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2006年10月29日 (日)

『回転』(『The Innocents』 1961年)

 

デジタルWOWOWで放送されたハイビジョン映画であります。モノクロ画質が凄くキレイ。おまけにノートリミングのシネスコ。いつもの貧乏くさい輸入DVDとは段違いですなあ。

 冒頭、叔父さん(マイケル・レッドグレーブ)の面接試験を受けるミス・ギデンス(デボラ・カー)。この叔父さんというのが途方もない大フゴーでイギリス各地に屋敷や別荘を持ち、忙しく仕事で飛び回っている人。でも彼はひょんなことから兄弟の遺児二人を預ることになったのでした。叔父さんは「いやー、甥はマイケル(マーティン・ステファンス)、姪はフローラ(パメラ・フランクリン)と言って二人ともとても良い子なのですが」叔父さん、ここでぴんと右手の小指を立てまして「私、こっちの方も忙しいんですわ」本当にこんなことを言っている(笑)。「だから子供たちになかなか手が回りませんでしてな。あなたに家庭教師をお願いしたいと思うのです。マイケルは寄宿学校に、フローラはブライの屋敷におりますよ」

 はい、目出度く採用決定。ギデンスは早速ブライという田舎町にある彼の豪勢な屋敷へ向かうことになります。もともと子供好きなギデンスはどんなお子様のお世話をするのかと楽しみにしています。ただ、さっきの面接で叔父さんが「子供たちに関する苦情は受け付けません。そのためにあなたを雇うのですから私を煩わせては困る!」と言ったこと、前任の家庭教師ミス・ジェセル(クライティ・ジェソフ)が不慮の死を遂げたらしいこと、などが気に掛かったのですが、彼女は「迷わず行けよ、行けば分かるさ」と猪木みたいなことを考えてその不安を振り払ったのです。

 馬車に揺られて小1時間。屋敷についたギデンスはその庭園の美しさに目を見張ります。美しいだけではなく、また無闇に広い、広い。敷地内には湖まであるのです。この光景に見とれているギデンスの耳に聞こえてきたのが「フローラ、フローラ」と呼ぶ声。同時に彼女は湖のほとりで遊んでいるそのフローラを見つけたのでした。はて、あの声は誰のものだったのでしょうと思いますが、とりあえずそれは無視(笑)。フローラも「あ、あなたがギデンス先生ね」と分かってくれましてたちまち二人は仲良くなったのであります。そしてフローラに連れられて屋敷へ行くと、「まあまあ、先生、ようこそいらっしゃいました」と出てきたのが家政婦のグロース夫人(メグス・ジェンキンス)。この人も良さそうだし、屋敷も庭に劣らず豪勢だし、こりゃまったくいいところに就職したものだわ、ほっと安心するギデンスなのでした。

フローラのペットがリクガメ。じっくり見てみるとどうやらこれはヘルマンリクガメらしい。

 しかしその夜うなされるギデンス。一緒の部屋で寝ていたフローラがその彼女をじっと見つめているのが不気味です。さらに窓から外を見下ろすフローラ。すると何かを見つけたかのように微笑むのでした。おー、だんだんホラーらしくなってきましたなー。

 しかし次の朝になるとそんなことはまるでなかったかのようにギデンスと楽しく遊ぶフローラです。でもフローラは時々「もうすぐお兄さんも帰ってくるわ」とおかしなことを言ってギデンスを困らせます。彼女がいくら口をすっぱくして「今学期の最中だから帰ってこれない」と言い聞かせてもフローラ、頑固に「いいえ、それでも帰ってくるの」と言い張るのでした。うんざりしたギデンスですが、丁度その時、寄宿学校から「マイケル退学」の知らせが届いたのです。仰天するギデンス、フローラに「あなた、何故このことが分かったの」と問いただすのですが、もちろん、はっきりとした答えは返ってきません。さらに悪いのがその退学になった理由。「不道徳で堕落しており他の生徒の害になる」思わずギデンス、「えー、これどういうこと。学校でスカートめくりとかちんぽ見せごっこでもやったのかしら」

 スカートめくりもちんぽ見せごっこも私が子供の頃実際にあった事件です(笑)。

 さて、その手紙による通告どおり屋敷へ戻ってきたマイケル。明るい利発そうな子供でギデンスともすぐ打ち解けます。いきなり「先生はキレイですね」とお世辞をかましやがる(笑)。それでいながら「叔父さんは僕たちのことなんかまったく気にかけちゃいないよ」と泣く可愛らしさもあってギデンス、もう夢中。「私がこの子の力になってあげなくちゃ」と決意するのであります。ところが、この頃から怪奇現象が頻発するようになったのでした。庭でバラを切っていたギデンス、屋敷の塔(こんなものがあるのですなあ)の屋上に不気味な男がいるのを見つけます。慌てて登ってみるとそこにいたのは鳩の世話をしているマイケルのみ。「ヘンな人を見なかった?」と聞いてもマイケルは「いない、ひょっとしたら先生、僕を見間違えたんじゃないの」

