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2007年5月31日 (木)

『雪男・ビッグフット』(『The Legend of Bigfoot』 1976年)

 

これはイヴァン・マークスというおっさんが雪男・ビッグフットを追跡したというドキュメンタリー仕立てになっております。出てくるのはほぼこのおっさん一人、他には奥さんのペギー、義理の弟が顔を見せるのですがまったく印象に残らない程度の短い時間に過ぎません。おまけに全編台詞はなくおっさんのナレーションで映画が進んでいくのです。ロッキーやシェラネバダ山脈、アラスカ、ユーコン川、カリフォルニアなどの美しい自然と動物たちが出てくるけれどもこれはストックフッテージの切り貼り、つまり流用という…。そして挙句の果てに出てくる雪男はフツーの人間に汚い着ぐるみ着せた奴。いい加減温厚な私でもふざけんな!と思います。

 これはB級と名乗るもおこがましい、C級?いやいや、じゃあ、思い切ってZ級?それでももったいないというくらいのへっぽこ映画なのでありました。

 冒頭出てくるイヴァン・マークス。「わしゃなあ、ビッグフットというものを長年追っているのじゃよ。ビッグフットを知っているかね、エスキモーにはブッシュマン、ユーベルインディアンにはサスクワッチ、カリフォルニアのフーバーインディアンにはオマと呼ばれる存在じゃ」ここでオープニングクレジット。あ、この映画はレターボックスのワイド収録です。こんな映画でもったいないことするなあ(笑)。

 さて、このおっさんは政府に委託されて自然、動物を保護・調査する仕事をしております。奥さんのペギーは牧場やっていてその傍ら拾ってきた動物を大事に育てているという優しい人。ここで子猫がミルクを飲む可愛らしい映像が延々流れます。何の関係があるのかとちょっとムッとします(笑)。このおっさんがビッグフットに嵌ったきっかけはコディアック熊の調査のためにアラスカへ行ったこと。おっさん、現地で「うちの牛がビッグフットに殺されたとですたい!」と主張する人に会ってしまったのです。

 おっさん、最初は「そんなビッグフットって馬鹿馬鹿しい、アハハハ」と笑っていたのですが、アラスカからもどってきて義理の弟に「石化の森」と呼ばれるインディアンの遺跡を教えられたのがまずかった。かれはここでビッグフットの壁画を発見したのです。「この壁画は700年前のものだ。インディアンはビッグフットにたびたび赤ん坊を攫われついにこの地を捨てたのだ。ということはそんな昔からビッグフットがいたのか、ウウーム」 その後彼は山ライオンを追っている途中で巨大な足跡、手形、毛を発見しましてついにビッグフットの存在を確信するのでした。

 はい、新たなビリーバーの誕生です。

 彼は新聞に「ビッグフットの情報求む!」の広告を出します。たちまち無数の報告が寄せられてモー大変ですよ。「私はビッグフットを見た」「私はビッグフットに襲われそうになった」「私はビッグフットにお風呂場を覗かれた!」「私はビッグフットとセックスした!」「私はビッグフットでアトピーが治った!」「私はビッグフットで素敵な彼氏を見つけた!」etc,etc どの情報にも共通していたのはビッグフットは黒々とした毛に覆われその目は明るく輝いているということ。そしてその大きさは12フィート、体重800ポンドにも達するというのです。

 おっさん、びっくりして「信じられん、フツーの動物だったら800ポンドもの体重には耐えられん、立つこともできないぞ」だって。

 おっさん、ついに森でビッグフットらしきものを目撃します。ライフルも持たずに追跡するおっさん、走りながら「なんて軽率なことを、襲われたらどうするんだ、いや山ライオンだっているぞ」逃げるビッグフットらしき影。突然木の上から山ライオンがうぉー!おっさんびっくりしますが、この後この山ライオンに襲われてズッタンズッタンのギッタンタンにされるなどという展開はありませんのでご安心下さい。さらに追跡を続けるおっさんですが悪いことに突然の大雨。おっさん、「ああ、これでは駄目だ、足跡が流されてしまう」ついに諦めるのでした。

 このあと俄かに巻き起こる「ビッグフットブーム」。町のお土産屋さんでビッグフット人形が売られマクドナルドは「ビッグフットバーガー」を新発売。町の広場にはビッグフットの立像が作られます。

 おっさんはこの後もしぶとくビッグフットの追跡を継続。ワイオミングへ行って巨木のうろを「ビッグフットの隠れ家に最適だ」と言って調べたりオレゴンで海岸の魚をビッグフットが食いにくるという報告があったので待ち伏せてみたり、雪山でまたビッグフット発見、でも良く見てみたらそれは熊だったとがっかりしてみたり、いろいろやります。しかし何も見つからずおまけにお金もそこをついてきた。そろそろ仕事にもどらなきゃという時にワシントン山中でついにビッグフットを発見。しかも今度は写真撮影に成功したのです。

 あきらかにパターソンフィルムを意識したカメラ割りで野原をひょっくりひょっくり歩くビッグフット。「ただの着ぐるみですが、文句ありますか、こんな映画ですよ」といわんばかりのその堂々とした間抜けな映像に私はもう言葉もありません。実際、こんなの劇場にかけたんかいの、私、こんなの劇場で見せられたら売店の女性店員人質にとって立てこもりますよ、ええ、誓ってやりますとも(笑)。

 ともあれおっさんの写真はセンセーションを巻き起こします。科学者たちもその正体の解明にやっきとなります。そしておっさんにはまたも「もっと明白な証拠を持ち帰らなければ」という間違った使命感が芽生えるのです。

 またカリフォルニアの山中をうろうろするおっさん。二匹のリスが戯れている映像を延々と流します。いい加減飽きたところで走ってきた車がリスの一匹をぐしゃっ。な、なんじゃ、こりゃ。重傷を負ったそのリスを必死に助けようとして引きずるもう一匹のリス。上空では鷹が狙っています。ついに怪我をした友を見捨てるリス。残されたリスは不自由な体で巣穴を目指します。鷹が急降下、しかしあわやというところで巣穴に転げ込むリス。ああ、良かった、良かった。しかしなんですなあ、これがビッグフットに何の関係があるというのでしょうか。

 おっさんはユーコン川近くの湖で耳寄りな情報を聞き出します。なんとビッグフットの墓場は氷河にあってビッグフットたちは仲間の死体を担いで1000マイル遠くからはるばるやってくるというのです。おっさんは「ウウーム、やはりゴールドラッシュで人が押し寄せただけのことはある。人がたくさんいるからビッグフットの情報もたくさん集まるのだ」ふーん、そういうものですかねえ。おっさん、この後氷河に入ってビッグフットの墓場を探しますが見つかったのは動物の骨が数個。あー、つまらねえ。

 この後おっさんはボートでユーコン川を遡ります。いろいろ巡った末にビッグフットは生き残るために北上したんだそうで・・・。おっさんは食料の補給がてら川の沿岸にあるいくつかの村によってまた聞き取り調査。「母の葬式をしていたらビッグフットがやってきて母の声で言葉を喋った。あれは母の魂がビッグフットを通じて我々に語りかけようとしたのだ」ビッグフット、イタコ扱いです(笑)。「昔、ビッグフットを罠で殺した男がいた。その後出かけたら突然世界が真っ赤に染まった。ビッグフットたちの呪いだ。しかし彼を救ったのは北より現れた白い光だった。これは彼が殺したビッグフットの魂なのだ。ビッグフットはそんな優しい生き物なのだ」画面は真っ赤になって時折白い光がきらきらと輝きます。もー見ている私の目がちかちかしてしまいます。

 またある村では「ビッグフットは我々の友達だ。彼らは行き倒れになった見ず知らずの人間達の遺体を運んできてくれるのだ」その言葉通り村の外れの墓地には「身元不明」と書かれた墓石がいくつも建っています。そんな見も知らぬ人間の死体をばかすか持ってこられたら迷惑でしょうが(笑)。

 さて、おっさん、テントを設置してビッグフットを待ち伏せします。普通のトランシーバーをあちこちにセットしてこれでビッグフットの接近を感知しようというおっさん、そんなおっさん、トランシーバーでそんなことしてたらすぐ電池切れまっせ(笑)。まあ実際には電池が切れる前にビッグフットに放り投げられてしまう訳ですが。それでもおっさん、こりずに待ち伏せを続けます。

 そして遥かかなたの荒地に二つの光る物体を目撃するおっさん。「ああ、あれはビッグフットの目に違いない!」そ、そうかあ。おっさん、大喜びですがその目はあっという間に虹の彼方に消えてしまいましたとさ。がっかりするおっさんですが、「いや、これで周辺にビッグフットがいることが証明された」と気を取り直します。

もう私は飽きました。ひたすらに「早く終われ、終われ」と念じるだけでございます。

 おっさん、次にセスナを雇って空からビッグフット探索。ぶーんぶーん当てもなくアラスカの森林の上を飛び回っているとパイロットが「あ、あれはビッグフットですぜ!」なるほど川のほとりになにやら蠢く影が。それっと着陸してビッグフットを追っかけたおっさんですが、またもあえなく取り逃がしてしまったのであります。

 それからカリブーの繁殖行動が延々と映されて「ビッグフットは何を食うのだろうか。カリブーだろうか、それとも魚だろうか、いやいや草食性かも知れないぞ」次にハンターがやってきてどんどんカリブーをやっつけます。狩ったカリブーを車に積んで意気揚々と戻っていくハンターたち。ぜんぜんビッグフットと関係ないやんか(笑)。そしておっさんの止めの一言。「ビッグフットは保護されなければならない。そのためには彼らの謎を解明することが必要だ」

 おっさんはセスナとそのパイロットを放ったらかしにして(笑)いや、これ以降まったく出てこないのですから、ええ、いい加減なものですよ。ビッグフットを目撃した川の近くの森にシェルター作ってビッグフットを待ち伏せします。狭いシェルターの中で縮こまっているものですから「寒い、体が痛い、腰にくる」と文句を垂れるおっさん。もうそんな文句言うくらいならビッグフット放って家にかえんなさい。誰も止めやしないから(笑)。

 そしてついにおっさんの前に姿を現すビッグフット、それも二体同時です。7フィート、500ポンドはあるかと思われる個体と5フィート半、200ポンドのやや小さめの個体。おっさんは「おお、あれは若いビッグフットなのだ」と大コーフン。震える手でカメラを回します。その前で草を食べたり沼の水を手ですくって飲んだりするビッグフット。「そうか、彼らは草食なのだ。そして時々魚を食べているに違いない。やったぞ、私はついに完璧な証拠を見つけたぞ。これでビッグフットの存在は証明されたのだ」

 もちろん、この二体のビッグフットは汚い着ぐるみですけどね。7フィート、500ポンドの生物なのに人間そのままの体格なのだから呆れます。もうちょっとらしく見せる努力をしたらどうなのか。

 その後、おっさんが「でもビッグフットの追跡はやめないもんね」と呟いたところでエンドクレジット。

私が見たのは76分の短縮版。IMDbによるとオリジナルは92分もあったそうで(笑)。一時間半以上もこんなの見せられて劇場で暴動起こらなかったんかいの。

カラー、レターボックスのワイド収録。画質は色のにじみが酷く例によって暗い場面では何やっているのか分かりません。音質も駄目。耳障りなノイズがおっさんのナレーションに絶えずまとわりついていていらいらさせられます。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopDVD

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『Paranoiac』 1963

 

Paranoiac 1963

ジョセフ・ティの傑作探偵小説「魔性の馬」の映画化。ハマープロらしからぬ上品なサスペンスが素晴らしい。ハマープロだってやる時はやるのです。いつもいつも吸血鬼に咬まれた傷に焼き鏝おしあててジューばかりではないのです。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

海岸沿いの険しい崖、カモメの鳴き声が聞こえてくるなか、どーんとタイトル。オープニングクレジットとなります。これが終わって映ったのが教会。神父さんがジョン・マリー・アシュビー夫妻の11回忌のミサを行っておりました。地元の名士であった夫妻は11年前旅行先のニューヨークで飛行機事故でなくなっていたのでした。さらに息子のトニーが8年前に崖から海へ飛び降り自殺しておりまして残された家族はジョンの妹ハリエット(シィエラ・バレル)、次男のサイモン(オリバー・リード)、長女のエレノア(ジャネット・スコット)だけとなっております。

 このミサの最中、突然倒れるエレノア。急いで屋敷に運びまして介抱したところ、「私はトニーを見た、トニーが戻ってきた、私を連れにきたのよ」と訳の分からないことを言い出します。これには叔母さん、サイモン、看護婦のフランセス(リリアナ・ブラウス)もびっくり。サイモンと叔母さん、「そろそろ入院させなきゃ駄目なんじゃないの」などとひそひそ話し合っております。エレノア、二人がそんな話をしているさなかにまたしても窓からトニーの姿を発見、彼を探して屋敷の外へ走りでるのでした。

 エレノア、ばったりとトニーにご対面。しかしその時彼女の名前を呼ぶおばさんの声に振り返ったとたんトニーはまるでかき消すかのごとくいなくなってしまったのであります。サイモンと叔母さん、「あなたたちがそんな声だすからトニーびっくりして逃げちゃったのよ」と喚くエレノアを屋敷に連れ戻すのでした。

 サイモンはスポーツカーをばりばり乗り回すドラ息子。一応教会でオルガンの演奏者として働いてはいるもののしょっちゅう酔っ払ってアル中同然です。警察のトラ箱のお世話にもなっていて叔母さんによれば「刑務所に入れられなかったのはアシュビー家の家名のおかげよ」なんだとか。おまけに看護婦のフランセスともできているようで実にまったくけしからん男です。そのフランセスもサイモンに「これ以上エレノアがおかしくなったらお医者さまが呼ばれてしまう。そうしたら私がホンモノの看護婦じゃないことがばれてしまうのよ」なんていっていてこいつも怪しいことこのうえなし。

 ハリエット叔母さんはサイモンとフランセスの関係に気づいておりまして、この人もまた胸に一物秘めているようであります。

 さて、サイモンには問題がもう一つ。執事のウィリアムス(ジョン・スチュワート)にブランデーがないぞ、ブランデーを買ってこいと命令したところ「すみません、坊ちゃま、でもあなたがあまりお金を使いすぎるのでもうお金がないのです。ツケだってたまり放題たまってます。もう酒屋が酒を売ってくれないのです」怒ったサイモン、アシュビー家の顧問弁護士ジョン・コセット(モーリス・デナム)のところに怒鳴り込むのですが「遺産の配当金ですからな、私にもどうにもなりませんよ。最終的に相続するまで待つしかないですよ」と言われてしまうのでした。結局コセットの息子キース(ジョン・ボニー)に金を借りて退散するサイモン。カッコわりー。

 ここでまた事件が起こります。トニーの幻影を見たことで自分の精神状態に絶望したエレノアが崖から海へ「神様お許しを、私はもう耐えられません」と叫ぶなり海に飛びこんじゃったのです。これをたまたま目撃したのが彼女がトミーだと思った男って、ややこしいですな(笑)。トニー(仮)は勇敢にも海へ飛び込みエレノアの命を救ったのでした。

ここからこの男のことをトニー(仮)と呼ぶことにしましょう。

彼は屋敷へエレノアを運び込みます。ウィリアムスや叔母さんはびっくり仰天。トニーはエレノアの幻影などではなく本当に存在したからです。意識を取り戻したエレノアはトニー(仮)の姿を見て大喜び。今までぼろぼろの状態だったのがあっという間に回復するのでした。

 叔母さんとサイモンは当然ながら彼のことを簡単にトニーとは認めません。彼がホンモノなら遺産の取り分が大幅に少なくなってしまうからです。「トニーは8年前に自殺したのよ。あなたがトニーの筈はないわ」と叔母さんが噛み付きますと「でも遺書だけだったでしょ、死体は見つからなかったでしょ」トニー(仮)はにっこりとします。「あの時、僕は叔母さんと一緒に住むことにもう耐えられなくなったんです。だから自殺を偽装した」叔母さんはかっとなります。「じゃあ、だったら何で今頃戻ってきたのよ」「エレノアの様子を見に来たのですよ。だいたい彼女が自殺しようとしなければこの屋敷に来るつもりはなかったのだ」

 埒が明かないのでサイモンと叔母さんはとりあえず彼を元のトニーの部屋に泊めることになります。この時トニー(仮)、自分の部屋を良く覚えていないような様子を見せるのでした。むむ、こいつも怪しいなあ。

 翌日、弁護士のコセットがやってきます。エレノアはトニー(仮)にそっと耳打ち。「叔母様もサイモン兄さんも疑っている。コセットさんはあなたをテストしようとしているのよ、気をつけてね」エレノアの言葉通り、次々にトニー(仮)に質問をぶつけるコセット「私があなたの十歳の誕生日にプレゼントしたものは何でしたか」「うーん」と首を捻るトニー。「何だったかなあ、覚えていないなあ」ほら、見たことか、こいつは偽者だと身を乗り出す叔母さんとサイモン。しかしトニー(仮)は少しも慌てず「でも9歳と11歳のプレゼントなら覚えていますよ、9歳の時は万年筆、11歳は自転車だったなあ」「あなたはお酒を飲まれますか」トニー(仮)、にやっとして「いやだなあ、僕は飲めないですよ、コセットさん、それはあなたも良くご存知じゃありませんか」このあとも次々に「学校で一番の親友の名前は」「その人のあだ名は」とトニーしか分かりえない質問を繰り出すコセット。しかしトニー(仮)は簡単に全ての問題に答えてしまったのです。

 このテストの後何故かキースを尋ねたトニー(仮)、あ、こいつブランデー飲んでやがる。キースがにやにやと「トニーは酒は飲めなかったんじゃないのか」「たしかにトニー・アシュビーは飲めなかった。でも俺は飲めるもんね、いや、飲めるもんなんてもんじゃない、浴びるほうだね」ということはこいつ偽者だったのか。トニーに関する細かい情報を教えたのはこのキースだったのです。二人で組んでトニーの分の遺産60万ポンドを頂こうとしていたのです。

 キースは「君が510年我慢してくれれば50万ポンドが我々のもの。大金持ちですよ、うっしっし」と喜んでいるのですが、この辺からトニー(仮)の顔が暗くなっていきます。「いやあ、金はいいんだけど、この芝居でエレノアが傷ついちゃうだろ、それが気になって」キースはぽんと彼の肩を叩きます。「仕方ないじゃん、何しろ金のためなんだから、そんなこと考えるなよ」説得力皆無の台詞とはこのことなり(笑)。

 この後サイモンがまたしても酔って今度は酒場で大暴れ。トニー(仮)が迎えにいくことになります。酒場の主人は「今度暴れたら呼ぶのはあんたじゃなくて警察だよ」とかんかん。トニー(仮)、平謝りに謝ってなんとか許してもらい車でサイモンを連れ帰るのです。車中で目を覚ましたサイモン、助けてもらいながら「俺は絶対あんたをトニーと認めないからな」なんて言ってます。さらに屋敷についたら今度は叔母さんが「トニー、あんた、サイモンに触るんじゃないよ、何様だと思っているんだい」トニー(仮)、思わず「何様って俺様さ」と叔母さんに聞こえぬよう呟いたのでした。

 ちなみにサイモンと叔母さんの間にも何か特殊な事情がありそうです。まったくいろいろある一家ですな。

 さて、その夜目を覚ましたトニー(仮)、外からオルガン演奏と少年の歌声が聞こえてくるのに気がつきます。トニー(仮)、起きだしてどこから聞こえてくるのかたどってみますとどうやら庭の礼拝堂かららしい。外へ出たトニー(仮)、チャペルのドアを開いて中を覗いてみますと何者かがパイプオルガンの前に座って演奏している。傍らに少年らしき人影と思いきやこの人影が手鉤を持って襲ってきた!しかもこいつはヘンな仮面を被っている、わあ、恐ろしい。トニー(仮)、腕を二度ばかり手鉤で切り裂かればったりと倒れます。

 彼を助けたのはやっぱりオルガンの音を聞きつけてやってきたエレノアでした。彼女はトニー(仮)の傷を手当しながら彼女もあのオルガンと歌声を何度も聞いたことがあると話します。しかし彼女以外誰もその音を聞かないというので彼女はてっきり自身の幻聴だと思っていたというのです。「あれは現実のことだったのね」と呟くエレノア。トニー(仮)は「エレノア、あの歌声の主は一体誰なんだ」「分からない、でもあの歌声、いなくなる前のあなたそっくりだわ」

 ハマー映画らしからぬ上品なスリラーですなあ(笑)。

 翌日、ガレージでなにやらごそごそしているサイモン、あ、こいつ、ブレーキパイプを切りやがった!この車でピクニックに出かけたのがエレノアとトニー(仮)です。海を見下ろす崖の上でお弁当食べて楽しく語り合った2時間、そろそろ寒くなってきたので帰ろうということになりました。エレノア、「じゃあ、私が車をUターンさせておくね」よしときゃいいのに本当に車に乗ってUターンを始めるエレノア。バックしたとたんにブレーキが利かなくなって車は崖へ突進します。かろうじて柵に引っかかって転落は免れたのですが、車は宙ぶらりんの状態になってしまいました。トニー(仮)、運転席のエレノアを間一髪助け上げます。直後転落して爆発する車。サイモンの悪巧みは失敗したのでありました。

 そのサイモン、フランセスから「お金はいらないから一緒に行きましょう」とかき口説かれております。フランセスは好きでもお金はもっと好きというサイモン(笑)、「まあ、トニーはいつまでもここにいる訳じゃないからな、金が入るまで待ってくれ」ところがまさにその時タクシーでエレノアとトニー(仮)が帰ってきた。二人の姿を窓からみたサイモンは驚きます。その様子を見たフランセス、サイモンが彼らを殺そうとしたのだと直感したのでした。

 夜になるとまたも聞こえてくるパイプオルガンと歌声。トニー(仮)は再びチャペルへ赴きます。今度はエレノアも加わって二人。チャペルの扉を開けようとしたのですが今夜は鍵が掛かっています。仕方なしに窓から覗いてみると昨晩と同じくパイプオルガンを演奏する男と傍らの仮面の人物。そして彼らの側にはレコードプレーヤーが置いてありました。あの歌声はレコードのものだったのです。ここで覗いている二人に気がついて再び手鉤を持って襲ってきた仮面の人物、しかし今度はがっきとトニー(仮)に腕をつかまれあっという間に仮面をはがれてしまったのでありました。

 仮面の下から現れたのはまあ、予想通りですけれども(笑)ハリエット叔母さんだったのです。

 ここからハリエット叔母さんの血を吐くような告白。「サイモンは狂っているの。彼はトニーの死に罪悪感を感じていて彼自身を追い詰めたのよ。そんな彼が心の平安を得る方法はたったひとつ、あのレコードのトニーの声に合わせてオルガンを演奏することなの。彼が生きている思いたいのよ。それで彼の狂気はだんだん収まってきていた。最近ではほとんど出なくなっていた。でもトニー、あんたが戻ってきた日からまたぶり返したのよ」

 こりゃ要するにサイモンがトニーを殺していたということなんでしょうなー。

 この後、激情に駆られてキスを交わしてしまうトニー(仮)とエレノア。この激情が去った後たちまちヒステリーを起こすエレノア。「ぎゃあ、あたし、お兄さんとキスした、キンシンソーカンだわ、私もサイモンと同じでクルクルパーなのよ」わああと泣き喚いて部屋へ飛び込むエレノア、あろうことか鏡台にあったハサミを使って自殺しようとするのです。これを寸前のところで止めたトニー(仮)、「僕は本当のトニーじゃないんだ、偽者なんだよ、だからキスしたってキンシンソーカンにはならないんだよ」エレノア、けろりと態度を変えて「ああ、良かった」だって

 サイモンはアシュビー家から出ようとしたフランセスを「行かないでくれ」と叫びながら庭の池につけて殺してしまいます。「これで僕から離れることはできなくなった」と言うサイモンの壮絶な表情を見よ!一方、トニー(仮)はキースの元を尋ねて「どうもやばいことになった、計画を中止したほうがいいよ」キースがどうしたんだと尋ねるのに答えて「僕はトニーの行方を知っているように思うのだ」

 いよいよクライマックスです。トニー(仮)はあのチャペルへ忍び込んで何かを探しております。そこにハリエット叔母さんが現れてもみ合いになりました。その拍子でパイプオルガンのパイプを壊しちゃった。パイプを外し壁を剥して「うわわわ」悲鳴を上げるトニー(仮)。なぜならその穴からミイラ化したトニーの死体が出てきたからです。とたんに背後に忍び寄っていたサイモンに一撃されて失神するトニー(仮)。

