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2006年9月 1日 (金)

『Embryo』(1976)

 

えー、まず「これはまったくの絵空事ではない。今日・明日にも現実になるかもしれない医学技術の物語なのだ」という有難い言葉を賜りまして(笑)、タイトルでます。このタイトルバックは様々な胎児の映像という実に趣味のよろしいことでいやがおうにもこれから見せて頂く映画に対して期待が高まりますな。

 さて、本編が始まって嵐の夜、ハイウェイを疾走するポール・ホリストン博士(ロック・ハドソン)の車。しかしここで飛び出してきたのが犬、視界の悪さも手伝って犬の姿を認めるのが遅れた博士、なすすべもなく轢いてしまうのです。「わあ、大変だ、しまった」博士は犬を救助、自宅に連れ帰り同居している女性マーサ(ダイアン・ラッド)の助けを借りて実験室へ運びこむのでした。急いで診察してみると犬は瀕死の重傷、しかも彼女は妊娠していたのです。博士は「このままでは母子ともに死んでしまう。胎児を取り出そう」と決意。犬から三匹の胎児を取り出して培養カプセルで保護するのでした。その後懸命の手当てを施したのですが犬はどんどん弱っていきます。オマケにせっかく保護した胎児もその二匹までもが死んでしまったのです。「仕方ない、アレを使おう」ついに博士、かねてから研究していた胎児の成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンを投与したのです。その効果は抜群、子犬はたった2日間で6週間分の成長を遂げてあっという間に成犬となったのでした。母犬は死んでしまったけれども、胎児を一匹だけ救えた、これでよかったのだと満足する博士です。

 ちなみにマーサ、どうやら博士の死んでしまった奥さん、二コールの妹だったらしい。姉が死んだから次に妹も、ウヒヒヒということなのでしょうか。この辺良く分かりませんや。また博士にはその二コールとの間にゴードン(ジョン・エラリック)を設けたのですが、その前に三人も流産で失っていました。その苦い経験から未熟児を成長させることのできるプラセンタル・ラクトジェンを研究していたのですな。

 博士は犬をNO1と名づけます。この犬がまさにスーパードック。訓練もなしで「お座り」や「伏せ」をらくらくこなしてしまう。腹が減ったら冷蔵庫の扉を自分で開けてドッグフードの入ったボウルを取り出してむしゃむしゃ。食い終わったらちゃんとボウルを流しに持っていくという頭の良さ。食器を流しにもっていくなんてそこらへんのオトーさんだってやりませんよ、フツー。博士は「この知能の高さは成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンの副作用か」と考えます。そして二ヤッとして「じゃあ、人間に使ったらスーパーヒューマンになるじゃん!」一足飛びに人体実験を思い立つという・・・。

 さあ、思い立ったが吉日、博士は友人の医者、ジム・ウィンストン(ジャック・コルヴィン)が勤める病院へ出かけます。そうして彼にこっそりと「妊娠した女性が自殺とか事故で死ぬってことあるでしょ。そしたらその胎児を譲って欲しいんだけどなあ」と頼み込むのでした。ジムはさすがにしぶるのですが博士があまりに「なあ、友達だろ、いいじゃん、頼むよ」と言い募ったのでついにこの罰当たりな頼みを引き受けてしまったのでした。この間、車に残されたスーパードック、NO1、自分で車のドアを開けて外に出ます。そこで吠え掛かってきたのが小さな毛むくじゃらの犬。「わんわん、わわわん、わわわんわん」NO1は五月蝿いとばかりにこの犬の首筋を一噛み。あっという間に噛み殺してしまったのです。NO1は犬の死骸を植え込みの影に隠すとそ知らぬ顔をして車に戻り博士を迎えたのでした。

 はい、成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンには被験体を凶暴にするという副作用があったのであります。

