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2007年7月27日 (金)

『惑星X悲劇の壊滅』(『Queen of Outer Space』 1958)

 

宇宙の果てのお星様に行ってみたら女だけの天国のようなところだったという女護ヶ島ならぬ、女護ヶ星ものであります。こうした設定は『月のキャットウーマン』『月へのミサイル』『凸凹火星探検』などですでに御馴染みでありますが、本当にみんな能天気。いくら客を呼ぶためとはいえ、よくもまあ、こんな下らないことを考えるものです。

警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

時は1985年、人類は既に宇宙進出を果たしております。月はすでに征服済み、次は火星を伺おうかという勢い。そんな中宇宙基地司令に呼び出されたのは人類初の月着陸を行ったニール・パターソン(エリック・フレミング)、マイク・クルーズ(ディブ・ウィロック)、ラリー・ターナー(パトリック・ワルツ)のチームです。三人はいよいよ火星探検だ、よーし、いっちょブワーッとやったるぞと意気込んで出頭したのですが、あにはからんや下された命令は「コンラッド教授(ポール・ビーチ)を宇宙ステーションAまで送らんかい」

 この宇宙基地の隊員たちの制服は『禁断の惑星』からの流用です(笑)。

 「なんだよ、俺たちゃ、宇宙のタクシーかよ」とふて腐れる三人。でも命令は命令なので不承不承、コンラッド教授と共に宇宙船スターファイアー号で出発です。御馴染み宇宙ロケット打ち上げシーンの流用フッテージですが、これはなかなか迫力がありますな。まあ、地上で打ち上げられるロケットと宇宙を飛ぶスターファイアー号の形とがまったく違うのには困ったものですが(笑)。リクライニングシートで加速度に耐えるクルー達。この後、無重力となってうっかりベルトを外したおっちょこちょいの教授がふわりと舞い上がって「助けてくれー」というお約束になると思ったのですが、あ、無重力の無も出てきやしねえ。そのまま普通に歩いていやがる。

 一応この宇宙船には人工重力装置があるという設定になっているみたいです。でもだったら出発時の加速度も相殺できなきゃおかしいと思うのですがねえ。

 さて、コンラッド教授から今回の宇宙ステーション行きの目的が明かされます。それは「宇宙ステーション近辺の宙域で不穏な活動が観測された。これは地球の危機だ、我々はそれを調べに行くのだ」ということなのだそうで。不穏な活動というのが今ひとつ分かりませんが、それはおいおい明らかにされることでしょう。

 宇宙ステーションAが見えてきました。教授はしみじみと「いやー、あれの建設を計画したのが23年前だったなあ。初期のロケットで資材を軌道にちょこちょこ打ち上げて、それから組み立てたんだよなあ。大変だったなあ」ここで事件が発生。謎のビームがどこからともなくひゅんひゅん飛んできたのです。最初は意味もなく画面を乱舞するだけだったビームがついに宇宙ステーションに命中。ステーションは粉々に砕け散ってしまうのです。「わあ、大変だ」失神しそうになる教授。さらにマイク・クルーズが叫びます。「パターソン船長、今度は我々が狙われています」

 パターソンは「みんな急いで席につけ、急加速でビームから逃げるのだ!」再びリクライニングシートに収まってエンジンを全開です。猛スピードでダッシュするスターファイアー号。しかしその甲斐もなくビームが一発、また一発と命中。その衝撃でスターファイアー号のエンジンが暴走を開始。通常の10倍のスピードで飛び始めたのです。クルー達は全員失神、スターファイアー号はいずこともしれぬ深宇宙に向うのでした。ここでタイトルがどーんと出てオープニングクレジット。

 スターファイアー号はある惑星に接近します。というか、これどうみても月なんですけど(笑)。自動着陸装置が働いてスターファイアー号は雪に覆われた大地に中に乗っている奴、絶対死んでしまうという勢いで突っ込みます(大笑い)。失神から目覚めたクルー達、何時の間にこんな惑星に着いたのだと大騒ぎ。アラスカか、はたまた「天国」か、まあ、いつまで宇宙船の中で議論していたって始まらない。幸い、大気は地球そっくりで呼吸可能、重力もほぼ同じだからそのまま外へ出られるぞということで周囲を探検することになりました。

