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2007年5月12日 (土)

『フランケンシュタインの怒り』(『Evil of Frankenstein』 1964年)

 

『フランケンシュタインの怒り』(『Evil of Frankenstein』 1964年)

ハマープロのフランケンシュタイン映画であります。登場するフランケンシュタイン博士の怪物は厚い鉄板を貼り付けたような額をしておりまして本家ユニバーサルの映画とは微妙に違う恐ろしさを湛えております。しかもこの怪物は酒を飲んで荒れるという…(笑)。酒乱怪物の活躍をお楽しみください。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

フランケンシュタイン博士(ピーター・カッシング)が出てくる映画ですから死体盗みがつき物。ただしこの映画では死体盗人が死体を墓から掘り出すのではなく、ついさっき息を引き取った青年の死体を家人が神父さんを呼びに行った隙に文字通り盗んでしまったのであります。さっそくフランケンシュタイン博士と助手のハンス(サンドア・エルス)のチンケな研究所へ持ち込みます。フランケンシュタイン博士=ピーター・カッシング、その死体を調べて「おお、こりゃ新鮮な、まだ暖かいではないか」と大喜び。二人は死体盗人に謝礼をやって追い返すとさっそく実験開始。死体の胸を切り裂いて心臓を取り出すと培養液につけびびびと電撃をかけたのであります。それからピーター・カッシング自ら心臓を手に握ってもみもみと心臓マッサージ。その甲斐あってついに自ら鼓動を開始する心臓です。「やったぞ、実験は成功だ」大喜びのカッシングとハンス。

 しかしここで闖入してきたのが神父さん。彼は死体盗みの現場を目撃していた少女の証言を元に死体盗人を捕らえ、そこからピーター・カッシングたちの存在を知ったのです。研究所へ押し入った神父は「てめえ、バカヤロー、この中には足やら手やら不気味悪いものが一杯ではないか。おまけに死体を盗みやがって、あ、なんだその心臓、さては貴様、悪魔の実験をやっておったのだな!」神父さんは聖職者にあるまじき乱暴さで杖をふるいカッシングたちの研究室を破壊してしまったのです。せっかく動き始めた心臓も足で踏み潰されちゃった。カッシングとハンス、こりゃかなわんと馬車で逃げ出します。

 失意の二人が向ったのはカールスタッド村。一応カッシングの故郷で彼の城があるのですが何しろカッシングですから10年前に同じような実験をやって村人の顰蹙をかって追放されていたのでした。ハンスは心配そうに「教授、まだ10年っすよ、教授のことみんな覚えていますよ」確かに危険です。しかしカッシングはどうしても自分の城に戻らなければならなかった。それはもうまったくお金がなかったからです。城に置いてある絵や家財道具を回収して売り払わなければ実験の再開などできなかったからです。なんだか、このフランケンシュタイン=カッシング、しょぼいぞ(笑)。

 さてカールスタッド村はカーニバルの最中。今頃村人は野良仕事の真っ最中で誰もおらんだろうというカッシングの目論みはみごとに外れ村は人でいっぱい。それでもなんとか見咎められることなくカーニバルの喧騒を通り抜けることに成功。無事、カッシングの城へ到着します。しかしカッシングは愕然。城がめちゃくちゃに荒らされていたのです。中は蜘蛛の巣だらけ、ガラス窓は残らず割られており、そして何よりカッシング自慢の絵画や高価な調度品が全て持ち去られていたのでした。

 このカーニバルの場面でもう一人重要な登場人物が紹介されます。それは言わざる聞かざる、見えるだけへレンケラーよりましという(笑)二重苦の赤毛の少女(キャティ・ワイルド)、彼女はカーニバルで物乞いをしようとするのですが性質の悪い若者たちに絡まれてしまいます。なんとか逃げ出した彼女、カッシングたちの馬車に轢かれそうになります。ここで奇妙な接点ができたという訳。

 さて、城内の惨状に落胆したカッシングでしたが実験室を見るなり張り切りだして昔のことをハンスに話して聞かせます。とにかくこういう奴は実験の自慢話をしたがるようで・・・。はい、ここから回想場面。死体を繋ぎ合わせて実験体を作成したカッシング、蘇らせるための電気エネルギーの確保に苦慮しておりました。そこへもうすぐデカイ嵐がやってくるという知らせ。カッシング、大喜びで機械仕掛けの電極を城の屋根ににょきっと突き出させます。これに雷が落ちて物凄いスパークが怪物を直撃。周囲にある青いランプや赤いガラスの箱もぴかぴか光ってムード満点。このゴージャスな美術はさすがハマーの映画だけのことはありますなあ。