 そんな副作用があるとは夢にも思っていない博士、ジムから「妊娠したティーンエージャーが自殺したよ、さっさと胎児を取りに来てくれ」という電話に大喜び。博士はジムから14週目の胎児を受け取るとさっそく実験室の保護カプセルに入れ成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンをがんがん投与したのでありました。その効果はすさまじく犬以上に成長が加速します。最初は24時間で一ヶ月の成長、次に24時間で一年、さらに二年、胎児はあっという間に赤ん坊、少女、女へと成長していきます。「わわ、成長が止まらん、これではあっという間にババァになってしまう」せっかくの実験体がババァになってしまってはつまらないですから博士はいろいろ薬を投与、成長を止めようとします。しかしなかなか上手く行かず諦めようとした矢先、ヤケクソで使ったメセトリクシィドという薬が効いてようやく成長が止まったのでした。この時すでに胎児は20代半ばの魅力的な女性となっていたのであります。

 博士はこの女性をヴィクトリア(バーバラ・カレラ)と名づけ、完全な人間とするべく言葉や数学、いろんなことを教えるのです。いわばちょっとイヤな『マイ・フェア・レディ』というところでしょうか(笑)。邪魔なマーサはゴードンの妻へレン(アン・シェディーン)のところへやってもうヴィクトリアと二人きり。「よっしゃやるぞー」と無闇に張り切る博士。

 最初は鏡の使い方も分からないヴィクトリアですが、何しろプラセンタル・ラクトジェンのおかげで知能が異様に高いのです。すぐに普通の人間と変わらぬくらいの知識をマスター、自分の成長過程を博士から教えて貰って「ママもパパも名前が分からないのね。私は作られた人間なのね」と言って寂しげに微笑んだりしております。そんなこんなで順調に行くかと思われた時、いきなりマーサが戻ってきたのです。どうやら忘れ物を取りに来たと思われるのですが、丁度博士が買い物で外出中と言うバッドタイミング。ヴィクトリア、マーサに見つかりそうになって慌てて隠れます。しかしその努力もむなしく今まさに見つからんとスという瞬間、NO1がマーサに吠え掛かったのです。「いやー、何、なんでそんなに吠えるの、ポール、一体どうしたのよ」なおもNO彼女に吠え立ててついにマーサを追い払ってしまったのでした。

 ヴィクトリアはようやく戻ってきた博士に抱きついて「今、マーサっていう人が来たわよ、わたし、怖い、どこか連れていってーん」博士は驚きながらも相好を崩して、いやあ、何しろ妙齢の美女にしな垂れかかれている訳ですからな(笑)。「うん、よしよしたまには外で楽しもう」

 ポール、約束どおりヴィクトリアを連れてあちこちお出かけ。他人という存在に彼女を慣らそうとします。最初こそ、頓珍漢な質問をしたりして奇異な眼で見られることの多かったヴィクトリアですが、何しろ成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンのおかげで高い知能を持っていますからあっという間に順応していくのです。頃合よしと見たポール、彼女をマーサ・ヘレン・ゴードンに紹介しようとするのでした。おりしも彼らの家ではパーティの真っ最中、びびったポールは「また次の機会にしよう」と言うのですが学習意欲に燃えているヴィクトリア、「これがデビューって奴でしょ、私行くわ」ずいずいと家の中に入っていってしまうのでした。

 ポールは彼女をマーサたちに引き合わせます。自己紹介であらかじめ打ち合わせておいたプロフィールを喋るヴィクトリア。「私の名前はヴィクトリア・スペンサーです。出身はコロラド生まれの25歳。コロラド大学医学部で学んでおります。ウィルヘルム・ビックマン教授の紹介でポールの研究助手になりましたのよ」インテリでしかもええ女、パーティのお客たちが我も我もとヴィクトリアに群がりますな。しかし、さすがは長促進剤プラセンタル・ラクトジェンのおかげで天才のヴィクトリア、よってくる男達をたくみにあしらうのでした。あるコンピューター技師は「初恋とは少しばかりの愚かさとありあまる好奇心のことだ」などといいまして自分をインテリだと思わせようとするのですがヴィクトリアはあっさり「それ、ジョージ・バーナード・ショーね。本で読んだわ」がっかりするバーナード・ショー男です。

