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2006年8月 3日 (木)

『田吾作ロイド一番槍』(『Kid Brother』 1927)

 

『田吾作ロイド一番槍』(『Kid Brother』 1927

 「貧弱な坊や」と馬鹿にされていたロイドが強盗事件で大活躍。一人前の大人として認められるという典型的なロイド映画。ラストで可愛い恋人ジョビーナ・ラルストンと結ばれるのもお約束、お約束であります。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

田舎町をがらごろと進む馬車。パワー教授の「医学ショー」興行馬車であります。もっとも主催者のパワー教授は死んじゃってて残された娘のマリー(ジョビーナ・ラルストン)が仲間のフレッシュ(エディ・ボーランド)や猿使いの大男とともにこれからどうやっていこうかしらと思案しているような状態。しかし、悩んでいても仕方ないのでとりあえず近くの町、ヒッコリーヴィルで興行打ちましょうやということになったのです。

医学ショーというのは移動舞台で芸を見せて、ついでに薬を売りつけるという、いわば芸達者な越後の薬売りみたいなもの。

 このヒッコリーヴィルの有名人、ヒッコリー一家、シェリフで住民の尊敬を一心に集めるジム(ウォルター・ジェームス)、たくましい二人の息子レオ(レオ・ウィリス)とオーリー(オーリー・フランシス)、そして末弟でみそっかすのロイド。ロイドは知恵は働くのですが、ブルワーカー使う前のような貧弱な坊や。おまけに誕生日が41日で一家の中で馬鹿にされております。今日も今日とて父と上の兄二人がたくましい腕で丸太を抱えているのを羨ましそうに見ているロイド。彼の役目は洗濯。洗い終わった洗濯ものをタコを使って干しております。

 そこへ作業を終えたジムがやってきて、「おい、ロイド、町民会議に着ていくシャツの洗濯は済んだだろうな。そのシャツに何か起こったらタダじゃおかんぞ」こんなこと言われてシャツに何か起こらない訳がない(笑)。ロイドがちょっと目を話した隙に牛がシャツに噛み付いたのです。「わあ、ヤバイ」あわててタコの糸を引っ張ると今度はぶちっ、タコ糸が切れて洗濯物はタコに引っ張られて空中へ舞い上がります。「これはさらにヤバイ!」ロイド、洗濯物を追いかけて走り出します。

 その洗濯物、運の悪いことにロイドの宿敵ハンク・フーパー(ラルフ・ヤーズレー)の家に飛び込んじゃった。それも偶然、洗濯をしていたハンクの洗濯かごの中にすっぽり入っちゃったのです。ロイド、洗濯かごの中からパパのシャツや他の洗濯物を取り出して「ああ、良かった」しかし当然ながらハンクは「このロイドめ、なぜうちの洗濯物を盗むだ!」彼を追いかけるのでした。これからしばらく二人のおっかけっこ。ロイドはたくみに逃げ回りつつあちこちに散らばった洗濯物も回収。木の上に引っかかった洗濯物をとるためにわざと他の洗濯物をひっかけます。すると自分の洗濯物と勘違いしたハンクが木によじ登る。その重みで木がぐいっと曲がったところでロイドが飛びついて洗濯物を取る、そんなギャグが繰り返されるのでした。そしてついに自宅へ到着したロイド。ハーパーは彼に殴りかかったのですが、ここで出てきたのがジムとハーパーの父であるサム(フランク・ラニング)、ロイドはジムに「お前、わしのシャツをびりびりにしおって」ハンクはサムに「ここの家のもんと悶着起こすなって言ったろうが」それぞれぶん殴られてしまうのでした。

 ジムはサムに「もうすぐダムができる、ヒッコリーヴィルにとっての大事件になるぞ」するとサムはイヤミっぽく「そう、それにあんたにとっても大事件になるな」ちょっと意味深な会話ですね。これが後の伏線になっているのでしょう。

 さて、シャツのことは諦めて(笑)町民会議へ出かけるジムとレオ・オーリー。当然ながらみそっかすのロイドはお留守番。ここへ興行の許可を得るためにやってきたのが「医学ショー」一行ですよ。鬼の居ぬ間のなんとやらで父親の保安官バッヂやガンベルトをつけて遊んでいたロイド、彼らに保安官その人だと思われて訳も分からず許可書にサインしてしまったのです。「よーし、明日からさっそく店開きだ」張り切る医学ショー一行。そのままヒッコリーヴィルの町へ向かうのでありました。

