« 『Paranoiac』 1963 | トップページ | 『Le Prigioniere dell'isola del diavolo』(『Women of Devil's Island』 1962年) »

2007年5月31日 (木)

『雪男・ビッグフット』(『The Legend of Bigfoot』 1976年)

 

これはイヴァン・マークスというおっさんが雪男・ビッグフットを追跡したというドキュメンタリー仕立てになっております。出てくるのはほぼこのおっさん一人、他には奥さんのペギー、義理の弟が顔を見せるのですがまったく印象に残らない程度の短い時間に過ぎません。おまけに全編台詞はなくおっさんのナレーションで映画が進んでいくのです。ロッキーやシェラネバダ山脈、アラスカ、ユーコン川、カリフォルニアなどの美しい自然と動物たちが出てくるけれどもこれはストックフッテージの切り貼り、つまり流用という…。そして挙句の果てに出てくる雪男はフツーの人間に汚い着ぐるみ着せた奴。いい加減温厚な私でもふざけんな!と思います。

 これはB級と名乗るもおこがましい、C級?いやいや、じゃあ、思い切ってZ級?それでももったいないというくらいのへっぽこ映画なのでありました。

 冒頭出てくるイヴァン・マークス。「わしゃなあ、ビッグフットというものを長年追っているのじゃよ。ビッグフットを知っているかね、エスキモーにはブッシュマン、ユーベルインディアンにはサスクワッチ、カリフォルニアのフーバーインディアンにはオマと呼ばれる存在じゃ」ここでオープニングクレジット。あ、この映画はレターボックスのワイド収録です。こんな映画でもったいないことするなあ(笑)。

 さて、このおっさんは政府に委託されて自然、動物を保護・調査する仕事をしております。奥さんのペギーは牧場やっていてその傍ら拾ってきた動物を大事に育てているという優しい人。ここで子猫がミルクを飲む可愛らしい映像が延々流れます。何の関係があるのかとちょっとムッとします(笑)。このおっさんがビッグフットに嵌ったきっかけはコディアック熊の調査のためにアラスカへ行ったこと。おっさん、現地で「うちの牛がビッグフットに殺されたとですたい!」と主張する人に会ってしまったのです。

 おっさん、最初は「そんなビッグフットって馬鹿馬鹿しい、アハハハ」と笑っていたのですが、アラスカからもどってきて義理の弟に「石化の森」と呼ばれるインディアンの遺跡を教えられたのがまずかった。かれはここでビッグフットの壁画を発見したのです。「この壁画は700年前のものだ。インディアンはビッグフットにたびたび赤ん坊を攫われついにこの地を捨てたのだ。ということはそんな昔からビッグフットがいたのか、ウウーム」 その後彼は山ライオンを追っている途中で巨大な足跡、手形、毛を発見しましてついにビッグフットの存在を確信するのでした。

 はい、新たなビリーバーの誕生です。

 彼は新聞に「ビッグフットの情報求む!」の広告を出します。たちまち無数の報告が寄せられてモー大変ですよ。「私はビッグフットを見た」「私はビッグフットに襲われそうになった」「私はビッグフットにお風呂場を覗かれた!」「私はビッグフットとセックスした!」「私はビッグフットでアトピーが治った!」「私はビッグフットで素敵な彼氏を見つけた!」etc,etc どの情報にも共通していたのはビッグフットは黒々とした毛に覆われその目は明るく輝いているということ。そしてその大きさは12フィート、体重800ポンドにも達するというのです。

 おっさん、びっくりして「信じられん、フツーの動物だったら800ポンドもの体重には耐えられん、立つこともできないぞ」だって。

 おっさん、ついに森でビッグフットらしきものを目撃します。ライフルも持たずに追跡するおっさん、走りながら「なんて軽率なことを、襲われたらどうするんだ、いや山ライオンだっているぞ」逃げるビッグフットらしき影。突然木の上から山ライオンがうぉー!おっさんびっくりしますが、この後この山ライオンに襲われてズッタンズッタンのギッタンタンにされるなどという展開はありませんのでご安心下さい。さらに追跡を続けるおっさんですが悪いことに突然の大雨。おっさん、「ああ、これでは駄目だ、足跡が流されてしまう」ついに諦めるのでした。

