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2006年8月 3日 (木)

『ロイドの巨人征服』(『Why Worry?』 1923年)

 

病弱ロイドが南の島で革命軍相手に大暴れ!病弱な男が大暴れとは矛盾しておりますが、そこは映画を見れば分かります。さて、はじまり、はじまり…。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

なぜか自分を病弱だと思い込んでいる若き大富豪のロイド、ついに忠実なる召使(ウォーレス・フォー)と彼を密かにしたう看護婦(ジョビーナ・ラルストン)をつれて南米の島、パラディスコ島で療養することになったのであります。豪華客船の乗り込もうとするロイド一行ですが、ロイド曰く「何しろ僕は病弱ですからな」救急車で乗り付けるという慎重さ。召使は船酔いに効くというレモンを箱一杯持っております。もちろん、歩いて乗船なんかしやしません。ストレッチャーで寝たまま乗り込むのです。

 ロイドは同じようにストレッチャーに乗せられた老人を見つけて自慢げに話しかけます。「何しろ、僕は病弱ですからな。ドクターは僕が掛かってないのは天然痘ぐらいだと言っていましたな」すると老人、ぱちりと目を開けて「あ、天然痘ならわし、かかっとる」それを聞いたとたん、病弱な筈のロイドが脱兎のごとく走って逃げ出すというギャグ。しかし、なんですな、天然痘とは古いですな(笑)。さすがは1923年の映画ですな。

 二週間の船旅。ロイドを密かにしたう看護婦、胸をときめかせながらロイドの脈をとっております。その後ろで食事を運んできた召使がひっくり返った!びっくりしてロイドに飛びつく看護婦。ロイド、目を白黒させます。すると心臓がどきどき。ロイド、「まずい、心臓発作だ」と看護婦放り出して薬を飲むというオチ。次に男性船員を話す看護婦、その姿を見ていたロイド、何か頭がかっかしてくる。どうも嫉妬のようですが、「何しろ僕は病弱ですからな」のロイドです。熱が出てきたと勘違いしてまた薬。まったく楽しい船旅のようで結構、結構。

 さて、パラディスコ島ですが、一見いかにも暢気そう。みーんな寝ている、あんまり長く寝ているので蜘蛛の巣が張っているおじいさんもいる、馬車につながれたロバまでごろんと寝転んじゃった。そんな島でしたが、実はジム・ブレイク(ジム・メイソン)という男によって革命の計画が進んでいたのであります。今日も今日とて一番の部下、無敵のハーキュリー・ただし自称(レオ・ホワイト)が一般人の家庭を徴収、住人を追い出して会議を始めるのでしたってひどい(笑)。ジム・ブレイクはそこで部下達に手紙を見せます。「世界銀行より、ジム・ブレイクへ。君の行動は我々の商売に差し支えるのでこれ以上放っておけない。代理人を送るのでその指示に従え!」良く分かりませんが革命資金でも借りていたのですかね。

 ジム・ブレイクと部下達は「よーし、そんな代理人野郎なんかぶっ殺してやる!」と息巻く訳です。そしてこの代理人に間違われるのが・・・、後はもうお分かりでしょう。

 パラディスコ島に到着したロイド、車椅子を看護婦に押して貰っています。ところが急に坂道になったもので車椅子が看護婦の手から離れて走り出した。そしてロイドは運が悪くというか都合が良くというか、とにかくジム・ブレイクたちが作戦会議をしている家に突入してしまったのです。びっくり仰天のジム・ブレイクたち。ロイドは車椅子から立ち上がると、周りを見渡して「え、およびじゃない、およびじゃないね、こりゃまた失礼しました」どかーん、ジムたち派手にずっこけるってお前は植木等か!ゆうゆうと家を出て行くロイドにジム・ブレイクと部下達は顔を見合わせて「代理人というのはあいつに違いない!」

 さて、ロイドは看護婦と召使を残して散歩に出かけることに。散歩に出かけた直後、召使が攫われてしまいますが、そんなこととは露知らずのロイド。「のんびりしたいい町だなあ。何しろ僕は病弱ですからな、こんな町がいいのです」どかん、喧嘩で殴られた男が伸びてしまいます。「ほら、昼間っから寝ているよ、いいねー」また喧嘩で殴られた男、それを助けようとした女が抱きついたのを見て、「ほうほう、昼間からダンスかね、いいですなあ」とことん暢気なロイドです。

