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2007年10月29日 (月)

『執念のミイラ(『Mummy's Ghost』 1944年)

 

『執念のミイラ(『Mummy's Ghost』 1944年)

ユニバーサルのミイラ・シリーズ第四作。最初の頃の格調高さはどこへやら。単なるエジプトから怪人がアメリカの田舎町にやってきて、ミイラを使って悪さする映画に成り果ててしまいました。ヒロインの扱いも酷くて、悪趣味な私は大喜びです(笑)。ホラー映画なのですから、へんな格調の高さなんかいりません。このくらいが調度いいのであります。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

ところはエジプト、スフィンクスのあるところ、無残に破壊された神殿の中に一人の男が入っていきます。神殿で彼を迎えたのがエジプトの高僧、アンドゥハブ(ジョージ・ザッコ)であります・・・ってこの人はまだ生きていたんかいの(笑)。彼はぷるぷる全身を小刻みに震わせながら男をいぶかしげに見つめて「はて、あなたさんはどこのどなたじゃったろう」いきなり大ボケかまします。ずっこけた若い男は「何、言ってるんですか。私はアブドゥル・メリックの息子のユセフ・ベイ(ジョン・キャラダイン)ですよ。あなたがなにやら任務を授けるといって私を呼び出したのではないですか」

 アンドゥハブ、頭をかいて「いやー、すまん、すまん、最近物忘れが酷くての、往生しておるのだ。では改めてお前の任務について説明しよう。それはアメリカに奪われた王女アナンカとカリスを連れ戻すことじゃ。王女に正しい安息場所に戻っていただくのじゃ。アナンカとカリスの関係は」「あ、あれでしょ、アナンカは神の生贄になることが決まっていたのにカリスとできちゃったんでしょ、それで彼女の魂が永遠に呪われてしまったんですよね。カリスは罰として生きたまま彼女の側に埋葬されちゃったんです。おれ、映画見たから知っているんです」アンドゥハブは苦り切って「そういう賢しらげなギャグはもうよろしい。とっととアメリカへ行け。そして満月の夜に9枚のタナの葉を蒸留させるのじゃ。さすればその煙に惹かれてカリスが現れるであろう」

 前作のラストでミイラは炎に包まれて滅びたはずなのですが・・・。

 さあ、一転して場面はアメリカの田舎町メイプルトンへと移ります。ここの大学で過去に起こったミイラ騒動について講義しているのがマシュー・ノーマン教授(フランク・レイチャー)であります。「アナンカ王女のミイラを追って神アラカムの信徒がアメリカに来た。そして彼はミイラの怪物を伴っていたのだ。この怪物に元探検隊のメンバーは全員殺されてしまったのだよ」学生たちは半信半疑。口々に「ミイラって本物だったんスか、誰かが着ぐるみ被っていたんじゃないですか」と質問するのですが、教授は首を振って「間違いなく本物だった。私はこの目で見たのだ。他にも目撃者は100人以上いたのだ。そしてあの怪物はタナの葉という特殊な植物によって操られていたらしい」

 講義が終わって外へ出る学生たち。さっき教授に「ミイラって本物なんスか」と聞いた学生トム・ハーベイ(ロバート・ローリー)はさっそく恋人アミーナ(ラムゼイ・エイセス)のところへ。エジプト人である彼女に「さっき、ミイラ男の話を聞いたんだ。あれって、本当かい」と話しますとアミーナの様子が急変。真っ青となって「ああ、トム、ミイラの話はしないで。何だかよく分からないけど、その言葉を聞くと気分が悪くなるの」ああ、この人がひょっとしたら王女アナンカのあれですか。

 トム、ピーナッツという名前の小型犬を飼っておりまして、これをどこでも連れていくという・・・。この犬がまたわんわんわんわん鳴きやがって五月蝿いったらありゃしないんだ。

