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2007年2月11日 (日)

『怪奇!吸血人間スネーク』(『SSSSSSS』 1973年)

 

『怪奇!吸血人間スネーク』(『SSSSSSS』 1973年)

 公開当時蛇人間の特殊メイクが話題になった作品です。私はその特殊メイクの不気味悪さに怯えて(笑)劇場で見ることができませんでした。後から大層後悔したものですが、それから30年余を経た現在になってDVDで見てみたら、やっぱり「ああ別にそんな見る必要もなかったな」という映画でしたとさ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

深夜地下室から動物の檻らしき木箱を運びあげる二人の男。本作の主人公爬虫類学者のカール・ストーナー博士(ストローザ・マーティン)と脇役の見世物小屋の主人コーゲン(ティム・オコーナー)であります。木箱をトラックに積み込んでその代金800ドルを博士に渡すコーゲン。にやにやしながら「いやー、あんたはまったく天才だね、ほんとたいしたものだよ」苦笑する博士、「いや、失敗したのにそんなに誉められても」謎めいた会話であります。そしてトラックに積み込んだ木箱の中身は一体何?走り去るトラック、ここでタイトルが出ます。

 翌朝、ジープで出かける博士。彼は地元のカレッジにいき爬虫類の講義をしているダニエルズ博士(リチャード・B・シャル)に面会。そうして資金の援助を頼みます。なにやら因縁のあるらしいダニエルズ博士はにべもなく「駄目だもんね。そんなお前なんかに金は出さないもんね」がっかりしたストーナー博士はそれならばということで「じゃあ、学生を一人手伝いによこしてくれよ、前に紹介してもらった奴が急にやめちゃったもんでさ、人手が足りなくて困っているの」この願いはさすがに聞き入れられてダニエルズ博士が紹介したのがデビット・ブレイク(ダーク・ベネディクト)という金髪のハンサムな青年でありました。


デビットは(地元だけで)有名なストーナー博士のところで働けると有頂天になります。そのまま自分の家に帰って荷物を纏めるとかなしで(笑)ストーナー博士のジープに乗り込んで研究所に直行するのでした。研究所で二人の仲間を紹介されるデビッド。一人は博士の娘クリスティーナ(へザー・メンジース)、もう一人は博士の大事なペット、ニシキヘビのハリーです。

 博士は得意そうにデビットに蛇が一杯の研究室を案内するのでした。「この研究室の蛇のケージには三種類のタグが張ってある。緑のタグは毒なし、噛まれても平気だ。黄色のタグは毒があって噛まれるとアウトだから気をつけなさい。赤のは強烈な毒を持っていておまけに凶暴、今風に言えばチョーヤバイという奴じゃな」この赤グループに一噛みで10人イチコロのブラック・マンバとか一噛み30人イチコロのキング・コブラなんかがいる訳です。おまけに何故かマングースがいて博士ったらこの檻をキングコブラの前に持ってきたりします。お互い睨みあってシューシューギャーギャー威嚇しあうコブラとマングース。なんだかちょっとラストのオチが読めてきたような気がします(笑)。

 ここでデビットに「蛇毒の免疫をつける」と称してキング・コブラの毒から作ったという怪しげな血清を注射する博士。デビッドよう、お前よう、初対面の人間の研究室にのこのこ行っていきなり訳の分からない注射打たれているんじゃないよう。おまけに博士、夕食の席で眠いと言い出したデビッドに、「今夜の夢は楽しいぞ。何しろキング・コブラの毒は最強の幻覚剤じゃからな」だって。いかんだろう、そんなもの(大笑い)。ベッドに入るデビッド。博士の予想通り彼はいろんな夢を見ます。火山やら煙やら悪魔と地獄の絵やら人の目やら口やら鼻やら耳やら足やら、こういっちゃなんですがつまらない夢ですなあ。

 その後は夢と同じくつまらない日常生活。博士とクリスティーナが観客集めてキング・コブラの採毒ショーを見せたり、そのあがりがたった18ドルでしかも先週よりは良かったと聞いてデビッドが驚いたり(笑)、また血清の注射をされたり、前の助手のティムが行方不明だというので保安官のハディソン(ジャック・ギン)と助手のモーガン(テッド・グロスマン)がやってきて事情聴取したり、デビッドの皮がやたらに剥けだしたり、それで博士に文句を言うと「それは正常な反応さ、あははは」と誤魔化されたり、こうしただらだらした描写はなんとかならないものですかね。

 そんな中、蛇のハリーに話しかける博士。「あと50年もしたら地球の化石燃料は枯渇する。とっても寒い星になってしまうのだ。そうしたらお前たち冷血動物の天下だね」もうお分かりでしょう。博士は人間を蛇にして来るべき地球の寒冷化に備えようとしていたのです。その実験体にされているのがデビッドという訳。デビッド、大変だぞ、早く逃げ出した方がいいぞ、あれ、皮が剥けたとか言っている場合じゃないぞ、最近、マングースが君を見て妙に騒ぐようになっているのに気づかないか。

冷血動物の天下って気温が下がったら動けなくなって冬眠してしまいますがな。

 まあ、ここで気づいて逃げ出しちゃ映画になりません。代わりと言っちゃなんですけど、デビッドはクリスティーナとデキてしまいます。車で二人で出かけて湖を見つけると、「あ、湖だ、一緒に泳がないかい」「やだ、私、水着持ってきてないもの」「裸で泳ぐのさ、君はナチュラリストだろ、湖で裸で泳ぐ、これぞナチュラルの極み」何を言っているのか、こいつは(笑)。そうしてですな、二人は本当に裸になって湖で泳ぐという・・・。そんなこととは露知らずの博士、散歩しながら持ってきたカセットレコーダーになにやらぶつぶつと吹き込んでおります。「デビッドの体温は1日に三度の割合で順調に下がっている。彼の変化は着実に進行しているのだ」だからデビッド、クリスティーナとイチャついている場合じゃないって。

 さて、その夜、またまたジープでお出かけの二人。偶然カーニバルが開かれていたので行こうということになります。観覧車やジェットコースターに乗って楽しんだ後、二人の目に留まったのが見世物小屋でした。そこで呼び込みやっていたのが冒頭出てきたコーゲンですよ。「よってらっしゃい、見てらっしゃい、レディス・アンド・ジェントルメン おとっつあん、おっかさん、シャム双生児に蛇人間、いろいろいるよ、面白いよ」蛇人間に素早く反応したデビッド、「それ、見たい、見たい」しかしクリスティーナは彼のわき腹をつついて「よしなさいよ、どうせ偽物よ」これを聞きつけたコーゲン、「お嬢さん、もし偽物だったらこの私が1,000ドル、手の切れそうな新札で進呈しやしょう」ここまで言われたらもう見るしかない。クリスティーナを残して見世物小屋に入るデビッドです。

 腰のところでくっついている「シャム双生児の少年」とか、血まみれの包丁もって唸っている「殺人鬼」とか、大きな板に血がついている「おおいたち」とか、蛇の頭をがりがり齧る「蛇女」とか、ビデオだらけの部屋でアニメを見ている「オタク」とか、どうにもインチキ臭い見世物ばかり。がっかりしたデビッドです。しかしどうせ、これも偽物だろうと思いつつ蛇人間を見たデビッドは「な、なんじゃ、こりゃ、どうみてもホンモノじゃないか」まあ、腕を胴体にぴったりつけた半裸の人間に特殊メイクを施しただけなのですが、それを言っちゃ始まりません。

 どうやらこの蛇人間が元助手のティムらしい。デビッドやっぱりそんなの見て喜んでいる場合じゃないぞ。しかし、どうでもいいですけど、この蛇人間、髪の毛が少ないですなあ(大笑い)、禿げ掛かっているのがはっきりと分かる。こういうのこそ特殊メイクで隠せばいいのに。

 すっかり興奮してクリスティーナに教えてやらなくちゃと外にでたデビッド。そのクリスティーナが地元のゴロツキに絡まれているのを発見します。「やい、こらその手を離せバカヤロー」ということでゴロツキと取っ組み合いになるデビッド。しかし相手は巨漢で力も強い。デビッド、ぼこぼこにされてしまいます。彼は苦し紛れにゴロツキに噛み付いた!ここで前に出てきた保安官二人組み、ハディソンとモーガンが割って入ってデビット事なきを得たのでした。

 デヴィッドと揉めたゴロツキ、スティーブ・ランダル(レブ・ブラウン)、彼はあまりに唐突に出てきたので良く分からなかったのですが、デヴィッドの同級生、カレッジのフットボールチームの花形プレーヤーでクリスティーナとも知り合いだったのであります。

目下蛇化進行真っ最中のデヴィッドに噛まれたのでキングコブラの毒が回ってバッタンキューの大騒ぎという展開を期待していたのですが、さにあらず、スティーブ、カーニバルでセクシーダンスショーを見てはあはあ興奮しているという…。その興奮の行き場をどこにしよう、そうだ、クリスティーナだと浅慮なことにバイクで研究所へ押しかけるのであります。何故かこいつはクリスティーナの部屋がどこにあるか知っていて(笑)、2階の彼女の部屋へ壁よじ登って侵入するのです。そして寝ているクリスティーナに「いただきまーす」と飛びかかろうとしたところにわあ、蛇だ、蛇がいた。窓のところで寝ていたハリーがこやつの腕にきりきりとまきついたのです。「ひー」2階から落下するスティーブ。しかしさすがフットボールプレイヤー、落下のショックをものともせず、逆にハリーを腕からもぎ取って地面に叩きつけます。「てめえ、蛇、死ね死ね死ね!」この攻撃にたまらず伸びてしまうハリー。どたどたと2階から降りてきたクリスティーナはこの惨状を見て「ハリー」と絶叫するのでした。

 スティーブ、その彼女に向って「この蛇娘、気持ち悪いんだよ、あーっぺっぺっ!」と吐き捨ててバイクで逃げ出してしまうのでした。

 これで激怒したストーナー博士、ケージからブラック・マンバを取り出してカバンに入れ、車でスティーブのアパートへ。スティーブは女と三回ヤッた直後で上機嫌でシャワーを浴びております。博士はバスルームに忍び込むとふんふんふんと鼻歌歌っているスティーブの足元にブラック・マンバをぽい。はい、ブラック・マンバ、スティーブの足にがぶりっておいおい、本当に噛み付いているぞ(笑)。強烈な神経毒をたっぷりと注入されたスティーブ、たちまち心臓が止まってあの世行き。えー、この殺害方法の良いところはスティーブが心臓麻痺を起こしたようにしか見えないというところで事実地元警察も病死にしてしまいます。でもなあ、検死で足の傷口が見つかると思うけどなあ(笑)。

 ブラック・マンバを回収して研究所へ戻る博士。その頃、デヴィッドとクリスティーナはヤッてました。どっちかの部屋でヤレばいいものをわざわざ居間の暖炉の前に毛布敷いてヤッていたのです。博士の車の音を聞いて「やばっ」慌てて服を着て逃げ出す二人。しかし毛布はそのまま、おまけにシャツを忘れていったりしたので博士に思いっきりバレてしまいましたとさ。博士、クリスティーナの部屋へ行って「お前、デヴィッドとヤッたろう」「ヤッてないわよ」「ウソつけ、ヤッたヤラないの二元論で言えばヤッたんだろう」クリスティーナはかっとなって「ええ、ヤリました、あたしたち愛し合っているんだから、ヤッたっていいでしょ、私は大人なのよ!」博士はおろおろします。「彼の血液はまだ危険なんだ、ちゃんとした抗体ができていない。だから彼とヤッちゃいけないのだよ」こんなこと言われてああ、そうですかと従うクリスティーナではありません。彼女も言い返してはい、親子喧嘩になってしまいました。

 翌朝、さらにややこしいことになります。起きて鏡を見たデヴィッドは「ギャーッ」ついに彼の顔面、体に著しい変化が現れたのです。蛇のような鱗がはえてきていたのでした。おまけに全身を襲う激しい痛み。「うぇうぇっぐー」と一度聞いたら忘れられないようなイヤーなうめき声を出して苦悶します。当然、彼のことを心配するクリスティーナですが、ストーナー博士は「いや、大丈夫、アレルギー反応だ。ちょっと顔面に症状が現れているからデヴィッドはお前に見られたくないといっている」これでごまかされるなよ、クリスティーナ(笑)。さらに彼女はデヴィッドのことはわしに任せておけと胸を叩く博士の頼もしさに感激して「パパ、ありがとう」昨夜の親子喧嘩はどこへやら、すっかり仲直りしてしまったのです。さらに港へ着く蛇の受け取りも頼まれてあっさり出かけてしまうクリスティーナ。ああ、クリスティーナ、君はどこまで無邪気なのか。

 「うぇうぇっぐー」と一度聞いたら忘れられないようなイヤーなうめき声を上げて苦しみもがくデヴィッド。「痛い、胃がねじれそうだ。博士、気持ち悪いっす」博士は彼を研究室に連れていってさらにもう一本注射。「君はコブラの毒に過剰反応しているんだ」「博士、他の医者に連れて行って貰えないっすか」「いいけど、他のどんな医者もコブラの毒については何も知らないよ」「うぇうぇっぐー」さらに一度聞いたら忘れられないようなイヤーなうめき声でもだえるデヴィッド。そんな彼を見て内心ほくそ笑んでいる博士です。

 ところがここに珍客到来。ダニエルズ博士がスティーブの死を知らせにやってきたのです。さらに彼はデヴィッドと会わせてくれと頼むのですが「忙しいから」とけんもほろろに断るストーナー博士。その態度に怪しいものを感じたダニエルズ博士は一旦車で帰るフリをしてこっそり研究所に戻ってきたのです。そして彼は研究所の窓から変わり果てたデヴィッドの姿を見てしまったのでした。顔面が緑で鱗だらけのデヴィッドを見て仰天するダニエルズ博士。「な、なんじゃ、こりゃ!」そのとたん、後から忍び寄ってきたストーナー博士が計りの錘で後頭部をがんっ。ダニエルズ博士昏倒します。

