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2006年9月 3日 (日)

『恐怖城 ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビ』(『WHITE ZOMBIE』 1932年)

 

『恐怖城 ベラ・ルゴシのホワイト・ゾンビ』(『WHITE ZOMBIE』 1932年)

 ゾンビマスター、ベラ・ルゴシの力を借りて意中の女をものにしようとする男、ゾンビ映画の元祖はそんな悲しいモテナイ君の物語でありました。

ゾンビの話ですからところは当然ハイチ。ハイチですから住民の皆さんが歌って踊って葬式をしています。ただ、この葬式の場所が変わっていた。なんと道の真ん中に墓穴掘って棺桶を埋めていたのです。これを見て驚いたのが馬車でたまたま通りかかった本作の主人公カップル、ニール・パーカー(ジョン・ハロン)とマデリーン・S・パーカー(マージ・ベラミィ)であります。「夜中の道路工事かよ、渋滞になったらどうするんだよ」とニール。「後で雨が降ったらぬかるんじゃうわね」これはマデリーン。二人に馬車の御者(クラレンス・ミューズ)が説明します。「旦那様、奥様、あれは死体を盗もうとして捕まった男ですだ。そんなものをフツーの墓地に埋葬なんかできねェ、だから道の真ん中に埋めるんです」

 ここで闇の中からふらふら現れる謎の集団。彼らを率いているのはご存知、ベラ・ルゴシ。御者は彼らを見るなり「ひぃ、あれはゾンビだー」いきなり馬車を激しく走らせたので、中のニールとマデリーンは大変。ぐわんぐわんと揺られて馬車の天井に頭をぶつけたりしております。馬車は目的地であるチャールス・ボーマン(ロバート・フレーザー)の荘園に到着。頭にコブを三つばかりこさえたニールは馬車から降りるなり、「君、君、なんであんなに飛ばしたんだね、危ないじゃないか」御者は恐怖に顔を引きつらせたまま、「旦那、あれはゾンビですだ、歩く死体ですだよ、あいつらに捕まったらわしらもゾンビにされちまいますだよ」そして遠くの山の上を歩いているゾンビ(シルエットなのがおかしい)を見つけて「ウワ、またきやがった、旦那、これで失礼しますだ」御者はぱーっと帰って行っちゃいました。

 ニールとマデリーン、御者の慌てぶりにびっくり。そんな二人の前にのこのこと現れたのが宣教師のブルーナー博士(ジョセフ・カソーン)であります。彼もどうやらボーマンを尋ねてきたらしい。ニールは彼にゾンビのことを尋ねるのですが、博士はにっこりとして「私はここに30年奉職しておりますがゾンビなど知りませんなあ」

 さて、三人は連れ立ってボーマンの屋敷へ。そして執事のシルバー(ブランドン・ハースト)に迎えられるのでした。「主人はすぐに参ります。それまで客間でごゆるりとおくつろぎください」ブルーナー博士はソファに座るとニールとマデリーンに「ところであなた方はボーマン氏のご友人であらせられるのかな?」しかしニールは首を振って「いや、たまたま知り合っただけです。それで彼にこのマデリーンと」彼はマデリーンを抱き寄せます。「ハイチに来て結婚式を挙げないかと誘われたのですよ」ちょっと変な話で(笑)博士も怪しんだ様子。「それは、それはおめでとう。まあ、悪いことは言わない、結婚式が済んだらとっとと帰るのですな」

 ここで主人のボーマン登場。彼はニールとブルーナー博士とにはちょっとした会釈をしただけだったのに、マデリーンに対しては彼女の手をがばと掴んで「おお、マデリーン、よくこられた。ささ、長旅でお疲れになったでしょう。この私の秘蔵のワインをぐいといかれよ」やたら愛想が良い。あんまりマデリーンにべたべたするものでニール、かなりムッとしております(笑)。そんなニールを無視してボーマン、「さ、結婚式までゆるりと休まれよ、ささ、シルバー、この人たちをご案内しなさい」マデリーンとニール、あてがわれた部屋に入るのでした。