 その夜、自宅の研究室で宝箱の表面に書かれたエジプト文字の解読にやっきとなっているノーマン教授。「そうか、分かったぞ、中に入っているタナの葉を満月の夜に茹でろということなのだな」彼は止せばいいのにお鍋とランプの用意、あらあら、そんなもの用意してカップラーメンでも食べようというんですの?でも夜遅くに食べると体に毒ですよ、明日にしませんかと言って来た奥さんも「満月の夜じゃないと駄目なの。満月は今夜だけなの」と追い返してしまいました。そしてタナの葉と水(でしょうな)を入れた容器を火に掛けたのです。容器から立ち上る煙・・・。ノーマンはそれをじっと見つめております。

 さあ、観客の期待通りこの煙に惹かれてミイラ登場。ミイラはまっすぐ教授の家へ。同じ頃自宅のベッドで寝ていたアミーナも起き出し、もうとうとした意識のままでやはりノーマンの家を目指して歩き出したのです。ミイラは遠慮もへったくれもなく、教授の家へ侵入。教授をむんずと捕らまえて絞め殺してしまいます。そしてぐつぐつ煮え立っているタナの葉のスープ(笑)を一気飲み。そして再び夜の闇に消えていったのでありました。調度、この時アミーナは家から出てくるミイラを目撃して、失神してしまいます。

 さあ、翌日大学は大騒ぎ。何しろ教授が殺されてその家のすぐそばで女子学生が見つかったのです。家の中に残されていた包帯のきれっぱし、土くれで直接の殺害犯人はミイラだと判明したのですが、それでも彼女はミイラに何か関係があるのかと疑われてしまったのであります。友人からこのことを聞いたトム、急いで教授宅へ。エルウッド保安官(ハリー・シャノン)に昨夜のことを聞かれて「あたし、何も覚えていないんです。トムに送って貰って家で寝ていたはずなのに、気がついたら警備員に起こされていたんです」と涙ながらに話しているアミーナを連れ戻すのでした。

 保安官は「とりあえず返す。でもメイプルタウンから出てはいけないよ」という決まり文句。

 殺害犯人がミイラであることが公表されてメイプルタウンはパニック状態に陥ります。ミイラの恐怖再びという訳ですね。町の人々は自警団を結成し、保安官たちと協力して町をパトロールすることになりました。その様子を物陰から見てほくそ笑んでいるユセフ・ベイ。そして一週間後の満月の夜、彼は森の中で9枚のタナの葉を煮て、ミイラを召喚したのでした。この時ミイラ、行きがけの駄賃とばかりに近所の農家へ侵入。犬に吠えられて(笑)様子を見に来た農夫を惨殺しております。ちなみにトムとアミーナはこの時ドライブデートの真っ最中。止めた車の中で「一週間たってようやく君は笑えるようになったね」「みんなあなたのおかげよ、トム」なんてやっていたわけでして・・・。

 ミイラと合流したユセフ・ベイ。早速ミイラと共に王女アナンカのミイラと石棺が展示されているスクリプス博物館へ侵入します。しかし、なんとしたことでしょう。ミイラが王女のミイラを抱き上げようとしたその瞬間、ぼろぼろに崩れてしまったのです。息を呑むユセフ・ベイ。「ああ、これは王女の魂が他の体に転生したという印だ」他の体というのが誰か、皆さんもう分かってますね(笑)。この後大暴れするミイラ。よほど王女のミイラが崩れてしまったのがよほど悔しかったものと見えます。この騒ぎを聞きつけてきた警備員、あっさりとミイラに殺されてしまいます。迫るミイラに拳銃を乱射したのですが、もちろん効果なし。

博物館の惨劇から一夜明けた朝、トムは保安官を尋ねて「もうミイラ騒ぎで僕の大事なアミーナがふさぎ込んじゃって大変なんスよ。転地療養ってことでニューヨークへ連れて行きたいんスけど」博物館の事件でアミーナへの疑いが一応晴れたので彼の言い分はもっともなのですが、保安官の答えはノー。「この先何があるか分からん。わしだってもうアミーナを疑っちゃいないが、いてくれないと困る、そういう気がするんだ」トム、がっかりして帰ります。