 宇宙船が雪に突っ込んだのだから、雪原を歩く場面があるかと思いきや、いきなり怪しい植物の茂ったジャングルですよ。雪はどこに行ったのかと思うのですよ(笑)。教授はこの怪しいジャングルを見てついにこの惑星の正体を明らかにします。「ここは金星だぞ」他のクルーたちはびっくりして「でも金星はとても生物のすめる星じゃないって学校で習いましたよ」宇宙飛行士が学校で習いましたなんていうなよ(笑)。しかし教授は彼らの言うことには耳を貸さず「最新の研究では地球に似た星であるという可能性が指摘されていたのだ」いや、私もびっくりしておりますが。

 さて、このジャングル、まったく生き物の気配がありません。鳥や動物、そして虫もまったくいないのです。「ひょっとしてこの星じゃ我々が唯一の生物なんすかね」不気味悪げに呟くマイク。そのとたん、ポイ・ホイ・ポイという奇妙な音が響いてきたのでした。この音はその後も数回鳴り響きます。教授は「これは何らかの電気的信号だ。この惑星には知性体がいるぞ。最もそれが人間とは限らないけどな」「じゃあ、どんなのがいるんで」と聞いたのがターナーです。「そうだね、虫という可能性もある」とたんにみんなでイヤーな顔になるのが面白いですな。

 夜になりました。火を炊いて野営をする探検隊。変わりばんこに見張りをして夜を明かすことになります。あっさりと夜が明けて周囲のジャングルからおお、色とりどりのユニフォームに身を包んだ美女たちが光線銃を持って現れたぞ。この時の見張り役、マイクはすーすー寝ていたのでまったくの役立たず。あっという間に女達に囲まれてしまうのです。ターナーは自分の宇宙ピストルを取り出します、ああ、こ、これはルガーP08のモデルガンを金色に塗っただけだ、これは酷い(大爆笑)。これで反撃しようとしたのですが、女達の一人が光線銃を発射、ピストルをばらばらにしてしまったのでした。

 4人は女達に囚われてこの星の宮殿に連行されてしまったのです。

 この女達はフツーに英語を喋ります。この理由が「地球からの通信を傍受していたから」というお約束のもの。しかし、なんですなあ、いつ来るか分からない地球人のために英語を習得しておくとは用心の良いことですなあ。いつか外人に道案内するために英語を習ってますという地球の人と同じですなあ。

 引き立てられた地球人たちの前に現れたのが仮面を被った5人の女。惑星カディア(金星)の支配者たる女王ヤーナ(ローリィ・ミッチェル)と彼女直属の評議会メンバーたちです。女王はいきなり、地球人たちに対して「そなたたちは地球の金星侵略のためのスパイであろう。攻撃計画を教えないと酷い目にあわせるぞよ」だって。パターソンは慌てて「いや、我々は平和目的できたのです。第一、この星に文明があることも知らなかったぐらいだ、どうして侵略をしなければならないのです」女王は激怒して、「ぬぬぬ、見え透いたウソをつきおってからに、死体を確認しにきたそなたの妻の髪があまりのショックに一瞬にして白髪となるようなそんな惨い目に会わせてくれる!」

「おれ、まだ独身なんですけど」とパターソンがつぶやいたとかつぶやなかったとか(笑)。

 地球人たち、監禁されることになってしまいました。アリのはいでる隙間もない堅牢な部屋。ドアの前には二人の見張りがたっておりとても脱走することはできそうにありません。しょうがないので「女王はなんだってあんな仮面を被っているのだ」という話題でおしゃべり。何もすることがないからとはいえ暢気なことですな。「いやもう、美女ばっかでしょ、女王様なんだからそれより凄い美女なんですよ、あんまりキレイだから、うっかり顔を見せるとみんな失神しちゃうかもしれない。それで被っているんすよ」と能天気なことをいうターナー。君君、馬鹿も休み休みにしたまえ(笑)。

 次に話題はあの謎のビームのことへ。コンラッド教授は断言します。「もう間違いない。あのビームを発射したのはこの惑星だよ」ここでまたターナーが、「いや、そんな筈ないっすよ、知っているでしょ、女の運転を。てんでへたなんだから、それでビームの狙いなんかつけられる筈ないっすよ」明らかに白ける残りの三人。だからターナー君、馬鹿も休み休みにしたまえと言っているでしょうが。

 さて、食事を持ってきた女あり。この女タリア(ザ・ザ・ガボール)は食器を置くやいなや地球人たちに向って「女王はもうあなた方と話し合うつもりはありません。あなたたちの命は非常な危険にさらされています。地球だって同じこと。私はあなた方を助けにきたのです」なんでもあまりに専制的な女王の統治に嫌気が差して反乱を起こそうという一派がいるのだそうな。そしてタリアはこの星がなぜ女ばかりになったのか訳を話し始めるのです。「地球の年でいえば10年前、このカディアはモルドーという惑星と大戦争を行ったのです。我々はモルドーを破壊したのですが、代償として大きな被害を被ってしまいました。そこでヤーナに率いられた女達が反乱を起こしたのです。そして科学者や数学者を除いた男達を虐殺、あとは金星の衛星タイラスに閉じ込めてしまったのです」