 ところがその後、謎の馬車がボーマンを迎えに来ます。こっそりとその馬車に乗り込んだボーマン、御者を見て「げっ、ゾンビかよ」ゾンビ御者は彼をベラ・ルゴシのサトウキビ処理工場へ案内したのでした。この工場で働いているのはみーんなゾンビ。みんな一言も発せずただもくもくと働くばかり。あまりの不気味悪さに顔を引きつらせるボーマンですが、ここまで来て引き返すわけにもいきません。ゾンビ御者の案内に従ってベラ・ルゴシのオフィスに連れていかれます。そんな彼を大歓迎するベラ・ルゴシ。「おお、よく来られましたな。この私のゾンビ労働者諸君を見ていただけましたか。一言命令すればただただ一心に働く。サボることも給料上げろと文句をいうこともありません。それどころか休息も食料もいらないのだ。どうです、ボーマンさん、あなたのところのプランテーションでも使いませんか」この提案にあわててふるふるごめんだと首をふるボーマンがおかしい。

 何故ボーマンはこんな薄気味の悪いところへきたのか。それはベラ・ルゴシに彼女を拉致して一ヶ月ほど監禁して欲しいと頼むためだったのです。そう、ボーマンはマデリーンに横恋慕していたのです。彼女にここで結婚式を挙げるよう誘ったのはその機会を利用して彼女をモノにせんと考えていたからなのであります。ルゴシはうっすらと笑って「一ヶ月の間に彼女の心を自分のものにするということですか。ははあ、そんなに上手く行きますかな。私ならもっと手っ取り早くことを進めますが」ルゴシはボーマンに耳打ちします。驚きに顔色を変えるボーマン。ルゴシは引き出しから何かの薬を取り出してボーマンに渡します。「これは一滴で十分な効き目があります。ワインに混ぜるか、花につけてその香りをかがせるか、やり方はおまかせしますぞ」ははあ、これが有名なゾンビ薬ちゅうやつですか。ボーマン、受け取って「一応貰っとくけど、これは最後の手段にするから」と言ったのですが・・・。

 さて、結婚式直前のマデリーン、すでに花嫁衣裳に着替えて準備万端なのですが、ボーマン、この彼女をいきなり口説きだしたのです。それも九州弁で、「実はおい、あんたのことすいとうっちゃが、ニールやら忘れておいと結婚してほしかー、たのむけん、結婚しちゃりー」まあ、こんな口説きが効を奏すべくもなし、マデリーン、きっとなって「私はニールと結婚します。それ以上仰らないで」見事に振られたボーマン(笑)カッとなってついにあの薬を取り出します。ルゴシに言われたとおりにあの薬をバラの花につけて「じゃあ、この花だけ受け取っちゃんない、これがおいの最後の頼みたい」ああ、マデリーン、よせばいいのに花を受け取って香りをかいじゃった。マデリーン、結婚式の最中にばったり倒れて死んでしまうのでした。ニール、彼女を抱きすくめて「マデリーン、死ぬな、死ぬな、初夜もまだじゃないか」と叫ぶのですが時すでに遅し。

 葬式が行われてマデリーンの遺体が廟堂に収められます。彼女の死を今だ受け入れられないニールは酒場で大荒れ。「マデリーン、マデリーン、ヒック、初夜をあんなに楽しみにしていたのに、ヒック」あなたはもういい加減初夜から離れなさい(笑)。一方、ゾンビ軍団を引き連れて墓地を訪れたルゴシとボーマン、廟堂の扉をこじ開けてマデリーンの遺体を棺桶ごと攫ってしまうのでした。その後もうべろんべろんになって墓地にやってきたニール、廟堂が暴かれてマデリーンの死体が消えていることを知るのです。

 ルゴシのゾンビ軍団、彼によるとこのゾンビたちはみんな、生前ルゴシの敵だった人たちなのだそうで。彼を投獄しようとした警官、処刑しようとした処刑人、etc,etc・・・、ここまではいいんだけど、あるおじいさんのゾンビはなんとルゴシの師匠のウィッチドクターだったそうで。敵はともかく自分のお師匠様までゾンビにしちゃったのかよ。

