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2008年1月28日 (月)

『How Awful About Allan』(1970年)

 

How Awful About Allan』(1970年)

アンソニー・パーキンス主演のサスペンス映画。精神的な要因で目が良く見えないという設定とアンソニー・パーキンスの神経症的な演技が見もの。こんなボックスセットに収録されているのがもったいないほどの傑作?であります。

冒頭いきなり火事になる深夜の屋敷。びっくりして飛び起きた主人公アラン(アンソニー・パーキンス)は父親を助けようとしたのですが、すでに遅し。父親は炎に包まれて「アラン、助けて、助けて」と叫びながら悶死。なんとか彼と妹キャサリン(ジュリー・ハリス)は脱出することができたのですが、妹はまだ若い身空なのに顔面に酷い火傷を追ってしまったという・・・。火事の原因が自分であると思い込んだアラン、自責の念のあまり目が見えなくたってしまいました。精神状態もおかしくなって、はい、精神病院へ入院です。

 8ヶ月後、まだぼんやりとしか見えないのですがとにかく退院することになったアラン。医者から「じゃ、元気で、幸運を祈るよ」と言われて送り出された側から患者のおばさんが「あんた、すぐ戻ってくるよ、私には分かるんだ」と叫ぶのが大変にヨロシイ(笑)。

 キャサリンが彼を迎えてくれます。キャサリンの顔には火傷のあとを隠すためか人工の皮膚が貼り付けてあるのがコワい。そして車で懐かしい我が家にご帰還。しかしアランは庭に「貸し部屋あり」という看板が立ててあるのに気がついてムッとします。キャサリンに聞くと「あたしの給料だけじゃどうにもならないの、大学なんて安月給なんだから、間借り人でも置かないとやっていけないの」なんですと(笑)。また部屋の中を歩き回るうちに見慣れない男の写真があるのに気がついたアラン、「これは誰なんだ」キャサリンは非情に寂しそうな顔になって「それはエリックよ、火事の後でおれはアッチで一財産作るんだってオーストラリアに行ってしまったの。もう向こうで誰かと結婚していると思うわ」要するに恋人が火傷のおかげで逃げちゃったと、こういうことですな。

 この後、アランは家に篭り医者に勧められたテープレコーダー療法、考えたことをとにかく録音する、に明け暮れるのでした。

 さて、そうこうするうちに間借り人候補が部屋の下見にやってきます。名前をデニス(ビリー・ボールズ)と言いまして、喉に障害があるためしゃがれ声で囁くようにしか話せません。アランは精神の病のために目がぼんやりとしかみえませんから観客にはこのデニスの人格がはっきり提示されないという上手い仕掛けになっております。

 デニス、すぐに部屋が気に入り借りることになります。キャサリンは「わあ、もう一ヶ月分先払いして貰っちゃったわ」とほくほく顔。しかしその夜掛かってきた電話に出たキャサリン、「ええ、ええ、はい?そ、そうですの」となんだか慌てた様子。アランが尋ねると「デニス、明日から引っ越してくるんですって、最初は今週の土曜日だったのに」何故かこの言葉が気に掛かるアランであります。

 早速引っ越してきたデニス、朝は早くから大学の講義、それが終わってからコーヒースタンドでアルバイトしているので帰ってくるのは夜も遅い時間。アランとはすれ違いでまったく顔を合わせることがありません。段々彼のことが気になってきたアラン、帰宅した彼が階段を上がってくるところを伺おうとするのですが、どうしたことでしょう、ぼんやりと霞んでいる視界の中から「アラン、アラン」と呼び声が聞こえてくるではありませんか。はっとするアランでしたが、電気をつけてみたら誰もいなかったという・・・。あれは怪しい同居人だと思い込むアランです。

 さて、アランのことを非常に気にかけている人がいます。隣人のオリーブ(ジョアン・ハチェット)です。彼女はなにくれとなくやってきてアランを励ましたり、外に出なくちゃだめよ、引篭もりになっちゃうのよと言ったりしてくれます。いささかおせっかいではありますが(笑)次第にアランの気持ちがほぐれてついに彼女の運転する車で町に出かけることになりました。しかしここで変事が発生。本を返すために大学へ寄ったオリーブですが、彼女の帰りを車内で待っていたアランの耳にまた「アラン、アラン」というデニス?の声が聞こえてきたのです。「わあ、ひいいい」恐怖に駆られたアラン、車で逃げようとします。しかし目がぼんやりとしか見えない人ですから当然、ムチャクチャな運転になってさんざん周囲の車を脅かした挙句街灯に突っ込んだのでした。

 デニスの声が聞こえる前、アランは「お前、何をクレイジーなことを言っているんだよ」という学生同士の会話にびくっと反応します。クレイジーという言葉がいけなかったようです(笑)。

 幸い額を打っただけでアランの怪我は大したことがなかったのですが、この事故とまた後日謝罪に訪れたオリーブから「エリックがオーストラリアから戻ってきている」と教えられたことがきっかけになって恐ろしい考えに取り付かれるアラン。彼はテープレコーダー片手に「ハロルド・デニスという人物は存在しない。あれはエリックだ。キャサリンが電話で慌てていたがその翌日にデニスが引っ越してきた。それが証拠だ。彼はこの家を乗っ取ろうと企んでいるのだ」

んな訳ねーだろと思いますが(笑)元来、こういう人なので仕方ありません。

 夕食の席でキャサリンにいろいろ聞くアラン。ハロルドの専攻はなんだとか、あんな事故を起こすようなチガイと一緒に住みたくないんじゃないのとか、エリックが戻ってきてるの知ってる?とか彼から連絡はないのとか、しつこいしつこい。キャサリン、すっかり当惑の態であります。