 さらにその夜子供達の発案でかくれんぼをしたらギデンスは屋根裏で怪しいメロディのオルゴールとこれまた怪しい男の写真を見つけるわ、自分が鬼の番になってカーテンの陰に隠れるとベランダからさっきの写真の男がひゅーどろどろと出てくるわ、もうたまりません。ギデンスははっと気がつきます。「あれは塔の上にいた男よ」どうやらこの屋敷、怪しい霊魂に取り付かれているらしい。グロース夫人にこの男の写真について聞いてみるとそれは叔父さんの従者で以前この屋敷を切り盛りしていたクイント(ペーター・ワインガルデ)ではないかというのです。彼は事故で死んでしまったのですが、それまではこの屋敷に君臨し、マイケルは彼に心酔していたといいます。おまけにどうも前任の家庭教師ジェセルとただならぬ関係にあったらしい。

 その後、ギデンスは子供達の奇妙な振る舞いからひょっとしたらあの霊魂、屋敷に取り付いているだけではなく子供達にも影響を及ぼしているのではないのかしらと考え始めます。そしてギデンスは湖で今度はミス・ジェセルの幽霊を目撃しますところが不可解なことに一緒にみた筈のフローラは知らん顔をしているのです。子供たちは幽霊に操られているのだ。この謎は過去に答えがあるという結論に達したギデンスはもう一度グロース夫人に問いただすのでした。始めは嫌がっていたグロース夫人、ついに観念したと見えて

 「そうですのよ、クイントはジェセルさんとそういう関係でした。でも決して良い関係ではなかった。クイントはジェセルを肉体的にも精神的にも支配していたんです。暴力もふるっていたし、何より」ここでグロース夫人ぽっと頬を染めまして「あのう、そのうアレが、アレが凄いんです。昼間っから部屋でやったり、子供の前でも隠さなかった、なんだか見られると返って燃えるのだと訳の分からないことを申しておりました。マイケルが不道徳で放校になったのはきっとクイントのせいですわ」ははぁ、いきなり凄いことになってきました(笑)。昼間っから部屋でやるのはともかくとして子供に見せちゃまずいでしょ、あんなもの。

 しかしクイントは不幸な最後を遂げます。ある冬の晩酷く酔っ払って帰ってきて「ういー、そうだよ、俺は酔っ払ってますよ、酒飲んだんだから酔っ払うのが当たりどぅっ」階段から転げ落ちて死んでしまったのでした(大笑い)。マイケルは大ショック。そしてジェセルは彼の死を儚んでとうとうあの湖に身を投げてしまったのでした。

 この話を聞いたギデンス、ロンドンの叔父さんのところへ助けを求めに行こうとするのですが、教室でジェセルの幽霊をまた目撃したことで考えを変えます。「今私がいなくなってしまったら大変なことになるわ。私はここに残って幽霊と戦うの。子供達自身の口から真実を語らせるの。そうすれば大丈夫よ」よく分かりませんが、子供達にクイントとジェセルが死んだことを納得させて、幽霊達に「あんた達、死んでいるんだよ」といわせるということなのでしょうか。

 さて、その晩戦いを決意したギデンスが図書室で一人聖書を読んでおりますとあのオルゴールのメロディーが聞こえてきたり、笑い声が聞こえてきたり不気味悪いことこの上なし。ギデンスは蝋燭を持って屋敷を調べに掛かります。よくまあ、ホラーの常道とはいえ、暗い屋敷の中を一人で歩けますなあ。私だったら多少音がしたって気にせずに酒をくらって寝ちまいますよ、ホント(笑)。ギデンス、いろいろな部屋を調べようとしたのですが、どれも鍵が掛かっています。そうするうちに幽霊達はますます騒がしくなって「キスして頂戴、お願いよ」「ふふふふ」「子供達を見てみろ」がたん、どたん、「ノックぐらいするがいいじゃないか」コンコンコンというノックの音。モー、めちゃくちゃ。さすがにたまらなくなったギデンス、寝室へ引っ込みます。

 しかしその寝室でもフローラが窓の外を見つめていて大変コワい(笑)。ギデンスがその視線の行く先を確かめてみるとこんな夜中に庭を歩くマイケルの姿が。しかもマイケル、塔の上の方向をじっとみております。

 ミス・ギデンスは急いで庭に降りていくとマイルスを捕まえます。なぜこんなことをしたのかと問い詰めるとマイルス、しれっとした顔で「僕、悪い子になりたかったの。だって良い子でいるって退屈でしょ」寝室に連れていき寝かしつけようとすると今度は枕の下から明らかに首を捻られた鳩の死体が!驚くミス・ギデンスにまたもマイルスはしれっとした顔で「可哀想だから明日埋めてやろうと思ってもってきたの」おまけに、マイルス、お休みのキスなのにギデンスに抱きついて口にぶちゅー。

