを直撃。気絶してしまいます。これに気をよくしたロイドおじいちゃん、にわかに元気になって南軍(多分)の基地に潜入します。まず最初にコックをぽかり。彼になりすますと会議に出すパンチにアルコールをどばどば。これじゃ馬だってひっくり返る(笑)。これを将軍たちに飲ませて酔っ払わせると次から次にぽかり、ぽかり。ついにベル将軍までやっつけて暗号書を手に入れたのです。ロイドおじいちゃん、大手柄で英雄になった、ここで場面が元に戻って・・・。

 しかし、ロイド、「僕にはお守りがないから」と肩を落とします。そこでおばあちゃん、「大丈夫、私が持っている」と言い出す調子の良さ(笑)。大槻教授に「そんなこと言うんだったら宇宙人の写真でも見せてみなさいよ」と言われて「いいの、あるよ」と取り出す韮澤さんのよう。ズンのお守りを受け取ったロイドは現金にもたちまち張り切って「うん、おばあちゃん、僕はやるから!」飛び出して行っちゃった。

 さて、あの乱暴者、ローリング・ストーンは保安官と町の人々によってミラーの小屋へ追い詰められております。両者は激しい銃撃戦を展開。ここへやってきたのがロイドです。なにしろお守りがありますから、いきなり「ようし、僕がいっちょぶわーっと行くからみんなついてこい!」その勢いにつられてロイドの後に続くのですが、ローリング・ストーンが一発撃つと、みんな蜘蛛の子散らすように逃げちゃった。一人になったロイド、一瞬あせりますが、何しろお守りがありますからなあ、「よし、こうなったら僕一人でやってやる!」ロイド、小屋に飛び込みローリング・ストーンをぽかり。見事に捕まえてしまったのです。

 ロイド、小屋の窓から「おーい、みんな僕が捕まえたぞ」みんなはわーっと歓声を上げて小屋に殺到します。しかし、ローリング・ストーン、その強力で手足を縛った紐をぶつん、ぶつんと切るやいなや、外へ逃げ出したのでした。とたんにまた蜘蛛の子散らすように逃げる町の人たち(笑)。ローリング・ストーンは車を奪って逃走します。町の人たちも車に飛び乗って追いかけます。ロイドも乗り込んだのですが、車はすし詰め状態。カーブで振り落とされてしまったのでした。しかし、なんたる幸運、先に逃げたローリング・ストーンもカーブでスピード出しすぎて車から放り出されていたのです。ロイドは偶然にも彼と同じ地点で振り落とされてしまったのであります。

 ローリング・ストーンを見つけたロイド、背後から木の枝押し当てて「やい、手を上げろ!」こんな方法で捕まえられてしまうローリング・ストーンが悲しい。ロイドは「やい、きりきりと歩くのだ」このまま町まで連行しようというのでしょうか。てくてく歩いていると知人が通りかかったので振り返って挨拶、そのまま前を歩いているローリング・ストーンとはぐれてしまいますが、気づかない。どんどん歩いているとカーブで再びローリング・ストーンにあって元に戻るというギャグ。この間両者とも全然気がつかないのが面白いですな。歩き疲れたロイド、ネコ車を見つけて、「やい、これで僕を運ぶのだ」ところが、穴ぼこに入ってネコ車転倒、ロイドも投げ出されてしまいます。この時とばかり再び逃げ出すローリング・ストーン。ロイド、丁度居合わせた車を奪って追いかけます。足でハンドルを操作しつつ、投げ縄を取り出します。ロープの一端を自分に巻きつけてヤッ、投げ縄をローリング・ストーンに投げつけるのですが、あにはからんや、郵便ポストに引っかかってロイド、激しい勢いで車から落っこちてしまうのでした。しかし、ロイド、そのまま走り続けている車に追いついて乗り込むとまたローリング・ストーンを追いかけるのです。ついにダウンするローリング・ストーン。ロイドは彼を町まで連行してやんやの喝采を受けるのでした。おばあちゃん、ミルドレッドは大喜び。

 ロイドは有頂天となってミルドレッドの家へ行こうとするのですが、ここで邪魔するのがチャールス。もうすっかり気の大きくなっているロイドですからこれまでのように泣き寝入りするはずもなし。たちまち殴り合いの喧嘩になるのでした。納屋の2階に上がって窓から落っこちそうになったり、落っこちたら落っこちたで下が干草の山でそのまま殴り合いを続けたり、もう大熱戦です。しかし、ついにチャールスは降伏、井戸の側でロイドに「悪かった、仲直りしようぜ」と手を差し伸べます。しかしこれは当然ながら彼の策略。チャールスはわっと手を引っ張ってロイドを井戸に落っことそうとします。「わああ、そんな人を貞子みたいに!」しかし、今回落っこちたのはチャールスの方でした。彼の企みを素早く察知したロイドが逆襲したのです。

 この喧嘩をずっと見ていたおばあちゃん。「ロイドや、良くやったね」しかし、ロイドは浮かぬ顔。「いや、お守りのおかげだ。僕は何もやってないよ」しかし、ああ、なんということでありましょう。おばあちゃんのお守り話はまったくの作り話だったのです。あの人形だって、おばあちゃんの傘の飾りだったのです。「だからね、みんなお前が自分の力でやってのけたのさ」「そうか、うわーい、おばあちゃん、ありがとう」

 ロイドは勇気を振り絞ってミルドレッドにプロポーズ、ミルドレッド頬を染めて「うれしいわ、あなた」となったところで映画は終わります。

 おばあちゃんの取り出すお守りとやらが見た目に安っぽくて、ロイドもこんなのに騙されるなよと思いますが、ハッピーエンドなのでヨシとしておきましょう(えっらそうに)。

 モノクロ・スタンダード、サイレント。画質は標準レベル。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
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   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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