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2007年7月27日 (金)

『妖怪巨大女』(『Attack of the 50 Foot Woman』 1958年)

 

世紀のクズ映画、まさにベスト・オブ・ザ・ベストならぬワースト・オブ・ザ・ワースト、こんな映画見ていると一生を棒に振りますよ、いや、マジで(笑)。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

冒頭嬉しそうに登場したのはKRKR-TVのニュースキャスターです。「皆さん、今晩は。奇妙な事件が起こりました。スウェーデンの砕氷船がバレント海で謎の飛行物体を目撃したとのことです。その後もカイロ、アフリカ、ニュージーランドで同じものと思われる飛行物体が目撃されています」ここでキャスター、地球儀で飛行物体の軌跡をたどり「そうなると、次に現れるのはカリフォルニアの砂漠ということになりますな」

 なんで砂漠に?と思う間もなく、本編のヒロイン、ナンシー・アーチャー(アリソン・ヘイズ)の車がそのカリフォルニアの砂漠を走っている場面になります。

 何をいらついているのか猛スピードで車を走らせるナンシー。しかし彼女の前方に怪しい物体が現れ急停車したのです。それは白い巨大な球体でした。ナンシーが呆然と見ているうちに巨大な毛むくじゃらの手がニューッ、ナンシーのペンダントを狙っているかのように伸びてきたのです。ナンシーはあまりの恐怖に「ヒーッ」逃げ出します。「ハリー、助けて、ハリー」自分の夫の名を呼びながら物凄いスピードで走るナンシー。あっという間に町の保安官事務所に着いちゃった。

 ナンシーが球体と遭遇したのは砂漠の真ん中。見るからに距離が離れているのですが、ナンシーはあっという間に走破してしまいます。映画の都合とはいえ、大したものであります(笑)。

 ナンシーが助けを求めた夫、ハリー(ウィリアム・ハドソン)はそんな最中酒場でハニー・パーカー(イヴェット・ヴィッカーズ)という安い女と浮気中。周りの目もかまわず抱き合ったりキスしたり、ちょっとしたポルノショーみたい(笑)。ハリーはいかにも面白くなさそうに「ああ、なんでナンシーのところへ戻ったかなあ、別居したままでいればよかったなあ。だいたいあの女いちいち口ウルセーし、酒はがばがば飲むし」ハニー・パーカーも「あんたの奥さん、一度キチガイ病院へ入っていたんでしょ、早く別れちゃいなさいよ」しかしハリーは頭を振って「いや、キチガイ病院は言いすぎだ。精神療養所といったところさ。それにあの女は金持ちだ。金だけは持っているんだよ」

 ハニー・パーカーはぽつりと洩らします。「奥さんが死んでくれればいいのにねえ」

 夫が酒場の安い女とそんな会話を交わしているとは神ならぬ身の知る由もなくナンシーは保安官事務所で「あたし、砂漠で空飛ぶ円盤を見たのよ、おまけの30フィートの巨人が出てきたわ」当然みんな信じません。何しろ、ナンシーは年がら年中酔っ払っているような女です。今夜もまた酔って夢でも見たのだろうぐらいにしか思われていなかったのです。ナンシーは眉を吊り上げて「何よ、あたし、酔ってなんかいないわよ、本当よ、本当に見たんだから」この勢いに押されたダビッド保安官(ジョージ・ダグラス)、ついに折れましてナンシーと助手のチャーリーを連れて砂漠を調べることになります。

 乗り捨てられたナンシーの車はすぐに発見されたのですが、彼女のいう空飛ぶ円盤と巨人は影も形もなし。保安官、思わず「奥さん、あなた、ダイアを盗もうとした悪漢を見間違えたんじゃないですかあ」どんな見間違い方だよ、見間違いにもほどがあるだろ(笑)。これで激怒したナンシー、車に乗り込んで帰ってしまったとさ。保安官とチャーリー、彼女を見送りながら「そうは言ってもこのヘンで一番税金を納めているのは彼女だからな、扱いに苦労するよ」「奥さんも可哀想っす、ご亭主はハニー・パーカーとよろしくやっているんすからね」と話しております。

 ここで唐突にダイアの話が持ち出されます。実はナンシー、世界で有数の巨大ダイヤ「インドの星」を持っているのです。彼女はそれをペンダントにして日常的に首にかけているのです。今まで強盗に会わなかったのが不思議なくらいです(笑)。