 サイモンはトニー(仮)を柱に縛りつけ、最後のオルガン演奏。彼は意識を取り戻したトニー(仮)に「トニー(これはホンモノ、死体の方)は寂しがっていた。トニー(こっちは偽者の方)、お前をトニー(ホンモノ、ああ、ややこしい)の仲間にしてやるよ!」ここに飛び込んできたのがハリエット叔母さん、彼女はそれまでの流れをまったく無視して「サイモンはあたしのものよ」と叫ぶなりチャペルに油をまいて火をつけたのです。彼女はそのままサイモンを連れ出して屋敷へ。動けないトニー(仮)、大ピーンチ、トニー(ホンモノ)のミイラと一緒に丸こげかと思われたのですが、間一髪飛び込んできたエレノアに助けられたのでした。

 火を見て完璧にクルクルパーとなったサイモン、「トニー(ホンモノ)を助けなきゃ」と叔母さんの手を振り切って火に包まれたチャペルの中へ。そしてトニー(ホンモノ)のミイラを抱えて脱出しようとしたのですが果たせず業火に呑まれたのでした。エンドマーク。

 実に面白かったけど、あれ、あれれ、トニー(仮)の本名はとうとう最後まで明かされなかったぞ(笑)。

 モノクロ・スクイーズ収録のワイド。モノラル音声。黒が浮き気味でナイトシーンがさえません。音質はあいかわらずの聞きやすさ。不気味なパイプオルガンの音も上手く表現しております。英語字幕つき。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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2007年5月29日 (火)

『吸血鬼の接吻』(『Kiss of the Vampire』 1963年)

 

『吸血鬼の接吻』(『Kiss of the Vampire』 1963年)

 この映画では吸血鬼の一団が城に集まって白い服を着てなにやら祈ったり、新しい犠牲者を迎え入れる儀式をやったりして、吸血鬼というよりカルト宗教団体みたい。新しい犠牲者も親玉がやられるとあっさり元に戻ったりしていつもとは随分違う解釈の吸血鬼映画になっております。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

のっけから葬式でみんな棺桶担いでいるという陰気なオープニングにがっくり(笑)。みんなは墓穴に棺桶を降ろします。神父さんが「はあ、お気の毒なことで、安らかに眠ってくださいな」と祈りを捧げます。この様子を見ている男が一人。彼はジマー教授(クリフォード・エヴァンス)と言いまして始終酔っ払っているものですから村人たちに嫌われております。参列者は彼の赤い目をみて「もう、また酔っ払っているわ」とひそひそ。

 ジマー教授は神父さんに断りを入れて死者に祈りを捧げるとやにわに埋葬のためのシャベルを振り上げてぐさっ、棺桶に突き刺したのであります。参列者は仰天、しかも死体が入っているはずの棺桶から「ギャーッ!」という悲鳴と大量の血が!参列者はみんな蜘蛛の子を散らすように逃げてしまいました。この場面に女吸血鬼の青白い顔がオーヴァーラップ、タイトルがでます。

 時は19世紀、ところは英国の田舎町。ぽこぽこと車で道路を走ってきたのは新婚旅行中のハーコート夫妻、夫のジェラルド(エドワード・デ・スーザ)と妻のマリアンヌ(ジェニファー・ダニエル)であります。近くには古い城があって、その窓から何者かが夫妻を望遠鏡で覗いているのが奇妙。やがてストップする夫妻の車。なんとしたことかマリアンヌが地図を読み違えて遠回りをしたためにガス欠になってしまったのです。ジェラルドはしょぼんとするマリアンヌに「良いよ、そんなこと気にするな、僕が助けを呼んでくるから君はここでじっとしているんだぜ」これがあと5年もたとうものなら「いい年して地図を読めないのか、この馬鹿女」と罵るところでしょうが、何しろ新婚ですからな(笑)。

 一人車に残ったマリアンヌ。しかしこの頃より天候が悪化しはじめます。風が吹くわ雷がなるわ、怖くなってきたマリアンヌ、夫の姿を求めて車を離れます。しかしそこに現れたのがジマー教授。彼はマリアンヌに「これ以上行ってはいけない。車に戻るのだ」と言い放つのでした。しぶしぶ彼に従って車に戻るマリアンヌ。丁度良いタイミングでジェラルドが馬と馬子をつれて戻ってきました。彼らは馬に車を引かせて近くのホテルへ向います。ホテルの名前はグランドホテル。威勢の良い名前ですが閑散としておりホテルの経営者夫婦、ブルーノ(ピーター・マデン)とアンナ(ヴェラ・クック)も「最近は人が来ませんでねえ」と寂しく微笑むばかり。部屋も一部屋を除いてあとは全部空き部屋になっております。

 ちょっと引いたジェラルドとマリアンヌでしたがとにもかくにも車のガソリンを手に入れるまでは動けない。このホテルへしばらく滞在することになります。

 この時馬車がホテルへやってきてブルーノへ手紙を配達します。その手紙の送り主は近くの古城に居を構える科学者ラブナ博士(ノエル・ウィマン)でした。博士はジェラルドとマリアンヌを夕食に招待したいと言ってきたのです。ジェラルドは「何故僕たちのことを知っているのだろう」といぶかしんだのですが、ブルーノとアンナがしきりに「博士はそりゃ素晴らしい紳士で是非行ってこられるがよろしかろう」と薦めるものですからついに承知してしまったのでした。夜、迎えにきた馬車に乗り込むジェラルドとマリアンヌ。その姿をまたじっと見ているジマー教授。どうもこの人は物陰からじっと見るというのが好きなようですなあ。

 さて、ラブナ博士のもてなしは予想以上に素晴らしいものでした。城に飾られている見事な美術品の数々、ラブナ博士の娘サベナ(ジャッキー・ワリス)はこんな田舎にどうしてというくらいの美人ですし、息子のカール(バリー・ウォーレン)のピアノは天下一品。でてくる料理は気が利いているし、ワインも年代もので素晴らしい味わいです。すっかり良い気分になるハーコート夫妻、しかしここで奇妙なことが起こります。この城にはもう一人妙齢の娘さんがいて、この人がみんなの目を盗んで外に出たのです。そして行ったところは冒頭に出てきたお墓。彼女は土を掘りながら「どうしたの、なぜこんなに時間がかかるの、私は待っているのよ、愛しい人」す、するとこの人も吸血鬼てぇことになりますな。

 この娘が棺桶に突き刺さったままのシャベルを見つけた瞬間、何者かに手首を捕まれます。その何者かというのはもちろんジマー教授、娘を墓から引きずりだそうとしたのですが、娘は牙をにゅっと出して逆にジマー教授の腕をがぶっ。ひるんだ隙に逃げてしまったのです。娘はまたみんなの目を盗んで城に入るのでした。ジマー教授はこの後咬まれた傷の手当。と言っても傷にウィスキーをぶっかけ火で炙るというはなはだ乱暴なもの。しかしこれをやらなければ自分が吸血鬼になってしまう。「アッチッチ、アッチッチ」と必死に耐える教授です。しかし、ハマープロというのはこんなのが好きですなあ(笑)。

 城ではカールのピアノ演奏が続いております。聞き入るマリアンヌ。彼女の様子がだんだんおかしくなってついには昏倒しそうになるのでした。慌てて彼女を支えたジェラルドは「彼女は疲れているようです。今宵はこの辺で失礼いたします」ラブナ博士はにこやかに「では私の方で車のガソリンを手配しましょう」ハーコート夫妻はまた馬車でホテルへ戻るのでした。この後きゅうににやにやし始めたラブナ博士の一家。サベナは「パパ、どうしてあの人たちを返したの」「そうだよ、パパ、一思いにチューチューしちゃえば良かったじゃん」これはカール。ラブナ博士は首を振って「だからお前達若者はせっかちでいかん。どうせガソリンがなければ彼らは動けやしないのだ。楽しみは後からゆっくりと味わうものだよ」

 この一家もやっぱり吸血鬼だったのですねえ。

 ホテルへ戻ったマリアンヌ、アンナが若い娘のものらしいドレスや写真立てを抱きしめて泣いているのを目撃します。不審に思って調べてみるとって調べるなよ(笑)。写真に映っていたドレスの持ち主は14歳で死んだタニアだったのです。このタニア、城にもう一人いた吸血鬼の娘に似ております。するとこのタニアはアンナの娘で吸血鬼にやられて14歳の若さで死亡、その後吸血鬼となって蘇り城に居候しているということなのでしょうか。マリアンヌはアンナやブルーノにそれとなく探りを入れてみるのですが彼らは口をつぐんで何一つ話してくれようとはしません。おまけにこのホテルのもう一人のお客ジマー教授は夫妻に向って「早く立ち去るのが身のためですぞ」などと言ってくるのです。

 そんな中朝から天気の悪い陰鬱な日にカールとサベナの兄妹が馬車でホテルにやってきます。カールはハーコート夫妻に「ガソリンは日曜に近くの村から届けられます。つきましてはその前日の土曜日に我が城で仮装パーティを開きますのでいらっしゃいませんか」と二度目のお誘い。ハーコート夫妻は快く承諾します。しかしこの時ジマー教授がやってきてカールに言ったのが「もうすぐ天気が良くなるぞ、明るくなるぞ、いいのか」これを聞いたカールとサベナは顔色を変えて挨拶もせずに馬車へ飛び込みます。そして御者に「急げ、悪魔のように走らせるのだ」と叫ぶのでした。

 その命令どおり猛スピードで走り去る馬車。けげんな顔で見送る夫妻です。

 さて土曜日がやってきました。夫妻はドレスアップして用意万端。アンナが何故か泣いていたりジマー博士が「用心しろ」と怖い顔で言ったり気に掛かることはいろいろありますが、パーティは満員の盛況。仮面をつけた紳士淑女が城にあふれ、この日のためにラブナ博士がわざわざパリから呼び寄せたというシェフの料理を楽しんでおります。マリアンヌとジェラルドはカールから貸してもらった仮面をつけてご満悦。マリアンヌはカールとダンス、ジェラルドはシャンペンをそれぞれ楽しんだのです。

 パーティもたけなわとなったところでやにわにカールが悪巧み。彼はジェラルドと同じ仮面をつけてマリアンヌを誘いだしたのです。カールをジェラルドと思い込んだマリアンヌはふらふらと彼の後についていくのですが、ある部屋のドアを開けたカール、仮面をとるなり「コラ、さっさと入れ、このアマ」、マリアンヌの尻を蹴っ飛ばして叩き込んだのでした。すぐさまドアにロックをしてしまうカール。閉じ込められたマリアンヌ、あまりのショックに呆然としておりますとなにやらうううといううめき声が聞こえる。その声の主を探してカーテンをパッと開けると、はい、出たァ、口からだらーっと血を流したラブナ博士が。「ヒーッ」悲鳴を上げて立ちすくむマリアンヌ。するとラブナ博士、にまーっと笑って口から牙を露出させると彼女に向って手招きをします。彼の不思議な力に魅入られたマリアンヌ、ラブナ博士に抱かれて「いただきまーす」、ちゅーちゅー血を吸われてしまいましたとさ。

 一方、いい加減に酔っ払ったジェラルド。サベナに「スペッシャルシャンパンをお飲みなさいな」と止めの一撃を加えられて完璧に酔いつぶれてしまいます。そのまま部屋へ放り込まれてぐーぐー寝てしまうのです。その間、パーティは終了します。楽隊の皆さんが引き上げた後、お客たちは白い頭貫衣に着替えて大広間に集合。ラブナ博士がマリアンヌを連れて現れ「皆のもの、祝福せよ、我らの新しい同士が誕生したぞ」ここでカメラがマリアンヌの喉にある傷口、ドラキュラのマークと言う奴ですな、を映し出すのです。

 さて、次の朝、酷い二日酔いでうーうー言いながら起きてきたジェラルド。カールを見つけて「うぇっぷ、ど、どうも昨夜はご馳走になりまして、そろそろお暇しようと思うのですがマリアンヌはどこでしょうか」するとカール、冷たい目つきでジェラルドを睨んで「マリアンヌ、それは一体全体どこのどなた様ですかな」「どなた様って僕の奥さんですよ、妻ですよ、昨日一緒に来たじゃないですか」「いや、あなたは一人でお越しになられましたが」「ええーっ」驚愕するジェラルドです。カールはそんなジェラルドに向って言い放ちます。「そんなたわごとに何時までも付き合ってはおられませんな。さ、お帰り下さい」哀れジェラルド、強力の従者ハンスによって城から放り出されたのです。ジェラルド、何が何だか分からず道をさ迷っていたところをさらに馬車に跳ねられてしまいます。

 踏んだり蹴ったりとはまさにこのことですな。

 その彼を助けてホテルへ運んだのはジマー教授でしたが、ここでも驚愕の事態が待ち構えていました。なんとあのブルーノまでが「奥さん、知りませんよ、私、そんな人、あなた一人で来られたじゃないですか」しかもクローゼットからマリアンヌの衣装がきれいさっぱり消えている。ならば宿帳は、二人のサインが残っているはずだと調べるジェラルドですが、これも消えてなくなっていたのです。おまわりさんにも「はあ、この地の名士であるラブナ博士を一介の旅行者に過ぎないあなたの証言で取り調べる、ははは、そんなことはできませんな」と冷たくあしらわれてしまいます。

 思い余ったジェラルド、「うぇーん、ジマー教授助けてくださいよう」と教授の部屋へ駆け込むのでした。

 ジマーは神妙な彼の願いを快く聞き届けると神妙な顔つきでこんなことを話し始めます。「君はバンパイアというものを知っているかね」「はあ、それはあれですか、毛のない女が嫌いという人ですか」「なんだ、それは」「だからパイパンイヤ」「駄洒落を言っている場合ではないわ」と苦りきるジマーです。「真面目にやんなさい、まじめに。バンパイアというのは吸血鬼だ。人の血を吸って闇の生命を得た存在だ。普通の人間でもこの吸血鬼に血を吸われると彼らの仲間になってしまう。私の娘もやられて私はこの手で自分の娘を始末しなければならなかったのだ」

 ジマー教授はかっと目を見開いて「わしの娘をそんな目に会わせたのがあのラブナ博士なのだ。彼とその一家は吸血鬼なのだよ」

 ジェラルドはびっくりして「えー、それじゃ、僕のマリアンヌが吸血鬼の仲間にされちゃうじゃないですか」いや、そんなことを言ったってとっくの昔に奥さんやられちゃってるから(笑)。「今すぐ城に行ってマリアンヌを助けましょう」と張り切るジェラルドでしたがジマー教授は「いや、夜まで待つのだ。こっちにも準備が必要だし、君も疲れている。救出作戦に備えて睡眠を取りなさい。体力を回復させるのだ」その言葉に従ってがーがー寝てしまうジェラルド。目を覚ますととっくに夜。しかもジマー教授の姿はどこにもありません。仕方なしにジェラルド、一人で城に向うのでした。

 ジェラルド、門番の頭をぽかりとやってまんまと城内へ忍び込みます。このままマリアンヌを探すのかと思いきやベッドで寝ているタニア(イザベル・ブラック)を見つけたジェラルド、彼女を起こして「君はブルーノの娘だね頼む、マリアンヌのところに連れて行ってくれ」と頼むのでした。こんな娘、ラブナ博士に吸血鬼にされているに決まってますやん、なんでこの娘をあっさりと信用してしまうのか。案の定、あっさりとタニアによってラブナ博士の部屋へ誘い込まれてしまうのです。

 にやにやしているラブナ博士。カールやサベナ、さらにマリアンヌまでが部屋に入ってきます。「マリアンヌ!」ジェラルドは妻の名前を呼ぶのですが彼女は彼を見ようともしません。それどころか博士から「お前はあの男のことを愛しているかね」と聞かれたら「いいえ、愛してはおりません。私が愛するのは博士だけでございます」ジェラルド、がーん!さらに「ではその証を見せてくれたまえ」頷いたマリアンヌ、ジェラルドの顔にぺっ、ツバを吐きかけたのであります。ジェラルド、がっかりして「こんなプレイはイヤだよう」

 博士はタニアに「あれはお前の獲物だ。彼もまた我らの同士にしてあげるがいい」タニア、嬉しそうにジェラルドの上着を脱がすと鋭い爪で胸をがりりと引っかきます「イターッ、何すんの!」ジェラルドの胸から鮮血がたらり。興奮したタニアは「いただきまーす」喉にかじりつこうとしたのですが、その時ジェラルドが流れた血を使って胸に十字を描いた。タニア、「ひーっ」と後ずさりします。ここで飛び込んできたのがジマー教授って、今までこの人ァ何をやっていたのでしょうかね(笑)。ジマー教授とジェラルドはこの混乱に乗じてマリアンヌを引っさらって城から脱出してしまったのです。おまけにジマー教授、持参した墨で城の入り口に十字を描いたものですから吸血鬼たち出られなくなっちゃった。なんだ、意外に簡単なものだな。

 この後はジマー教授による「吸血鬼撲滅による儀式」、ジェラルドとエクザビア神父を待機させ、マンドラゴラの根や子守ガエルの右手を乾燥させたものや朝鮮人参、フコイダン、有機ゲルマニウム、コラーゲン、ウコンって健康食品か!お肌つるつるになったらどうするんだ。ええ、こういうボケも人間関係を円滑にするためには必要なのでございます。

とにかくいろいろ準備したジマー教授、儀式を始めます。床にチョークで五芒星形を描くとその中に五円玉をちゃりんと投げ込んで「ジュゲムジュゲムゴコウノスリキレ!」と呪文を唱え始めたのです。呪文の効果は早くも城に伝わって騒ぎ出す吸血鬼たち。「トナリノキャクハヨクカキクウキャクダ!」この辺でもう吸血鬼たち、顔を汗まみれにしております。たまりかねたラブナ博士、「よし、攫われたマリアンヌを使おう。彼女を操って城の入り口から十字を消させるのだ」ラブナ博士もむにゃむにゃと呪文を唱え始めます。するとホテルのベッドで寝かされていたマリアンヌの目がぱちり。彼女はみんなの目を盗んでホテルを抜け出し城に向ったのです。

 しかし、今や彼女も吸血鬼なのでしょう。だったら彼女にだって入り口の十字をどうこうすることはできない筈ですが(笑)。

 マリアンヌの姿が消えたことに気づいて後を追うジェラルドと神父。一方ジマー教授の儀式は佳境に入った!彼はついに決定的な呪文を唱えます。「アジャラカモクレンフウライマツ、サンジノオヤツハブンメイドウ、テケレッツノパ!」すると多数の蝙蝠が城をに侵入、吸血鬼たちに襲い掛かったのでした。どうも吸血鬼と蝙蝠が戦う図というのは初めてですな(笑)。いろいろ変わったところのある吸血鬼映画です。次々に蝙蝠にやられていく吸血鬼たち。タニアもサベナもばったり倒れます。この時服の裾がめくれて太ももが露になったりパンツがばっちり見えたり、さすがハマー映画、こういう方面のサービスも忘れてはいません。

 ラブナ博士もたくさんの蝙蝠にたかられ、ついにその最後を迎えたのでした。同時にばったり倒れるマリアンヌ。ジェラルドに抱き起こされた彼女の首から傷が消え意識を取り戻したところでエンドマーク。

何故ラブナ博士はマリアンヌだけを吸血鬼にしたのでしょう。同時にジェラルドもやってしまえば良かったのに。そうしておけばジマー教授にチクられて哀れな最後を遂げることもなかったのに。どうも詰めの甘い吸血鬼です。

カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。色の滲みは相変わらずでちょっと高評価は上げられません。音質のレベルにつりあっていないのが残念です。英語字幕つき。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

 エロの冒険者

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『サント対狼女』(『Santo contra las lobas』 1972)

 

『サント対狼女』(『Santo contra las lobas』 1972

やや、このDVDはリージョンが1(アメリカ・カナダ)&4(中南米、オセアニア, アルゼンチン・ブラジル・チリ・ペルー・メキシコ・コロンビア・オーストラリア・ニュージーランド)ではありませんか。リージョン違いで国内プレーヤーで再生できないサント映画は『サント対火星人』と本作の2本。こんな映画でそんなケチなことをしてどうするのかと思います。

(註 『サント対火星人』は再発のCOLECCION GRANDES CLASICOSシリーズ版がリージョンフリー仕様)

警告、警告、このDVDのリージョンは14です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。



 暗闇の中、女(エリカ・カールソン)が延々と歩き回るオープニング。彼女はどこからか聞こえてくる「女王よ、待ち焦がれたぞ」「こちらへおいでなされませ」という声に導かれている様子です。彼女は道路を渡り、ビルに入って階段を上り、上がった階段を降り、また外に出て道路を歩き、またビルに入ってまた階段を下って地下室へって何時まで歩いてんねん!その女の前に出現したのが髪はぼうぼうで毛皮の服を着たまるで原始人のような老婆(タマラ・ガリナ)。彼女は「わしはなあ、人狼族の女王 ルバじゃあ」と名乗ります。女は驚いて逃げようとしたのですがどこに隠れていたのか、やっぱり原始人のようなカッコをした人狼族たちがわらわら沸いてでてきて彼女たちを取り囲んだのです。

ルバはさらに「今宵、わしはそなたと一緒になる。そなたの若い体の中へ生まれ変わるのじゃ。そして新しい女王が誕生するのじゃあ」ルバは女にナイフを手渡します。「それでわしを刺すのじゃあ」女、ナイフを振り上げてぐさっ。倒れたルバの体に人狼たちが群がってぼりぼりがりごりと食べちゃった。女、ナイフをぽとりと落とすと「皆のもの、わしが新しい女王じゃあ、生まれ変わったのじゃあ」と叫びます。歓喜のどよめきを上げる人狼族。この叫びがプロレス会場の熱狂した観衆にオーバーラップして・・・。

 しかし新しい女王様も喋り方まで受け継ぐ必要はないと思うのですが(笑)。

 サントのタッグマッチです。熱狂した観衆はいつものサントコール。「そこのけ、そこのけ、我らのサントがぶっ飛ばす! サント、サント、ラララ」この応援に気をよくしたサント、名前すら紹介されないタッグパートーナーと相手チームをこてんぱんにやっつけてしまうのでした。控え室へ下がるサント、そこへ尋ねてきたのがああ、あれは冒頭で人狼の女王の魂を受け継いだ女、新しいルバではありませんか。ルバはサントにしなだれかかって「ねえーん、サントさん、私あなたの大ファンなのよう、もっと良くあなたのことを知りたいわあ」しかしさすがはサント、「ははは、まあ、そういうことは止しておきやしょう、今日のところはおかえんなさい、お嬢さん」ぷんぷんしながら帰っていくルバ。

 この様子をじっと見ている男(フェデリコ・ファルコン)あり。しかしこの男、ルバの連れていたシェパード犬に追っかけられて慌てて逃げたりしております。なんだ、カッコ悪いぞ。

 犬からようやく逃れた男、彼もまたサントの控え室を訪ねるのです。「サントさん、私は私立探偵のジェイミー・ポンスです」なんだか鍋物に合いそうな名前ですな(笑)。彼はいぶかしそうにしているサントに「これから話すことは大変に不思議なことです。あなたには信じてもらえないかも知れない。それでもとにかく私の話を聞いてください」こうしてポンス、彼の雇い主がマーシュ村に住むシーザー・ハーカーであること、その村は人狼伝説で有名であること、シーザーの一族は先祖代々人狼と戦っていること、そのシーザーがサントの助けを求めていること、などをサントに説明するのでした。

 サントは呆れて「狼男ってああた、そんなものがいるわけがねえ、気でも狂ったのかね」でもサント、あなたは1972年の『Santo y Blue Demon vs. Dracula y el Hombre Lobo』で狼男と戦っているじゃないか、それなのに「気でも狂ったのかね」はないんじゃないか(笑)。話を信じてもらえず落胆するポンスですがそれでも彼はサントに一通の手紙を渡します。「気が変わったらこの手紙を読んでみて下さい。シーザーと会う方法が書かれています」控え室を立ち去るポンスです。

