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2007年8月30日 (木)

『エド・ウッドのX博士の復讐』(『The Revenge of Dr. X』 1970年)

 

『エド・ウッドのX博士の復讐』(『The Revenge of Dr. X』 1970年)

 あのエド・ウッドが脚本を担当したという曰くつきの作品。そして製作は『双頭の殺人鬼』のケネス・G・クレインという豪華な組み合わせであります。実際、この組み合わせの効果は素晴らしく、日本を舞台にした珍妙きわまる映画ができることになったのであります。

ここはケープカナベラル、NASAのロケット打ち上げ基地であります。そのオフィスでなにやら喚きたてている人物が一人。本作の主人公、NASAのロケット打ち上げ最高責任者のブレーガン博士(ジェームズ・クレイグ)であります。彼は電話を取っちゃ「何、100マイル南で大嵐発生だと、まったくどこのどいつがフロリダに打ち上げ基地を作ろうなんて考えたんだ」またリーンと電話が鳴って「なになに、嵐が逸れそうだと、よし、この機会を逃さず打ち上げるのだ」

 でも部下のショーン博士とスターリン博士がやってきて「ブレーガン博士、ロケットの軌道計算に間違いがありました」だって。がっかりするブレーガン博士、「ロケット打ち上げがやっと済んでほっとしたばかりなのに、なんで今頃そんなこと言い出すんだよう、きいいいい」とうとう博士、頭を抱えてぶっ倒れてしまいました。この博士、仕事熱心なあまりに5年間も働き詰めで今やその肉体的・精神的疲労は頂点に達しようとしていたのです。彼に今一番必要なのは休息でした。

 ここでブレーガンの日本人助手、ポ-ル・ナカムラ(ジェームス・ヤギ)が世界一余計なアドヴァイス。「博士、夏の間、私の故郷の日本に旅行されては如何です。この時期の日本はとても素晴らしいですよ。フジヤマ、スキヤキ、ゲイシャガール、お茶もあります、お菓子もあります、是非お出かけなさいませ」実はブレーガン博士、植物の研究のため日本渡航を計画していたところ、戦争の勃発によって断念したという過去がありまして、「うむ、そうだ、私は今度こそ日本に行ってついでに植物を研究してみよう」ということになったのでした。

 とんとんと休暇の計画が立てられてブレーガン博士、ポールに見送られて車で出発。あ、この建物、どう見ても日本の役所かなんかだぞ、鉄筋コンクリートの壁に「NASA」って看板が貼り付けてあるだけだぞ、これは酷いなあ(笑)。

 空港に向けて車を走らせるブレーガン博士って、この道路もどうみたって日本です。道路わきでススキが揺れています(笑)。と、突然車の調子が悪くなりました。ブレーガン博士、どう見たって日本の牧場か何かの建物に「GAS」という手書きの看板をつけただけのガソリンスタンドに立ち寄り修理を依頼します。このガソリンスタンドの主人がこれまたヘンな人でいきなり両手に蛇を一匹ずつもってうへへと笑っている。そしてブレーガンにやたらに「旦那蛇持っていかないかね、ただにしとくよ」と勧めるのでした。

 辟易して蛇を断るブレーガン、しかし彼の目はガソリンスタンドに置いてあった別のものにひきつけられます。それは食虫植物のハエトリソウでした。博士は主人に「こ、このハエトリソウなら貰うよ」「このハエトリソウはいかん、まだ小さいからな、でも欲しけりゃここの裏山に一杯生えていから自分で取ってきな」博士、店主からスコップを借りて裏山で食虫植物をざっくざく。大き目の奴を採取することに成功したのであります。博士、このハエトリソウと共に旅客機で日本へ向ったのでした。