 ギデンス、いよいよ彼がクイントの霊に操られていると確信するのでした。しかしどうでもいいですがなかなか話が進みませんのう。

 さらに今度はフローラに事件発生。姿が見えなくなった彼女を探すミス・ギデンス。彼女はあそこにいるに違いないと湖へ行きますと、果たしてフローラはいました。彼女はあのオルゴールの曲に合わせて踊っていたのです。そして再び現れる、ミス・ジェセルの幽霊。ギデンスは彼女の腕を掴むと「ほら、見えるでしょう、あそこにジェセルさんがいるわ」と叫ぶのですが、フローラは「見えないわ、誰もいないわ、先生、ヘン」と激しく首を振るばかり。いらだったギデンス、さらに「そんなこと言ったってそこにいるんじゃないの、見えないはずはないわ、さあ見えるとおっしゃい!」とうとうフローラ泣き出してしまいました。この騒ぎを聞きつけてやってきたグロース夫人の腕の中に飛び込んで「先生があたしをいじめるの」と叫びます。まあ、誰が見たって幽霊がいると言い張るキチガ×が少女をいじめているようにしか見えませんけどね(笑)。グロース夫人もそう思ったらしくフローラを連れて屋敷に戻ってしまうのです。

 しかし、フローラのヒステリーはなかなか収まりません。そのためミス・ギデンスがおかしくなったと警戒していたグロース夫人も次第に「この屋敷にはクイントとジェセルの幽霊が取り付いていて子供達を支配しようとしている」といういささかトンデモなギデンスの言葉を聞き入れるようになるのです。そしてギデンスは彼女にこんな提案をするのでした。「グロースさん、あなた、明日フローラを連れて叔父さんのところへ行って頂戴。私はマイルスと二人で残って彼を操っているモノと戦うわ」

 翌朝、この提言に従って本当にフローラを連れて叔父さんのいるロンドンに旅立つグロース夫人。いや、本当にいいのですか、あんなこという女と幼い子供を二人っきりで残してしまって(笑)。

 さあ、これで邪魔者はいなくなった。マイルスをとっつかまえて対決(説教)だ!と張り切るギデンスですが、あにはからんやマイルスの姿がどこにも見当たりません。がっかりするギデンス、私もなんだ、早く話を進めろよとイライラしております。このままなんとなく時間が過ぎてお茶の時間になった時にさあ、ようやくマイルス戻ってきた。「先生、みんな出て行ったの?僕ら二人っきり?」と聞くわけですよ。それから「みんな逃げたんだね、僕には分かる、でも先生は僕が守るよ、フローラもロンドンに行ったの、彼女はこの家をとても愛していたのに」「あなたはどうなの?」ギデンス先生にこう聞かれたマイルスははっとなって外へ駆け出します。その彼を追っかけたギデンス、庭で追いついて「なんであの夜庭にいたの」「だから悪い子になりたかったんだってば!」「ウソよ、本当の理由を話しなさい!あなたは操られている、学校を退学になったのもそのせいだわ」はっとなるマイルス、「知らないうちに悪いことをしていたんだ。夜になって暗くなると何も分からなくなって気がつくとみんなが怯えているんだ、僕が悪いことをしたって」「誰なの、誰に操られているの」「ウワー知らないよ」また逃げ出すマイルス、ギデンス同じようにおっかけてすぐ彼を捕まえます。どうも同じことを繰り返していてもどかしいですなー(笑)。

 さらに問い詰めるギデンス、「あの男ね、あの男がやらせているのね、さあ、その名前を言いなさい」こんな会話を延々やっているうちにいつの間にかとっぷり日が暮れておりまして、あたりは真っ暗。そしてずーんとクイントの幽霊が姿を現します。そんな中ギデンス、なおもマイルスを揺さぶって「あの男でしょ、さあ、名前を名前を言うのです!」ついに観念したマイルス、囁くような声で「クイントだよ・・・」ふっとクイントの幽霊が消えてしまいました。大喜びのギデンス、「これであなたは解放された、自由なのよ、もう大丈夫だわ」しかしその時すでにマイルスは事切れていたという・・・。言いようのない悲しみに囚われたギデンスがマイルスの唇にキスしたところでエンドマーク。

子供たちの口から真実を語らせるというのはこのことだったのでしょうか。何か釈然としません(笑)。

 ギデンス、絶対やばいです。「幽霊が子供達を操っている」などといって家政婦たちを遠ざけ自分はマイルスと二人っきり。そのマイルスが死んだのです。疑われないほうがおかしい。ショタ殺人だって言われちゃいますよ。

画質は大変美しい。暗部が若干浮き気味でありますが、まずは上質のモノクロ画像。音質もきらびやかさはありませんが聞き取り安いです。WOWOWデジタルハイビジョン放送版。日本語字幕付。

エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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