 その頃博物館ではヴァルグリーン警視(バートン・マクレーン)が学芸委員のアヤド博士(レスター・シャープ)と共に現場検証の真っ最中。博士は石棺の中の崩れた包帯の山を興味深げに眺めて「これは王女のミイラが盗まれたということではありません。ごらんなさい、包帯はそのまんま繋がっていて切られた形跡がまったくないのです。包帯に手を加えず中身を取り出すなんてできやしませんよ」ここで石棺に刻まれた古代エジプト文字に注目する博士、「ん、何々、安息場所を追われた王女の魂は他の肉体を求め、遷移する、とこうありますなあ」警視ははっとなって、「んじゃ、今どこかに王女の生まれ変わりがいるってことですかい。なんてことだ、ミイラだけでもやっかいなのに、その生まれ変わりまで探さなきゃならんとは」

 続いてノーマン教授の自宅を調べます。博士は残っていたタナの葉を見つけて、「ああっ、タナの葉じゃないか。ミイラは絶対にこれが必要なんだ。警視さん、ミイラは誘導が可能ですよ!」ここにノーマン家を舞台にしたミイラ誘引撃滅作戦(M作戦)が開始されたのです。タナの葉っぱをぐつぐつやって現れたミイラを落とし穴に落っことすという実にシンプルな作戦(笑)。さらに確実を期すべく、奥さんに教授が殺された夜のことを聞いてみますと、「そう言えばあの人は9枚、9枚言っておりましたわ」これを聞いたアヤド博士、手のひらをぽんと打って「分かった。ミイラを誘い出すには9枚のタナの葉が必要なのだ」ノーマン家の玄関前にでっかい落とし穴を掘って準備完了。後はタナの葉を煮るだけだ。

 一方、トムはアミーナの下宿を訪ねて「明日、ニューヨークへたとう。何、保安官は駄目だって言ってたけど、所在さえ明らかにしときゃいいんだよ。後から電報を送ればいいんだ。そして、ニューヨークで僕たちは結婚するんだ!」どさくさに紛れてプロポーズしやがった(笑)。「まあ、嬉しい」とアミーナ、トムにすがりついてぶちゅぶちゅぶちゅちゅちゅー、熱いキスを交わしたのでありました。その後、トムは「じゃあ、明日朝早く迎えに来るから荷造りよろしくね!あ、ボディガード代わりにピーナッツ置いていくわ」と帰っていきます。彼を見送って幸せ一杯で眠りにつくアミーナでしたが、そうは問屋が許さない、じゃなかった、卸さない。

 ヨセフ・ベイ、ミイラに「王女の魂をもつ肉体を連れて参れ」と命令したのです。どうやって見つけるのかというと、祈ってれば神アラカムが教えてくれるだろうということでどうも便利な神様であります(笑)。その命令どおり出撃するミイラ。と、同時にノーマン家ではタナの葉をぐつぐつ煮立ててミイラ誘引撃滅作戦(M作戦)が発動。警視とその部下、いっしょうけんめいウチワで煮立っているタナの鍋を仰ぎます。「ミイラは多分この匂いに引かれてやってくるのだ、それ頑張れ」ぱたぱたぱた。部下、思わず「鰻屋さんみたいっすね」だって。

 しかし、この二人の努力はまったくミイラには届きません(笑)。ミイラ、そのまま一直線にアミーナの下宿へ。アミーナもベッドで目をさまし何かに魅入られたかのような足取りで外へ出てしまうのです。そしてミイラに会ったとたん、失神。ミイラは彼女を抱きかかえてヨセフ・ベイの待つ隠れ家へ戻るのでした。下宿のおばさん、ブレイク夫人(ドロシー・バーガン)は慌ててトムに電話してアミーナが攫われたことを伝えるのです。仰天したトム、ただちに飛び起きてミイラを追いかけ始めます。

