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2007年12月25日 (火)

『実録UFO大接近・消えた412ジェット機隊』(『The Disappearance of Flight 412』 1974)

 

『実録UFO大接近・消えた412ジェット機隊』(『The Disappearance of Flight 412』 1974

えー、最初に言っておきます。この映画、UFO!とか大接近!とか消えたジェット機隊!とかいかにもアメリカ空軍対空飛ぶ円盤の大戦争が起こりそうな威勢の良い題名ですが、そんな派手な事件はいっさい起こりません。読んでなんだ、これはと怒られても当方一切関知いたしませんのでどうかご了承下さい。

冒頭流される空飛ぶ円盤フィルム。ナレーションが「これは19664月アメリカ カリフォルニア州サンタ・カタリナ島で撮影されたものである。UFOは各地で多くの人々に目撃されており多数の証拠写真もある。空軍でもUFO遭遇事件は起こっており、この映画はそれに基づいて作られたものだ」とぶち上げます。

 さて、ここはホイットニー空軍基地。レーダーのテストのためにムーア大佐(グレン・フォード)の命令でジェット機412便が飛び立ちます。乗組員はパイロットのビショップ(デヴィッド・ソウル)、クリフ・リッグス(ロバート・F・ライオンズ)、電子操作員のプドリスキ(グレッグ・ムーラヴィ)、ファーガソン(スタンリー・ベネット・クレイ)の4人。彼らは指示通りのコースを飛んでテスト空域へ向かいます。コールサインはシャドウ・デルタ1。このまま無事にテストが済めば午後2時には帰還する筈だったのですが・・・。

 彼らの飛行をモニターしていた海兵隊ブランコヴィスタレーダー基地。司令官のバーンズ大佐(サイモン・スコット)はムーア大佐と旧知の仲で電話で「ねえ、ゴルフ行こうよ」などと誘い合ったりしております(笑)。突然、この基地のレーダーが奇妙な物体を探知しました。三つの光点であるそれはどうやらシャドウ・デルタ1に接近している模様。ただちにシャドウ・デルタ1に連絡します。まもなくデルタ1の機上レーダーもその光点が確認されて、大騒ぎ。上空でも基地でも大騒ぎ。これが本当の上へ下への大騒ぎであります(笑)。

 ビショップたちは懸命に光点の正体を肉眼で確認しようとするのですがついに発見することができません。そうこうするうちにブランコヴィスタ基地から二機の迎撃機ファントムがスクランブル発進しました。さあ、勇躍空を翔るファントム機、驕敵UFOを発見しミサイル攻撃だと思いきや、そんな勇ましい場面は一切なし。唐突にファントム2機は消えてしまいます。それと同時にレーダーの光点は時速3,000キロというあり得ない速度でターン、レーダー圏外へ飛び去ってしまったのです。仰天したビショップは消えたファントム2機の捜索を申し出るのですが、「こっちでやるから良いよ」と断られてしまいました。いや、それどころか北米航空宇宙防衛司令部からの直接命令により所属基地から指揮権を剥奪、以降ディガー基地の司令に従うことになったのでした。

 そのディガー基地というのが砂漠の中の荒れ果てた航空基地。ここに5人の怪しげな男と護衛の兵士たちがヘリコプターで運ばれてきて、即席にレーダー基地を作っちゃったのでした。もう見るからに怪しいの。

 今やディガー基地の指揮下に入ったシャドウ・デルタ1 「あっちの方にずーっと飛んだら、こんどはそっちの方にずばーっと飛んで、そしたらちょこっと飛んで着陸せんかい」と言われまして(笑)不承不承従います。そして例の航空基地に着陸したのです。

 一方ムーア大佐はシャドウ・デルタ1の情報がぱたりと入ってこないことにいらいらしております。友人のバーンズ大佐に電話を入れても「うーん、さあ、わしは良く知らないよ」と言われるばかり。大佐はその曖昧な口調から「む、何か隠してやがるなこいつ」と直感。いろいろと調べ始めるのです。

 さてディガー基地に着陸したシャドウ・デルタ1の面々、ビショップとリッグス、プドリスキとファーガソンの二組に分かれて宿舎に監禁されてしまいます。そして情報部のトロントマン大佐(ガイ・ストックウェル)と名乗る男が彼らを尋問していくのです。最も尋問と言ってもビショップたちが「いや、私ら、確かにレーダーで光点を見たんです」というのに「ふふふ、それはレーダーの故障だろう」「そんな筈はありません。確かにレーダーには映っていたんです」「ふふふ、肉眼では確認していないのだ、レーダーの故障に決まっているだろう」「でも2機の迎撃機が消息不明になって」「ふふふ、そんな報告はない。夢でも見ていたのではないかね。それともSF小説の読みすぎかな」

 どうやら彼らはビショップたちのUFO目撃をなかったことにしようとしているらしい。

 この時ムーア大佐にバーンズ大佐からの電話が入ります。なんと、バーンズ大佐、基地の電話じゃ話せないというのでわざわざ外へ出て公衆電話を使っていたのです。「いや、さっきは話せなかったんだけどさあ、どうやらこれはUFOの目撃事件だったらしい。おたくとは別にうちの迎撃機2機も消息を絶っているんだ。政府の秘密諜報機関が動いているらしいぞ」

 これでおぼろげながら事件の全容を掴んだムーア大佐、さっそくシャドウ・デルタ1の飛行をモニターしていたレーダー仕官を読んで飛行軌跡の検討を開始。おおよその着陸地点を突き止めたのでした。

