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2008年1月31日 (木)

『SF地底からの侵略/無差別襲撃!戦慄の殺人有機ガス』(『They』 1974)

 

『SF地底からの侵略/無差別襲撃!戦慄の殺人有機ガス』(『They』 1974

これはあのビル・レバーン親父がプロデュース、監督はこれが映画デビューの新鋭監督ITOというフレコミなのですが、実はITOというのはビル・レバーンと同一人物。まったくもっていつもながらに無意味なことをしてくださるビル・レバーン親父です。だから映画の出来はというと・・・そりゃ、当然まともな訳がない(笑)。

 冒頭人々が走り回っております。そして倒れていきます。地球が大写しになって画面を覆い尽くしたかと思うとぱっと消えて今度は怪しい光。次にぞんざいな出来の円盤がくるくる。森から赤い煙が出てくるという実にテキトーなオープニングであります。

 場面がぱっと変わってようやく映画の始まり、始まり。ここはカナダの山の中。山小屋経営、ハンティングガイド、パイロットで生計を立てているのがジェイク・スティーブンス(ニック・ホルト)とサラ(デビー・ピック)の兄妹。ジェイクは狩りから戻ってくるなりマキ割をしていた妹に「鹿はおろか、鳥やリスだっていやしねえ」 この三週間、この山小屋には何らかの調査のためにエリック(カール・ワラス)、スタン(ポール・ベンツェン)、アンディ(ロバート・アーキンス)が滞在しておりまして、本日帰ることになっております。ジェイクは山小屋にこもりっきりで町を知らないサラを心配して「なあ、一緒に町へ行かないか。あっちに住んでもいいぞ、そして友達を作ってエリックみたいな男と結婚するんだ。パパが生きていたらきっとそう願ったに違いないよ」しかしサラはけんもほろろ、エリックに好ましい感情は抱いているようですが、それ以上に彼女は町を憎んでいるというのです。

あ、サラが町を憎んでいるという設定はこの後の展開に全然関係ないので速攻で忘れて下さって結構です。

 さて、エリック達三人はサラにさようならを言ってジェイクの飛行機に乗り込みます。ぱーっと飛び上がる飛行機。エリックたちは「あーやっと町に帰ることができる。熱いシャワーに清潔なベッド、そして女だ」なんてはしゃいでおります。ところがまもなく町の空港に着陸するというのに管制所との連絡が取れません。心配になったジェイクが何度も何度も呼びかけますとやっと管制官のサム(アーノルド・ディドリクソン)が応答したのですが、苦しげな声で「着陸するな、戻れ!」驚いたジェイクが訳を聞きますと「人々が蝿のように死んでいる。伝染病だ、俺もやられた、もう駄目だ」

 それでも着陸を強行しようとしたジェイクですが、サムは滑走路の真ん中に立って妨害します。これでついに諦めたジェイク、近くのベア・クリーク・ロッジへ向います。冬季は閉鎖されているロッジなのですがジェイクはここに燃料がストックされていることを思い出したのでした。しかし着陸して格納庫を調べてみると見事にタンクはカラ。がっかりする一行です。この時接近してくる飛行機の音が聞こえてきたので外に出てみると、その飛行機は突然コントロールを失い近くの森へ墜落してしまったのでした。

 どかーんという大きな音が響くだけで実際に飛行機が爆発する訳ではありません。この種の映画で定番の飛行機墜落描写であります。

 ジェイクとエリックは救助に向います。その間アンディとスタンはラウンジの建物に入って自家発電装置を作動させ無線機を試すのですがびびびという音がするだけで通信はできません。そして不可思議な赤い光が現れ二人を驚かせたのです。「あ、あの光はなんだ」息を飲むスタン。アンディは考え深げに「私が思うにはあれは、助監督の若い人が懐中電灯に赤いセロファン被せて照らしているんだ」ってこら、本当のことを言うんじゃない(笑)。一方、ジェイクとエリックは墜落した飛行機を発見するのですが猛火に覆われておりパイロットを救出する術はありませんでした。

 さて、山小屋のサラ。またマキを運んでおります。とその時無線機から怪しい音が。サラがマイクを握って呼びかけますといきなり「キミタチノショザイヲアキラカニセヨ」というロボットみたいな声。思わずぷっと失笑する私に構わず「誰なの、どこから通信しているの」と答えるサラ。謎の声は「ソレハタイシタモンダイデハナイ。ワレワレハワレワレノキカイヲセッチスル」もーなんだか訳が分からない。突如人々を襲った疫病、謎の赤い光、この怪奇な声、一体何が起こっているのというのでしょう。

