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2007年8月30日 (木)

『エド・ウッドのX博士の復讐』(『The Revenge of Dr. X』 1970年)

 

『エド・ウッドのX博士の復讐』(『The Revenge of Dr. X』 1970年)

 あのエド・ウッドが脚本を担当したという曰くつきの作品。そして製作は『双頭の殺人鬼』のケネス・G・クレインという豪華な組み合わせであります。実際、この組み合わせの効果は素晴らしく、日本を舞台にした珍妙きわまる映画ができることになったのであります。

ここはケープカナベラル、NASAのロケット打ち上げ基地であります。そのオフィスでなにやら喚きたてている人物が一人。本作の主人公、NASAのロケット打ち上げ最高責任者のブレーガン博士(ジェームズ・クレイグ)であります。彼は電話を取っちゃ「何、100マイル南で大嵐発生だと、まったくどこのどいつがフロリダに打ち上げ基地を作ろうなんて考えたんだ」またリーンと電話が鳴って「なになに、嵐が逸れそうだと、よし、この機会を逃さず打ち上げるのだ」

 でも部下のショーン博士とスターリン博士がやってきて「ブレーガン博士、ロケットの軌道計算に間違いがありました」だって。がっかりするブレーガン博士、「ロケット打ち上げがやっと済んでほっとしたばかりなのに、なんで今頃そんなこと言い出すんだよう、きいいいい」とうとう博士、頭を抱えてぶっ倒れてしまいました。この博士、仕事熱心なあまりに5年間も働き詰めで今やその肉体的・精神的疲労は頂点に達しようとしていたのです。彼に今一番必要なのは休息でした。

 ここでブレーガンの日本人助手、ポ-ル・ナカムラ(ジェームス・ヤギ)が世界一余計なアドヴァイス。「博士、夏の間、私の故郷の日本に旅行されては如何です。この時期の日本はとても素晴らしいですよ。フジヤマ、スキヤキ、ゲイシャガール、お茶もあります、お菓子もあります、是非お出かけなさいませ」実はブレーガン博士、植物の研究のため日本渡航を計画していたところ、戦争の勃発によって断念したという過去がありまして、「うむ、そうだ、私は今度こそ日本に行ってついでに植物を研究してみよう」ということになったのでした。

 とんとんと休暇の計画が立てられてブレーガン博士、ポールに見送られて車で出発。あ、この建物、どう見ても日本の役所かなんかだぞ、鉄筋コンクリートの壁に「NASA」って看板が貼り付けてあるだけだぞ、これは酷いなあ(笑)。

 空港に向けて車を走らせるブレーガン博士って、この道路もどうみたって日本です。道路わきでススキが揺れています(笑)。と、突然車の調子が悪くなりました。ブレーガン博士、どう見たって日本の牧場か何かの建物に「GAS」という手書きの看板をつけただけのガソリンスタンドに立ち寄り修理を依頼します。このガソリンスタンドの主人がこれまたヘンな人でいきなり両手に蛇を一匹ずつもってうへへと笑っている。そしてブレーガンにやたらに「旦那蛇持っていかないかね、ただにしとくよ」と勧めるのでした。

 辟易して蛇を断るブレーガン、しかし彼の目はガソリンスタンドに置いてあった別のものにひきつけられます。それは食虫植物のハエトリソウでした。博士は主人に「こ、このハエトリソウなら貰うよ」「このハエトリソウはいかん、まだ小さいからな、でも欲しけりゃここの裏山に一杯生えていから自分で取ってきな」博士、店主からスコップを借りて裏山で食虫植物をざっくざく。大き目の奴を採取することに成功したのであります。博士、このハエトリソウと共に旅客機で日本へ向ったのでした。

 スコップでハエトリソウをざっくざく掘っているNASAのロケット打ち上げ責任者。いいたかないけど、やっぱりなんじゃ、こりゃですな。

 さて、日本へ到着したブレーガン。おお、ちゃんと旅客機のタラップから彼が降りてくる絵を撮影しているぞ(笑)。その彼を向かえたのがキモノを着た美女、ノリコ・ナカムラでした。ポールの従兄弟である彼女は彼からブレーガン博士のガイドを仰せつかっていたのです。「博士、軽井沢に温室つきのホテルがございますわ、客が来なくて一年間放ったらかしですけど、そこなら静かに研究ができますわよ」まさに至れり尽くせりのガイド、しかもこのガイドはとびっきりの美女だ。すっかり上機嫌になったブレーガン博士、車で彼女と共に軽井沢のホテルへ向かうのです。

 ちなみにこの軽井沢、道は未舗装ででっこぼこ。がけ崩れも起こります。おまけに浅間山がどかーんと爆発しておりまして、そんな軽井沢があるかという風情でございます(笑)。ノリコによればこの道路事情と火山のせいで客が来なくなったのだとか。そんなとこ、案内するなよと思いますけれども。

 ようやくホテルに到着します。しかし中に入ろうとしたらいきなり屋根の上から瓦が落ちてきた。ここで働いているせむし男カワイさんが屋根を修理していてうっかり落っことしてしまったのでした。カワイさんは博士とノリコに頭を下げて「どーもすいませーん」改めて中に入りますと今度は不気味な音楽。なんだと思ったらさっきのカワイさんがパイプオルガンを弾いていたという・・・。このつまらないギャグは無視して先へ進みましょう。ひとわたりホテルの中を案内して貰った博士、「うん、今日は疲れたのでこれで寝るとしよう」あ、本当に寝てしまいやがった(笑)。

 翌日、博士はノリコに温室を見せて貰います。「うむ、これなら十分だ、研究に使えるぞ」休暇で来たのだからもうちょっとのんびりすればいいのに博士は大張り切り。温室の中でごそごそやったり、夜中にノリコの目を盗んでどこかへ出かけたり、ハエトリソウの箱を何が入っているのかしらと覗こうとしたノリコに「このアマ、それに触るな、殺すぞ」と怒鳴りつけたり、このホテルの番犬に吠えられたりいろいろやっております。

  ついにたまらなくなって博士が何をしようとしているのか尋ねるノリコ。「私はあなたの助手です。でも研究の内容が分からなければ手伝いのしようがありません」博士、ノリコにあのハエトリソウをしぶしぶ見せます(笑)。「みたまえ、これは食虫植物、学名ディエニア・マシュビラ、いわゆるハエトリソウだ。こいつは植物でありながら虫を食べる。獲物になる虫を見分けることのできる賢さもある。これがもしかしたら私たち人間を含めた地球の全生命の起源かも知れない」んなことない、ない(笑)。

 よく分からないけれどもとにかく食虫植物を研究するのねと自分を無理やり納得させるノリコです。

 しかし博士はもっと別なことを考えているようで嵐の夜に温室へ出かけていってハエトリソウにこんなことを話しかけております。「お前は自分のことを人間だと思っているだろう、しかし人間は弱い、もっと強くならなければいかん。お前の母は土だ。お前の父は雷だ、分かったな」分かりませんよ(笑)。台詞の前半と後半がまったく繋がっていません。さすがにエド・ウッド脚本だけのことはあります。

 そして博士はノリコにこんなことを。「海中にもハエトリソウのような食虫植物がいる。べシュキュローサというのだ。私はこれとハエトリソウを掛け合わせてどんな進化をするのか見てみたいのだ」二人は千葉の海岸へ行き、海中へ潜ってべシュキュローサを探すのでした。二人は急速に仲良くなっておりまして博士は「この仕事が終わったら君との将来を考えなくちゃな」だって。ノリコも満更ではなさそう。でも肝心のべシュキュローサは見つかりません。これが見つからなければ二人の将来もへったくれもありません。ノリコは博士に「海女に探して貰いましょうよ」と提案するのでした。