 ストーナー博士は彼を地下室に連れて行って鎖で柱に繋いでしまいます。そして彼の前に置かれた水槽に無毒・有毒の違いがあるが外見的にはそっくりという蛇をそれぞれ入れるのでした。この両方に鎖についている錠前の鍵を入れて準備完了。目を覚ましたダニエルズ博士に「さあ、君の目でどっちが無毒の蛇か見分けたまえ。その無毒の蛇の水槽に入っているのが正しい鍵だ」実はこれが映画『SAW』の元ネタであったという(笑)。「うっかり毒のある蛇を間違えたら噛まれてイチコロだぞ。正しい鍵を取ることができたら逃がしてやる」そういって地下室を出て行くストーナー博士。

 残されたダニエルズ博士、恐怖に息を荒げます。果たしてどっちが無毒の蛇か。私だったらこんな面倒なことはせずに水槽引き寄せて足で中の蛇をいきなり踏み潰しますね(笑)。蛇には気の毒だけどこれだったら噛まれる心配はないですからなあ。ダニエルズ博士、何度も何度も二匹の蛇を見比べた挙句一つの水槽に手を伸ばします。果たして彼の選択は正しいのか、行き詰る瞬間ですが、意外とあっさり鍵を取ってしまう訳で。ダニエルズ博士、大喜びで鎖の錠前を外しに掛かるのですが、天井から食欲不振のために隔離されていたパイソンがしゅーっと降りてきて、はい、博士を呑んでしまいましたとさ。

 この間にもデヴィッドの蛇化はますます進行中。すでにマトモに歩くことはできなくなっており、両手を胴体にぴったりつけて這い回るばかりであります。

 一方、港に到着したクリスティーナ。蛇の入荷予定がまったくないことを知らされて困惑します。そのまま朝まで荷物を待つことになったのですが、これを聞きつけた係員が彼女に話しかけきた。「お嬢さん、蛇がお好きかね。だったらカーニバルの蛇人間を見たらどうだね。あれは凄いよ」普段ならそんな話は一笑に付すクリスティーナですが、デヴィッドの奇妙な病気のことがあったもので、蛇人間とやらを見に行くことにします。見世物小屋はすでにクローズしており主人のコーゲンにも断られてしまったのですが、どうしても収まらない彼女はこっそりとテントの中に忍び込んだのです。そして蛇人間を見たクリスティーナは絶叫します。「あ、あなたはティムね、ああ、パパったらなんてことを」まあ、一目見てティムだと分かるところがさすが蛇娘クリスティーナでありますな(笑)。蛇人間ティムがこの時ぽろりと涙をこぼすのがなんとも哀れ。

 デヴィッドもティムと同じ目に会わされようとしているのだとようやく気づいたクリスティーナ。車に飛び乗って研究所へ向います。

 さてその頃保安官事務所でも異変が起こっていました。スティーブを殺しちゃったという女がやってきたのです。ハーディソンとモーガンが話を聞いてみると女は「うわああん、練習で疲れているのに、3回もヤッちゃったからスティーブは心臓麻痺になっちゃったのよ、うわああん」苦笑いする二人、「うわああん、そういえば、あの人、ストーナー博士のところの蛇を殺したなんて言ってたわあ、うわああん」この時偶然にもダニエルズの奥さんから夫が帰ってこないという内容の電話が掛かってきます。しかも彼が最後にいったのはストーナー博士の研究所だそうな。ハーディソンとモーガンはこの奇妙な一致に胸騒ぎを覚え、とにかく研究所を調べることにしたのです。パトカーで急行します。

 さあ、後はラストまで一気呵成。ストーナー博士、デヴィッドを診察台に固定して最後の注射をブスッ!鱗が見る間に広がっていき、最早人間の姿とはかけ離れたものになってしまいます。両足やくっつき両腕は胴体の中にとメタモルフォーゼは急速に進んでついにデヴィッド、ただのキング・コブラになっちゃったぁ!「わっはっは、これで人類は進化の壁を破るのだ、新しい存在の誕生なのだ」一人で盛り上がる博士です。

 しかし、この後は大間抜け。ストーナー博士は外の採毒場で別のキングコブラを捕まえようとしてがぶりとやられあっという間に頓死してしまうのです。ここでようやく到着したクリスティーナ、無残な父の姿を見て「パパ、パパ」とすがりつくのですが、コブラは彼女にも襲い掛かった。懸命に逃げようとするクリスティーナ、必殺の毒牙攻撃を繰り返すコブラ。とその頭が吹っ飛んだ。都合よく到着した保安官二人組がショットガンでコブラを撃ったのでした。

 間抜けな展開は研究室の中でも起こっています。しきりに騒いでいたマングースのケージの扉が偶然開いちゃった。飛び出したマングースは這い回るデヴィッド=キング・コブラに襲い掛かります。危ういところを助けられたクリスティーナと保安官二人組が研究室に飛び込んだ時、すでにデヴィッド=キング・コブラはマングースの猛攻に息絶えていたのでした。これを見たクリスティーナが「ああ、デヴィッドがマングースの餌に!」と絶叫したところでエンドマーク。

 本当に下らなくって面白れえなあ(大笑い)。何が「ああ、デヴィッドがマングースの餌に!」だよ、アハハハハ。

スクイーズのワイド、カラー。モノラル音声。画質は非常に優秀。色の滲みがなく高解像度。細かなところまではっきり見えます。音声も聞き取りやすくて高品位。英語字幕付。わたしゃこんなDVDなら10億枚買いたい(破産するって)。Universal StudiosのDVD。

 エロの冒険者 

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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『巨大猿怪獣コンガ』(『Konga』 1961年)

 

『巨大猿怪獣コンガ』(『Konga』 1961年)

               

 もう何本目になるか分からない巨大猿怪獣映画。本作はとにかく猿怪獣の産みの親となる博士が物凄く悪い。研究のことでならともかくいい年こいて教え子の女子学生に懸想して邪魔な彼氏をぶっ殺すという悪逆非道ぶり。ここまで悪いキャラクターというのはめったにおりませんぞ。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

冒頭なぜかワライカワセミの鳴き声が響くアフリカの空をセスナが飛んでおります。とエンジンの音がおかしくなって見る間に高度を下げるセスナ。そのままジャングルに突っ込んでどかーん。大爆発します。ここでオープニングクレジット。

 ニュースキャスターが「一週間前イギリスの著名な植物学者 チャールズ・デッカー博士(マイケル・ガフ)を乗せたセスナがジャングルに墜落した模様です。生存は絶望視されております」なぜ、報道するのに一週間も掛かったかというと、アフリカの部族の人が走って近くの町まで知らせて、それから電報のリレーでようやく英国に伝わったからなのです。もう一生懸命走ったアフリカの人、ご苦労さんッス。

 ところがその一年後、チャールズ・デッカー博士がひょっこり戻ってきた。彼は墜落するセスナから危ういところでパラシュート降下して助かっていたのです。そして近くの親切なブガンダ族に助けられてようやく文明社会への復帰を果たしたのでした。しかもその間博士はジャングルで動物の成長を促進するというとても貴重な食虫植物を発見しており、これを研究することによって植物から動物への進化の道筋を明らかにできるのではないかと考えていたのでした。彼は検疫をどうやったのか知りませんがこの食虫植物をイギリスに持ち込み栽培しようとしております。

 彼のお土産はもうひとつ。可愛らしいチンパンジーのコンガです。飛行機から命からがら脱出した博士をブガンダ族の村に案内したといういわば博士にとって命の恩人(恩猿)、空港で記者団のインタビューに答えて「私と彼には切っても切れない絆がある。とてもアフリカに残しておくわけには行かなかったのさ」もちろん、こんな映画ですから、チンパンジーを連れてきた理由がそんなウツクシイものである筈がありません(笑)。

 さて、ようよう自宅へ帰還した博士を迎えたのが博士の長年の助手であるマーガレット(マーゴ・ジョーンズ)であります。彼女は口をとんがらかせて「まったくもう一年も帰ってこないで、私がどんなに心配したと思っているんですか。おまけにやっと手紙が来たと思ったらこんなに苦労している私にねぎらいの言葉一つなかったでしょ、それで猿の檻を用意しろなんて人を馬鹿にするにもほどがあります」博士はそんな彼女に「いやー、すまん、すまん」とテキトーに謝っておいて、すぐさま実験の準備。温室へ行って彼が留守の間、マーガレットが丹精こめて育てていた花をぽんぽん抜いてしまいます。驚いたマーガレットが抗議するのを無視してカバンから取り出した怪しい植物の根っこを移植する博士。「見なさい、この植物があれば進化の秘密を我が物とすることができるのだ。そうなれば私の科学者としての地位も不動、ノーベル賞だって夢ではないぞ、わははははは、ははははは、げほっ、げほっ」

 その翌日、実験室で植物の葉から成長促進成分を抽出する博士。抽出といえば聞こえがいいのですが、要するに煮出しているのです。そこらへんのおばあちゃんがどくだみ茶作っているのと変わりません。と、どくだみ茶じゃなかった成長促進成分が吹き零れてしまいました。そこへマーガレットが閉め忘れていたドアから入り込んだ猫が登場。にゃーっとなくなりどくだみ茶じゃなかった、成長促進成分をぺろぺろなめてしまいます。「まずい」顔色を変えた博士はいきなりピストル持ち出してずどーん。「にやーっ!」猫を射殺してしまったのです。「なんてひどいことをなさるのです」と抗議するマーガレットでしたが「馬鹿、この猫がライオンなみに大きくなったらどうするのだ、コンガ用の檻じゃ間に合わんぞ」ですって。

 そんな凄い薬をぐつぐつ煮立てて吹き零してしまったのは誰なんですかって話ですよ(笑)。

 さて、食虫植物は日々恐ろしい勢いで成長しております。その形態には三種類ありまして最初の二種は食虫植物らしくハエトリグサとウツボカズラにそっくりであります。問題なのが最後の一種類でこれは、あのう、そのう、要するにチンチンに似ている訳でして、しかも黒光りしているという・・・(大笑い)。マーガレットなぞ一目見て「まあ」と顔を赤らめております。博士は嬉しそうに葉っぱをちぎるとこれをすりつぶしてまた成長促進成分の抽出。そして出来た液体をコンガに注射すると、あら、不思議、子供のチンパンジーである彼が大人になってしまったではありませんか。

 「これが植物の力だ、どうだ、凄いだろう、マーガレット」大いばりの博士であります。

 そんな博士は研究の傍らエセックス大学にて教鞭をとっております。教えているのは博士の「アフリカ体験記」、脱出の際かろうじて持ち出せたカメラを使ってブガンダ族の生活を記録したというフィルムを見せながらあれこれ解説しております。「彼らは彫刻の才に優れている。食べ物は主に青いバナナだ。これを蒸してマメや芋と一緒に食べるのだ。彼らはダンスが好きで何かある度に大喜びで踊っているぞ」この授業に出ていたのがヴォランティアで博士の手伝いをしているサンドラ・バンクス(クレア・ゴードン)。科学者志望の彼女はすっかり博士に夢中の様子。コーヒーを誘った彼氏ボブ・ケントン(ジェス・コンラッド)をすげなくはねつけるのでした。そんな彼女に博士もまんざらではないようで、「君は美しく聡明な科学者になれること請け合いだ」なんて言っているのでした。

 ところがここで学長のディーン・フォスター(オースティン・トレバー)の横槍が入った。彼は新聞で博士のインタビュー記事を読んでなんだ、この反道徳的な研究はと激怒。彼を呼びつけて直ちに研究をやめろと申し渡したのです。とうぜんながら博士は拒否。それどころか「私は植物の成分を動物の血流に注射してミューテーションさせるのだ。そして最終的には人類を変えるのだ」というトンデモないことを言い出した。あきれ果てたフォスターは「もういい、出て行け、このチガイめ!」交渉は決裂です。

 「このウラミはらさでおくべきか」とぶつぶつ言いながら研究室へ戻った博士。まだ早すぎると反対するマーガレットを押しのけて再び成長促進成分をコンガに注射。またコンガがみょーんと大きくなってあっ、カッコ悪いゴリラスーツになっちゃった(大爆笑)。博士は懐から小さなライトを取り出すと、コンガの顔に当てて「この光を見て私に集中しろ、私はお前の主人だ、お前はわしに従うのだ。わしはお前を強くした。今夜、その力を私のために使うのだ」はい、もうお分かりですね。博士、コンガを操って大学で仕事をしていたフォスターを殺させてしまったのです。

 コンガの強力で首を捻ったものだから首の骨はばらばらになるわ、首は千切れかけるわ、まあ、ひどい有様。さっそくスコットランドヤードが捜査に乗り出します。ブラウン警視(ジャック・ワトソン)とローソン警部(スタンリー・モーガン)がその担当です。検死の結果から二人は「この強力は人間のものではありえない。フォスターの首筋に黒い毛がついていた。だからこれは何かの動物による犯行だ」と結論づけて動物園やサーカスに逃げ出した動物がいないか確認するのですが、成果はなし。いったんこの問題を棚上げにして関係者の事情聴取を開始します。

 一方マーガレットはフォスターの死のニュースを新聞で読んで「これはあの人がやったに違いない」さっそく博士を詰問しますと「そうだ、わたし、いや、わたしとコンガの二人でやったのだ。あのフォスターめは我々の研究を邪魔しようとしたのだからな」「ンマー、なんてことを」驚くマーガレットでしたが、次に彼女は思いがけない言葉を発します。「博士が結婚してくれるなら私、黙ってますわ」わー、そういう展開かい(笑)。実はマーガレット、秘書という身分でありながら公の場ではいつも博士と一緒。その度に周りから「怪しいんじゃないの」と好奇の目を向けられるのにうんざりしていたのです。博士はぱっと顔を輝かせて「そうか、そうか、うんうん、結婚しよう、大学の学期が終わって暇になったらすぐしよう。でも世間に対してはしばらく秘密にするんだよ」

