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2007年10月26日 (金)

『クィンテット』(『Quintet』 1979)

 

『クィンテット』(『Quintet』 1979

 SFシネクラシックスハイビジョンであります。雪と氷に覆われた未来の地球、そこで繰り広げられる謎の殺人ゲーム!と聞けば誰しも、わ、面白そうと思うものですが…。この映画はそんな予想を微妙に裏切るものでした。

荒れ果てた氷と雪の荒野を進む二人の人影。本作の主人公エセックス(ポール・ニューマン)とその妻ヴィヴィアン(ブリジッテ・ハッセー)であります。エセックスは身重の妻を彼の生まれ故郷である「シティ」へ連れていこうとしていたのでした。彼らは南の地方でアザラシを狩って暮らしていたのですが、近年めっきりその数も減り、このままじゃ、子供が生まれてもあかん、釜の蓋が開きまへん、だったらシティに戻りまひょということになったのです。

 エセックスは妻に「シティ」の様子を話して聞かせます。「五つの地区に別れとってな、一つの地区に100万、みんなで500万の人間が暮らしておるのや、わての産まれた地区は中央公園ちゅうのがあってな、湖があって、木も植えられてな、大層きれいやった」

 ここで場面が変わってどうやらここはシティの中らしい。外の世界と同様にあらゆるものが凍り付いておりまして、エセックスの話と随分違う。そして人々はテーブルに向って熱心に「クィンテット」と言われるゲームをしております。みんなサイコロを振っては「やった、わてが第六番目の男、生存者や」とか「殺しの順番を決めなあきまへんな」などとブッソウなことを言っております。一体これはどんなゲームなのでしょう。少なくとも負けたら「貧乏農場行き」みたいな暢気なものではなさそうです。そんな中、ゲームマスターのグレゴール(フェルナンド・レイ)は「あー、みなさん、またトーナメントやりますよって、今から名前呼ばれる人は準備してつかあさい、ゴールドスターはん(デビッド・ラングトン)、フランチャはん(トーマス・ヒル)、デュカはん(ニナ・ヴァン・パランド)、レッド・ストーンはん(クレイグ・リチャード・ネルソン)、アンブローシアはん(ビビ・アンダーソン)、セイント・クリストファーはん(ヴィットリオ・ガスマン)はん」

 その頃ようやく「シティ」にたどり着いたエセックス夫婦。情報センターに入り込み、兄のフランチャの所在を探します。このフランチャというのはトーナメントの参加者の一人ではありませんか。エセックスは首尾よく彼の住所を突き止め、ドアをどんどん叩いて「兄さん、わてや、エセックスや、10年ぶりに南から戻ってきましたわ、嫁さんも連れてきましたで」ここで展開されるフランチャ、エセックス兄弟の涙の再会。フランチャの家族、そしてヴィヴィアンも貰い泣きしております。ようやく再会の抱擁が終わってヴィヴィアンを紹介するエセックス。防寒服を脱いだ彼女を見てフランチャは驚愕します。「あんた、妊娠しとるやないかい。こら、人類最後の子供になるで」大喜びする彼とその家族。「こら、めでたい、正月と盆が一緒にやってきたようなものや、お祝いや、みんなで酒飲んでクィンテットやろうやないかい」

 ちなみに情報センターも「シティ」も荒れ果てており外とあんまり違いません。おまけにあちこちに人間の凍死体が転がっており、やけに一杯いる黒犬がぼりぼりくちゃくちゃ貪り食っております。ヴィヴィアンはさぞ「話と全然違うわ、こんなの」と思っていたことでしょう(笑)。

 テーブルを囲んでクィンテットが始まります。この時フランチャが「エセックス、すまんけど下の市場で薪買ってきてくれへんか。もうすぐなくなるねん」エセックスは出かけます。するとその隙を狙っていたかのようにドアが開いて何者かが黒い筒のようなものを部屋へ投げ込んだのです。大爆発、哀れフランチャ、ヴィヴィアン、フランチャの家族は即死してしまいました。びっくりして部屋へ戻るエセックス。彼は愛妻の無残な死体を見て立ち尽くします。その姿を部屋の外から見つめている男、どうやらこの男が犯人のようです。

 彼の視線に気づいたエセックス、「わての奥さん、ようも殺したな、コノウラミハラサデオクベキカ」と追いかけます。逃げる、男、おっかけるエセックス、ついに人間の顔を模したオブジェがある部屋に追い詰めるのですが、その時別の男が現れて爆弾男の首をかき切ってしまいました。「な、なんじゃ、そりゃ」立ち尽くすエセックス。犬が来て爆弾男の死体を齧り始めます。彼が爆弾男の衣服を調べると、ゴールドスター、フランチャ、デュカ、レッド・ストーン、アンブローシア、セイント・クリストファーと書かれたメモを見つけました。そして他に奇妙な形をしたゲームのコマもありました。妻の死はこのゲームが関係しているのに違いない。エセックス、真相を調べようと決意します。

