« 『オペラ座の怪人』(『The Phantom of the Opera』 1962年) | トップページ | 『Nightmare』(1964年) »

2007年8月30日 (木)

『Shock』(1946年)

 『Shock』(1946年)

 ヴィンセント・プライスの殺人を見ておかしくなってしまった新妻がヴィンセント・プライスの病院に入院させられるというヴィンセント・プライスなサスペンス映画。ラストもまったくヴィンセント・プライスのやりそうなことで、ティム・バートンの次くらいにヴィンセント・プライスのファンである私は大満足しました。

サンフランシスコのホテル、ベイモント・アームズに飛び込んできたうら若い女性ジャネット・スチュワート(アナベル・ショー)。彼女は息せき切ってフロントに予約をしていると申し出るのですが、なんとしたことかフロントマンは首を振って「奥様、残念ながら予約はされておりません。また当ホテルは今夜は満室でございます。まことに申し訳ありませんが本日の宿泊は承りかねます」「ああっ」早くも泣きそうになるジャネット、「私、夫のポール・スチュワート(フランク・ラティモア)とここで待ち合わせしておりますの。彼は捕虜になって二年間生死が分からなかったんです。それがようやく帰ってくることができて、このホテルで・・・。でも満室ってそんなのないわ、ポール、ポール、私はあなたと会えない、いっそこうなったらこの手首を切り裂いて、あの世で一緒になりましょう」大騒ぎをするジャネットを見かねたホテルのマネージャー「分かりました、分かりました、そんな大声ださないで。実は到着が遅れているお客様がいらっしゃいます。明日の午前中までその部屋をお貸ししましょう」

 部屋へ通されたジャネット、夫との再会を想像しながらにやにやしております。想像しているうちに体が火照ってきたので、おい、こら、どんなこと想像してんだ(笑)。体を冷やそうとバルコニーへ。そこで隣室から聞こえてきたのが男と女が争う声。ジャネット、思わずバルコニーから身を乗り出して隣室を覗き込むのでした。すると中にいたのがヴィンセント・プライスとその妻。「ええ、離婚するですって、あなた、なんてこというの、そうエレノアね、私を捨てて彼女と一緒になろうというのね」弱々しく抗弁するヴィンセント。「私は彼女を愛しているんだ、頼むどうか、別れてくれ」「きいい、だったら、私はあんたとエレノアのことを新聞にぶちまけてやるわ」こう叫んだ妻、実際に電話のダイヤルを回し始めます。これでぷつんと切れたヴィンセント、「テメー、このアマ、死ね」蜀台で妻の頭をごっ。彼女を殺してしまったのです。

 殺人の現場を思いがけずも見てしまったジャネット、ショックのあまり硬直してしまったのであります。

 翌朝ポールが到着します。2年ぶりの妻との再会を想像してにやにやしているポール、「さあ、ダーリン、君の夫だよ」と叫んでドアを開けたら、はい、ジャネットがソファーの上で硬直しているではありませんか。いくら揺すっても、また名前を呼んでもまったく反応を見せないジャネット。ホテルドクターのブレアが診察したのですが、「おそらく大変なショックを受けたのだ」ということぐらいしか分かりません。じゃあ、専門家をと呼ばれてやってきたのが精神科医の、ああ、これはジャネットを硬直状態に追い込んだ張本人のヴィンセント・プライス(役名リチャード・クロス)ではありませんか。

 ヴィンセントはジャネットの受けたショックが昨夜の彼の凶行に関係しているなど夢にも思いません。そして彼は診察の結果、彼女をサンフランシスコ郊外にある自分の療養所へ入院させることを決意するのです。同じく、目の前の医者が人殺しであることなど神ならぬ身の知る由もないポール、「先生、先生だけが頼りです。どうかジャネットをよろしくお願いします」

 ジャネット、療養所へ移送されてしまいました。ちなみにこの時ホテルへ彼女を迎えにきたのが看護婦のエレノア・ジョーダン(リン・バリ)。そう、ヴィンセントが妻を殴り殺す原因となった女です。

 ヴィンセントは部下のスティーブンス先生(スティーブン・デューン)に命じてジャネットに薬を注射させます。そして彼女がもうろうとなったところで催眠治療を試みるのでした。「私は医者です。あなたの友達です。あなたを助けたいと思っています。一体あなたは何を見たのですか」すると、ジャネット喋ったね、「昨日バルコニーに出たら隣の部屋から争う声が聞こえて覗いてみたら男が女の人を蜀台でぼかって・・・」「あ、これ、俺のことじゃん!」真っ青になるヴィンセント。彼はエレノアにジャネットに全てを見られたことを告白、これからどうするか二人で考えるのですが妙案はでません。「ショックなんてものは2~3週間あれば治ってしまう、そうしたら我々の破滅だ」

