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2007年3月 4日 (日)

『I Wonder Who's Killing Her Now?』(1975年)

 

主人公のジョーダン・オリバー(ボブ・ディシー)はとんだスーダラ男。お金持ちの娘である奥さんと結婚して人生を満喫しておりました。今日も今日とて豪奢な屋敷でピアノを弾いてご機嫌。「ムム、我ながら素晴らしい、今夜のチャリティ・仮装パーティじゃ大うけだぞ」ところがこのピアノ、小人が小さなピアノで影武者を務めていたという・・・。どうしてオモチャの小さなピアノでグランドピアノの音が出せるのか不思議ですが、そこのところはあまり考えないように(笑)。ジョーダン、小人ににっこり頷いて「今夜のパーティには30分早めにきてスタンバイしておいてね」

 しかしこのスーダラ男にピンチが訪れます。会社から25万ドルくすねていたのがバレてしまったのです。社長はジョーダンを呼びつけて「君の奥さんとそのお父さんとの関係があるから警察沙汰にはしない。でもそれも30日間だけだ。その間に金を返さなければお前は刑務所行きだぞ」それでもいざとなったら奥さんにたかればいいやと思っていたジョーダン、にやにやしております。

そのにやにや笑いが消えたのは屋敷に戻って奥さんのクラリス(ジョアンナ・バーンズ)から「アータとはもう離婚しますわ」と告げられた時でした。「ええ」真っ青になるジョーダン。「そんな君は僕のボガートの真似が好きだと言っていたじゃないか。僕のボガートと君のバコールでベストカップルねって言ってたじゃないか。それが何故離婚だなんていい出したんだ」「そのボガートの真似に飽きたのよ」するとこいつらラブラブだった時期はボガートとバコールになって『三つ数えろ』ごっこなんかやっていたのか、しょうがねえな、まったく(笑)。

 困ったジョーダンは自慢の絵画コレクションを売って25万ドル工面しようとしたのですがやってきた画商は「ははは、こんなのみんな偽物っすよ、どこの画商から買ったんですか」「えー、偽物」「これだったらせいぜい25千ドルがいいところですな」さらに追い込まれるジョーダンです。おまけにクラリスは弁護士のハロルド・ブッカー(ビル・ダナ)に唆されて離婚の準備を進めている。ジョーダンはついに妻に保険金かけて殺せばいいじゃんという恐ろしい考えに取り付かれてしまったのです。

 この後チャイニーズレストランに行ってフォーチュンクッキーを割ってみたら「なんじ恐れるなかれ、なすべきことをせよ」映画館で『ダイ!ダイ!マイ・ペット』という映画を見ると出てきた登場人物が「アータとはもう離婚しますわ」「ええ」「そんな君は僕のボガートの真似が好きだと言っていたじゃないか。僕のボガートと君のバコールでベストカップルねって言ってたじゃないか。それが何故離婚だなんていい出したんだ」「そのボガートの真似に飽きたのよ」とどこかで聞いたような会話を交わしております。びっくりして飛び出したジョーダン、チケット売り場の女の子に「この映画、これからどうなるの」と聞くと「奥さんに保険をかけて殺しちゃうんです」これぞ神の啓示なり。保険金殺人事件を決意したジョーダンは「ガッタ・ダンス!」とジーン・ケリーの声で叫んで(笑)華麗なダンスを舞い踊るのでした。

ちょっとこういうギャグはつらいですなあ(笑)。

 さて、保険金殺人を決めたからには準備が必要。ジョーダンは無責任保険会社という保険会社へ行ってクラリスに100万ドルの生命保険をかけようとします。しかし担当の社員はしぶい顔。「100万ドルの保険とはまた高額ですなあ。それに被保険者の身体検査も必要になりますよ」身体検査なんかやったらクラリスに怪しまれてしまうという訳でジョーダンが出してきた条件と言うのが「身体検査と分からないように検査してくれ」というもの。このリクエストに応じて屋敷にやってきたのがパット・モリタ演ずる医者、ハシ・ヤマモト。どうもこの人は怪しげで「前、車の後部座席で女性に出産させたことがありますが、彼女は自分が出産したことに気づかなかった。私がトヨタのトランスミッションを修理していたと思っていたんですよ、ウシシシシ」なんて言っている。