 二コール、唯一信頼できそうなブルーナー博士の屋敷に駆け込みます。「何、死体が消えたとな。これはもしやゾンビと関係が」ニールは「先生、ゾンビなんてものは迷信だと仰ったじゃありませんか」確かにそういってましたな(笑)。しかしブルーナー、「いや、君のいうゾンビと私の思うゾンビは違う。君のいうゾンビとは蘇った死体だ。これは疑いもなく迷信に過ぎぬ。私のそれは薬剤によって精神を麻痺させられている存在なのだよ。彼らは頭が働かないだけで立派に生きておる」よーし、ニールとブルーナー博士とでこの謎に立ち向かおうと張り切ったところで画面が暗転。

さて、哀れゾンビとなってしまったマデリーン、ボーマンと共にベラ・ルゴシの城に滞在しております。海辺の崖に聳え立つ荘厳な城、うわー、無駄に豪華なセットだなあ(笑)。マデリーンはゾンビのクセにピアノを弾いております。その音色に聞き入るボーマンですが、何か浮かない顔。そう、ゾンビとなったマデリーン、彼のいかなる愛の囁きかけにもまったく反応を示さなかったからです。彼が大枚はたいて用意したネックレスを見せても駄目、マデリーンの首にかけてやっても駄目、ええい、しょうがないとヤケになったボーマン、「ある日ウンコを見つけました。近くによってみてもやっぱりウンコでした。触ってみてもやっぱりウンコでした。念のために舐めてみても間違いなくウンコでした。あー、踏まなくて良かった」と小話を聞かせるのですがもとよりマデリーン、笑う筈もなし。「うう、これでは唯の抜け殻だ。私の愛した女ではない」

どうも贅沢をいう男です。

 ボーマンはベラ・ルゴシに泣きつきます。「あれじゃ、単なるダッチワイフだ。私はマデリーンの愛が欲しいのです!」ルゴシ、内心で「女が正気を取り戻したら速攻で逃げ出そうとするだろうさ」と思うのですが(笑)表面上はにこやかに、「はあはあ、それではなんとかしてみましょう」喜ぶボーマンに「前祝としてワインで乾杯しようじゃありませんか」ルゴシはボーマンの執事、シルバーを呼んでワインの用意をさせます。そして自らボーマンにワインを渡して「我々の未来のために!乾杯」

 ところがワインを一口飲んだボーマン、はっとなってグラスを落としてしまいます。「きさん、こら、マデリーンに使ったゾンビ薬じゃなかか!」ボーマン、マデリーンくどく時とか、酷くあせった時とかに九州弁が出るようですな。「ぐわ、ぐわわ、く、苦しか、おいばだましたとか!」ルゴシ、にやーっとして「この薬はほんの少しで効きますからな、ワインに混ぜて使えと私が言ったのをお忘れでしたかな」ルゴシ、体の前で両手の手のひらを組み合わせる不思議なポーズ。すると、ゾンビがわらわら出てきて呆然としているシルバーを担ぎ上げたのです。「わあ、何するんだ、離せ、離せ、こんちくしょう」シルバー、命がけでもがくのですがゾンビ軍団の力には叶いません。そのまま外に連れて行かれて荒れ狂う海にぽいされてしまったのです(笑)。「ギャーッ!」むなしく響くシルバーの悲鳴。ルゴシ、満足げに頷くのでした。

 一方馬でルゴシの城を目指すニールとブルーナー博士。ようやく城の見えるところまで来たのですがニールは疲労でダウン。「じゃ、わしが先発するわ、君はここで待っていなさい」と勇敢にも単独で城に潜入するブルーナー博士です。残されたニール、海岸ので寝ていたのですが、どこからともなく聞こえてくる美しい女性の歌声。「ああ、あれは確かにマデリーンの声」ニール、その声に引かれてよろよろと起き上がり、彼もまた城に入っていくのです。

