« 『La Sfida Dei Giganti』(『Hercules The Avenger』 1965年) | トップページ | 『Pride of the Bowery』(1940年) »

2006年10月12日 (木)

『Sansone Contro Il Corsaro Nero』(『Hercules And The Black Pirates 』 1964年)

 

ヒーローがハーキュリースである必然性がまったくない映画(笑)。だってフツーにスペインの植民地の話なんだもの。出てくる人だってみーんなスペイン人なんだもの、時代だってぜんぜん合ってないんだもの。ハーキュリースだって自分は漁師の息子であるとはっきり言っちゃうんだもの。

スペインの植民地(どこかは知らん)に攻め寄せてきた黒海賊。迎撃に立ち上がったのはハーキュリースを始めとする勇敢なスペイン兵士たち。大砲がどかーん、兵隊が行進、海賊船が現れて、また大砲がどかーん。海賊船が沈んだぁ。このあたり明らかに映像は他のもっと贅沢な映画からの流用。これにハーキュリース(アラン・スティール)の映像をオーヴァーラップして戦いに仕立てているのであります。

 ついに黒海賊退散します。

 植民地の城へ凱旋するハーキュリースたち。執政官は大喜びで彼らを迎えます。大広間にずらっと勇者たちを並ばせた執政官、端の男から名前を聞き始めるのでした。「あっしはアルフォンド・メンドーサでがす」「あっしはパブロ・デ・アラサクっていうんでさあ」「ペドロ・コーディでやんす」そして最後に「私がハーキュリースです」みんなちゃんとスペイン人の名前なのにハーキュリースって浮いているなあ。ちゃんと空気読めよなあ、「ロドリゲスです」とか「ダルテです」とかって言えよなあ(大笑い)。

 ここで隊長のロドリゴが進み出て執政官、「彼、ハーキュリースこそが今回の戦いの最大の功労者です」執政官はさらに喜んで「おお、それでは勲章をさずけないといかんな」「しかし」ロドリゴはちょっと困った顔で「このものは貧しい漁師のせがれでございます。そんな勲章を貰う身分ではありません」ハーキュリース自身も「そうです、私はとてもではありませんがそんなものを頂く立場ではございません」しかし、非常にハーキュリース贔屓である執政官の二人の娘、美しいロジータと幼いアルマが「そんな身分なんて関係ないわ」「そうよ、お父様、ハーキュリースに勲章を上げて」と言い出したので一件落着。執政官は上機嫌で「今宵、戦勝祝いのパーティを開く。皆、出席してくれよ」

 ぱっと夜になって、映画はこれだから便利ですな。お城で大宴会。芸人たちも集合して手品やジャグリングやアクロバット演技を披露してお客の目を楽しませております。その間、みんなの目を盗んで密会しているハーキュリースとロジータ。いきなりキス、ぶちゅぶちゅぶちゅちゅー。なんとこの二人は恋仲だったのです。貧しい漁師のせがれと執政官の娘の身分違いの恋。ふたりは「ああ、会いたかったわ、ハーキュリース」「ははは、僕は無敵さ、それに君やママ・リンダが僕の無事を祈ってくれていたからね」うっとりと彼を見つめるロジータです。「僕は明日からママ・リンダに会いに行ってくるの」「まあ、もう行ってしまうの、そんなのいや」「大丈夫さ、ははは、すぐ戻ってくるよ」「ああ、ハーキュリース」「おおお、ロジータ」あー、何時までもやってなさい。

 この後執政官から賞金を貰った軽業師(ジョヴァンニ・シャンフリーリア)がハーキュリースに挑戦します。「この賞金を賭けましょう」たちまち始まる取っ組み合い。軽業師もなかなかの強さなのですが、やっぱりハーキュリースには敵いません。どうと投げられてきゅう。仲間の仇をうてとばかりに飛び掛ってきたほかの軽業師たちも一撃で吹き飛ばしてしまいます。彼の大活躍にぽぉと頬を染めるロジータ。いい気なものですな(笑)。

