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2007年3月 4日 (日)

『La Belva col mitra』(『Mad Dog』 1977年)

 

刑務所から脱走した凶悪犯があんなことやこんなことをするというクライム・アクション映画なのですが、なんというか実にしょぼい、安い(笑)。それでいて女はちゃんと裸に剥くというお色気シーンがありまして、もうイタリア人しか作りませんよ、こんな映画。

冒頭イタリアの刑務所から刑務所職員一人を人質に脱走する四人の男。ナニ・ヴィターリ(ヘルムート・バーグラー)、ピエトロ・カポラリ(ネロ・パッツィフィニー)、マリオ・ポルテシィ(アントニオ・バジル)、ブルーノ・エスペシト(セルジオ・スマッチ)であります。ヴィターリは殺人罪で収監されていたとにかく凶悪な男。そのあだ名は狂犬、マッド・ドッグであります。残りの三人は刑務所で彼と知り合い、義兄弟の契りを結んだ荒くれもの。彼らはヴィターリをリーダーと慕い一緒に脱走したのです。

 刑務所を出たところで打ち合わせどおり仲間のダールが逃走用の車を駆って現れます。人質と共に乗り込むマッド・ドッグたち。ダールは車を急発進させて市内へと逃げ出したのでした。彼らは人質を車内でぼっこぼこに殴りつけ外へぽい。のっけからやりたい放題です(笑)。この車を追ったのが本作のヒーロー、サンティアーニ警視(リチャード・ハリソン)、彼は拳銃を窓から突き出してマッド・ドッグたちの車に向けてずどんずどん。ダールが首を撃たれて「ギャーッ」しかし逆に人質の銃で撃ち返されて車は炎上。サンティアーニはかろうじて燃える車の中から脱出します。マッド・ドッグたちはこの後たまたま通りがかったカップルの車を奪って逃走するのでした。これ以降彼らの消息はつかめなくなってしまうのです。

 彼らが捨てていった車の中にはダールの死体が残されていました。運転していたダールが首を撃って「あっ」と仰け反る場面があるのですが、他の仲間が運転を代わる描写がないのでダール、軽傷で済んだのかと思っていました(笑)。

 マッド・ドッグたちに逃げられたサンティアーニ、判事である父(クラウディオ・ゴーラ)に電話します。「あ、パパ?刑務所からヴィターリって奴が脱走したんだけど、これ、パパが裁判担当したでしょ、何か覚えてない?」「ナニ、ヴィターリが脱走、そういえば裁判の時に証言したのは通報者のパパラルド(ルイジ・ボノス)という男だったな。彼はジュリアーナ・カローリ(マリサ・メル)という女性と同棲しておったようじゃ」「ありがとう、パパ」しかし、この時パパラルドとジュリアーナはマッド・ドッグ一味の手によってどこかの採石場後に拉致されていたのでありました(笑)。やることが早いねえ。

 「てめえ、よくも裁判で証言しやがったな、ブチ殺してダイチョー引きずりだす」4人からぼっこぼこにされるパパラルド。この執拗な殴り方がいかにもイタリア映画らしい残虐さ。さらにマッド・ドッグはジュリアーナに目をつけて「うひひひ、こっちさこ」木陰に引っ張り込んでヤッてしまいましたとさ。「久しぶりの女だ、ああ」とか言いながら腰をかくかくさせるマッド・ドッグ。パパラルドは「やめてくれ、やめてくれ」と叫ぶのですがもちろんやめてくれる筈がありません。「あうっ」と呻いて終わったマッド・ドッグ、ズボンを引っ張り上げて性欲を満足させたから、今度は暴力衝動とばかりにまたパパラルドを殴り始めたのです。がす、ごす、べき、ぐしゃ、倒れたところに執拗に蹴りを入れるマッド・ドッグ。ついに彼を殺してしまったのでした。やっぱり残酷やあ。

 この後ジュリアーナはマッド・ドッグの情婦として連れまわされることになってしまいます。

 自分がパパと話をしていた間にこんな事件があったとは神ならぬ身の知る由もなし。サンティアーニはホテルに滞在中のジュリアーナを尋ねるのでした。彼を向かえたジュリアーナ、警察手帳を見せられて明らかに動揺しております。「私はイタリア警察のサンティアーニ警視です」その様子をいぶかりながら質問を開始するサンティアーニ、「あなたの恋人のパパラルドさんを探しているのですがどこにいるのかご存知ありませんか」彼女はまたぎくり(笑)。あわてて首を振って「あの人とはもう別れましたの、だから知りませんわ」「はあ、そうですか」一旦退散するサンティアーニですが、先ほどの怪しげな様子が気に掛かったので部下に見張るよう命令します。

