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2007年9月 1日 (土)

『サント対ドクター・デス』(『Santo contra el Dr. Muerte』1973年)

 

『サント対ドクター・デス』(『Santo contra el Dr. Muerte1973年)

 

 今回のサント映画の悪役は巧妙な手口で貴重なる絵画を我が物にせんとする教授。狙うのは絵画なのですが、何故かやっぱり女が手術台に縛り付けられて内臓?を摘出されてしまう。これ、これ、こういう場面が見たくって私はサント映画を集めているのです。

 このDVDはスペイン語音声のみ、英語音声・英語字幕は収録されておりません。私はまったくスペイン語が分かりませんので、この映画はいつもと違ってどこかの奇特な方が作って下さっているサント映画のストーリー解説サイト(英語)を参考にこのレビューをでっちあげております。だから実際の映画を誤解しているところもあるかも知れませんが、その辺はどうぞ、この事情を鑑みてご容赦くださるようお願いいたします。

 平たく言うと、「元から大した映画じゃないんだから、細かいことをグチグチ言うな、コノヤロー」ということでございますね。

深夜の美術館に忍び込む者あり。警備員の目を盗んでエレベーターシャフトをえっちらとよじ登り屋上へ。そして007ばりに滑車とロープを使って美術館の展示室に入り込んだのであります。そして彼は懐から小さなスプレーを取り出すとヴェラスケスの「Los borrachos (酔っ払い)」にぷしゅー。警備員にまったく気づかれないまま逃走します。翌日、展示を終えた絵は所有者のスペインの美術館へ空輸されるのでした。ここでタイトル、オープニングクレジット。

 無事にスペインの美術館に運び込まれた絵。しかし梱包を解いた美術館のスタッフ達はびっくり仰天。なんとあの侵入者がスプレーをかけたと思しき部分が無残に変色していたからであります。スタッフ達はやいのやいの相談したあげく一流の絵画修復家のマン博士(ジョルジ・デガード)に修復を依頼することになりました。

 ここであなたの目はあなたの体を離れてメキシコへ戻ります。そこで見るのは決まってます。我らが英雄、サントの試合ですよ。タッグマッチであっという間に相手チームをやっつけてしまうサント。さすが我らが英雄、強い、強い。さて、試合を終えて控え室でくつろぐサント。彼をマッサージしているのは御馴染み、カルロス・スアレズ(笑)。しかし今作での彼の役どころはサントの従者カリートではなく、単なるマネージャー(しかも名前なし)のようです。ややこしいことであります。

 ここに尋ねてきたのがインターポールの捜査官(笑)。彼はサントがスペインのマドリードでの試合を控えていることを知っておりまして、そのついでにスペインで起きているモデル失踪事件について調べてくれないかというのです。「ようがす、あっしにまかせておくんなせえ」いつもの通り頼もしく胸を叩くサントであります。ところが隣室で聴診器を壁に当てて盗み聞きしているものあり。係員を惨殺して侵入した男がサントたちの話を聞いていたのです。そして彼はサントが乗り出したという情報を無線でどこぞに知らせます。

 その知らせを受け取ったのはああ、なんということでしょう、先ほど美術館より絵画の修復を依頼されたマン博士ではありませんか。彼は一流の修復家を気取りながらその実、なんだか良く分からないけれども国際的犯罪組織のボスだったのであります。彼の自宅である城の地下にはモデルの女達がたくさん監禁されておりまして、あ、目つきの悪い博士の部下が一人の女をクロロフォルムで気絶させたぞ。そのまま手術室に連れ込んでマン博士自らメスをとって女の体から何か肉腫のようなものを取り出したのです。女は当然ながら死亡。その死体は博士の助手のサラ(ヘルガ・ライン)の手によって濃硫酸のプールに投げ込まれてしまいます。ぶくぶくと泡をたてて溶けてしまう死体。うわあ(笑)。

 この肉腫のようなものを使って博士は特殊な液体を作ります。これをプレスの機械に塗りつけてスペイン美術館から修復のためにもってきていたヴェラスケスの「酔っ払い」をぱちんと挟みますと、あら、不思議、そっくりなコピーが出来ちゃった。ははあ、なるほど、博士はこうやってコピーをつくり、それを美術館側に戻していたのです。そしてオリジナルは自分ががめてしまうという・・・。自分の部下を使って絵画を損傷させ、それを修復するといってはコピーを作りオリジナルを我が物とする、これぞ究極のマッチポンプ(笑)。サント映画らしからぬ知能犯・・・かなあ。