 さて、宴会が終わって部屋へ引き上げたロドリゴ。その窓から怪しい影だ。ああ、アレは黒海賊(アンドレア・アウレリ)だ。危ない、ロドリゴ早くも大ピーンチかと思いきや「おお、これは黒ちゃん」「こんばんわ、ロドちゃん」って二人は仲間じゃないか。「ロドちゃん、もう参っちゃったよ、せっかく手引きして貰ったけど、さんざんにやられちゃったよ。部下も船もいっぱいやられちゃった」いきなり愚痴をこぼす黒海賊です(笑)。ロドちゃんじゃなかったロドリゴは黒海賊の肩をぽんと叩くと「まあ、そんなに気を落とさないで、黒ちゃん。まださ、城の中の財宝があるじゃないか」「ええっ、財宝?」とたんに元気になる黒海賊。「やっぱり僕が手引きするからぱっと侵入してやっちゃいなよ。ついでに執政官をやっつけてくれると僕嬉しいなあ」それから二人してにこにこ。「するってぇと何かい、ロドちゃんは次の執政官になろうってのかい」「そういう黒ちゃんは財宝が手に入るじゃないか」「むっしっしっし、応えられませんなあ」「むひひひ、しかし、ロドちゃんも悪だね」「何、君には敵いませんよ、くくくく」

 黒海賊、ロドリゴの船を借りて近くの海に潜伏することとなります。

 さて、養母のママ・リンダに会うため故郷の村に戻ってきたハーキュリース。ママ・リンダの営む居酒屋で感動の再会です。ママ・リンダ、そしてやっぱり彼女の世話になっているハーキュリースの弟分、ハキートも大喜び。彼の帰郷を聞きつけた村の衆も大勢押しかけてきて、歓迎パーティとなりました。マスター・ペドロ、そして奥さんの尻にしかれっぱなしのスケアクロウ、ハーキュリースの幼馴染で今はハキートの恋人のアステリタまでやってきて飲めや歌えの大宴会となります。どうも最初っから宴会ばっかりやっている映画であります。

 楽しい宴会が済んで翌日、早くも城に戻ることになったハーキュリース、ハキートも同行し軍隊に入隊するつもり。ハーキュリースの引きで出世するぞと張り切っております。二人はママ・リンダに別れを告げて馬を走らせるのでした。
 
 この間にもロドちゃんじゃなかったロドリゴの陰謀はちゃくちゃくと進んでおります。彼は奥方カメリータに弓を教えている執政官についと近寄って「カリニカの森に野生いのししがいるそうですぞ。どうぞ行って退治てくだされ」これにほいほい乗って早速狩りに出かける執政官。ところがカリニカの森では黒海賊の一団が待ち伏せしていた!彼らは執政官の一行を急襲、部下達をあっという間に切り倒して後は執政官を残すばかり。執政官大ピーンチと思いきや、偶然近くをハーキュリースとハキートが通りかかって剣戟の音を聞きつけたという、ご都合主義もここまで堂々とやられると何にもいえなません(笑)。

 ハーキュリースは海賊どもに岩を投げつけたり丸太を投げつけたりで大活躍。ハキートも良く戦ってついに二人は海賊を撃退したのであります。執政官、ハーキュリースの手を取って「君は命の恩人だ」と大感謝。ハーキュリースはしめた、これでロジータのこともうまくいくと思ったとか思わないとか(笑)。一方後から馬で駆けつけてきたロドリゴ、海賊を探すふりをして部下とはなれ黒海賊に合流します。「黒ちゃん、黒ちゃん、やっぱりハーキュリースをやっつけないといけないねえ」黒海賊はちょっと泣きそうな顔でボヤきます。「でもあいつは20人力だぜ、ロドちゃん、あいつをどうやってやっつけようっていうの」「黒ちゃん、そこは僕に任しておきなさい。城の兵器コレクションにアジアの秘密兵器で吹き矢ってのがあるんだよ。それでシビレ薬をハーキュリースに撃ち込めば後は思いのままさ」「そうか、さすがはロドちゃん、頼りになるねえ」そしてロドリゴ、黒海賊にこう囁きます。「君はハーキュリースの故郷の村を襲うんだ。そしてみんな人質にしちまいな」

 さて、ロジータ、この海賊事件のことを聞きまして「チャーンス」と思ったらしくハーキュリースに「今こそパパに私たちのことを話すのよ」とたきつけます。アルマもやってきて「パパは書斎にいるわ」そこでタイミング良く執政官からの呼び出しです。「ハーキュリース、頑張ってね」「お姉さんとのこと、応援しているわ」姉妹の声援を受けて書斎に行くのですが、そうは問屋がおろさない。始めは機嫌が良かった執政官、ハーキュリースとロジータが付き合っていると知ったとたんさっと表情を変えて「許さん、許さん、許しませんよ、私の娘が漁師の息子と結婚なんて、絶対許しません」「ですが、お父様」「って誰がお父様やねん!」激怒した執政官、ハーキュリースをあっさりと首にしてしまうのでした。「さっさと出て行け、そして金輪際娘に近づくことはならん」とぼとぼ城を出て行くハーキュリース。