 サントも着替えを終えて帰宅しようとします。しかし控え室を出たとたん、「わんわんわん、わわわんわん」二頭のシェパード犬が襲ってきたのです。「わあ、あっしは犬には弱いんだ」と叫んで逃げ出すサント。オバQかっての(笑)。試合場へ逃げ込みます。さらにリングの上に上がったのですが犬達は執念深く追いかけてくる。「わんわん、わわわんわん!」犬たちはサントに襲い掛かかります。「ひい、た、助けてくれー」あー、サントが助けを求めているぞ、これは珍しいシーンだなあ。この叫びを聞きつけた警備員が駆けつけてきてリング上のサントに「一体どうしたんですか」「どうもこうしたもありゃしねえ、でけえ犬があっしを・・・、あれ」サントは驚きます。犬が煙のように消えてしまっていたからです。「たしかに犬が二頭いたんだが」ぼりぼりと頭をかくサント。警備員たちはそんな彼の姿をみて「これはあれだよ、試合で頭を殴られたり蹴られたりしたもんだから」「ああ、これか」指を耳の周りでくるくる回す警備員、あ、なんと失礼なことをする奴らか(笑)。

 ちなみにこの犬は本当は狼だそうであります。狼だって言われても「わんわん」吠えているし、サントも「犬だ」って言っている。それはちょっと無理があるのではないでしょうか。

 さて車で帰宅途中のポンス、突然飛び出してきた女に驚いて急停車します。血だらけのその女は誰あろうルバ。彼女は「助けて、狼男に襲われたのよ」サントに狼男の話をしたその帰り道に狼男に襲われた女に出会う。こんな偶然ある訳がないのですが、ポンスは疑いもせずにルバを助けてしまうのです。そして彼女を自分のホテルへ連れていき、「怖かったでしょう、さあ、このウィスキーをお飲みなさい」なんてやっているうちに良いムードになってキス。ぶちゅぶちゅうちゅちゅちゅー。そのままベッドインと相成ります。

 一方サント自宅に戻って着替えをしようとクローゼットを開けたらまたも「わんわんわん、わわわんわん!」犬、じゃなかった狼が飛び出してきたぁ。「うわあ、だからあっしは犬には弱いって言ったじゃないか」サントは逃げてソファーの陰に飛び込みます。おっかなびっくりで顔を出してみると、ああ、なんということでしょう、再び、犬じゃなかった、狼の姿は消えていたのでした。ここで場面はポンスのホテルへ戻って今まさに真っ最中というところ。しかしその時いきなり女が唸り始めた。ポンスびっくりして女の顔を見るとああ、狼女だ、顔面だけ毛むくじゃらだ、これは酷い(大笑い)。ポンス、ピストルで狼女を撃つのですがまったく効果なし。逆に狼女にかじられてはい、一巻の終わり。

普通の女性の顔面に毛をもじゃもじゃに貼り付けただけという世界一やる気のない人狼メイクです。

 二度も怪奇な犬じゃなかった狼に襲われたサント、ポンスに電話しようとしましたが何しろ狼女に齧られちゃっていますからな、通じません。サントは仕方なしに彼から渡された手紙にしたがって依頼主のシーザー(ロドルフ・デ・アンダ)と会うことにしたのです。翌日手紙で指定されたホテルへ出向きシーザーと対面するサント。シーザーは「うちの一族は先祖代々人狼と戦ってきたのです。サント、私たちを助けてください」こんな話をしている最中にホテルのプールで泳いでいた女がいきなり「きゃあ、足が攣った」と叫んで溺れ始めました。シーザー、サントとの会話をあっさり中断してプールに飛び込みます。娘を助けようとしたのですがいきなり娘は助けにきてくれた筈のシーザーの頭を掴んで水に押し付けちゃった。「わあ、何をするがぼがぼ」これを見たサント、プールに飛び込んで娘をがっと捕まえると容赦のないパンチを浴びせて失神させるのでした。しかし、この娘、連れていこうとしたホテルのスタッフの手を逃れてあっさりと逃げてしまいます。

 シーザーは「あれは狼女です。奴らは私の存在を邪魔に思っているから私を殺すチャンスを狙っているんです。この間もゴルフをしていたら何者かがゴルフボール爆弾を使って私を攻撃してきたくらいです」シーザーはサントの手を取ると「お願いです、サント、私たちを助けてください。リカルスの本に書いてありました。銀のシンボルのみが人狼を滅ぼせると、サント、これはあなたのことですよ」今ひとつ良く分からない理屈ですが(笑)サントは頷いて「ようがす、そこまで言われたらこのサント、断ることなんてできねえ、やらせていただきやしょう」

 その仕事の前にとりあえずプロレスを一試合(笑)。今度はシングルマッチ。サント、相手のマスクを剥して見事勝利するのでした。

 そんな試合なんかやっているから肝心のシーザーが狼女ルバに襲われて死んじゃったじゃないか。この時狼女毛皮のビキニの胸を押さえております。どうやらシーザーと争った時にビキニのヒモが切れちゃったらしい(大笑い)。狼女はビキニの胸を押さえたまま逃げ出します。後を追ったのがシーザーが経営していた牧場の牧童たち。馬を使って狼女を追い詰めます。不可解なことに何もされないうちからばったり倒れる狼女。あ、死んじゃった。一体これはどういうことなのでしょうか。

きっとこの狼女のあっさりとした死に様が後の伏線になっているのだと思ったのですが…、そんなことはありませんでしたねえ(笑)。


 さらにそんな中新たな登場人物が。シーザーの近所に住むジュリエッタ(エミリア・カランザ)です。彼女はルバを殺されて?怒り狂う人狼族の咆哮に怯えておりました。彼女は侍女のジプシー・アナに二人の娘アドリアーナ(グロリア・メイヨ)、エロイーザ(ヌビア・マルティ)を監禁するように命令します。部屋に閉じ込められおまけに手かせまでつけられた二人の娘は「やめて、出して」と泣き叫ぶのですがアナはまったく気にしません。その作業を手伝っているのがおなじみカルロス・スアレズ(笑)。まったくこの人はどこにでもでて来ますな。

 さて、試合を終えたサント、シーザーの牧場近くの駅へやってきます。ここでシーザーと待ち合わせをしているらしいのですが、なんで直接サントカーで行かないのだろう。夜中に覆面レスラーが突然現れたものですから駅員のおじいさんびっくり。そりゃ、びっくりしますわな(笑)。でもすぐに「おお、アンタはサントかい、あたしゃ、あんたのファンなんだよ」となるのはサントの人徳のゆえでしょうか。この時駅員トランシルバニアから送られてきたという大きな木箱をサントに見せるのです。「最近こんなの増えてね、もう重くって困っちゃうのよ」おじいさん、こんなことを言っております。

 サントはなぜか警察へ電話。電話を受けたパチェコ警部(ブルーノ・レイ)はなぜかサントのことを知っていて「あ、じゃ駅に迎えをやりますから」だって。そしてその迎えというのがシーザーの弟エリック(ロドルフ・デ・アンダの一人二役)でした。不思議に思ったサントが「兄さんはどうなさったので」と尋ねると「狼女に殺されました」フツー、こんなこと誰だって驚きますよね、しかし、ここはさすが我らのサント、動揺のかけらも見せずに「はあ、そうですか、じゃ、参りましょうか」だって。

 サント、これはあまりに不人情ではないのでしょうか。それにこの一人二役、まったく意味がありません。役者のギャラ節約にしか役立ってないんじゃないでしょうか(笑)。

 サントがエリックの案内でシーザーの遺体と対面します。その時人狼の一群が駅を急襲、おじいさんを惨殺しあの謎の木の箱を奪ってしまったのです。中に入っていたのはドラキュラじゃなかった狼男。人狼一族の王だったのです。

 箱の中から蘇った狼男キング(笑)、人狼たちに怪気炎を上げます。「ウォーでがんす、兄弟たちよ、ハーカーの奴らめを殲滅するのだ、そして地上を我が物とするのだ、ウォーでがんす。女王は死んでしまったが次の偉大なる赤い月の夜に新しい女王を決めるぞ、ウォーでがんす」大歓声を上げる人狼たち。この時監禁された姉妹アドリアーナ、エロイーザのうちどっちか、多分アドリアーナと思うのですが、「お前は狼だ、狼の女王になるのだ」と言われるおせっかいな夢をみて飛び起きるのでした。

 翌日サントはマーシュ村で聞き込みを開始。いつの間にかジプシー(カルロス・スアレズ)と仲良くなっていて二人で回っております。しかし村の人々はせっかくサントが尋ねてきたというのにけんもほろろの扱い。サントが「何かヘンなものをごらんになりませんでしたか」と聞くのに村人たちは「そんなもん、見てねえよ、出て行け」とこうくるのですから。さらにもっと酷いのになると「へ、ヘンなもの、そりゃ、この昼日中に銀のマスク被っているお前だっての」村人たちはサントとジプシーに石を投げつけます。それどころかライフルもってずどんずどん撃ってくる奴もいる。命からがら逃げ出すサントとジプシー。

 なにか何時ものサント映画と随分違いますなあ。フツーならサントを見た人はみんな感激して惜しみのない協力を申し出るものなのですが。

 さてしめやかに執り行われるええと誰だっけ、そうだ、シーザーだ、シーザーのお葬式。この場にこの映画の主要人物が集まります。丁度いい機会なのでまとめて紹介しておきましょう。まず、サント、殺されたシーザーの弟エリック、そのエリックの婚約者エロイーザ、エロイーザの妹のアドリアーナ、この二人が一時閉じ込められていた姉妹ですね。彼女達の父親でジュリエッタの兄がドクター・マーカス(カルドス・ヨルダン)、後はパティコ警部。本当にどうでも良いのがずらずらおるのう(笑)。

 ここで駅が襲われ駅員が惨殺されたという知らせが入ります。現場へ赴き死体を調べるマーカス博士にサントは「これは狼男の仕業でさあ、昨晩あったトランシルバニアからの荷物が奪われちまっている。トランシルバニアと言えば狼男の本場ですぜ」あ、そうなのですか、私は今の今までトランシルバニアは吸血鬼の本場だと思っていました(笑)。しかしドクター・マーカス、「君、サント君ともあろうものがそんな馬鹿なこと言ってちゃいけないよ、狼男だって、そんなの迷信に決まっているじゃないですか」しかしそれでいて、ドクター・マーカス、ルバの死体を調べて「どうしてか分からんが、この女は一ヶ月前に死んでいたのだ」と宣言したりするのですから訳が分からない。

 エロイーザはエリックに「私、自分が狼女になって駅員を襲う夢をみたの、きっと私は狼女なのだわ」などと言っております。あれ、夢を見たのはアドリアーナじゃなかったの?良く分からないけれどももうどうでもいいや。

 ここでまた一人新たな登場人物。マーシュ村に動物学上のリサーチをするために来たというライカン(ジョージ・ラセク)であります。その名の通りこいつはあの狼男の王が人間になった姿。彼はマーカス家の人々を自分の屋敷で行われるパーティに招待したのでした。もちろん、これは罠なのですがそんなこととは夢にも思わないマーカス博士達、その招待を快諾するのです。もちろん、サント、エリックも一緒です。

 何時の間にやらサント、アドリアーナとデキている様子。まったくもう油断もすきもありゃしませんな(笑)。

 さて連れ立ってライカンのパーティへ出かけるサントたち。宴が盛り上がるとみんなダンスを始めます。この時エリック・エロイーザ、アドリアーナは他の客から宝石のコレクションを見せましょうという誘いを受けてサント、ジプシーから離された。ダンスの輪がサントとジプシーを取り巻いてぐるぐる回転します。この回転が最高潮に達した時、突然踊っていた人々が人狼に変身して襲い掛かってきた。同時に電気も消えて会場は大パニックです。しかしサントとジプシー、襲い掛かってくる人狼たちと勇敢に戦います。この辺画面が暗いので良く分からないけれども彼らはエリックとエロイーザを見つけて一緒に車で脱出します。アドリアーナのみ姿が見えず人狼たちに攫われたと思われたのですが、彼女も帰る途中で偶然に見つけちゃった。結局みんな無事にマーカス家に戻れたという訳で人狼たち、大言壮語していた割には詰めが甘いですなあ。

 この後倒れていた狼男の王がライカンに変身し立ち上がるシーン。ライカン、「ふふふ、もうすぐ偉大なる赤い月の夜がやってくる。サント、その時はお前も我々の仲間になるのだ」って覆面レスラーを狼男にしてどうしようっていうんだ(大笑い)。

 マーカス家へ戻ったサントたち。家の中に入ったらあのマーカス博士が狼男になっていたのにびっくり仰天。マーカス博士は「実は我々も人狼の一族だったのだ。サント、この呪いをといてくれ、伝説には銀のシンボルだけが人狼の呪いを滅ぼせるとある。その銀のシンボルとは君のことなのだ」サント、白け顔で「いや、だからそれはもうシーザーから聞いてやすから、何度も繰り返さなくて結構でさぁ」このあまり意味のないドクター・マーカスの告白が終わっていよいよ人狼たちとサントたちの最終決戦。サントはマーカス家の使用人たちに銀の弾丸がこめられたライフルを渡して「おめえは東側に回ってくれ」「おめえは納屋を頼む」と指示しております。

 サントはさらにジプシーに「おめえはアドリアーナ、エロイーザ、それに子供たちを連れて車で脱出するのだ」しかし、エロイーザはエリックと一緒にいたいということなので残留決定。アドリアーナもサントに「私、ここに残りたい、だってあなたを愛しているのだもの」サントはアドリアーナにキスして「おいらもおめえにホの字だぜ、だからおいらの願いを聞いて脱出しておくれ」「分かったわ、サント」結局逃げるならさいしょっから大人しく車に乗っておれ!と思うのは私だけでしょうか。

 ジプシー車をスタートさせます。しかし彼らを待ち構えていたのは人狼の群れ。人狼たちは火のついた枯れ草を投げつけたり大勢で取り囲んで窓ガラスを叩いたりします。ジプシー、これを突破できずに結局マーカス家へ逆戻りさせられてしまったのでした。

 いよいよ赤い月が昇って開始される人狼の総攻撃。見張りが次々にやられ人狼たちは屋敷内に侵入します。ついでにジュリエッタがいきなり狼女に変身してウォー。エロイーザとアドリアーナを襲おうとしてサントにやっつけられます。サント、「彼女が新しい女王だったのだ」だって。ええ、アドリアーナとエロイーザが見た夢ってのは一体何だったのでしょう(笑)。この後サントは狼男の王と一騎打ち。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」と暴れまわる王でしたが「サントを守れ」という声とともに集まってきた使用人たちのライフルを受けてたまらず逃げ出します。他の人狼たちも退却して「よし、俺たちは勝ったのだ」みんな大喜び。

 そんな中一人狼男の王を追うサント。「彼奴を倒さなければ呪いは解けねえ」ということなのですね。王とサント、二度目の一騎打ち。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」暴れまわる王を抱え上げたサント、崖下へぽい。ついに彼をやっつけたのです。ここの人狼の呪いは消滅したのでした。エンドマーク。

 映画はデタラメ極まるものですが、サントの意外な扱われ方が面白かったですな。犬じゃなかった狼に追いかけられて情けない声で助けを呼ぶサント、そのサントの正気を疑う警備員、サントを追い払う村の人、いや、たまにはこんなサントもいいものです。

 カラー・スタンダード モノラル音声。画質はひどいもの。ダビングを重ねたVHSのような色の滲みがあって落ち着いて見ていられません。暗い場面じゃ何やっているのか分からないし誰だ、こんなDVD売ろうと思ったの。英語字幕付 Hannover House LockDVD

エロの冒険者 

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『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(『The Brides of Dracula』 1960)

 

『吸血鬼ドラキュラの花嫁』(『The Brides of Dracula』 1960

ハマーのドラキュラ映画。ピーター・カッシング演ずるヴァンパイア・スレーヤー、ヴァン・ヘルシングがカッコいい。やっぱりヴァン・ヘルシングはピーター・カッシングに限ります。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

冒頭、暗き森と峻険なる山脈、底知れぬ湖の国、トランシルバニア、今だ魔法と悪魔信仰に支配された国でもある。この国を恐怖で支配した吸血鬼ドラキュラは死んだ。しかし彼の配下の者共はトランシルバニアを再び我が物にせんと暗躍を続けているのだという陰気なナレーション。もうこの時点で私の心は暗くなってしまいます(笑)。

 その深き森を疾走する馬車。何に怯えているのか凄まじいスピードです。乗客であるマリアンヌ・ダニエール(イヴォンヌ・モンロー)は馬車が揺れるたびに飛び上がって天井に頭をぶつけております。「きゃ、いたい、きゃ、あ、舌噛んだ」たまらずマリアンヌ、窓を開けて御者に「スピードを、あいた、落として、きゃ、ちょうだい、ひっ」と頭をぶつけながら叫ぶのですが御者は一切耳をかさずそれどころかさらに馬車をスピードアップさせるのであります。しかし次の瞬間、馬車を急停車させる御者。マリアンヌは座席から放り出されて頭から床に突っ込みます。頭をぶつけて目から火花が出たところに上から荷物がどさどさ。荷物の山の中から顔をだしたマリアンヌ、「もーいや」

 御者が馬車をストップさせた訳、それは道路上に投げ出されていた丸太でした。彼がぶつぶつ言いながら丸太をどかしている間、森から一人の怪しい男が現れて馬車の後ろに取り付きます。丸太をどかし終えた御者、その男には気づかないまま再び馬車を走らせます。馬車は途中の村でお食事タイム。マリアンヌは村の宿屋兼食堂兼酒場へ。ここで夕食を取ってからまた旅を続けようという算段なのですが、あの馬車に取り付いていた怪しい男が御者に金を渡して何か囁いたのです。すると御者はマリアンヌの戻りを待たずそのまま走り去ってしまったのでした。

 その音を聞きつけたマリアンヌ、食べかけだったザワークラフトの皿を持ったまま外に駆け出して「ねえ、待ってよ、置いていかないで」しかし馬車が戻ってくる筈はありません。席に戻って宿屋の主人に部屋はないかと尋ねたら「今夜は満室なんすよ」とつれない返事で、馬車はなし、泊まる部屋はなし、呆然とするマリアンヌであります。しかしそこに現れた救い主、それは豪華な馬車でやってきた貴婦人でした。この貴婦人、マインスター男爵夫人(マルティータ・ハント)はマリアンヌにワインを勧めて言葉たくみに「あなたはバドスタインの女学校の先生になるためパリから来たの?いいわ、今夜は私の城にきなさい、そこで一晩泊まって明日私が馬車でバドスタインまで送ってあげるわ」さっきから酒場の主人がそわそわしているし、今まであれだけ騒いでいた村のノンベ共が男爵夫人が入って来た時からぴたりとしずかになるし、怪しさ満点なのですが、ここで誘いを断っては映画が終わってしまいます(笑)。

 マリアンヌ、男爵夫人の馬車で城へ向ったのでありました。この光景を見つめているのはあの怪しい男。彼は一体何者なのでしょうか。しかしこの彼の出番はここまで。後は全然出てこなくなるという…。意味が分かりませんな(笑)。

 しかし男爵夫人の城はお手伝いのグレタ(フレダ・ジャクソン)以外、人っ子一人おりません。そのことを知ってどん引きするマリアンヌに男爵夫人は「ほほほ、この城も昔はにぎやかだったけどねえ、今はこのグレタだけよ。それに今夜はあなた以外のお客様もいらっしゃらないし」しかしマリアンヌはグレタに案内された寝室のベランダから若い男の姿を目撃してしまいます。夕食の席でその男のことを男爵夫人に尋ねるマリアンヌ。「あれは・・・、私の息子よ」「ええ?他にこの城にはグレタさん以外誰もいないっておっしゃったじゃありませんか」男爵夫人は不気味に微笑みます。「私の息子は、そう病気なのよ、その病気こそがこの城をこんな風にしてしまった元凶なの。だから別の棟に閉じ込めてあるのよ。その棟にはほら」暖炉脇の小さな扉を指差す男爵夫人「あそこの扉からしかいけないわ」「病気で監禁しているんですか。それってひょっとしたら病気ってあの頭の方の・・・」マリアンヌ、男爵夫人に睨まれてしまいます(笑)。「だからあの息子のことは忘れて早くお休みなさい」

 男爵夫人、何もたった一つの入り口の場所を教えることはありません。いかにも「ほら、そっちに行ってごらんなさい」と言わんばかりのわざとらしさではありませんか(笑)。

 寝室に引っ込んだマリアンヌ、男爵夫人にああ言われたもののその息子が気になって仕方ありません。ついつい窓を開けて彼が閉じ込められているという棟の方を見るとああ、なんということでしょう、男がベランダから飛び降りようとしているではありませんか、「やめて、飛び降りないで」と驚いて叫んだマリアンヌ、最前男爵夫人に教えられた扉を潜って男の部屋に飛び込んだのです。そこにいたのはハンサムな若者。彼は自分はマインスター男爵(デヴィッド・ピール)と名乗り母が財産を独り占めするために私を閉じ込めているのだと話します。「そんな男爵夫人の話とはまったく違うわ、あなたは病気だって言っていた」マインスター男爵は彼の足を指差して「ほら、これが僕の話が正しいという証拠さ」驚きのあまり息を呑むマリアンヌ。マインスター男爵の足には頑丈な足枷がはめられていたのです。「ねえ、君、良かったら母の部屋からこの鍵を取ってきてくれない」

 もともと優しい性質のマリアンヌ、すっかり男爵に同情してしまってはい、鍵を盗んでしまったのであります。男爵は大喜びで「ありがとう、外で待っていて、二人で逃げよう」寝室に戻って荷物を纏めるマリアンヌですが、外に出ようとしたところで立ちふさがったのが凄い形相の男爵夫人。「あんた、鍵盗んだでしょ!なんてことしてくれるの、鍵はどこ、返しなさい、返せ、やい、優しく言っているうちに返しなよ」男爵夫人はマリアンヌに迫るのですがここで現れたのが男爵でした。ひっと振り返る男爵夫人に「ママ、こっちへおいでよ」首をふる男爵夫人「早くおいでよ、来いよ、やい、優しく言っているうちに来いっての」親子揃って似たようなことを言っております(笑)。

 そのまま男爵と男爵夫人は姿を消してしまいます。心配になったマリアンヌ、またあの扉を通って男爵の部屋に行ってみますとそこでは空の足枷を握り締めたグレタが半狂乱になっておりました。「逃げた、逃げた、あれが逃げた」彼女は入ってきたマリアンヌをぎろりと睨むと「あんたが逃したんだね、あんた、自分が何をしたのか分かっているのかえ!」「あの男爵夫人はどこにいらっしゃるの?」グレタ、黙って部屋の隅を指差します。そこには椅子に座った男爵夫人が。マリアンヌは声をかけようとしたのですがその時彼女が死んでいることに気づいて「ヒーッ」彼女は恐怖に耐え切れず城を逃げ出してしまったのでした。

 残されたグレタはげらげらと笑いながら「でも男爵夫人も大したタマだった。あんたは息子を悪い仲間の手にゆだねてあんな存在にされちまった。それ以来あんたは若い女を城に誘い込んではその血を吸わせていたんだ」グレタは赤いカーテンをばっと開きます。その奥にははい、出ました、吸血鬼御用達の棺桶が(笑)。「息子は逃げた、でも、彼にはこれが必要なんだ、だから夜明け前には必ず帰ってくる。ひーっひっひっひ」グレタは哄笑します。吸血鬼よりこの人の方が怖いです。

 翌朝、森で倒れていたマリアンヌを救ったのは誰あろう、我らがヴァン・ヘルシング博士(ピーター・カッシング)でありました。実は男爵夫人がマリアンヌを誘った酒場の村で娘が不審な死に方をしておりまして吸血鬼専門家の博士が呼ばれていたのです。その娘は森で死んでいるのを発見されており喉元には二つの傷。それを見つけたヘルシング博士、「やはりこれはあれの仕業ですな」

 その後ヘルシング博士は馬車でマリアンヌを当初の目的地であったバドスタインの女学校まで送ります。道すがら昨夜の出来事を詳しくヘルシング博士に話すマリアンヌ。「もう無我夢中で逃げて荷物を全部置いてきてしまいましたの。大事なものもあるから取りに行きたいんですの」何を暢気なことを言うておるか(笑)。ヘルシング博士、真顔になって「絶対あそこへ戻ってはいけない。世の中にはあなたのような人が触れてはならないものがあるのです」さて、馬車はようやく女学校に到着。もう女学校ですから若い娘さんたちがぞろぞろ。ドラキュラの餌がもううなるほどあるという・・・。