 まあ、ようするに君たちは「男のいない生活に飽きた」という訳やね。

 そしてタリアは恐ろしい言葉を口にします。「女王は地球から侵略されると思い込んでいます。だから彼女は地球を先に破壊しようとしているのです」

 ここで別の使いがやってきた。部屋の奥にそっと隠れるタリア。使いの用向きとは「女王様がパターソンを呼んでいる」ということ。それを聞いたみんなはパターソンに「隊長、女王くどいてくださいよ、そうすりゃ、俺たち助かりますよ」パターソン、使いに連れられて部屋を出て行きます。それを見送った教授、重々しい口調で「これで地球の命運はパターソンのセックスアピールに委ねられたのだ」と大馬鹿なことを言うのであります(大笑い)。

ターナー、「僕だったら女王を月光の照らす木の下に連れていって、ジャズを流しながら愛を語りますねえ」すかさずコンラッド教授、「金星の雲は厚いから月なんか見えないっての」いいツッコミです。さらにタリアがコワい顔をして、「あたし、あの女王大っきらい」こりないターナーは「うわあ、彼女嫉妬しているよ、地球から2,600万マイル離れてもやっぱり女は同じだねえ」ああ、本当に下らない。

 ニールは女王の居室に案内されます。女王ったらさっきとはうって変わって優しい態度。言葉遣いだって違います。「ねえ、船長さん、ワインを一緒に飲まない」彼を巨大なカウチに誘うのです。そしてニールににじり寄り「さっき私は地球の攻撃計画を喋らないと酷い目に会わせると言ったわ。でも別のやり方もあるのよ、それは私と、うふふふ、分かるでしょ?」何が分かるでしょ、だ(笑)。しかしニールも満更ではないようでにやにやしながら女王の肩に手を回したりなんかしちゃったりするんですねー。ところがニール、うっかり「じゃ、仮面をとってくれない、君の素顔が見たいのだ」と言ったのがまずかった。女王かっとなりましてニールから身を振りほどくやいなや、「そなた、なんということを言う」言葉遣いも元に戻っちゃうという・・・。「もう我慢できぬ、そなた、地球の攻撃計画を話せ、話さないというならば」女王は居室のモニターにてっぺんに巨大なアンテナがついている四角い小屋みたいなものを映し出します。「これはわれらの秘密兵器、ベータ・ディスインテグレーター、分子破壊砲じゃ、そなたたちの金星攻撃用前線基地宇宙ステーションを破壊したのはこれじゃ、地球だって容易に破壊可能であるぞ」

 ニールは女王の脅しに耳をかさず「君は本当の愛というものを知らぬのだ。私がそれを教えてあげよう、手始めにほら、その仮面をとりなさい」ぱっと手を伸ばして女王の仮面を毟り取ったのです。現れた女王の素顔はうわあ、火傷でぐちゃぐちゃだ。女王、真っ青になったニールに「そなた、こんな顔でもわらわを愛せるというの」と迫ります。ニールはあわてて手を振って「いや、すいません、ちょっと無理です」「ならば仲間と共に死ね」部下に命じてニールを退出させるのでした。ニールが出て行った後泣き崩れる女王。

 女王のこの傷は前の戦争で男達が作った原子爆弾によるものらしい。だから女王は男を憎んでいたのですな。

 仲間たちとタリアの待っている部屋へ戻ったニール。ことの顛末を彼らに話します。そして一刻も早くこの宮殿を脱出し、森のある場所に隠してある秘密兵器をベータ・ナントカを破壊しなくてはという結論に至ったのでした。彼らはタリアともう二人の美女、モティア(マリリン・バフェード)とカエール(バーバラ・ダロウ)の助けを借りてまんまと脱出に成功します。ちなみにこの脱出行でニールがタリア、ターナーがモティア、マイクとカエールがそれぞれ仲良くなる、そういうことになっております。

 地球人たちの脱走を知った女王はもうかんかん。脱走の手引きをした女を「この裏切りものめ」と叫んで光線銃(これも『禁断の惑星』からの流用)で蒸発させてしまいます。どうも女のヒステリーというのは怖いものですな。そして地球人たちが隠れている森へ大規模な捜索隊を派遣するのでした。