 一方、サンティアーニが質問している間、隣の部屋へ隠れていたマッド・ドッグ。付け髭と鬘で安っぽい変装をしているのがおかしい(笑)。彼はジュリアーナに「良くやった。今の芝居は見事だったぞ」ジュリアーナホッとします。しかしマッド・ドッグ、「もう一つ手伝って貰いたいことがある。化粧工場で警備員をやっているお前のオヤヂに連絡して我々に協力させるのだ。我々は工場に押し入って金を奪うのだ」びっくりしたジュリアーナ「父とは仲たがいして一年も会っていないのよ、そんなこと納得させられる訳がないじゃない」「いいからやるのだ、やらんと殺す」ついにジュリアーナ、承知させられてしまいましたとさ。その後はベッドシーン。裸に剥かれたジュリアーナが「ひーっ」あ、こんな映画でヘアが見えた(笑)。

 えー、この襲撃で大金を奪ったら偽のパスポートで空路ヴェニスに逃げようという計画だそうで。しがない警備員(ジュリアーナのパパ、ごめん)を協力させたところでそんな簡単に金が奪えるものですかねえ。

 この後マッド・ドッグは不可解なことにホテルから出て行ってしまいます。ジュリアーナを自由にさせて見張りもつけないの。ジュリアーナ、この機会を逃さず警察に飛び込んでサンティアーニにマッド・ドッグがパパラルドを惨殺したこと、化粧工場襲撃の計画を立てていることなどを洗いざらい全部喋ってしまいましたとさ。サンティアーニは彼女と父親の安全は絶対に保証すると誓い、ジュリアーナに父親を説得できたと伝えるように指示します。そして彼ら警官隊は工場で待ち伏せてそうとは知らずにやってきたマッド・ドッグ一味を一網打尽にしようというのであります。

 その襲撃の当日、警官隊は工場に配置されて万全の体制。ジュリアーナがマッド・ドッグから言われていた約束の時間、午後3時ぴったりに彼らはやってきました(笑)。事務所に侵入して金を奪い(あ、本当に金を簡単に奪いやがった!)さあ逃げ出すぞというところで警官隊に取り巻かれてしまったのです。マッド・ドッグたち絶体絶命の大ピーンチ!しかしさすがはマッド・ドッグ、降伏を呼びかけるサンティアーニに「ふふふ、お前がサンティアーニか、ようやく会えたな」と声をかけたりしてまったくひるんでおりません。それどころか工場の女性従業員を人質にしてあっという間に車で逃げてしまったのですって、なんだ、これ(笑)、警察、もっとしゃんとしなはれや。

 車2台で逃走するマッドドッグたち。1台目の乗用車にはマッド・ドッグ、ピエトロ、マリオの三人。もう1台は人質の女たちを乗せたバン。ブルーノが拳銃でジュリアーナを脅かして運転させております。しかしたちまち迫るサンティアーニ指揮のパトカー軍団。ここでパトカーを見つけて動揺したブルーノの隙をついてジュリアーナが隠し持っていた拳銃をズドン!急停車したのでした。これでマッド・ドッグたちは人質を失い、しかもパトカーに包囲されているという大ピンチに陥ってしまったのでした。戦意を失ったピエトロとマリオは車から降りて警官隊に投降します。マッド・ドッグが捕まれば映画はおしまい、めでたし、めでたしなのですが・・・そんなので終わる筈がないじゃないですか。

 やにわに機関銃を車の窓から突き出したマッド・ドッグ、ずどどどどと乱射して警官隊を蹴散らしパトカーの包囲をぶち破って逃走してしまうのであります。ジュリアーナ、「あいつを逃がしてどうすんのヨ、私が狙われちゃうじゃない」サンティアーニ、「なあにお嬢さん、警察があなたを守りますよ」というのですが、果たしてどこまであてになるのやら。

 ジュリアーナの危惧はすぐに現実のものとなります。逃げ延びたマッド・ドッグは駅で彼の妹と落ち合い当座の金を工面します。そうして警戒網を潜り抜けジュリアーナが住んでいるマンション向かいの空きビルに潜むのであります。ジュリアーナは6人の警官にガードされているのですが、そのうち誰も狙撃に絶好のビルがあることに全然気がつかない(笑)。ゆうゆうとライフルを組み立てたマッド・ドッグ、カーテンも引かずに着替えをしている無用心なジュリアーナにずどん!足に命中します。「ギャーッ!」と悲鳴を上げるジュリアーナ。すぐにサンティアーニたちがかけつけてくるのですが、やっぱりマッド・ドッグに逃げられてしまいましたとさ。

 幸いジュリアーナの傷は軽傷でした。しかし、これでこの映画における彼女の役割は終わりましたのであっさりと退場になってしまうのです。マッド・ドッグは妹に「ぜってぇあの女に復讐してやる」と怪気炎をあげていたのにも関わらず二度と彼女を狙おうとしない。どうもいい加減なものであります。