ノリコの提案に「うん、そのアイデア頂き。でも海女さんってどこにいるんだい」ノリコ、破顔一笑、「海女さんならこの海岸にいるわよ」どうにも都合の良いことで(笑)。ノリコ、さっそく近くの海岸に本当にいた海女さんたちに声をかけます。「ねえねえ、あなたたち、この辺でへんな海草みなかった?なにかイソギンチャクみたいなもの」「それなら沖の岩礁のところで見ましたわよ」と海女さんの一人が教えてくれます。博士とノリコ、さっそく海中に飛び込んで見事べシュキュローサを手に入れたのでありました。これを棺桶みたいな水槽に入れて軽井沢の温室へ運び込んだのであります。

 この海女さんたち、おっぱい丸出し。昭和初期ではあるまいし、いくらなんでもこの時代に海女さんたちが胸をホッポリ出していたとは思えません。これはお父さんたちへのサービスシーンと考えるべきでしょう。

 さあ、ブレーガン張り切るまいことか。「私はハエトリソウとべシュキュローサを交配して新しい生物を創造するのだ。人間でも植物でもない、そう、さしずめ人間植物だ、ワハハハハ」って訳がわかんねえ。ハエトリソウもべシュキュローサも食虫植物で、人間は関係ないっての。しかもその交配の方法というのがべシュキュローサの根のあたりをちょん切ってハエトリソウの茎に縫い付けるというもの。どうやら交配の意味を思いっきり誤解しているようです(笑)。この時ブレーガン、うっかりメスで自分の手を切ってしまいます。これが後から起こる恐ろしい出来事の伏線に・・・、いや、これがちょっと微妙なのですよ(笑)。

 交配というか手術が終わったハエトリソウなんだかべシュキュローサなんだかはっきりしない植物、博士はこれを滑車で釣り上げて落雷に晒します。「ぬはははは、父なる雷よ、もっともっとパワーをくれ!」翌日、ハエトリソウなんだかべシュキュローサなんだかはっきりしない植物はかけられたカバーの下でもぞもぞ。博士、大喜びで「イッツ・アライブ!イッツ・アライブ!」と叫ぶという。もうフランケンシュタインの真似はいいから。とっととこの植物が蘇って元が食虫植物なのだから人を襲うとかそういう風になっていいから。私、正直言ってこの映画に飽きてきてしまったのです。

 この後ようやくカバーが外され頭はべシュキュローサ、手足の先がハエトリソウになっている不気味な生物が公開されます。なんかショッカーが作りそうな安っぽい怪物で「ハエトリゾーン」とでも名づけましょうか(笑)。さあ、これからこいつが大暴れするのかなと私はわくわくしたのですが…。

 しかし、私のこの切なる願いは適えられそうもありません。この後もあまりに不眠不休で実験を続けるブレーガンを心配してノリコが説教したり、ブレーガンがその説教に激怒したり、でも後から思い直してノリコに謝ったり、その後体調を崩したブレーガンが温室でぶっ倒れたりとつまらない人間ドラマがもう延々と続くのであります。

 これがようやく終わってようやくハエトリゾーン(笑)の出番。ハエトリゾーン、博士があんなに大切にしていたのに次第に元気を失いとうとう枯れてしまったのでした。がっかりするブレーガン。「もう一度やりなおしたらいいじゃないですか」というノリコの言葉に首を振って「いや、私は一ヶ月でアメリカに戻らなくてはならない。やり直す時間はないのだ」彼らがこんな会話をしている時、温室では恐ろしい事件が起こっていました。枯れたと思われたハエトリゾーン(笑)近くに寄ってきた子犬をパクリ。食っちゃったのです。

 これでハエトリゾーン(笑)元気もりもり。狂喜するブレーガンであります。この事件でハエトリゾーン(笑)には生きた餌が必要なのだとわかった博士、ノリコやせむしの従者カワイさんを温室から追い出してウサギだのネズミだのを食わせたのです。ますます元気になるハエトリゾーン(笑)。

 続いて博士はハエトリゾーン(笑)を歩かせたいというろくでもない欲望を抱きます。「体を動かすためには心臓が必要だ。そうだ、人の血を与えればハエトリゾーン(笑)に心臓ができるのに違いない」ってなんでやねん!この訳の分からん理屈にしたがって注射器片手に浅間山療養所へ忍び込む博士。入院中の女患者のパジャマをめくってオッパイだすと注射器をぐさっ。血を取ったのです。刺された瞬間、びくっとする患者、採血が終わるとそのままぐったりとなります。これは血を採られて死んだということなのですかねえ。あんな量じゃ普通死にませんけどねえ。

 それに注射器一本分の血なら自分のを使えばいいんだ(笑)。髄液とかそんな特殊なものじゃないのだから、何もそんな危険を冒して療養所に忍び込むことはないだろ!

 博士はさっそくその血をハエトリゾーン(笑)に注射。どっくんどっくん心臓の鼓動が聞こえてきてハエトリゾーン(笑)、ますます元気になるのでした。勢いあまってせむしのカワイさんを食べようとしたりします。

 博士、この頃から怪我をした左手に黒い手袋をはめるようになっています。ノリコに「どうしたのですか」と聞かれても「いや、なんでもない」と答えるばかり。そんななんでもないはずがない。博士、その左手をネズミのケージに突っ込んでもぞもぞさせたりしているのです。これは良く分からないけれども左手の傷口からハエトリゾーン(笑)の菌みたいなのが入って食虫植物化した、だからネズミを左手に食わせていたのだということなのでしょうか。

 さて、皆様、お待たせしました。いよいよハエトリゾーン(笑)の大活躍が始まりますよ。ハエトリゾーン(笑)は頭のてっぺんから怪しい気体を放出、ブレーガンとノリコを眠らせてしまうのです。そしてその隙にのっしのっしと歩き出し近くの村へ。そして小さな女の子と牛を引いていた男の二人をぱっくりやっちゃったのでした。これで村は大パニック。放っておいちゃならねえということで男達が松明を持って山狩りを始めるのです。

 この時になってようやく目覚めるブレーガンとノリコ。二人は村が襲われたという知らせを聞いて愕然となります。ブレーガンは「残念だがあいつを始末しなければならない。始末するのはあいつを創造した私の役目だ」と言いましてノリコを村へ残し単身、ハエトリゾーン(笑)の捜索に出かけます。囮のヤギを抱えて「おーい、ハエトリゾーン(笑)、出てこいよう、羊だぞう、うまいぞう」ついてくるなと言われたノリコですが博士を心配するあまりこっそり後をつけております。「おーい、ハエトリゾーン(笑)、出て来いったら」この辺から博士の口調が微妙に変わりまして「ハエトリゾーン(笑)、二人で一緒に逃げようよう」ノリコ、はっとします。また露になった彼の右手には緑のアザが。やっぱりハエトリゾーン(笑)の菌に冒されていたのだって、手袋はめていたのは左手だったんですけどねえ(大笑い)。

 なおも叫ぶブレーガン。「おーい、ハエトリゾーン(笑)、二人で誰も私たちのことを知らないようなところへ逃げよう、そして二人で静かに暮らすのだ」ってなんじゃそりゃ(笑)。こっそりついてきていたノリコもこれを聞いて呆れ顔。ついにハエトリゾーン(笑)が姿を現します。「あ、おい、駄目だよ、二人で逃げるんだから、なに、そんな迫ってくるんだよ」博士あせります。「すぐそこ、崖になっているったら、危ないよ、ちょっとよせ、よせったらアーッ!」ハエトリゾーン(笑)と博士もみ合って崖下へ転落してしまったのです。そして何故か映る溶岩流。これはなんですかね、ハエトリゾーン(笑)と博士は溶岩の中に落ちたということなのですかね。まあ、どうでもいいですけど。

 エンドマーク。ああ、ようやく終わった。

ハエトリゾーン(笑)がもっと活躍してくれればそれなりに面白い映画になったのでしょうが(本気)、とにかく途中の人間ドラマがかったるい。こんな映画だからそんなもんいらん、さっさとハエトリゾーン(笑)出せと言いたくなるのです。

カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はペケ。カラーノイズが酷く残像も発生します。音質も誉められたものではなし。780円のDVDとはいえ、もうちょっと頑張って欲しかった。国内盤 日本語字幕付。レトロムービーコレクション 有限会社フォワードのDVD

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『Nightmare』(1964年)

 『Nightmare』(1964年)

 少女がだんだんおかしくなってキチガ×に!という映画と思いきや、意外なラストが私たちを待ち構えています。私はこのラストにびっくり仰天、3日間ほど眠れなくなりました(ウソ)。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 陰鬱な建物、真っ暗な廊下。そしてこの廊下を進む一人の若い女性。「ジャネット、こっちへいらっしゃい、早くいらっしゃい」響き渡る不気味な声。若い女性、ジャネット(ジャニー・リンデン)はその声に導かれるかのようにあるドアを開きます。「そうよ、私はここよ、ジャネット」とたんにジャネットの背後でドアがばたんと閉まります。ぎょっとしたジャネットの目に飛び込んできたのは髪を振り乱した狂女。「あなたもこの部屋に囚われたのね、嬉しいわ、二人揃って発狂しましょう。まずは狂った笑い方から、ほら、ホホホホホホホ、さあ、あなたもやってごらんなさい、ホホホホホ」どうやらここは精神病院のようです。ジャネットは仰天して、「いやよ、私狂ってない、クルクルパーなんかじゃないわ」

 これは夢でした。しかし目が覚めてからもあまりの恐怖に絶叫を続けるジャネット。まあ、それでもこれが彼女の自宅であればよかった。ところがここはあいにくとハッチャー女子学園の寮だったのです。ジャネットの喚き声に同室の女の子たちが起きてきて大騒ぎとなります。こんな五月蝿い娘がいたのではたまらん、ジャネットは一旦療養のために自宅へ帰されることとなったのです。翌日、ジャネットはマリー・ルイス先生(ブレンダ・ブルース)に連れられて学校を去るのでした。

 汽車に揺られてジャネットの実家の町へ。そこで運転手のジョン(ジョージ・A・クーパー)に出迎えられます。彼女のお屋敷はここから車で一時間ほどのところにあるのです。その道中、今までにこやかに話していたジャネットがいきなり顔色を変えてジョンに「停めて、車を停めて」と叫びます。なんだ、オシッコにでも行きたくなったのかと思ったのですがどうやらそうではないらしい。ジョンは結局彼女の頼みを断ってそのまま車を走らせたのですが、そこにはジャネットの夢に出てきた精神病院があったという…。

 ようやくお屋敷に到着します。ジャネットとルイス先生を迎えたのは家政婦のギブス夫人(イリーナ・リッチモンド)とジャネットの保護司ヘンリー・バクスター(デヴィッド・ナイト)から彼女の友達になってくれと頼まれたという女性、グレース・マドックス(マイラ・レッドモンド)でした。ジャネットはグレースに奇異の目を向けるものの、彼女はヘンリーを強く信頼しています。そのヘンリーに頼まれてきた人に間違いはないということですぐ仲良くなるのでありました。このグレース、もちろん、ただジャネットと友達になるために来たわけではありません。彼女は医者や看護婦をいやがるジャネットのためにヘンリーが派遣した“かくれ看護婦”だったのです。

 そう、ジャネットは精神的に不安定な状態、手っ取り早くいえばもうすぐキチガイの人だったのであります(笑)。

 その夜、夕食の後片付けをしていたギブス夫人、ルイス先生にジャネットの病気の原因を聞かれて「あれは恐ろしい事件だったのです。6年前、ジャネットの11歳の誕生日でした。散歩から戻ってきたジャネットが両親の部屋へ行って・・・」ここからギブス夫人の回想場面。ジャネットが散歩で摘んできた花をお母さんに見せようとして階段を駆け上がります。その微笑ましい様子をにこにこして見守るギブス夫人。しかし、なんということでしょう、その直後、ジャネットの恐ろしい悲鳴が聞こえてきたのです。母親が発狂して父親をナイフで刺し殺していたのでした。お母さんはそのまま精神病院へ。ジャネットもあまりのショックに入院することになったのです。「お嬢様はほどなく退院したのですが、それ以来ある恐怖に苛まされているのです。自分も母親のようにいつか発狂するのではないかと」

 その夜、ふとジャネットのことが気になったルイス先生、彼女の寝室を覗くのですがベッドは空っぽです。驚いて探すと後から急に出たァ、ジャネットが(笑)。先生が何をやっていたのかと問いただすとジャネットは「ベッドのそばに女が立っていた。私が目を覚ましたらその女の人は出て行ったの。私は彼女の後を追って気がついたら部屋の外にいたのよ」ジャネット、これはやっぱり私が狂う前兆なのだと言い出したものですからルイス先生、慌てて「これは夢遊病よ、だれにだって起こることだわ」そ、そうですか(笑)。「あなたは発狂なんかしない、そんなこと考えちゃ駄目よ」やっとのことでジャネットを寝かせるのでした。

 翌朝、ルイス先生は学校へ戻ることになります。ジャネットのことは気に掛かるけれども仕事をほうっておくわけには行きません。彼女はグレースにジャネットのことを頼み車に乗り込むのでした。しかし、その夜またも悪夢がジャネットを襲います。夜中に目を覚ますとベッドのそばに女が立っていたのです。そして昨日と同様、ジャネットを誘うように振り返りながら部屋を出て行きます。女のあとを追ったジャネット、いつの間にか元両親の部屋に。そこで見たものはナイフを突き立てられたパパの死体と火のついたローソク付のバースデーケーキだったのです。

 ぎゃあああと絶叫するジャネット。まったくもう夜中に五月蝿い娘ですこと(笑)。この悲鳴を聞いて駆けつけてきたグレース、ジャネットの様子を見て急遽ドクターを呼ぶのでした。睡眠薬でようやく眠りについたジャネット。翌朝、ドクターはようやく登場したヘンリー・バクスターにある提案をします。「ジャネットの病状はだんだん酷くなっている。今のうちに療養所へ移して本格的に治療したほうがいい」しかしヘンリーは「いや、ジャネットには療養所と精神病院の区別なんかつきません。療養所に入れたらああ、ここは精神病院だ、私はついに狂ったのだと思い込むに決まってます。なんとか自宅治療をお願いします」ウウーム、私もドクターの提案に従った方がいいと思うのですがねえ。

 この後ヘンリーはジャネットを見舞います。ジャネット、彼の来訪に大喜びして、おや、いきなりキスしやがったぞ。

 しかしその夜、またまた悪夢がジャネットを襲うのです。また女が現れてその後を追っていくと死体とバースデーケーキが!またぎゃあああと叫ぶジャネット。だから真夜中に五月蝿いって(笑)。またグレースに助けられて部屋に戻って御就寝。翌朝、目を覚ましたジャネット、階下へ降りて朝ごはんでも食べようかなと思った瞬間、昼間なのにあの女が現れた!「ぎゃああああ」ジャネット、迫ってくる女から逃れようと後ずさり。「あなたは誰、何を私に求めているの、いや、こっちにこないで」ついにジャネット“切れ”ます。彼女は自分の部屋に駆け込むと鏡台のガラスを叩き割ってその破片でリストカッティング!