 女学校の校長であるオットー・ラング先生(ヘンリー・オスカー)は「約束は昨日じゃなかったのかね」とマリアンヌの遅刻を責めるのですがヘルシング博士の取り成しがあってめでたく就職決定。ヘルシング、マリアンヌに別れを告げまたあの村へと戻ってきます。

 村では神父さんが死んだ娘の父親が遺体をごく普通に教会の墓地へ埋葬したと聞いて仰天、父親に説教をしております。「お前さん、何を考えておいでかね、あんたの娘さんは普通の死に方をしてないんだ、ええ、そんなことしたら娘は吸血鬼になってしまうよ」そこへヘルシング博士割り込んで「どうも神父、私がヘルシングでございます」「おお、あなたが吸血鬼ハンターで有名なあのヘルシングさんかね、良く来てくださった」こういう挨拶が交わされます。この後ヘルシング博士は神父さんに吸血鬼についてのレクチャー。吸血鬼は人の血を吸うこと、その犠牲者もまた吸血鬼になってしまうこと、彼らは昼間活動できず隠れ場所で眠っていること、神父さん、さすが吸血鬼ハンターだと感心してきいております。

 ヘルシングはさらに吸血鬼は昼間が弱点だから人間を操って彼らの隠れ場所が守らせていること、彼らは鏡や水にその姿が映らないこと、彼らは滅ぼすすべは木の杭で心臓を貫くかもしくは焼いてしまうことしかないことなどを説明します。ここでヘルシングはちらっと窓の外の墓を見て「あれが死んだ娘の墓ですな。急がなくてはならない」ヘルシング出動です(笑)。神父さんは彼に「これを持っていきなされ、少しは力になってくれるかも知れぬ」と聖水の壜を手渡すのでした。

 墓へ赴いたヘルシング、すでに日はとっぷりと暮れております。これじゃ、もう間に合わないじゃないか、何をのんびりしていたんだ、ヘルシング!おまけに墓からは気味の悪い女の喚き声が聞こえてくるではありませんか。あ、あれはグレタだ。グレタが娘の墓をぱたぱた手で叩きながら「さあさあ、がんばれ、もう少し、お前は新しい存在となってこの世に現れるんだ。さあ、頑張って押しなさい、ぐいっと押しなさい、呼吸法も忘れないで、ヒッヒッフー、ヒッヒッフー」見ていたヘルシング、呆れて思わず「出産か!」とツッコムのが面白いですな。

 このグレタの励ましが効いたと見えて墓土がぶいと持ち上がります。今や吸血鬼の仲間となった娘が土ごと棺桶の蓋を持ち上げたのです。「けっけっけっけー」と喜びの声を上げるグレタ。この人もだんだん人間ばなれしてきたよ(笑)。ここで別なところから見ていたらしい神父さん、「もういい加減にしろ」とグレタに飛び掛ります。娘はこの隙にばっと墓地から逃げ出した。ヘルシングは娘を追おうとしたのですが突如出現した大蝙蝠に遮られ彼女を逃してしまったのです。

 ヘルシングは墓地で見つけた十字架を持ってマインスター男爵の城へ向います。敵の本拠を直接叩こうという計画です。ほどなくマインスター男爵がマントを広げた御馴染みのポーズで「シャーッ」と現れたのですが、ヘルシングが十字架を突きつけると「ヒーッ!」それからどったんばったん椅子を投げあったり柱に隠れてお互いの悪口言い合ったりの争いの挙句あっさりと男爵に逃げられてしまうのです。この後今や息子によって吸血鬼となった男爵夫人が涙ながらにヘルシングに語ったことにゃ「私はあの子を甘やかしすぎた。あの悪魔達に仲間にされた時にも何もしなかった、全て私が悪いのです」ヘルシング、この告白を聞いて「よろしい、私が解き放ってあげましょう」

 一夜が明けてベッドの上で眠ってしまった吸血男爵夫人の胸に杭を打ち込むヘルシングです。しかしこの場面朝日ががんがん差し込んでいるのですが男爵夫人、そういうのは関係ないのですかねー。

 さてヘルシングから逃れたマインスター男爵、更なる企み。なんと彼はバドスタインの女学校を訪れ図々しいことにマリアンヌに結婚を申し込んだのであります。「ンマー、嬉しい」と頬を染めるマリアンヌ。お前、絶対城で起こったこと忘れているだろう(笑)。ソファーの上で死んでいる母親見たのになんでその息子との結婚を承諾するんだよ。なお、いろいろ規則に五月蝿いオットー・ラング校長はマリアンヌが男と二人で話しているのを見て「なんということを、この神聖な学び舎に男を連れこむとは、絶対許しませんよ」と喚くのですがマインスター男爵が自分の素性を明らかにすると「へ、これは男爵様でいらっしゃるので、ということはこの学校の大家さん?」彼は盛んに揉み手をはじめて「へえ、へえ、もうお好きなだけ滞在なさいませ。なんですと、結婚ですと、それはおめでたいことでございますなあ」変わり身の早い人であります(笑)。

 しかしその夜マリアンヌの結婚を心のそこから羨んでいた同僚のジーナ(アンドリー・メリー)を襲うマインスター男爵。彼は蝙蝠に変身して彼女の部屋へ忍び込むと恐怖に立ち竦んでいるジーナの首筋にがぶり。「いただきまーす」はい、ちゅーちゅー吸われて死んでしまいましたとさ。

 彼女の死は村の医者、ドクター・トブラー(マイルズ・マリーソン)を通じてヘルシングと神父に知らされます。早速トブラーと共に女学校へ赴いたヘルシング、ジーナの死体を調べて「ほら、喉に二つの傷がある。これはドラキュラの印だ。彼女を殺したのは吸血鬼ですよ」当然ながらドクター・トブラーは信じません。「何言っておられるのですか、こんな傷、ペットの犬とか猫に咬まれたに決まっている」ってそれも無理があると思うけれども(笑)。ヘルシング、おろおろしている校長、校長夫人に「この遺体を馬小屋に安置するのです。棺桶には厳重に南京錠を掛けてください。そして見張りをつけて、私は日没時に戻ってきます」と指示します。

 しかしなんですねえ、吸血鬼の仕業と分かっているのだからこの時点で遺体を燃やしてしまえばいいのにねえ、現にヘルシングは校長夫妻を「この娘は熱病で死んだ」とごまかしているのです。この熱病の伝染を防ぐためとか口実はいくらでもつけられるではありませんか、え、それでは映画が進まなくなってしまう、ウウーム、それもそうですなあ。

 さて、マリアンヌに会ったヘルシング、彼女から「私、マインスター男爵と結婚の約束をしたんですの」と言われてびっくり仰天。このままでは彼女も危ない、いよいよ急がなければと焦ります。

 そのマリアンヌ、仲の良かったジーナの死を大変に悲しんでおりました。それでよせば良いのに馬番のステッドマンと一緒に遺体に付き添っております。するといきなりがちゃん、棺桶の南京錠が外れて落ちてしまいました。それを調べたステッドマン、不思議そうに「錠はかかったまんまですぜ、ヘンだな、ちょっと校長先生呼んできまさあ」外にでたステッドマン、突如出現した大蝙蝠に襲われ顔面ずったずた。ばったりと倒れて絶命します。一方馬小屋では棺桶ががたがた揺れだしてついに残りの南京錠がはじけ飛んだ。蓋が勢い良く開いて現れたのはおお、今や吸血鬼となったジーナです。

 ジーナはあまりの驚きに失神しそうになっているマリアンヌに迫ります。「私もあの方に愛されたの、あなたも一緒に愛されましょう。あの方は古い風車小屋にいらっしゃるわ、さあ、急ぎましょう」ついに崩れ落ちるマリアンヌ、このまま拉致されてしまうのかと思いきや最高のタイミングでヘルシングが戻ってきた。「てめえ、この激安吸血鬼、これでも食らえ!」十字架を突きつけられたジーナは「ヒーッ!」と叫んで逃げてしまいました。ヘルシングはマリアンヌに男爵が吸血鬼であることを告げ彼の居場所を教えるように頼むのです。最初マリアンヌは「ウソよ、あの人が吸血鬼なんて」と信じないのですが何しろ先ほど死から蘇ったジーナを見たばかりです。ついにヘルシングの説得に応じて「男爵は風車小屋です」と教えるのでした。

 勇躍風車小屋へ向うヘルシング。ここに男爵、ジーナ、村の娘、グレタら吸血鬼軍団対ヴァン・ヘルシング博士の第一次決戦が勃発したのです。しかしここで勝利を収めたのは吸血鬼軍団。グレタが自分の身を犠牲にしてヘルシングから十字架を奪ったのでした。身を守る手段を失ったヘルシングは鎖で首をぎりぎりと絞められ失神。男爵、「いただきまーす」彼の首筋に噛み付いてちゅーちゅー。哀れヘルシング、血を吸われてしまったのでありました。満足げな吐息を洩らした男爵、ジーナを攫いに向います。

 失神から目覚めたヘルシング。自分の首筋に手をやって愕然、「ああ、わし、吸血鬼にやられちゃった」ここでヘルシング、荒療治。焼き鏝を手に取るとそれを赤々と燃えている炭火の中に突っ込みます。十分に熱した焼き鏝を首筋の咬み傷にじゅーっ。「アッチッチッ」と悲鳴を上げるヘルシングです。そして焼け爛れた傷口に神父さんに貰った聖水を振り掛けるとあら不思議、吸血鬼の咬み傷が消えちゃった。意外と簡単なものなのですなー(笑)。ちなみにジーナと村の娘の二人の吸血鬼はこのヘルシングの行為を見守るのみ。時々「ふーっ」と猫のような威嚇音を出すだけで何もしようとはしません。聖水取り上げてしまえばヘルシングの復活はなかったのですがねえ。

 そこへマリアンヌを連れた男爵が戻ってきました。ヘルシングは男爵の顔に「いつまでもお前の好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ」と叫んで聖水をばしゃっ。「ぎゃあああ」恐ろしい悲鳴を上げる男爵。その顔面は見るも無残に焼け爛れてしまいました。男爵、苦しさのあまり炭火を蹴飛ばして大暴れ。これで風車小屋が火事になってしまいます。外に逃れたヘルシングはやっと風車に飛びついて動かした。風車の角度が変わってその影が十字になった。これに転がりでてきた男爵が捕まって「ひいいいいい」ついに絶命したのです。

 マリアンヌと男爵の背後で燃え落ちる風車小屋。エンドクレジット。

 風車を十字架に見立てるというアイデアは良いのですが、でもこんな十字形でもやられちゃうということになるとドラキュラ大変じゃないですかねえ。家の窓とかいろいろ十字のものはたくさんありますからねえ、ドラキュラ、うっかり外も歩けなくなるんじゃないですかねえ。

 カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。それなりに画質は良いのですが色のにじみが気になります。音質はいつもの通りクリア。英語字幕つき。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

 エロの冒険者 

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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2007年5月12日 (土)

『吸血狼男』(『The Curse of the Werewolf』 1961年)

 

『吸血狼男』(『The Curse of the Werewolf』 1961年)

 ハマープロの狼男映画。もうこの狼男の出自が哀れで哀れでしかもこの狼男が富豪の令嬢と許されぬ愛を育むというのですからこんなの悲劇以外になりようがない!ユニバーサルの狼男シリーズとは一味違った傑作です。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

時は200年前、ところはスペイン、浮浪者が恵みを求めてある町へ来たああん、べんべん、日曜でもないのに教会の鐘がごんごん、外には誰も出ていない、酒場に入ってそれはなぜかと尋ねたら、ああん、城で公爵様が結婚式を挙げていたぁ、浪曲調でやろうと思ったのですがうまく行きませんでした。どうもすみません。浮浪者が何か恵んでくだせえと村人に頼みますと、「城へ行きなはれ、城へ。あそこなら何か貰えまっせ」

 放浪者、喜んで城へ向います。その領主、マーキス公爵が稀代の癇癪もちでしかもとても残酷な性質であるなどとは夢にも思わずに。

 城では村人が言ったとおり、結婚披露宴の真っ最中。マーキス公爵は浮浪者を見ると大喜びして「よし、踊ってみんかい、歌ってみんかい、そしたら肉でもワインでもなんでもやるで」浮浪者、最初はしり込みしていたのですが、ワインと食い物と聞いてはやらない訳にはいきません。「ほなら、一曲やらせていただきますわ」楽団の演奏に合わせて不器用に踊って見せます。公爵はさらに喜んで浮浪者にワインをがぶがぶ飲ませます。浮浪者は酔っ払ってさらに激しい踊り。そしてマーキスから褒美として投げ与えられた肉片にまるで犬のように飛びつくのでした。満足げな唸りを上げて肉を食べる浮浪者です。

 まあ、ここまではよかった。しかし酔っ払った浮浪者、退席しようとするマーキス公爵夫妻に思わず「うへへへ、この後がお楽しみという奴でげすな」って下品なこと言っちゃった。はい、浮浪者、公爵の怒りを買って地下牢へ放り込まれてしまいました。その彼を世話したのは年老いた牢屋番と口がきけない少女のみ。酷いことに公爵、この浮浪者の存在をあっという間に忘れてしまったのです。浮浪者そのまま地下牢に閉じ込められ続けることになったのでした。これでだいたい10年位が経過しまして浮浪者は毛むくじゃらで目を血走らせてまるで獣のような風体になっております。少女は美しく肉感的な女性に成長していたのですが、やっぱり口がきけないまま。マーキス公爵はそのイヤーな性格が災いして妻がストレスで早死に、友達にも愛想尽かしされて孤独な生活を送っているのでした。

 公爵、もう顔にぶつぶつが一杯出来て鏡見ながらそれを潰すのが日課という楽しそうな生活を送っているのですが、ある日たまたま部屋を掃除していた女性を見初めたのです。口はきけないけれども顔と体は天下一品、公爵はたちまちたまらんごとなって「ええやろ、させんかい!」と躍りかかったのでした。しかし手を噛み付かれて女性に逃げられてしまいます。「あの女めを地下牢に閉じ込めんかい」公爵は激怒のあまり叫びます。その命令どおり部下の手によって地下牢へ放り込まれる女性。その彼女にいざりよってきたのはあの浮浪者です。浮浪者もやっぱりたまらんごとなって「ええやろ、させんかい」あんたら、そればっかりですな。

 女性は必死に抵抗するのですが結局ヤラれてしまいます(笑)。その後、公爵から呼び出しが来て牢から引きずり出される女性、不可解なことにその時点ですでに浮浪者は死んでおります。長年牢屋暮らしという不摂生な生活で痛めつけられていた体が久しぶりの女体に張り切りすぎたのでありましょうか。さて、連れてこられた女性に、また「ええやろ、させんかい」と飛び掛る公爵。本当にそればっかりや。しかし女性、背中に隠し持っていた尖った燭台で公爵を滅多突きにして殺害、逃亡します。

 数ヶ月森をさ迷った末に彼女は村の素封家ドン・アルフレッド・コルレド(クリフォード・エヴァンス)に助けられたのでした。ちなみにここまでの場面はアルフレッドのナレーションで語られるという趣向でございます。

 女性はアルフレッドと家政婦のテレサ(ハイラ・タルフレィ)の手厚い看護を受け元気を取り戻します。しかしこの時点で彼女が妊娠していることが分かってテレサは浮かない顔。「テレサ、どうしたのや、赤ん坊が産まれるのやで、目出度いことやないの、なんか悪いことでもあるのか」とアルフレッドに聞かれたテレサ、「出産予定日が1225日というのがあきません。キリストと同じ日にててなしの望まれぬ子が生まれてくる。これは神への冒涜だす」そんなテレサの心配をよそに1225日女性は玉のような男の子を産み落とします。

 でもテレサに心配は当たっていたようで男の子が生まれようとしたその時「ウォーン」という狼の吠え声が聞こえたり女性があっさり産褥死したり、赤ん坊に洗礼を受けさせようとしたら聖水が泡だって悪魔の顔のように見えたりいきなり雷がどがしゃーんと落ちたり、気味の悪い出来事が続きます。しかしアルフレッドとテレサはこの男の子をレオン(ジャスティン・ウォルターズ)と名づけ大切に育てたのでした。

 さてまたまた数年が過ぎ去りレオンはだいたい五歳くらいの元気な男の子に成長しております。心の優しい子で猟師のぺぺ(ウォーレン・ミッチェル)に連れて行ってもらった狩りでリスが撃たれるのを見て涙を流したというくらい。まったく普通の子と変わらない様子だったのですが・・・。

 その猟師のぺぺ、喉をかききられたらしい羊の死体を見つけます。他にも猫などの被害が出ておりまして、これは狼の仕業だということになります。家畜の保護を請け負っているぺぺ、村長に呼びつけられて「お前、なにしとんねん、お前に金を払っとるのは家畜を狼の餌にするためやあらへんぞ、ええか、24時間以内に狼とってわしのところへ持ってこんかい」と命令されてしまったのでありました。「そないなこと言うたかてわし一人で家畜全部守れるかいや、まったくあの村長無理ばかり言いやがっていつかいてもうたる」ぺぺ、ぶつぶつ言いながら狼退治に出かけます。そしてライフルもって見張っておりますと藪の中でがさごそ何かが動く音。「狼や」ぺぺ、ズドンとライフル発射。「当たった、当たったぞ、狼もイチコロや」しかし残さていたのは血痕のみ。どうやら狼は傷を負いながらもなんとか逃げ出したようであります。

 はい、次の場面になったらもうベッドでレオンが脂汗かいて苦しんでいるという・・・。えらく正体を明かすのが早いことでもうちょっともったいぶっても良かったのではないですかね(笑)。レオンは足に銃傷を負っていました。彼の傷を調べたアルフレッドは肉にめり込んでいる弾を見つけて愕然とします。「こ、これは猟師に鉄砲で撃たれたんやないかい、一体何が起こっているのや」彼はレオンを問いただすのですが、彼はベッドから一晩中出ていない、ただ悪夢を見ていただけと言い張るのです。その夢は彼がぺぺの狩りについていって撃たれたリスを見た日から始まったらしい。レオンはなおも「僕は思わずリスの血をなめてしもうたんよ、とても甘くてもっと味わいたかった。僕は夢の中で狼になってヤギの血を吸ったんや」

 レオンのこの奇妙な言動に不安を抱いたアルフレッドは神父さんに相談します。神父さんはあっさりと「あ、それ狼男ですわ」「はあ、やっぱりそないでっか」がっかりするアルフレッドです。「狼の悪霊ちうもんは心の弱いもの、また愛情に飢えている人間に取り付くのですわ。レオンには本当の親御さんがおらんでっしゃろ、そこを悪霊につけこまれたんですなあ」「すると私ら、あの子のためにどないすればよろしいので」「あんたたちがあの子をこれまで以上に愛することです。愛して愛して愛しぬく、この人間の情だけがレオンを救う道や」アルフレッド、内心、愛して愛して愛しぬくって演歌かと思いましたけれども他にすがるものもなし、「へえ、分かりました、やってみます」

まあ、愛して愛して愛しぬくだけで狼男の呪いが解ければこんな簡単なことはないのですが。

 ところでぺぺはどうなったかと申しますと狼を仕留められなかったということで村長さんから大目玉を食らっておりました。村人たちにも笑われてもう憤然となっております。おまけに「確かに狼に弾を当てたのやで」と主張しても誰も信じてくれません。一大決心をしたぺぺ、奥さんの大事な十字架、大司教から直接祝福を受けたという銀の十字架を溶かして弾をこしらえるのでした。そしてその弾を持ったぺぺ、再び狼退治に出かけます。

ライフルを構えて待ち受けるぺぺ。その彼を天上より照らす満月、いつ狼男が出てきてもおかしくない良いムード。果たしてウオオーンという吠え声と共に獣が飛び出してきた。その機会を逃さず狙い撃ちするぺぺ。見事命中します。どうと倒れたのはああ、なんということでしょう、それは狼ではなく羊飼いドミニクの犬だったとさ。ぺぺ、呆然として「なんや、お前が犯人やったんかい。わざわざ十字架溶かして銀の弾丸なんか拵えて損したわ」

 その頃アルフレッドの屋敷ではレオンが狂いたっていました。アルフレッドが取り付けた窓の鉄格子を揺さぶってウォーでがんす、ウォーでがんす。彼の前歯は牙のように鋭くとがり両手には子供とは思えないもじゃもじゃの毛がはえています。しかし彼の発作はまもなくおさまりその後成人するまで他の人と変わらぬ生活を送ることができたのです。アルフレッド、テレサ、そして神父は狼男になるという恐ろしい病気は病気はもう完全に治癒したと安心していたのですが・・・。まあ、ここで治っちゃ映画が終わってしまいますからな(笑)。

 さて成人して見目麗しい男となったレオン(オリバー・リード)、実家を離れてドン・フェルナンド(イーエン・ソロン)のワイン工場で働くことになります。主人のドン・フェルナンドはそりゃ口やかましく厳しい雇い主でしたが気のいい同僚ホセ(マーチン・マシューズ)、美しいフェルナンドの娘クリスティーナ(キャサリーン・フェラー)がいてなかなか楽しい職場。そのうち、クリスティーナの婚約者ゴメス(デヴィッド・コーンウィル)が馬車でレオンにドロを引っ掛けたことがきっかけとなってレオンはクリスティーナと恋に落ちたのであります。

 クリスティーナはレオンにドロを引っ掛けて謝りもせずげらげら笑っているゴメスの傲慢さがいやになり、レオンはそのことで謝りに来たクリスティーンの誠実さにうたれたのであります。ひと目会ったその日から、恋の花咲くこともある。見知らぬ貴女と見知らぬ君に、デートを取り持つパンチDEデート!」ちう訳ですな。ちょっと違いますか(笑)。二人はフェルナンドの目を盗んでは逢瀬を重ね「クリスティーナ、わいと結婚してえな、二人で逃げてぇな」「駄目よ、レオン、うちのお父さんはうちをゴメスと結婚させようとしてんねんで」「だったらわてがお父はんに説明するわ」「それだけはやめて、そんなことしたらうちら、明日から会えなくなるわ」てな会話を交わしているという・・・。

 そんな中事件が起こります。給料日の土曜日、ホセに誘われて町へ繰り出したレオン、満月を見てふらふらになったところで酒場の女から猛烈な誘惑を受けたのです。女は「あんた、そんな気分が悪いならうちの部屋で休んでいけばええやんか」満月の影響を受けて汗まみれになっているホセ、女の部屋へ連れていかれてベッドに寝かされたところでたまらんごとなって「ええやろ、させんかい」女にむしゃぶりつくのでありました。その時キスの勢い余って女の皮膚を傷つけてしまうレオン。この血の味がさらに彼を狂わせてついに狼男に変身してしまうのです。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」レオンは女をずったんたんのめったんたんにして殺してしまいました。さらに彼の様子を見に来たホセも「ウォーでがんす、ウォーでがんす」絞め殺します。

 ここで舞台はぺぺの酒場へ。あの羊飼いのドミニクがべろんべろんに酔ってぺぺに「お前、あの時なんで俺の犬撃ったんだあ、あれは俺の犬の中で一番だったんだぞ」と絡んでいるのがおかしい。ずーっと彼はそのことでぺぺに文句を言っているようです(笑)。そして「だって仕方ないだろ、本当にあの犬がやったんだから」とぺぺに諭されて外に出たドミニク。狼男「ウォーでがんす、ウォーでがんす」と彼を襲ってやっぱり殺してしまいましたとさ。

 アルフレッドは誰もいないはずのレオンの部屋から激しい息遣いが聞こえてくるのに驚きます。中へ入ってみるとベッドでレオンが苦しそうに唸っているではありませんか。しかも彼の両手は血だらけ、おまけに窓の鉄格子は引きちぎられています。アルフレッドはこの光景だけで全てを理解しました。また忌まわしきアレが始まったのです。アルフレッドは目を覚ましたレオンを教会に連れていき他にこの秘密を知る神父さん、テレサと共に本当のことを打ち明けたのでした。「お前はな、狼男なのや、狼男いうても男は狼なのよ、気をつけなさい、の狼やないで、ウォーでがんすで暴れまわるアッチの狼男や」おまけに神父さんたら「可哀想やが、こうなった他は施設に入ってもらうほかあらへん、そこで鎖に繋がれて監禁されればさすがに大丈夫やろ」と酷いことをいう(大笑い)。