 失意のハーキュリースに声をかけてきたのがロドリゴであります。「ハーキュリース、君の村が黒海賊に襲われているそうだ、早く戻ってやんなさい」驚愕したハーキュリース、馬に飛び乗って村を目指します。見送るロドリゴはニヤーッとして「これでハーキュリースもおしまいよ」ハーキュリース、途中でハキートに行き会って「村が襲われた。私は助けにいくがお前は残ってロジータを守るのだ」

 その頃黒海賊達が村に攻撃開始。「家は焼け、金は奪え、女は攫え」という海賊三段活用で(なんじゃ、そりゃ)大暴れ。たちまち村人全員捕虜となってしまったのでした。

 あっという間に海賊に占拠されてしまった村。ママ・リンダ、黒海賊から「お前、金隠してんだろ!さっさと出せ、じゃないとゴーモンするぞ」ママ・リンダ、大ピーンチ。しかしここで窓から飛び込んできたのが我らがハーキュリース。彼は単身海賊たちと戦って金的を蹴りつぶしたり、喉を握りつぶしたり、丸太で頭を砕いたりの大活躍。ついに黒海賊「うぬぬ、これではとてもかなわぬ、みんな、逃げるのだー」

 ハーキュリースはママ・リンダに「もう僕が来たからには大丈夫だよ」しかし、ママ・リンダ、悲しそうに首を振ります。「でも、大勢殺されたし、家も焼かれてしまった、これからどうすればいいのかえ」「ママ・リンダ、みんなで力を合わせて村を復興させればいいじゃないか」あー、いい場面ですなあ。感動的ですなあ。しかしロドリゴここにあり。彼は例の吹き矢でハーキュリースをぷっ。シビレ薬をたっぷり塗った吹き矢は見事に彼の首筋に吸い込まれバタンキュー。ハーキュリース、ひっくり返ってしまいました。驚くママ・リンダ、うろたえる村人たち。するとどやどやと今しがた逃げていった海賊たちが戻ってきて、「ソオレ」とハーキュリースを抱えて拉致してしまったのです。

 でも海賊たち、村人たちは放ったらかしなの(笑)。黒海賊がママ・リンダを「金隠してんだろ!」と脅かしていたのは一体なんだったのですかねえ。

 ハーキュリース、海賊船に運ばれます。黒海賊は大喜びでロドリゴを迎えると「ロドちゃん、ありがとう、本当にハーキュリースを捕まえてくれたね」ロドリゴもにこにこしながら「黒ちゃん、これで邪魔者はいなくなった。後は執政官をやっつけて財宝を頂くだけさ。僕に良いアイデアがあるから、黒ちゃんは吉報を楽しみに待ってなよ」「さすがロドちゃん、頼りになるなあ」ロドリゴ、船を下りて城に戻ります。さて、この後はハーキュリースの処刑。黒海賊は船底の一室に彼を鎖で縛り付けて「わはははは、この部屋には小さな穴があるから船が揺れるたびに海水が入ってくるぞ。お前はその海水で溺れ死ぬのだ。ちょっとずつしか水は入ってこないからすぐには死ねないぞ。長いことかかって苦しみながら死ぬのだ、わはははは、部下の仇だ、ざまあみろ、わはははは」そうして黒海賊と部下達はその船室から出て行ってしまうのです。だから、どうして目を離しちゃうの。そんなことするからハーキュリースに鎖切られちゃうんだ。そして逃げられちゃうんだ。

 そんなに苦しめたかったのなら剣でちょっとずつ傷をつけていくとかすればいいのにねえ。

 さて、城に戻ったロドリゴ、執政官とその家族に重大な告発をします。それはなんと、「ハーキュリースが復讐のために黒海賊と組んで責めてきます」というもの。ええっと驚く執政官。「嘘よ、嘘よ、そんなこと」と泣き出すロジータですが、執政官は激怒して「裏切り者め、よしロドリゴ、彼奴めを迎え撃つのだ」その頃、ハーキュリースは村の海岸に打ち上げられておりました(笑)。彼を見つけたスケアクロウの知らせによって村人たちに救出され手厚い看護を受けるのです。

