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2006年8月 3日 (木)

『ロイドの人気者』(『The Freshman』 1925年)

 

『ロイドの人気者』(『The Freshman』 1925年)

 憧れの大学生となったロイドは学校の人気者になるべく、いろんなところで頑張るのですが…。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

テートカレッジへ入学することになっているロイド、前々から大学生活にあこがれていた彼は両親が心配するほど夢中になっております。彼はテート大学のイヤーブックをぱらぱらと眺めて「大学一の人気者、フットボールのヒーロー チート・トラスク(ジェームズ・アンダーソン)」の写真を壁にはってうっとりと眺めてみたり、『カレッジヒーロー』という映画を6回も見てみたり、とにかく頭の中は大学のことばかり。おまけに彼は両親の前でジグのステップを踊って見せて「『カレッジヒーロー』という映画の中じゃみんな自己紹介する時に踊るんだぜ」、両親、大はしゃぎのロイドに「あんなことやって皆から引かれなきゃいいのだが」と密かに思うのでありました。

 さて、いよいよカレッジへ入学する時がやってきました。走る列車の中でロイドは腹ごしらえをしようと食堂車へ。そこで偶然本作のヒロイン、ペギー(ジョビーナ・ラルストン)の隣に座ることになったのでした。この時、ジョビーナはクロスワードパズルに熱中。あまり熱心にやっていたのでついつい覗き込んでしまうロイドです。ペギーは鉛筆をなめなめ「あなたが愛する人の呼び方?うーん、スイートハートかしら」ロイド思わず「いや、ダーリンでしょ」「うーん、いとしい人(しと)なんてどうかしら」「それじゃゴクリです」この会話を聞いていた隣の老婦人、思いっきり勘違いして「あらあ、まったく仲の良いことねえ、若い人はいいわあ」ロイドは恥ずかしがって一目散にその場を逃げ出すのでした。

 列車はいよいよ到着。どよどよと降りる新入生たち。ロイドも荷物を抱えてホームへ降り立ちます。しかし、ダサいセーターにTの文字という田舎モノ丸出しのロイドに意地悪な先輩が目をつけた。列車から降りてこれからどうしようと迷っているロイドに近づいた先輩は「君、カレッジへ行く車はアレだよ、早く乗りなよ」その車は校長先生の自家用車。そうとは知らずいそいそと乗り込むロイドです。自家用車の運転手も運転手で乗り込んだのが誰かも確認せず、じゃあ、行きまっせと発進させてしまうのでありました。取り残された校長、憮然として「あの生徒は何だ」

 さて、テートカレッジでは講堂に新入生がオリエンテーションのために集まっております。ここで校長が一席ぶつのが恒例。しかし舞台の幕が開けるとたっていたのはロイド、運転手、彼を校長だと思っていたので裏の出口につれていってしまったんですなあ。ロイドは子猫が舞台の柱の上で降りられなくなっていたのを助けようとしていたところで幕が開いたという訳。大慌てのロイドに新入生たちは大笑い。びっくりして引っ込もうとするとあの意地悪な先輩がおし戻して「おい、新入生はスピーチすることになってるんだ!」「ええっ、本当っすか」舞台に戻ったロイド、しどろもどろです。みんな、大笑い。おまけに助けた例の猫がセーターに入ってもぞもぞ、みんなさらに、大笑い。ついでに助けた子猫の母猫がやってきて心配そうににーにー、ロイド、セーターの首から無理やり子猫を引っ張り出して母猫に渡します。みんなはもう転げまわって涙まで流して笑っています。