 「ウウーム、そう言えばこの辺に1954年に廃棄された航空基地があった筈だ」よっしゃ、そこだ、構わないから行ってみるべと腹心の部下マイク・ダニング少佐(ブラッドフォード・ディルマン)を連れて車で出動。ダニングは車を運転しながらムーア大佐に「それでバーンズ大佐は何と言ってたんス?」「どうやらこの事件にはUFOが関係しているらしいんだと」これを聞いたダニング少佐、顔を歪めて「大佐、この件にはあんまり関わらない方がいいと思うっスよ。実は自分も二年前にUFO事件に巻き込まれてえらい目にあったんス。もうヘンな奴らがぞろぞろ来て、あれは見間違いだ、レーダーの故障だって、1日中説教されたんス。それで納得しなかった仲間がいて、そいつ大尉だったのにあっさり放り出されて今じゃシンシナティで靴のセールスマンっスよ」何と言うことでしょう、空軍でうっかりUFO目撃したら、田舎町で靴売らなきゃならなくなっちゃうのです(笑)。

 しかしそれでもムーア大佐、「馬鹿、だからと言って部下を見捨てることができるか!」男ですねえ。軍人の鑑たぁこの人のこと。

 二人はやけにあっさりとディガー基地へ到着します。飛行機であれだけ飛んでようやく着陸したというのに車だと随分近いものですな(笑)。そしてガードに「わしゃ、ムーア大佐だ。ここにわしの部下達がいるはずだ、出せ」ガード、すかさずトロントマンに連絡。二人を通します。出迎えたトロントマンを見たダニングはびっくり。「うわあ、俺、知ってるっスよ、こいつ。二年前にUFOで故障だ、錯覚だってさんざん言った奴っスよ」ムーアはトロントマンに部下の即時釈放を要求するのですが、当然ながらトロントマンは「国家保安の問題だから」と跳ねつけてしまいます。そのままムーアとダニングは別室に通されてそのまま待つようにと言われてしまうのでした。

 憤然とするムーア大佐。ダニングは「大佐、落ち着いて下さい。怒ったら不味いっスよ。UFOなんかのために自分のキャリアに傷をつけるなんて馬鹿馬鹿しいっスよ」となだめるのでありました。

 その後も特殊諜報員たちによるビショップたちの説得は続きます。「ふふふ、とにかくあれは見間違いだ、もしくは故障だ、ジェット機が行方不明になったなんて事件はない、ふふふ」もうこれが延々と続くという・・・(笑)。この時我慢しきれなくなったビショップが部屋から脱走するのですが、監視していた兵士達にあっさり取り囲まれてしまいます。ビショップは「チクショー、こうなりゃヤケだ、俺一人でも突破して飛行機で逃げてやる!」と叫ぶのですが、「仲間がどうなってもいいのか」と言われて、はい、おしまい。悄然として自ら部屋へ戻ったのでした。

 この後も説得が続いて、翌朝ついにビショップたちは釈放されます。ムーア大佐、ダニングと共に214便ジェットへ乗り込むビショップたち。

 この後、自分と部下の処遇についてどうしても納得がいかないムーア大佐はビショップたちを連れてこの件の最高責任者と思われるエンライト将軍(ケント・スミス)の自宅?に乗り込むのですが、同時にトロントマン大佐もやってきて、「あれは国家保安に関わる機密だ」と繰り返すばかり。憤然とするムーアでしたが、将軍はビショップたちを外へ出した後、「これは機密中の機密なのだが」と彼に一枚の写真を見せるのです。それはブランコヴィスタ基地から飛び立った迎撃機の残骸でした。「パイロットは行方不明だ。どうだ、これが国家機密で公にすることができないという意味が分かったかね。こんなことが外に洩れたらパニックになるぞ」ついに観念するムーア大佐です。

 彼は外で待っていたビショップたちに、「全て終わった。もう何も言うな。とりあえず飯でも食おうや」はい、UFO事件のもみ消しはこれにて完了したのであります。

 その4ヶ月後再び同じようなレーダー演習が行われました。再び出現したUFO。しかし、今回もまた前回のように事件の揉み消しが行われ何も状況は変わらなかったのです。そしてナレーションが事件に協力的なものは出世し、そうでないものは閑職に追いやられたと語ります。ムーア大佐はもちろん後者の立場でした。エンドマーク。

ね、ちっとも派手なところのない地味な映画だったでしょ?

 つまらん、退屈、国家機密の遵守というのは分かるけれども、その方法が「ふふふ、あれは錯覚だ、レーダーの故障だ」「いや、そんなことないですって」「ふふふ、どうだって錯覚なのだ、故障なのだ」「僕ら、本当に見たんです」「ふふふ、人間誰しもマチガイを犯すということだ」「駄目だ、こりゃ」相手が音を上げるまで錯覚だ、故障だ、UFOなんて存在しないのだといい続けるだけというのはいくらなんでも不味いんじゃないでしょうか。

カラー・スタンダード。モノラル音声。画質は普通。困ったのが音声で録音レベルが低く聞き取りが大変です。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack CollectionMill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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コメント

はじめまして。こんにちは。桜と申します。
私、UFO信じます・・・。

投稿: 桜 | 2007年12月25日 (火) 17時45分

こんばんは。今、iPadでこの映画を観て
おりました。英語が完璧に理解できなくて、
モヤモヤした気分でいました。

字幕や吹き替えのない映画を観るのは
ちょっとしんどいですね。こういう解説
があると助かります。ありがとうございます。

投稿: 音八 | 2011年9月11日 (日) 21時14分

 どうもありがとうございます。

 でも私のヒアリング能力も今ひとつなので(笑)あんまり鵜呑みにはしないようにお願いします。

投稿: エロの冒険者 | 2011年9月12日 (月) 16時25分

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