 スコップでハエトリソウをざっくざく掘っているNASAのロケット打ち上げ責任者。いいたかないけど、やっぱりなんじゃ、こりゃですな。

 さて、日本へ到着したブレーガン。おお、ちゃんと旅客機のタラップから彼が降りてくる絵を撮影しているぞ(笑)。その彼を向かえたのがキモノを着た美女、ノリコ・ナカムラでした。ポールの従兄弟である彼女は彼からブレーガン博士のガイドを仰せつかっていたのです。「博士、軽井沢に温室つきのホテルがございますわ、客が来なくて一年間放ったらかしですけど、そこなら静かに研究ができますわよ」まさに至れり尽くせりのガイド、しかもこのガイドはとびっきりの美女だ。すっかり上機嫌になったブレーガン博士、車で彼女と共に軽井沢のホテルへ向かうのです。

 ちなみにこの軽井沢、道は未舗装ででっこぼこ。がけ崩れも起こります。おまけに浅間山がどかーんと爆発しておりまして、そんな軽井沢があるかという風情でございます(笑)。ノリコによればこの道路事情と火山のせいで客が来なくなったのだとか。そんなとこ、案内するなよと思いますけれども。

 ようやくホテルに到着します。しかし中に入ろうとしたらいきなり屋根の上から瓦が落ちてきた。ここで働いているせむし男カワイさんが屋根を修理していてうっかり落っことしてしまったのでした。カワイさんは博士とノリコに頭を下げて「どーもすいませーん」改めて中に入りますと今度は不気味な音楽。なんだと思ったらさっきのカワイさんがパイプオルガンを弾いていたという・・・。このつまらないギャグは無視して先へ進みましょう。ひとわたりホテルの中を案内して貰った博士、「うん、今日は疲れたのでこれで寝るとしよう」あ、本当に寝てしまいやがった(笑)。

 翌日、博士はノリコに温室を見せて貰います。「うむ、これなら十分だ、研究に使えるぞ」休暇で来たのだからもうちょっとのんびりすればいいのに博士は大張り切り。温室の中でごそごそやったり、夜中にノリコの目を盗んでどこかへ出かけたり、ハエトリソウの箱を何が入っているのかしらと覗こうとしたノリコに「このアマ、それに触るな、殺すぞ」と怒鳴りつけたり、このホテルの番犬に吠えられたりいろいろやっております。

  ついにたまらなくなって博士が何をしようとしているのか尋ねるノリコ。「私はあなたの助手です。でも研究の内容が分からなければ手伝いのしようがありません」博士、ノリコにあのハエトリソウをしぶしぶ見せます(笑)。「みたまえ、これは食虫植物、学名ディエニア・マシュビラ、いわゆるハエトリソウだ。こいつは植物でありながら虫を食べる。獲物になる虫を見分けることのできる賢さもある。これがもしかしたら私たち人間を含めた地球の全生命の起源かも知れない」んなことない、ない(笑)。

 よく分からないけれどもとにかく食虫植物を研究するのねと自分を無理やり納得させるノリコです。

 しかし博士はもっと別なことを考えているようで嵐の夜に温室へ出かけていってハエトリソウにこんなことを話しかけております。「お前は自分のことを人間だと思っているだろう、しかし人間は弱い、もっと強くならなければいかん。お前の母は土だ。お前の父は雷だ、分かったな」分かりませんよ(笑)。台詞の前半と後半がまったく繋がっていません。さすがにエド・ウッド脚本だけのことはあります。

 そして博士はノリコにこんなことを。「海中にもハエトリソウのような食虫植物がいる。べシュキュローサというのだ。私はこれとハエトリソウを掛け合わせてどんな進化をするのか見てみたいのだ」二人は千葉の海岸へ行き、海中へ潜ってべシュキュローサを探すのでした。二人は急速に仲良くなっておりまして博士は「この仕事が終わったら君との将来を考えなくちゃな」だって。ノリコも満更ではなさそう。でも肝心のべシュキュローサは見つかりません。これが見つからなければ二人の将来もへったくれもありません。ノリコは博士に「海女に探して貰いましょうよ」と提案するのでした。