 ジェイクたちは山小屋へ戻ります。

 唐突にラジオのアナウンサーが出てきて「アメリカ全土で大規模な通信途絶が起こっております。疫病の正体も定かではありません。みなさん、ご注意ください」

 夜になりました。エリックはさらにこの近辺の地図を借りてなにやら検討中。スタンは目をぐるぐるさせながら熱狂的に「あの赤い光も通信も伝染病もみんな空飛ぶ円盤の仕業なのだ」呆れたアンディは「おれ、散歩行ってくるわ」おや、彼は外でなにやら飛行機を弄っているようす。画質が悪くまた夜の場面なので詳しいことがまったく分からないのが残念です(笑)。

 そして再び無線機から聞こえてくる怪奇な声。「ソチラハスティーブンスカ」「そうだ」と答えますといきなり「ゴキゲンイカガデスカ」だって(大笑い)。その後はだんまりでいくら「お前は誰だ、どこから通信しているんだ」と聞いても答えやしねえ。

 そうこうするうちにまた唐突にアナウンサーが登場します。今度はどうやらテレビ番組のようです。アナウンサー、開口一番「空飛ぶ円盤が各地で目撃されております。一部ではこの円盤が伝染病に関係しているという見方もあるようです」それから紹介された二人のゲストがおばさん、ローズマリーとおっさん、ダンカンの二人。この二人、円盤を目撃したというのであります。しかもダンカンに至っては円盤に乗り込み宇宙人たちとおしゃべりまでしたというのです。アナウンサーから「それで宇宙人のみなさんはどの星からやってきたのですか」ダンカン、生真面目な顔で「天王星(ユラナス)じゃと言っておった」ソファーに座ってこのテレビ番組をみていた二人の男女、「わははは、韮澤さんだってこんなこといわないよ」と大笑い。

 円盤はともかく伝染病で人がばたばた死んでいるんだからもっとマジメにやれと思っていたら、突然テレビ局の照明が点滅し始めます。「なんだ、なんだ」と大慌てのスタッフ。同時に二人の男女もソファーの上からぱっと消えてしまいました。やっぱりレバーン親父だからこんな訳の分からないことになる。さすがレバーン親父、期待を裏切らない男ですよ。

 翌日、ジェイク、スタン、サラの三人はライフル片手に外へでてなにやらうろうろしております。あ、スタンが転んだ、でもそれでどうにかなる訳ではなくてまた立ち上がってうろうろ。まったくもってだらだらした演出で、レバーン親父の辞書にはサスペンスなどという文字がないことが分かります。

ジェイク・サラ・スタンがうろうろしていたのは狩りのためだったのですが、冒頭と同じく「鳥やリスさえもいない」状態で獲物を見つけることができません。この間、山小屋に残っていたアンディは倉庫でガソリン満タンのスノーモービルを発見します。「おーい、エリック、いいものがあるぞ」とアンディが戻った直後、また画面に現れる赤い光。

 エリックは相変わらず短波ラジオをいじっております。と、突然音楽が鳴り出したのです。「わあ、まだ生きている人がいるんだ、ばんざーい」と喜ぶエリック。丁度その時戻ってきたサラとスタンを捕まえて「さあ、踊ろう!」別に踊ることはないだろうと思いますけど(笑)。しかしそのうちスタンが余計なことに気がつきます。「この音楽、ずっと同じところを繰り返しているよ、そんなことするラジオ局なんてないよ」たちまちしょんぼりとなるみんな。これは何ですかねえ、無人のラジオ局が自動で放送をしているということなのでしょうかねえ。それでなんで同じ音楽を繰り返しますかねえ、本当に良く分かりませんねえ。

 その夜、痺れを切らしたアンディが山小屋からそっと抜け出てジェイクの飛行機に乗り込みます。他のみんなが気がついて飛び出して来たときにはもう手遅れ。ジェイクは飛行機のエンジンを始動させてそのまま離陸したのです。「よーし、これで文明社会へ戻れるぞ」と歓声を上げるアンディ。しかしその時彼は見ました。コックピットの中で赤い光が点滅するのを。赤い光は複雑に点滅しながらアンディを包み込みます。「ぎゃあああ」とアンディが悲鳴を上げた直後、飛行機は爆発したのでした。

 唐突に場面は変わってここはどこかの町。いい気分でバーから出てきた酔っ払いが道路から噴出す赤い煙を見て立ち尽くします。「わあ、なんだあれは」バーに駆け戻る酔っ払い。あれ、道路をはいずっている男も一人いるぞ。バーの窓からも赤い煙は見えてみんなパニック状態。酔っ払いは喉を抑えて「ううう、き、気分わりい」飲みすぎじゃないのか(笑)。