 部屋へ戻ったエセックス、ここにも犬が入り込んできて、死体をくちゃくちゃ食っているという・・・(笑)。エセックス、慌てて妻の遺体だけを運び出し、犬に食われぬよう川に流すのです。後をつけてきた犬たち、死体が川に流されたのを見て思わず「舌打ち」したとかしなかったとか。

 エセックス、また情報センターに入り込み、レッドストーンの住所を調べます。そしてレッドストーンの奥さんに「わて、レッドストーンはんの友達ですねん」と偽り彼がトーナメントに出場していることを聞き出します。この時奥さんは竈の火に手をかざしているのですが、その手が近すぎて「ちょ、ちょっと奥さん、手ェ焦げてますがな」奥さんは無感動に「久しぶりの火ですねんから、ええのです」と訳の分からぬ返事。首を捻りながら退散するエセックスであります。この後も奥さん手をあぶり続けてもう、黒焦げになってるやんか!この深い絶望、どうやらもう旦那が死ぬものと決めてかかっているらしい。

 さて、エセックス、トーナメントの会場である第二セクターへ向います。そこで今度はレッドストーンの名を語ってホテルの部屋を借りたのです。このバレバレの行為はおそらく敵を誘引するためのものか。果たしてこの部屋に「いやー、ちょっと人恋しくなりましてな、話させてくれまへんか」とやってきたのがゲームマスターのグレゴール。「このままやと地球凍って人類滅びますなー、ははは、笑いごっちゃありまへんなー」などという世間話をした挙句、いきなり、エセックスに「あんた、ゲームのプレイヤーやろ、いいや、隠しても無駄だす。その目の光はプレイヤー以外あらしまへん」ということで、彼はデュカの主催するクィンテットに参加ことになりましたとさ。

 ゲームを始めた彼を残して立ち去るグレゴール。その彼にまた別の男が、ああ、これはトーナメントの参加者の一人、セント・クリストファーみたいです。「グレゴール、何考えてまんねん、あのレッド・ストーンはニセモノでっせ、何しろ本物はわてが殺したんや、あいつは2時間もトーナメントを早く始めてフランチャを爆弾で殺した、だからわてが罰したんだす」あー、あの男はセント・クリストファーだったのですね。そしてフランチャは一番最初のトーナメントの犠牲者になったということですか。グレゴールは「ニセモノはまだ放っておくねんで、奴が何の目的でここに来たのか、調べなならんからな」

 このトーナメント、どうやら殺し殺されで最後に残った人間が勝利者になるらしい。いわばクィンテットのゲームを実際にやるようなものらしいのです。

 セント・クリストファーが立ち去った後入れ替わりに現れたのがゴールドスター。なんかもう同じような服装の同じような顔立ちのおっさんが入れ替わり立ち代りくるものですから、見ている方は混乱します(笑)。「セント・クリストファーと何話してましたのや、まさかズルしようちゅうんではないでしょうな」「そんな心配なら第六の男に相談しなはれ」グレゴールに軽くあしらわれたゴールドスター、ぷんぷんしながら帰っていきます。寝ているというか死に掛けている老人を乱暴に蹴飛ばして、「おら、邪魔や、死ぬならもっと隅っこの方でしなんかい」どうもこのゴールドスターという男、思慮の足らぬ乱暴者のようであります。

 さて、デュカのゲームルームでクィンテットに興じていたレッド・ストーン=エセックスはアンブローシアと知り合いになります。おまけにホテルの部屋が隣同士という凄い偶然。ゲームが終わってホテルの部屋へ戻ると誰かが彼女を訪ねてやってきました。エセックス、「なんかエッチなことするかァ?」とほくそ笑んで壁に押し付けたコップに耳をあてて盗み聞き。しかし当然そんな展開になる訳もなく、客、ゴールドスターとアンブローシアの陰気な会話が延々と続くのです。「わてはセント・クリストファーが憎い。ぶち殺してダイチョー引きずりだす」こう言ったゴールドスター、アンブローシアを脅かすように睨み付けて「あんた、わてを陥れる謀があるやろ、教えんかい!」「知らんわ、うち、そんなの、あんたの被害妄想や」「はん、ならあんたもグルちゅうことやな、今度会ったら覚悟しとき、ついでにセント・クリストファーにもわてが狙ってるでと教えといてえな」

 この会話を聞いて考え込むエセックス。

 その翌日、エセックスはデュカにセント・クリストファーの居場所を尋ねます。第二地区の救護院にいると教えられて彼に会いに行くエセックス。セント・クリストファーは食事の前の長ーい説教をしておりました。その説教があんまり長かったので途中で帰っちゃうエセックス。一体何をしにきたのやら。ここで何者かにナイフで胸を刺されて倒れるゴールドスターの絵が挿入されます。

 ホテルへの帰途、偶然アンブロージアと会ったエセックス。彼女は「部屋にお酒があるねんけど、こん」と彼を誘います。部屋へ入ってみたら、わあ、窓の外に無残なゴールドスターの死体が転がっているではありませんか。驚愕する二人、「これはうちへの見せしめやん」「リストや」と喘ぐようにエセックスが叫びます。「リストにあった名前はみんな殺されるのや。わての兄貴もやられたわ」これでアンブローシアがうち、怖い、一人になるのはすかん、ここで一緒に寝て」とか言い出しまして、ベッドインとなる仕掛けでございます。