 幸い命に別状なかったのですが、もう彼女は精神的にぼろぼろでした。

キチガイ寸前(笑)のジャネットを慰めようと開かれる彼女の誕生日パーティ。出席者はバクスター、ドクター、そしてバクスターがロンドンから呼び寄せたという謎の紳士、ダドリー卿(ヘドガー・ワラス)であります。いや、もう一人紹介するのを忘れていました。バクスターの奥さん、ヘレンです。しかし彼女の顔をみたジャネットは驚愕の悲鳴を上げるのでした。ヘレンの顔、頬に傷のある陰気な顔立ちはあのジャネットを苦しめている謎の女そっくりだったからです。ジャネットは再び“切れて”ケーキカット用のナイフを振り上げ彼女に襲い掛かります。そのまま胸にずばずばとメッタ刺し。ヘレンたまらず絶命するのでした。

 ジャネットは即、あの精神病院へ入院することとなりました。

 救急車に乗せられる彼女を屋敷の窓からあの謎の女が覗いています。女、ふっと窓から離れると自分の顔に手をかけて、ああ、ばりばりマスクを剥がしてしまいました。その下から現れたのはグレースではありませんか。ニヤニヤしながらマスクを暖炉にくべるグレース。そう、これはバクスターとグレースが共謀した殺人だったのです。ジャネットを散々に脅かしてヘレンを殺させる。ジャネットはそのまま精神病院行き、彼女がヘンな女を見たといっても全部妄想・幻覚と思われてしまう。だから二人に疑いがかかる可能性はまったくない。それでいてバクスターはヘレンの財産を、グレースは邪魔なヘレンを排除してバクスターと結婚できるという仕掛け。これこそまさに完全犯罪。

 でも事件後すぐ結婚したら疑われると思うのですがねえ、気持ちは分かりますけど、もうちょっと我慢したらどうですか、バクスターさんとグレースさん(笑)。

 新婚旅行でホテルへ滞在する二人。もう張り切っちゃって朝から濃厚なキスを交わしたりしております。しかしこのあたりからヘンなことが頻発し始めるのです。部屋にやたらに掛かってくる女からの電話。グレースが取り上げると「バクスターさんにアタシだといってくれれば分かります」おまけにホテルのバーではウェイターが「これはバクスターさん、この間はどうも、あのときの女性は・・・」グレースに気がついて「あ、すいません、なんでもありません」これでグレースがバクスターに別の女がいると疑わないわけがない。もうこれで大ゲンカですよ。「あんた、私を切り捨てようとしたらただじゃおかないからね」グレース、バクスターの頬桁張り飛ばします。「なんだ、テメー、このアマ」バクスターも殴り返す!うわあ、嫌な展開だなあ。

 この二人の喧嘩は屋敷に戻ってからも収まりません。未だに謎の女から電話がかかってきます。おまけにグレースの周りで不気味な事件が起こるようになるのです。バクスターと大ゲンカの最中、いきなり停電します。そして聞こえてきた女の笑い声。グレースの目に白い服を来た女の姿が飛び込んできます。おまけに廊下に落ちていたのはジャネットの人形ではありませんか。グレース、たまらなくなって精神病院へ電話をかけジャネットの様子を聞いたのですが帰ってきた返事は「申し訳ありません。ジャネットさんは3日前に逃げてしまいました。一応バクスターさんに連絡したのですが、彼女はとても危険です、気をつけてください」だったという・・・。

ひゃああ、ジャネットが戻ってきた、彼女はこの屋敷のどこかに隠れているのだ。戦慄するグレースであります。

 グレース、震え上がって自室に鍵をかけて閉じこもります。しかしその甲斐なく夜中にパジャマ姿の若い女が忍び込んできてグレースが枕元に置いておいたジャネットの人形をナイフと取り替えてしまうのです。翌朝、目を覚ましたナイフを見つけたグレース、ギブス夫人やジョンを捕まえてこのナイフは一体誰のものと喚き散らします。ジョン、「あ、それ、私の剪定用のナイフです。昨日バクスターさんにお貸ししました」これを聞いたグレース、バクスターを問いただすのですが、「知らんよ、そんなナイフ、わし全然知らん」と言われてしまうのでした。

 この事件でグレースはついにバクスターが自分を殺そうとしていると思い込んでしまいます。彼が精神病院からジャネットを脱走させこの屋敷に匿っている、そしてジャネットに私を殺させようとしているのだという訳ですな。

 グレースはギブス夫人やメイドのアンに屋敷を徹底的に捜索するよう命令するのですが、もちろん、ジャネットは見つかりません。しかしその後も彼女の部屋にジャネットの人形が戻ってきたり、ラジオが置かれて音楽が鳴らされたりするので、もうグレースはブチ切れ寸前です。

 その夜帰宅したバクスターを問い詰めるグレース。バクスターはまた「知らんよ、わしジャネットのことなんか全然知らん。君の勘違いだよ」グレース、この言葉でついに“切れて”しまいました。隠し持っていたナイフをぶんと振り上げ「ふん、あんたがジャネットを使って私を殺そうとしているのは分かっているんだ、あのヘレンと同じようにね。でも、今度はそうはいかないよ、あんたを先に殺してやる!」グレース、ナイフをバクスターの胸にグサーッ、ギャーッ、もう一回グサーッ、ギャーッ、はい、バクスターを刺し殺してしまいましたとさ。

 グレースは階下に下りるとギブス夫人、ジョンを呼び「大変よ、ジャネットがバクスターを殺したわ、すぐに警察を呼んで」しかしギブス夫人、ジョンは冷たい表情で彼女を見ております。ここでもう一人意外な人物が登場。これはルイス先生です。グレースはルイス先生の存在に驚きながらも「ジャネットは精神病院から逃げ出してこの屋敷に隠れているのよ」ジョンはうっすらと笑って「奥さん、ジャネットは逃げてなんかいませんよ、電話してお聞きになっちゃ如何です」ジャネットがその通りにしますとなんとジャネットは病院で大人しくしているというではありませんか。それどころか病状が劇的に回復してあと2~3ヶ月で退院できるのだとか。

 「ええ、どういうこと、私、直接電話して聞いたのよ、ジャネットが逃げたって」「その電話を受けたのは私でさあ。屋敷の電話は全部繋がっていますからねえ」とジョンが言ったものですから、グレースはもう半狂乱。「でも私は屋敷の中でジャネットの姿を見たのよ」今度はルイス先生が進み出ます。「その女は私ですわ」「じゃあ、あのホテルのウェイターが言っていた女は?」今度はギブス夫人が「あの手の男は50ポンドもやれば何でも言うことを聞くのです」

 三人は声をそろえて「あなた方のやったことは分かっているのですよ、それで今後は私らがあなたたちを罠にかけたのです」グレースはぐしゃっと顔を歪ませて、「なぜ、なぜ」「決まっているじゃありませんか、ジャネットのためです」グレースは完全におかしくなって「ホホホホホ」と笑い出します。三人が改めて警察に電話している間も「ホホホホホ」、そして最後に白目を剥いて死んでいるバクスターの姿が映ってエンドマーク。

真相を明かす三人の方がグレースよりもよっぽど怖かったりして(笑)。

モノクロ・スクイーズ・ワイド モノラル音声 黒がきっちり沈んでとてもきれいなモノクロ映像が楽しめます。音質も上々。英語字幕つき。Hammer Horror Series (『Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein』)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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『Shock』(1946年)

 『Shock』(1946年)

 ヴィンセント・プライスの殺人を見ておかしくなってしまった新妻がヴィンセント・プライスの病院に入院させられるというヴィンセント・プライスなサスペンス映画。ラストもまったくヴィンセント・プライスのやりそうなことで、ティム・バートンの次くらいにヴィンセント・プライスのファンである私は大満足しました。

サンフランシスコのホテル、ベイモント・アームズに飛び込んできたうら若い女性ジャネット・スチュワート(アナベル・ショー)。彼女は息せき切ってフロントに予約をしていると申し出るのですが、なんとしたことかフロントマンは首を振って「奥様、残念ながら予約はされておりません。また当ホテルは今夜は満室でございます。まことに申し訳ありませんが本日の宿泊は承りかねます」「ああっ」早くも泣きそうになるジャネット、「私、夫のポール・スチュワート(フランク・ラティモア)とここで待ち合わせしておりますの。彼は捕虜になって二年間生死が分からなかったんです。それがようやく帰ってくることができて、このホテルで・・・。でも満室ってそんなのないわ、ポール、ポール、私はあなたと会えない、いっそこうなったらこの手首を切り裂いて、あの世で一緒になりましょう」大騒ぎをするジャネットを見かねたホテルのマネージャー「分かりました、分かりました、そんな大声ださないで。実は到着が遅れているお客様がいらっしゃいます。明日の午前中までその部屋をお貸ししましょう」