 しかしその後も続く変事。夜、また自分の名を呼ぶ声を聞いたアラン、部屋から出て階段下を覗きます。するとぼんやりとした彼の視界の中でなにやら蠢く黒い影。影はすーっと階段を上がってきたかと思うと手を伸ばして彼のパジャマの裾を掴んだのです。危うく落とされそうになったアラン、慌てて振り払うと部屋の中に逃げ込んだのでした。そしてテープレコーダーに「奴は僕を殺そうとした、それも事故に見せかけてだ」この辺の不可解さ、実に面白いですなあ。

 これで怯えきったアラン、翌日配達の人に驚いて思わず持っていた包丁を握り締めちゃった。これで手に怪我をしてオリーブに手当てして貰うのですがこの時ついに下宿人のハロルドが自分を殺そうとしているという疑惑を話してしまうのです。彼はオリーブにキャサリンの部屋からハロルドの合鍵を取って来て貰いますって、そんなことしちゃいかんじゃないか(笑)。これでハロルドの部屋に入ってみますと、まあフツーの部屋。中にあった本をめくってみるとハロルドというサインが見つかりました。

 キャサリンは大学での車の事故に続いて包丁で手を切ったアランを大層心配して病院で診察を受けるよう勧めます。「お前はやっぱり僕を病院に戻したいのだな」と叫ぶアラン。その夜は大嵐だったのですが、やけのやんぱちで外へ出るアラン。目玉のような赤い光を見たと思った瞬間、倒れて気を失ってしまうのでした。

 次の場面になるともう家の中でベッドに寝ていますから映画というのは話が早い(笑)。彼は子供時代の悪夢を見ております。お父さんから棒で手のひらぴしぴし打たれるアラン。その姿を見て哄笑するキャサリン、ぱっと場面が変わると今度はお父さんとキャサリンが彼を指差して大笑い。アラン、うなされております。

 ようやく意識を回復したアラン。しかし彼の精神状態は非常に不安定で夢と現実の区別がうまくつけられない様子。彼の名を呼ぶ声がまた聞こえてきて焼け焦げた父の部屋に誘い込まれるアラン。その彼の目の前で部屋が崩れだしたのです。夢かと思いきやドアの外に転がっていたのが焼けた木の破片。するとあれは現実のことだったのか、しかしそんなことが起こる筈もない。やっぱり俺はチガイなのだ。彼はタクシーを呼び自分で病院へ行こうとしたのですが目が良く見えない悲しさ、戸口ですってんころりんと転んでしまいます。それを見たオリーブ、慌てて出てきて彼を助け起こすのですが、その時一人の男が近づいてきて声をかけた。「おー、アランかい?大丈夫、俺、エリック、もっと早く来ようかと思ったんだけど仕事見つけるのが大変でさ」彼の声が非常なしゃがれ声だったもので、もうアランはパニック状態であります。

はて、エリックはアランのことを知っていたのかしら。

 彼は家へ戻りオリーブに今までのことを切々と訴えます。しかしオリーブは信じません。それどころか「アラン、今まで黙っていたけど、もう本当のことを話すわ。下宿人なんていないの、確かに部屋を見に来た人はいた。でもキャサリンは断ったのよ」アラン、愕然とします。そしてオリーブに「出て行け、出て行くんだ」枕や本を投げつけて彼女を追っ払ったのでした。全ては彼の妄想だったのか、訳が分からなくなって自室に鍵を掛けて閉じこもるアラン。キャサリンとオリーブは相談して明日朝一番に電話して病院へ連れていきましょうだって。

 この話を盗み聞きしていたアラン、ならば先手を打って逃げてやると翌朝早朝、服を着替えて出て行こうとしたのですが、またも彼の名を呼ぶ声が。彼は家の中を探し始めます。そして食糧貯蔵庫にぼろきれが隠してあるのを見つけた。なんだ、これ?良く見るために中へアランが入った瞬間、背後からフードを被った怪人物、まあ、その体つきから誰なのかはモロバレですけど(笑)が火のついた蝋燭を投げ込んだ。蝋燭はぼろきれに引火。同時に怪人物は貯蔵庫のドアを閉めアランを閉じ込めてしまったのです。

 アラン、慌てて火を踏みけしってやけに簡単に消えてしまいますが(笑)、貯蔵庫の扉をブチ破って飛び出し怪人物を追いかけます。飛びついて組み伏せフードを剥すアラン。現れた顔はキャサリンでした。この時急にアランの視界が澄み渡ります。どうやら精神的盲目が唐突に治ったようです。勢いづいて彼女の顔面を覆っているカバーを剥すアラン。ああ、なんということでしょう、まったく火傷などないではありませんか。困惑するアランにキャサリンが叫びます。「そう火傷なんてもう治ったんだ。あんたを苦しめるためにカバーをつけていたんだ。あんたはこの世で最も素晴らしい人を殺した、だから復讐なんだ」

 精神病院へ収容されるキャサリンです。ラスト、彼女からの手紙で真相を知るアラン。ハロルドは一度家を見に来て借りることを決めた。しかしその夜電話で彼は「母親が死んだので間借りは止めておきます」これをキャサリンは利用したのです。こうして架空の下宿人を作り上げアランを苦しめ最終的には殺害しようという計画だったというのです。

 今やオリーブと恋人同士になり大学での教職も得て幸せを満喫しているアラン。しかしその時急にまた視界が暗くなって・・・エンドマーク。

 カラー・スタンダード モノラル音声。画質は今ひとつ。色の濁りと残像が酷くアランの視界がぼんやりしているという設定が今ひとつ上手く生きていません。ぼんやりした視界がアランのせいなのか、単に画質が悪いだけなのかとっさに判断できないからであります(笑)。その分音質はクリアー。台詞が本当に聞きやすい。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack CollectionMill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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