 そしてついに怪物が目覚めます。「やった、やった」狂喜したカッシング、怪物の手をとって踊り始めるのでした。

 しかしその後がいけない。怪物はマトモな食べ物を受け付けません。小麦のおかゆでオェー、生の牛肉でもオェー、それで何を食うのかといったら生きた動物の肉だったのです。怪物は実験の疲れからカッシングがグースカ寝込んでしまった隙に城外へ脱走。家畜のヤギをたたき殺してその肉を貪ったのでした。彼のいないことに気がついたカッシングが探しに来たときにはすでに遅し。怒り狂った村人たちが銃を手に集合して怪物を追い立てたのでした。哀れ怪物、山の上に追い詰められ銃で撃たれて崖から転落してしまったのです。止めようとしたカッシングは逮捕され警官への暴行と神に反する実験をした廉で村を追放されてしまったのであります。

 「ハンス君、僕はまたやるよ、僕のセオリーを実証してみせるよ」と張り切るカッシング。この人が張り切るとろくなことがない(笑)。

 しかし腹が減っては戦ができぬ。カッシングとピーター、カーニバルにやってきます。そして仮装パーティやっている酒場に入って仮面をつけ、「オヤジ、今日の定食とワインをおくれ」ハンスと「ん、じゃあ、お疲れ、カンパーイ」ワインをぐびぐびやっております。その時カッシングの目を捉えたのが向こうのテーブルで女といちゃいちゃしている尊大な男。「あ、あいつは私を逮捕投獄した警察署長ではないか」この警察署長、10年の間にカールスタッド村の村長に出世しております。おまけにその指に光るのは「あ、あれは俺の指輪、ち、畜生、盗人め!」これでわいわい騒ぎ出したものだから村長の周りにいたお廻りさんたちもカッシングの正体に気がついてしまったのです。「フランケンシュタインめ、のこのこ戻ってきおって、このキガイめ!」慌てて逃げ出すカッシングとハンス。

 カーニバルの中をばたばたおっかけっこするカッシング・ハンスと警官隊。彼らは催眠術の実演をやっていたゾルタン教授(ピーター・ウッドソープ)のテント小屋に逃げ込みます。後を追って飛び込んだ警官隊は横暴にもゾルタンに「ただちに興行を中止せよ、何、お前は興行の免許を持っていないのか、逮捕だ、逮捕だ」ゾルタン仰天して「わ、旦那、そんな殺生な」大騒ぎになりました。この隙にそっと逃げ出すカッシングとハンスです。

 ここで逃げておけば良かったのですが、カッシング、その夜大胆にも妻との濃厚な一夜を期待して鼻を膨らませている村長を尋ねます。「指輪を返せ、この盗人が」というのでありますが、あんただって怪しい男に死体盗ませていたじゃないか(笑)。村長の屋敷に入ったカッシングはあたりを見回して「これは私の家具ではないか、箪笥の中にはわしの衣服、畜生、みんな返せ」当然ながら村長が素直に返すはずもありません。たちまち警官隊が駆けつけてカッシング、またも逃げ出します。

 逃げ出したのは良いけれども今更城には戻れない。なぜなら村長が警官隊を先回りさせているだろうから。「博士、僕たちはいったいどこに逃げるんですか」と尋ねるハンスにカッシングは黙って山を指差します。「や、山ッスか」とがっかりするハンス。こりゃいよいよ貧乏臭くなってきた。ほとんど浮浪者ですよ、この二人(笑)。

 山へ登ってもうへとへとになります。おまけに雷がごろごろとなって嵐になりそう。「ついてない時はどこまでもついてないもんですな」とぼやくハンスです。カッシングは首を振って「いや、これで雨が降ってないだけましだよ」そのとたんに大雨がざーっと振り出すという・・・(笑)。えー、これはメル・ブルックスの『ヤングフランケンシュタイン』で使われたギャグでございます。この二人を救ったのがあの赤毛の少女。村人から疎まれる二人の姿が自分の境遇に重なったのか、少女は二人を自分の住処である洞窟に案内するのでした。二人は少女に感謝しつつ夜を過ごすことになります。