 この時もしマーガレットが警察に行きますと言っていたらどうなっていたんだろう。やっぱり問答無用でコンガに殺されたのですかねー。

 博士はブラウン警視とローソン警部から事情聴取を受けます。フォスターの秘書から「殺された日に博士と言い争いをしていました」という証言を得ていたブラウンはそのことについて聞いてみるのですが博士は涼しい顔で「何、仕事上の単なる意見の相違ですよ。そんなのは誰にだってあることです」たしかに誰にだってあることですから(笑)ブラウン警視、ローソン警部、博士を怪しいと思いつつそれ以上の追求は諦めたのです。

 その夜デッカー博士宅で開かれるパーティ。ここで博士はインド人の植物学者タゴーレ教授(ジョージ・パステル)に話しかけられます。このタゴーレ教授、なんと博士と同じく植物と動物の進化の道筋について研究しているそうで、しかもその研究は博士よりもよほど完成に近づいているそうな。デッカー博士は驚いて教授に共同研究を持ちかけるのですが「手柄を分けるつもりはありません」とあっさり断られてしまいます。でもタゴーレ教授、よせばいいのに「でも研究の様子を見せてあげることはできますよ、私の研究室にいつかいらっしゃい」と博士を誘ってしまうのです。にやりとした博士、「それで今晩ではどうでしょうか、そんな話を聞かされてはもう一刻も我慢できません。パーティが終わってからうかがわせて頂きます」

やめろー、やめろー、危ないぞう(笑)。

 パーティが終わった後マーガレットを寝かせた博士、さっそく黒いバンでタゴーレ教授の自宅へ出動です。もちろん、このバンの荷室にはコンガが収まってごっふごっふ言っておりますがそんなこととは夢にも思わないタゴーレ教授は笑顔で博士を出迎えてくれるのでした。博士は最初は「いや、いや、どうも夜分すいませんなあ」と低姿勢なのですが、途中でがらりと態度を変えて「ところでお前、研究が最終ステージに入ったといったが、そんなことはさせないぞ。研究の手柄は私が独り占めするのだ」「あんた、何を言い出すのですか」と教授が驚いたところに「やれ、コンガ!」がおうと現れたコンガ、教授の首をまるで枯れ枝を折るようにばきり。ニヤッとした博士、教授の研究資料を奪ってコンガと共に逃走するのでした。

 この凶行から一夜明けて何事もなかったかのように例の黒いバンで大学へ出勤する博士。今日はこの車で森へ出かけて羊歯やコケを調査する野外授業の日なのです。博士はまたもサンドラを異常に贔屓。他の生徒はバンの荷室に乗せるくせにサンドラだけには「君は助手席に乗りなさい」だって。これでいらいらしたボブ君、森へ着いて車を降りるなりサンドラに食ってかかるのでした。「君は何をやっているんだ。デッカー博士が君の才能を贔屓していると思っているのか、あれはもう下心だぞ。見えている部分は小さいけれども海面から下は物凄く大きいという氷山みたいな下心だぞ。君の父親と同じくらいの年の教授にそんな下心を持たれて平気なのか!」これを盗み聞いた博士、「誰が氷山じゃ、こら」とムッとしております。さらにサンドラが「今は授業中よ、プライベートな話は後からにしましょう、今日の夜の8時でどう」と言い出して仲直り、おまけにぶちゅぶちゅぶちゅちゅーとキスなんかしやがるものですから博士、嫉妬の焔をめらめら燃やすのでありました。

 この時突然の大雨。博士と生徒たちはレンジャー小屋に逃げ込みます。一旦集合してから車に戻ることになったのですが、生徒たちが出て行った後一人戻ってきたのがボブです。彼は小屋の後片付けをしている博士に「このスケベジジイ、サンドラに手を出すな。年を考えろ」博士もむっとして止せばいいのにボブに殴りかかるのでした。しばらくどったんばったん取っ組み合いが続きましたがさすがに若いボブが博士を圧倒。馬乗りになって彼の首をぐいぐい締め上げます。「死ね、死ね、このスケベジジイ」おいおい、ボブ君、それはやりすぎだろと思っていたらボブ君、はっとなって博士のうえから飛びのくと「ああ、す、すいません、僕、つい興奮してしまって」博士はそんなボブを睨みつけながら「まあいい、このことは誰にも言わないように。私も通報したりしないよ」ほっとするボブ君でしたが、博士がそんなことで済ますはずがありません。

 その夜サンドラと会うために口笛吹きながら家を出たボブ君、コンガに襲われてやっぱり首をばきり。先に研究を完成させようとした科学者についで今度は恋のライバル(笑)までやっちゃった。フォスターの時は分からないでもないけれど、この二人の殺人はただ自分の欲望を満たすためだけではないですか。デッカー博士、じつは物凄い大悪人だったのです。

 大学の関係者三人が殺されたことに困惑するブラウン警視(ジャック・ワトソン)とローソン警部(スタンリー・モーガン)。しかもその三人の死体にはゴリラらしき動物の毛が付着していたという怪奇な共通点もあります。ここまでくればデッカー博士が捜査線上に浮かんできても不思議はないのですが、それでも二人は「また動物園とかサーカス当たりましょうか」「うーん、そうだなあ」とか言っているだけ。どうにも間抜けなことでこれじゃスコットランドヤードじゃなくってスットコランドヤードですよ。

 生徒を殺してしまったことでさすがに激昂するマーガレット。「あんた、何考えているの、教え子を殺すなんて、このままじゃ警察に捕まってしまうわ、私たちは破滅よ」と博士にくってかかるのですが、その博士は涼しい顔で「あははは、大丈夫だよ。もう命令に従うことが分かったから、コンガは用済みだ。いざとなったら殺してしまえばいい。そうなりゃ証拠がなくなってしまうからな。そうしてアフリカに行って別のチンパンジーを使って研究を続けるのだ」

 デッカー博士はさらなる悪巧みに乗り出します。彼は「恋人を殺されて悲しみのどん底にいる教え子を慰めるために」という名目でサンドラをディナーに招待。そして食事の後マーガレットがいるにも関わらず「さあ、私の温室を見せてあげよう」と彼女の腰に手を回したりしております。これにムカっとした彼女はそっと温室に行って博士とサンドラの会話を盗み聞きするのでした。

 そうとは知らないデッカー博士、酔った様な顔であの食虫植物をサンドラに披露します。「見たまえ、この素晴らしい植物を。この植物があれば動物の進化を促進させることができるのだ。植物から動物へ進化した、その秘密を明らかにできるのだ。栄光は目の前にある。だからサンドラ、私の助手になっておくれ!」ええっ、驚くサンドラ、外で盗み聞きしているマーガレットもびっくり仰天。「ええ、でも先生にはマーガレットさんが」「彼女は助手として能力が足りないのだ。君の才能が必要なのだよ。それになにより」がっと目を見開く博士。「あれはババアだ、ババアはしつこいのだ、ババアはたくさんなのだ。サンドラ、君は僕と一緒にアフリカへ行って研究を続けるのだ。そして助手以上の存在になってくれたまえ。助手以上の存在ってナンデスかだと、そんなのは決まっておる、ええやろ、させんかい!」やっぱりそうなるんかい(大笑い)。抱きすくめられたサンドラ「ひーっ、やめてください」

 マーガレットの脳裏に博士の言葉が蘇ります。「コンガは用済みだ。いざとなったら殺してしまえばいい。そうなりゃ証拠がなくなってしまうからな。そうしてアフリカに行って別のチンパンジーを使って研究を続けるのだ」それってコンガとあたし、一緒じゃん!!きいいい、完全に切れてしまったマーガレット、コンガに大量の成長促進薬をぶすーっと注射。「コンガ、私の命令に従うのです」しかし、見る見るうちに巨大化したコンガ、マーガレットをぐいと掴むと力をこめて握り締めて「ぶちっ」ぽいと捨ててしまいます。マーガレットがアカラサマな人形なのがさらにこの悲劇を盛り上げます(笑)。さらに巨大になるコンガ、屋敷の屋根を破って外へ飛び出すのでした。

 この大騒ぎにも気がつかないデッカー博士、相変わらず逃げようとするサンドラを押さえつけて「おら、このアマ、おとなしくせんかい」ここでコンガが温室の屋上のガラスをやぶってガォー!コンガ、あっさりと博士を捕まえてしまいます。しかし、これでサンドラは逃げ出せた、ああ、良かったねとはならないのがこの映画の良いところ(笑)。博士がコンガに捕まった拍子に跳ね飛ばされた彼女、巨大ハエトリソウに腕をがっとつかまれて「ギャーッ」このまま映画から退場してしまうのでした。

 研究室から火がでて火事となったデッカー博士の屋敷。ここで消防隊がかけつけてくるのですが、夜空に浮かびあがった巨大猿怪獣を見て「な、なんじゃ、こりゃ」コンガはそんな消防隊に目もくれず「たすけてー、降ろしてー」と弱々しく叫ぶ博士を握り締めたままロンドンの街へお出かけです。待ち行く人々がコンガを見つけて「きゃーきゃーきゃー」たちまち大パニックとなります。そんな中をゆうゆうと歩いていくコンガ。セットを作るだけの予算もやる気もなかったらしく、ほぼ実写との合成。ですからコンガは建物ひとつ壊しません。人々だって踏み潰されたりしないのです。

 コンガはビッグベンに到着。ごーんごーんとなる鐘に興味を覚えたのか、しばしそこで立ち止まって見物です。相変わらず叫んでいる博士、「助けてー、降ろしてー、死んじゃうよー」ここで軍隊やらブラウン警視率いる警官隊やらがわらわら集まってきて総攻撃の準備。重機関銃をすえつけたりバズーカ砲を用意したり、大変な騒ぎですわ。そしてついに下された「射撃開始」の命令。みんな、コンガに捕らえられているデッカー博士には目もくれず(大笑い)ずだだだだ、ずどどどど、どかんばかーんと撃ちまくるのでした。

 コンガ、軍隊に向って博士をぽいと投げつけますが、抵抗もここまで。無数の銃弾に貫かれた彼はどうと倒れて息絶えるのです。そして彼の姿はみょーっと小さくなってもとのチンパンジーに。デッカー博士の死体と並んで横たわっている絵が映ったところでエンドマーク。

 ジャングルできゃっきゃっと楽しく遊んでいたのを勝手にロンドンに連れてこられてヘンな薬を注射されて人殺しをさせられて挙句に巨大化させられて軍隊の総攻撃であの世行き。この哀れなコンガに私の涙は止まりません(ウソ)。

 カラー・ワイド、モノラル音声。非常に良く出来たDVDで画質はノイズがなく発色も綺麗です。音質も高品位で聞きやすい。英語字幕もついていてわたしゃこんなDVDなら一億枚欲しい(そんなに在庫ねーよ)。MGMのDVD。

 エロの冒険者 

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2007年2月 8日 (木)

『肉の蝋人形』(『House of Wax 』 1953年)

 

『肉の蝋人形』(『House of Wax 』 1953年)

 『肉の蝋人形』1933年版のリメイクであります。こちらで主役を務めるのはヴィンセント・プライス、オリジナルのライオネル・アトウィルも悪くはないのですが、やっぱりヴィンセント・プライスには敵いませんや。

時は1900年、ところはニューヨーク、雨でけぶる夜であります。ここはヘンリー・ジャロッド教授(ヴィンセント・プライス)の経営する蝋人形館。しかし至上の美を追求する教授は他のは流行っている蝋人形館のようにエロ・グロ路線でいくことを拒否しております。そのせいで客足はもう一つ、今日も今日とて「客、200人しか来ていないじゃないか」と共同経営者のマシュー・バークス(ロイ・ロバーツ)に責められております。「僕ね、この蝋人形館に2万ドルも投資しているんだよ。それがちっとも返ってこないじゃないか」「いいや、ちょっと待ちなさい」かりかりしているマシューに比してジャロッド教授は落ち着いたもの。「今日、友達が美術評論家のウォーレスさん(ポール・カヴァナ)を連れてきてくれるんだ。彼は私の芸術を理解してくれる。きっと高値で買ってくれるぞ」

 はい、その言葉通り教授の友達とウォーレスがやってきます。紹介もそこそこに飾られた蝋人形たち、クレオパトラとアンソニー、リンカーンと暗殺犯のブース、ジャンヌ・ダルク、そしてマリー・アントワネットを見て回るウォーレス。「これは凄い、たまらん、なんと、髪の毛はホンモノを使っておられるのか、何、蝋が熱いうちに一本一本手で植え込んだ、ああ、なんと手の掛かることをするのですか」大絶賛です。途中でジャロッド教授が「ジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネットはまだその出来上がりに満足していません。適当なモデルがいないからです。でも私はいつかきっとモデルを見つけて人形を完成させて見せます」といささかアブナイことを言うのですが(笑)そんなことも気にとめません。「よし、三ヵ月後、私がエジプトから帰ってから買取価格について相談しよう、それでいいですね」友達とウォーレス、帰っていきます。

 ジャロッド教授はウォーレスの言葉に大喜びなのですが、マシューはしかめっつら。「三ヶ月後だって!そんなに待ってられないって、俺は今すぐ金が欲しいの」ということでオリジナルの『肉の蝋人形 1933年版』(『Mystery of the Wax Museum』)と同じく「蝋人形館に火をつけて火災保険を山分けにしよう!」当然ながらジャロッドがうんという筈もなし。「私の人形たちを燃やすって、そんなことはやめてくれ」はい、取っ組み合いになります。マシューはむしゃぶりついてくるジャロッドをげしと蹴り飛ばして失神させると「油ディ、油ダ」と歌いながら蝋人形にマッチで点火しまくり。あ、念の為言っておきますけど「油ディ、油ダ」というのは「オブラディ・オブラダ」の駄洒落ですからね。さらにガスの元栓も全開放、開店日のパチンコ屋だってこんなに開放しないっての。そうして失神したままのジャロッドを放って逃げてしまうのです。