 さてスペインの空港に到着したサント。早くも博士の部下に後をつけられております。トイレに入ったサントを追いかけた部下、大便ブースのドアの下からサントの靴がのぞいているのを発見、ピストルを乱射します。しかしこれはサントの罠でした。サントは自分の靴だけを置いてあたかも今排便中であるかのように見せかけたのであります。部下に襲いかかったサント、彼をぼこぼこにします。しかしサント、靴を罠に使ったということは靴下だけでトイレの中にいたってことか、英雄も何かと大変ですなあ。

このトイレの床が綺麗に掃除されていたことを願ってやみません(笑)。

 事件に当たるのはサント一人ではありません。やはりインターポールのエージェント ポール(カルロス・ロメオ・マーチャント)が彼を手伝うことになっております。ホテルでポールと合流したサント、「へへへ、大仕事の前にまあ一杯。え、酒がお好きですかって、いやあ、もう浴びるほうで」ウィスキーをグラスに注いだところでいきなりピストルの弾が飛んできます。マン博士の部下が襲ってきたのです。45人の部下がピストルやマシンガンで襲ってくる、フツーならあっという間にやられてしまう筈ですが、そこはさすがサント。ポールと協力してたちまちのうちに皆殺しにしてしまったのであります。

 再び行われるサントの試合。サントのベルトをかけてのタイトルマッチであります。挑戦者はスペインのブラリオ・ベルツ。試合前に握手なんかしちゃって終始クリーンなファイト。サントはやはり強く一本目をキャメルクラッチ、二本目をオクトパスホールドでとってあっさり勝利を収めたのでした。

 試合が済んだら今度はインターポールの仕事ということでポールとサント、車でマン博士の城へ向かいます。しかし途中で待ち伏せていた博士の部下達、いきなりトラックで彼らの行く手を塞いだのです。「うわあ、危ねえ、なんてことをしやがる」サントはハンドルをぐいと捻ります。そのまま道路を飛び出して崖下に転落、ぼうと火が出てサントとポールはあえなく焼死、エンドマークということにはもちろんなりませんで(笑)急斜面をぶんぶん駆け下った挙句、なんとか道路に戻ったのでした。

 マン博士の城に到着した二人は彼から直接話を聞くのですが敵もさる者、ひっかくもの、当たり障りの無い会話に終始して尻尾をだしません。ポールが城にいたモデルのエスター(マリベル・ヒダルゴ)から「友人のモデルがマン博士の仕事をやった後に行方不明になっちゃったの」という話を聞きだしたのが唯一の収穫でした。

 サントとポールが引き上げた後、地下室へ降りていく博士、ボタンを押すと壁がぐーっとスライドして彼の自慢のコレクションが現れます。ヴェラスケス、マネ、ドガ、ゴーギャン、わあ、「モナリザ」まであるぞ。博士、にやにやしながら、「これらは全て私のものだ、そして他の絵もいずれ私のものにしてやる、ワハハハハ」壮大なる野望であります。

場面は変わってここは空港。到着した美女を迎えるポールです。実はこの美女、インターポールの女エージェント、スザンヌ(ミルタ・ミラー)なのでありました。サントのホテルへ行って三人で捜査の打ち合わせ。その結果、スザンヌがマン博士のところへモデルとして雇われ、中から様子を探ることになるのです。そのスザンヌをあっさりと雇いいれるマン博士。そりゃあ、モデルをあんなことに使いまわしていたらモデル不足になるでしょうからなあ。あまり詳しく身元を調べたりする余裕はないでしょうなあ(笑)。

 スザンヌはエスターと同じ部屋になります。しかしその部屋にはしっかり隠しマイクが取り付けてありまして、目ざとくこれを見つけたスザンヌ、エスターにこっそり教えて協力を仰ぐのであります。そしてさっそくその夜から捜査を開始するスザンヌ。こっそり部屋を出てうろうろ歩き回ります。歩き回るうちに地下への入り口を見つけて入ってみますと、ドアが三つある。そのドアのそばにいかにも引っ張ってごらんなさいといわんばかりに鉄の輪がついているのが大変ヨロシイ(笑)。スザンヌ、その輪をひっぱります。するとドアがぎーっと開くのでした。どんどん進んでいくと、あ、これは博士達が絵のコピーを作っていた部屋ではありませんか。たくさんある奇妙な機械を見つめるスザンヌって、フツー、こんな部屋見張りたてるとか鍵掛けるとかしないかね。次にスザンヌは博士の書斎に侵入、あれこれ調べ始めたのですが・・・、唐突にマン博士が入ってきて「君は一体全体何をしとるのかね、こんなところで」さらにこつこつという杖の音がして博士の部下ピーター(アントニオ・ピカ)もやってまいります。この人は可哀想に目が不自由なのですがこれがどっこい、見えないフリをしているだけというおかしな人。だって、この設定全然役に立たないのですから。