 翌朝、またゴールドスターの死体が犬にくちゃくちゃ食われているという・・・(笑)。

 さて、エセックスは謎を探るべくグレゴールに会いに行きます。グレゴール、やけに上機嫌で「まあ、まあ、酒でも飲みながら話しまひょか」酒場に行きまして、「あんさん、ゲームちゅうものは素晴らしいもんでっせ、人生で大切なことはみーんなゲームから学ぶんだす」ぐびぐび。「人生はゲームの体系のひとつにしか過ぎません」ぐびぐび。負けずとぐびぐび飲んだエセックス、ずばり、「じゃあ、あのリストも体系とやらに入ってるんでっか、ええ?」ぎくっとなったグレゴール、ぐびぐび飲んで「ははは、リスト、なんでっか、それ、あんさん、ちょっと飲みすぎたんと違いますう?」その後演技か本気なのか良く分かりませんが本格的に酔いつぶれてしまうエセックス。グレゴールは酔っ払いを助けるために酒場へやってきたセント・クリストファーに彼をホテルの部屋まで送らせるのでした。セント・クリストファー、エセックスをベッドに寝かせて傍らに置いてあったナイフを取り上げ、いきなり襲い掛かってきた!と思いきや「偽者め、しかし、死には順番がある。お前の番はもっと後や」と謎めいた台詞を残して出て行ったのです。

 一方、アンブローシアの部屋にデュカがやってきます。この二人は妙に険悪な雰囲気で、デュカはアンブローシアのローブを見て、「それ、いいわね、あなたが死んだら私に遺産として残してね」などと言っております。やっぱり殺し合いをしようということなのでしょうなあ。

 翌日、ようやく物語がラストに向けて動き始めた!ゲームに参加すべくデュカのゲームルームに赴いたアンブローシア。そこではすでにセント・クリストファーによってデュカが殺されていました。長い金串が顔を貫いているという恐ろしい死に様。アンブローシア、思わず「バーベキューか」とツッコンだとかツッコまなかったとか(笑)。続いてグレゴールもやってきます。セント・クリストファーは彼に「あの偽者をどないすんえん、殺すんか、殺さんのか、さあ審判を下せ」アンブローシアは懸命に庇ったのですが、グレゴールは「あれが偽者でもレッド・ストーンと名乗っている限りトーナメントに参加する義務がある。うん、プレイヤーになるのや」

 これを聞いたセント・クリストファー、「よっしゃ、もろた!」と出て行きます。何だか無闇に張り切っていて気味が悪いです(笑)。その頃エセックスはどこへいたかと言うと、フランチャの部屋に戻って証拠品を探すために外へ出て雪原を歩いていたのでした。これを追っかけるセント・クリストファー。いつの間にか槍を手にしております。「こら、待たんかい、レッド・ストーンの偽者め、この槍でぐっさりじゃ」その途端ひっくり返って自分の槍で自分を刺しちゃった。馬鹿ですね。

 フランチャの部屋に到着したエセックス、あちこちひっくり返して自分が持っているのと同じリストを発見したのです。「やっぱり兄貴はこのゲームに参加しとったんや、それで殺された」ここで背後に影、アンブローシアです。いつの間にか彼の背後に忍び寄っていた彼女は「謎が解けたのね」とささやきざまナイフを持ってエセックスに襲い掛かったのでした。しかしエセックス、身を翻すなり、やっぱりナイフで彼女の喉をすっぱり切り裂いてしまったのです。喉から血をしぶかせ倒れるアンブローシア。ドアのところには早くも餌をかぎつけた犬たちが集まっております。

 エセックスは第四地区に戻ります。そしてグレゴールに会うと「これは全てが殺人のゲームだったのですな。それで、わてが一番になった訳やけど、賞品とか賞金はないの?」グレゴールは笑い出して「勝利の快感、生存権、それが賞品ですわ。死を意識してこそ、生が充実する、これがこのゲームの目的ですねん。あんた、このゲームのチャンピオンになれまっせ、今度のトーナメントにまた参加してはどないだ?」しかし、エセックスは首を振ります。「そんな賞品もないようなゲーム、やってられまっかいな、わて、もう北へ戻りますわ」

 「北へ戻ったって何にもありまへん、死ぬだけだす」と止めるグレゴールを振り切って外にでたエセックス。雪原を歩きます。えんえん歩きます。姿が見えなくなったところでようやくエンドクレジット。でもまたこれが長いんだ(笑)。

 ハイビジョン画質は何の意図があってのことか分かりませんが、画像の中心部分にだけピントがあっており、周辺はぼけております。発色や解像度はそれなりにあるのですが、この絵作りのせいで見難いといったらありません。台詞は歪みあり。音量も控えめ。WOWOWのハイビジョン放送。

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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