 このあと俄かに巻き起こる「ビッグフットブーム」。町のお土産屋さんでビッグフット人形が売られマクドナルドは「ビッグフットバーガー」を新発売。町の広場にはビッグフットの立像が作られます。

 おっさんはこの後もしぶとくビッグフットの追跡を継続。ワイオミングへ行って巨木のうろを「ビッグフットの隠れ家に最適だ」と言って調べたりオレゴンで海岸の魚をビッグフットが食いにくるという報告があったので待ち伏せてみたり、雪山でまたビッグフット発見、でも良く見てみたらそれは熊だったとがっかりしてみたり、いろいろやります。しかし何も見つからずおまけにお金もそこをついてきた。そろそろ仕事にもどらなきゃという時にワシントン山中でついにビッグフットを発見。しかも今度は写真撮影に成功したのです。

 あきらかにパターソンフィルムを意識したカメラ割りで野原をひょっくりひょっくり歩くビッグフット。「ただの着ぐるみですが、文句ありますか、こんな映画ですよ」といわんばかりのその堂々とした間抜けな映像に私はもう言葉もありません。実際、こんなの劇場にかけたんかいの、私、こんなの劇場で見せられたら売店の女性店員人質にとって立てこもりますよ、ええ、誓ってやりますとも(笑)。

 ともあれおっさんの写真はセンセーションを巻き起こします。科学者たちもその正体の解明にやっきとなります。そしておっさんにはまたも「もっと明白な証拠を持ち帰らなければ」という間違った使命感が芽生えるのです。

 またカリフォルニアの山中をうろうろするおっさん。二匹のリスが戯れている映像を延々と流します。いい加減飽きたところで走ってきた車がリスの一匹をぐしゃっ。な、なんじゃ、こりゃ。重傷を負ったそのリスを必死に助けようとして引きずるもう一匹のリス。上空では鷹が狙っています。ついに怪我をした友を見捨てるリス。残されたリスは不自由な体で巣穴を目指します。鷹が急降下、しかしあわやというところで巣穴に転げ込むリス。ああ、良かった、良かった。しかしなんですなあ、これがビッグフットに何の関係があるというのでしょうか。

 おっさんはユーコン川近くの湖で耳寄りな情報を聞き出します。なんとビッグフットの墓場は氷河にあってビッグフットたちは仲間の死体を担いで1000マイル遠くからはるばるやってくるというのです。おっさんは「ウウーム、やはりゴールドラッシュで人が押し寄せただけのことはある。人がたくさんいるからビッグフットの情報もたくさん集まるのだ」ふーん、そういうものですかねえ。おっさん、この後氷河に入ってビッグフットの墓場を探しますが見つかったのは動物の骨が数個。あー、つまらねえ。

 この後おっさんはボートでユーコン川を遡ります。いろいろ巡った末にビッグフットは生き残るために北上したんだそうで・・・。おっさんは食料の補給がてら川の沿岸にあるいくつかの村によってまた聞き取り調査。「母の葬式をしていたらビッグフットがやってきて母の声で言葉を喋った。あれは母の魂がビッグフットを通じて我々に語りかけようとしたのだ」ビッグフット、イタコ扱いです(笑)。「昔、ビッグフットを罠で殺した男がいた。その後出かけたら突然世界が真っ赤に染まった。ビッグフットたちの呪いだ。しかし彼を救ったのは北より現れた白い光だった。これは彼が殺したビッグフットの魂なのだ。ビッグフットはそんな優しい生き物なのだ」画面は真っ赤になって時折白い光がきらきらと輝きます。もー見ている私の目がちかちかしてしまいます。

 またある村では「ビッグフットは我々の友達だ。彼らは行き倒れになった見ず知らずの人間達の遺体を運んできてくれるのだ」その言葉通り村の外れの墓地には「身元不明」と書かれた墓石がいくつも建っています。そんな見も知らぬ人間の死体をばかすか持ってこられたら迷惑でしょうが(笑)。