 どうやらまた別の町が謎のガス・伝染病にやられたという描写らしいのですがねえ。

 山小屋ではもう食料もなくなりそうだ、こうしていても仕方ないので、ジェイクがスノーモービルで助けを呼びにいくことに。「じゃあ、みんな、俺が戻るまで頑張ってくれよ」ジェイク出発します。この後、また無線から聞こえてくる謎の声。やっぱり「ゴキゲンイカガ」とか言ってやがる(笑)。「キミタチノセイカクナバショヲオシエヨ」、「キミタチハナンニンイルノダ」などと聞いてくるのですが、聞いたら聞きっぱなし。スタンが「俺たちゃ、4人いる」と答えても返事もしやがらねえ。そしてまた唐突に場面が変わってアカラサマな発炎筒からでる煙に怯えて逃げ回る人々の姿が。またぱっと場面が変わると今度はスノーモービルで疾走するジェイクの姿。

 ジェイク、延々スノーモービルで走ります。いい加減飽きたところでまたあの赤い光が。ジェイク、スノーモービルの上で意識を失ってしまいます。そしていきなりその姿が消えるという・・・。

 またどこかの町で逃げ惑う人々。今度は思い切り紐で吊るされた空飛ぶ円盤まで登場します。

 ジェイクは戻ってこない。食料はどんどんなくなる。このままでは飢え死にを待つばかりということで残された三人は徒歩で町を目指すことになりました。またえんえん歩く三人。映画の残り時間はあと14分しかないのに(笑)。えんえんと歩いた挙句、やっと野営の準備にかかる三人。ここでスタンがこの騒動を引き起こしている円盤と宇宙人について世にも馬鹿馬鹿しい考えを開陳するのでした。「8,000年前、火星が地球に大接近した。月よりももっと近くなったのだ。火星はその位置に2000年も留まったのだ(ええっ!)。それで電磁波・重力が影響して惑星崩壊の危機にさらされた火星人たちは地球へ移住したんだよ。彼らは進んだ科学で地球を探査して地球の内部に大空洞があることを発見したんだ(ああ、そうですか)。おまけに大空洞の大気は火星のそれに近かった(はあ?)。火星人たちはそれ以来地球の内部に住んでいたのだ。空飛ぶ円盤は宇宙からじゃなくて地球内部からやってきていたのだ」

 夜中にこんなくっだらねーこと聞かされると本当に頭にきます(笑)。いい加減、この種のことには慣れていると思ったのですが、やっぱり、ビル・レバーン親父には勝てません。

 この後、エリック、スタンはマキ拾いへ。これがなかなか戻ってこないものですからサラも野営地を離れて二人を探します。あと映画の残り時間は10分を切ったのに、やっぱりえんえんとさ迷う三人。あ、あれ、サラ、茂みの中で寝ようとしているぞ、なんだ、あと6分しかないのに何のつもりだ。サラ、次の場面では何事もなかったかのようにフツーに歩いております。もうムチャクチャです。

 こうしているうちにばたりと倒れるエリック。何の説明もないけどどうやら死んだらしい。

 この後また唐突に場面が変わってラジオ局のスタジオになります。DJがレコードを掛けながら「皆死んだ、俺が地球でたった一人生き残った人間だ。誰か、何とか言ってくれ」などと叫んでいるという・・・。

 スローモーションで走るサラ。その行く手には微笑んでいるスタン。二人は一緒に歩きます。すると突然二人が裸の少年と少女に変わってしまいました。おまけに雪山が花咲き乱れる草原に!歩いている少年と少女。おしまいってふざけんな、時間と金かえせ、モギリのオバサン人質に取って立てこもるぞ、コノヤロー。公開当時、観客の48パーセントが顔面を怒りで赤くしてこう叫んだそうであります。

 実際、酷いな、これは。クズ揃いのビル・レバーン映画の中でもとびきりだよ。これに比べたらあの『ジャイアント・スパイダー大襲来』だってマトモに見えるよ。

カラー・スタンダード モノラル音声。映画も酷いが画質も酷い。例によって暗い場面で何やっているのかさっぱり分かりません。解像度が低くめりはりがまったくないのも大きなマイナス。音声は標準レベル。音声は聞き取りやすいのですが、こんな映画の台詞まじめにヒアリングしたって仕方ないし(笑)。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack CollectionMill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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