 ここでロイド、大好きな映画、『カレッジ・ヒーロー』の主人公の決め台詞を思い出します。「僕はフツーの男さ、良かったら僕のことはスピーディと呼んでくれたまい!」これでさらに大うけ。みんなはひーひー言ってます。「もう死ぬもう死ぬおなかイタイ、やめてやめて」あの意地悪な先輩もまたなんとしたことか人気NO1男のチートまでロイドを取り囲んで「君、やるじゃないか、よし、アイスクリームでも食べにいこう」彼らはロイドを中心に外へ出てアイスクリームパーラー目指して行進します。途中、どんどん人数が増えていってしまいにはあの子猫と母猫が後からついていくという・・・。ロイド、「これで僕は人気者」と思い込んでしまったのでありました。

 もちろん、みんな、彼をからかって面白がっているのですが。

 さて、下宿へ戻ったロイド。汚れに汚れた部屋の鏡を布で拭きますと、背後に映っていたのがなんとあのペギー。彼女はこの下宿屋の娘さんだったのです。「あ、こりゃ、この間はどうも」「いえ、私こそ」なんてお互いもじもじしております(笑)。ペギー、猫に引っ張られて取れたシャツのボタンを見つけて「あら、おボタンが、私がつけて差し上げますわ」なにがおボタンなんですかねー。このペギーの優しさにもう夢心地のロイド。ボタン付けが終わってしまうとペギーが行ってしまう。ロイドはこの時間を長引かせるべく、次々に自分でボタンを毟り取ってしまうのでした。

 すっかり人気者きどりのロイド。そんな彼にあの意地悪な先輩がささやきます。「君、やっぱりね、人気者はフットボールしなくちゃ、ね、ぜひやりたまえ」ロイド、のこのこフットボールの練習をしているグラウンドに現れると(笑)。そこで大学のフットボールチームに激を飛ばしていたコーチ(パット・ハーマン)が彼を見咎めて「ん、なんだ、お前は。何、フットボールをやりたい?よろしい、ボールを蹴ってみろ」ロイドがぼいーんとボールを蹴ると何故か後ろに飛んでしまいます。犬小屋に命中して犬に追いかけられるロイド。コーチは呆れて「駄目だ、こりゃ」

 今度は「よし、お前、タックルしてみろ」ロープに吊り下げられたダミー人形に向かってロイド、突進します。しかしコーチがひょいとロープを引っ張ったので見事空振り。負けじとまた突進すると今度はロープを緩められてまた空振り。ここでコーチ、何かの用事でやってきた職員と話し始めます。この隙を狙ってロイドが三度突進。今度は首尾よく人形に飛びつくのですが、ロープが引っ張られて油断していたコーチがひっくり返ります。「お前、いい加減にしろ」大目玉を食らってしまいましたとさ。

 コーチはロイドを追い出そうとしたのですがあまりにロイドが熱心なために「よし、お前、みんなのタックルの練習台になれ!」ひどい目にあわせれば諦めるだろうということだったのですが、あにはからんやロイド、次々とタックルかまされてへろへろになりながらも頑張る、頑張る。ついにチーム全員のタックルを受けてしまったのです。おまけにこの後、みんなの道具を片付けるという巨人二軍時代の多摩川グラウンドでの星飛雄馬のような真面目さ。これにほだされたチートとコーチ、彼をチームのウォーターボーイとして採用することになったのです。

 ホテルのクラークで働いていたペギー、偶然あの意地悪な先輩がこう言っているのを聞いてしまいました。「おい、ロイドの奴、またいいネタができたぞ。あいつ、ウォーターボーイなのに、自分はフットボールのチームに入れたと勘違いしているんだ」あっはっはっはと笑いさんざめく友人達。ペギーは大層心を痛めます。そして下宿にへろへろで帰ってきたロイドに本当のことを話そうとするのですが、ロイドがあんまり嬉しそうに「おれ、フットボールのチームに入れたんだ、よーし、頑張るぞ」と張り切っているものですからついに言いそびれてしまったのであります。こうしてロイドの勘違いはますます酷くなっていくのでした(笑)。