 部屋へ通されたジャネット、夫との再会を想像しながらにやにやしております。想像しているうちに体が火照ってきたので、おい、こら、どんなこと想像してんだ(笑)。体を冷やそうとバルコニーへ。そこで隣室から聞こえてきたのが男と女が争う声。ジャネット、思わずバルコニーから身を乗り出して隣室を覗き込むのでした。すると中にいたのがヴィンセント・プライスとその妻。「ええ、離婚するですって、あなた、なんてこというの、そうエレノアね、私を捨てて彼女と一緒になろうというのね」弱々しく抗弁するヴィンセント。「私は彼女を愛しているんだ、頼むどうか、別れてくれ」「きいい、だったら、私はあんたとエレノアのことを新聞にぶちまけてやるわ」こう叫んだ妻、実際に電話のダイヤルを回し始めます。これでぷつんと切れたヴィンセント、「テメー、このアマ、死ね」蜀台で妻の頭をごっ。彼女を殺してしまったのです。

 殺人の現場を思いがけずも見てしまったジャネット、ショックのあまり硬直してしまったのであります。

 翌朝ポールが到着します。2年ぶりの妻との再会を想像してにやにやしているポール、「さあ、ダーリン、君の夫だよ」と叫んでドアを開けたら、はい、ジャネットがソファーの上で硬直しているではありませんか。いくら揺すっても、また名前を呼んでもまったく反応を見せないジャネット。ホテルドクターのブレアが診察したのですが、「おそらく大変なショックを受けたのだ」ということぐらいしか分かりません。じゃあ、専門家をと呼ばれてやってきたのが精神科医の、ああ、これはジャネットを硬直状態に追い込んだ張本人のヴィンセント・プライス(役名リチャード・クロス)ではありませんか。

 ヴィンセントはジャネットの受けたショックが昨夜の彼の凶行に関係しているなど夢にも思いません。そして彼は診察の結果、彼女をサンフランシスコ郊外にある自分の療養所へ入院させることを決意するのです。同じく、目の前の医者が人殺しであることなど神ならぬ身の知る由もないポール、「先生、先生だけが頼りです。どうかジャネットをよろしくお願いします」

 ジャネット、療養所へ移送されてしまいました。ちなみにこの時ホテルへ彼女を迎えにきたのが看護婦のエレノア・ジョーダン(リン・バリ)。そう、ヴィンセントが妻を殴り殺す原因となった女です。

 ヴィンセントは部下のスティーブンス先生(スティーブン・デューン)に命じてジャネットに薬を注射させます。そして彼女がもうろうとなったところで催眠治療を試みるのでした。「私は医者です。あなたの友達です。あなたを助けたいと思っています。一体あなたは何を見たのですか」すると、ジャネット喋ったね、「昨日バルコニーに出たら隣の部屋から争う声が聞こえて覗いてみたら男が女の人を蜀台でぼかって・・・」「あ、これ、俺のことじゃん!」真っ青になるヴィンセント。彼はエレノアにジャネットに全てを見られたことを告白、これからどうするか二人で考えるのですが妙案はでません。「ショックなんてものは2~3週間あれば治ってしまう、そうしたら我々の破滅だ」

 この時明かされたのが奥さんの死体の処理方法。ヴィンセントったら死体を大き目のトランクに詰め込んで発送しちゃったんだそうです。

 翌日ポールが見舞いにやってきます。ジャネットは相変わらず彼の問いかけに無反応。「全然良くなってないじゃないっすか」がっかりするポールです。ヴィンセントはそんなポールに「多分、彼女のショック状態の原因はあなたではないかと思います。あなたは一度戦死したことになっていた。ジャネットは当然その悲しみに苛まされたはずです。ようやく落ち着いたところで今度はあなたが生きていることが分かった。それで喜び勇んでホテルへ行ってみたらなぜか予約が入ってない、彼女はだまされたのではないか、あなたはやっぱり死んでいるのではないか、この感情の起伏の大きさがショックの原因になったのです」ヴィンセント、なんとかしてポールを丸め込もうとしております(笑)。

 しかし結果的にヴィンセントは失敗します。彼のいうことに今ひとつ納得できなかったポールは軍病院の紹介でやはり精神医療の大家である、ハーベイ博士(チャールス・スロウブリッジ)にジャネットを診察してもらおうと言い出したのです。「こりゃ、まずい」と慌てたヴィンセント、ジャネットに第2回目の催眠治療を施します。今度はジャネットから何が起こったか聞き出した後、「男はあなたに目を向ける。男は蜀台であなたを殴る、何度も、何度も、あなたは何も見えない、何も聞こえない、そして何も思い出せない」 悲鳴をあげて暴れるジャネット、ヴィンセント、精神科医のくせに酷いことをしますなあ。

 この睡眠治療のおかげかハーベイ博士の診察でもヴィンセントのことはばれませんでした。ハーベイ博士、「ポールのことはあまり関係ないと思う。彼女のショックには他の原因があるのだ。それがどうも良く分からない、もう少し様子を見なければ」 意外と頼りにならない先生です(笑)。

 この後、どこぞへ出かけるヴィンセント。たぶんトランクに詰めて発送した元奥方の死体を始末に行ったのでしょうか。

 ヴィンセントの留守中、嵐の夜に事件が起こります。雷鳴に怯えたエドワード(ジョン・ダヴィッドソン)が部屋から逃げ出し、ジャネットの部屋へ侵入したのであります。エドワード、ジャネットに多大なる興味を示しまして(笑)ベッドの彼女をじっと見つめます。この気配に目を覚ましたジャネット、エドワードを見て凄まじい悲鳴。みんなが駆けつけてエドワードを部屋へ連れ戻したのでしたが可哀想にジャネット怯え切っております。これが原因となったのか、スティーブンス先生がジャネットに催眠治療を施すと「私人が殺されるところを見た」と喋り始めたのです。

 もっとも誰もジャネットの話を信じてはいません。このことを聞かされたポールでさえ「殺人を見たって、それ、妄想じゃないですか、治るどころか悪化しているじゃないですか」と憤慨するという・・・(笑)。

 この後新たなる展開、奥さんの死体がカンザスの近くで発見されたのであります。警察の発表ではその死因は崖から落ちて頭を打ったことによる事故死だそうで…。出張から戻ってきたヴィンセントに療養所の人々は口々にお悔やみを言うのでした。

戻ってくるなりエレノアと二人きりになったヴィンセント、彼女からエドワードの乱行が原因でジャネットが記憶を取り戻したことを聞いて真っ青になります。けれどエレノア、「安心してダーリン、スティーブンスは彼女の見た殺人を妄想だと思っている。もう大丈夫よ、この先ジャネットが何を言おうと誰も信じないわ。」

 しかし、彼らはポールのことを忘れていました。ポール、心配のあまりこっそりとジャネットの病室へ。そして彼女の手をやさしく握ります。「おお、ジャネット、早くよくなっておくれ」と語りかけますと、その願いが通じたのかぱっちりと目を開けるジャネットです。「ああ、ポールなのね、私一晩中待ってたのよ」「ジャネット、良かった、気がついたんだね」ところがここでヴィンセントとエレノアが乱入。「スチュワートさん、あなた、何をやっているのです。勝手に病室に入られては困ります」ジャネットは恐怖に目を見開いてヴィンセントを指差し「人殺し、人殺し、あなたは自分の奥さんを殺したのよ、蜀台でぼかりとやったのよ」ヴィンセント、大ショックです(笑)。