この洞窟、雨風をしのぐだけではありませんでした。奥の方に秘密が隠されてあったのです。その秘密とはもう皆さん、お分かりでしょう。十年前に崖から落ちて行方不明になっていたフランケンシュタインの怪物でした。彼は洞窟の奥で氷づけになっていたのです。これを見つけたカッシング、喜ぶまいことか。「ああ、ほとんどもとのままで保存されているぞ、よーし、ハンス、これを使って実験開始だ」

もういい加減やめておけばいいのにねえ。

カッシングとハンスは凍りついた怪物の前で焚き火をぼーぼーやって氷を溶かします。洞窟の中で焚き火やったらちょっと煙くないかと思いますが、何しろカッシングですからそんなことは気にしません。首尾よく怪物を氷の中から回収するのです。そしてハンスと赤毛の少女に手伝わせて怪物を城に運び込むのであります。たしか山に登る前は「村長が警察を先回りさせている」とか言ってなかったですか、だから山の中に逃げたのではないですか。でも誰もそんなことは気にしないのです。

 そして実験室の装置を修理、怪物に電線繋いでまた雷を使って電気ショックを与えます。ばちばちびりびりびり、もうこの場面、実験室が古いものですからスイッチ入れようとしたら火花、電極上げようとハンドル回したら火花、とにかく火花ばっかり散っております。これは実際の役者さんたちも怖かったでしょうなあ。さて、この電気ショックのおかげで息を吹き返す怪物。しかし怪物はぴくりとも動こうとはしません。カッシングは怪物の手を蝋燭の炎で炙ってみたのですが(ひ、ひでぇ)これでも無反応。カッシング、がっかりして「なんということだ。電撃による肉体的ショックで蘇生はした。しかしそれだけでは足りない、精神的なショックで脳を目覚めさせねばならぬ。彼の精神にコンタクトできる人間が必要だ」ここでカッシング、ひらめきます。「そうだ、カーニバルで催眠術ショーをやっていた男がいたな。奴に頼もう」

 その催眠術師のゾルタン教授、無許可興行の廉で裁判に掛けられて所払いを食らっております。彼がぶつぶつ言いながら荷造りしているところへ乗り込んでいったカッシング、「私はフランケンシュタイン伯爵だ。あなたの催眠術の力をお借りしたい」「フランケンシュタインって、あんたの悪行の噂は聞いているぞ。追放されたんだろ、俺も同じさ」カッシングはそんなゾルタンに城への滞在とお礼金を約束してようやく承諾させるのでした。そして城へつれていって怪物とご対面。ゾルタン、仰天して「わあ、これ、人間じゃないじゃん。怪物じゃん、こんなの俺、やだっての」カッシングたちは必死に「いや、そんなことはないって、使っている体のパーツは人間だから、脳みそだって良いの使っているんだから、大丈夫だって」どんな説得の仕方なんだよ(大笑い)。

 ゾルタン、しぶしぶ怪物に催眠術をかけることを承知します。彼は強いライトの光を怪物の目に当てて「あなたは眠くなる、眠くなーる」催眠術はフツーなのですな。「眠くなーる、はい、寝ましたね。じゃあ、今度は私の合図で目を覚ます。目を覚ました時には私の命令を聞くようになるのだ。いいか、命令を聞くのだぞ、はい、目を覚ませ」怪物ぱちりと目を開きます。そして催眠術の効能アラタカ、今まで全然動けなかった怪物がゾルタンの「立て、歩け、座れ」という指示でどたばた動き回ったのです。「やった、さすが催眠術、私の狙い通りだ」大喜びのカッシング。しかし彼はひとつ大事なことを忘れていました。怪物は催眠術をかけたゾルタンの命令しか聞こうとしなかったのです。ゾルタンは大そうずるそうな目つきになって「へへへ、男爵、これであたしはあんた方のパートナーだ」

 どうやらゾルタン、怪物を見世物にして儲けようと思っているらしい。怪物に「プッティン・オン・ザ・リッツ」でも踊らせるつもりかしらん。

 しかしその前に「俺を追放した村から復讐を兼ねて一稼ぎ」と思ったゾルタン、怪物に「おい、お前、村の教会に行って金を盗んでくるのだ」怪物、夜中によたよた出かけていって教会に押し入り見事金の十字架と金杯をゲット。この時酔っ払いが怪物の姿を目撃して警察に通報するのですがまったく相手にされません。だからフランケンシュタインに疑いがかかることはなかったのです。これで調子に乗ったゾルタン、今度は「あの村に悪い奴が二人いる。村長と警察署長だ。この二人を罰するのだ」また夜中によたよた出かけた怪物、村長の家に押し入り彼を壁に叩きつけて殺害。次に警察署へ行って署長の首をごきり。酒をがんがんやってぐでんぐでんになっているゾルタン、怪物を迎えるのですが怪物の両手が朱に染まっているのをみて愕然。「お、お前、罰するんだよ、罰するだけで殺せとか言ってないだろ、ああ、大変だ」