 この時明かされたのが奥さんの死体の処理方法。ヴィンセントったら死体を大き目のトランクに詰め込んで発送しちゃったんだそうです。

 翌日ポールが見舞いにやってきます。ジャネットは相変わらず彼の問いかけに無反応。「全然良くなってないじゃないっすか」がっかりするポールです。ヴィンセントはそんなポールに「多分、彼女のショック状態の原因はあなたではないかと思います。あなたは一度戦死したことになっていた。ジャネットは当然その悲しみに苛まされたはずです。ようやく落ち着いたところで今度はあなたが生きていることが分かった。それで喜び勇んでホテルへ行ってみたらなぜか予約が入ってない、彼女はだまされたのではないか、あなたはやっぱり死んでいるのではないか、この感情の起伏の大きさがショックの原因になったのです」ヴィンセント、なんとかしてポールを丸め込もうとしております(笑)。

 しかし結果的にヴィンセントは失敗します。彼のいうことに今ひとつ納得できなかったポールは軍病院の紹介でやはり精神医療の大家である、ハーベイ博士(チャールス・スロウブリッジ)にジャネットを診察してもらおうと言い出したのです。「こりゃ、まずい」と慌てたヴィンセント、ジャネットに第2回目の催眠治療を施します。今度はジャネットから何が起こったか聞き出した後、「男はあなたに目を向ける。男は蜀台であなたを殴る、何度も、何度も、あなたは何も見えない、何も聞こえない、そして何も思い出せない」 悲鳴をあげて暴れるジャネット、ヴィンセント、精神科医のくせに酷いことをしますなあ。

 この睡眠治療のおかげかハーベイ博士の診察でもヴィンセントのことはばれませんでした。ハーベイ博士、「ポールのことはあまり関係ないと思う。彼女のショックには他の原因があるのだ。それがどうも良く分からない、もう少し様子を見なければ」 意外と頼りにならない先生です(笑)。

 この後、どこぞへ出かけるヴィンセント。たぶんトランクに詰めて発送した元奥方の死体を始末に行ったのでしょうか。

 ヴィンセントの留守中、嵐の夜に事件が起こります。雷鳴に怯えたエドワード(ジョン・ダヴィッドソン)が部屋から逃げ出し、ジャネットの部屋へ侵入したのであります。エドワード、ジャネットに多大なる興味を示しまして(笑)ベッドの彼女をじっと見つめます。この気配に目を覚ましたジャネット、エドワードを見て凄まじい悲鳴。みんなが駆けつけてエドワードを部屋へ連れ戻したのでしたが可哀想にジャネット怯え切っております。これが原因となったのか、スティーブンス先生がジャネットに催眠治療を施すと「私人が殺されるところを見た」と喋り始めたのです。

 もっとも誰もジャネットの話を信じてはいません。このことを聞かされたポールでさえ「殺人を見たって、それ、妄想じゃないですか、治るどころか悪化しているじゃないですか」と憤慨するという・・・(笑)。

 この後新たなる展開、奥さんの死体がカンザスの近くで発見されたのであります。警察の発表ではその死因は崖から落ちて頭を打ったことによる事故死だそうで…。出張から戻ってきたヴィンセントに療養所の人々は口々にお悔やみを言うのでした。

戻ってくるなりエレノアと二人きりになったヴィンセント、彼女からエドワードの乱行が原因でジャネットが記憶を取り戻したことを聞いて真っ青になります。けれどエレノア、「安心してダーリン、スティーブンスは彼女の見た殺人を妄想だと思っている。もう大丈夫よ、この先ジャネットが何を言おうと誰も信じないわ。」

 しかし、彼らはポールのことを忘れていました。ポール、心配のあまりこっそりとジャネットの病室へ。そして彼女の手をやさしく握ります。「おお、ジャネット、早くよくなっておくれ」と語りかけますと、その願いが通じたのかぱっちりと目を開けるジャネットです。「ああ、ポールなのね、私一晩中待ってたのよ」「ジャネット、良かった、気がついたんだね」ところがここでヴィンセントとエレノアが乱入。「スチュワートさん、あなた、何をやっているのです。勝手に病室に入られては困ります」ジャネットは恐怖に目を見開いてヴィンセントを指差し「人殺し、人殺し、あなたは自分の奥さんを殺したのよ、蜀台でぼかりとやったのよ」ヴィンセント、大ショックです(笑)。