ノリコの提案に「うん、そのアイデア頂き。でも海女さんってどこにいるんだい」ノリコ、破顔一笑、「海女さんならこの海岸にいるわよ」どうにも都合の良いことで(笑)。ノリコ、さっそく近くの海岸に本当にいた海女さんたちに声をかけます。「ねえねえ、あなたたち、この辺でへんな海草みなかった?なにかイソギンチャクみたいなもの」「それなら沖の岩礁のところで見ましたわよ」と海女さんの一人が教えてくれます。博士とノリコ、さっそく海中に飛び込んで見事べシュキュローサを手に入れたのでありました。これを棺桶みたいな水槽に入れて軽井沢の温室へ運び込んだのであります。

 この海女さんたち、おっぱい丸出し。昭和初期ではあるまいし、いくらなんでもこの時代に海女さんたちが胸をホッポリ出していたとは思えません。これはお父さんたちへのサービスシーンと考えるべきでしょう。

 さあ、ブレーガン張り切るまいことか。「私はハエトリソウとべシュキュローサを交配して新しい生物を創造するのだ。人間でも植物でもない、そう、さしずめ人間植物だ、ワハハハハ」って訳がわかんねえ。ハエトリソウもべシュキュローサも食虫植物で、人間は関係ないっての。しかもその交配の方法というのがべシュキュローサの根のあたりをちょん切ってハエトリソウの茎に縫い付けるというもの。どうやら交配の意味を思いっきり誤解しているようです(笑)。この時ブレーガン、うっかりメスで自分の手を切ってしまいます。これが後から起こる恐ろしい出来事の伏線に・・・、いや、これがちょっと微妙なのですよ(笑)。

 交配というか手術が終わったハエトリソウなんだかべシュキュローサなんだかはっきりしない植物、博士はこれを滑車で釣り上げて落雷に晒します。「ぬはははは、父なる雷よ、もっともっとパワーをくれ!」翌日、ハエトリソウなんだかべシュキュローサなんだかはっきりしない植物はかけられたカバーの下でもぞもぞ。博士、大喜びで「イッツ・アライブ!イッツ・アライブ!」と叫ぶという。もうフランケンシュタインの真似はいいから。とっととこの植物が蘇って元が食虫植物なのだから人を襲うとかそういう風になっていいから。私、正直言ってこの映画に飽きてきてしまったのです。

 この後ようやくカバーが外され頭はべシュキュローサ、手足の先がハエトリソウになっている不気味な生物が公開されます。なんかショッカーが作りそうな安っぽい怪物で「ハエトリゾーン」とでも名づけましょうか(笑)。さあ、これからこいつが大暴れするのかなと私はわくわくしたのですが…。

 しかし、私のこの切なる願いは適えられそうもありません。この後もあまりに不眠不休で実験を続けるブレーガンを心配してノリコが説教したり、ブレーガンがその説教に激怒したり、でも後から思い直してノリコに謝ったり、その後体調を崩したブレーガンが温室でぶっ倒れたりとつまらない人間ドラマがもう延々と続くのであります。

 これがようやく終わってようやくハエトリゾーン(笑)の出番。ハエトリゾーン、博士があんなに大切にしていたのに次第に元気を失いとうとう枯れてしまったのでした。がっかりするブレーガン。「もう一度やりなおしたらいいじゃないですか」というノリコの言葉に首を振って「いや、私は一ヶ月でアメリカに戻らなくてはならない。やり直す時間はないのだ」彼らがこんな会話をしている時、温室では恐ろしい事件が起こっていました。枯れたと思われたハエトリゾーン(笑)近くに寄ってきた子犬をパクリ。食っちゃったのです。

 これでハエトリゾーン(笑)元気もりもり。狂喜するブレーガンであります。この事件でハエトリゾーン(笑)には生きた餌が必要なのだとわかった博士、ノリコやせむしの従者カワイさんを温室から追い出してウサギだのネズミだのを食わせたのです。ますます元気になるハエトリゾーン(笑)。

 続いて博士はハエトリゾーン(笑)を歩かせたいというろくでもない欲望を抱きます。「体を動かすためには心臓が必要だ。そうだ、人の血を与えればハエトリゾーン(笑)に心臓ができるのに違いない」ってなんでやねん!この訳の分からん理屈にしたがって注射器片手に浅間山療養所へ忍び込む博士。入院中の女患者のパジャマをめくってオッパイだすと注射器をぐさっ。血を取ったのです。刺された瞬間、びくっとする患者、採血が終わるとそのままぐったりとなります。これは血を採られて死んだということなのですかねえ。あんな量じゃ普通死にませんけどねえ。

 それに注射器一本分の血なら自分のを使えばいいんだ(笑)。髄液とかそんな特殊なものじゃないのだから、何もそんな危険を冒して療養所に忍び込むことはないだろ!