 その頃、洞窟に隠れていたニールたち。洞窟の中で焚き火なんか炊いちゃってくつろいでおります。そして、ニール・タリア、ターナー・モティア、マイク・カエールの三組のカップルがいちゃいちゃ。あ、キスなんかしてやがる。一人残されたコンラッド教授は苦笑して、「みんな忙しいから僕が薪を拾ってこよう」だって。洞窟の外へ出た教授、捜索隊の女達がぞろぞろやってきたので慌ててみんなのところへ戻ります。「このままだと見つかっちゃうぞ、どうしよう」とうろたえ騒ぐ男達。しかし、タリアに名案あり。「まだ私たちが脱走に協力したことは知られてないわ。私たちがあなたたちを見つけて捕まえたことにしましょう」

 タリア、モティア、カエールは光線銃を男達につきつけて洞窟から出て行きます。そして捜索隊の女達に「彼らは私たちが捕まえたわ、さあ、女王のところへ行きましょう」

 まんまと女王の居室に入ったタリアたち。迎えた女王にぱっと光線銃を突きつけて「動くと殺すわよ」 そして「この裏切りものめ」と喚く女王を縛り上げ、仮面を奪ってしまうのです。再び露になる女王の素顔。ニールを除いて他のみんなは見るのが初めてなのに、あんまり驚かないのが面白いですな(笑)。タリアはこの仮面をつけて女王に変装するのです。そしてモティアとカエールはベータ・ナントカを破壊するためにその隠し場所へ向うのでした。

 さあ、女王に化けたタリア、部下達を呼んでベータ・ナントカの発射準備を止めさせようとするのですが、ついたての奥に隠されていた女王が大暴れ。衝立が倒れてタリアが偽者なのが分かってしまいます。再び囚われの身となる地球人三人とタリア。女王は「こやつらにベータ・ナントカじゃなかった、ベータ・ディスインテグレーターで地球を破壊するところをじっくりと見せ付けてくれる。その後でこやつらを処刑じゃ」しかし女王、ニールについとにじり寄って「でもそなただけは助けてくれよう」キスをしようとします。顔を背けるニール、これで女王ますます怒り狂って「やっぱりみんな死ぬのじゃ」

 さて、ベータ・ナントカの基地に連れていかれたニールたち。女王はボタンを操作してスクリーンに鮮明な地球の映像を映し出します。「くくくく、この地球がベータ・ナントカじゃなかった、ベータ・ディスインテグレーターでばらばらになるのじゃ」そして、女王はベータ・ナントカの発射ボタンをぐいと押し込んだのです。ウィンウィンと高まる唸り、ああ、地球危うし、と思いきや音がするだけでベータ・ナントカは発射されません。女王、大いに慌てて「あら、ヤダ、故障かしら」ベータ・ナントカの内部に入っていろいろ弄るのですがやっぱり駄目。そう、ベータ・ナントカは既に先発したモティア、カエールとその仲間たちによって壊されていたのでした。

 この機に乗じてモティア・カエールたち反乱軍が女王たちに襲い掛かります。女王の部下達も勇敢に戦ったのですが衆寡敵せず、あっという間にやられてしまいました。彼女達はベータ・ナントカも破壊してしまいます。中にいた女王は爆発に巻き込まれて丸こげになってしまいましたとさ。

 今や新しい女王となったタリアが地球人たちとの別れを惜しんでおります。彼女はニールに「ああ、あなた、きっと戻ってくださいね」モティアとカエールもターナー、マイクと別れのキス。ああ、涙、涙と思いきや、この時、地球との交信が可能になったという知らせが入ります。さっそくビュースクリーンで通信してみますと、地球の基地司令が映って「あー、みんな、ご苦労さん、君たち、すぐ戻ってこなくていいから、次の探検隊が行くまで金星に残って頂戴」

 これでみんな大喜び。抱き合うニール・タリア、ターナー・モティア、マイク・カエールの三組のカップル。相手がいなかった筈のコンラッド教授も美女達に囲まれてにやにやしているという場面でエンドクレジット。

 ああ、しょうもないというか能天気というか、もうたまらんなあ。

カラーのスクイーズ・シネスコ収録。赤の発色がとても美しい。ノイズが多くて一般的な高画質とはいえませんが、これだけは本当に素晴らしいです。音質もなかなかのもの。BGMに力があります。Cult Camp Classics 1 - Sci-Fi Thrillers 『妖怪巨大女』『海獣ビヒモス』『惑星X悲劇の壊滅』を収録したボックスセット。ワーナーホームビデオのDVD

 エロの冒険者 

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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