 ヴィンセントは慌ててポールを外へ連れ出します。そして「あれは奥さんの妄想です。よくある症状なんですよ、あんなのは」と言ってペニーという老婦人の患者に引き合わせるのです。そのペニーおばあさん、「先生、先生、スティーブンス先生にまた殺されそうになったんでございますよ、まったくここの人はみんな人殺しですわ」だって。ヴィンセントはポールに、「ほら、見たでしょ、奥さんも同じような妄想にかられているのです」驚いたポール、ヴィンセントの手をとって涙ながらに「僕の奥さんを助けてください、彼女を治してやってください、お願いします」と頼むのでした。

ジャネット、可哀想に完全にキチガ×にされちゃった。

 ジャネットの苦難は続きます。病室から抜け出して逃げ出そうとしたのですがスティーブンス先生に見つかってしまいました。彼に「ヴィンセントは人殺しです、警察を呼んでください」と訴えるのですが相手にされません。ヴィンセントはヴィンセントで自分の奥さんの死体が発見された死亡記事を見せ付けて「これによると死亡したのは約一週間前になってます、でもあなたはもう三週間も入院しているのだ、時間が合わないでしょうが、あなたは妄想を見ているのです、狂いかけているのです。治療が必要なのです」ジャネット、私はキチガイじゃない、妄想なんかじゃないと喚くのですが、どうにもならなかったのです。

 ヴィンセントとエレノア、このままジャネットを発狂したことにすれば万事大丈夫だとにやにや。

 ところがこの所業、天の神様は見逃さなかった。地方検事局からオニール(リード・ハーディ)という男がやってきたのです。彼はヴィンセントに面会を求めて「奥さんの友人だったハーウッド夫人が強盗にあいました。我々は強盗を捕らえたのですが、どうもこいつがあなたの奥さんをも襲ったらしいのです。殺された可能性もありますので、もう一度奥さんの遺体を調べさせて欲しいのです」裁判所の許可もついているのでヴィンセント、どうしようもありません。「はあ、いいですよ」と頷くしかなかったのです。そして果たせるかな、奥さんの遺体が再検死された結果、「奥さんは崖からずっこけて頭を打って死んだのではない、何者かに蜀台で殴り殺されたのだ」ということが判明してしまったのです。

 いよいよ焦ったヴィンセント、ついに彼はジャネットを亡き者にしようと決心します。インシュリン・ショック療法と称してインシュリンを注射、過剰投与であの世行きだと企んだのです。ヴィンセントは治療の許可を得るためにポールを呼び出します。ポールは躊躇ったのですが、何しろ、「今やらないと奥さんは完全なクルクルパーになってしまいますよ」と散々に驚かされるものですから(笑)やってくださいと言うほかなかったのです。そしてヴィンセントは早速インシュリン注射を開始します。注射と点滴で大量のインシュリンを投与されるジャネット。しかもその量は日に日に増やされていくのです。

 ここで更なる展開、「ヴィンセントの奥さんは他殺と断定、凶器は蜀台」という新聞記事が発表されたのです。これを読んだポール、「げぇっ、蜀台ってジャネットが言っていたとおりじゃん、彼女の言っていたことは本当だったのだ、彼女が危ない、助けなきゃ」彼はハーベイ博士に全てを話し、ヴィンセントの療養所へ同行を頼むのでした。

 一方、ヴィンセント、最後の決定的な瞬間を迎えようとします。さあ、あともう一本インシュリンを打てばジャネットは頓死だ。しかし、ここで唐突にヴィンセントの医者としての良心が目覚めてしまいました。彼は呆然と立ち尽くして「やっぱりできない、医者として、人間としてそれだけはやってはならんのだ」これに驚いたのがエレノアです。「ちょっとあんた、今更何を言っているのよ、もう引き返すことはできない、やらなきゃあたしたち破滅よ」「いや、ジャネットを助けるのだ、ええい、邪魔をするな」ヴィンセント、エレノアともみ合いになって、ああ、ヒデー、彼女を絞め殺しちゃった(大笑い)。

 この惨劇の直後、ポールとハーベイ博士が到着します。そしてポールは危機を逃れたジャネットと涙のご対面。一方、ヴィンセントはテープレコーダーに己の犯した罪を全て吹き込み、オニールに連行されたのでした。エンドマーク。

 ポールとジャネット、抱き合っているけど、部屋の片隅じゃエレノアの死体が転がっているのですがねー(笑)。

モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質は少なくとも暗い場面で何をやっているか分かるレベル。音声は歪みがなく台詞も聞き取りやすいものでした。13枚組みのDVDボックスセット50 Movie Pack: Drive-In Movie Classics の一本。Digital 1 StopのDVD。 

        エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『オペラ座の怪人』(『The Phantom of the Opera』 1962年) | トップページ | 『Nightmare』(1964年) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『Shock』(1946年):

« 『オペラ座の怪人』(『The Phantom of the Opera』 1962年) | トップページ | 『Nightmare』(1964年) »