 その代わりと言っては何ですがマッド・ドッグが次に狙ったのはうらみ骨髄のサンティアーニの家族でした。彼はまずビンボー(アルベルト・スクィランテ)という若者を仲間に引き入れます。前々から彼にあこがれていたというビンボー、とっても嬉しそう(笑)。そして二人は車で出かけようとしていたサンティアーニパパ(クラウディオ・ゴーラ)と妹カーラ(マリーナ・ジョルダーナ)を車ごと拉致するのです。サンティアーニ判事はマッド・ドッグに有罪判決を下した男、こいつをやっつけて身代金を奪えば一石二鳥じゃわいとほくそ笑むマッド・ドッグです。

 それだけにサンティアーニ判事とカーラは気が気ではありません。おまけにマッド・ドッグ、彼らの車をとめた二人の警官をマシンガンでずどどど、無造作に射殺したりするものですから心の底から震え上がっております。彼らはそのままサントガータ近郊の隠れ家に連れ込まれてしまうのでした。そしてマッド・ドッグ、ビンボーに脅迫電話をかけさせます。その内容は「サンティアーニ、一億リラの身代金を持ってこい。それをサントガータ市場の泉のところに置くのだ。金を確認したら人質は翌日返す。ヘンなトリックや追ってくるのはなしだぞ。もしそんなことをしやがったらパパと妹は見るも無残なあまりに凄いので葬式屋から引取りを拒否されるみたいなそんな死体にしてやるぞ」というものでした。

 サンティアーニ、部下一人を連れてサントガータ付近で捜索にかかります。

 さて、そのまま一夜が明けました。人質に飯を食わせようというので二人のロープを解いた直後に事件発生。サンティアーニパパが油断していたビンボーから拳銃を奪おうとしたのです。これでカッとなったビンボー、パパに向けて拳銃をずどん、ずどん。「あ、馬鹿、ナニをするんだ」とマッド・ドッグが止めに掛かったのですが時すでに遅し。パパは腹部を朱に染めて倒れます。激怒したマッド・ドッグはビンボーにキック一閃、「てめえ、人質殺したら何にもならないだろう、お前みたいな馬鹿は外で見張りでもしておけ」

 「ぐえぇえ」と苦悶しているサンティアーニ・パパ。カーラはマッド・ドッグに「医者を呼んで」と懇願するのですが呼んでくれる訳がない。逆に「きーきー五月蝿い女だよ、こうしてくれる」剃刀で切りつけられてしまうのです。「ひっ」服と肉を切られて血がたらー。おまけにおっぱいもぽろり。後映画は10分ほどしかないのにサービス精神を忘れない。これがイタリア映画の良いところ(笑)。さらにすぱすぱ切りつけられて血だらけになるカーラ。「痛い、痛い、やめてやめて、助けてー」

 この悲鳴を偶然通りかかったサンティアーニたちが聞いてしまうと(笑)。このご都合主義ももちろんイタリア映画の良いところでありますな。サンティアーニは部下に応援を呼ぶよう頼みます。そして自分は単身隠れ家に乗り込んでいくのでした。その彼の前に立ちふさがったのは見張りをしていたビンボーでしたが、こういうのは雑魚ですからな。サンティアーニ、簡単に射殺してしまいます。そしてついに現れたマッド・ドッグ。彼は血まみれになったカーラを盾にするように抱きかかえ拳銃をつきつけております。「やっぱりやってきたな、サンティアーニ、もう金はいらん、お前を殺すことだけが俺の望みだ、拳銃を捨てろ」「やかましい、この悪党め、お前なんか残りの人生みーんな刑務所の中だぞ、やーい、やーい」「うるさいったらうるさいやい、お前のかあちゃんでべそ、この馬鹿」「馬鹿と言った方が馬鹿やん」きりがないのでさっさと進めちゃいましょう。

 この不毛な口争いの中、カーラが隙をついてマッド・ドッグの拳銃を叩き落としてしまいます。チャンスとばかりにマッド・ドッグに飛び掛るサンティアーニ。マッド・ドッグはナイフを取り出して対抗しようとするのですが怒り狂ったサンティアーニには敵いません。ついにサンティアーニ、「いつまでも貴様の思う通りにはさせん、正義は必ず勝つ」と叫んで必殺のパンチ。崩れ折れるマッド・ドッグです。

 パトカーや救急車がかけつけて救出されるサンティアーニパパとカーラ。手錠をかけられて連行されるマッド・ドッグの姿がえんえんと映って、ああ、まだ映っているよ、しつこいなあ(笑)。ようやくマッド・ドッグが消えてエンドクレジット。

 マッド・ドッグ、とにかく凶悪な輩であるということは分かるのですがちょっとお間抜け。特にジュリアーナを野放しにしたのは愚行としか言いようがありません。ひょっとして「もう何回もヤッてすっかり俺の女になったから裏切るはずがない」とでも思っていたのかしらん。

 カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はまあ、中の下というところでしょうか。フィルムの退色が著しくところどころセピア調になっているのが非常にビンボー臭い(笑い)。音にはノイズが混じっていて耳が痛くなってしまいました。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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