 博士はさっそくその血をハエトリゾーン(笑)に注射。どっくんどっくん心臓の鼓動が聞こえてきてハエトリゾーン(笑)、ますます元気になるのでした。勢いあまってせむしのカワイさんを食べようとしたりします。

 博士、この頃から怪我をした左手に黒い手袋をはめるようになっています。ノリコに「どうしたのですか」と聞かれても「いや、なんでもない」と答えるばかり。そんななんでもないはずがない。博士、その左手をネズミのケージに突っ込んでもぞもぞさせたりしているのです。これは良く分からないけれども左手の傷口からハエトリゾーン(笑)の菌みたいなのが入って食虫植物化した、だからネズミを左手に食わせていたのだということなのでしょうか。

 さて、皆様、お待たせしました。いよいよハエトリゾーン(笑)の大活躍が始まりますよ。ハエトリゾーン(笑)は頭のてっぺんから怪しい気体を放出、ブレーガンとノリコを眠らせてしまうのです。そしてその隙にのっしのっしと歩き出し近くの村へ。そして小さな女の子と牛を引いていた男の二人をぱっくりやっちゃったのでした。これで村は大パニック。放っておいちゃならねえということで男達が松明を持って山狩りを始めるのです。

 この時になってようやく目覚めるブレーガンとノリコ。二人は村が襲われたという知らせを聞いて愕然となります。ブレーガンは「残念だがあいつを始末しなければならない。始末するのはあいつを創造した私の役目だ」と言いましてノリコを村へ残し単身、ハエトリゾーン(笑)の捜索に出かけます。囮のヤギを抱えて「おーい、ハエトリゾーン(笑)、出てこいよう、羊だぞう、うまいぞう」ついてくるなと言われたノリコですが博士を心配するあまりこっそり後をつけております。「おーい、ハエトリゾーン(笑)、出て来いったら」この辺から博士の口調が微妙に変わりまして「ハエトリゾーン(笑)、二人で一緒に逃げようよう」ノリコ、はっとします。また露になった彼の右手には緑のアザが。やっぱりハエトリゾーン(笑)の菌に冒されていたのだって、手袋はめていたのは左手だったんですけどねえ(大笑い)。

 なおも叫ぶブレーガン。「おーい、ハエトリゾーン(笑)、二人で誰も私たちのことを知らないようなところへ逃げよう、そして二人で静かに暮らすのだ」ってなんじゃそりゃ(笑)。こっそりついてきていたノリコもこれを聞いて呆れ顔。ついにハエトリゾーン(笑)が姿を現します。「あ、おい、駄目だよ、二人で逃げるんだから、なに、そんな迫ってくるんだよ」博士あせります。「すぐそこ、崖になっているったら、危ないよ、ちょっとよせ、よせったらアーッ!」ハエトリゾーン(笑)と博士もみ合って崖下へ転落してしまったのです。そして何故か映る溶岩流。これはなんですかね、ハエトリゾーン(笑)と博士は溶岩の中に落ちたということなのですかね。まあ、どうでもいいですけど。

 エンドマーク。ああ、ようやく終わった。

ハエトリゾーン(笑)がもっと活躍してくれればそれなりに面白い映画になったのでしょうが(本気)、とにかく途中の人間ドラマがかったるい。こんな映画だからそんなもんいらん、さっさとハエトリゾーン(笑)出せと言いたくなるのです。

カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はペケ。カラーノイズが酷く残像も発生します。音質も誉められたものではなし。780円のDVDとはいえ、もうちょっと頑張って欲しかった。国内盤 日本語字幕付。レトロムービーコレクション 有限会社フォワードのDVD

 エロの冒険者

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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