 ヴィクトリアはゲストがやっていたチェスに目を留めます。そして、チェスのチャンピオンを自称するフランク・ライリー(ロディ・マクドゥエル)に向かって「私だったらそこでポーンを取るわ」と岡目八目なことを言うのでした。むっとしたライリー、「ほほう、お嬢さん、随分自信がお有りだね。何年くらいチェスやってるの」「私、実際にやったことはないの。チェスの本で読んだだけよ」ライリー、かっとなりまして「じゃあ、私と一勝負だ!」しかしながら成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンのおかげで天才であるヴィクトリアは(それはもういいから)初めてのチェス試合においてライリーを圧倒するのでした。彼女の勝利は疑いなしとなったところでポールが目配せ。頷いたヴィクトリアはわざとミスをしてライリーに勝たせたのです。しかし、あまりにもわざとらしかったのでライリーかんかん。「君、わざと負けたな、チクショー、オレの面目丸つぶれ」彼はわんわん泣き出して「僕、もう帰る」みんなチェスの腕を鼻にかけていたライリーが嫌いだったと見えヴィクトリアに拍手喝采です。こうしてヴィクトリアの所謂「デビュー」はこの上なく上手くいったのでした。

 その夜、ヴィクトリアはこっちの方もデビューよってんでポールに迫ります。寝室にスケスケのネグリジェで忍んでいって「ああ、あたし、体験したいの、アレを」驚いたポール、「君、なんでアレのことを知っているんだい」「本で読んだわ」ポールもそんなエロ本読ませるなって(大笑い)。はい、二人はキスをしてベッドイン、目出度く貫通と相成ります。ポールが情事の疲れで眠ってしまった後、ベッドから抜け出したヴィクトリア、おっぱい丸出しで幸せそうに踊ります。しかし、この時ヴィクトリアを激しい吐き気が襲った!そうです、成長促進剤プラセンタル・ラクトジェンが再びその効能を発揮、彼女の体は急速に老化していたのでした。

 彼女はポールに内緒で自分の体のデーターを集めます。そしてあのバーナード・ショー男が勤めているコンピューター施設に行き、そのデーターを解析して貰ったのです。出てきた結果はというと、「56カゲツノタイジ、コノ「ズイエキ」ガヒツヨウデス。コレイガイハキキマヘン」そんな自分の命のために胎児を犠牲にする訳にはいかないわと思ったヴィクトリアですが、すぐにまた激しい発作に襲われて「じゃあ、仕方ないか」と安易に考えを変えてしまうのが面白いですな(笑)。

 さあ、妊婦を引っ張り込んでと思ったのですが、ここでマーサがポールに噛み付いた。「あの女、ヴィクトリアがコロラド大学の学生なんてウソでしょう、私調べたのよ」ポールは「まあまあ、彼女は助手として有能なんだからさ」となだめたのですが、マーサはがんとして譲らず。「あなた、私とあの女のどっちを選ぶの!」決まってます、ヴィクトリアです(笑)。カッとなったマーサ、「じゃあ、私は明日の朝一番で出て行くわ」なんで、明日の朝なんですかねえ、さっさとこの場で出ていけばいいのにねえ。ほら、言わんこっちゃない、その夜何者かが彼女の寝室に侵入して何かの薬を注射しちゃったじゃないか。

 翌朝、タクシーで家を出て行くマーサ。しかし、彼女は突然の心臓発作に襲われて頓死。知らせを聞いたポールは心配しながらもヴィクトリアを一人家に残して駆けつけることになります。「チャーンス」目をギラリと光らせたヴィクトリア、何を考えたかまず自分に関する研究ノートを焼却、音声記録のテープも塩酸で処理してしまいます。そして本を読みながら手術の練習(笑)。そしてある病院に忍び込むとカルテをあさって妊娠五ヶ月目の妊婦を選び出します。その妊婦の病室に行くと「200ドル上げるから家に来てくださらない」こんなこというヴィクトリアだけど、それで本当に来ちゃう妊婦も妊婦だ(笑)。そしてあっという間に手術されてしまうという・・・。ところが最悪のタイミングでヘレンがやってきた!慌てて妊婦の死体を始末するヴィクトリアです。しかし、ヘレンもまた妊娠五ヶ月であることを思い出したヴィクトリアはにやり、ヘレンに睡眠薬入りのコーヒーを飲ませてしまうのでした。