 絶望したレオン、悄然となってワイン工場へ戻ります。しかしそこでもホセが行方不明になったということで警官に尋問される、フェルナンドからは「お前らはもう、酒なんかに溺れおってだらしないのう、ええ加減にせえや」と怒鳴られる、彼の救いは今やクリスティーナだけでした。そのクリスティーナ、満月を見てまた汗まみれになったレオンを見つけます。彼女はそのまま彼を一晩中介抱するのでした。ここでレオンがやにわに変身して「ウォーでがんす」クリスティーナも哀れずったずたになるかと思われたのですが意外なことにレオンはそのまま平穏な状態で朝を迎えたのです。「これはそうや、愛や、クリスティーナの愛の力がわてを悪霊から守ってくれたのや、そうや、そうに違いあらへん」レオンはびっくりしているクリスティーナに「僕はクリスティーナがおらんと駄目になってしまうのや、頼む、クリスティーナ、訳を聞かんとこのまま僕と逃げてくれ、そして結婚しようやないか」クリスティーナ、ついにこの頼みを承諾します。

 ところがここでタイミングの悪いことに警察がやってきた。彼らは酒場の女の殺人現場からレオンのものである衣服を見つけたのです。これが証拠となってレオン、殺人犯として連行されてしまいます。クリスティーナは父親とゴメスに「お前、レオンの奴と逃げるつもりだったやろ!なんちう淫乱な娘じゃ」と責められるのですが開き直って「そうよ、うちはレオンと愛し合ってるわ、結婚しようと思うとるんよ」唖然とする二人を残しクリスティーナはゴメスの馬車を使って町へ急行するのでした。

 さて牢屋の中のレオン。このままだと夜になったらまた変身して多くの人々に害をなしてしまう。彼は牢番を買収してアルフレッドと神父さんを呼びだし驚くべきことを頼むのでありました。「町長さんに行って僕を死刑にしてくんなはれ。そうしないと僕は変身してまた人を殺しますで、こんな牢屋なんか一遍で破ってしまいます」不承不承彼の意思に従った二人ですが町長は信じません。「狼男がウォーでがんすってそんなアホなことありますかいな」この時クリスティーンが牢屋に到着して「うち、この人と婚約してるんです」と叫んだのも悪かった。町長頷いて「よし、狼男がちゃんと恋愛して結婚できる筈がない。これで決まりや、レオンは普通の人間や、ちゃんと裁判を受けて罪を償って貰います」

 レオン、ここでアルフレッドに叫びます。「ぺぺが銀の弾丸持っている、お父はん、それだけが僕を救う方法や」

 この後、クリスティーナはアルフレッドの屋敷に滞在しレオンが狼男であることを聞いて失神しそうになるという一幕を挟みまして、その夜定石どおり満月に照らされて変身するレオン。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」一緒の牢に入っていた老人を殺します。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」牢をあっさり破って牢番をやっつけます。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」狼男は外に飛び出して町中を恐怖のどん底に陥れたのでした。彼の後を追うテレサ、アルフレッド、クリスティーナ。「ウォーでがんす、ウォーでがんす」狼男は教会の塔に登ります。ここでライフルを取り出したアルフレッド、彼の後を追って塔へ登るとぺぺから貰っていた銀の弾丸でずどん、「ウォーでがんす、ウォーでがんす」狼男の胸板から血がびゅうと飛び散って絶命してしまったのでした。彼にそっと自分の上着をかけてやるアルフレッド、下では群集に混じって立ち尽くすテレサとクリスティーヌ、エンドマークですって、あれ、この狼男死んでも元に戻らないんだ(笑)。

本当に哀れな哀れなレオン。こんな可哀想な狼男が他におるか。

 カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。ノイジーな画面ですがこの映画は奥行き感に優れておりました。音質はいつもの通りクリア。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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『幽霊島』(『Night Creatures』 『Captain Clegg』 1962)

 

『幽霊島』(『Night Creatures』 『Captain Clegg』 1962

時は1776年、ところは海賊船の船長室。おりしも水夫ムラートゥ(ミルトン・レイド)がクレイグ船長の奥さんを襲った咎で裁かれようとしております。罪状を読み上げるクレイグ。「お前はか弱き私の妻を襲った。その罪は裏切りと同等だ。よって、耳を裂き、舌を切り取った上で無人島に置き去りにするものとする」みんなよってたかってムラートゥの耳をざくーっ!舌をちょきーん。「むがむがひー」叫ぶムラートゥ。彼はそのまま無人島のやしの木に縛り付けられて置き去りにされてしまいましたとさ。

 ん、これはどこかで見たことがあるような場面だな。そう、この映画は『Dr.Syn』(1937年)に続くラッセル・スローンダイク原作の『ドクター・シン』シリーズの二番目の映画化なのであります。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 さて時は下って1792年、海辺の寒村マーシュ。「マーシュは権力におもねない独立の気概を持った村である。村人たちは密輸によって生計をたてていた。もうひとつ、この村には名物がある。それは伝説のマーシュの亡霊だ。うっかり外を歩いているとこの亡霊につかまってあんなことやこんなことをされてしまうのだ」というナレーション。場面が切り替わって夜の荒野をさ迷う老人となります。その前に現れたのが先ほどナレーションで語られたマーシュの亡霊たち。あ、ガイコツが馬に乗ってる(笑)。老人、ひーっと声を上げて逃げ出します。しかしたちまち息を切らせて案山子にしがみつく老人、あっ、この案山子の中に人が入っていたァ(大笑い)。じろりと睨まれた老人、また逃げ出すのですがあっさり亡霊たちに先回りされて道をふさがれ沼へじゃぽん。うわ、この沼、カエルで一杯だ、趣味悪りー。

 翌日、教会でミサを行っている神父、ブリス(ピーター・カッシング)。彼の指揮で集まった村人たちが聖歌を合唱しております。みんな真面目に歌っているのですがその中に密かに視線を交わす二人の男女あり、村一番の素封家コブトリ(デレク・フランシス)の息子ハリー(オリバー・リード)と酒場の主人ラッシュ(マーティン・ベンソン)の養女イモージン(イボンヌ・ロマニ)であります。コブトリやラッシュがそんな二人に気づいて嫌な顔をしているところをみるとどうやらこの二人の仲は両家に歓迎されていないらしい。

 そんな中島にボートで上陸してきた兵隊の一団あり。指揮官コリアー大佐(パトリック・アレン)の指揮の下、彼らは隊列を組んでマーシュへ向うのでした。それを見ていたのが小生意気そうな、い、いや、年齢の割には利発そうな子供。彼は兵隊さんたちが行ってしまったタイミングを見計らって丘の上へ駆け上がります。そしてエプロンを使って合図したのです。それを教会の塔の上から望遠鏡で確認した男、紐をひっぱってミサ中の村人たちに知らせるのでした。村人の半分ほどが急いで教会から出ていきます。

 村へ到着したコリアー大佐と兵隊たち。大佐はマーシュの酒場を指差して「探すものは分かっているな、よーし、捜索開始」兵隊たちは酒場へ雪崩こみます。それから酒場のあちこちをひっくり返したり果ては壁をがんがん剥がしたり、教会から戻ってきたマーシュはその惨状に呆れて「え、フランスワインを隠してないかですって、税金高いからそんなもの扱ってないですよ、それより壁の修理代はどうしてくれるのですか」コリアー大佐は彼の抗議に耳を貸さず副官(デヴィッド・ロッジ)に「あのフェレットめをつれてこい」そのフェレットというのが冒頭クレイグ船長に無人島に置き去りにされたムラートゥだったという。両手を鎖でつながれたムラートゥは連れてこられるなりくん、くんとあたりをかぎまわってあっという間に床の隠し扉を見つけてしまったのです。

 「おい、なんだこれは」大佐に詰め寄られてラッシュはうんざりした顔で「そりゃ地下室ですよ、何で入り口隠したのかって床に穴が開いてちゃ不味いでしょうが、酔っ払いがうっかり落ち込んで首の骨を折ったりしますからな」コリアー大佐は地下室の捜査を開始します。しかしここにもフランスワインはなし。唯一怪しそうな大樽があったのですが穴を開けてみたら流れ出てきたのは船の塗装用のワニスだったのです。副官、確かめるためにワニスをなめて「うえー、ぺっぺ、大佐どの、たしかにワニスであります」なんてやっています。「ほら、やっぱり何もなかったでしょ」とラッシュに言われて憤然としたコリアー大佐「だったらトム・ケッチに会わせるのだ」

ムラートゥはピーター・カッシングを見て顔を強張らせます。ということはカッシングの正体は…。

 棺桶製造業者のジェレマイア・ミップス(マイケル・リッパー)がコリアー大佐を案内することになりました。彼らが地下室を出て行った後、ラッシュはワニスの樽をぱかりと開きます。ワニスが入っていたのは樽の前半分だけでその後は秘密の出入り口になっていたのでした。それを潜ったラッシュ、地下通路を通ってついたのがミップスの棺桶製造工場。そこではみんな大慌てで棺桶に密輸フランスワインを詰め込んでいます。彼らの密輸品の隠し場所はここだったのです。「急げ、急げ、みんな隠してしまうんだ」

 ミップスは完成した棺桶置き場に大佐を案内します。「こんなところにトムがいるのかね」「ええ、ほら」ミップスが棺桶に掛かっていた布をはらりと取るとばーん、中に横たわっていたのは青白い顔のトムの死体でした。冒頭でマーシュの亡霊に沼に追い落とされたのは彼だったのであります。実はこの男、大佐のスパイで「マーシュで密輸の疑いあり」と通報していたのでした。「なんで死んだんだ」「医者のペッパー先生によるとどうも心臓がいけなかったようで、多分、マーシュの亡霊に脅かされて恐怖のあまり死んだのですな」「亡霊だと?何を馬鹿なこといっとる。そんなものは迷信だ、わしがきっと真犯人を捕まえてやるぞ!」

 一方棺桶製造工場では兵隊達の捜索にびびったらしいラッシュが「よし、酒をみんな水路に流してしまえ、蒸留器もぶっ壊せ、命令だぞ」しかしその時突然現れたのがブリス神父、ピーター・カッシングです。「まて、ラッシュ、お前に命令の権限はないぞ。あんな兵隊どもなどなんということもない。そのまま仕事を続けるのだ。今夜の取引も予定どおり行う」「そんな馬鹿な、見つかったら私ら問答無用で縛り首ですよ」「大丈夫だ、まかせておけ、このピーター・カッシングに」ラッシュは不満そうに「ピーター・カッシングに任せておけって、だいたいあんたの映画はラストがろくなことにならんじゃないか」カッシングに聞こえないように呟いております。

 さて長丁場を覚悟したらしいコリアー大佐、兵隊たちの宿舎を求めて教会へやってきます。彼を迎えたカッシング、「はあ、兵隊さんが泊まれるところですか、困りましたなー、当教会に余った部屋はないのですよ」「他に適当な場所はないのかね」「そうですなー、ペッパー先生の屋敷は広いですが、いや、駄目だ、あの先生、やっかいな伝染病の治療に当たっておりますからな、やめたほうがよろしい。大佐どの、いっそ船にお戻りになったら如何ですか、船から村へ通えばいいのです」納得いかない顔つきのコリアー大佐です。そりゃ、そうだ、カッシング、「面倒だから村に泊まってくれるな」と言っているのも同然ですからね(笑)。帰ろうとしたコリアー大佐、一つの墓に目を向けます。「おお、これはクレイグ、海賊クレイグの墓ではないか」「彼は悪運極まって捕まり絞首刑にされたのです」「畜生、できることなら私の手で彼を捕まえてやりたかった」「ははは、それは惜しいことでしたな」

 さて、その夜ラッシュの酒場で大騒ぎの兵隊たち。イモージン、「お、こりゃきれいなネーちゃん」「おお、眼福、眼福」などといいながらお尻をさわろうとする兵隊たちの手を必死で払いのけながら酒をついで回っております。ラッシュの奥さんに「イモージン、ビール足りないよ、急いでとってきておくれ」酒蔵へ行くとハリーが忍んできて「おお、早く結婚したい」「駄目よ、あなたのお父さんも私の義父も絶対反対するわ」「おお、どこか遠くへ行って結婚しよう」というお決まりのやりとり。ハリーが帰った後イモージンの様子がおかしいことに気づいたラッシュ、「あいつが来ていたな」と彼女を問い詰めます。あまつさえあ、こいつ、キスしようとしてやがる。イモージン、エロオヤヂの頭を酒瓶でごっ。ラッシュ昏倒するというギャグ。

 その後カッシング、コリアー大佐、コブトリ、ハリーが親睦の夕食会。ここでコブトリがせっかくのカッシングの努力を無駄にする「あ、兵隊は私のところの納屋に泊まればよろしい」発言が飛び出します(笑)。この一言で顔をこわばらせるカッシング。またハリーがマーシュの亡霊を見たことがあると言い出します。亡霊の様子をしつこく問いただす大佐、「よし、やっぱり私が亡霊を退治してくれる」と張り切るのでした。夕食会が終わってカッシング、コリアー大佐が連れ立って帰ろうとした時一人の村人が「亡霊だ、亡霊がでたァ!」コリアー大佐、この村人に案内させて全ての兵隊を連れて亡霊退治に乗り出すのでした。

 しかし、もう皆さんお分かりでしょう、これはカッシングたちの作戦だったのです。彼らが亡霊に釣られて村を離れている間に密輸酒を積んだ馬車を出発させる作戦だったのです。次々に村を離れる馬車の群れ。計画は見事に成功するかと思われたのですが、たった一人、ムラートゥの見張り役の兵隊が残っていた。彼は馬車の音を聞きつけて外に出ます。そして「おい、そこの馬車、どこに行くんだ、止まれ」彼を見つけたラッシュ、パニックに陥って衝動的に刺し殺してしまうのでした。ラッシュ、死体を納屋に戻して逃げ出します。ムラートゥ、この死体から鍵を奪って自分の手錠を外します。そして彼もまた夜の闇に消えてしまったのでありました。

 マーシュの亡霊退治のために村人に案内されて延々と荒野を歩く兵隊さんたち。コリアー大佐は気が短いたちと見えて村人に「おい、まだかね、あとどのくらいあるのかね」としつこく尋ねております。村人はそのたびに「もうすぐです、もうすぐです」と誤魔化していたのですがいつまで歩いたって亡霊なんかいやしない。ついに大佐、切れて村人にナイフをつきつけ「おい、お前、囮だろう。俺たちを引きつけてその間に密輸をやろうとしているのだ」はい、その通りです(笑)。こんなことやっている間にミップスに率いられた密輸品満載の馬車は取引場所である風車小屋に到着。荷物を降ろして業者と取引をやっております。

 吠えるコリアー大佐、「おい、俺たちを密輸現場に案内しろ、案内しなければその耳をそいでしまうぞ。そうなったら耳垢もほじれなくなるぞ」村人、この脅しに屈して彼らを取引現場へ連れていくことになってしまいました。村人を先頭にのんのんずいずいと進む兵隊たち。あ、取引現場の風車小屋が見えてきたぞ。ミップスたちの取引は終わってない、ああ、見つかってしまう、大ピンチだ。

ところがマーシュの人たちはちゃんと見張りを立てていました。それは案山子です。案山子の中に人が入っていて進んでくる兵隊たちを見張っていたのです。案山子の中の人はひょいと腕を上げてミップスたちに合図します。これに気がついたミップスたち、素早く取引を終わらせると馬車に乗って逃げてしまいました。その後でのこのこやってきた兵隊たち、風車小屋の中を調べるのですが当然何も見つかりません。おまけに案内させていた村人もこの隙に逃げてしまってコリアー大佐、怒るまいことか。

 その時、部下の一人が叫びます。「隊長、あの案山子動きましたぜ。左手をひょいっと上げました」コリアー大佐、すかさずピストルを引き抜いてずどん。案山子の左手に命中させます。彼らが案山子を調べてみるとその左手には血痕がついておりました。コリアー大佐、「よし、村へ戻って腕に傷のある奴を探すのだ」

 兵隊達は村に戻ってきます。すでに朝になっておりまして結局彼らは徹夜で無駄働きをさせられた訳です(笑)。コリアー大佐も疲れきった顔。その彼に陽気に声をかけたのはピーター・カッシングでした。「大佐、とても良い朝ですな、私のところで朝食をご一緒しませんか、ベーコンが美味そうに焼けておりますぞ」その誘いを受けてカッシング邸へ赴くコリアー。彼は玄関先で泥まみれになったブーツを見つけます。「そうか、彼が案山子に入っていたのか」彼はいきなりカッシングの左手を掴みます。「うっ」と声を上げるカッシング。あ、これは痛がっているのだ。もう間違いない。「カッシング、あなたの腕を見せるのだ」コリアーは無理やりカッシングの左袖をめくり上げるのですが・・・、傷はありません。がっかりしたコリアー、「じゃあ、なんであんたはうっとか言って痛がったんですか」カッシング、顔をしかめたまま「いや、そりゃ、あなたが私の足を踏んでいるからで」そんな細かいギャグは入れなくてもよろしい(笑)。

 実はこれも囮作戦。カッシングがドロのついたブーツを使ってコリアーが疑うように仕向けていたのです。それで本当に案山子をやっていたハリーから彼の目をそらそうとしたのでした。この作戦は見事に成功。コリアーは慌ててカッシングに「いや、これはとんだことを、許して下さい」と謝っております。さらにここに部下が飛び込んできてムラートゥの逃亡と見張りの殺害を知らせたのです。コリアー大佐、「もう、なんだかいろいろ起こるなあ」とボヤきつつカッシング邸を辞したのでした。

 逃亡したムラートゥ、何を考えたのか教会に行ってクレイグの墓暴き。ざくざく掘って棺桶を開けてみると、あっ死体がない。「うがうがうが」と喚いたムラートゥ、次に自宅で転寝をしていたピーター・カッシングを襲います。先のとがった柵を引き抜いて槍代わりに構えたムラートゥ、これでカッシングを串刺しにせんとするのですが危ういところでかわされた。それからしばらく二人で乱闘。ランプが割れて部屋に火災が発生します。この火に怯えたムラートゥ、「うががが」と逃げ出します。カッシングは何事ならんと駆けつけてきたラッシュに「この火を消しておいてくれ」と叫ぶとムラートゥを追って外へ飛び出したのでありました。

 しかしムラートゥを捕まえることはできません。逆にコリアー大佐に「なんでムラートゥはあなたを襲ったのですかな」と疑われる始末。おまけに毛布を使って火を叩き消していたマーシュ、飛び散った書類の中からイモージンが海賊クレイグの娘であるという証明書を見つけてしまうのです。

 「ええもん見つけたで」、にやーっとしたラッシュ、酒場に戻るとイモージンの部屋へ乱入します。そしてこの書類を見せて「お前は海賊クレイグの娘なのだぞ」さらに「このことは誰にも言わんといてやるから、ええやろ、させんかい!」やっぱりそうくるか(大笑い)。イモージン、さすがに海賊クレイグの娘だけあってこんなスケベ男を怖がったりしません。爪でマーシュの顔をがりっと引っかきます。「ひいい」とマーシュがひるんだ隙に2階の窓から飛び降りて逃げてしまいましたとさ。

 イモージン、カッシングの屋敷に飛び込んで「私のパパが海賊クレイグって本当ですか」カッシング、頷きます。「でもイモージン、海賊クレイグは犯罪者でも裏切り者でもない。彼はイギリス国王からスペイン船に対する私掠免許を貰っていたのだ。だから裏切ったのはイギリスの方なのだ」イモージンはそれでも海賊の娘じゃハリーと結婚できないわと嘆くのですが、なんとカッシング、ハリーもこのことを以前から知っていたというのです。カッシングに呼び出されたハリー、イモージンを抱きしめて「ダーリン、君の父親が誰だろうが関係ないよ。僕と結婚しておくれ」「ああ、ハリー」なんてことになる訳です。

 しかしイモージンから「ラッシュのオヤヂにやられそうになった」とハリーが聞いたことから事態が急変。怒り狂ったハリー、酒場へいくとラッシュに「イモージンに手を出したら殺すぞ」「やかましい、逆にいてもうたるわ、このボンボンめ」取っ組み合いになるという。この取っ組み合っているところを兵隊たちに捕まってしまったのです。ラッシュはコリアーに「大佐、そいつの腕を見てください」あ、バラしやがった、この野郎(笑)。コリアーは暴れるハリーを部下に抑えさせて左袖をぐいっ。まごうことなき銃傷を見つけて「よし、こいつを船に監禁するのだ」

 してやったりとほくそ笑むラッシュでしたがコリアー大佐から「ところでお前さあ、なんでこいつの銃傷のことを知ってるの」と聞かれてぎくぎくっ。あわてて「へへ、旦那、見逃してくれたらいいことを教えてさしあげましょう」例のイモージンの書類を大佐に見せようとします。ハリー、部下の手から逃れてこの書類をもぎ取り暖炉の中へぽい、燃やしてしまったのでした。ぎりぎりのところでイモージンの秘密を守ったハリーでしたが怒り狂った兵隊達にぼこぼこにされてしまうのです。ラッシュも「こいつ、いろいろ怪しいから酒場の地下室へ監禁しろ」ということで放り込まれてしまいましたとさ。

 ラッシュ、例の酒樽の秘密の出口から逃走、ミップスの棺桶工場に駆け込みます。棺桶で寝ていたミップスにびっくしりたラッシュですが(笑)とにもかくにも「ハリーが捕まった、みんなばれてしまうぞ」と知らせたのです。ミップスはカッシングに知らせて、おお、ここにマーシュのファントム部隊が出動したのでした。やっぱり冒頭で登場したファントムはガイコツスーツを来たカッシングたちだったのです。ファントム部隊はハリーを連行する兵隊達を追いかけます。そして散々に脅かした後見事ハリーを奪回、いち早く村に戻るのでした。

 ちなみにラッシュ、ミップスが出て行った後棺桶工場に忍び込んできたムラートゥに殺害されております。

 ガイコツスーツを脱ぎ捨てたカッシングたち、イモージンも教会に連れてきて急いで結婚式を挙げさせます。「コリアーたちが戻ってくるから手短にするぞ、ハリー、お前、夫ね、イモージン、あなたは妻ね、はい、二人は結婚して夫婦になりました、おめでとう」本当に短いなあ(笑)。カッシングは二人に「君たちの幸せだけが私の願いだ」と言い秘密の通路を使って逃げさせたのでした。この直後、コリアーと部下達が教会に乱入してきます。騒ぎを聞きつけてきた村人たち、地主のコブトリも一緒です。そしてコリアーはカッシングに「あんたは本当は海賊クレイグなのだろう」と詰め寄るのでした。「海賊クレイグの妻はムラートゥに殺された、クレイグはムラートゥの耳と舌を切り取り無人島に放置したのだ。そのムラートゥがあんたを襲った、それは奴があんたをクレイグだと知っていたからだ」コリアー、カッシングの襟首に手をかけるとぐいと広げます。現れたのはカッシングの首筋に残されたむごたらしい縄の痕、「ほうら、見ろ、やっぱりお前はクレイグだ」

海賊クレイグは一度絞首刑にされながら蘇っていたのであります。

 カッシングはコリアーの手を振り払うと説教台に駆け上がります。「いかにも私はクレイグだ。しかし古いクレイグは死んだ、今の私は生まれ変わったクレイグなのだ。その新しいクレイグがこの村をここまで発展させたのだ、どうだ、文句はあるか」集まってきた村人、「うん、文句ないない」そしてカッシングを逮捕しようとする兵隊たちともみ合いになります。そんな中カッシングは説教台からジャンプ、シャンデリアにぶら下がってカッコよく兵隊たちを飛び越えようとしたのですが手が滑って落っこちちゃった(笑)。これでかなりの傷を負ったらしいカッシング、ミップスに助けられて秘密の通路へ。兵隊達に気づかれることなく教会を脱出することに成功します。そしてミップスの棺桶工場で体勢を整えようとしたのですが待ち構えていたのがムラートゥ。ムラートゥ、にっくきクレイグの姿をみて槍代わりの柵をはっしと投げつけます。カッシング、ミップスをかばってこの槍を受けてしまうのでした。ミップスはピストルでムラートゥを射殺するのですが時すでに遅し、カッシングはひとたまりもなく絶命してしまったのです。

 ミップスは泣きながらカッシングの亡骸を墓地へ運びます。そして空っぽの墓穴に彼を葬るのでした。集まってきた村人やコリアー大佐たちが帽子に手をかけて別れの挨拶を送ったところでエンドマーク。