 なんとか意識を取り戻したジャロッド、水で火を消そうとしますが、とても無理。彼は全身にやけどを負いながらなんとか脱出します。直後、ガスに引火して大爆発。蝋人形館はジャロッドの夢とともに粉々に砕け散ったのでありました。

 さて、この火事の後、マシューは保険金満額貰ってほくほく顔。こんな中年のオヤヂが小金を持ったら何をするかというとそれは決まっています。女です(笑)。マシュー、キャシー・グレイ(キャロライン・ジョーンズ)という女を必死にくどいております。「アトランティックシティでも行くか。ギャンブルで楽しんでその後はホテルでしっぽりと、ウヒヒヒヒ。何、ナイアガラがいい、じゃあ、昼間はナイアガラの滝でしっぽり濡れて夜は夜で別のところをしっぽりさせて」どうもいやらしくていけませんな、こんなオヤヂ。

 自宅のアパートメントに戻ったマシュー。金庫からしっぽり資金(笑)を取り出そうとします。しかしその背後に現れた怪人物あり。顔が醜く焼けただれたその怪人物はロープを持ってマシューに襲い掛かったのでした。首をぎゅうぎゅう締め付けてマシューを絞殺。それから首にロープを巻きつけてエレベーターシャフトに投げ落とし首吊り自殺を偽装したのでありました。この怪人物の正体やいかにってもう1933年版と違って大バレなんですけど。

 マシューの死で旅行がおじゃんになったキャシー。でも別に落ち込む訳でもなくってもう次の男を見つけています。彼女は同じ下宿屋の友人、スー(フィリス・カーク)にコルセットを締めて貰いながら「すっごくハンサムな人なのよ、マシューには悪いけれども今度の人のほうが百倍もいいわ」スーは彼女ののろけを聞きながらぎゅうぎゅうコルセットを締めています。うわあ、キャシーのウェストがめちゃくちゃ細くなって見ているだけで息苦しくなりそうです(笑)。「手伝ってくれてありがとう」キャシーはそう言ってデートに出かけていくのでした。

 でもスーは貧乏です。仕事にあぶれてゴハンもまともに食べられないほど。もちろん、下宿代は未払いです。その夜遅く帰ってきたスーは大家さんに捕まって「家賃を払いなさい、すぐ払いなさい、今払いなさい、なかったらキャシーがデートから帰ってきているから彼女からお金を借りなさい!」仕方なくキャシーの部屋を訪ねるスー。しかし、その時すでにキャシーはベッドの上で死体になっていたのでした。彼女は何者かによって絞殺されたのです。その何者かというのはもちろんマシューをやっつけた火傷の怪人物。

 スーはこの怪人物に追われて夜霧の町を逃げ惑うことになるのです。逃げ惑う若く美しい(そして貧乏)女と体に障害があるらしく奇妙な走り方をする怪人物のコントラストが大変魅惑的な名場面。いつまで続くかと思われたこの逃走劇でしたがスーがなんとか知り合いのアンドリュース夫人(アンジェラ・クラーク)の家に逃げ込んだことでようやく終止符がうたれます。アンドリュース夫人と息子のスコット(ポール・ピセリーニ)は「キャシーが殺されて犯人に追いかけられたの」と泣き喚く彼女をかくまうことになったのでした。

 さて、キャシーの死体はモルグへ運ばれます。二人の係員が死体を乗せたストレッチャーを押しているといきなり死体の上半身がぐいんと跳ね上がる。二人は少しも慌てることなく「芳香剤塗っていると縮んであんなふうになるんだ」これは防腐剤が芳香剤に変わっただけで1933年版と同じギャグですね。モルグの死体の中に紛れていたのはもちろん、あの怪人物。係員が出て行った後やおら起き上がった怪人物は外の仲間と協力してキャシーの死体を盗み出すのです。

 翌日アンドリュース親子に付き添われてニューヨーク市警へ出頭したスー、刑事さんからキャシーの死体が消えたことを聞かされます。「マシューやパターソン判事の時と同じだ、どうして死体なんかを盗むのだ」スーは犯人の唯一の目撃者として警察の監視下に入ることになるのです。

 場面は変わって、なつかしい人物がお目見えします。美術評論家のウォーレスです。彼は死んだ筈のジャロッドから手紙を貰って驚いて飛んできたのです。手紙に書いてあった住所に行ってみるとなるほど工房らしきものがある。そしてそこで働いていたのがジャロッドの助手、おしのイゴール(チャールス・ブチンスキー=のちのチャールズ・ブロンソン)でありました。彼に案内されて工房の中に入ってみるとおお、確かにジャロッド教授です。火事のせいで酷い火傷を追ったらしく手はひきつり、歩けなくなって車椅子生活になってはいましたが、彼は間違いなく生きていたのです。再会を喜ぶウォーレスとジャロッド。続いてジャロッドは地下の作業場へウォーレスを案内します。そこで得意げに披露したのが彼自身が考案して作成した蝋人形作成装置であります。煮えたぎった蝋の釜からハンドルを回すだけで蝋がシャワーへ導かれます。そしてその下に置かれた型に注がれあっという間に人形が完成というしくみ。

 ジャロッドはこの装置と二人の弟子を使って蝋人形を作り再び蝋人形館をオープンしようとしていたのでした。「私はほれ、両手がこの通りですから」と火傷だらけの手を見せて悲しげに微笑みながら「この装置と二人の弟子がいれば大丈夫です。特にマリー・アントワネットとジャンヌ・ダルクはモデルを見つけてきっと完成させますよ。つきましてはウォーレス先生に3万ドルほど用立てて欲しいのです」なるほど、投資を願うために呼び出したということですね。「何、今度は私もエロ・グロでやりますから、お客が入りますぜえ」ウォーレスは至上の美を追求した孤高の芸術家がこんなことを言い出したのを悲しみつつ、投資を承諾したのです。ここでジャロッドが棺桶様の木の箱をぱっと開けると中にあったのがマシューの首吊り死体を模した蝋人形。ご丁寧に首に索条痕がついているという(笑)。ひるむウォーレスに「これは、私の前のパートナーです。可哀想に自殺をしましてな、こういうセンセーショナルな蝋人形を飾ればもう人気間違いなしですよ」

 インターミッションを挟みましていよいよ新蝋人形館がオープンします。

 蝋人形館の前で呼び込みをやっている芸人あり、「よってらっしゃい、見てらっしゃい、エログロの饗宴、ジャロッド教授の蝋人形館だよ!」この人がやっている芸というのが、なんといいますか、ラケットを両手に持ってゴムひものついた玉をぱんぱんぱんぱん打つという奴。この『肉の蝋人形』は元は3D映画ですから、こっちに向ってぱんぱんぱんぱん打ってくる。公開当時、この玉がスクリーンから飛び出してくるように見えたのでしょうなあ。

 さて、蝋人形館ではジャロッド教授が得意満面で人形たちについて解説しております。お馴染みのクレオパトラとアンソニー、リンカーンと暗殺犯のブース、ジャンヌ・ダルク、そのできばえの素晴らしさに息を呑む観衆です。そしてその後に紹介されたのがこの蝋人形館の新たな目玉、「どっちの猟奇ショー」、現実に起こった奇怪な犯罪事件の現場を再現しようという誠にもって悪趣味な企画であります。奥さんを殺した現代の青ひげ、1890年に人類初の電気椅子処刑囚となったケムラー、こんないやなラインナップに観衆の一人、うら若い女性がひーっと失神してしまうのでありました。そして、最後にエレベーターシャフトで首吊り自殺したマシューの死体。わあ、エレベーターシャフトのセットまで作っているぞ(大笑い)。ジャロッド教授はにやにやしながら「これからも精力的に猟奇事件現場を再現していきます。皆様、事件が起こったらこの蝋人形館においでなさい」

 さて、実は彫刻家であったスコット、スーを連れて蝋人形館を見物にやってきます。そこで旧知のウォーレスに出会ったスコット、ジャロッド教授に紹介されるのでした。スコットはこの止せばいいのにこの蝋人形館で雇って下さいと頼み教授は快諾します。しかしどうやら教授の目はスーに向いているよう。スコットを雇うことにしたのもなにやら企みがあってのことに違いありません。さて、この時スーはジャンヌ・ダルクの蝋人形に目を止めます。この人形があまりにもキャシーに似ていたからです。ジャロッド教授に聞いてみたところ、「あー、それはキャシーの写真を見ましてな、あまりに気に入ったので弟子にそっくりに作らせたのです」

 ジャロッド教授はこの後スーをねっとりとした目つきで見つめて、「私の最高傑作はマリー・アントワネットだった。あなたは彼女にそっくりだ。またいつでもおいでなさい」

 蝋人形館を辞すスコットとスーです。ここでまたさっきの呼び込み芸人が玉をぱんぱんぱんぱん、こっちに向けてぱんぱんぱんぱん、いくら立体映画だからと言ってしつこすぎるっての(笑)。

 その夜スーの寝室に忍び込んできたのはあの火傷の怪人物、ベッドに寝ているスー、大ピーンチとなるのですが、彼女の悲鳴にひるんだ怪人物は逃げ出してしまうのです。駆けつけてきたスコットとアンドリュース夫人に「キャシーを殺した犯人だわ、私も狙われているのよ」と泣き喚く一幕。

 翌日、スコットとスーはそのままフレンチカンカンバーみたいなところに行ってフレンチカンカンの鑑賞。ダンサーがこっちに向けて足を上げたりスカート捲り上げて尻を突き出したり、いやもう立体映画とは言え大変なことですよ。ほら、ごらんなさい、スーも「あれじゃ見せすぎよ」と顔を赤らめているではありませんか(笑)。ここでスコットにキャシーの件を話すスー。「教授は写真を見て作らせたと言ってたけどあのジャンヌ・ダルクはイヤリングとピアスしていたのよ、そんなジャンヌ・ダルクいないわよ。あれはキャシーの死体をそのまま使っているのだわ」死体云々はともかくとしてイヤリング・ピアスはもっともな話(笑)。スコットとスーは警察署に行ってブレナン警部(フランク・ラブジョイ)と面会。彼女の疑惑を調べてくれるよう頼んだのでした。ブレナン警部はもちろん信じませんでしたが、とにかく他の手がかりもないことだし教授を調べることになります。

 部下のシェーン刑事と蝋人形館に赴く警部。彼らはリンカーン暗殺犯ブースの人形が行方不明になっているパターソン判事にそっくりなことに気がつきます。さらに「旦那方、人形に触らないでくだせぇ」と注意しに来たレオンを見てシェーン、「警部、あいつ見たことがありますよ、そうだ、あいつはヘンドリックスだ。刑務所を出てから犯罪起こしたもので指名手配されている奴だ、そうか、こんなところに隠れてやがったのか」

 あっさりと警察に連行されたレオン。その所持品の中から判事の金時計がでてくるのは1933年版と同じ。「どうしたんだ」と詰問されたレオン、もごもごと「それは拾ったんでがす」というのですがもちろん信用されるはずもなし。「このまま泊まって頂きましょう」と言われて留置されてしまいましたとさ。

 さて、翌日はスーの誕生日。スコットは彼女との誕生日デートを約束しております。プレゼントを渡してムードのいいバーで酔わしてあわよくばウヒヒヒなんて思っているところにジャロッド教授から「造花の注文に行ってくれ」とお使い頼まれちゃった。そして彼が出かけている間にスーがやってきて、蝋人形館の中でえんえん彼を探してさまようという流れになる訳です。そしてもう一度ジャンヌダルクの人形を調べてみたら、あっ、黒髪の鬘が落ちて下から金髪が現れた。やっぱりこれはキャシーの死体なのだ!「まったく余計なことをしてくれましたな」背後から聞こえた教授の声にびっくりして振り向くスーです。ひーっと逃げ出しますとジャロッド教授は何のためらいもなく車椅子から立ち上がって彼女を追いかけます。スーは「クララですか!」とツッコミつつ逃げたのですがイゴールに行く手を遮られついに教授に捕まってしまったのでした。

 、「おお、わたしのマリー・アントワネットよ。その美貌を永遠の存在にしてやろう。蝋人形になれば永遠にその姿のままでいられるのだよ」こんなこと言われたスー、ついに切れます。「てめえ、オヤヂ、気味の悪いことを言ってんじゃねーよ」高校生の頃、生家のブロンクスあたりで「鬼姫のスー」と恐れられた彼女の地が出て参りましてひるむ教授の顔面にぼかっ、スーパンチが炸裂します。するとうわあ、教授の顔がばりばりばりんと砕けてしまったではありませんか。中から現れたのは酷い火傷で醜く引き歪んだ彼の本当の顔でした。こんなもの見せられたらいかに「鬼姫のスー」といえどもたまりません。あまりの恐ろしさにへなへなと崩れ折れてしまいます。教授はその彼女を抱え上げると地下室へ。例の蝋のシャワー装置の下に寝かせて「さあ、マリー・アントワネットを蘇らせるぞ!」

 このへんは1933年版とまったく同じですね。

 さて、留置されて厳しい取調べを受けているレオン。彼はアル中です。アル中ですから酒を飲まずにはいられません。取調べの刑事がウィスキーを取り出してコップにとくとく。きゅっと飲むのを見せびらかしますと、はい、あっさりレオン陥落します。「旦那、白状します、あの蝋人形館の人形はみんな死体でがす。判事はブースに似ていたから教授が殺したんでがす。教授は次にスーを狙っているでがす!」これは大変、直ちに出動する警官隊です。