父のジムは常々、「医学ショー」などといういかがわしい輩は町には入れん!と言っていたのですがねえ(笑)。

 そしてさっそくに舞台の準備。その合間に森へ散歩に出かけるマリーです。しかし彼女をつけていたのが猿使いの大男。彼はやにわにマリーに襲い掛かると「ええやろ、させんかい」「ヒーッ」マリー逃げ出します。追う猿使い、逃げるマリー、ここに颯爽と登場したのがロイド。彼は助けを求めてきたマリーを庇って猿使いに棒を振り上げ、「てめー、近寄るな、近寄ると・・・、ヒドイぞ」猿使いは彼の剣幕に怯え・・・じゃなくってこの棒に偶然絡みついた蛇を見て逃げ出してしまうのです。マリー、そんな彼にもうボーッ。「あなたのお名前は」「ヒッコリーです」「まあ、あの有名な、私、どうしてヒッコリーさんの家が有名なのか分かっちゃった。あなたがとても勇敢だからだわ」「有名なのは親父が保安官だから」「いいえ、そんなことはありませんわ」ええもうボーイ・ミーツ・ガールでたちまち仲良くなるという。この後二人は握手して別れることになるのですが別れがたいロイド、木の上によじ登って叫びます。「君の名前は?」「マリーよ」「じゃあ、マリー、さようなら」熱心に手を振り合う二人。しかしやっぱりまだ別れたくないロイド、さらに高く上って「君はどこに住んでいるの」「私、医学ショーの興行やってるわ、見に来てね」「うん、分かった、じゃあ、さよなら」あんまり手を振りすぎたのでバランスを崩したロイド、木から転げ落ちてしまいます。それでもうれしそうにニヤニヤしておりますな(笑)。

 しかし、ジムだったら絶対許さなかった医学ショーの興行、すんなり行くはずがありません。自分の知らぬうちに興行の許可が出されていたことを知ったジムは激怒して、「ロイド、お前だな、余計なことをしたのは。今から行って興行を中止させてこい!」と彼を家からたたき出してしまったのであります。仕方なく町へ向かうロイド。そしてマリーの可憐なる歌とダンスで大盛り上がりの観客の足元を潜り抜けて舞台へと上がります。彼はフレッシュにちょいちょいと合図して、「あの申し訳ないんだけどさ、パパが興行中止しろって言っているんだけど」そんなことを言っても相手にされるはずがありません。彼はフレッシュの「世紀の大魔術、このロイド君を1.2.3で消してごらんにいれます」という口上の後、床の仕掛けで床下に落とされたり、両手に手錠をかけられて吊るされたりもう散々な目に合わされるのです。

 これを見て喜んだのがハンク・ハーパー。彼はどこから持ってきたのか(笑)火のついた炭を入れた皿でロイドのお尻をあぶり始めたのです。「アチ、アチ、アチチチ、うわあ、僕のお尻が火事です!」あまりの熱さにあばれるロイド。炭の皿を蹴っ飛ばして落としてしまいました。これが舞台のカーテンに引火してたちまち燃え上がり、あわれ医学ショーの舞台は馬車もろとも燃えてしまったのであります。おまけにジムから「24時間以内の退去」を命ぜられたマリーは大ショック。大粒の涙をこぼして泣くのでありました。

 そんな彼女を慰めるロイド。しかし、また運の悪いことに大雨が降ってきたのです。ロイドは馬車を失ってしまった彼女を自宅にこっそり連れ帰りとめてあげることにします。ジムはすでに就寝。二人の兄はまだ起きていたのですが、何しろ西部の荒くれ男、女には弱い、弱い(笑)。ロイドがマリーを連れてきたのを見て止めるどころか「ウワー、女だ」って逃げちゃうの。ロイド、そんな兄たちを尻目に彼女にコーヒーを飲ませて食事をさせベッドの用意。さあ、寝ようということになったのですが、ここで現れたのがハンクとそのお母さん。実はハンク、ロイドが自宅に彼女を連れ込んだところを目撃して邪魔しにきたんですねえ(笑)。お母さんは「こんな男所帯に若い嫁入り前の娘がとまるなんてトンデモない。家にきなさい」と彼女を連れていってしまいます。がっかりするロイド。何を期待していたのか、これまたがっかりする兄二人。