 ジョーダンは出かけようとするクラリスをピストルで脅して!ハシ・ヤマモトを交えてディナーを楽しむのです。ハシ・ヤマモトはクラリスの手首に目を止めると「これはまたお見事なお手首ですなあ」ぱっと触って脈を取る。立ち上がると彼女の背後に回って「こらまた素晴らしいドレスでございますなあ、ちょっと見せてくださいませ」と背中に聴診器を当てます。そして「テーブルの上に置いてある花の香りの見事なこと。さあ、あなたも大きく息を吸い込んでこの香りを楽しみなさい」なるほど、これが深呼吸になるわけですね(笑)。その後ヤマモトは「あ、コンタクトレンズを落としてしまいました」とテーブルの下にもぐりこみクラリスの足首に血圧計の腕帯を巻いて血圧測定。はい、これでクラリスに気づかれぬまま身体検査終了です。

 身体検査が終わってようやく生命保険の手続きが終了します。次にジョーダンがやったことは殺し屋探し。スラム街に出かけていって若い女を襲っている強盗や酒飲んで路上に寝ている浮浪者に誘いをかけてみるのですがどちらからも断られてしまいました。三人目の男は殺し屋を引き受けるどころか金をみた瞬間コートの前をぱっと開けるという・・・。どうもロクな奴がおりません。さんざん探した末に見つけたのはとても流行ってないバーで、どれくらい流行ってないかというとホステスのバーさんがカウンターに突っ伏して寝ていて、どのくらい寝ているのか知らないけれどもその頭にくもの巣が張っているというくらい流行ってないバー(笑)。ここで見つけたのがドードー(ノーラ・デニー)という男。彼は借金取りに追い込みをかけられており今すぐに金を用意しないと命さえ危ないという状況でした。ここにつけこんだジョーダン、25千ドルの報酬をチラつかせてクラリス殺しを依頼するのです。さすがにためらうドードーですが背に腹は換えられません。ついに承知してしまうのでした。

 さて、クラリスは療養のためにラスヴェガスへ車で旅行に出かけます。これを知ったジョーダンはドードーに電話をかけて「ターゲットはラスヴェガスへ行くぞ、逃がすなよ」これで彼の計画は成就したかと思われたのですが・・・。

 無責任保険会社より電話が入ります。なんとハシ・ヤマモトの検査が不十分で保険契約成立の条件を満たしていないことが分かったのです。ハシ・ヤマモト、とんだヤブ医者だったのです。慌てたジョーダンはドードーを捕まえて「おい、まだ奥さんは殺していないよな、計画は中止だぞ」焦るあまりに襟首掴んでぐいぐい締め上げております(笑)。可哀想にドードー、口もきけないの。ジョーダンがようやく気がついて彼の首から手を離すと「奥さん、殺してないよ」ほっとするジョーダン。しかし、「おれ、2万ドルで他の奴に頼んじゃった」「はあ?なんだ、なんてことをしたのだ。そいつの名前は誰だ、やい教えろ!」またもジョーダン、襟首締め上げたのでドードーたまらず失神してしまいましたとさ。

 その何者かがライフルを組み立てて走行中のクラリスの車を狙います。発射された弾丸は見事にクラリスの車・・・を外れて後ろを走っていたパトカーに命中するという・・・。その何者か、慌てて草むらに飛び込みます。あー、これもつまらん(笑)。

 ドードーが殺しを依頼した相手、それは指揮者のパルロでした。ジョーダンとドードーがリハーサルやっているパルロのところへ会いにいって「ワイフを殺したのか」と問い詰めますと「分からないアルよ」という返事。なんと彼も16千ドルで他の人間にクラリスの殺害を依頼していたのです。その相手とは痩身研究所の所長、バイニー博士(ジャック・デレオン)、痩身研究所に行くのだからデブに変装しなくちゃというパルロの訳の分からない提案にコスチュームショップへ赴く三人です。店へ入ろうとすると中からスーパーマンのカッコをした人が出てきてしゅぱーっと飛んでいくというつまらないギャグ。