 ここでようやく蝋人形館に戻ってきたスコット。ジャンヌダルクの鬘を見つけて「なんじゃ、こりゃ」さらに地下からスーの悲鳴が聞こえてきた。「スー、今助けにいくぞ」と勇ましく飛び出したのですがその前に立ちふさがったのがイゴール。彼とイゴールは取っ組み合いになります。しかしイゴール、さすがはのちのチャールズ・ブロンソンだけあって強い、強い。ついに殴られて失神してしまったのです。イゴールはその彼をギロチン台にセットして首を跳ねようとしたのですが、ついに警官隊が到着した。イゴールは捕らえられスコットは危ういところで助けられるのです。

 この後警官隊は地下室へ突入。彼らを迎え撃った教授がまた必要以上に強くて警官4人を叩きのめしてしまいます。しかし衆寡敵せず殴られた教授、蝋のプールの中に落っこちてしまうのでした。警部がスーを助け出して、めでたし、めでたし。これにて恐怖の蝋人形館のお話はおしまいです。

 カラー・ワイド、モノラル音声。カラー画面はとにかく綺麗。こんな高画質で『肉の蝋人形』1953年版が楽しめるとはまったくいい時代になったものです。モノラル音声も高品位。非常に聞きやすいです。

     ワーナー・ホーム・ビデオの国内盤DVD。

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『肉の蝋人形』(『MYSTERY OF THE WAX MUSEUM』 1933年)

 

『肉の蝋人形』(『MYSTERY OF THE WAX MUSEUM』 1933年)

 蝋人形の中身がホンモノだったという後年腐るほど製作されることになる「生き人形」ホラー(このジャンル名、今私が考えました)の元祖。喜劇めいた演出がちょっとわずらわしいですが、なかなか面白い作品です。

1921年ロンドン。嵐の夜。蝋人形館を経営するイヴァン・イゴール(ライオネル・アトウィル)の元を二人の紳士が訪れます。彼らはイゴールが製作した蝋人形を見学に来たのであります。ジャンヌ・ダルク、ヴォルテール、そしてイゴールが心血を注いで完成させた自信作、マリー・アントワネット、見事なできばえに息を呑む紳士たち。「見たまえ、血管まで精緻に再現してあるぞ、これはスゴイ」

 すっかりコーフンした紳士たちは「よし、君の蝋人形を王立美術館に推薦しよう」といって帰っていったのでありました。大喜びのイゴール。しかしここでこの蝋人形館に15千ポンドも投資して共同経営者になったのに、全然はやらないじゃないかとかんかんのワース(エドウィン・マックスウェル)が現れます。「ええ、君、客が全然こないじゃないの、もうここの家賃だって払えないんだ、我々は破産寸前なんですよ」なだめようとするイゴールの手を振り払ったワースはさらにこんなことを言い出すのでした。「ここに火をつけるから、そうしたら火災保険で1万ポンド入る。これを二人で山分けにしよう。なあにこれだけ蝋が一杯あるんだから良く燃えるに決まってます!」って、本当に火をつけおった(笑)。大事な蝋人形たちを燃やされてなるものか、ワースに飛び掛るイゴール。二人はどんどん燃え広がる火の中でもみ合いとなります。

 殴ったり蹴ったり転げまわったりの大格闘が展開されます。しかし、ワースついに椅子でイゴールの頭をぼかっ。昏倒した彼を置いて逃げてしまったのでした。その後火勢はますますその勢いを強め蝋人形館は倒壊してしまうのであります。ああ、孤高の蝋人形師イゴールは炎の中に息絶えたのでしょうか。

 あっという間に12年が経過。時に1933年の元日。ところはニューヨーク。わあ、新しい年がやってきた、おめでとう、おめでとうと騒ぐ人々。そんな中、高級アパートメントから死体が運び出されます。この遺体は美女ジョアン・ゲイル。痴情のもつれからアヘンを使って自殺したのであります。彼女の遺体はそのままモルグへ。ここでちょっと面白い出来事が。ストレッチャーで遺体を運んでいると急に死体がばいんと起き上がった!しかし、係員、少しも慌てることなく「こりゃ、防腐剤のせいで体が縮んだせいだよ」そ、そうかあ。

 彼らが遺体を所定の位置において出て行きますと、別のストレッチャー上の遺体もうわんと起き上がったぁ。また防腐剤のせいかと思いきや、これは死体に化けてもぐりこんでいた死体盗人でありました。彼はジョアンの死体を窓からロープで吊り下げて外で待機していた仲間二人に渡したのでした。そして窓を開けっぱなしにして逃走。

 ここで新たな登場人物登場。ニューヨーク・エクスプレス新聞社の女性記者、フローレンス・デンプシー(グレンダ・ファレル)です。ニューイヤーズパーティからそのまま新聞社にでてきた彼女を待ち受けていたのはなんと編集長じきじきの解雇の通告。「えー、あたし、元日から首ですか、勘弁してくださいよ」しかし編集長は冷たく「ネタのない記者をいつまでも抱えておくわけにはいかないの。うちだって経費節減しなくちゃならないんだからね。まあ、首になりたくなけりゃネタを拾ってくるこったな」「ンマー」フローレンス怒った、怒った。「じゃあ、凄いネタ見つけてきてあげるわよ、それで編集長にどうか、フローレンスさん、そのネタうちで記事にさせてくださいって土下座させてやるわ」

 さて、ネタを拾うために彼女が行ったのが警察署。そこで彼女は馴染みの警察官から「ネタといえばあのジョアンは自殺じゃなかったそうだ。他殺でしかも犯人が大金持ちの息子ジョージ・ウィントン(ギャビン・ゴードン)らしいぞ。彼はすでに拘置所に入れられている」ということを聞き出しまします。ジョアンとウィントンは同棲していたのですが、最近ウィントンのほうに別の女ができ別れ話が持ち上がっていたのですな。ジョアンがウィントンをゆすっていたという話もあって思わず「チャーンス」と呟くフローレンスです。おまけにジョアンの死体盗難が発覚してさらに大喜びのフローレンス。

 彼女はさっそく拘置所のウィントンに面会します。するとウィントン、金持ちであるだけではなく凄いハンサムではありませんか。すっかり彼に夢中となったフローレンス、彼を無罪と決め付けて「あたしがあなたの無実を証明してあげるわ」と張り切るのでした。

 彼女は編集長に電話してこれまでの経過を報告します。「ニューヨークじゃこの18ヶ月の間に8も死体が消えているんですよ。それにウィントンは無実です。なんてたって彼が拘置所にいる間に死体が盗まれたんですから」編集長は「そら、ウィントンが誰かにやらせたんだろう。まだ無実と決まった訳じゃないぞ」と連れないことをいいながらも「よし、その事件を追ってくれ、君の好きにやっていいぞ」と取材にGOサインを出したのでした。

 さてこのニューヨークでオープン間近の施設あり。「本場ロンドンからやってきた蝋人形館」であります。その館長はもちろん、イヴァン・イゴール。火事で負傷したせいか車椅子でしかも両手が良く動かないという障害を負ってはいましたが、彼は生きていたのです。彼はラルフ・バートン(アレン・ヴィンセント)、ダーシィ教授(アーサー・エドモンド・カエル)、ヒューゴー(マシュー・ベイツ)の三人の原型師を使って展示する蝋人形の作成を急いでおります。この中で一番上手いのがダーシィ教授、その次がヒューゴー、最後がラルフ。だからラルフはイゴールからしょっちゅう小言を食らってます。「君ィ、君ィ、これはなんだね、何、アテネの少女、なっとらん、なっとらんよお、君は解剖学を勉強しなおした方がいいな。ダーシィ教授を見習いたまえ」

 そのダーシィが運んできた蝋人形はさすがに素晴らしい。まるで生きているかのようなリアリティです。ニヤーッとしたイゴール。「さすがはダーシィ教授だね。よし、褒美をあげよう」

 この駄目原型師のラルフの恋人シャーロッテ・ダンカン(フェイ・レイ)が偶然にもフローレンスのルームメイトだったという・・・。シャーロッテはラルフからランチのお誘いを受けてうきうきしております。そんな彼女を冷ややかに見て「いくらやさしい恋人だってお金がなくっちゃしょうがないわよね」とイヤミを言っております(笑)。「そんなことはないわ、お金がなくったって愛があればいいのよ」「愛なんてお腹の足しにならないでしょ。そこへ行くとあたしはお金持ちで素敵な人と会っちゃった」え、それはひょっとするとウィントンのことですか。「今拘置所に入ってるけど私が無実を証明してあげて玉の輿に乗っちゃうんだわ、らららー」こんな女は放っておいて先に進みましょう。

 こんなことを言いながらフローレンスはシャーロッテのお供で今夜オープンのための準備に忙しい蝋人形館にやってくるのです。ところがラルフ、仕事が忙しいということでランチにいけなくなっちゃった。がっかりするシャーロッテですが、その彼女を見たイゴールの目が異様に光りだしたのです。イゴールはラルフに彼女を紹介してもらいます。そして彼女を食い入るように見つめながら「君を生まれる前から知っている。こんな体になる前、作っていた蝋人形が君そっくりだったのだ」シャーロッテにあのマリー・アントワネットの蝋人形のイメージが重なりますな。「いつか、私のモデルになっておくれでないか」シャーロッテ、気味の悪いじじいだと思いつつも(笑)何しろ恋人の雇い主です。「ええ、喜んで」と笑顔で答えたのでありました。

 一方、勝手に蝋人形館の中を見て回るフローレンス。彼女はある人形の前ではっと息を呑みます。その人形があまりにも死体が盗まれたジョアン・ゲイルに似ていたからです。彼女はそっとその人形についていた送り状をちぎり取りポケットに収めるのですが、別の人形を見ていた隙に何者かによって抜き取られてしまったのです。

 さて、新聞社に戻ったフローレンス、編集長に彼女の推理をまくし立てるのでした。「あの人形はジョアンに似すぎていたわ。きっと死体を型にして作ったのよ、あの蝋人形館の館長が死体を盗んだのだわ。これがその証拠よ」彼女は編集長に例の送り状を見せようとしたのですが、「あれ、確かにポケットに入れたんだけど、ないわ、どうしたのかしら」編集長は苦笑して「まったく馬鹿なことを言うもんじゃないよ。それより、君がご執心の金持ちの息子、釈放されちゃったぜ」

 なんとしたことでしょう。フローレンスが無実を証明する間もなく実力者である父親の力でウィントンは釈放されていたのでした。

 そのウィントン、南米への旅行をセッティングしてくれる人物と面会中。その人物とはあ、あれは、客が入らないから破産寸前だ、うきいいと逆上してアイゴールの蝋人形館に火を放ったワースではありませんか。おまけに彼は密造酒の販売もやっているようで、つまりは放火の罪を逃れてニューヨークへやってきて何でも屋を始めたということなのでしょうか。

 ここでフローレンスから電話が掛かってきます。「釈放されたのね、良かったわ」「あの時元気づけてくれてありがとう」「ん、じゃあ、そのお礼をしてもらわなくっちゃ、今晩8時に車でどこそこあそこに来て」このどこそこあそこというのは決まってますよ、アイゴールの蝋人形館ですよ。

 さて蝋人形館のオープニングセレモニーが始まります。大勢というにはちょっと頼りない数の観客を迎えて(笑)演説するアイゴール。「12年前不幸な火事で失われた私の蝋人形たちをやっとのことで蘇らせたのです。皆さん、仇やおろそかに見ちゃなりませんぞ」その後ぞろぞろと館内を見学するお客さんたち。当然その中にはフローレンスがいてジョアンそっくりのジャンヌ・ダルクの蝋人形を熱心に調べております。顔をしげしげ眺めたり足の蝋をこっそり削り取ったりいろいろやりますがどうも確証は得られなかったみたい。

 一方、アイゴールは連れ立ってやってきたラルフとシャーロッテと歓談中。もっとも彼の関心はほとんどシャーロッテに向いていたのですが(笑)。そこへダーシィがついと近づいてきてアイゴールの耳に「やつを見つけましたぜ」はて、奴とはワースのことでしょうか。アイゴールはぎょっとして「何、それはなんたる偶然」私もそう思います。「絶対見逃すな。お前が見張っているのだ」

 ダーシー、ワースのところへ向います。これを不審に思ったフローレンス、合流したウィントンの車で彼の後をつけるのでした。車中でぶつぶつ言うウィントン。「なんだか怪しいなあ、僕、釈放されたばかりだってのにトラブルに巻き込まれたらまた牢屋へ逆戻りだよ」ワースの自宅へ入っていくダーシー。フローレンスは私たちもあの家に忍び込みましょうとムチャなことを言い出します。「それは駄目だって、絶対やばいって」フローレンスは業を煮やして「じゃあ、あんた、ここで待っていて、私一人で調べるから。きっとアレは特ダネになるわ」

 フローレンス、窓から忍び込みます。そうしてうろうろしているうちに地下室への階段を見つけて降りていきますとおお、棺桶みたいな木の箱がいっぱい置いてあるではありませんか。この中にジョアンの死体が入っているのに違いない。ところがこの時怪人物が地下室に降りて来た。あ、あれはモルグからジョアンの死体を盗み出した仮面の男です。この怪しい男が棺桶様の箱をずるずる押し始めた。やばい、棺桶の近くに隠れていたフローレンスが見つかる。大ピーンチというところでがたんという音がします。これに驚いたらしい怪人物はフローレンスに気がつくことなく地下室から出て行ってしまったのです。

 一方、車で待っていたウィントン。刑事さんたちに見つかって絡まれております。「おやおや、ウィントンさん、こんなところで何をやっているんで、メッタなことをするとまたブチ込まれますよ、今度はお父様の力も及びませんよ」なんていわれているところにフローレンスが戻ってきた!「はあはあ、大変よ、たいへ、はあはあ、あなたたち、誰、刑事さん、え、はあはあ、じゃあ、聞いてはあはあ、あの家の地はあはあ下室にジョアンの死体が隠されているわ」それは大変と令状も持たずにワースの自宅を襲う刑事二人と警官隊。でてきたダーシーを逮捕します。それから地下室へ降りていって件の棺桶を調べてみますとでてきたのは、なんだ、こりゃ、密造酒じゃありませんか。