 さて、おっさん、テントを設置してビッグフットを待ち伏せします。普通のトランシーバーをあちこちにセットしてこれでビッグフットの接近を感知しようというおっさん、そんなおっさん、トランシーバーでそんなことしてたらすぐ電池切れまっせ(笑)。まあ実際には電池が切れる前にビッグフットに放り投げられてしまう訳ですが。それでもおっさん、こりずに待ち伏せを続けます。

 そして遥かかなたの荒地に二つの光る物体を目撃するおっさん。「ああ、あれはビッグフットの目に違いない!」そ、そうかあ。おっさん、大喜びですがその目はあっという間に虹の彼方に消えてしまいましたとさ。がっかりするおっさんですが、「いや、これで周辺にビッグフットがいることが証明された」と気を取り直します。

もう私は飽きました。ひたすらに「早く終われ、終われ」と念じるだけでございます。

 おっさん、次にセスナを雇って空からビッグフット探索。ぶーんぶーん当てもなくアラスカの森林の上を飛び回っているとパイロットが「あ、あれはビッグフットですぜ!」なるほど川のほとりになにやら蠢く影が。それっと着陸してビッグフットを追っかけたおっさんですが、またもあえなく取り逃がしてしまったのであります。

 それからカリブーの繁殖行動が延々と映されて「ビッグフットは何を食うのだろうか。カリブーだろうか、それとも魚だろうか、いやいや草食性かも知れないぞ」次にハンターがやってきてどんどんカリブーをやっつけます。狩ったカリブーを車に積んで意気揚々と戻っていくハンターたち。ぜんぜんビッグフットと関係ないやんか(笑)。そしておっさんの止めの一言。「ビッグフットは保護されなければならない。そのためには彼らの謎を解明することが必要だ」

 おっさんはセスナとそのパイロットを放ったらかしにして(笑)いや、これ以降まったく出てこないのですから、ええ、いい加減なものですよ。ビッグフットを目撃した川の近くの森にシェルター作ってビッグフットを待ち伏せします。狭いシェルターの中で縮こまっているものですから「寒い、体が痛い、腰にくる」と文句を垂れるおっさん。もうそんな文句言うくらいならビッグフット放って家にかえんなさい。誰も止めやしないから(笑)。

 そしてついにおっさんの前に姿を現すビッグフット、それも二体同時です。7フィート、500ポンドはあるかと思われる個体と5フィート半、200ポンドのやや小さめの個体。おっさんは「おお、あれは若いビッグフットなのだ」と大コーフン。震える手でカメラを回します。その前で草を食べたり沼の水を手ですくって飲んだりするビッグフット。「そうか、彼らは草食なのだ。そして時々魚を食べているに違いない。やったぞ、私はついに完璧な証拠を見つけたぞ。これでビッグフットの存在は証明されたのだ」

 もちろん、この二体のビッグフットは汚い着ぐるみですけどね。7フィート、500ポンドの生物なのに人間そのままの体格なのだから呆れます。もうちょっとらしく見せる努力をしたらどうなのか。

 その後、おっさんが「でもビッグフットの追跡はやめないもんね」と呟いたところでエンドクレジット。

私が見たのは76分の短縮版。IMDbによるとオリジナルは92分もあったそうで(笑)。一時間半以上もこんなの見せられて劇場で暴動起こらなかったんかいの。

カラー、レターボックスのワイド収録。画質は色のにじみが酷く例によって暗い場面では何やっているのか分かりません。音質も駄目。耳障りなノイズがおっさんのナレーションに絶えずまとわりついていていらいらさせられます。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『Paranoiac』 1963 | トップページ | 『Le Prigioniere dell'isola del diavolo』(『Women of Devil's Island』 1962年) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『雪男・ビッグフット』(『The Legend of Bigfoot』 1976年):

« 『Paranoiac』 1963 | トップページ | 『Le Prigioniere dell'isola del diavolo』(『Women of Devil's Island』 1962年) »