 おまけに彼の卑劣な行為がカッシングにばれた。激怒したカッシング、ゾルタンを追い出してしまいます。しかしこれでひるむようなゾルタンではありません。彼は怪物を味方につけ再び城に侵入、怪物にカッシングを襲わせるのでした。怪物、先のとがっている鉄の棒でカッシングを殺そうとします。カッシングがランプの炎で対抗しますと怯えて逃げようとする怪物。ゾルタン、いらだって「こら、逃げるな、戻って奴を殺すのだ、この間抜けめ!」これでカチーンときた怪物、逆にゾルタンを刺し殺してしまいましたとさ(笑)。怪物は外へ逃げ出します。

 カッシングは急いで怪物の後を追おうとするのですが突然現れた警官隊に逮捕されてしまいます。さすがに村長、警察署長が殺されたら誰だってフランケンシュタイン男爵を疑いますからな。警官隊の指揮官はごろりと転がったゾルタンの死体を見て「これであんたが殺したのは三人になったな」カッシングは違う、それは誤解だと叫ぶのですが聞いてもらえるはずもなし。留置場にぶち込まれてしまいました。一方ハンスは山に逃げた怪物を追っております。例の赤毛の少女の洞窟に行ってみると果たして怪物が少女に匿われていました。ハンス、少女と二人で怪物を城に連れ戻します。

 ここでついに村人たちが切れた。彼らは集まって諸悪の根源フランケンシュタイン城をぶっこわせとシュプレヒコール、警官隊に先導され城に向うのです。

 さて留置場に入れられたカッシング、彼のコートの中から出てきたのは怪物に使おうと思っていたクロロフォルムの壜とぼろきれ。そしてカッシングは一枚の硬貨を床に落とします。その音に気づいて見に来た巡査、意地汚くも格子の隙間から手を伸ばして硬貨を拾おうとしたのです。そこを襲ったのがカッシング、がっきと彼の手を捕まえてクロロフォルムアタック!失神した巡査の懐から鍵を抜いて見事脱走に成功します。彼はさらに馬車を奪い城へ急行するのでした。途中、警官隊と村人たちを追い越してさらにスピードアップ。

 城についたカッシングは出てきたハンスに「おい、アレは捕まえたか。何、実験室にいる、良くやった」彼はまたクロロフォルムの用意をして「ハンス、荷造りを急げ、ここから逃げ出すぞ」実験室へ向います。しかし、その実験室では大変なことが起こっていました。頭を抱えて苦悶する怪物を見かねた少女が実験室に置いてあった酒を飲ませたのです。怪物、すっかり酒が気に入っらしくがぶがぶ飲んで、ああ、酔っ払いやがった(大爆笑)。酔っ払ったフランケンシュタインの怪物なんてサント映画にだって出てこないよ。

怪物、ぐでんぐでんになって実験室で大暴れ。うわあ、こいつ、酒乱だよ。「ハンス、お前は女を連れて外へ出ているのだ」と叫んだカッシングは怪物にクロロフォルムアタックをかけようとしますがあまりにも暴れるので上手くいきません、それどころかクロロフォルムの壜をみた怪物、これを酒と勘違いしてラッパ飲み。うえーっと顔をしかめて「ぎゃあああ」さらに暴れだすのでした。

 この大暴れで実験室が火に包まれます。天井も壊れて瓦礫がドアを塞いでしまいました。炎の中で争うカッシングと怪物!そのまま火勢は激しさを増しついに実験室は逃げ出したハンスと少女の目の前で崩落してしまったのです。ちょうど村人たちも到着したのですが彼らにもできることはもはやありませんでした。エンドマーク。

 

 こんな実験を懲りずに繰り返すのですから、やっぱりみんなカッシングを追い出しますよ、ねえ。

 カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。カラーノイズがチラついて解像度も低いですが発色がきれい。10点満点でいうなら7点というところでしょうか。音質はクリアで台詞が綺麗に聞こえます。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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