 豪勢な自宅へ戻ったナンシー。執事ジェス(ケン・テレル)に出迎え中に入ったナンシーはすでにハリーが戻っているのを見てまたカッとなります。ウィスキーをぐっと呷って「なによ、あんた、どうせ女と遊んでいたんでしょ、私の金にたかる寄生虫め、ああ、あたし、どうしてこんな男とよりを戻しちゃったのかしら、別居したままでいれば良かった」なんだ夫婦二人して同じようなことを言ってるなあ。しかしナンシーの虚勢もここまで。彼女はハリーに抱きついて「でもやっぱりあたし、あなたを愛している、あなたが必要なの」と涙ながらにかきくどくのでありました。

 さらに今夜の出来事を話すナンシー。「私、本当に円盤と巨人を見たのよ、みんな信じてくれないけど、あなたは違う、私を信じてくれるわ」ハリー、面倒くさそうに頷いて「ああ、信じるともさ」もちろん、心の中ではこの女、いよいよ狂ってきた、いい気味じゃぐらいに思っているのですが(笑)。ハリーはナンシーをベッドに寝かせて優しく服を脱がせます。睡眠薬を飲ませて「おやすみ、ナンシー、君はぐっすりと寝たほうがいいよ」ハリー、その足で酒場へ行ってハニー・パーカーといちゃつきだすという・・・。ハリーは懐から例のペンダントを取り出します。ハニー・パーカー、目の色変えて「そ、それ、インドの砂ってダイヤじゃない」「いや、インドの星だから」軽くツッコンだハリー、ペンダントをぶらぶらさせながら「これがもうすぐ君のものになる。ナンシーはいよいよヤバイみたいだ。これで主治医のカッシング先生(ロイ・ゴードン)にキチガイ判定してもらえば彼女は病院行き。後の財産はおれのものという訳さ」

 ところがそうは問屋が卸しません。カッシング先生はナンシーが大変なショックを受けており療養が必要と診断したものの入院まではさせなかったのです。おまけにナンシーはナンシーで病人のくせに「あーた、昨晩はどこに行ってたのよ、ジェスが一晩中帰ってこなかったって教えてくれたわ」と俺を責めやがる。きいいい、もはや勘弁ならぬ、ナンシーもジェスも殺して財産奪ってやる・・・という風には展開せず、ぶすっとするハリーであります(笑)。

 ナンシーもいらついております。おまけにテレビのスイッチを入れればKRKR-TVのニュースキャスターが「アーチャー夫人が夫ハリーともめているそうです。アーチャー夫人、あんな奴早く見限ったほうがいいですよ、財産狙いに決まってますよ」カッとなったナンシー、酒瓶をテレビに投げつけて破壊してしまったのであります。もう我慢できない、彼女はハリーを無理やり車に乗せて「砂漠に私が見たものを探しにいくの。何だか私、呼ばれているような気がするのよ」

 ここから延々と砂漠を走り回るナンシーとハリー。何も見つかりません。ナンシーはついに彼女のアヤマチを認めて「ハリー、ごめんなさい、何も無かったわ」と泣き崩れます。さあ、帰ろうということになったのですがその途端に現れるあの球体。出てくるなら出てくるでもっと早くしろと思います(笑)。ナンシーは球体を見るなり車から飛び出して「見て、ハリー、実在したのよ、私は狂ってなんかいないわ」と大喜び。車の中で怯えているハリーを尻目に球体にぺたぺた触ったりなんかしております。その球体がもぐっと開いて現れたのが30フィートの巨人。ナンシー、「ヒーッ」、ハリーも「うわああ」、私も驚いています。何しろフツーのおっさんを接写しただけで30フィートの巨人であると言い張るのですから(笑)。

 ハリー、助けてと叫ぶナンシーを何のためらいもなく見捨てて逃げてしまいます。とことん酷い男ですな、こいつは。家へ戻ったハリー、荷造りをはじめます。これを見咎めたジェスが「奥様をどうしたのだ」と食って掛かってくるのを五月蝿いとばかりに酒瓶でぽかり。ジェスを失神させたのでした。

 ハリー、そのままハニー・パーカーのアパートメントへ行きまして「まずいことになった。急いで逃げるのだ」彼女と一緒に町を出ようとしたのですが、チャーリーに捕まって保安官事務所へ連行されてしまいます。ジェスが保安官に「奥様が行方不明、ハリーの関与の疑い大」と連絡していたのです。