 さてカレッジの秋のお楽しみ、フォールパーティが近づいてきました。そのホストに選べれたのがなんと我らがロイド、ホストには人気者しかなれないと思っていたロイドは大喜びです。もちろん、みんな、彼をからかって選んだのですが、そんなことロイドに分かる筈もなし。彼はいさんでパーティ用のスーツを仕立てます。ところがこの仕立て屋さん(ジョセフ・ハリングトン)が年寄りでどうも頼りない。おまけにいきなり失神したりします(笑)。慌てた奥さんが一杯のブランデーを飲ませたらたちまちしゃっきり。「一杯のお酒が特効薬ですの」っておいおい、アブねえなあ。

 ロイドの心配が当たってスーツは出来上がりません。ついにパーティの開始時間を過ぎてしまいました。やむなくロイド、今だ仮縫製しかしてないスーツを着て飛び出します。仕立て屋さん、あわてて「まだ完成してないんだから、気をつけて、あっあ、そんな急に動かないで、走らないで、スーツがばらばらになってしまう!」心配のあまり、仕立て屋さん、ロイドについてパーティ会場であるホテルへ行くことになります。そしてようやく到着。ロイドは途中で買ってきた花束をペギーに渡して意気揚々と会場に入っていくのでした。みんなは大喜び。大拍手です。しかし、ロイド、その拍手に答えて手を上げようとしたら、バリッ、脇の下が破けます。胸ポケットからハンケチ取り出そうとしたら胸ポケットごとバリリ、あっと驚いて振り向いたら今度は背中がバリリ。仕立て屋さん、大慌てで繕い始めるのでした。

 ロイドはダンスに引っ張り出されます。仕立て屋さん、「わし、見てるから、もしどっかが破れたらベルならすから」ダンスを始めるロイド。ところがテーブルのカップルがウェイター呼ぼうとしてベルをチーン、チーン、繰り返し鳴らします。その度に破れたのかと思ってあせるロイド。しかし鳴らしているのがカップルだと知って「なーんだ」と安心します。するとその直後に今度は本当に片袖が取れちゃった。しかもダンスパートナーの女の子のドレスに引っかかって持っていかれちゃった。必死にベルを鳴らす仕立て屋さん、しかし、ロイド、またカップルが鳴らしているので気にしないというギャグ。この後散々苦労して片袖を取り返したり、また仕立て屋さんがぶっ倒れて酒を求めて右往左往したりとギャグが続きます。

 ようやく一段落してふとクラークにいるペギーに目を留めたロイド。なんと彼女は貰った花束で恋占い。「ロイドは私を愛してる、愛してない、愛してる、あ、愛しているだわ、ウレシー!」ロイド、思わず「うおおお、激萌え-!、今時花びらで恋占い、そんな女の子がいたなんて!」ロイド、彼女を抱きしめてぶちゅぶちゅぶちゅちゅーとキス。一気に二人の仲が進展したのであります(笑)。ところがここでペギーにちょっかいを出す男が現れた。彼はペギーの手をがっと掴むと「ええやろ、させんかい!」ペギーの悲鳴に駆けつけてきたロイド、「何さらすんじゃ、ワレ!」と空中高く舞い上がって必殺のロイドキックです。蹴られた男はぼいーんと飛んでクローゼットにどすーん。ある種のコントのようにぼろぼろになって立ち上がってきて、「畜生、よくもやりやがったな、この勘違い男め。いいか、本当のことを教えてやろう」やめてやめてそんなこと言わないでという顔のペギーですが、すでに遅し。「お前は人気者なんかじゃない、皆からからかわれているんだよ、馬鹿にされているんだよ」ロイド、がーんとなります。ふらふらとパーティ会場に戻ってみると、みんながロイドのあの踊りを真似てげらげら大笑いしているという・・・。ロイド、「そうか、そうだったんだ、僕はなんて馬鹿だったんだろう」

