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2007年4月 2日 (月)

『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』(『Tarantula』 1955年)

 

『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』(『Tarantula』 1955年)

 子供の頃テレビで「わーい、大きな蜘蛛の怪獣がでてくる映画だい」と大喜びして見始めたらいきなり物凄い姿になった男の人がでてきて、いやもうびびったこと。それ以来30数年ぶりの再見となりました。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

砂漠をよろよろ歩く男(エディ・パーカー)。パジャマ姿でなんだかとっても具合が悪そう。あ、とうとうばったりと倒れてしまいました。その際に露になった彼の顔はどうしたことか醜く腫れあがっています。手にもその影響が現れておりまるで50年代SFのポール・ブレイズデルが作ったモンスターのようでありませんか。男はしばらくぴくぴくした後ついに動かなくなってしまいます。ここでバーンとタイトル。

この男が幼少の私を死ぬほどびびらせたのです(笑)。

 さて、セスナで砂漠の田舎町デザートロックに戻ってきた青年医師あり。名前をマット・ヘイスティングス(ジョン・エーガー)と申します。彼は診察所であるホテルの一室へ戻ってほっと一息つくのですが、とたんに保安官ジャック・アンドリュース(ネスター・パイヴァ)からの呼び出しが。「砂漠で生物学者エリック・ジェイコブの死体が発見された。ちょっとおかしなところがあるので見てくれないか」というのであります。マットは「まったく出張から戻ってきたばかりなのにこうお座敷が多いといやになっちゃうよ」とぼやきながら指定された死体安置所へ向うのでした。

 死体安置所で保安官に会うマット。保安官は「たぶん、エリック・ジェイコブだと思う。でも違うかも知れない」と訳の分からないことを言います。「はあ?なんです、それ」「とにかく遺体を見てくれよ」この遺体と言うのが冒頭に登場した顔の腫れあがった男だったのです。一目みたマットは仰天して「な、なんじゃこりゃ。末端肥大症ですか。しかし末端肥大症ってのは長患いするものです。前にディマー博士の研究所で彼に会った時、そんな兆候はみじんもなかったんですがねえ。ひょっとしたら別の病気なんじゃないですか」

 しかし彼の疑問は続いてやってきたエリック・ジェイコブの共同研究者であるディマー博士(レオ・G・キャロル)によってあっさりと覆されてしまいます。「これは末端肥大症で間違いない。彼は4日前に筋肉の痛みを訴えた。それがあっという間に酷くなって今朝錯乱状態になって砂漠へ飛び出していったんだよ」「そんなたった四日間で死ぬなんて信じられない」とマットは抗議するのですが、何しろ相手が高名な生物学者ですから、保安官も信じてくれないのです。さらに遺体の解剖を断ったりどうも怪しいのですが一介の町医者であるマットにこれ以上詮索する力はありませんでした。

 遺体の始末を終えたディマー博士、自宅兼実験室へ戻って早速実験の再開。怪しい壜から注射器に薬液を移しております。その彼の背後の檻では、あははは、でっかくなったラットやモルモット、それにタランチュラがもぞもぞ動いているではありませんか。ちょっと謎を明かすのが早すぎやしませんかね(笑)。博士は他の檻から猿を取り出して薬を注射しようとします。しかしその時、冒頭のエリックと同じく頭と手が異様に膨れ上がった男が現れた!彼はがぁっとディマー博士に襲いかかって「てめえ、エリックが死んだそうじゃないか、オレも死ぬのだろう、そうだろう、だったらお前も殺す」これが助手のポール(エディ・パーカーとの二役、お疲れ様ッス!)だったという・・・。

「ポール、うわあ、やめろう」取っ組み合いとなります。怒り狂ったポール、残った最後の力を振り絞って椅子を振り上げると当たりの機械を手当たり次第に叩き壊し始めました。当然、タランチュラが入っていた水槽も破壊してしまいます。「だからポール、やめてくれったら」彼に飛びつくディマー博士。巨大タランチュラはこの隙にきりきり鳴きながら逃げ出してしまいましたとさ。「あっ、ヤバイ、タラちゃんが逃げちゃった」名前つけとったんかい(笑)。呆然とするディマー、ポールはこのチャンスを逃さずディマーが猿に使う筈だった注射器を奪い取って左腕にぶすっ!