 しかし、ロイドの幸運もここまで。バルコニーで喧嘩ってみんなそればっかしですな(笑)。この喧嘩のとばっちりで置いてあった大きな植木鉢が落下。ロイドの頭を直撃します。ふらふらとなったロイド、「何しろ僕は病弱ですからな、おまけに頭に怪我して、こりゃ、急いでホテルに帰らなくちゃ」しかし、道が分かりません。ホテルを探してあっちへうろうろ、こっちへうろうろ。これを見ていたジム・ブレイク、ロイドに近づいて「私の部下に護衛と道案内させましょう」彼はスペイン語で部下たちに「このアホめを牢屋へぶち込んでしまえ!」スペイン語が分からないロイドは鷹揚に頷いて「皆さん、頼みますよ、何しろ僕は病弱ですからな」

 はい、まんまと牢屋へ叩き込まれてしまいましたとさ。この牢屋には先客がいました。その名はコロッサル、二メートルはあろうかと思われる巨人です。彼はジム・ブレイクの革命部隊と戦っていた世捨て人なのですが、運の悪いことに歯を悪くしちゃった。これで抵抗できなくなって捕まってしまったのです。ロイドは彼の助けを借りて窓の鉄格子をぶっこわし、苦労はしたもののなんとか脱獄に成功したのでした。

 一方一人残された看護婦、彼女に「お、ええ女やん」というジム・ブレイクの魔手が迫ります。いきなり真昼間からわっと抱きついて「ええやろ、させんかい!」看護婦、ひーっと逃げ出します。そして民家に逃げ込んで彼をなんとかやりすごすのでした。

 さて、ロイド、コロッサルと一緒に逃げようとするのですが、再びコロッサルの歯が痛み出した。はい、これから始まるのがおなじみ抜歯ギャグという奴であります。まず靴紐を悪い歯に結び付けてせいの!で引っ張ると紐が切れてしまう。次にもっと丈夫なロープを針金使って歯につなぎ、馬に引かせようとするのですが、肝心なところで馬からロープが外れてしまう。しかたないとロイドがロープ持って走り出すと、コロッサルが後から走っておいかけてくる。これじゃあ、歯は抜けません。

 「何しろ僕は病弱ですからな、いつまでもこんなことやってられません」ロイドはロープを木の枝に引っ掛けると建物の2階から飛び降ります。これでコロッサルの歯を抜こうという算段ですが、あにはからんや、ぶらーんとぶら下がっちゃった。また建物の2階に上がったロイド、今度は植木鉢抱えて飛び降りようとします。ところが何の拍子か、コロッサルの歯がぽろりと抜けちゃった。そうとは知らず飛び降りるロイド。植木鉢もろとも地面に激突するのでした。ヒドイ目にあったロイドでしたが、コロッサルはこれで感謝感激。ロイドの忠実なる仲間となったのであります。

 農民の家に隠れた看護婦、男の服を借りて変装、逃げ出そうとするのですが、あらくれ者二人が入り込んできて酒盛りを始めちゃう。これで逃げられなくなってしまいます。一方ロイド、捕まえられてようやく逃げ出してきたらしい召使に「旦那様、革命です、革命が起こりますぞ」これを聞いたロイドは憤然。「僕は何しろ病弱ですからな。この島には療養に来たんだ、革命なんて起こさせてたまるものか」彼はコロッサルを従えて革命軍と戦うのです。「何しろ僕は病弱ですからな、なるべくならこんなことはしたくないのだ」と兵士たちと殴り合い。コロッサルはもっと豪快に大砲を持ち上げてぽいぽい捨ててしまいます。ウワー、これはたまらぬと逃げ出した兵隊たち。勝ち誇るロイドとコロッサルでしたが、すぐに新手がやってきた。

 ロイドは転がっている大砲の弾を指差して「コロッサル、これで奴らをやっつけるんだ」コロッサルは弾を抱えてボーリング風に転がすのです。弾はごろごろ転がってボーリングのピンよろしく隊列を組んだ兵士達に見事命中。「ストライク!」とロイドがはしゃいでチョークでドアにスコアをつけるというギャグ。

 すでに町中いたるところで政府軍と革命軍が戦っています。ロイドはいちいちコロッサルに「みんなやっつけてしまえ」この時ロイド、井戸から水を汲んで薬を飲もうとするのですが、勢い余って靴をぬらしてしまいます。「濡れた靴は万病の元。何しろ僕は病弱ですからな、そんなものはとてもはいてられない」靴をすててしまいました。そしてコロッサルがやっつけた兵隊の靴をとってはこうとするのですが、サイズが合わなかったり底に穴があいていたり。コロッサルがずーっと戦っている最中、傍らに靴を山と積み上げて探すロイド。どうしても適当なのが見つからなくってしまいには竹馬にのっております。見かねたコロッサル、自分のでっかい靴をあげて紐で縛らせるのでした。