 オリジナルとは違って随分と悲劇的なラストです。この後、密輸の罪が暴かれて関係した村人たちはみんな縛り首、村はまたもとの寒村に戻ってどん底生活を強いられるという展開が待っているでしょうからなおさら哀れに思えてしまいます。

カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。ノイズがちょっと多めで暗部も浮いております。音質はクリアで台詞が聞き取りやすい。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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『Operacion 67』(『サント オペレーション67』 1967年)

 

Operacion 67』(『サント オペレーション67』 1967年)

記念すべき30本目のサント映画(大笑い)。不肖、私エロの冒険者は残りは22本のサント映画完全制覇を目指してこれからも頑張る所存でございます。その記念すべき映画は『サント オペレーション67』、機関銃つきのセスナや特殊装備つきのサントカーが登場して実に豪華。007も顔負けですというのはウソですけど(笑)。

このDVDはスペイン語音声のみ、英語音声・英語字幕は収録されておりません。私はまったくスペイン語が分かりませんので、この映画はいつもと違ってどこかの奇特な方が作って下さっているサント映画のストーリー解説サイト(英語)を参考にこのレビューをでっちあげております。だから実際の映画を誤解しているところもあるかも知れませんが、その辺はどうぞ、この事情を鑑みてご容赦くださるようお願いいたします。

 平たく言うと、「いいから黙って俺のレビューを読んでおれ、バカヤロー」ということでございますね。

 タイトルバックにいきなりサント登場です。のっしのっしとこちらに向って歩いてきます。ここで現れたマシンガンのギャングども。ズダダダとマシンガンを乱射しますとその弾がタイトルの『Operacion 67』になる。アハハハ、カッコいい、今までのサント映画で一番カッコいいタイトルじゃ。サントはそのマシンガンをものともせずギャングどもをたたき伏せてしまうのでした。その後はいきなり日本人のダンサーが出てきておっぱいとあそこだけ隠したセクシーな衣装で踊ります。おお、大人のサント映画だ。

 はい、映画本編の始まり。一番初めに香港がどーんと映りましてなにやら会議をやっている悪の組織の人たち。じつはこれ、何をするのか良く分からないけれども悪いことならなんでもこいの世界的な悪の組織の本部だったのです。ここからテレックスで悪の指令書がラテン・アメリカ支部へ。女支部長のラス・テイラー(エリザベス・キャンプベル)は部下達に向って「本部から命令が届いたわ。ニューヨークに行って札の原版を奪ってきなさい」はい、舞台はいきなりニューヨークへ飛びます。まあ、ニューヨークったって摩天楼がどーんと映るだけ。実際の撮影はメキシコでやっているのでさあ(笑)。

 造幣局から武装したガードマンやオートバイに守られてマイクロバスで運び出される紙幣の原版。この後からまったく同じマイクロバスが後をつけるという・・・。するとどうしたことでしょう、造幣局のマイクロバスに一台のバイクがふっと近づきます。するとマイクロバスの中から原版のケースが手渡されたのです。バイクはそのまますーっと下がって後ろのマイクロバスへ。その中に乗っていたのはみなさんの予想通りの悪の組織の人たち。彼らはバイクから原版のケースを受け取ると中から原版を取り出してマイクロバスに備えられていた特製コピーマシンに入れてコピーを作っちゃったのであります。できたコピーをバケツの水にじゅーっと浸して冷やすと(笑)元のケースに収めて前のマイクロバスに戻しちゃった。つまり造幣局の紙幣原版が偽物にすり替えられてしまったのです。

 しかし、こんなことやって気づかれないなんてことはあり得ないでしょう。こんなの運んでいる奴がみんなグルじゃないと絶対誰か気づきますって。

 すりかえられた原版は別の車に積み替えられて港で海に放り込まれます。海中で待機していたダイバーがこれを回収して船の船底にくっつける。この船が出港してラテン・アメリカの某国へ。またダイバーが出てきて船底から回収し仲間のモーターボートに渡すというややこしい手順を経て悪の組織ラテン・アメリカ支部へ運び込まれたのでした。ラスは大喜びでさっそく原版を使って大量の偽札を印刷します。それを部下に配って「さあ、お前達はこの金を好きに使うのだ。そしてこの国に偽札をばら撒いて経済を混乱させるのだ!」おお、こらまたサント映画に似合わぬ気宇壮大な計画ですな。

しかしいくら好きにしても良いと言ったってこの金を持って逃げられては困りますのでラスは部下達に特殊な腕時計を嵌めさせます。この時計は本部と無線連絡できるという優れもの。同時に彼らの同行を監視することもできるのです。しかもラスは技術者使ってこの腕時計の留め金を溶接しちゃったものですからもう外すことはできません。ラスの副官 スキ(ノエ・ムラヤマ)が別室に行ってマイクを取り上げると「あー、あー、本日は晴天なり、ただいまテストのマイク中じゃなかった、マイクのテスト中」この声が部下達の腕時計から聞こえてくるという・・・。部下達びっくりして「おー、ほんまに聞こえてくるわ」だって。

 この場面、本当に腕時計のベルトを溶接しています。役者さんたちも大変です。

 さて、こうして野に放たれた部下達、渡された金で株に投資したり競馬に大金をかけてみたり、中には熱海で芸者あげて浮かれている奴も。「あー、野球するなら、こういう具合にしやしゃんせ」踊っておりますな。ラス、特殊腕時計でその様子を盗聴しておりまして「何がしやしゃんせだ、それじゃ部下じゃなくって馬鹿ですよ」と怒っております。

 ここでようやく主役たるサントとホルへ・ルビオ(ホルへ・リベロ)が登場。二人はそれぞれビキニの金髪美女とビーチのバカンスを楽しんでおります。二人ともそれぞれのパートナーにキスなんかしちゃったりなんかして実に楽しそう。と、ここで急に今まであれほど五月蝿かった波の音やカモメの鳴き声がぴたりと止まりました。実はこれはレコードだったのです。サントとホルへ、サントのマンションにビーチっぽい部屋を作ってそこで金髪美女とよろしくやっていたと。言っちゃなんですが、どうにも貧乏くさいですな、こういうの(大笑い)。

 おまけに奥の部屋からブザーの音。同時にトレーニングルームの壁ががっと開いて秘密の通信施設が現れたのです。中が天文台みたいになっていて空に向って伸びているのは望遠鏡ならぬ巨大な通信アンテナ。おお、なかなか金をかけておりますな。サントとホルへは女達を帰らせて中に入ると応答開始。通信してきたのはパリのインターポール本部、二人に偽札事件の調査を依頼してきたのであります。インターポールの上司は「こちらからエージェントを派遣した。事件の詳細については彼から聞いてくれ」「ようがす、万事、あっしにまかせておくんなせえ」頼もしく胸を叩くサントです。

 さあ、これで休暇も終わりだ。二人は事件解決に向けて飛び出していくと思いきや、ホルへはナイトクラブでストリップの見物。オープニングタイトルに出てきた日本人のダンサー(ミドリ・ナガシロ)ががんがん衣装を脱いでいって、あ、今度は乳首まで見せちゃった。いよいよ大人のサント映画だな、こりゃ。このストリップが終わって今度こそ事件に取りくむのかと思いきや今度はサントとホルへチームのタッグマッチですよ(大笑い)。御馴染みの「サント、サント、ラララ!」のサントコールが響く客席にはようやくメキシコじゃなかったラテン・アメリカの某国に到着したインターポールのエージェントやさっきの日本人ダンサーがおります。このダンサー、実をいうとホルへのガールフレンドだったのです。おや、客席には悪の組織の部下が二人いるぞ。ああ、なんということでしょう、彼らは渡された金をサント組の勝利に賭けていたのですって、なんじゃ、そりゃ!

 試合はもちろんサント組の勝利。部下二人は大儲けです。こうなると金を無駄遣いするのが惜しくなるのが人情というものでしてホテルの部屋で札を数えながら「どうだ、この金もってリオデジャネイロあたりに逃げないか」という悪い考えを起こします。しかしこれを本部で盗聴していたスキ、「馬鹿め」と呟くなりスイッチオン!部下二人の特殊時計に大電流がばちばちと流れて二人とも感電死してしまったのでありました。

 先ほど客席にいたインターポールのエージェント、サントの部屋を訪ねます。そしてサントとホルへに「これこれこういう訳で原版が盗まれたのです。偽札組織を壊滅させてその原版も取り返してください」と伝えるのでした。ホルへとサントは揃って「ようがす、承りましょう」はっとしたホルへ、頭をかいて「いけね、サントの言葉がうつっちゃった」とボヤく軽いギャグを挟みまして、彼はエージェントを車で送っていくことになります。一人マンションの部屋に残ることになったサント。その彼にはしご車を使って部屋に侵入してきたギャング二人が拳銃を乱射。ああ、サント射殺さる!と思いきやそれは大きな姿見に映ったサントであったという・・・。命拾いをしたサント、二人に飛び掛ってさんざんに蹴ったり殴ったりの暴行。一人を窓から投げ落としてしまいます。「ギャーッ」道路に落ちてぐしゃりとつぶれるギャングNO1。残ったギャングNO2もサントにぐいぐい首を絞められて「やい、おめえらのボスはどこにいるのだ、きりきりと白状しやがれ」「サ、サントさん、喋りますから、勘弁してくださいよう、俺たちのボスは・・・」とここまで喋ったところでまたも本部でスキがスイッチオン!ばりばりと電流が流れてギャングNO2感電します。そのまましーびれちゃった、しーびれちゃった、しーびれちゃったよーと体を震わせながら立ち上がりそのまま窓からどすーん。こいつもつぶれて死んでしまいましたとさ。

 サントの殺害は失敗に終わりました。しかしこんなことでくじけるラスではありません。サントが駄目なら次はホルへだ。彼女は実は組織のスパイであった日系人ダンサーからホルへの行き先を聞き出すと翼に機関砲を装備した暗殺用のセスナを差し向けたのです。セスナはスポーツカーで飛ばすホルへに迫ります。ズドドドド、激しい銃撃に驚愕し逃げ回るホルへ。しかしいつまでも逃げている訳にはいきません。覚悟を決めたホルへ、車を止めると前部のトランクからバズーカ砲を取り出してセスナを狙います。引き金を引くとロケット弾がシュバーッと飛び出して見事セスナに命中したのでありました。

 この場面、燃えるセスナの残骸を丁寧に作っております。やっぱりなかなか金が掛かっているなあ、この映画。

 この後日本人ダンサーのアパートメントを訪ねるホルへ。ダンサーは生きている彼を見てぎょっとしますが上手くごまかして彼に酒を振舞います。そして奥の部屋に引っ込み小型通信機で本部に「ホルへは生きています。次の暗殺者をお願いします」と連絡するのでした。しかしこれはホルへの企み。彼はダンサーを警官隊へ引き渡します。

 ホルへはダンサーの部屋で彼女が要請した殺し屋を待ち構えます。彼は侵入者探知機になる煙草とシガレットホルダーのセットを入り口付近に設置。これで侵入者があればピーピーと鳴って知らせてくれるのであります。これで安心とベッドに寝転がったホルへ、ラジオのスイッチなんか入れてくつろぎはじめるのでした。

 ここに現れたのが杖をついた貧相な男。侵入警報機で彼が来ることを知ったホルへ、待ち構えて不意に拳銃を突きつけます。「こら、おとなしくしろ!」杖の男は弱々しく笑って「ははは、わしゃただの足の悪い男で・・・それ!」やにわに杖を振り上げた男、素早い動きでホルへの拳銃を叩き落してしまったのでした。よろよろ杖を突いて歩いていたのがいきなり素早い動き。まるでバスに乗り遅れそうになったら杖を担いで素晴らしいスピードで走リ出したという左ト全老を彷彿とさせますなあ。

 おまけにこの杖が仕込み杖、すらりと抜くと氷の刃、男はこれをかまえてホルへにじりじりと迫るのでした。しかしこれでホルへがぐさっと刺されてあの世行きという展開にはもちろんなりませんで、ホルへは逆にこの仕込み杖を奪って男の胸にぐさーっ。

 ホルへが駄目ならサントをやっつけるのだってなんだかこればっかりですな(笑)。次なる魔の手がサントカーに乗り込もうとしていたサントを襲います。部下二人が乗り込んだ車がマシンガンを走り抜けざまにマシンガンを乱射したのです。これを危うく交わしたサント、サントカーにしゅたっと飛び乗って悪漢の車を追いかけます。しばらくカーチェイスが続いた後サントはやにわに運転席パネルの秘密のドアを開いてスイッチオン。するとサントカーの前部からパイプがにゅーっと伸びてああ、これは火炎放射器だ(大爆笑)。悪漢の車はこの火炎に炙られて大爆発したのでした。いくら悪漢とはいえこれはあまりに無慈悲。サントは炎上する車を見つめて「これも正義のなせる業よ、おいらを怨まないでくんな」と呟くのでした。

 ホルへもサントも殺せない。怒り狂ったラスはプロレスの試合会場でサントを殺害しろと部下に命じます。部下達は試合前のアリーナに修理の人間を装って入り込みリング上の照明に細工を施したのです。スイッチ一つでこの仕掛けが外れて馬鹿でかい照明がどすんと落ちてにっくきサントを圧殺せしむることができるのであります。ラスはスキと本部のモニターでサントの試合を観戦しつつ照明を落とすチャンスを狙っております。ところが客席にいたホルへがやっぱり何のつもりか試合を見ている部下たちに気づいたのです。彼はサントに「用心しろ、何か仕掛けてあるぞ」ここでラス、スイッチをカチっ。時を移さず照明がリング上に落下したのですがホルへの警告のおかげでサントは危うく逃げることができたのです。「ウキー、まただよ」ラス、目を三角にして喚き散らすのでした。

なんで客席にいるんだ、この部下たちは。彼らがいなけりゃ企みを気づかれることはなかったのに。

 またも懲りずにサントとホルへを狙う部下たち。今度は不思議な形のライフル銃を持ち出してきてサントの部屋を射撃します。この銃の威力には絶大なるものがありましてサントの部屋はむちゃくちゃ。ホルへとサントは埃まみれになってげほげほ言ってます。そしてその時一緒にいたインターポールのエージェントは哀れにも弾丸の直撃を受けて死亡してしまったのです。サントとホルへは逃げていく部下達とまたカーチェイス。部下たちの車は後部から煙幕を出してサントとホルへを翻弄します。「げほげほ、さっきは爆発で今度は煙幕か、こらたまらねえや」サントはこの目くらましで一時的に部下達の車を見失ってしまったのでした。

 部下達はこのスキを利用してサントたちを待ち伏せします。ある寺院の駐車場に隠れてやってきたサントたちに銃撃を浴びせたのですが、まあ、あっさりとかわされてしまうのは定石どおり。その後サント、ホルへ対二人の部下の戦いとなります。部下の一人はホルへに射殺され、もう一人は寺院の壁をどんどん上がって屋上にたどり着いたところを後を追ってきたサントとホルへにはさみうちにされてあっさりと捕まってしまいます。その時部下の時計から「どうした、報告せよ」と聞こえてきたのがラスの声。サント、「これはきゃつらの通信機に違いねえ」と感づいてその腕時計を奪ってインターポールの科学者に分析を依頼するのでした。

 サント、溶接されていた筈の腕時計をあっさりと部下の腕から外してしまいます。まー、あまり細かいことは言いたくありませんが、このへんはもうちょっと気をつけて欲しかったですねえ。

 ラス、ついにこうなりゃアタシが自ら行くしかないわってんで、外国のジャーナリストに化けて取材を口実にホルへへ近づきます。良い女に目のないホルへ、ラスの色気に惑わされてたちまち恋人同士に。海で水上スキーを楽しんだりビーチでキスしていちゃついたりなんかしております。この人ァ、前の彼女もスパイだったのに懲りない人だね、どうも。ほらほら、いちゃついている間にダイバーが海の中からホルへのボートに爆弾しかけたじゃないか。ホルへ、「私、あなたを愛しちゃったみたい」とラスに言われて鼻の穴広げている場合じゃないぞ。しかし、大丈夫、我らにはサントあり。サントは沖合いのボートから双眼鏡でこの一部始終を覗いていたのでありました。

 ホルへとラスは爆弾の仕掛けられたボートに乗り込んでクルーズに出かけます。時計を見てラス、ホルへを残して海へ飛び込んだ。あれ、ラスはどこへ行ったのと船上できょろきょろするホルへ、絶対のピンチ。しかしボートで駆けつけてきたサントがメガホン使って(大笑い)「ホルへ、そのボートには爆弾が仕掛けてあるぜ、逃げるのだ!」ホルへ、あわてて海へ飛び込み間一髪でボートの爆発から逃れることができたのでした。この後敵のダイバー部隊が三人襲ってくるのですが水中でもサントとホルへのコンビは強い強い。たちまち首の骨を折ったり奪ったナイフで滅多刺しにしたり目玉を抉り出したりして3人を皆殺しにしてしまいます。

 さて、そろそろ映画も終わりに近づきました。インターポールの科学者はサントとホルへに電波探知機を渡して「こんど通信をうけたらこの探知機でアジトの場所が分かります」「ありがてぇ、助かるぜ、先生」ということで車に三人で乗り込んで敵のアジトを探索します。ここでサントが一計を案じて自分が持っていた特殊腕時計に「本部どうぞ、本部どうぞ、定期通信でやす」ラス、思わず「何よ、定期通信って、それにやすって何、どこの言葉?」はい、これでアジトの場所が判明しました。サントとホルへはインターポールの捜査官たちと共にアジトに踏み込むのです。

 騙されたと分かったラス、じゃあ、時計を持たせた奴を皆殺しにすればサントもやっつけられるってんでスイッチをがんがん入れていきます。あちこちで腕時計から火花が出て死んでいく部下たち。しかしサントは平気です。一体これはどういうことなのでしょう。アジトに突入したインターポール部隊は銃撃戦のすえついにアジトを制圧します。スキは「これはマズイ」と言って隠し通路を使って逃げてしまいました。ラスはその後を追おうとするのですが、スキは中から扉を閉めてしまったのです。この裏切りで取り残されたラス、インターポール部隊の銃弾を受けて倒れます。

 ラスは彼女を抱き起こしたホルへに「あなたを愛していたのは本当のことよ」と言い残してがくっ。絶命します。目を開けたまま死ぬのがちょっとコワいですな(笑)。

 ラスト、警察では偽札を焼却炉で処分しております。ここでインターポールの科学者が「サント、あなたの時計からラジウムのかけらを見つけて取り除いておいたのです。だから敵がスイッチ入れてもあなたは平気だったのです」と謎解きをしたところでエンドマーク。ああ、ちゃんと考えていたのね、テキトーにやっていた訳ではなかったのね(笑)。

ところで逃げたスキはどうなったの、ひょっとしてそのまま放ったらかしですか。

 カラー・スタンダード モノラル音声。いつもながら画質は芳しくありません。色はにごっているし細かなノイズが全面を覆っています。音質もノイジーで耳が痛くなりそうです。Laguna FilmsのDVD。

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『フランケンシュタインの怒り』(『Evil of Frankenstein』 1964年)

 

『フランケンシュタインの怒り』(『Evil of Frankenstein』 1964年)

ハマープロのフランケンシュタイン映画であります。登場するフランケンシュタイン博士の怪物は厚い鉄板を貼り付けたような額をしておりまして本家ユニバーサルの映画とは微妙に違う恐ろしさを湛えております。しかもこの怪物は酒を飲んで荒れるという…(笑)。酒乱怪物の活躍をお楽しみください。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

フランケンシュタイン博士(ピーター・カッシング)が出てくる映画ですから死体盗みがつき物。ただしこの映画では死体盗人が死体を墓から掘り出すのではなく、ついさっき息を引き取った青年の死体を家人が神父さんを呼びに行った隙に文字通り盗んでしまったのであります。さっそくフランケンシュタイン博士と助手のハンス(サンドア・エルス)のチンケな研究所へ持ち込みます。フランケンシュタイン博士=ピーター・カッシング、その死体を調べて「おお、こりゃ新鮮な、まだ暖かいではないか」と大喜び。二人は死体盗人に謝礼をやって追い返すとさっそく実験開始。死体の胸を切り裂いて心臓を取り出すと培養液につけびびびと電撃をかけたのであります。それからピーター・カッシング自ら心臓を手に握ってもみもみと心臓マッサージ。その甲斐あってついに自ら鼓動を開始する心臓です。「やったぞ、実験は成功だ」大喜びのカッシングとハンス。

 しかしここで闖入してきたのが神父さん。彼は死体盗みの現場を目撃していた少女の証言を元に死体盗人を捕らえ、そこからピーター・カッシングたちの存在を知ったのです。研究所へ押し入った神父は「てめえ、バカヤロー、この中には足やら手やら不気味悪いものが一杯ではないか。おまけに死体を盗みやがって、あ、なんだその心臓、さては貴様、悪魔の実験をやっておったのだな!」神父さんは聖職者にあるまじき乱暴さで杖をふるいカッシングたちの研究室を破壊してしまったのです。せっかく動き始めた心臓も足で踏み潰されちゃった。カッシングとハンス、こりゃかなわんと馬車で逃げ出します。

 失意の二人が向ったのはカールスタッド村。一応カッシングの故郷で彼の城があるのですが何しろカッシングですから10年前に同じような実験をやって村人の顰蹙をかって追放されていたのでした。ハンスは心配そうに「教授、まだ10年っすよ、教授のことみんな覚えていますよ」確かに危険です。しかしカッシングはどうしても自分の城に戻らなければならなかった。それはもうまったくお金がなかったからです。城に置いてある絵や家財道具を回収して売り払わなければ実験の再開などできなかったからです。なんだか、このフランケンシュタイン=カッシング、しょぼいぞ(笑)。

 さてカールスタッド村はカーニバルの最中。今頃村人は野良仕事の真っ最中で誰もおらんだろうというカッシングの目論みはみごとに外れ村は人でいっぱい。それでもなんとか見咎められることなくカーニバルの喧騒を通り抜けることに成功。無事、カッシングの城へ到着します。しかしカッシングは愕然。城がめちゃくちゃに荒らされていたのです。中は蜘蛛の巣だらけ、ガラス窓は残らず割られており、そして何よりカッシング自慢の絵画や高価な調度品が全て持ち去られていたのでした。

 このカーニバルの場面でもう一人重要な登場人物が紹介されます。それは言わざる聞かざる、見えるだけへレンケラーよりましという(笑)二重苦の赤毛の少女(キャティ・ワイルド)、彼女はカーニバルで物乞いをしようとするのですが性質の悪い若者たちに絡まれてしまいます。なんとか逃げ出した彼女、カッシングたちの馬車に轢かれそうになります。ここで奇妙な接点ができたという訳。

 さて、城内の惨状に落胆したカッシングでしたが実験室を見るなり張り切りだして昔のことをハンスに話して聞かせます。とにかくこういう奴は実験の自慢話をしたがるようで・・・。はい、ここから回想場面。死体を繋ぎ合わせて実験体を作成したカッシング、蘇らせるための電気エネルギーの確保に苦慮しておりました。そこへもうすぐデカイ嵐がやってくるという知らせ。カッシング、大喜びで機械仕掛けの電極を城の屋根ににょきっと突き出させます。これに雷が落ちて物凄いスパークが怪物を直撃。周囲にある青いランプや赤いガラスの箱もぴかぴか光ってムード満点。このゴージャスな美術はさすがハマーの映画だけのことはありますなあ。

 そしてついに怪物が目覚めます。「やった、やった」狂喜したカッシング、怪物の手をとって踊り始めるのでした。

 しかしその後がいけない。怪物はマトモな食べ物を受け付けません。小麦のおかゆでオェー、生の牛肉でもオェー、それで何を食うのかといったら生きた動物の肉だったのです。怪物は実験の疲れからカッシングがグースカ寝込んでしまった隙に城外へ脱走。家畜のヤギをたたき殺してその肉を貪ったのでした。彼のいないことに気がついたカッシングが探しに来たときにはすでに遅し。怒り狂った村人たちが銃を手に集合して怪物を追い立てたのでした。哀れ怪物、山の上に追い詰められ銃で撃たれて崖から転落してしまったのです。止めようとしたカッシングは逮捕され警官への暴行と神に反する実験をした廉で村を追放されてしまったのであります。