 面目丸つぶれのフローレンスでしたが、密造酒の現場を押さえたこと、ダーシーが明らかにアヤシイというのでお咎めはなし。ダーシーは見るからにヤク中でおまけに似つかわしくない立派な金時計を持っていました。金時計の蓋の裏にはやっぱり死んで(殺された?)死体が行方不明になっていたラムジー判事の名前が。タクシーに落ちていたのを拾ったのだと言い訳するダーシーですがそんなこと信じて貰えるわけがない。彼は徹夜で取り調べられることになりましたとさ。

フローレンスは警察から新聞社へウィントンの車で送ってもらったのですが、ウィントンったら、「僕、君のこと好きになっちゃった。結婚してくれない?」なんて言い出します。あまりに唐突なので冗談のつもりかとも思ったのですが、どうやら本気のよう。玉の輿、玉の輿とシャーロッテに威張っていたフローレンスですから大喜びするかと思いきや「とにかくこの事件が終わってからね」とあっさりかわしちゃった。

 ここで奇怪な研究室らしき場所が映されます。円形の大プールがぐつぐつと煮え立っております。これは勿論溶けた蝋。するとここが蝋人形の製造工場なのでしょうか。そのことを裏付けるかのようにまた現れた仮面の男。彼は麻袋に入った死体らしきものを担いでいたのです。

 翌日、事件は急展開。映画の終わりも近いですからな、あまりだらだらしてはおれません。ラルフとつまらない言い争いをしたシャーロッテ、彼に謝らなくちゃと開館前の蝋人形館を訪れたのです。彼女を迎えたアイゴール、こりゃ葱が鴨しょってやってきた、もとい、鴨が葱しょってやってきたとニヤニヤ。「ラルフはどこです」と尋ねる彼女に地下の工場ですよとウソを教えるのです。その言葉に従って地下の作業場へ降りたシャーロッテ、ああ、ここはさっき怪人が死体らしきものを運び込んだ、あの大プールがあるところですね。彼女の背後でドアが自動的にしまって閉じ込められちゃった。そこに現れたのがアイゴール!「ひーっ」シャーロッテ悲鳴を上げます。

 そんなことになっているとは露しらず、もう一度、蝋人形館を調べようとやってきたフローレンスとウィントン。ちょうど、ガールフレンドを心配したラルフがやってきたので首尾よく蝋人形館の中にはいることができました。一方、警察では刑事たちの追及に耐え切れなくなったダーシーがついに蝋人形館の秘密を告白します。「警察の旦那、あの蝋人形館はモルグだ。ラムジーはヴォルテールに似ていたから殺されて蝋人形にされたんだ。あのアイゴールが全てをやった。俺はワースという男を見張っていただけだ」警官隊、それっとばかりに蝋人形館へ急行します。

 アイゴールがぱっと立ち上がったので思わず「クララですか」とツッコむシャーロッテ。そう、アイゴールはもともと歩けるのに自分の正体を隠すために車椅子を使っていたのです。彼はシャーロッテに迫り、「おお、わたしのマリー・アントワネットよ。その美貌を永遠の存在にしてやろう。蝋人形になれば永遠にその姿のままでいられるのだよ」こんなこと言われたシャーロッテ、ついに切れます。「てめえ、オヤヂ、気味の悪いことを言ってんじゃねーよ」高校生の頃、生家のブロンクスあたりで「剃刀のシャーロッテ」と恐れられた彼女の地が出て参りましてひるむアイゴールにぼかっ、シャーロッテパンチが炸裂します。するとうわあ、アイゴールの顔がばりばりばりんと砕けてしまったではありませんか。中から現れたのは酷い火傷で醜く引き歪んだアイゴールの本当の顔でした。こんなもの見せられたらいかに「剃刀のシャーロッテ」といえどもたまりません。あまりの恐ろしさにへなへなと崩れ折れてしまいます。

 さらにアイゴール、「私をこんな目に合わせた奴はこいつだ!」壁に立てかけてある棺桶みたいな木の箱をぱかっと開けると中からワースの死体がばたーん。これでノックアウト、シャーロッテ失神してしまいました。アイゴールはぐったりとなった彼女をストレッチャーに乗せて蝋の噴出装置の下へ運びます。傍らのレバーをぐるぐる回すとあの大プールから煮えたぎった蝋がパイプを通ってこの噴出装置へ溜まります。これが一杯になったところで一気にシャーロッテに降り注ぐという仕掛け。

 うーん、いつも思いますけどねえ、なんで一旦貯めますかねえ。蝋人形にするんだからそのままぶっかければいいじゃないかと思うのですがねえ。

 このシャーロッテの悲鳴を聞いたフローレンスたち、さらには警官隊までやってきてドアが閉められた地下作業所へ突入しようとします。なかなか堅固なドアでしたが警官隊が数人掛りで叩きつけた棺桶には抵抗できず、ついに破壊されてしまいます。なだれ込む警官隊。彼らを迎え撃つアイゴール。これがまた強い、強い。四人の警官を相手取って殴る蹴るでよせつけません。しかし、悪党の運命はすでに決まっております。「いつまでも貴様の思う通りにはさせん、正義は必ず勝つ」と叫んで刑事が発射した弾丸が見事にアイゴールに命中。稀代の怪人は自らが作った蝋のプールにじゃぼんと落ち込んでその生涯を閉じたのでありました。

 後は危ういところでラルフがシャーロッテを助けだして一件落着となります。

 この大特ダネを得意そうに編集長に披露するフローレンス。「どう、今度こそあなたも凄いって認めるでしょ」しかし、編集長は「こんなのは認められん。君は運が良かっただけなのだ」フローレンスが「ンマー」と怒ったところで「だから早く新聞記者なんか辞めて僕と結婚したまえ」ええっ、それ何?と呆然としている私をよそに嬉しそうに頬を染めたフローレンス「対等な立場ならいいわ」編集長に抱きついて熱烈なキス。ぶちゅぶちゅぶちゅちゅちゅーでオシマイ。

ええっ、ウィントンの立場はどうなるの、この唐突なオチに納得いかない私なのでした。

スタンダード・カラー、モノラル音声。カラー映像はセピアがかったものでお世辞にも高画質とはいえませんが年代を考えれば仕方ないでしょう。その反面モノラル音声はかなり聞き取りやすく歪みも少ないです。ワーナー・ホーム・ビデオの国内盤DVD。

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『未知への飛行』(『Fail-Safe』 1964年)

 

『未知への飛行』(『Fail-Safe』 1964年)

偶発的な事故のために米ソの核戦争今まさに勃発せんとす!この状況下でアメリカ大統領が選んだ核戦争抑止の方策はあまりに意外なものでありました。キューブリックの『博士の異常な愛情』と同じく単なる反核映画に留まらない傑作です。

ニューヨーク市午前530 悪夢を見ている男あり。ベッドで脂汗を流しつつ「ううーん、こら、メキシコや、闘牛やっとるで、あ、闘牛士にさされた、ひょっとしてわいが牛かぁ、わて、闘牛士に殺されてしもうてん、ああ」ぱっと飛び起きます。「あなた、夢みてたんですのん」と尋ねた奥さんに「ああ、いつもと同じや、一遍あの闘牛士の顔を見てみたいなあ、でもその時はわての最後かもしれへんなあ」訳の分からないことをいう夫に心配する奥さんですが、夫、ウォーレン将軍(ダン・オハーリィ)は「会議や、会議にいかなならん」

 彼は車で空港へ。そこからさらにセスナに乗り換えてペンタゴン(多分)へ向います。

 次に登場するのは政治学者のグロテシェル教授(ウォルター・マシュー)。彼はセレブのパーティで一晩中、これからの戦争がどうなるかについて討議をしていたのです。「核戦争になれば生き残るのは囚人と保険会社の文書係りだけでっせ。囚人は地下牢で、文書係りは保険会社の膨大な証書に守られて放射線から逃げ延びるのですわ。でもこれで生き残ってわぁ良かったワァとはなりません。そして核戦争後の地球でお互いの生存をかけて戦うのですわ」嫌な未来です(笑)。

 教授、パーティの後に車で女を送っていったのですが、女から秋波を送られるなり頬桁張り飛ばして「阿呆、人を見て誘わんかい、わてはその手の人種と違うで」おお、教授、なかなかハードボイルドですな。ヘンなことも喋るけど、決める時は決めるのです。もっともこの出来事、これからの展開にまったく関係ありませんけど。

 さて三番目の登場人物はミサイル基地指令のボーガン将軍(フランク・オーヴァートン)とカシオ大佐(フリッツ・ウィーバー)の凸凹コンビ。ボーガン将軍は「ああ、今日は基地反対派のラスコンブ議員(ソレル・ブック)を案内せなならんのや、一応、兵器メーカー社長のナップはん(ラッセル・コリンズ)も来てくれはるけど、わて、ラスコンブ議員とウマが合わんねん。コンブ、コンブってお前は羅臼かって言いたくなるねん、ああ、気が重いわあ」カシオ大佐は大佐でげろげろのアル中である両親の世話に追われているというなんともやりきれない境遇であります。

 そんな中、羅臼じゃなかったラスコンブ議員、ナップ社長を連れてのミサイル基地ツアーが開始。「わが国ではコンベアB-58ハスラーによって24時間の核パトロール体制をとっておりますねん。それらはすべてここでコントロールしてますのやで。また情報収集能力も凄いのですわ。偵察衛星で地球のどこでも見られます。人間の顔だって見分けられるくらいですわ」その説明どおり彼らの前の大スクリーンにいろいろな情報、映像が映し出されます。ソ連のミサイル基地の映像やアメリカの爆撃機群、さらにはソ連の潜水艦の位置までが一目瞭然。こら凄い(笑)。最後に砂浜で寝転がっているトップレスの金髪女性が映りまして男性陣にやにや・・・、こんな真面目な映画にそんなオチがついているわけねーだろ!!

 このシステムはナップ氏の会社で作られたもの。いい仕事をしておりますなー。しかしラスコンブ議員は浮かない顔です。「確かに凄いシステムや。しかし誰が全ての責任を負うのやろ、こんなん複雑すぎて責任の所在が分からへんわ!」

 ここでスクリーン上に未確認飛行物体。ボーガンやカシオは「はは、いつものことですわ。おおかた旅客機か鳥でしょ、そのうち確認されますわ」しかし取り決めに従って核パトロール中の爆撃機は進行制限地点(フェイルセイフ)へ進出します。ここで待機し、未確認飛行物体がミサイルであれば大統領の命令がフェイルセルフボックスを通じて下され爆撃機はソ連に突入。水爆をガン落とししてロスケどもを蒸発させるのです。逆に未確認飛行物体がボーガンやカシオのいった通り旅客機などであれば確認後に待機命令が解除、爆撃機は通常の核パトロールに戻ることになっているのです。

 さて、ウォーレン将軍の会議が始まりました。会議のお題は「核戦争で限定戦は可能やろか」グロテシェル教授も参加しておりましてさっそく演説開始。「まあ、結論から言いますと核使って限定戦やるというのは無理やちゅうことです。一発核落とされたら軍事施設も民間施設もへったくれもありまへん。軍事施設やられたからこっちも軍事施設をやったろやないけなどと考えるロスケはおりませんからな」「すると」ここで参加者の一人が手を上げて発言します。「ちゅうことはですな、もしこっちが失敗やらかして戦争する気もないのに間違えて水爆落としちゃったら、もうロスケは聞く耳持たずで全面核戦争になりまんのか」

 その失敗したらどうなるかという予想があっという間に現実のものになるという・・・。

 例の未確認飛行物体は強風でコースを外れた旅客機だということが判明し、全爆撃機隊に待機の解除が命令されます。しかしなんとしたことでしょう、機械の故障によりこの命令がある爆撃機編隊に届かずそれどころか事実上の攻撃命令であるコードCAP811が発令されたのでした。この通信を受けた爆撃機の乗員、グレイディ・トーマス、サリバンは機密命令書を取り出して確認しようとします。「わあ、コードCAP811で間違あらへん」「えらいこっちゃ、機密命令書にはなんと書いてある」「ひぃ、モ、モスクワですわ、わてら、これからモスクワに水爆落としにいかなならん」

 こうして爆撃機第6編隊はモスクワへの進路を取ったのです。

 ボーガン、カシオは大慌て。ペンタゴンのウォーレン将軍や大統領を交えて相談します。大統領が直接通信しても普段から爆撃機の乗員には「大統領の声が物まねされているかも知れないと思え」と教育してあるので駄目(笑)。戦闘機の誘導も「アメリカの戦闘機を見たらそれはソ連の偽装であると思え」と教育してあるのでやっぱり駄目(笑)。「戦闘機で撃墜したれ」という結論に至ります。

 この命令を受けたF-102デルタダガーの編隊が燃料切れの危険があるにも関わらずアフタバーナーを点火して加速、第6編隊を追跡にかかるのでした。ちなみにアフタバーナー点火の場面、ロケット弾発射シーンで誤魔化しております。爆撃機編隊を目視で確認、直ちにミサイル攻撃に移る4機のデルタダガーでしたが「あかん、ミサイル、当たらん」おまけに「ひい、燃料切れや、落ちるねんて、落ちるねんて」はい、あわれデルタダガー編隊は全滅してしまったのであります。

 教授は大統領から意見を求められて「ソ連は反撃せんでしょ、ソ連の目的は共産革命で世界をアカにすることや、加山雄三の『大学の若大将』が『大学のアカ大将』になるような世界にすることや。その総本山のソ連がやられたらもともこもない。ソ連は共産主義のために降伏しまっせ」なんだかさっきの限定戦の時といっていることが違わないか(笑)。