 ヴィンセントは慌ててポールを外へ連れ出します。そして「あれは奥さんの妄想です。よくある症状なんですよ、あんなのは」と言ってペニーという老婦人の患者に引き合わせるのです。そのペニーおばあさん、「先生、先生、スティーブンス先生にまた殺されそうになったんでございますよ、まったくここの人はみんな人殺しですわ」だって。ヴィンセントはポールに、「ほら、見たでしょ、奥さんも同じような妄想にかられているのです」驚いたポール、ヴィンセントの手をとって涙ながらに「僕の奥さんを助けてください、彼女を治してやってください、お願いします」と頼むのでした。

ジャネット、可哀想に完全にキチガ×にされちゃった。

 ジャネットの苦難は続きます。病室から抜け出して逃げ出そうとしたのですがスティーブンス先生に見つかってしまいました。彼に「ヴィンセントは人殺しです、警察を呼んでください」と訴えるのですが相手にされません。ヴィンセントはヴィンセントで自分の奥さんの死体が発見された死亡記事を見せ付けて「これによると死亡したのは約一週間前になってます、でもあなたはもう三週間も入院しているのだ、時間が合わないでしょうが、あなたは妄想を見ているのです、狂いかけているのです。治療が必要なのです」ジャネット、私はキチガイじゃない、妄想なんかじゃないと喚くのですが、どうにもならなかったのです。

 ヴィンセントとエレノア、このままジャネットを発狂したことにすれば万事大丈夫だとにやにや。

 ところがこの所業、天の神様は見逃さなかった。地方検事局からオニール(リード・ハーディ)という男がやってきたのです。彼はヴィンセントに面会を求めて「奥さんの友人だったハーウッド夫人が強盗にあいました。我々は強盗を捕らえたのですが、どうもこいつがあなたの奥さんをも襲ったらしいのです。殺された可能性もありますので、もう一度奥さんの遺体を調べさせて欲しいのです」裁判所の許可もついているのでヴィンセント、どうしようもありません。「はあ、いいですよ」と頷くしかなかったのです。そして果たせるかな、奥さんの遺体が再検死された結果、「奥さんは崖からずっこけて頭を打って死んだのではない、何者かに蜀台で殴り殺されたのだ」ということが判明してしまったのです。

 いよいよ焦ったヴィンセント、ついに彼はジャネットを亡き者にしようと決心します。インシュリン・ショック療法と称してインシュリンを注射、過剰投与であの世行きだと企んだのです。ヴィンセントは治療の許可を得るためにポールを呼び出します。ポールは躊躇ったのですが、何しろ、「今やらないと奥さんは完全なクルクルパーになってしまいますよ」と散々に驚かされるものですから(笑)やってくださいと言うほかなかったのです。そしてヴィンセントは早速インシュリン注射を開始します。注射と点滴で大量のインシュリンを投与されるジャネット。しかもその量は日に日に増やされていくのです。

 ここで更なる展開、「ヴィンセントの奥さんは他殺と断定、凶器は蜀台」という新聞記事が発表されたのです。これを読んだポール、「げぇっ、蜀台ってジャネットが言っていたとおりじゃん、彼女の言っていたことは本当だったのだ、彼女が危ない、助けなきゃ」彼はハーベイ博士に全てを話し、ヴィンセントの療養所へ同行を頼むのでした。

 一方、ヴィンセント、最後の決定的な瞬間を迎えようとします。さあ、あともう一本インシュリンを打てばジャネットは頓死だ。しかし、ここで唐突にヴィンセントの医者としての良心が目覚めてしまいました。彼は呆然と立ち尽くして「やっぱりできない、医者として、人間としてそれだけはやってはならんのだ」これに驚いたのがエレノアです。「ちょっとあんた、今更何を言っているのよ、もう引き返すことはできない、やらなきゃあたしたち破滅よ」「いや、ジャネットを助けるのだ、ええい、邪魔をするな」ヴィンセント、エレノアともみ合いになって、ああ、ヒデー、彼女を絞め殺しちゃった(大笑い)。

 この惨劇の直後、ポールとハーベイ博士が到着します。そしてポールは危機を逃れたジャネットと涙のご対面。一方、ヴィンセントはテープレコーダーに己の犯した罪を全て吹き込み、オニールに連行されたのでした。エンドマーク。

 ポールとジャネット、抱き合っているけど、部屋の片隅じゃエレノアの死体が転がっているのですがねー(笑)。

モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質は少なくとも暗い場面で何をやっているか分かるレベル。音声は歪みがなく台詞も聞き取りやすいものでした。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopのDVD。 

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『オペラ座の怪人』(『The Phantom of the Opera』 1962年)

 『オペラ座の怪人』(『The Phantom of the Opera』 1962年)

 2004年に公開されたミュージカル版のイメージが強い『オペラ座の怪人』ですが、ガストン・ルルーの原作を考えたら、やっぱりこれはホラー映画じゃなきゃいけません。仮面を被ってオペラ座の地下に住んでいる男がでてきた時点でホラー映画になるのに決まってます!

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

 物語の舞台となるオペラ座。観客が一人もいないオペラ座で一人の男がパイプオルガンを演奏中。奇妙な小男もいてこの演奏に聞き惚れています。カメラがパイプオルガンを演奏している男によった、ああ、この男は奇妙なマスクを被っているぞ、しかも片目だ。この片目がぎらりと光ったところでオープニングクレジット。

 さあ、今夜は新作オペラ、「セイント・ジョニー」のオープニングナイト。着飾った紳士淑女たちがオペラ座に詰め掛けます。このオペラを作曲したアンブローズ・ダーシィ卿(マイケル・ガウ)は助手のラティマー(スローリィ・ウォルターズ)から「チケット売り切れっすよ」と囁かれてにやにや。「これ以上何も起こらなければ万々歳なのだがな」実はこの公演の準備中、楽譜が盗まれたり、衣装が切り裂かれたり、セットが壊されたりといろいろ事件が起こっていたのです。こんな公演、かならず途中で何か起こるに決まっております(笑)。

 さて、場面は変わって楽屋で待機している主演女優のマリア(リアン・アーキン)、喉に霧吹きあてつつ「アアアー」、歌のウォーミングアップに余念がありません。しかしその彼女を見つめる謎の男がいた!いつの間にか部屋にいたそいつを見て悲鳴を上げるマリアです。男は何もせず消えてしまったのですが、すっかり怯えてしまったマリアは「わたし、もう今日の舞台だめよ、歌えないわ」 この彼女を慰めたのがこの公演のプロデューサー ハリー・ハンター(エドワード・デ・スーザ)です。「君、君はプロなんだ、そんな幽霊みたいなのに怯えて舞台を休みましたなんて恥だぞ。大丈夫、舞台の後できっと僕がそいつを捕まえて脳みそが口からはみ出てくるまで頭をぶん殴ってやるから安心したまえ」ようやくマリアは舞台に出演する勇気を取り戻したのでした。

 すったもんだの末にやっとオペラが開幕します。ほっとしてボックス席でオペラを見るハンターとラティマー。ハンターが「いやー、ダーシィ卿も昔は凄かったけど、今はねー」などと軽口を叩いておりますと、タイミングよくやってきたのがダーシィ卿その人。思いっきりムッとしております。舌を出してそそくさ退席するハンターです。ダーシィ卿、向かいのボックス席が空っぽなのを見てラティマーに「おい、満席じゃないのか、どうしてあそこが空いているんだ」「それはちょっと苦情が出たのです。人の声が聞こえて気味が悪いと」呆れたダーシィ卿、「何幽霊が出るのか、そんな馬鹿馬鹿しい」ますます苦い顔となるのでした。

 その間もオペラは粛々と進んで第二幕となります。ここで登場したマリア、朗々と歌い始めます。その彼女をじっとりと見つめる片目の男。と、どこからともなくばりばりと布の裂ける音が。驚いて立ち尽くすマリアの目の前で背景の幕がばりばり破れて首吊り死体がばーん、マリア、卒倒してオペラは即刻中止となってしまいました。そしてマリアはあまりのショックのため、このオペラへの出演を拒絶してしまうのです。