 「ハンス君、僕はまたやるよ、僕のセオリーを実証してみせるよ」と張り切るカッシング。この人が張り切るとろくなことがない(笑)。

 しかし腹が減っては戦ができぬ。カッシングとピーター、カーニバルにやってきます。そして仮装パーティやっている酒場に入って仮面をつけ、「オヤジ、今日の定食とワインをおくれ」ハンスと「ん、じゃあ、お疲れ、カンパーイ」ワインをぐびぐびやっております。その時カッシングの目を捉えたのが向こうのテーブルで女といちゃいちゃしている尊大な男。「あ、あいつは私を逮捕投獄した警察署長ではないか」この警察署長、10年の間にカールスタッド村の村長に出世しております。おまけにその指に光るのは「あ、あれは俺の指輪、ち、畜生、盗人め!」これでわいわい騒ぎ出したものだから村長の周りにいたお廻りさんたちもカッシングの正体に気がついてしまったのです。「フランケンシュタインめ、のこのこ戻ってきおって、このキガイめ!」慌てて逃げ出すカッシングとハンス。

 カーニバルの中をばたばたおっかけっこするカッシング・ハンスと警官隊。彼らは催眠術の実演をやっていたゾルタン教授(ピーター・ウッドソープ)のテント小屋に逃げ込みます。後を追って飛び込んだ警官隊は横暴にもゾルタンに「ただちに興行を中止せよ、何、お前は興行の免許を持っていないのか、逮捕だ、逮捕だ」ゾルタン仰天して「わ、旦那、そんな殺生な」大騒ぎになりました。この隙にそっと逃げ出すカッシングとハンスです。

 ここで逃げておけば良かったのですが、カッシング、その夜大胆にも妻との濃厚な一夜を期待して鼻を膨らませている村長を尋ねます。「指輪を返せ、この盗人が」というのでありますが、あんただって怪しい男に死体盗ませていたじゃないか(笑)。村長の屋敷に入ったカッシングはあたりを見回して「これは私の家具ではないか、箪笥の中にはわしの衣服、畜生、みんな返せ」当然ながら村長が素直に返すはずもありません。たちまち警官隊が駆けつけてカッシング、またも逃げ出します。

 逃げ出したのは良いけれども今更城には戻れない。なぜなら村長が警官隊を先回りさせているだろうから。「博士、僕たちはいったいどこに逃げるんですか」と尋ねるハンスにカッシングは黙って山を指差します。「や、山ッスか」とがっかりするハンス。こりゃいよいよ貧乏臭くなってきた。ほとんど浮浪者ですよ、この二人(笑)。

 山へ登ってもうへとへとになります。おまけに雷がごろごろとなって嵐になりそう。「ついてない時はどこまでもついてないもんですな」とぼやくハンスです。カッシングは首を振って「いや、これで雨が降ってないだけましだよ」そのとたんに大雨がざーっと振り出すという・・・(笑)。えー、これはメル・ブルックスの『ヤングフランケンシュタイン』で使われたギャグでございます。この二人を救ったのがあの赤毛の少女。村人から疎まれる二人の姿が自分の境遇に重なったのか、少女は二人を自分の住処である洞窟に案内するのでした。二人は少女に感謝しつつ夜を過ごすことになります。

この洞窟、雨風をしのぐだけではありませんでした。奥の方に秘密が隠されてあったのです。その秘密とはもう皆さん、お分かりでしょう。十年前に崖から落ちて行方不明になっていたフランケンシュタインの怪物でした。彼は洞窟の奥で氷づけになっていたのです。これを見つけたカッシング、喜ぶまいことか。「ああ、ほとんどもとのままで保存されているぞ、よーし、ハンス、これを使って実験開始だ」

もういい加減やめておけばいいのにねえ。

カッシングとハンスは凍りついた怪物の前で焚き火をぼーぼーやって氷を溶かします。洞窟の中で焚き火やったらちょっと煙くないかと思いますが、何しろカッシングですからそんなことは気にしません。首尾よく怪物を氷の中から回収するのです。そしてハンスと赤毛の少女に手伝わせて怪物を城に運び込むのであります。たしか山に登る前は「村長が警察を先回りさせている」とか言ってなかったですか、だから山の中に逃げたのではないですか。でも誰もそんなことは気にしないのです。

 そして実験室の装置を修理、怪物に電線繋いでまた雷を使って電気ショックを与えます。ばちばちびりびりびり、もうこの場面、実験室が古いものですからスイッチ入れようとしたら火花、電極上げようとハンドル回したら火花、とにかく火花ばっかり散っております。これは実際の役者さんたちも怖かったでしょうなあ。さて、この電気ショックのおかげで息を吹き返す怪物。しかし怪物はぴくりとも動こうとはしません。カッシングは怪物の手を蝋燭の炎で炙ってみたのですが(ひ、ひでぇ)これでも無反応。カッシング、がっかりして「なんということだ。電撃による肉体的ショックで蘇生はした。しかしそれだけでは足りない、精神的なショックで脳を目覚めさせねばならぬ。彼の精神にコンタクトできる人間が必要だ」ここでカッシング、ひらめきます。「そうだ、カーニバルで催眠術ショーをやっていた男がいたな。奴に頼もう」

 その催眠術師のゾルタン教授、無許可興行の廉で裁判に掛けられて所払いを食らっております。彼がぶつぶつ言いながら荷造りしているところへ乗り込んでいったカッシング、「私はフランケンシュタイン伯爵だ。あなたの催眠術の力をお借りしたい」「フランケンシュタインって、あんたの悪行の噂は聞いているぞ。追放されたんだろ、俺も同じさ」カッシングはそんなゾルタンに城への滞在とお礼金を約束してようやく承諾させるのでした。そして城へつれていって怪物とご対面。ゾルタン、仰天して「わあ、これ、人間じゃないじゃん。怪物じゃん、こんなの俺、やだっての」カッシングたちは必死に「いや、そんなことはないって、使っている体のパーツは人間だから、脳みそだって良いの使っているんだから、大丈夫だって」どんな説得の仕方なんだよ(大笑い)。

 ゾルタン、しぶしぶ怪物に催眠術をかけることを承知します。彼は強いライトの光を怪物の目に当てて「あなたは眠くなる、眠くなーる」催眠術はフツーなのですな。「眠くなーる、はい、寝ましたね。じゃあ、今度は私の合図で目を覚ます。目を覚ました時には私の命令を聞くようになるのだ。いいか、命令を聞くのだぞ、はい、目を覚ませ」怪物ぱちりと目を開きます。そして催眠術の効能アラタカ、今まで全然動けなかった怪物がゾルタンの「立て、歩け、座れ」という指示でどたばた動き回ったのです。「やった、さすが催眠術、私の狙い通りだ」大喜びのカッシング。しかし彼はひとつ大事なことを忘れていました。怪物は催眠術をかけたゾルタンの命令しか聞こうとしなかったのです。ゾルタンは大そうずるそうな目つきになって「へへへ、男爵、これであたしはあんた方のパートナーだ」

 どうやらゾルタン、怪物を見世物にして儲けようと思っているらしい。怪物に「プッティン・オン・ザ・リッツ」でも踊らせるつもりかしらん。

 しかしその前に「俺を追放した村から復讐を兼ねて一稼ぎ」と思ったゾルタン、怪物に「おい、お前、村の教会に行って金を盗んでくるのだ」怪物、夜中によたよた出かけていって教会に押し入り見事金の十字架と金杯をゲット。この時酔っ払いが怪物の姿を目撃して警察に通報するのですがまったく相手にされません。だからフランケンシュタインに疑いがかかることはなかったのです。これで調子に乗ったゾルタン、今度は「あの村に悪い奴が二人いる。村長と警察署長だ。この二人を罰するのだ」また夜中によたよた出かけた怪物、村長の家に押し入り彼を壁に叩きつけて殺害。次に警察署へ行って署長の首をごきり。酒をがんがんやってぐでんぐでんになっているゾルタン、怪物を迎えるのですが怪物の両手が朱に染まっているのをみて愕然。「お、お前、罰するんだよ、罰するだけで殺せとか言ってないだろ、ああ、大変だ」

 おまけに彼の卑劣な行為がカッシングにばれた。激怒したカッシング、ゾルタンを追い出してしまいます。しかしこれでひるむようなゾルタンではありません。彼は怪物を味方につけ再び城に侵入、怪物にカッシングを襲わせるのでした。怪物、先のとがっている鉄の棒でカッシングを殺そうとします。カッシングがランプの炎で対抗しますと怯えて逃げようとする怪物。ゾルタン、いらだって「こら、逃げるな、戻って奴を殺すのだ、この間抜けめ!」これでカチーンときた怪物、逆にゾルタンを刺し殺してしまいましたとさ(笑)。怪物は外へ逃げ出します。

 カッシングは急いで怪物の後を追おうとするのですが突然現れた警官隊に逮捕されてしまいます。さすがに村長、警察署長が殺されたら誰だってフランケンシュタイン男爵を疑いますからな。警官隊の指揮官はごろりと転がったゾルタンの死体を見て「これであんたが殺したのは三人になったな」カッシングは違う、それは誤解だと叫ぶのですが聞いてもらえるはずもなし。留置場にぶち込まれてしまいました。一方ハンスは山に逃げた怪物を追っております。例の赤毛の少女の洞窟に行ってみると果たして怪物が少女に匿われていました。ハンス、少女と二人で怪物を城に連れ戻します。

 ここでついに村人たちが切れた。彼らは集まって諸悪の根源フランケンシュタイン城をぶっこわせとシュプレヒコール、警官隊に先導され城に向うのです。

 さて留置場に入れられたカッシング、彼のコートの中から出てきたのは怪物に使おうと思っていたクロロフォルムの壜とぼろきれ。そしてカッシングは一枚の硬貨を床に落とします。その音に気づいて見に来た巡査、意地汚くも格子の隙間から手を伸ばして硬貨を拾おうとしたのです。そこを襲ったのがカッシング、がっきと彼の手を捕まえてクロロフォルムアタック!失神した巡査の懐から鍵を抜いて見事脱走に成功します。彼はさらに馬車を奪い城へ急行するのでした。途中、警官隊と村人たちを追い越してさらにスピードアップ。

 城についたカッシングは出てきたハンスに「おい、アレは捕まえたか。何、実験室にいる、良くやった」彼はまたクロロフォルムの用意をして「ハンス、荷造りを急げ、ここから逃げ出すぞ」実験室へ向います。しかし、その実験室では大変なことが起こっていました。頭を抱えて苦悶する怪物を見かねた少女が実験室に置いてあった酒を飲ませたのです。怪物、すっかり酒が気に入っらしくがぶがぶ飲んで、ああ、酔っ払いやがった(大爆笑)。酔っ払ったフランケンシュタインの怪物なんてサント映画にだって出てこないよ。

怪物、ぐでんぐでんになって実験室で大暴れ。うわあ、こいつ、酒乱だよ。「ハンス、お前は女を連れて外へ出ているのだ」と叫んだカッシングは怪物にクロロフォルムアタックをかけようとしますがあまりにも暴れるので上手くいきません、それどころかクロロフォルムの壜をみた怪物、これを酒と勘違いしてラッパ飲み。うえーっと顔をしかめて「ぎゃあああ」さらに暴れだすのでした。

 この大暴れで実験室が火に包まれます。天井も壊れて瓦礫がドアを塞いでしまいました。炎の中で争うカッシングと怪物!そのまま火勢は激しさを増しついに実験室は逃げ出したハンスと少女の目の前で崩落してしまったのです。ちょうど村人たちも到着したのですが彼らにもできることはもはやありませんでした。エンドマーク。

 

 こんな実験を懲りずに繰り返すのですから、やっぱりみんなカッシングを追い出しますよ、ねえ。

 カラー・スクイーズ収録のワイド、モノラル。カラーノイズがチラついて解像度も低いですが発色がきれい。10点満点でいうなら7点というところでしょうか。音質はクリアで台詞が綺麗に聞こえます。Hammer Horror Series (Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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『縮みゆく人間』(『The Incredible Shrinking Man』 1957年)

 

『縮みゆく人間』(『The Incredible Shrinking Man』 1957年)

クラシック・サイファイ・アルティメイト・コレクションDVD収録の映画作品の中で唯一スクイーズ・シネスコ収録された作品。その割に画質は黒が不安定で今ひとつでありますが(笑)。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 冒頭主人公のスコット・ケリー(グラント・ウィリアムス)自身のナレーションで映画が始まります。「これはロバート・スコット・ケリーの不思議な不思議な物語。その始まりはごく普通の夏の日だった・・・」ナレーションが終わって揺れるボートの上で優雅なバケーションを楽しんでいるのがスコットとルイーズ(ランディ・スチュアート)のラブラブ夫婦。ボートの上で寝そべって「ねえ、ルイーズ、僕達結婚しよう」「馬鹿ね、もう結婚してから6年になるんじゃないの」「あまりにも幸せだから6年が6週間に感じちゃうよ」などというバカヤローな会話を交わしております。

 ルイーズは喉が渇いたというスコットの求めに応じてキャビンへビールを取りに行きます。その間に異変が発生。水平線のかなたから白い雲がむくむくと押し寄せてきたのです。スコットたちのボートはあっという間にその雲に覆われてしまいます。ルイーズは大丈夫でしたが外にいたスコットの体には白い灰のようなものがびっしり。「なんじゃ、こりゃ」といぶかしがるスコットでした。その時は単なる霧で何でもないように思われたのですが・・・。はい、6ヶ月が立ちました。いつもの平凡な朝、ルイーズは朝食の支度を整えて「あなた、ゴハンできたわよ、早く降りていらっしゃい」しかしその頃スコットはズボンがぶかぶかになっているのに気がついてびっくりしていたのです。「あれ、俺、痩せたかなあ、あ、シャツも全然合わなくなってるぞ」当惑するスコットでしたがルイーズは「あら、痩せられていいじゃない、みんな羨ましがるわよ」なんて暢気なもの。

 ところがこの痩せ方がどんどん酷くなってきた。心配になったスコットがブロンサム先生(ウィリアム・シャラート)に身体測定をしてもらったところ身長は177センチ、体重79キログラム、これを聞いたスコットはびっくりして「そんな先生、私17の時から身長183センチあったんですよ。6センチも減っているじゃないですか。それに79キロって5キロ近くも痩せたんですか」ブロンサム先生もルイーズと同じく「体重は君、仕事のストレスかなんかで減ったんだろう。身長はそもそもの数字が計り間違えだったのだ。良くあるんだよそんなこと」

6センチも身長を測り間違えるのがよくあることだとはとても思えませんが(笑)。

 一旦は安心したスコットですがその後も身長と体重の減少は止まりません。彼はルイーズの手をとって「君が好きなのは背の高い僕だったんだろう、それがどんどん背がちっちゃくなってもう愛してはくれないんじゃないか」ルイーズはにこっと笑って「ううん、そんなことはないわ、私が愛したのはロバート・スコット・ケリー、あなた自身だもの。たとえあなたがどんなにチビになったとしても私はあなたを愛している」ええ、ところがその夜ベッドの中から「あ、やだ、アレもちっちゃくなっている」というルイーズの悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか(笑)。

 もうアレがちっちゃくなっては大変ですからケリーはルイーズと一緒にまたブロンサム先生のところへ。ここでレントゲン検査をしたところ、やっぱり大幅に体そのものが縮んでいることが判明したのです。「まったくどうしてこんなことになったか見当もつかないよ」あっさり匙を投げちゃうブロンサム先生(笑)。「私ではもう力になれないからカリフォルニア・医学調査センターに紹介してあげよう」ここでトーマス・シルバー博士(レイモンド・ベイリー)の指揮の下、三週間にも及ぶ徹底的な検査が行われたのでした。バリウム飲んでレントゲン検査、ラジオアイソトープ入りの薬を飲んでガイガーカウンターで追跡する検査!血液検査、胸に聴診器をあてて内科検査、肺活量の測定、聴覚検査、視力の検査、後のほうになるにしたがってあまり関係がなくなるような気がするのですが(笑)。
 
  その結果判明したのがケリーの体の分子構造そのものが変化してしまっているということ。その原因になったのが放射線被曝と殺虫剤への露曝だそうな。そう言われてはっとなるケリー。「そうか、あの時の霧だな、それに殺虫剤といえばこの間並木に触れてしまったことがある」まあ、原因が分かってもこの奇妙な病気を回復する手立てはまだ分かりません。ケリーはさらに縮んであっという間に小学生低学年くらいになってしまいます。こうなれば当然仕事はできません。彼は兄、チャーリー(ポール・ラントン)からの金銭援助を受けることになったのでした。

 でもそのチャーリーも仕事で大失敗。これ以上の金銭援助が不可能になってしまったのです。こうなりゃもうやけのやんぱち。ケリーは自分に起きた不可思議な出来事をマスコミに公開。その取材費で生計をたてることになったのです。生活の心配はなくなりましたがその代償として家の前にはいつもマスコミと野次馬がぞろぞろ。子供は駆け回るし犬はわんわん吠える。電話はなりっぱなしでケリー、ひどくいらいらしております。おまけに聞いていたラジオからは「今日のシュリンキングマンニュース」、シュリンキングマンは依然として小さくなり続けています!って流れてくる(大笑い)。たまらなくなったケリー、ついにルイーズに「二人で誰も知らないところに引っ越そう」と言い出したのですが、今度は引っ越すべき家が見つからない。踏んだり蹴ったりとはこのことです。

 そんな中、シルバー先生がついに治療薬を開発。さっそくケリーに注射します。するとようやく小さくなるのが止まった。喜ぶルイーズでしたがケリーは「止まったのはいいけどいつ元に戻れるんスか」ちょっとふて腐れています。シルバー先生は困って「まあ、そのうち元に戻す方法も見つかるさ、そのうちなんとかなるだろォ!」と植木等みたいなことを言うのでした。

 ケリーは「元に戻らなくちゃしょうがないやい」とグレてしまって(笑)家出してしまうという・・・。その彼がふらふら歩いてたどり着いたのがカーニバル。その中でも彼の目を引いたのが「ひげ女、でぶ女、小人」が出演していたサイドショー。ケリーはコーヒーショップでこのサイドショーに出演していた小人女クラリス(エイプリル・ケント)と出会ったのです。ケリーは生まれつきの小人である彼女の「小人でも楽しく生きることができるのよ」という大変に前向きな言葉を聞いて「よし、俺もやってみよう」と決意するのでありました。

 この決意そのものは大変結構なのですが、やってみることというのがクラリスとのデート(笑)。どうもけしからんことですな。公園のベンチに二人してちょこなんと座り楽しくおしゃべり。そしてケリー「僕が元気になったのも全て君のおかげさ」などと言いましてケリーを抱きしめようとしたのですが・・・「あ、なんということだ。僕は君より小さくなってしまった。ああ、また小さくなり始めたのだ、ウワー」恐怖のあまりケリーはクラリスを放っておいて家に逃げ帰ったのであります。

このクラリスという小人の女の出番はこれだけ。もうちょっと活躍するかと思ったのですがねえ。

 その後再びケリーはどんどん小さくなって今や人形の家に住む羽目になりましたとさ。今やルイーズの足音や話し声すら彼に大きな苦痛を与えるほどになっています。そんな中買い物に出かけるルイーズ。あ、その隙をついてペットの猫、ブッチが家の中に侵入してきたぞ。ブッチはケリーのいる人形の家まっしぐら。窓から手を突っ込んでケリーの背中をがりっ!「ギャーッ」背中を引っかかれたケリー、必死に逃げ出します。ブッチはそんな彼に易々と追いついてひっかいたり転ばしたりしてやりたい放題。傷だらけで着ているシャツもずだぼろになったケリー、テーブルの上にあるスタンドの電気コードを引っ張ってうまくブッチの上に落下させることに成功します。「ニャー!」驚いたブッチが飛び跳ねたところで再び逃走。なんとか地下室に逃げ込むのでした。そして渾身の力を振り絞ってドアを閉めようとしたのですが、猫に体当たりされてケリーは吹っ飛ばされてしまいます。そのまま地下室にあった洗濯籠に落下。山と詰まれた洗濯物のおかげで怪我はしなかったのですがケリーは失神してしまったのです。

 ここでようやく帰ってきたルイーズ、ブッチにばらばらにされた人形の家を見て愕然。あ、これは引き裂かれたケリーのシャツ、しかも血まみれだわ。ルイーズは部屋の中でニャーニャー鳴いているブッチを見やって「ああ、大変、私の旦那様が猫の餌に!」ショックで倒れ病院に入院することになりましたとさ。

 小さな旦那がいるんだから猫いつまでも飼ってんなよ、猫なんだから小さな生き物見たら襲うよ、まったく考えなしの女です。何が「ああ、私の旦那様が猫の餌に」だ。

 ケリーは失神から目覚めます。洗濯籠の隙間から脱出した彼は上の階に続く階段を見て「こんな階段登れるかコノヤロー」と呟きます。彼は声をからしてルイーズの名を呼ぶのですが前述の通りルイーズは病院。そんなこととは露知らないケリー、「ルイーズが来るまでなんとかしてこの地下室で生き延びるのだ」こうして地下室をさ迷い始めるケリーでした。

地下室でさまようスコット、病院へ入院してしまったルイーズ、最悪の結果です。おまけにラジオじゃ「今日のシュリンキングマンニュース」、悲しい事件が起こりました。あの我らがアイドル シュリンキングマンが猫に食べられてしまったのです。しかもその猫はシュリンキングマンの飼い猫でした。ああ、なんという悲劇でしょう。口じゃ愁傷なことを言っているけど絶対お前ら面白がっているだろう(笑)。

 スコットは家の温水ボイラーから垂れている水を発見。これで水はOK。続いて空のマッチ箱を見つけてこれで住む所も大丈夫。後は食べ物だけだ、何かないか、こんなところで飢え死になんてごめんだぞ。スコットはネズミ捕りにチーズがくっついているのを発見。さっそくチーズを取ろうとします。しかしこれはネズミ捕りですから妙なショックを与えたら留め金が外れてバネのパチンコで圧殺されてしまう。スコットは悩んだ挙句落ちていた釘を拾って罠にぽいっ。思惑通りパチンコがはじけます。これでチーズゲットだぜと思ったらパチンコのショックで跳ね飛んだチーズは排水口にぽとっ。愕然とするスコットであります。

 おまけに何か怪しい足音が聞こえてきた。ルイーズかなと一瞬希望に胸を膨らませたスコットでしたがその正体はタランチュラ。壁の穴から這い出てきたのです。「ぎゃっ」と叫んで逃げるスコット。なんとかタランチュラをやり過ごすことに成功するのですが、この先こうして逃げ続けられるという保証はありません。早くこの地下室から脱出しなければと焦るのでした。

 しかし先立つものは食い物。何か食べなければ脱出どころか待ち構えているのは飢え死にという運命です。必死にあたりを見回すスコット。そして見つけたのは高い高い壁の棚にちょこんと乗っているケーキでした。彼はタランチュラから逃げる途中で見つけた裁縫道具の針と糸を使って上へ登る道具を作ります。針を壁の穴に差し込んで曲げ、その端に糸を結びつけたのです。そしてこれを壁に立てかけてある大きな木の箱の隙間にひっかけ少しずつ登っていくという「食い物の為じゃなければとてもこんなことできないよ」な苦行。箱の上に登ったら登ったでそこには大きな隙間がありとても飛び越せそうにありません。ケーキのあるところはその先であります。スコットはペンキで箱に張り付いていた木の板を動かそうとしますがペンキが固まっていてびくともしません。スコットは仕方なしに飛び込み台のように隙間に突き出た木の板に乗って向こうへ飛び移ろうとします。そろそろと板の先に進むスコット。さあ、ここで飛び移るぞという瞬間、ペンキがばりばりはがれだして落ちそうになる板。スコットは悲鳴を上げながら飛び出します。なんとか向こう側に飛びついて必死に体を引き上げるスコット。彼の背後ではついにペンキがはがれた板が深淵に向って落下したのでした。

 ここまでくれば後は簡単。偶然棚にあった毛糸球から垂れている糸を使ってようやくケーキの棚に到着です。馬鹿でかい蜘蛛の糸があるのが気になりますが「なに俺はカンタダじゃないからな」と訳の分からないことを呟いたスコット。ようやくありついたケーキにかぶりつくのでした。

 ここでスコット、通風孔から洩れてくる外光に気がつきます。久しぶりの日の光に喜んだスコット、通風孔のところまで行ってみたのですが、残念、そこは金網でふさがれておりました。ちょっとばかり手で揺すったくらいではどうにもならない丈夫なもの。「チクショー、やっぱり俺はここから出られないのか」スコット、がっかりしてケーキの塊を持って下へ戻るのでした。この後、またタランチュラに襲われるのですが、今度もマッチ箱の家の中に逃げ込んでなんとかセーフ。

 こんなことやっている間に病院から戻ってきたルイーズ、チャーリーに薦められて引越しを決意してしまうのです。知らぬ間にスコット大ピーンチ!