 この後ポールは力尽きて死んでしまいました。ようやく危機から逃れたディマー、ポールに破壊されて燃えている電子機器の火を消化します。火は消えたものの大事な機械がまっくろこげ。大事なタラちゃん逃げちゃったし、これからどうしよう。

 その夜ポールの死体を砂漠に埋めるディマー博士です。その彼の背後から影が忍び寄っていきなり飛び掛った!「うわ、もうここで巨大タランチュラにやられてしまうの」と思ったら、これが火事を逃げ延びていたあの猿だったというつまらないオチ。あー、どきどきして損した。

 さて、まだ末端肥大症についてこだわっているマット、保安官事務所に行きまして「保安官、僕はフェニックスの医療図書館に行って記録を調べたけどやっぱり末端肥大症がそんなに早く悪化するという症例はなかったよ、もう一度調べてみよう。だいたいディマー博士とエリックは栄養生物学ではトップクラスの科学者だ。その二人が一緒になっていったい何を研究していたんだ」マット、とにかく一度研究所を尋ねてみようということになります。ここで新たな登場人物、映画の紅一点ステファニー・クレイトン(マーラ・コーディ)であります。女性生物学者である彼女は博士号取得のための修行を兼ねてディマーとエリックの研究所で助手のアルバイトをすることになっていたのです。

 バスから降りてさあ、研究所までどうやっていこうかしら、でも研究所行きのバスはもう終わっているし町に一台しかないタクシーの運転手はもう飲みに出かけてしまってる(笑)、途方にくれるステファニー。これをみたマットが「私の車で一緒に行きましょう」と申し出るのはごく自然の成り行きと言えましょう。この車中でエリックの死を知らされて驚くステファニー。さらに逃げ出した時より数倍でっかくなった巨大タランチュラが出現と思いきやマットとステファニーの車が通り過ぎた後。二人はタランチュラの存在に気がつかないのでありました。

 研究所に到着します。ディマー博士はデザートロックの新聞記者ジョー(ロス・エリオット)の取材を受けている真っ最中。「いやあ事故で機械が燃えまして、マイってしまいましたわい」なんて言っている(笑)。ジョーの狙いは一応不審なエリックの死についてなのですが、さすがディマー博士、うまくあしらって取材を終わらせてしまいましたとさ。その後、マットはステファニーを博士に紹介します。「おー、君がエリックの言っていた助手の人だね。エリックは不幸にも亡くなってしまったが、君はここで働いてくれたまえ」博士は二人に研究室の内部を案内します。

 「私は成長促進薬を作っている。現在の地球の人口は20億人だ、今までの人口増加率からいくと1975年には30億、2000年には3,625,000,000人になってしまうのだ。これだけの人口を養うには絶対成長促進薬が必要なのだ」どうやら博士、この成長促進薬はアイソトープの放射線を使っている模様。「ははあ、やっぱり凄い研究をされておるのですなあ」マットすっかり感心してしまいます(笑)。その後博士はマットの頼みに応じてエリックの解剖も許可。「長年の友人を解剖するのがしのびなかったのだ。でも必要とあらば仕方ない、遠慮なくばらばらにしてくれたまえ」ばらばらってあなた(笑)。

 マットは町に飛んで帰ってエリックを解剖。しかし出てきた結果はやっぱり「末端肥大症」でしかありませんでした。保安官から「やっぱりあんたは間違っていたな、今度から死体の検死にはフェニックスから医者を呼んでくることにするよ」とイヤミを言われてマット、がっかりするのでありました。

 ディマー博士の助手として一生懸命に働くステファニー。実験の傍ら、6日間で成体になったウサギを見せられて「凄い、ホントだったら34ヶ月かかるのに」なんて驚いたりしております。この研究が一段落ついたステファニー、休みを貰ってデザートロックの町へお出かけするのでありました。当然ながら町でマットにばったり。狭い町ですからすぐにこういうことが起こるのです。決してご都合主義とかそんなのではありません(笑)。研究所に帰る前にちょっとお話しようということでベンチに座る二人。