 こういうレベルのギャグを堂々とやられるとちょっとムッとしますね(笑)。

 さて、場面は変わって痩身研究所。バイニー博士は診察台に寝かされたふくよかなご夫人に向って「奥様、ふふん、間違いなくやせられますとも、安心してこのバイニーにおまかせあれ」彼がぱちりと指を鳴らしますと看護婦といっても男だけど(笑)ががらがらと水着の美女を運んできます。「何、これ」と不審げに聞くご夫人。「はははは、奥様の脳みそをこの体に移植するんざます。それであなたはもう痩身美人」ご夫人、びっくりして飛び上がり「このキチガイ、助けてー」と逃げ出してしまいましたとさ。

 ここへやってきたのがデブコスチュームに身を包んだジョーダン、ドードー、パウロの三人。博士はパウロを見て「おー、あなたはパウロじゃありませんか。一体どうしたのです」そんな顔見知りですぐ分かる間柄なら何も変装する必要なんかなかったじゃないかよう(笑)。だんだん腹がたってきたな、もう。おまけにこのバイニー博士もやっぱり殺人を他に頼んでいやがった。「わたしが頼んだのはCIAエージェントのカースティンざます」そして博士と看護婦も加わって総勢5人になった一行は車でカースティンのオフィスを目指します。

 ここでラスヴェガスのホテルのプールサイドでくつろぐアリシアが映ります。この頭上から植木鉢を落とそうという男あり。しかし植木鉢に巻かれていた紐がほどけて男の靴にからまっちゃった。「ひーっ」男は植木鉢に引っ張られてプールへどぼん。まあ、普通に考えたらアリシアの頭上に植木鉢と男が落ちる筈ですが、この映画は普通ではないのでいいのです。

 ビルの最上階にあるカースティンのオフィス、ちゃんとCIA エージェントのカースティンと表札がかかっております(笑)。しかし、このカースティンがまたヘンな男でいきなり女装している。おまけに「私はCIAエージェントだがそれは世を忍ぶ仮の姿、本当はレンガ積み職人なのだ」と叫んでオフィスの片隅にあるレンガ塀にレンガを積み出すという奇行でみんなを驚かせます。しかもこの男にはパートナーがいて、これがいまだに自分はムッソリーニ総統のために働いていると思っている危ない奴、グイド。このグイドが殺人の依頼を6ドル95セントで役者に頼んだと言い出したのです。「はあ、6ドル95セントで人殺し、世の中間違っとるよー」ジョーダンは頭を抱えます。

 さらにこの二人を加えて役者に会いにいくことになったのでした。

 さて、この間にも謎の男によるクラリス殺害の試みは続いております。彼女が泳いでいるプールに鮫を放しますってそんなムチャな。クラリスを襲わんとする鮫でしたが、何故かプールで釣りをしている男の子がいて鮫を釣り上げちゃいました。ああ、怒っちゃいけませんよ、怒っちゃ、これが最後のつまらないギャグという訳じゃないですからね。こんなので怒ってちゃしまいまで持ちませんよ。次にゴルフコースでダイナマイト付の弓矢で狙います。しかし発射寸前、ぽとりとダイナマイトが落ちてどかーん。次にカジノでパチンコを使って殺害を試みるのですが、ぴゅっと放つと大当たりに興奮してクラリスの前で立ち上がった男の額に命中してしまいましたとさ。頭にきた男は路上を歩いているクラリスを車でひき殺そうとします。がーっとアクセルを踏み込んで急発進・・・と思いきや車の床が抜けてしまったというオソマツ。

 さて、歩いて役者に会いに行こうとしていた一行、さすがに歩きつかれてしまいます。そこでヒッチハイクで乗せてもらったのがへんなじいさんのピックアップトラック。このじいさん、スピード狂でがんがん飛ばす、飛ばす。おまけに酒のビン出してきてジョーダンに「お前、飲むだ、飲まねえと崖からジャンプさするぞ」「ひー、飲みます、飲みますぅ」その後いきなり救急車がぴーぽーぴーぽー。何だかよく分かりませんがついに事故を起こして病院へ運ばれたということなのでしょうか。