 大ピンチのハリー。今更「空飛ぶ円盤から出てきた巨人にナンシーが攫われた」などと言えません。キチガイ扱いされてしまいます。かといってこのままナンシーの行方が分からなければ彼がナンシーをどうにかしたと思われてしまう。しかし幸いなことにナンシーが発見されました。彼女は何故かプールの小屋の屋根に寝ていたのです。彼女は自宅へ運び込まれてカッシング先生の手厚い看護を受けることになります。保安官はハリーとハニー・パーカーを釈放、「後の取調べはナンシーが意識を回復してからだ」

 ここでハニー・パーカーが悪巧み。彼女はカッシング先生が看護婦に与えた指示、「この薬の量を間違えるなよ、少しでも多く注射してしまったらナンシーの命に関わるのだ」を盗み聞きしていたのです。彼女はハリーに「だからその薬を使えばいいじゃん。ずっぽり注ぎ込んだらイチコロよ」とことん悪い奴らですなあ。松本清張先生の小説みたいですなあ。

ハリーは看護疲れでがーごー寝ている看護婦(アイリーン・スティーブンス)の隙をついて件の薬液を注射器にたっぷり注入。これをナンシーに注射すれば一巻の終わりじゃというのですが、そんなことしたら絶対彼の仕業とばれてしまうと思うのですがね(笑)。ハリーは注射器片手にナンシーの寝室へ。さあ、注射しようとしたその時、気配に気づいた看護婦がやってきて電気のスイッチをぱちり。「きゃー、ハリーさん、あなた、何やっているのですか」と叫ぶのかと思いきや、「ひーっ、ナンシーが巨大化している」だったという。ハリーの企みはこのどさくさに紛れてまったく露見しなかったのであります。いくら、看護婦が巨大ナンシーを見て動転したとはいえ、この展開はありえないだろうと思うのですが(笑)。

 ちなみに画面に現れる巨大ナンシーは腕の一部だけ。これがもうベッドの長さくらいありますから、とても体全部が寝室に収まる筈はないのですがねえ。

 とりあえず、鎖を大量に運び込んでナンシーを拘束。象用の注射器も用意しているのがおかしい。カッシング先生は友人の生物学者ヴォン・ローブ博士(オットー・ウォルディス)を呼んで彼女を調べてみますが詳しいことは分かりません。「ただ、彼女の首の傷が緑に変色しておる。なんらかの放射線障害かも知れない。だったら手術で巨大化を止めることができるかも知れない。しかし手術には夫であるハリーの許可が必要になるよ」これを盗み聞きしていたハリー、許可さえ出さなきゃ手術はできぬ、ってんで、そのままハニー・パーカーの部屋へしけこんじゃった。やっぱりとことん酷い男だなあ。

 さて、ここから新たな展開。ナンシーが発見されたプールの小屋を調べていた保安官、プール裏側の林に巨大な足跡があるのを発見します。しかもそれがずっと砂漠の方へ続いているのです。保安官はこれがナンシーの異変に関係あると判断、ジェスを連れてパトカーで足跡をたどるのでした。そして唐突に現れるあの球体。息を呑む保安官とジェス。「ナンシーの言っていたことは本当だったんだ。彼女は巨人に空飛ぶ円盤に連れ込まれてあんなことやそんなことをされた挙句プール小屋の屋根に放置されたのだ」

 二人はよせばいいのに球体の内部に潜入するのです。内部の調度品やドアがみんな普通のサイズなのはどうかと思いますが(笑)とにかく中に入っていろいろ見て回る二人。何だか良く分からない装置の上にガラス玉がたくさん乗っています。ジェスはその中で光っているものを指差して「保安官、見てください、これはダイヤですよ、ナンシーのインドの星だ」「奴らはやっぱりナンシーのダイヤを狙ったんだな。このダイヤを動力源にしているのだろう」世界一燃料費がかかる乗り物ですなあ。

 「よし、このダイヤを取って逃げよう」しかしこの時二人の前に現れたのが例の30フィートの巨人です。禿頭でヘンなマークのついた服を来た巨人、ゆっくりと二人を追いかけます。普通サイズのドアをどうやってくぐったのか分かりませんが、とにかく保安官とジェスは巨人に追われて球体を飛び出すのでした。保安官は巨人に向って散弾銃を乱射、まったく効果なし。それじゃあというのでチャーリーに用意させていた手りゅう弾を投げつけるのですが、これも効果なし。巨人は二人が乗ってきた車を持ち上げぽい。車はぐしゃぐしゃになってしまいました。巨人は車を壊したことで満足したのか球体に戻ります。普通サイズの入り口をどうやって潜ったのか分かりませんが、とにかく球体は巨人を乗せて舞い上がり飛び去ってしまったのです。保安官とジェス、車を壊されてしまったので仕方なしに町へ向って歩き出すのでした。