 またもやってきた革命軍。筏に大砲を積んで川を下ってきます。これはいけない、ロイドはコロッサルに大砲を担がせてまるでカメバズーカ状態。「よし、コロッサル、頭を下げろ!」ひもをぐいっと引くってぇとドカーン、大砲が発射されて筏をばらばらにしてしまいました。橋を渡ってくる革命軍の兵士、これにもコロッサルバズーカの大砲が炸裂。みんな大慌てで逃げ出します。

 さあ、これで静かになった。ロイドは「何しろ僕は病弱ですからな。病弱でも腹がへるのだ」飯を食いに行こうということになります。ここでようやく看護婦を探すことにしたロイド、またチョークを使って家のドアに看護婦の似顔絵書いて「コロッサル、こんな感じの女の人を探してくれ」するとコロッサル、全然関係ない女の人をどんどん連れてきてしまうのです。「何しろ僕は病弱ですからな、それでもその女は・・・違うって!」閉口したロイド、ある家のドアにもたれかかるとドアが開いて中に転がり込んでしまいます。ここが都合の良いことに看護婦が閉じ込められている家だったという(笑)。

 ロイドは彼女を見てびっくり。「君、何でそんなカッコをしているの」どうも彼は男装の看護婦を見て「目覚めてしまった」ようであります(笑)。いきなり「君の目はきれいだねえ」ここでやってきたジムにも「ねえ、彼女、きれいだと思わない」ジムは驚いて「何、彼女?そうか、変装していたのか、うへへへ、ええやろ、させんかい」どうもこの人はこればっかりですな。ロイド、そんなジムに対して戦いを挑みます。殴りあったりものを投げあったり、しまいにはジムの足を持って引きずり回したりして、とても病弱な人とは思えぬ戦いぶり。ジムが逃げ出した後、ロイドも気がついて「僕はなにしろ病弱ですからな、ああ、心臓がどきどきする」なんて言ってます(笑)。看護婦はそんなロイドにうっとり。いいムードになるかと思いきやロイド、「さあ、薬を早くちょうだいな!」看護婦がっかりするという・・・。

 コロッサル、また女の人をたくさん攫ってきて「もういいから、見つかったから」とロイドに怒られるのでした。

 この後ジムの部下が性懲りもなく看護婦を攫おうとします。追いかけるロイド、あ、あいつら2階に上ったな、よし、いきなり2階のバルコニーによじ登るロイド。でもあわてていたので隣の家だったとさ(笑)。しかし、コロッサルがロイドのいるバルコニーをもぎ取って隣へ運ぶという力技でむりやり解決。ロイド、看護婦を取り返します。看護婦、彼に薬を飲ませようとしたのですが、だいぶ元気になってきたロイド、「いいよ、いいよ、薬なんか」もはや病弱でもなんでもありません。

 しかし、彼の体を心配した看護婦はコロッサルの指に腕時計をはめて(笑)「二分ごとにあの人にお薬あげてね」以降、いいタイミングでコロッサルがロイドに無理やり薬を飲ませるギャグが繰り返されることになるのです。

 革命軍の目論見は崩れたかのように思えたのですが、さらに新手がやってきた。驚いたロイドは看護婦、コロッサルに手伝わせて偽装作戦です。梯子の片方の縦棒を取って塀の向こうから上に持ち上げてみせる。するとやってきた兵隊たちにたくさんの鉄砲部隊がいるように見えるという仕掛け。続いてコロッサルが葉巻、看護婦が太鼓、ロイドがやしの実を持って偽砲撃作戦。コロッサルが葉巻の煙を土管にぷう、看護婦が太鼓をどん!ロイドがやしの実をぽいっ。ぷう、どん、ぽい、ぷう、どん、ぽい、たちまちパニック状態に陥る革命軍。実際にやしの実が命中したりして、あっという間に敗走してしまうのでした。

 「わあ、良かった、勝ったんだ」抱き合って喜ぶロイドと看護婦。そして「僕は君を愛しているんだ」とキス。ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。そんないいところでコロッサルがロイドをひっぺがして薬を飲ませるというオチでありました。

 意気揚々とコロッサルをつれて帰国するロイドと看護婦。そして二人は結婚し一年後に玉のような赤ちゃんが生まれます。その知らせを聞いて会社から飛び出すロイド。今は警官になって交通整理をやっているコロッサルも彼を追いかけて、車が大混乱となった場面でおしまい。

 んー、椰子の実が飛んできたくらいで逃げ出してちゃ、とても革命はおぼつきませんな(笑)。やっぱり革命はカストロに限る?

  モノクロ・スタンダード、サイレント。英語字幕付。画質はまあ、不満のないレベル。なんてったって1923年の映画ですから贅沢言っちゃ罰があたろうってもんです。『The Harold Lloyd Comedy Collection Vols. 1-3 (1923)New Line Home VideoDVDボックスセット。

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

   バックナンバーはこちらhttp://homepage3.nifty.com/housei/SFcineclassics.htm

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