 おまけに温水ボイラーが壊れて今までぽたぽた垂れていた水がいっきに流れ出し床が水浸しになってしまいます。フツーの人間なら「あら、やだわ、配管屋さんに修理頼まなくちゃ」で済むのですが、何しろ今のスコットは体長10センチもありません。流れ出た水が大洪水となって彼を押し流してしまったのです。壁から突き出た釘になんとか泳ぎ着いてしがみつくスコット。この時、ついに助けが現れました。ルイーズとチャーリーが地下室に置いてあったトランクを取りに降りてきたのです。必死に二人の名前を呼ぶスコット。しかし彼らには聞こえない!ルイーズとチャーリーは「あら、床が水浸しになっている、後で修理を呼ばなくっちゃ」「いや、バルブを閉めれば大丈夫だよ、どうせ引っ越すんだし」という会話を交わしたのみ。ボイラーのバルブを閉めて排水口に溜まっていたゴミを取り除いた二人はあっさりと上に上がっていってしまうのでした。そしてその夜二人は車でぶーっ。引っ越してしまったのであります。

 チャーリー達が排水口に詰まっていたゴミを取り除いてくれたおかげで水は引いたのですがマッチ箱の家は水浸しでもう使えません。おまけに上から持ってきていたケーキのかけらも流されちゃった。スコット、ついに切れてしまいます。「チクショー、俺はもう蜘蛛なんか怖くないぞ、さっさとやっつけてまたケーキを食ってやる、おお、何だか力が漲ってきた、神様、ありがとう」彼はまた針と糸で作ったフックを使ってケーキ目指してどんどん登ります。最初はあれほど苦労したのにさすが切れて開き直った男は強い、あっという間にケーキの棚までたどり着いてしまったのです。

 そして蜘蛛の巣にいるタランチュラに石をがんがん投げつけて「てめえ、蜘蛛、降りてきて戦え、この糸吐き野郎」と挑発するスコット、さらに蜘蛛の糸を揺すって「おらおら、降りてこい、バカヤロー・・・、あ、ああ、本当に降りてきやがった、まずい、ヒーッ」と逃げるという(笑)。まああんなのがざかざか迫ってきたら誰でも逃げるとは思いますけれども。逃げるスコット、振り返りざまに針のフックを蜘蛛に投げつけます。これが上手く刺さってタランチュラに大ダメージ。そしてあらかじめフックと糸で結んでいたハサミをけり落としてタランチュラも落下させようとしたのですがあにはからんや糸が切れちゃった。「げっ、それはないよ、ヒーッ」また逃げ出すスコット。しかしついに追いつかれて覆いかぶさられてしまいます。迫るタランチュラの毒牙、スコット、衣服の紐に差し込んで持っていたもう一本の針をなんとか抜いてタランチュラの頭めがけてぐさーっ。「いつまでも好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」タランチュラ、どうと倒れます。スコットはついにこの怪物を倒したのです。

 しかしスコットも力尽きて倒れてしまいます。気がついた時にはすでに夜になっていました。よろよろと立ち上がった彼は通風口から見える月光に導かれたかのように歩き出します。この時彼の衣服はぶかぶか。矮小化がさらに進んでいたのでした。そのおかげで前は通れなかった金網もらくらく潜り抜けられたのです。外に出たスコット、夜空を見つめて「いずれ私は消える。でも不思議に穏やかなキモチだ、私はまったく怖くない、ああ、小さくなる、小さくなる」スコットはさらに小さくなってついに見えなくなってしまいます。エンドマーク。

 ウウーム、あの飼い猫ブッチはどうなったのでしょうか。いくらミニミニサイズとはいえ人間一人食っちゃったのです(と思われた)。まさかそのままルイーズが飼っているなんてことはないでしょうな。

モノクロ・スクイーズ収録のワイド モノラル音声。画質は前述した通り黒が不安定で今ひとつ。音質は上出来。「クラシック・サイファイ・アルティメイト・セット」(『Tarantula 』『The Mole People』『The Incredible Shrinking Man』『The Monolith Monsters』『Monster on the Campus』を収録したボックスセット)。DVDのケースには薄いプラスチックのアウタースレーブまでついていてなんだかとっても豪華であります。こんなDVDセットならわたしゃ100万枚欲しい。英語字幕つき。ユニバーサルのDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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『Monster on the Campus』(1958年)

 

Monster on the Campus』(1958年)

                        

冷凍シーラカンスの汁で人間が原始人に大変身。原始人なんだから大人しく壁画でも描いていればいいのですがそれじゃ映画になりません。原始人は原始人でも凶暴な原始人に変身して人を襲うのであります。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

キャンパスの怪物というくらいですから舞台はアメリカのどこかの町にある大学、ダンスフィールド・ユニバーシティ。研究室で主人公のドナルド・ブレイク教授(アーサー・フランツ)は婚約者のマデリン・ハワード(ジョアンナ・クック・ムーア)といちゃついております。というのもこの教授の研究室にはクロマニヨン人、ネアンデルタール人、北京原人などの顔面模型が時代順に並んでいてその最後が現代の人間となります。マデリンはこの現代の人間女性のモデルとなって顔面の型を取られているのでありました。そんな状況ですからマデリン、顔面を石膏で固められていて身動きできません。ドナルド・ブレイク教授はそんな彼女にコーフンしたのか、「よーし、くすぐっちゃうぞ、こちょこちょこちょー」だって、あー、アホらしい(笑)。

 この型取り作業が上手く終わりまして次に運び込まれてきたのがはるばるマダガスカルから空輸されてきた冷凍状態のシーラカンス。魚体は確かにシーラカンスだけど目が大きくって牙が鋭くとても恐ろしい形相なのが笑えます。これを車から降ろした運搬係の学生、ジミー君(トロイ・ドナヒュー)、一緒に車に乗せてきた犬のサムソンがシーラカンスのケースから溶け出してきた水をぺろぺろなめているのを見て「こら、サムソン、そんな汚いものをなめるんじゃない」貴重なシーラカンスなのに汚いとか言うな(笑)。サムソンはいきなり凶暴となって驚くジミーに飛び掛りがぶ!彼の悲鳴を聞いたブレイクとマデリーンは研究室から毛布を持ち出してサムソンに被せぼこぼこにして檻に収容するのでした。

 ジミーの傷を診察したドクター・コール(ホイット・ビッセル)は「狂犬病ではないようだがもっと詳しく調べる必要がある。私の助手モリー(ヘレン・ウェストコット)を午後8時によこすからそれまでに唾液のサンプルを採取しておいてくれたまえ」

 あっという間に午後8時になりましてモリーが研究室に参ります。サムソンは依然として凶暴なままでブレイクとモリーを見てわんわんわんわんと吠え狂うのでありました。ブレイクは「彼は水を飲んでいるから狂犬病ではない。でも不思議なことに彼は先祖がえりしているようなんだ」「先祖がえりですって」「そう、彼の牙が狼のように伸びているんだよ」あ、確かにサムソンの口の両端から長い牙がにょっきり伸びています。こんな入れ歯付けさせられてサムソンもご苦労さまっス。ここで今夜ダンスに行く約束をしていたマデリンから「早く行きましょうよ」という催促の電話。とたんにそわそわしだしたブレイク、モリーに手伝わせてシーラカンスを冷凍庫へ戻そうとします。しかしシーラカンスの口の中に手を入れて持ち上げようとした瞬間、「あ、いてて」口がぱたんと閉じてシーラカンスの鋭い歯がブレイクの手をざっくりやっちゃった。おまけに慌てた拍子にシーラカンスのケースに溜まっていた水にその傷口をつけてしまうのです。

 傷はたいしたことはないのですが、ブレイクの容態は急速に悪化。立っていられないようになってしまいます。マリーはそんな彼を家まで車で送り届けるのでした。しかし家についた時にはもうブレイクは息も絶え絶え、意識不明の状態に陥ったのでした。あわてたマリー、ブレイクの家に入って電話で救急車を呼ぼうとするのですが、背後で回転するドアのノブ。ゆっくりと開いて何者かが侵入してきます。振り返ったモリーの顔が激しい恐怖に歪んで「ヒーッ!」暗転します。

 その頃自宅でいつまでもブレイクが来ないのにいらだっているマデリーン。父親から「シーラカンスが来たんだ。そりゃ時間だって忘れるさ」と言われるのですが、シーラカンスも大事かも知れないけどアタシのダンスの方がもっと大事だわというマデリーン、研究室へ彼を迎えに行くのでした。管理人のタウンゼント(ハンク・パターソン)に鍵を開けてもらって研究室へ入るとブレイクの姿はなし。「じゃあ、もう家に帰ったのかしら、おかしいわねえ」といぶかしがるマデリーン。ここでタウンゼントが檻の中のサムソンに手を伸ばしたのを見て「あ、その犬はおかしいんです。危ないわ」ところがサムソン、素の愛想の良い犬に戻っておりましてタウンゼントの手をぺろぺろ。タウンゼント「はは、可愛い犬じゃないですかねえ。犬は私が犬好きなのを分かるんですよ」

 釈然としないマデリンでしたがとにかくブレイクの自宅へ向います。到着したらあれ、玄関前に見知らぬ車が止まっている。玄関開けっ放しで何か様子がへん。おそるおそる中へ入ってみますと部屋の中が滅茶苦茶に荒らされているではないですか。「ドナルド!」婚約者の姿を求めて半狂乱になるマデリン。すると庭の方からうめき声が聞こえてきたのです。急いで庭に出たマデリンが見たのは倒れているブレイクと木の枝に吊るされているモリーの死体でした。「ひいいー」悲鳴を上げるマデリンです。

 ちなみにこのモリーの死体は彼女自身の髪の毛を使って木の枝に吊るされております。猟奇ですねえ、ぞくぞくしますねえ。

 当然ながら疑われたのはブレイク。マイク・スティーブンス警視(ジャドソン・ブラッド)は気分が悪くなってモリーの家まで送って貰った、それから先は全然覚えていないというブレイクの証言を聞いて「覚えていないと言われてもねー」おまけにモリーの手に握られていたのがブレイクのタイピンだったのです。スティーブンス警視は「はい、モリーは争いになってあなたのタイピンをもぎ取ったに違いありません。後は警察署で話を聞きましょう」ブレイク、マデリンの抗議にも関わらず連行されてしまったのでした。

 しかし、この後新たな証拠が見つかります。マデリンの引き裂かれた写真に残された指紋、ガラス窓にべったりとついた手形、このいずれもがブレイクのものでないことが分かったのです。「すると第三の存在がいたことになる。こいつが真犯人だ」ということでめでたく釈放されるブレイクでありました。

 さて釈放されたブレイクは無事大学に復帰。学生たちにシーラカンスの講義をやったりなんかしております。それが終わった後でやってきたのがジミーと恋人シルビア(ナンシー・ウォルタース)のコンビ。「先生、サムソンをそろそろ連れて帰りたいのですが」ブレイクは「いやいや、彼にはちょっと先祖がえりのような症状が現れていてね。まあ実際に見てみたまえ」ブレイクは檻の中のサムソンを二人に見せて「ほら、彼の牙が狼のように伸びているだろ、あれ、あれれ」ブレイクはびっくりします。昨日あれほど延びていた牙が元通りになっていたからです。ブレイクはよろめいて机に手をついて体を支えると「あれは私の幻覚だったのか、それとも犬をすりかえられたのか」先生、すり替えたってそんな引田天功じゃないんだから(笑)。

 マリー殺害事件に対する警察の捜査はいっこうに進展しません。それでも狙われたのはブレイクであろうという推測のもとに警察のボディガード、エディ・ダニエルズ(ロス・エリオット)が彼の身辺を警護することになりました。彼の監視下で研究室でシーラカンスを調べるブレイク。すると開けておいた窓から一匹のトンボがぶーん。シーラカンスの上に止まったのであります。もうこの先何が起こるか丸分かり(笑)。一方シーラカンスの細胞を顕微鏡で調べていたブレイクは「あ、なんということだ、バクテリアが結晶化しているぞ、これは大変だ」なるほどバクテリアが固まっておりますな。しかしドクター・コールを呼んで見てもらうと「なんだ、これ普通のバクテリアじゃないか」さっきの固まっていたバクテリアが活発に活動をしているという・・・。ブレイクの面目丸つぶれ。

 この後またジミーとシルビアがサムソンを貰い受けに大学にやってきます。キャンパスを歩いているとぶーんぶーんという謎の羽音。もうこの正体は皆さん、お分かりですね。木陰でキスしようとしたら背後から手がにゅーっ。「キャーッ」と悲鳴を上げるシルビアですが、これは別のカップルだったというオチ。さっさと研究室に行けよ、お前ら。

 ジミーとシルビア、サムソンを連れて帰ろうとするとまたぶーん、ぶーんという謎の羽音です。しかも今度は窓にがちんがちんと何かがぶつかっている。ブレイクがブラインドをぱっと引き上げると浮かんでいたのは大トンボでありました。ブレイクは「よし、こいつを捕まえよう」と窓を開けて研究室に大トンボを誘いこむのです。そしてシーラカンスに止まったところをエディと二人で網を被せて見事捕獲に成功。しかし大トンボも負けてはいません、その鋭い歯でびりびりと網を引き裂き始めたのです。「わわ、こいつはいかん」ブレイク、ナイフで網越しに大トンボの背中をぐさーっ。ああ、なんてことを(大笑い)。

 ブレイクは大トンボを調べて「おお、これはトンボの祖先メガニューラじゃないか。こいつはシーラカンスに止まって先祖がえりした、サムソンは」ブレイクはジミーに「サムソンはシーラカンスに近づかなかったかね」「そう言えばサムソン、シーラカンスの溶けた水をなめていましたよ」ジミーは当惑しながら答えます。「そうか、この二つには関連があるに違いない!」

 ブレイクはジミーたちを帰してメガニューラの死体を調べ始めます。この時メガニューラから滴った体液がブレイク愛用のパイプに!というのはちょっとやりすぎじゃありませんか(笑)。ボディガードのエディも警察への定時連絡のために出て行ったので研究室に一人となったブレイクはパイプをぷっぷか吹かしながらメガニューラを調べるのですが・・・。まあ、こういう貴重なサンプルをパイプ片手に調べるのはどうかということは置いておきましてパイプに垂れたメガニューラの激濃汁がたちまち効き目をあらわしてふらふらとなるブレイク。彼の視界がぐにゃりとゆがみます。そしてその視界の中で小さくなるメガニューラ、毛むくじゃらの手がそれを叩き潰してしまいます。戻ってきたエディ、研究室の中から唸り声がするのに気がついて「先生、大丈夫っすか」と飛び込んだのでした。

 研究室へ飛び込んだエディは呆然とします。中がめちゃくちゃに荒らされていたからです。しかもブレイクの姿はどこにも見えません。何者かが窓を破って逃げ出した形跡があることを発見したエディ、自分も外に出て追跡を開始します。拳銃を構えて慎重に進む彼の眼が捕らえたのはフーフー唸っている大男。「こら、待て、お前」逃げられてしまいました。エディは緊急用電話でスティーブンス警視に電話で応援を要請します。「なんか凄い奴なんです。ありったけのパトカーを送ってください。たのみますよ」その彼の首に毛むくじゃらの手が伸びて「ブレイク教授は行方不明です、とにかく急いでくださいぐっ!」首を捻られてエディあえなくあの世行き。

 ブレイクは前回の時と同じく意識不明になって外に倒れていたのです。彼のシャツはぼろぼろ。しかし今回も普通の人間とはとても思えない足跡が発見されたので彼は疑われることもなかったのです。まあ、二人の人間が無残に殺されてそのたびに意識不明になって倒れている男、こんなに怪しいものもないのですがねえ(笑)。

 あまつさえブレイクは人間二人を殺した犯人についてスティーブンスやマデリーンのパパであるハワード教授(アレクサンダー・ロックウッド)に次のような推論を聞かせるのでした。「あれは人間が先祖がえりして原人になったのです。ほら、犬のサムソンがやっぱり牙が伸びて狼のようになった。この二つには関係があるのですよ」スティーブンスもハワード教授も当然のことながら信じようとはしません。二人の冷たい反応に怒ったブレイク、「チクショー、だったら私がそれの存在を証明してやる!」

だから先祖がえりしたのはお前だっての(笑)。

 それからブレイクは以前にもましてシーラカンスの研究に取り組みます。研究に熱中するあまり講義もさぼっちゃう。おまけに新聞に例の「原人がやったのだ」説を喋っちゃってニュースになっちゃったからもうはワード教授はかんかん。マデリーンは心配してブレイクの研究室にやってくるのですが、ブレイクは彼女に目もくれようとはしません。それどころかシーラカンスの輸入元であるマダガスカルのタナリーブ研究所のモーロー教授のところに長距離電話をかけ始めたのです。マデリーンからそのことを聞いたハワード教授はさらに怒りを露にして「マダガスカルに長距離電話だって、一分間で五ドルもかかるじゃないか」怒っているのはそこかい(笑)。
 
 ハワード教授はドクター・コールを連れて研究室に乗り込みます。そして二人で「君は病気だ、おかしいのだ、休まなくてはならない。マダガスカルに長距離電話を88分だって正気の沙汰じゃないぞ。440ドル電話代が掛かるんだぞ」そんな二人にクレイグは「今から説明したいことがあります。スティーブンス警視を呼んで下さい」「そりゃ、警官も必要になるだろうさ」スティーブン警視が駆けつけてくるのを待ってブレイク、得々と説明を始めます。「シーラカンスはどうして進化せずにいられるのか。何がこの魚を進化の抗いがたい力に対抗させているのか、それは」フラスコに入った透明な液体を三人に見せるブレイク。「シーラカンスの血液の血漿なのです。この血漿がシーラカンスを進化しないままに止めているのです。ではこの血漿を他の生物に注射するとどうなるのか、先祖がえりしてしまうのですなあ」三人は呆れ顔。ハワード教授が「しかし、コモロ島の住人はどうなる。彼らはシーラカンスを常食しているのに誰も原人に戻ったりしてないぞ」

 ブレイクはにやりとして「それはガンマ線処理をされていないからです。今回運ばれてきたシーラカンスには輸送のために防腐処理として放射線を照射していたのです。私がガダルカナルじゃなかったマダガスカルに440ドルも使って長距離電話を掛けたのはそれを調べるためでした」スティーブンス警視は得意満面の彼に尋ねます。「じゃ、あのー、犯人は誰なんだい」「それは私が留守中に研究室に忍び込んできた誰かでしょう。そいつはシーラカンスの歯でうっかり傷を作ってしまったのに違いありません。その傷口から血漿が・・・」はっとなるブレイク。それって俺じゃん!彼は急にうろたえて「あ、やっぱり私は体の調子が悪い、どこかで休まなくてはなりません」突然の態度の変化にいぶかしがるハワード教授たちですが本来の目的は彼に休養を取らせることだったのです。チャンスとばかりにハワード教授、「じゃあ、私の山荘を使いたまえ、あそこならゆっくり休めるだろうさ」

 しかしブレイクの目的はもちろん休養を取ることなどではありません。人里離れた山荘でさきほど思いついた恐ろしい疑いが本当かどうか確かめようとしていたのです。あ、よせばいいのにシーラカンスの血漿を自ら注射しやがった!彼は部屋にいくつものカメラを仕掛けて紐でシャッターと彼の体とを繋ぎます。彼が変身して暴れだしたら自動的にシャッターが降りて撮影されるという仕組み。やがて彼の顔がだんだん毛むくじゃらになっていってウォー!はい、三度変身するブレイク。

三度はさんどじゃないですよ、みたびって読むのですよ。

 その頃マデリーンは山荘に向けて車を飛ばしておりました。実はジミーとシルビアに例のメガリュームの話を聞かされたのです。今の今まで大トンボの話はブレイクの幻覚だと思っていたマデリーン、それが現実の存在であることを知って「大トンボがいるなら原人がいたっておかしくないわ。ああ、ブレイクがアブナイ」と思ってしまったのですねえ。あまりに猛スピードで飛ばしていたので彼女の車を目撃した森林パトロールのトム・エドワーズ(リチャード・H・カッティング)が何事ならんと追いかけることになります。

 車を飛ばすマデリーン、その前に現れたのはブレイク=原人でした。その恐ろしい姿に悲鳴を上げてハンドルを切り損ねるマデリーン。車は藪に突っ込みマデリーンは投げ出されてしまうのでした。その彼女に近づき興味深そうに眺める原人。どうやら先祖がえりしても彼女が自分にとって特別な存在であることを覚えていたようです。そこに駆けつけてきたのがトム。彼は「おい、彼女は大丈夫か」と原人に声を掛けるのですが振り返ったその姿を見て仰天。「わあ、化け物だあ」彼は事務所へ戻って電話でスティーブンス警視に応援を要請するのでした。

 原人はマデリーンを連れて逃げ出します。後を追うトム。彼は拳銃を発射、原人の腕に命中させたのです。「んがあ」苦痛のわめきをあげる原人。しかし原人、マデリーンを降ろすと山荘から持ち出してきていた手斧をトムに向ってびゅっ。手斧はトムの頭に命中、彼を即死させたのでした。これはちょっとかわいそうな死に方ですな(笑)。原人も腕の痛みに耐えかねがっくりと膝を突いてしまいます。この間に意識を取り戻したマデリーン、「ひーひー」言いながら立ち上がってブレイクがいる筈の山荘に逃げ込むのでした。

 しかし山荘の内部はこれまたぐちゃぐちゃになっています。立ち尽くす彼女の背後に現れたのは・・・ブレイクでした。「ああ、ドナルド」としがみつくマデリーン。「あなたは無事だったのね、良かったわ」ブレイクはそんな彼女をそっと押しのけ「ありがとう、でもこれから写真を現像しなくちゃならないんだ。犯人が写っているかも知れないからね」現像してみるとなるほどあの原人が写っております。マデリーンは無邪気に「あら、この化け物、あなたと同じシャツを着ているわ」だって(笑)。ブレイク、ついに自分自身が化け物であったことを知るのでした。驚きのあまり立ち尽くすブレイク。

 ここでようやくハワード教授、ドクター・コール、スティーブンスが到着します。ブレイクは彼らに向って「ついに怪物の正体が分かりましたよ」そしてマデリーンを残し3人を外に連れ出したのでした。彼はハワード教授に「あなたに怪物の正体をお教えしましょう、コール先生と警部はここで待っていてください」教授と二人きりになったブレイクは「教授、怪物の正体は私だったのです」隠し持っていたシーラカンスの血漿の壜を出して「これを注射したら怪物になるんだ。そうしたら後生ですから私を射殺してください」ブレイクは教授がやめろやめろと叫ぶのに構わずぶすっと注射。あっという間に原人に変身します。「がおー」「ひーっ」仰天したハワード教授、ピストル撃つのも忘れて逃げ出します。「ぐわあ」彼を追っかける怪物。ああ、教授危うしと見たスティーブンス警視が拳銃を乱射、原人に命中したのでした。

 ばったり倒れる原人、スティーブンスはその死体を恐ろしげに見て「やっぱりブレイクの言ったことは正しかった。ところで教授、ブレイクはどこですか」教授は世にも暗い顔で「それがブレイクだよ」立ち尽くす三人のまえで原人の顔が徐々にブレイクのそれに戻っていきます。ここでエンドマーク。

シーラカンスの血漿を注射しなけりゃ変身しないのですから、ブレイク、知らん顔をしてればいいのではないかと思います(笑)。フツー、こういう映画なら一度変身したら後は自分の意思に関わらず勝手に原始人に変身しちゃって人殺しという展開になるものなのですが。

モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質・音質は極上。「クラシック・サイファイ・アルティメイト・セット」(『Tarantula 』『The Mole People』『The Incredible Shrinking Man』『The Monolith Monsters』『Monster on the Campus』を収録したボックスセット)。DVDのケースには薄いプラスチックのアウタースレーブまでついていてなんだかとっても豪華であります。こんなDVDセットならわたしゃ10万枚欲しい。英語字幕つき。ユニバーサルのDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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