 「博士はね、凄いのよ、成長促進薬でうさぎを6日間で成長させちゃうの」と嬉しそうに話すステファニー、マットはこの話に興味を覚えて「よし、博士の話も聞きたいし、また車で君を送ってあげよう」ということになりました。再び砂漠のドライブ、ここでステファニー、マットの「このへんは大昔海底だったんだ、だから今でも貝殻の化石が見つかるんだ」という話に感激して、ちょっと車を止めてあたりを見てみようとおねだりするのです。二人で岩山のあたりをお散歩。ちょっと良いムードになりかけたところで突然、がらがらと岩山が崩れてきたのでした。あわてて飛びのき難を逃れた二人。マットは首を捻ります。「地震でもないのになぜ崩れたのだ?」決まってます。巨大タランチュラの仕業です。ほら、きりきりきりという鳴き声が響いて巨大タランチュラが姿を現した!でも今回もやっぱりマットとステファニーが車で走り去った後、どうも出のタイミングが悪い蜘蛛さんですなあ。

研究所についた二人。ステファニーったらディマー博士の姿が見えないのを良いことにマットを案内しちゃいます。「これが私が言っていた6日間で成長しちゃったウサギよ」そのウサギ、さらにでっかくなってケージ一杯に膨れ上がっていました(笑)。「あ、私が見たのはこんなのじゃなかったわ。34時間でこんなに大きくなっちゃったの」ここでマット宛にホテルから電話。「患者が待ってますから早く帰ってきてください」とのこと。マットは名残惜しそうに「じゃ、僕はこれで帰るわ。でもまた来てこの実験動物たちについて博士と話してみたいね。それに」マットはニヤッとして「君にも会えるからな」何を言ってんだ、お前(笑)。

 マットが帰った直後、二人の会話を盗み聞きしていた博士が出てきてステファニーを怒鳴りつけます。「そんな部外者に何を見せているのだ、ええ?今度そんなことをしたら首だぞ」至極全うなことを喚く(笑)博士。そりゃ、そうですわな、これはステファニーが非常識ですな。その博士の顔、注射の影響がついに現れたと見えてところどころ腫れております。ステファニーがそのことを口にすると「ええい、うるさい、黙っていなさい!」

 マットは町に帰る途中、崩れた岩山に立ち寄ります。そして崩れた原因を探るべくあたりを歩き回っておりましたところ、突然何者かに肩を叩かれてびっくり。は、さては秘密を見られたと思った博士がマットを殺しに来たのかと思ったら保安官でした。保安官は牧場を経営するアンディ(スティーブ・ダレル)から牛が何者かに食われてしまったという通報を受けて調べに行くところだったのです。保安官に頼まれて同行するマット。アンディの牧場ではなるほど牛が4頭ほど骨になっておりました。しかもその骨がなめたかのようにぴかぴか。肉片の一つも残っていません。アンディ、「こらあ、狼やコヨーテの仕業じゃないだよ」と首をかしげております。また牛の骨のそばに白い液体が水溜りを作っておりました。保安官、「ちょっとこれだけでは良く分からん。こっちでも調べるからあんたも夜見張りを立てて警戒してくれんかね。何かあったらすぐ呼んでくれ」これで終わってしまいましたとさ。

 その夜、言われた通りにライフルもって警戒しているアンディ。その時馬がひひーんと騒ぎ出したのです。何事ならんと外に飛び出したアンディを待ち構えていたのが巨大タランチュラ。キリキリキリ、「ヒーッ」アンディ、あっという間に食べられてしまいました。巨大タランチュラはこの他にも羊を積んだトラックを襲い二人の人間と羊を食ってしまったのです。この場面、ちゃんとタランチュラの影が地面に映っている。バート・I・ゴードン師匠の大雑把な特撮とはさすがに違うなあ(笑)。

 この怪奇なる事件に戦慄した保安官、すぐに大々的な捜査に取り掛かるのでした。一方、トラックの現場にアンディの牧場で見たのと同じ白い液体を発見したマット、これを採取して調べることにします。その結果この白い液体は昆虫からの分泌物らしいことが判明するのでした。