 さあ、主演女優が降りてしまったからには代わりを見つけないと、ということで急遽行われたのが代役のオーディション。そこでハンターとダーシィ卿は思わぬ掘り出し物を見つけます。これまでコーラスガールの役しか経験のない駆け出し女優のクリスティーナ・チャールス(へザー・シアーズ)です。歌は素晴らしいし容姿のほうもいけている。「よっしゃ、この人に決めよう」珍しく意見が一致するハンターとダーシィ卿。もっともダーシィ卿のほうはさっそくスケベ心を丸出しにしてクリスティーナを夕食に誘うのですが(笑)。

 オペラの主役に抜擢、しかも尊敬する作曲家の先生から下心つきとはいえ夕食を誘われた。もう夢心地のクリスティーナ。楽屋の椅子に座ってぼうっとしております。ところがどこからともなく聞こえてくるファントムの声。「君、君、なかなか良い声をしているではないか。しかしまだ足りぬものがある。だから私がコーチしてあげよう、でもその時は私一人のために歌うのだ」いきなり訳の分からぬことを言われたクリスティーナ、驚いてあたりを見回すのですが、ファントムの姿は見えません。「あなたはだあれ、一体どこにいるの」ファントムはそんな彼女の問いかけには一切答えず「ダーシィ卿には気をつけるのだ。奴はすけべなのだ、男は狼なのよ、気をつけなさいなのだ」そしてふっと消えてしまうファントムの声。

 しかし姿も現さない怪しい男に「男は狼なのよ、気をつけなさい」と言われたからといってせっかくのチャンスを棒にふることはできません。クリスティーナは精一杯のおしゃれをしてダーシィ卿が指定したレストランに向うのです。彼女を迎えたダーシィ卿、上機嫌で「わははは、まあ飲みたまえ、食べたまえ」シャンペンをがぶがぶやります。そうして食事が終わった後、この男は極めてズウズウシイことに「今から私のアパートメントに行って個人レッスンをしてあげよう。普段の私は忙しすぎてとてもそんなことはできないのだが、君は特別だ」と言い出したのであります。いかに初心なクリスティーナといえども夜中に男のアパートメントについていって歌のレッスンだけで済むはずがないと分かっております。ついでに別のレッスンもされてしまうことでしょう。しかし無下に断ることはできない、どうしよう、どうしようと彼女が困り果てた時、絶妙のタイミングでハンターが現れた。彼女は彼に「ダーシィ卿のレッスンに立ち会って頂けませんか」と頼んだのであります。

 もちろん、快諾するハンター。ダーシィ卿は目論見を外されてすっかり不機嫌になり「今日はもう遅いからレッスンはやめよう」と言って帰っちゃったのでありました。いい気味です(笑)。

 この後食事を楽しんだ二人は馬車で帰途につくのですが、この途中、クリスティーナは楽屋で語りかけてきた不思議な声のことをハンターに話します。「この公演ではいままでいろんなトラブルがあった。その声の主こそが犯人かも知れん」こう考えたハンターは楽屋を調べると言い出したのです。馬車のコースを変えさせてオペラ座へ向う二人。到着するなり楽屋に入ってガス灯をつけ誰かが隠れていた痕跡がないかと探し回るハンター。ところがガス灯の火がふっと消えて「ハンター、その女を置いて去るのだ」だって。

 そして起こる第二の惨劇。オペラ座のネズミ屠殺人がほら、冒頭でファントムの演奏に聞き惚れていた小男に殺されたのです。その殺害方法というのが背後からぱっと飛び掛ってドライバーを屠殺人の片目にねじりこむというアレなもの。なんだってそんなところに突き刺すかねえ。

 男の悲鳴を聞いたハンター、クリスティーナを残して調べに行ってしまいます。その隙をついたのがファントム。彼は怯えるクリスティーナの前に姿を現して「さあ、私と一緒に行くのだ」クリスティーナは悲鳴を上げます。これを聞きつけてって今夜のハンターは悲鳴を聞いてばっかりですな(笑)。戻ってきたハンター。しかしその時ファントムはすでに姿を消しております。幸いにも触られなかったじゃなかった、攫われなかったクリスティーナは「黒づくめの恐ろしい男だったわ、覆面被っていておまけに片目だったの」

 クリスティーナの受難はまだまだ続きます。個人レッスンができなかったことに腹をたてたダーシィ卿が彼女を役から降ろしてしまったのです。抗議に行ったハンターもやっぱり個人レッスンを邪魔した一人、首にされてしまいました。ダーシィ卿、分かりやすい人です(笑)。しかしハンターは逆にさばさばしたもの。解雇通知を受け取ってがっかりしているクリスティーナの下宿に行くと「僕も首だ、首になった同士ランチでも食べに行こうよ」だって。

 さて、ここで新たな展開。クリスティーナの下宿の内装を珍しげにみていたハンター。衝立にオペラ座で盗まれたらしい楽譜が張ってあるのを見つけます。下宿のおばさん、タッカー夫人(レニー・ヒューストン)にこれはどうしたのだと尋ねると前に下宿していた音楽の先生、ペトリ教授から貰ったとのこと。優秀な先生でピアノが特に上手かったというのですが、楽譜印刷のために尋ねた印刷屋で火事に巻き込まれて死んでしまったそうな。ピンと来たハンター、クリスティーナを連れてその印刷屋へ行き事情を聞いてみると

 「火事で死んだなんてとんでもねえ、奴は忍び込んだんでがす。その時に蜀台倒してボヤ起こしてしまったんでさあ、それで水と勘違いして印刷に使う酸をかけてしまったんでがす。これが顔にかかって酷い火傷をしたのでがすなあ」顔に火傷、だから怪人はマスクをつけていたのではないか。手がかりを掴んだと小躍りするハンター。でもこの時、クリスティーナはぐーぐーなるお腹を抱えて「ランチはまだなのかしら」と思っていたとかいなかったとか(笑)。

 ハンターはさらに警察へ行きさらに詳しい話を聞きだします。その夜犯人を追っかけたという巡査は「あー、そいつは逃げてですねえ、あたしら追っかけたんですけど、川に飛び込んじゃったんです。雨の後で増水していたからありゃひとたまりもなく溺れ死んだのでしょうなあ」その川を見に行くハンターとクリスティーヌ。ごうごうと流れる水を見ながらハンター、「なるほどここに飛び込んだら一巻の終わりだねえ」その時ハンターは気づかなかったのですが、近くに地下の水路へ通ずる入り口が開いていたという・・・。

 ハンター、クリスティーヌに「死んだんじゃ仕方ない。よし、ランチを食べに行こう」「もう5時よ」「じゃあ、ディナーだ」ようやくクリスティーナは食事にありつくことが出来たのです(笑)。

 ディナーの後は馬車でデート。あ、ハンターとクリスティーナ、キスなんかしてやがる。そんな暢気なことをしているから部屋に戻ったクリスティーナがあの謎の小男に誘拐されてしまったじゃないか。彼女を拉致した小男、劇場へ行き、ストーブをずらすと現れる秘密の出入り口を通って洞窟のようなところへ入ります。その洞窟、なぜかパイプオルガンがすえつけてあって、出た、出た、オペラ座の怪人ががーがー演奏しております。そして洞窟の底は川になっていてどうやらあの地下水路へ続いているよう。ははあ、だんだん分かってきましたぞ。

 怪人は意識を取り戻したクリスティーナに「私が君に歌を教えよう。君には素質がある。私が教えればその素質が開花し、君は大スターになれるのだ」怪しい勧誘の仕方です(笑)。さらにこんな気味の悪いことを言い出す怪人、「しかし、君が歌うとき、君は私だけのために歌うのだ。分かったね」しかしクリスティーナ、怪人の異様な迫力に押されて「はい、分かりました。教えてください」と承知してしまったのです。