 さて、ハーパー家に泊めてもらったマリーですが、医学ショーの他の面々、フレッシュや猿使い男は野宿を余儀なくされております。次の朝、わらの中でううーんと起きた二人、落ちていた新聞を拾って読んでみますとなになに、「ダム建設資金、ダム建設祝典の日までシェリフが預かる」。二人は顔を見合わせてにやっ。何かよからぬことをたくらんだようです。というか、こんなことを記事にするなんてまるで、さあ、狙ってくれと言わんばかりですな(笑)。

まあ、マリーを強姦しようとしたり、建設資金をナニしようかと企んだり、どうもこの医学ショーの面々はロクでもないですなあ。ジムが絶対許さないというのも無理はありません。

 さて、ヒッコリー家、マリーは昨夜のうちにハーパー家へ行ってしまっているのですが、そうとは知らぬ二人の兄。台所のカーテンの向こうでマリーが寝ていると思ってそわそわ。実際はロイドが寝ているのですが、なんとか彼女に取り入ろうとする兄二人はお互いに隙をうかがいあって朝食の差し入れ。ロイドはそれをカーテンの向こうから受け取ってぱくぱく。朝飯を二食分、日ごろ虐げられている彼にとっては盆と正月がいっぺんに来たようなもの(笑)。しかし、その喜びも長くは続きませんでした。朝飯を食べているはずのマリーがやってきたからです。じゃあ、カーテンの向こうにいるのは誰?「ロイドじゃん!」怒り狂った兄二人はロイドを激しく追いかけるのです。

 ロイド、ジムの馬車に素早く乗るとジムの上着をひっかけます。そして追いかけてきた兄二人に「あっちだよ」「そう、パパ、ありがとう」だーっとあっちに向かって走ると馬車に乗っていた筈のジムがいた。「あれがロイドだったんじゃん!」再び激しくロイドを追いかける兄二人です。ところがこの間、ジムその人が馬車に乗って上着を着てしまったからさあ、大変。「同じ手は食わないぞ」ということでパパをタコ殴りにする兄二人。当然ながらジムに大目玉を食らうのでありました。

 ピンチを逃れたロイドにマリーは「もうメディシンショーできなくなったからハーパーの家でお手伝いさんになったの」と知らせます。ハーパーのところで、と嫌な予感に囚われるロイドですがとにかく彼女を送りだすのでした。ここでまた兄二人に追いかけられるロイドですが、いつの間にかマリーと二人でお花摘み。はっとたじろぐ兄たちですが、実はロイドがヤギにマリーの服を被せていたというオチ。これはなかなか面白い。

 さて、ダムの式典に行こうとするマリー。しかしここでちょっかいを出してきたのがハンクです。「なあなあ、俺と一緒にダム式典へ行こうよ、何、行かない!ふん、俺と行かないなら、この家からださないよーん」どうも、このへんの男達は女慣れしていないようですな(笑)。彼女を迎えにきたロイド、この勝手きわまるハンクの台詞を聞いて激怒。石を拾ってハンクの後頭部に投げつけます。がんと当たってハンク、「てめー、ロイド、ぶち殺してダイチョー引きずりだす!」と外に飛び出した。そして畑でロイドの帽子が動いているのを見つけて飛び掛るのですが、それはなんと豚。ロイドが自分の帽子を豚に乗っけていたのでした。この隙にロイド、まんまとマリーを連れ出すことに成功します。

 しかし、ここで大事件発生。ヒッコリー家からダムの建設資金が盗まれてしまったのです。ジムは家の中に医学ショーの許可書が落ちていたことから、犯人があの二人、フレッシュと猿使いではないかと考えます。そして彼はレオとオーリンにライフルを渡して「二人を捕まえてこい、頼んだぞ!」ロイドも志願したのですが、彼に対してジムは「これは男の仕事だ。お前のような貧弱な坊やが出る幕じゃない」これでがっかりしたロイド、なすすべくもなく立ち尽くすのでした。そんな彼を元気づけるマリー。「あなたはどうしていかないの?」「だって僕はみそっかすなんだもん、貧弱な坊やなんだもん、君は僕の事を買いかぶっているんだもん」「そんなことはないわ、もっと自信を持ちなさい」ちゅっとキスするマリーです。さあ、ロイド、たちまち元気になって「よし、マリー、僕も行くぞ!」だって(笑)。