 落ち込むだけ落ち込むロイド、彼の部屋で壁に貼り付けていた自分の写真がぱらりと剥がれてゴミ箱にぽとってそこまでやらなくても思いますが(笑)そんな彼を慰め勇気付けたのはペギーでした。「からかわれてたって、いいじゃない、あなたにできることを見せておやんなさいよ」好きな女の台詞一つで割りと安易に回復するロイドです。「よーし、フットボールの試合が最後のチャンスだ」だから君はウォーターボーイなんだって(笑)。

 そのフットボールの試合、ユニオンステートカレッジとの対抗戦です。ベンチで無闇に張り切っているのを見てまたあの意地悪な先輩たちが「おい、ロイドの奴、ウォーターボーイなのに試合に出る気だぜ」大笑いしております。試合はテートカレッジ不利。相手の大型選手のタックルでテートカレッジの選手は次々と負傷退場させられてしまいます。スコアは30、残り時間、10分、大ピンチであります。ここでコーチから呼ばれたロイド、「やった僕の出番だ」と駆け出すのですが、なんと「あ、彼のセーター破けちゃったから君のと取り替えて」だって(笑)。すごすごとベンチに戻ります。再開される試合、しかしまたもタックルを受けて選手が一人伸びちゃった。ロイド、チャーンス!とばかりにコーチに猛アピールです。「ねえ、コーチ、僕を出してくださいよ、もう控えの選手いないじゃないですか、僕出さないと棄権になってしまいますよ」審判からも早く交代選手を出せと催促されたコーチ、ついに、「ヨーシ、ロイド、お前行け!」

 ようやく試合出場がかなったロイドですが、さすがにフットボールは甘くない。スクラムでいきなりつぶされたり、敵味方の下敷きになって担架で運ばれかけたり、興奮した観客が投げた帽子をボールと勘違いしてキャッチ、自分ひとりでトライを決めたり。みんな大笑い、コーチはかんかんです。しかし、そんな彼にもやっとチャンスがめぐってきた。ボールを偶然受け取ったロイド、走る、走る、しかし惜しくもタックルされてトライならず。審判がぴーっと笛を吹いたのですが、気がつかないロイド、なおも走ろうとします。コーチはそんな彼を引き止めて「笛が鳴ったらボールを地面に置くの!」

 これでどうなるのかと言うと、この後再びボールを受け取ったロイド、走りに走ってトライ直前というところで汽笛がぴーっ。これを審判の笛と勘違いしたロイドはゴールエリア直前で立ち止まり、ボールを地面に置いてしまうのでした。「もうお前、あと一分しかないんだよ、本当の最後のチャンスだったんだよ」もう泣きそうになっているチート。コーチはベンチに自分の頭をがんがんぶつけています。もちろん、観客は大笑い。心配そうなペギーと彼女のお母さん。試合が再開、もはや逆転のチャンスはないかと思われたのですが、ここで奇蹟が起こった。ロイド、ボールを持っている相手選手にタックルかましてボールを奪うとまたまた大激走!試合終了一秒前にトライを決めてしまったのです。大逆転勝利、野球で言うなら9回裏ツーアウトで一点差、三振したかと思いきや、キャッチャーがボールをそらして振り逃げ、次のバッターが逆転サヨナラホームランみたいなもんです。この瞬間、ロイドは本物の学園の人気者になったのでした。

 観衆はロイドを担ぎ上げて勝利のパレード。みんな、あれほど馬鹿にしていたロイドのジグのステップを練習したりなんかしております。コーチなんか練習している学生達に「いや、違う、そこはこうやるんだよ」そんな中、ペギーがこっそりメモをロイドに渡します。ロイドが読んでみると、「やっぱりあなたはやればできる人だったのよ、愛しているわ」ロイドにっこりというところで映画が終わります。

 最初はロイドがイタクってイタクってたまらなかったのですが(笑)、それだけにラストの大逆転勝利は痛快そのもの。いやあ、面白かった。

  モノクロ・スタンダード、サイレント。画質は良好。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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