 場面変わってマーサの遺体を引き取ろうとしたポール、検視医からマーサの死因について疑問があることを知らされるのです。「あの人ですな、どうやら興奮剤飲みよったらしいですな、あれじゃどんな人でもイチコロですわ、これは殺人でっせ!」そりゃ、ヴィクトリアの仕業だ、こう直感したポール、ゴードンのところへ電話をかけたのですが、「ええー、へレンがヴィクトリアの手伝いに行きよったぁ!ゴートン、私は急いで帰るから空港まで出迎え頼む!」空港でゴードンと合流したポール、車で自宅へと急行します。その道すがら今までのいきさつを全て話すポール。ゴードンは呆れて「なんで、そんなことをしたの、パパ!」「私が愚かだったのだ」

 ようやく家に到着。研究室へ急ぎますと、ああ、なんということでしょう。すでにヴィクトリアはヘレンから胎児を摘出、今まさに髄液を抜き取らんとスというところだったのです。「ヘレン!」絶叫するゴードン、「やめろ、やめてくれ」と叫ぶポール。ヴィクトリアは既にしわの目立ち始めていた顔を彼らに向けて「私には赤ん坊が必要なの。ヘレンは若いからまだ赤ん坊を作れる。でも私は赤ん坊の髄液がなければこのまま死んでしまうのよ、私は生きたいの!」ポールとゴードンはわっと飛び掛ります。しかしゴードンはヴィクトリアのメスで背中を刺されて即死(笑)。ヴィクトリアはポールの手を交わすと外に飛び出して車で逃走するのです。ポールは呆然と死んだゴードンを見つめて「私は一体なんと言うことをしたのだ」と呟くのでした。

 しかし、このままヴィクトリアを逃がすわけにはいきません。ポールは救急車を呼んでヘレンを託すと自分も車に飛び乗ってヴィクトリアを追いかけます。展開される激しいカーチェイス。と運転を誤ったヴィクトリア、道端のジャリに乗り上げて車が横転、爆発炎上するのでした。このまま終わりかと思ったらあ、ヴィクトリア、車から這い出してきやがった。すでに白髪の老婆と成り果てた彼女の頭をぐっと掴んだポール、「てめえ、このアマ、死ね、死にやがれ」と水溜りに押し付けます。今度こそ死ぬかと思ったら警官が駆けつけてきて、「こら、お前、何をしとるのだ」とヴィクトリアから引き剥がされてしまったのです。おまけに、なんとヴィクトリアに陣痛の兆し。彼女は恐怖におののくポールに手を伸ばして「これは、あなたの子供よ」ああ、あの一発で見事命中しておった!(大爆笑)。彼女は救急車で病院へ搬送されます。そして画面が暗転、赤ん坊の産声が聞こえたところでエンドマーク。

ヴィクトリアのキャラクターがなかなか上手く作られていて、名作になる可能性があったのですがねえ、本を読んで手術の練習とかそういういらない場面いれちゃうからめりはりがなくとても退屈な映画になってしまったのは残念。

 カラー・スタンダード、モノラル。画質はやっぱりヒドイなあ。暗いシーンで何やっているか分からないし、書類の文字もまったく読めないや。音は音で歪んでばっかり。台詞が聞き取り難くて困りました。三枚のDVDに『Voyage to the Planet of Prehistoric Women』『Flash Gordon: Rocketship』『Phantom from Space』『Embryo』『Voyage to the Prehistoric Planet』『Killers from Space』『Night of the Blood Beast The Day the Sky Exploded』『Attack from Space』『Assignment: Outer Space』の10本の映画が収められてしかも9.98ドルという「Classics From Outer Space 」DVDボックス。Pro-Active Entertain のDVD。

エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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