 さあ、スザンヌ、絶対のピンチかと思われたのですが、「あ、あたし、トイレ探してたら迷っちゃったんです、もうあたしってばドジなんだから、じゃあおやすみなさい」強引に部屋へ戻っちゃった。なんとかごまかしたと胸をなでおろすスザンヌですが彼女を見送った博士とピーターは顔を見合わせてにやり。もう彼女の正体はばれているようですね。

 ここで映画の流れを見事にぶった切って三度目のサントの試合。今度の相手は覆面レスラー。サントと覆面を掛けて戦うという所謂マスカラ・コントラ・マスカラ、「覆面剥ぎデスマッチ」という奴です。覆面レスラーは卑怯な手を使ってサントを苦しめるのですが、そんなことでくじけるサントではありません。隙をついて相手をバックドロップ、見事一本目を先取します。二本目もサントが優勢、覆面レスラーを場外に叩き落してしまうのです。ところがここで何者かが覆面レスラーに凶器を手渡した。ああ、あれはナイフだ、そんなんもう凶器じゃねー、殺人だ、殺人だと大騒ぎの観衆。しかしさすがは我らのサント、覆面レスラーを蹴りで倒すと、ナイフを持った右手を集中攻撃。「こいつ、放せ、放せ、やいやさしく言っているうちに放しなよ!」がすがす手を踏みつけてついにナイフを奪ったのです。さあ、後は簡単、戦意を失った相手をフォールしてサント、見事な勝利を収めたのです。

ナイフを渡したのは当然ながらマン博士の部下…と思ったらこの件はこれっきりになってしまいます。本当にいい加減です(笑)。


 さて、スザンヌの活躍は続きます。車のトランクに隠されている無線機を使ってサントとポールに連絡します。そしてピーターを散歩に連れ出して彼が本当に目が見えないのか確かめようとします。わざと彼を誘導して垂れ下がった木の枝に衝突させたり(笑)コンパクトの鏡で光を反射させて目に当てたりいろいろやります。そんなシウチを受けてもまばたきすらしないピーター役のアントニオ、本当にごくろうさんです(笑)。

 しかし上手く行っていると思っていたのはスザンヌ一人。マン博士とピーター、件の無線機をあっさりと見つけてしまいます。そんなこととは露知らず、スザンヌはエスターを連れて再び城の中を調べようとしたのですが、ちゃーんとモニターで見張られていました。マン博士、「ふふふ、馬鹿な奴らだ」スイッチをカチッ、壁がスライドして二人は閉じ込められてしまいました。同時に壁からシューッとガスが噴出してきて、意識を失ってしまったのであります。

 意識を取り戻したスザンヌ、自分が木のベッドに縛り付けられているのが分かって愕然となります。そこへにやにやしながらやってきたのがピーター。「やっぱりあんた、見えるんじゃない」と叫ぶスザンヌ。ほらね、目が見えないフリをしているという設定、本当に役に立ってないでしょ(笑)。ピーターは「やかましい、よくも鏡ぴかぴかさせやがったな、あれは本当に眩しかったんだぞ、おかげで今でも目をつぶるとうっすら明るい点が見えて夜眠れないのだ」その恨みはらさでおくべきか。ピーターは蠍の入ったガラス瓶をスザンヌの顔に近づけて「ほうら、ほうら、蠍だ、蠍だ、顔に乗せちゃうぞ」「ヒーッ」絶叫するスザンヌ。「だったらきりきり白状せんかい、一体お前は何者なのだ」白状する前にスザンヌ、あまりの恐怖に失神してしまったという・・・。結局正体を聞き出すことはできませんでしたとさ。