 ちなみにこの巨人、合成の仕方がまずくって半透明であります。スケスケでなんともいえないのであります。

 この巨人に呼応したのか、ナンシーも意識を取り戻します。チェーンを引きちぎらんかという勢いで暴れだし、「ハリーはどこ、ハリーに会いたい」 チャーリーは慌てて酒場でハニー・パーカーといちゃいちゃしているハリーを呼びに行くのですが、ハリー、生返事をするばかりで戻ろうとはしません。そのうち、ついに我慢できなくなったナンシー、ついに立ち上がります。ぐわらぐわらと大揺れのアーチャー家。画面ではブサイクな腕の模型がもぞもぞしているばかりで何が起こっているのか良く分からないのですが、そこを補ってくれるのが恐怖に顔を歪めた看護婦の叫び。「きゃあ、ナンシーが鎖を引きちぎったわ」「ヒーっ、ナンシーが立ち上がったわ」「ナンシーが屋根を突き破ったわ」この丁寧な看護婦さんの説明に感謝するばかりであります(笑)。

 外へでたナンシー、巨大ビキニスタイルで仁王立ち。こういう場合、何故か衣服(この場合はベッドのシーツのようですが)も同じく巨大化するのが世の理なのです。「わたし、ハリーのいるところを知っているわ、あの糞女と一緒よ、誓って見つけ出すわ」と叫ぶとのっし、のっし、町目指して歩き出したのです。送電塔もゴジラみたいにばりばりぶっ壊して進みます。保安官とジェスは彼らを探しにきたチャーリーの車に拾われてアーチャー家へ。そこでナンシーのことを聞いてさらにカッシング博士、ヴォン・ローブ博士、看護婦を乗せて町へ向うのでした。一台の車に6人、さすがアメリカの車は大きい。

 ナンシー、ついに町へ到達します。町はいきなり現れた巨大女に大騒ぎ。半透明でしかも時々サイズが変わる不気味な巨大女ですから無理もありません(笑)。ナンシーは最初にホテルの部屋を覗き込みます。手を突っ込んで中をめちゃくちゃにしたりします。しかしハリーは見つかりません。次に酒場へ向うナンシー。この時保安官たちが到着して拳銃で撃ったりするのですが、効果なし。夫の浮気に怒り狂っているナンシーを止めるすべはなかったのです。

 ナンシーは酒場の屋根をばりばりと壊し始めます。ハニー・パーカーは崩れ落ちた瓦礫に押しつぶされてあっさり絶命。さらにナンシーはハリーを掴みあげるのです。「ギャーッ、痛いよ、息ができないよ、ナンシー、やめてくれ」そんな悲鳴に一切耳を貸さないナンシー、人形丸出しのハリーを掴んだまま再び歩き始めるのです。保安官、これはまずいとついに散弾銃を使用。ズドン、ズドンと乱射したうちの一発が電柱の変圧器に命中し、大爆発。この爆発に巻き込まれたナンシー、ついに倒れふすのでした。

 ナンシーもハリーも共に絶命。カッシング博士が「これでついにナンシーはハリーを彼女一人だけのものにしたのだ」と重々しく呟いたところでエンドマーク。

ね、どうです、下らないでしょう、読んでいるだけでイヤになってくるでしょう。私はそんな映画をね、たった一人きりでみて、しかもレビューを書くためにメモまで取っているのですよ。人生の無駄遣いここに極まれりなんですよ。

モノクロ・スタンダード モノラル音声。黒が浮き気味で今ひとつ画面にしまりがありません。ノイズも目だってとても高画質とはいえないのですが、ま、いいや、こんな映画なんだから。音質は上々。巨大ナンシーの「ハリィィィィー!」という叫びがなんともいえません。Cult Camp Classics 1 - Sci-Fi Thrillers 『妖怪巨大女』『海獣ビヒモス』『惑星X悲劇の壊滅』を収録したボックスセット。ワーナーホームビデオのDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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