 ここで研究所のステファニーから電話です。博士の具合が大変に悪い、でも彼は医者に掛かろうとしない、マット助けて、この電話で研究所に急行するマット。ステファニーと二人で顔が激しく歪んでしまった博士を介抱するのでした。ディマー博士は弱々しい声で「我々は大変なことをしてしまった。我々の研究していた成長促進薬は未完成だったのだ。それなのにエリックとポールは私が出かけている間に人体実験を強行してしまったんだよ」はあ、そういう訳だったのですか。さらに告白を続ける博士。「あの成長促進薬でラットは八倍の大きさ、モルモットは警察犬なみになってタランチュラはとにかくでっかくなった」これを聞いたマット、はっと気がついて「ちょっと確認してくる」セスナでアリゾナまで一飛び。アリゾナ農業研究所であの白い液体の詳細な分析をやって貰ったのです。

 その結果、「あー、これはアラクニド種の蜘蛛ですたい。所謂タランチュラですな」ということになりましたとさ。検査を担当した博士は「しかし、あんた、どぎゃんしてこんなに大量の分泌液を見つけたとですな。こらぁ、普通の蜘蛛の100倍はありますたい」「これでも全体の一部なんですよ。大きな水溜りみたいになっていたんです」てっきり冗談だと思った博士は大笑いして「あんた、そら、ホラ吹き男爵だっちゃそげんことは言わんですバイ」

 マット、セスナで急いで戻ります。そして空港から保安官に「大変だ、巨大タランチュラだ、州警察に応援を頼んでください」その間荒野を悠々と歩き回っている巨大タランチュラ。送電線をぶっちぎったりします。そして当然のことながらディマー博士の研究所も襲われると。巨大タランチュラは研究所にのしかかって押しつぶしてしまいました。その時パジャマ姿で勉強中のステファニーは危うく外に逃れたのですが、ディマー博士は哀れ瓦礫の下敷きになってしまいます。最もこの時の博士は病状がさらに進んで顔がぐんにゃりとなっていましたから、たとえ蜘蛛から逃れることは出来ても長くはなかったでしょう。

 外に転がり出たステファニー、彼女を心配して駆けつけてきたマットに助けられます。二人は迫り来る巨大タランチュラから車で逃げだします。

 ここから人類対巨大タランチュラの戦い。まず駆けつけてきた保安官と州警察の皆さんがマシンガンを乱射。しかし、まったく効果がありません。それどころかおまわりさん、二人が逃げ遅れて食われてしまいました。次にデザートロックの町にあるだけのダイナマイトを集めて巨大タランチュラを爆破しようとするのですがこれもちーっともこたえやしない。さらに近くの空軍基地からF-80シューティングスター戦闘機の四機編隊、この編隊長を演じているのが若き日のクリント・イーストウッドというのは有名ですな。

 クリント・イーストウッド、「ゴー・アヘッド!」と叫んで巨大タランチュラにロケット弾攻撃。4機からシュバシュバシュババーと発射されたロケット弾がタランチュラに着弾しますが、これでも駄目。ついにイーストウッド、最後の手段で「メイク・マイ・ディ!」ナパーム弾攻撃です。これがようやく効いてタランチュラ、デザートロックの町を目前にして火達磨となるのでした。わーいと皆が喜んだところでエンドクレジット。

ホンモノのタランチュラをそのまま画面に合成するという手法ですが、さすがに大ユニバーサル、ちっとも安っぽさがありません。それどころか実にリアルでラストの炎上シーンも大変に良く出来ています。さっきも言いましたけどバート・I・ゴードン師匠とは本当にえらい違いですよ(笑)。

モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質・音質は優秀。タランチュラの足の毛がとってもキモチ悪いです。「クラシック・サイファイ・アルティメイト・セット」(『Tarantula 』『The Mole People』『The Incredible Shrinking Man』『The Monolith Monsters』『Monster on the Campus』を収録したボックスセット)。DVDのケースには薄いプラスチックのアウタースレーブまでついていてなんだかとっても豪華であります。こんなDVDセットならわたしゃ一万枚欲しい。ユニバーサルのDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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コメント

遥か昔にTV(もしかすると12)で観た作品です。

かなりカットされていたんですな。アンクルの偉いさんだったレオ・G・キャロルがキチガイ科学者で出ていたんでびっくりした覚えがあります。

投稿: 沙羅パパ | 2008年9月27日 (土) 02時43分

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