 大統領はついにクレムリンのソ連書記長とホットラインを接続し、直接話し合うことにします。「書記長閣下、えらいこっちゃ、うっとことの爆撃機が事故で間違った命令受けてしもたんです。今爆撃機がモスクワに向って飛んでおりますわ。水爆積んでますんで落としたらモスクワ、じゅっと蒸発してしまいますがな。でも、忘れんといて下さいや、これは事故でっせ、わてらおたくと核戦争しようなんていう気はさらさらありませんさかいに」こんなの信じられる訳がありません。「あなた、人を馬鹿にしているのですか」むっとするソ連書記長です(笑)。大統領は慌てて「ホ、ホンマですわ、事故、間違いなんですわ、その証拠にわてら戦闘機で爆撃機撃墜しようとしてましたのや、失敗したけど」「本当か」と未だに疑わしげなソ連書記長です。

爆撃機の編隊はついにソ連領空内に突入します。大統領は悲痛な声で「書記長閣下、少なくとも一機の爆撃機がモスクワに到達しますわ。危険です、逃げてくんなはれや」この編隊を迎撃するソ連戦闘機群。爆撃機隊は電子的な囮を放出、相手のレーダーを霍乱します。さらに空対空ミサイルを発射、逆に一機の戦闘機を撃墜するのでした。この戦果?にワァっと喜ぶ司令部要員。「やったー、ロスケをぶち殺したで!」そんな彼らをどなりつけるボーガン将軍です。「アホ、何いってんねん、喜ぶ奴がおるかいや」しゅんとなる司令部要員たち。この後逆にアメリカの爆撃機が一機撃墜されます。これで残りは5機となりました。

 大統領は再び書記長にホットラインを繋いで「うっとこの針路盤がぱっと光って故障しましたんや。そのせいで攻撃開始の合図が送られたんだす。おたく、うちらに電波妨害かけはりましたでしょ?」最初は側近どもにわあわあ言われたせいでなかなか答えようとしなかった書記長ですが、ついに決意したと見えて「はい、私たちは電波妨害しておりました」大統領意気込んで「それや、それが事故の証拠や。だから反撃したらあきまへんで!電波妨害やめてくんなはれ、そしたらわてが直接指揮官に話しますわ」

 爆撃機編隊指揮官グレイディに直接無線連絡する大統領です。「命令は誤りや、モスクワに水爆落としたらアカン、すぐ戻ってくるのやで」しかし前にも言ったようにこの爆撃機の乗員は口頭での任務変更を拒否するよう教育されています。グレイディは「あんた、本当に大統領かや、ロスケの物まね芸人が大統領の物まねしとるのやろ!」あー、通信切ってしまいやがった!いや、本当に大統領の物まねだと考える奴がいるとは思いませんでした(笑)。がっくりする大統領。しかしいつまでも落ち込んではいられません。彼は「ええい、グレイディの奥さん、連れてこんかい!」奥さんと話させればこの通信がホンモノだと思うだろうと考えたのですが、果たして上手くいくかどうか。

 この間にも続いている爆撃機対迎撃戦闘機の対空戦。爆撃機がもう一機撃墜されてこれで残りは4機となりました。

 大統領は冒頭で悪夢を見ていた人、ウォーレン・ブラック将軍を呼び出していや、なんですな、ブラック将軍ってゲルショッカーかって思いますけどね(笑)。大統領は彼に「アンドリュース基地でわての命令を待たんかい」と指示します。それからソ連書記長、ソ連のアメリカ大使館、アメリカのソ連大使館、ソ連国連代表、を結ぶ連絡網を作り「全アメリカ軍に告ぐ。ええか、ソ連空軍に全面協力して爆撃機を全機撃墜するのや」と大号令。ボーガン将軍はさっそく本来なら重大な軍事機密であるアメリカ爆撃機の対空ミサイルの撃墜方法を伝えるのです。「大出力の電波をあててやればオーバーロードして吹き飛びますわ。電子レンジでものが煮えるのと同じだす」その指示に従って電波を発信するソ連軍。次々に対空ミサイルが爆発します。さらに一機の爆撃機が抱いていたミサイルまで爆発、墜落したのでした。これで残り3機。

 ボーガン将軍は喜びますが部下たちは納得がいきません。何しろ昨日まで滅ぼすべき敵であるソ連に協力して自軍の爆撃機を撃墜したのです。その中でも特に頭に来たのがカシオ大佐。「将軍、こんなことやっとられませんわ、先制攻撃をしかけましょ、ソ連を全部吹き飛ばせば何も関係なくなりまっせ」ボーガン将軍は相手にせず今度はソ連側に低空に降下して逃げようとした爆撃機の位置を教えようとします。これでついにカシオ大佐が切れた!「きいいいい」彼は電話の受話器を毟り取るとこれで将軍の頭をぼかーっ(大笑い)。昏倒した将軍を尻目に「よーし、今からわてが指揮を執る。ロスケをやったらんかい」と叫ぶのですが、無論逮捕されてしまいましたとさ。頭をさすりながら起き上がったボーガン将軍、「ほー、いてて、えらい目におうたわ」

 ボーガン将軍改めてソ連側に爆撃機の位置を連絡。ただちに迎撃に向った戦闘機に一機撃墜されて残りは2機となりました。

 大統領はついに決意をします。「書記長閣下 モスクワに水爆が落ちたらわてらもおんなじことをやります。ニューヨークに水爆落とします。これでアイコや、だから反撃はせんといてくんなはれ、核戦争だけはやめてくんなはれ」続いて部下にこのままソ連との電話回線接続を継続させるように命令します。「水爆が落ちたら電話がキーンとなりよるわ、電話線が水爆の高熱で溶かされる音じゃ」つまりそのキーンという音が水爆が落ちたという知らせになる訳です。

 いまや残り2機となった爆撃機編隊。最後の迎撃戦闘機隊を迎え撃ちます。爆撃機のうち一機は水爆を積んでいない囮機。これが戦闘機隊をひきつけてまんまと本命のグレイディ機を通り抜けさせてしまったのです。ここでようやく現れたグレイディ夫人、無線で「あんた、命令は間違いやったんや、戦争やらやってへん、だからだから帰ってきてー」この悲痛な叫びも効果なし。「また物まね芸人かい、今度は女やから清水ミチコやろか」グレイディ、こう呟いてああ、また無線きりよった。

 その爆撃機に対して最後のミサイル攻撃が敢行されます。しかし息を呑んで待つ大統領に届いた知らせは「大統領、やつはミサイルをフレア代わりにして突破しようりました。もうあきまへん!」ここででてきたのがあのグロテシェル教授、「この水爆で死ぬ人間を勘定してみました。まあ、即死300万、放射線障害で5週間以内にさらに200万、アハハ、これはひどい」酷いのはお前だっての(笑)。大統領はホットラインでソ連書記長と最後の会話を交します。「わてら、機械に頼りすぎましたわ」「こんなことを二度と起こしてはならん」「おっしゃるとおりですわ、反省しとりま」「両陣営の壁を壊さなければ・・・」

 水爆どかーん。同時に電話線からキーンという音がします。モスクワは水爆によって壊滅したのです。

 大統領は待機していたブラック将軍に「ニューヨークへ水爆落とさんかい」と命令したのでした。コンベアB-58爆撃機で発進するブラック将軍。水爆投下地点であるエンパイアステートビル上空に到達します。そして秒読みの開始、「10・・・9・・・8・・・7・・・」ブラック将軍の耳には再びあの闘技場の喧騒が聞こえてきました。彼は呟きます。「ベティ、あの夢の続きが分かった。闘牛士はわてやったのや」水爆投下どかーん。エンドクレジット。

かなり地味な映画で特撮場面も最低限、ほぼ基地内で話が進行しおり出てくるのもむさくるしい男ばっかり(笑)。この派手さのまったくない映画で終わりまで飽きさせず緊張感を持続させるシドニー・ルメットの演出はさすがとしか言いようがありません。

モノクロ・ワイド、WOWOWハイビジョン放送、モノラル音声。コントラストがとにかく明快で目が痛くなるような高画質。黒もきっちり沈んでいてモノクロ画像というものの美しさを再認識させられます。

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『H・G・ウェルズの月世界探検』(『First Men in the Moon』 1964年)

 

HG・ウェルズの月世界探検』(『First Men in the Moon』 1964年)

 ハリー・ハウゼン謹製の芋虫怪物が出てくる月世界映画。クラシックな味付けが大変に心地よい作品です。月人セレナイトの地底都市も良く出来ていて、ああ、私はこんな映画ばっかり見て暮らしていたい!

国連宇宙機構による人類初の月面着陸が行われようとしております。月周回軌道上に占位した母船UN-1から月着陸船が分離。着陸脚をヨッコラショと伸ばして逆噴射しながら見事月面に降り立ちます。このニュースに沸き立つ地球、世界各地で祝賀パレードが行われてもう大騒ぎ。さて、それから月探検隊は月面の探査を開始します。測量したり石を削ったりもくもくと働いております。ところが「なんじゃ、こりゃ」と一人の隊員が摘み上げたのがぼろぼろになったユニオンジャック。さらにこのような文書も発見されたのです。「1899年 ヴィクトリア女王に栄光あれ キャスリン・カレンダー」 ええ、これはどういうこと、隊員たちは首を傾げます。「ひょっとしたら1899年に月にきた人間がいるのかしら」「これ、誰かのいたずらじゃないの」

 さっそく英国へ調査団を派遣する国連宇宙機構。役所で出生記録を調べたところ、キャスリン・カレンダーはすでに死亡していたのですが、その夫であるベッドフォードが存命していることが判明。調査団はそれっとばかりに今は老人ホームでボケかかっている彼を尋ねたのでした。ところがその老人ホームの看護婦さんが言うことにゃ、「もうあの人は妄想でへんなことばっかり言っているんです。それでNASAとかに手紙なんか送っちゃって、皆さん、今日はそのことで来られたんでしょ?」

 ちょっとヤバいかなと思った調査団の面々、それでもベッドフォードに面会すると彼はよどんだ目つきで「飯はまだかい」看護婦さんはぴしゃりと「さっき食べたでしょ」「ああ、そうかい、ところでばあさんはどうした」「10年前に死にました」ますますヤバいかなと思った調査団の面々、でも何もしないで帰る訳にもいきませんのでとにかく例の月面で見つかったユニオンジャックの写真を見せるのです。するとベッドフォードはやにわにしゃきっとなって「ああ、これは、するとあなたがた、月に行ったのかえ」「そうです、人類初の月着陸が行われたのです」「まずい、それはまずい」叫びだすベッドフォード「月は危険だ、わしゃ、そのことを知らせようとNASAに手紙を書いたのじゃ」

 ベッドフォード、1899年に起こった信じられない出来事を語り始めるのでした。

 はい、場面は1899年に切り替わります。当時のベッドフォードは投資に失敗してど貧乏。借金もかかえておりました。そこで彼は戯曲を書いて一発あてようと考えある田舎町の屋敷、桜屋敷を借りて移り住んでいたのです。そこへやってきたのが彼の恋人であるキャスリン・カレンダー、愛称ケイト。ベッドフォードとの結婚を切望している彼女は桜屋敷を見て目を輝かせます。「うわー素敵な屋敷ね。あなたの叔母さん、良いものを残してくれたわぁ」ベッドフォードはこの屋敷が先ごろなくなった叔母さんからの遺産であるとウソをついていたのであります。持ち家どころか単なる貸家、おまけに家賃を払ってなくて督促状まで送られてきているというのに(笑)。

 さあ、早くも波乱含みの映画でありますが、さらにここでもう一人へんな人が現れた。桜屋敷の隣家に住む科学者ジョセフ・カボール(ライオネル・ジェフリーズ)であります。彼はケイトに「私は科学者で世界的大発明を成し遂げようとしているものです」どんな自己紹介だ、コラ(笑)。「そのためには実験が必要なのですが、これがちょっと爆発したりするかも知れません。危ないのでこの屋敷を買い取りたいのですが」そこで提示した金額が1,000ポンド、アメリカドルにして5,000ドル。しかもケイトがしぶっていたら「えーい、じゃあ2,000ポンドだしましょう」はい、交渉成立。ケイト、屋敷を売ってしまったのです。交渉を終えた博士、突然、「あ、そうだ、かまどを忘れていた」と叫ぶと慌てて戻っていったのでした。

 帰宅したベッドフォード、ケイトから家を売ったと言われて大慌て。カボール博士の家に怒鳴り込むのですが博士はかまどから溶けた金属を取り出して「あ、今忙しいからちょっと待ってね」何をしているのかと申しますと、この金属こそが彼の大発明たるカーボライト、重力を遮断するという夢の金属だったのです。溶かして塗りつければどんなものも宙に浮きますると博士、嬉しそうに喋ります。信じられないベッドフォードが疑わしげに「じゃあ、この椅子に塗ったら浮き上がるんスか」博士、カーボライトを椅子に一塗り。すると果たして椅子はベッドフォードを乗せたまま浮かび上がったのではありませんか。仰天したベッドフォードは「これは凄い発明だ、大金が稼げるぞ」はい、彼は屋敷を売った金を博士の研究に投資すると決めちゃったのでした。

 しかしケイトはベッドフォードの軽率なふるまいにかんかん。「家を売ったお金で借金返して結婚できると思っていたのに、なんであんなキチガイ博士に投資するのよ」まあ、元から屋敷は借家なのですがね。投資しようがしまいが結婚できないのは同じなんですけど(笑)。

 ここでかまどを見張るはずだったギブス、かまどを放ったらかして飲みに出かけてしまいます。かまどの圧力がどんどん高くなってついにどかーん。屋敷の屋根ごと宙へ舞い上げられてしまったのでした。怒った博士はギブスを首にしてベッドフォードをやとうことになります。ベッドフォード、新しいかまどに石炭をくべながら「それで博士、このカーボライトで何をするんですか」「そうだな、重力遮断できるんだから月旅行もできるぞ」「ええーっ」と不満そうな声を上げるベッドフォードです。「そんな月旅行なんて金にならないっすよ、せっかく空中に浮かび上がるんだから空飛ぶ靴、ぴょんぴょんシューズなんてどうです」「お前はドクター中松か。それに月旅行は金にならないって、月には豊富な金属の鉱脈がある。金だってわんさかとれるんだ。これを取ってくりゃわしらは大金持ちじゃ」