 一方オペラ座では公演に向けての必死のリハーサルが続いております。新たに抜擢した主演女優の歌が上手くいかないのでいらついているダーシィ卿、ささいなことで指揮者を首にしてしまいました。するとそれに反抗したオーケストラの楽団員たちがリハーサルをボイコット。ダーシィ卿やけくそになって「ええい、貴様らみんな首だ」彼はオフィスに戻って「私の初めてのオペラだというのにどうしてこんなことになるのだ」と嘆きます。ここでついにダーシィ卿を見限ったラティマー、独断でハンターのプロデューサー復帰を決めてしまうのです。これに怒ったダーシィ卿、ぷんすかしながら出て行っちゃった。

 さあ、これでクリスティーナも主演女優に返り咲き、後はオペラを成功させるだけだと張り切るハンター。しかしそうは問屋が卸しません。下宿のタッカー夫人からクリスティーナ行方不明という知らせが届いたのです。驚いたハンター、リハーサルをビルに任せて飛び出し、クリスティーナを探すのでした。一方洞窟で怪人のレッスンを受けているクリスティーナ、上手く声が出せずに「ああ、駄目だわ、私にはできない」怪人、パイプオルガンからやにわに立ち上がるとクリスティーナに往復ビンタ!ばたりと倒れたクリスティーナに「愚か者め、苦しみなくしてスターになれるとでも思っていたのか、さあ、立つんだ、クリスティーナ、レッスンを続けるぞ」

 ハンターは依然としてクリスティーナを探しております。いつもより余計に探しております。しかし下宿では何の手がかりもなし。途方にくれかけたハンターですが、突然、「クリスティーナの失踪にあのペトリ教授が関係しているのでは」と思いつきます。そこで再びあの川に行きましていろいろ調べるのでした。果たして地下水路への入り口を見つけるハンター。しかもその入り口からはかすかに歌声が聞こえてくるではありませんか。「やった、あれは彼女の声に違いない。この中にいるのだ」ハンター、ボートから川に飛び込んで地下水路の入り口へと入っていくのでした。

 ハンターがたてる水音に気がついた小男。金属のパイプを口にくわえてすいとんの術(笑)。水に潜ったままハンターに近づき奇襲をかけるのですが逆にやられてしまいましたとさ。そのまま洞窟へ入るハンター。彼はついに怪人とクリスティーヌを発見したのです。ハンターは呆然として立ち尽くす怪人に「あなたはペトリ教授ですね」「なぜ私の名前を」いよいよ驚く怪人です。「いろいろ調べさせて貰いましたからね。時に教授、お聞きしますが、このオペラはあなたの作品ではないのですか。それをダーシィに盗まれたのではないですか」怪人、ハンターの言葉にゆっくり頷きます。

 ここから火傷を負う前のペトリ教授が登場して、事の真相が回想シーンによって語られるのです。自分の作曲した作品をダーシィのところへ持ち込み「どうか先生のお力でひとつ、この作品を出版してください」と頼みにいくペトリ教授。ダーシィは中身をぱらぱら見て、「ん、50ポンドだ、それ以上は出せんよ」「そんな先生、私が10年もかかって作曲したものがたったの50ポンドですか、勘弁してくださいよ」ダーシィはにやりと嫌な笑みを洩らします。「じゃあ、よしておくんだね。ただでもいいから出版してくれという作曲家はごまんといるんだからな」これでペトリ教授折れてしまいました。それでもこれでちゃんと彼の作品として出版されれば良かったのですが・・・。

 ダーシィはなんとペトリ教授のオペラを自作として出版しようとしたのです。印刷屋でこれに気づいたペトリ教授は愕然。すぐにダーシィに抗議するのですが「ふふふ、私は君に代価として50ポンド支払ったではないかね。私は君の作品を買ったのだよ。名前を書き換えて何が悪いのかね」このあまりの言い草に激怒して飛び掛るペトリ教授、「こ、この盗人めが」しかし、ダーシィのステッキが一閃、彼を叩き伏せてしまうのでした。思い余ったペトリ教授はその夜印刷屋に忍び込みます。そして印刷ずみのダーシィ名義の楽譜を焼いてしまおうとするのです。この時火事を起こしてしまい、火傷を負ってしまったのは印刷屋さんの説明の通り。警官に追われて川へ飛び込むペトリ教授。水の流れの悪戯によってこの洞窟に流れ着いたのです。そしてもともとそこを棲家にしていた小男に助けられたのであります。

 真相を語り終えた怪人、ハンターに土下座します。洞窟の床に頭をすりつけんばかりにして、「頼む、私に時間をくれ、一ヶ月、いや、二週間、ええい、こうなりゃやけだ、一週間でいい。一週間待ってくれ。そうしたら私がクリスティーナを一流の歌手にしてみせる」

 この時怪人は小男について「奴は時々凶暴になるが、それでも私の命の恩人なのだ」と言っております。あのネズミ駆除人を殺したのもその凶暴性の現れだったのでしょうか。

 ようやくオペラ公演、「ジャンヌ・ダルク」の始まりです。あれ、冒頭では「セイント・ジョニー」じゃなかったかしらん。いつの間にか演目が変わっています(笑)。ここで私の許可なく公演をはじめやがってとまたぷんすかしながら劇場へやってきたダーシィ。オフィスに入ってラティマーを呼び出そうとしたのですが、いつの間にか部屋の隅に立っていた人影に気づくのであります。ダーシィ、驚きのあまり回らぬ口で「き、貴様は一体誰だ、へ、ヘンなマスクを被りおって何者だ」人影はもちろん怪人です。怪人は一歩前に進み出るとマスクをばりっ、はがしてしまいました。怪人の素顔をこってりと見せ付けられたダーシィ、ぎゃあと悲鳴を上げて逃げ出したのです。

 さあ、いよいよオペラの開幕です。怪人の個人レッスンを受けて一流歌手となったクリスティーナ、その期待を裏切ることなく素晴らしい歌声を披露します。その彼女に魅せられる観客、この光景をボックス席から静かに見守る怪人。その無事な方の目から零れ落ちる涙がいいですなあ。そしてついにオペラは終幕。熱狂した観客はクリスティーナをスタンディングオべーションで称えたのでした。

 これで終われば大変なハッピーエンドですが、これはなにしろハマー映画です。ラストがろくでもないことになるに決まっています(笑)。その予想通り舞台の吊り物バトン(舞台上にあり、舞台効果のための大道具や小道具その他幕類などを吊るためのもの)をうろちょろしていた小男、うっかりスタッフに見つかってしまいました。「おい、お前、そこで何やっているんだ」と怒鳴られた小男、思わず大きなシャンデリアに飛び移ってしまいます。彼の重みでシャンデリアの綱が切れて舞台へ落下。その下には何も知らず観客の歓声に答えているクリスティーナの姿が!

 怪人、やにわに自分の仮面を毟り取ってぐしゃぐしゃの素顔を露にすると舞台に飛び込みすんでのところでクリスティーナを突き飛ばします。その彼の上からシャンデリアが落下してきてぐしゃっ。怪人ぺっしゃんこになってしまいました(笑)。脱ぎ捨てられた仮面が映ってエンドクレジット。

 なんでわざわざ怪人は仮面を取ってからクリスティーナを助けに飛び出したのですかねえ。怪人の恐ろしい素顔を見せるためとはいえ、ちょっと不自然です。

 カラー・スクイーズ・ワイド モノラル音声 発色はとてもいいのですが、例によってノイズ多し。音声はクリアで台詞がはっきりしています。英語字幕つき。Hammer Horror Series (『Brides of Dracula』『Curse of the Werewolf』『Phantom of the Opera (1962)』『Paranoiac』『Kiss of the Vampire』『Nightmare』『Night Creatures』『Evil of Frankenstein』)を収録したボックスセット。ユニバーサルのDVD。

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