 さて、彼らが運びこまれた病院、どうも、そのう、なんですな、体の病院じゃないほうの病院みたい。何故かここで役者を探すジョーダンです。「役者だ、役者はいないか」するとむこうで男が「真実の恋は叶ったためしがない」と叫ぶという・・・。ジョーダン、「おー、君が役者かね」ってどうみてもこの役者はキチガイなんですけど(笑)。彼はこの役者に「妻を殺したか、殺してないか、それが問題だ」とハムレットばりに尋ねると「それは初めからわかりきっている結末だ。殺してなどいないぞ」さあ、大喜びのジョーダン、みんなに向って「クラリスは生きているぞ、よし、シーツでロープを使ってここから脱出しよう」ところがここに冒頭でピアノを弾いていたあの小人が登場します。「号外、号外、ラスヴェガスの路上でクラリスの死体が発見されたよ」この号外を読んだジョーダンは愕然として「クラリスが死んだって。ああ、大変だ。葬式に行かなくちゃ」

 病院から脱出した一行。クラリスの葬式に向います・・・、もうタネを明かしてしまいましょう。この死体はクラリスではなかったのです。殺し屋でしかも盗人である彼女がクラリスの財布や免許証を盗んで持っていたから間違われてしまったのです。え、殺し屋ってクラリス殺そうとしていた男と関係あるの?いやいや、それがまったくないんですねえ。もう意味もへったくれもないんですねえ。なんか頭の血管が切れそうになっているんですけど、ワタクシ。墓地で葬儀をやっていた彼女の夫からこのことを知らされたジョーダン、「じゃあ、クラリスは生きているんだ、良かったぁー」彼はここで一行と別れて一人ラスヴェガスに急行するのでした。

 買い物を終えてホテルに戻ってきたクラリスって、財布は盗まれたんじゃなかったの(笑)。後をつける殺し屋。あ、言い忘れておりましたが、この殺し屋互い違いの靴を履いております。革靴とブーツで踵の高さが違っているためにぽっくりがっくりぎくしゃく歩くのです。これもつまらない上に意味が分からない。殺し屋はクラリスの部屋に侵入します。シャワーを浴びているクラリス、だいたい殺されようとしている女は『サイコ』以来シャワーを浴びるのに決まっている(笑)。ナイフを振り上げる殺し屋、これも『サイコ』のパロディだ。危ない、クラリス、大ピーンチ。

 ここでタイミングよくジョーダンが飛び込んできた!殺し屋に飛び掛って取り押さえてみると、なんとそいつは弁護士のハロルド・ブッカーだったのです。もうこんな奴、みんな忘れていますよ(大笑い)。彼は弁護士の立場を利用してクラリスを信用させ殺して財産を奪おうとしていたのです。シャワーから出てきたクラリスはびっくり。訳を聞いて「だから、あんなにたくさんの書類にサインさせたのね」ハロルドはいつの間にかやってきたバイニー博士の看護婦に引き渡されます。看護婦はにやにやしながら「いい実験材料ができたわ」。「やめて、助けて、ひーっ」と叫ぶハロルドを連行していったのでした。ジョーダンとクラリスは「ありがとう、ボガート」「なんてことはないさ、ハニー」とひとしきりボガート・バコールごっこをやって仲直り。はい、めでたし、めでたし。エンドマークです。

 この後エンドクレジットが流れます。ジョーダン・クラリスは他の仲間たちとお祝いのパーティ。ジョーダンが足りなくなった椅子を隣のテーブルから借りることになります。このテーブルにいた客の靴が革靴とブーツの互い違いになっていたという・・・。こいつが実は殺し屋だったのかと思わせるオチなのかなあ。まあ、どうでもいいや。

 カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はフィルム傷が目立つけれどもそれなりに発色が良く好画質といえるでしょう。音はこんな映画にはもったいないほど品位が高い。こんなのノイズまみれで歪みばりばりの音で十分だっての。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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