 このと言う言葉に素早く反応したベッドフォード、「そらいいですな、じゃあ早いところ月へ行きましょう、月へ」調子の良い男であります(笑)。でも当然ながらケイトは大反対。「月へ行くってあなた、バッカじゃないの、死んじゃうわよ、月が月だけにルナティック(狂気)よ」って上手いことをいいますな。座布団300枚ぐらいあげたいですな。挙句「もうあなたなんか知らない、結婚もしないわ」とベッドフォード振られてしまったのであります。でも大金持ちになるという夢によっているベッドフォードには関係なし。彼は鼻歌まじりでまた石炭をかまどに放り込むのでした。

 さて、どうやって月へ行くのかというと、カボール博士すでに自分の屋敷の温室で月宇宙船を組み立てていたのであります。宇宙船は球形で外殻が二重構造になっており外側にブラインドを装備。このブラインドにカーボライトを塗って開け閉めすれば重力をコントロールできるのだ!という仕組みになっております。ベッドフォードはかまどに石炭放り込み、カボール博士は溶けたカーボライトをブラインドに塗り塗り。放り込みの塗り塗り、アッソレ、放り込みの塗り塗り、でついに宇宙船が完成したと思って下さい。

 月面探検用の潜水服や食料も積み込んでいよいよ出発せんとするその時にやってきたのがケイト。彼女は本来他人の持ち物である桜屋敷を勝手に売ってしまったかどで裁判所の呼び出しを受けていたのです。それで「ンマー、どういうことなの」とベッドフォードを問い詰めにきたのですな。彼女は宇宙船の外殻をがんがん叩いて「あなた、私をだましたのね、出てきなさい」しかし宇宙船は発進寸前、このままだとケイトも巻き込まれてしまうということで急遽ハッチを開けて彼女を引っ張りこんだのでした。

 宇宙船はどかーんと発進します。ケイトは加速度で床に押し付けられて「ひー」、カボール博士が加速をストップさせたら今度は無重力状態になって「ひーっ」えらいことになってます(笑)。それでもなんとか慣れて後は月への楽しい宇宙旅行。食事は毎食ごとに目刺が三匹ずつという非常に貧しいものでありましたが宇宙は綺麗だし月にはどんどん近づくしそれくらい我慢しようじゃありませんか。

 さあ、いよいよ月着陸。このカーボライト宇宙船には逆噴射ロケットなど洒落たものはついてないので着陸というか激突(笑)になります。どーんと月面に激突してそれからごろごろと転がるという、なんだかある種の罰ゲームのようです。宇宙船には一応安全ネットがついていてこれに捕まってショックに耐えるようになっているのですが、何しろケイトという余計な荷物が乗り込んでおります。ようやく宇宙船が止まった時には安全ネットも外れてしまってみんな絡まっていたというオチ。

 着陸したら次は月面探検だということになるのですが、ここで問題が発生。ケイトの分の宇宙服がなく、またエアロックなんて洒落たものは装備されておりません。外へ出るためハッチを空けたら宇宙船の空気が全部なくなってケイト窒息死なんてことになってしまいます。そこで探検の間、ケイトは大人一人がやっと入れるくらいの小さな小さな気密倉庫に押し込められることになったのです。これはひどい(大笑い)。
 

ケイトを気密庫に押し込んで月面探検の開始です。

さて月面に降り立った二人、カーボライト宇宙船の外殻をがんがん叩いて合図します。これを聞いた(真空だからその振動を感じた)ケイトが気密庫からやっこらさと出てきます。いっぺんハッチ開いて宇宙船内が真空になったのですから一度空気を充填しなおすとかそういう描写があった方がいいと思うのですがねえ。

 それからカボール博士とベッドフォードは例の国旗と宣言文を月面に設置します。「ヤッター、これでわしらは月に来た最初の地球人類になった。ビクトリア女王万歳、我々はナイトの称号を与えられるぞ」大はしゃぎで月面を練り歩いておりますと突然、地面が揺れだし、まるで『2001年宇宙の旅』の月面基地のようにぱあっと穴が開いたではありませんか。「な、なんじゃ、こりゃ」二人はあろうことかその竪穴に落下してしまったのです。博士は命綱が引っかかって宙吊りに、ベッドフォードは潜水服のヘルメットを落としてしまったのでした。「あ、あれ、でも俺、窒息してないじゃん」そう、この竪穴には空気が存在していたのでした。

 「こりゃまたどういう訳だ、世の中間違っとるよー」不思議に思ったベッドフォード、博士を宙吊り状態から救出して二人で竪穴の下へ降りていくのです。そこは明るい太陽光が差し込んである種のプリズムに反射しているわ、青い溶岩が流れているわで非常に幻想的な世界。ようやくヘルメットを見つけたベッドフォードと博士は「なんだか、これはとてもキレイなものですなあ」とうっとりしております。しかしそこに現れたのが月面の昆虫人間セレナイト!うきゅきゅうきゅきゅと奇声を発しながらわらわらと出てきたセレナイトは二人を捕まえ連行しようとしたのです。

 しかし、ベッドフォードは勇敢にもセレナイトに立ち向かいます。ヘルメットを振り上げてセレナイトの頭にゴンッ!哀れ青い溶岩へ落下してしまいました。さらに殴る蹴るでセレナイトをがんがん叩き落すベッドフォード、ついに逃げ出すことに成功したのです。博士は「そんな乱暴な、話し合いをすればなんとかなったのに」と文句を言いますがベッドフォードは聞く耳を持ちません。「そんなつまらないこと言ってないで急いで宇宙船へ戻りましょう。ケイトが心配です」ところが戻ってみたら宇宙船そのものが消えていたという・・・。何かを引きずったような跡があることから「こりゃあ、セレナイトが宇宙船持っていっちゃったのだな」宇宙船の中には当然ケイトもいた訳でベッドフォード大慌て。「博士、この跡をたどってケイトを助けましょう」

 その引きずった様な跡は馬鹿でかいスライドドアの中へ消えていました。「よし、この中に宇宙船とケイトを運び込んだのだな」二人はドアに取り付いて無理やりこじ開けに掛かります。そしてちょっと開いた隙間からカボール博士が入り込んで自分のヘルメットを脱ぐとドアに挟んでしまらないようにします。ベッドフォードはこの隙間に手をいれてもう一度「エンヤコラ!」ようやく中に入ることができたのでした。しかし、博士、いくら空気があるったって開いたドアの向こうは月面で真空なのですよ、ヘルメットを脱ぐのはいかになんでもムチャじゃありませんか。いや、それ以前にドア開いたら中の空気が凄い勢いで噴出して来るのではないですか。

 その頃、宇宙船はセレナイトに取り囲まれていました。がんがん外殻を叩いたりネジを緩めたりハッチを開けようとしたりしております。ケイトはライフルを掴んで「入ってきたら撃つわよ」と勇ましいことを言っていたのですが、所詮はかよわい女の身、ついに侵入してきたセレナイトに捕まえられてしまったのでした。

 さて、セレナイトの地下都市に入り込んだベッドフォードとカボール博士、宇宙船とケイトを求めて歩いておりますとにわかに「がおー」という唸り声。ハリー・ハウゼン謹製の「巨大芋虫怪物」(月牛)の登場です。「ありゃ草食動物だから大丈夫」なんて暢気なことを言う博士でしたがあにはからんや、その草食動物が追っかけてきたのです。「わあ、助けて」逃げる博士ですが、簡単に追い詰められて大ピーンチ。ここでベッドフォードがヘルメットを怪物に投げつけて注意をそらし博士を助けるのですが、結局博士はセレナイトに捕まっちゃった。

 セレナイトは続いて芋虫怪物を電撃杖で攻撃します。びびび、びびびと電撃が走ってついに動かなくなる芋虫怪物。セレナイトは芋虫怪物に群がってあっという間に白骨にしてしまいました。どうやらこの芋虫怪物、セレナイトの蛋白源らしい。

 場面は変わってセレナイトにレンズ様の装置で調べられているケイト。このレンズを通してみるとケイトがモデルアニメーションのガイコツになっているという仕掛けが楽しいですな。それにどうやらセレナイト、彼女の言葉を研究している模様。「助けて、私を逃がして、それは私の靴よ、高かったんだから触らないで」という彼女の台詞を録音して「タスケテ、ワタシヲニガシテ、ソレハワタシノクツヨ、タカカッタンダカラサワラナイデ、ダカラサワラナイデッテイッテルデショウ、ヤサシクイッテイルウチニヤメナヨ」と繰り返しております。そこへ連行されてきたカボール博士、この様子をみて「おお、月人は我々と話したがっている、コミュニケーションができるぞ」と大はしゃぎするのでした。

 それからどうなったかというと、博士とケイトはセレナイトの地下都市をえんえん巡ることに。巨大なパイプで水がぶくぶく泡立っているのを見て「これが酸素発生装置じゃ」太陽光を受けてきらきら輝いているとげとげの巨大球を見て「これが太陽を利用した動力装置だ」まるで物見遊山気分なのがおかしい。

 しかし博士とケイトはあるものを見て愕然とします。彼らの宇宙船がセレナイトによって分解されていたからです。おまけにセレナイトはカーボライトの成分を研究しているらしく「複製しようとしたができない。何か秘密があるのか」なんて言っております。彼らとコミュケーションしたがりのカボール博士は「あ、それはね、ヘリウム使うのがコツなんです」「コツってなんだ、あれか、小さく生んで大きく育てるのがコツよみたいなものか」へんなことを知っているセレナイトですな。またここでセレナイトの奇妙な習慣も明らかにされます。仕事が暇になったら余剰の人員を箱型の機械にいれて繭にしてしまうのですね。セレナイトの監督官は「仕事がまた忙しくなってきたら起こすのだ」博士は「そりゃ、なんとも合理的で」とさかんにヨイショするのですが、ケイトは「アタシたちもああされちゃうわよ」と浮かない顔。

 この時変事が起こります。日食で太陽が地球に遮られてしまったのです。太陽の光をエネルギー源とする動力装置はあっという間に停止。セレナイトも同様にその動きをぴたりと止めてしまうのがオカシイですな。カボール博士は「彼らは太陽の光がないと動けないのだ。さあ、この間に私たちも休もう」逃げようとは思わないのですかね(笑)。まもなく日食が終わって光が差し込んできます。すると動力装置もセレナイトも何もなかったように再び動き始めたのでした。

 この後、カボール博士と切り離されたケイトは結晶で作られた檻に収容されます。ここで現れたのがベッドフォード。彼はライフルで檻を叩き壊してケイトを救出。そして分解された宇宙船を修理しはじめるのです。一方、博士は緑色の球体に包まれたセレナイトの前に引き出されます。どうやらこれがセレナイトの親玉らしい。親玉は博士に「地球のことを聞かせてくれ」と質問を始めるのでした。「地球はどんな暮らしだ」「地球人は表面に建物をたてて住んでおります」「地球には統一君主はおらぬのか」「いません、なろうと試みたものはおりましたが、ナポレオンとかシーザーだとか」「それでは混乱が生じよう」博士は頭をかいて「へへへ、それが悩みのたねでして、戦争なんかしょっちゅう起こってますな」「その戦争だ。地球人が月を侵略しようとしたら我々はひとたまりもなくやられてしまうだろう」言いたかったのはこのことなのね(笑)。博士は慌てます。「い、いや、それは大丈夫です。カーボライトがなければ月になんかこられません。それにカーボライトの秘密を知っているのは私だけです」「じゃあ、お前地球に帰さんもんね」

 このあたり、博士はさかんに咳をしております。これが後に繋がる重大な伏線となっておりますのでどうかお忘れにならないようにお願いします。

 さあ、ここで宇宙船の修理をあらかた終えたベッドフォードが飛び込んできた。「博士、これは話し合いじゃない、裁判だ、あんたは有罪判決を下されたんだよ」彼はなおも「いや、そんなことはない、話せば分かってくれる」としぶるカボール博士を引っ張って逃げ出します。そして宇宙船に酸素ボンベを積み込んで出発の準備。しかし、どうしたことか博士は宇宙船に乗り込もうとしません。あ、セレナイトが迫ってきた、あせって「早く乗ってください」と叫ぶベッドフォードとケイトに「いや、わしゃ残る。知りたいことがあるのだ」と自らセレナイトに捕まる博士なのでした。

 諦めたベッドフォード、カーボライトを塗ったブラインドを展張してどかーん、月面から飛び立ったのでした。

 はい、場面は冒頭に戻りまして「それから宇宙船はザンジバル沖に着水した。宇宙船は沈んでしまったがわしとケイトはなんとか海岸に泳ぎ着いたのじゃ」と語るベッドフォード。この不可思議な体験談はさっそく月探検隊に連絡されます。「セレナイトに気をつけろ」ということなのですが、その時すでにセレナイトは病原菌によって死滅し地下都市も竪穴に入り込んだ隊員の目の前でがらがらと崩れてしまったのでした。咳をさかんにしていた博士の菌が月で蔓延して彼らを滅ぼしてしまったというオチ。

 これをニュースで聞いたベッドフォードは「カボールは生きておるに違いない」と呟いて望遠鏡で月を見ますと軌道上に小さな宇宙船らしきものがというところでエンドマーク。

カラー・ワイド、WOWOWハイビジョン放送、モノラル音声。青みがかった色彩設計が映えるすこぶるつきの高画質。やっぱりハイビジョンでみるクラシックSF映画はたまりませんなあ。モノラル音声もノイズがなく高品位です。

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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