 城のバルコニーで朗々と歌っているマデリン。その彼女を見てメイド二人が気味悪そうに話しております。「彼女はゾンビなのになぜ歌が歌えるの」「生前の記憶が残っているのだわ」メイドの片方は恐怖に顔を引きつらせて「ヒーッ、私もう耐えられない、逃げましょう」「そんなことをしたらあっという間に見つけられて彼女と同じゾンビにされちゃうわよ」このメイド二人、登場はここだけであとは一切出てこないのであります(笑)。

 ゾンビ薬を飲まされたボーマンは息も絶え絶え。もはや言葉を発することもできません。その傍らでにやにやと蝋燭を使ってボーマンの人形を作っているルゴシ、この人形を燃やせば彼の呪いは完了、ボーマンもまたゾンビになってしまうのです。ここでニールが現れた。しかし、疲労の極にあるニール、ルゴシとボーマンのいる大広間に入ったところで力尽き、どうと倒れてしまったのであります。彼を見つけたルゴシ、再び両手を組み合わせるあのポーズ。するとベッドに寝ていたマデリーンゾンビが起き上がり、ナイフを振りかざして意識のないニールを殺そうとするのです。ニール、絶対のピンチと思われたのですが、マデリーン、彼に関する記憶がうっすらと残っているのかナイフを振り上げたまま固まってしまうのでした。そこで背後から現れたブルーナー博士が彼女の手からナイフを奪い取った!

 マデリーンはルゴシに操られて城の外へ。意識を取り戻したニールは彼女を追いかけます。マデリーンは崖に面した通路から海へ飛び込もうとしたのですが、危ういところでニールに抱きとめられます。「ああ、マデリーン、マデリーン、君はやっぱり生きていたんだね」しかしマデリーン、ボーッ(笑)。ゾンビだから仕方ない。しかもルゴシが彼らの後を追いかけてきて三度あの両手を組むポーズ、ゾンビ軍団を呼び寄せたのでした。ゾンビ軍団は「なんだ、君たちは」とわめくニールに迫ります。ニール、拳銃を乱射しますが、効果なし。じりじりと崖に追い詰められて再び大ピーンチ。しかし、悪の栄えたためしはなし。「いつまでも貴様らの思い通りにはさせん、正義は必ず勝つ!」と突然出てきたブルーナー博士がルゴシの頭をぽかり。ルゴシが失神しますとゾンビの動きも鈍り、ニール、危ういところで身をかわします。ゾンビたちはそのまま崖から海へどぼーん。ゾンビとはいえ、どうにも使えぬ奴らです(笑)。

 ニールとブルーナー博士は倒れているマデリーンに駆け寄って「マデリーン、マデリーン、僕だ、ニールだよ」マデリーン、ニールを認めたような様子を一瞬見せるのですがすぐにもとのボーッとした状態に戻ってしまうという演出がいいですな。ニール、それに勇気付けられてなおもマデリーンの名を呼ぶのでした。その背後でよろよろと立ち上がるベラ・ルゴシ、逃げ出そうとしたところをこれまたいつの間にかいたボーマンに体当たりされて海へどぼん。「ギャーッ」という悲鳴が聞こえると同時にマデリーンの表情がぱっと明るくなって「まあ、ニール、私どうしていたのかしら、夢でも見ていたのかしら」エンドマーク。

 モノクロ・スタンダード モノラル、画質はまあまあまともなのですが、音質がまるで駄目。歪みがヒドイし、ヴォリュームが急に小さくなったりします。ヒアリングに苦労させられました。Classic Monster Flicks DVD  WHITE ZOMBI』『THE KILLER SHREWS』『THE MONSTER WALKS』『CREATURE FROM THE HAUNTED SEA』『WASP WOMAN』 『WEREWOLF IN A GIRL'S DORMITORY』『CURSE OF THE SWAMP CREATURE』『LADY FRANKENSTEIN』『NIGHTMARE CASTLE』『INVASION OF THE BEE GIRLS』 を収録したボックスセット。St Clair VisionDVD

エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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