 その代わりといってはなんですが、地下の監禁場所から連れ出されたエスター、例の手術をされて殺されてしまいます。その死体はまたサラの手によって濃硫酸のプールにどぼんと投げ込まれて溶かされてしまいました。

 さあ、スザンヌから連絡が途絶えた。「彼女に何かあったのだ、ポールの旦那、急ぎやしょう」ということでサントとポールようやく出動です。彼らはロープを使って城の外壁をよじ登り無事潜入に成功・・・と思われたのですが、やっぱり博士たちにモニターで監視されていたのです。スザンヌとエスターと同じように動く壁で閉じ込められてしまうサントとポール、そして麻酔ガスが噴出します。しかし、そこはサント、壁が閉まりきる寸前に脱出に成功。襲ってきた博士の部下をぼこぼこにして「やい、壁を開けるスイッチはどこだ」部下に案内させたサント、装置を見つけましてスイッチをカチッ、ポールを助け出します。

 しかし、すぐにピーターに捕まってしまうポール。彼はあのコピー制作室へ連れていかれます。そしてサラが彼を濃硫酸のプールに投げ込もうとしたのですが、そうは問屋が卸さない。後ろ手に縛られているのにも関わらず暴れだしたポール、ひるむサラに激しいキック。「ヒーッ」サラは逆に濃硫酸のプールにじゃぼーん、ぶくぶくと溶けてしまうのでした。ここでサントがドアをブチ破って飛び込んできます。あまりの勢いにドアが吹っ飛び白煙が立ち込めるという物凄さ。火薬の使いすぎですよ(笑)。

 サント、マン博士に「この悪行、天は見逃してもこのサントさまがゆるさねえ」と叫んで殴る蹴るの暴行。顔面を朱に染めてぶっ倒れる博士!そしてポールの戒めを解いたサント、逃げ出したピーターを追うのでした。そのピーター、洞窟の中を逃げ回りながら壁についているスイッチをやたらに押しております。そのたびにサントを襲う落下する岩、床から燃え上がる炎、壁から飛び出す矢、マシンガン、おお、凝っておりますな。この死の罠をなんとか潜り抜けるサント。さすがですなあ、凡百のキャラクターならあっという間に岩に押しつぶされたり、黒こげになったり矢やマシンガンで穴だらけにされたりしますからなあ。

 さて、ピーターは海岸に出ます。そして桟橋に止めてあったモーターボートで海上へ逃走するのでした。これを見たサント、崖の上からためらうことなく海にダイビング。いかにもこれを使いなさいとばかりに係留してあったもう1台のモーターボートで後を追うのです。

 逃げるピーター、追うサント。ピーターは拳銃を取り出すとサントのボートに向けてずどん、ずどん。エンジンに見事命中させたのです。たちまちストップするサントのボート。ああ、稀代の悪漢の部下(笑)、ピーターはこのまま逃げおおせてしまうのでしょうか。

フツー、こういう逃げ方をするのはボスのマン博士の方じゃないかと思うのですがねえ。

 しかしここでポールが呼んだヘリコプターが飛んできた。縄梯子でサントを拾い上げ、ピーターのボートへ迫ります。タイミングを見計らってジャンプするサント、ピーターの船に飛び移ったのです。たちまち巻き起こるサントとピーターの死闘。あ、危ない、モーターボートは崖に向ってまっしぐらだ、サント、絶体絶命のピンチか。サントの放ったパンチを受けたピーターは失神。サントは寸前のところで海に飛び込んだのです。そのままピーターを乗せたままのボートは崖に激突して大爆発。

 海に飛び込んだサント、立ち泳ぎしながら「やれやれ、危ないところだったぜ」 しかしなんですな、海で覆面レスラーが立ち泳ぎ、正直なところを言わせて貰うと、うん、やっぱりこれは怖いですよ(笑)。

 ラスト、帰国の途に着くサントとカルロス・スアレズ。飛行機に乗り込む彼らを見送るポールとスザンヌ。エンドマークです。

絵画をニセモノと交換するアイデアは良かったのですが(本気)、何も女の内臓を使ってコピー作ることはないと思います。城の地下室にわんさとモデルを閉じ込めているという設定も羨ましすぎ(笑)。

カラー・スタンダード モノラル音声 画質は色が滲んでいます。発色や黒の沈みが良いだけにこれは残念。スペイン語音声はちょっと歪んでおりあまり聞いていて心地よいものではありません。I.M. RecordsDVD

 エロの冒険者

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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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