 ところがこのキスを見たハンク、めらめらと嫉妬の炎を燃やしまして、町の人に「おい、あれは医学ショーの娘だ、ロイドが彼女を逃がそうとしているぞ!」町民たちはなんとしたことかわっと二人に襲い掛かってマリーを捕らえ、ロイドはボートに乗せられて海に流されちゃったのであります。

 ところがこのボートが幸いした。フレッシュと猿使いは海岸に座礁した船に潜んでいたのです。これにボートがごっつんこ。気を失っていたロイドがこのショックで目を覚ましますと船の上で見たことのある猿がうっきっきと遊んでいるではありませんか。そしてその猿が落とした紙を見ると、これがヒッコリー家一同でサインした金の預かり状だったのです。そうか、ここに隠れていたのか、ロイドはさっそく船の上によじ登るのでした。そして船室を覗いてみますと、いるいる、フレッシュと猿使いが盗んだ金を数えている。おまけに取り分めぐって大喧嘩はじめたぞ(笑)。猿使いはフレッシュをさんざんに殴り、失神した彼を床下にどぼん。落としてしまいました。フレッシュ、これで退場、以降映画に出てきません。可愛そうなものであります。

 ロイド、船室に潜入、金を奪い返さんとするのですが、あの猿が毛布を被って隠れたロイドのことを猿使いに知らせちゃった。毛布を剥がれて飛び上がるロイド、たちまち、彼と猿使いのおっかけっことなります。逃げる、ロイド、足にロープを引っ掛けられて引き倒されてしまいます。近くにあった斧でこのロープをヤッと切断、斧を振り上げて猿使いを脅かすのですが、ぽとりと刃が落ちちゃった(笑)。再び脱兎のごとく逃げ出すロイド。このままじゃ埒が明きません。ロイド、思案投げ首の末に猿を捕まえて自分の靴をはかせるのでした。猿は大きすぎるロイドの靴をはいて船内をどたんどたんと歩き回ります。そのまま上甲板にでてやっぱりどたん、どたん。これはとっても可愛いぞ(笑)。この足音をロイドと勘違いした猿使い、金を船室に残したまま上甲板に登っていくのです。この隙に金を取ったロイド、逃げ出そうとするのですが、猿のトリックに気がついた猿使いが戻ってきて戦いとなります。

 ロイド、ロープで垂れ下がっている滑車をえいと猿使いにぶつけますと彼は船の浸水部分にどぼーん。「わあ、助けてくれ、おれは泳げないのだ」ロイドも飛び込んで水中で戦い。ついに彼を失神せしめるのであります。大変な苦労をして男を引っ張りあげるとロープで縛ります。さあ、今度こそ金を取り返したぞと思ったのですが、男は復活。ロープをほどいてまたロイドに襲い掛かるのでした。

 一方町ではあのサム・ハーパーが「やっぱり金はシェリフが盗んだのだ。こいつを縛り首にしろ」町の人たちも無責任に「そうだ、そうだ」あっという間にジムの処刑が決まってしまったのです。どうにも野蛮きわまりないことですなあ。

 猿使いとまだ戦っているロイド。彼は浮き輪を男にぼんぼん被せることに成功しました。そのままどんどん被せていってついに男は動けなくなってしまうのです。ロイドはこれをまたロープで縛り上げ、滑車を使って海へどぼん。ロイドはぷかりと浮かんだ浮き輪に乗って箒をオール代わりにして陸へ上陸します。そのまま坂をごろごろ転がして町へ急ぐロイド。男は浮き輪の中で目を回しております。しかし、この間にも町民たちはジムを処刑台に引き立てています。さあ、間に合うか、どうなるか、まあ、間に合うに決まっていますな(笑)。ロイドは馬車に乗り換えて行進する町民たちの前に現れると「ほら、僕が捕まえましたよ」猿使いは捕まり、金も戻った。疑いが晴れたジムはロイドを抱きしめて「よくやった、息子よ、お前はもはや貧弱な坊やなどではないぞ、立派な男だ」

 そしてロイドはマリーとも再会。これを見てちぇっと舌打ちするハンクですが、ロイドがこれに気がついて殴りあい。もうもうと砂埃がたちます。この砂埃が晴れてみると、殴り倒されたハンク、マリーと仲良く歩いているロイド、こういう場面で映画は終わります。

モノクロ・スタンダード、サイレント。画質はまずまず。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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