 ノーマン家では自警団の皆さんが集まって用意万全。「ミイラが穴に落ちたらズッタンズッタンのギッタンタンにしてくれる」と待ち構えております。と、ここで走りこんできたのがブレイク夫人、「保安官、保安官はどこ、アミーナがミイラに攫われちゃった」と叫びながら落とし穴目掛けてまっしぐら。保安官あわてて、「わあ、そっちはまずいってば、落とし穴があるんだってば」ブレイク夫人、止めようとした保安官もろとも落とし穴にずぼっ!落っこちてしまいました(大笑い)。ブレイク夫人は穴の中から「みんな、ミイラを捕まえて、アミーナを助けて」

 これで警視や保安官、自警団もミイラ追跡に参加することになりました。

 さて、アミーナを探してあてもなく走り回るトム。これでは彼女とミイラを見つけることなんてとてもできやしないと思ったその時、ピーナッツがわんわん吠えながら駆けてきたのです。この犬、実はアミーナが攫われてからずっと後を追いかけていたのでした。トムは「よし、ピーナッツ、僕を彼女のところへ連れていっておくれ」「わんわんわん」元気良く吠えたピーナッツ、彼を従えて走り出したのでした。

 一方、ミイラは隠れ家に到着。大喜びのヨセフ・ベイはさっそく彼女をテーブルに縛り付けてミイラにするための注射を用意。しかしここで彼の内心の声が「おい、ヨセフ・ベイよ、この女はキレイだ、ミイラにするのは勿体無いぞ。なんだったら、お前、女と二人で不死になってここで幸せに暮らせばいいじゃないか」これでヨセフ・ベイ、あっさりと心変わりして「おお、王女アナンカよ、タナの葉の力で我ら不死とならん。エジプトへの帰参がならぬならばいっそこの地で添い遂げようぞ」これを聞いたミイラ、思いっきり「そりゃ、違うだろ、オマエ!」という感じで振り向きます(笑)。ヨセフ・ベイはそんなミイラに構わずタナの葉の液体をアミーナに飲ませようとします。これで完全に切れたミイラ、ヨセフ・ベイを殴り殺し彼女を再び抱きかかえて逃走するのでした。

 ピーナッツに導かれてやってきたトムがミイラを止めようと棒で殴りかかったのですが、さすが怪力のミイラ、苦もなく彼を殴り倒してしまいます。ミイラはその後アミーナを連れて沼地へ向うのでした。後から自警団のみなさんがわいわいやってきてトムを助けるのですが、その彼らにしてもミイラに手出しはできず、見守るのみ。おや、どういうことでしょう、ミイラに抱かれたアミーナの体がだんだん皺だらけになっていきます。しまいにはまったくミイラになっちゃった。ミイラに抱かれた女がミイラ化する、これがホントのミイラ取りって違いますか(笑)。

 呆然とする人間たちの前でミイラはアミーナを抱いたまま沼に沈んでいくのでした。エンドマーク。

 まあ、トムがアミーナを割りとあっさりと諦めたのはやっぱり彼女がミイラ化したからでしょうな。助けたって相手がミイラじゃ困りますからな(笑)。

 モノクロ・スタンダード。モノラル音声。今ひとつ解像度感に欠け、黒の階調も潰れ気味。再生機器のせいかも知れませんが全体に赤みががるのも気になります。音声は良好。英語字幕つき。『ミイラ再生』(『The Mummy』)『ミイラの復活』(『Mummy's Hand』)『ミイラの墓場』(『Mummy's Tomb』)『執念のミイラ』(『Mummy's Ghost』)『ミイラの呪い』(『Mummy's Curse』)を収録し たミイラ男・レガシー セット。 Umvd のDVD。

エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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