 しかしロドリゴの悪巧み、留まるところを知りません。彼は城に海賊の部下を呼び込むとこともあろうに幼いアルマを誘拐させてしまったのです。しかもロドリゴ、彼女のベッドにハーキュリースの首飾りを残していくという悪辣さ。彼はそれを自ら発見してアルマ失踪にうろたえる執政官に「犯人はハーキュリースです。この首飾りこそが動かぬ証拠であります!」執政官はさらに激怒、ついに「ハーキュリースを賞金首とする。見つけたものは問答無用で彼奴めに矢を射込んでよいぞ」

 この命令を聞いてにやっとしたロドリゴ、腹心の部下に手紙を持たせて黒海賊に届けさせようとします。その手紙の内容とは「黒ちゃん、ハーキュリースを裏切り者にすることに成功したぞ。君はアルマの身代金として城の財宝を要求するんだ。頼んだぞ」しかし、この部下を途中で襲ったのがハキート。手紙を奪ってハーキュリースに届けたのであります。ハーキュリースは手紙を読んで「裏切り者はロドリゴか!ようし、こうしちゃいられない。皆で海賊をやっつけるぞ」

 その手始めとして城に、それもロジータの部屋に忍び込むハーキュリース。「ああ、ハーキュリース、無事だったのね」「心配させてすまなかった、ロジータ」ぶちゅぶちゅぶちゅちゅちゅーと暑苦しいキス。ハーキュリースはロジータに尋ねます。「執政官はどこだ、この手紙を渡さなければならない。裏切り者はロドリゴなのだよ」しかし、執政官はアルマの捜索に出かけていて留守。ハーキュリースはがっかりしますが気を取り直して「よし、私が海賊からアルマを助け出す」再びロジータにキスするとまた窓から出かけるのであります(笑)。

 ロジータは母のカメリータにこの手紙を見せるのです。「お母様、犯人はハーキュリースじゃないわ、あなたのご贔屓のロドリゴよ」真っ青になったカメリータ、拳銃を片手にロドリゴに会って「裏切り者はあなただったのね。アルマはどこ、言わないと撃ち殺してしまうわよ」と問い詰めます。しかしあっさりと拳銃を奪われて撃たれてしまいましたとさ。彼女が死んだと思ったロドリゴ、城を逃げ出して海賊船へ。

 さあ、黒ちゃん、ロドちゃんが海賊船上で揃って「よし、身代金を奪うぞ、おーっ」と張り切っております。しかしここで現れたのがボート群に乗ったハーキュリースと村の男達。彼らは海に飛び込んで海賊船にとりつくと鉤付のロープを甲板に引っ掛けて無理やり乗り込むのでした。そして始まる戦い。剣で斬ったり突いたり、殴ったり蹴ったり噛み付いたりもう大変な騒ぎ。ハーキュリースは黒海賊と一騎打ち、一進一退の攻防が続くのですがついにハーキュリース、黒海賊を持ち上げて甲板にたたき付けた。背骨を粉砕されて黒海賊、半死半生となります。これを見た海賊の面々、戦意を失って雪崩をうつように皆降参してしまったのです。

 これで終わりかと思いきやロドリゴが残っていた。彼はアルマを人質にして船室から出てくると、「ふふふ、わしはこの小娘めを人質にして逃げ延びてみせる。もちろん、身代金もしっかり頂くぞ」そのロドリゴに向かってナイフを投げつけたのが黒海賊。「ロドちゃん、それ以上罪を重ねるな」というつもりなのか、はたまた「ロドちゃん、僕を残していくなんて、この裏切り者」ということなのか、はっきりしませんが、ここに稀代の大悪党ロドリゴは滅んだのであります。

 海賊は退治された。アルマも無事戻ってきた。重傷を負ったカメリータも命を取り留めた。執政官はハーキュリースに謝ってロジータとの仲を許した。これですべてがハッピー、ハッピー、最後は仲むつまじく二人であるくハーキュリースとロジータの姿でエンドマーク。

面白いんですけどねえ。やっぱりねえ、ハーキュリースはゼウスの子じゃないとねえ。

 カラー、スタンダード。モノラル音声。画質は発色が悪し。まるで退色しているかのよう。音声は聞き取りやすいけれどもノイズがところどころで入るのがわずらわしい。『Hercules The Avenger』 1965年とのダブルフィーチャー。イメージエンタティメントのDVD

エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『La Sfida Dei Giganti』(『Hercules The Avenger』 1965年) | トップページ | 『Pride of the Bowery』(1940年) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『Sansone Contro Il Corsaro Nero』(『Hercules And The Black Pirates 』 1964年):

« 『La Sfida Dei Giganti』(『Hercules The Avenger』 1965年) | トップページ | 『Pride of the Bowery』(1940年) »