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2008年3月 4日 (火)

『The Deadly Mantis』 1957年

 

The Deadly Mantis』 1957年(『死の大かまきり』と訳されることがありますが本邦未公開のため正式な邦題ではありません)

 本当に長いことDVD化を待っていた映画。ようやくDVDを手に入れて期待に胸を膨らませて見てみたら…、マア、それほどのことはなかったなと(笑)。巨大カマキリの造形がカッコ良かったからいいじゃないかと自分を無理やり納得させたという。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

冒頭ばーんと現れる世界地図。ナレーターが厳かに「ある出来事が予想もつかないような反応を生み出すことがある」すると南極近くの小島で火山が爆発。するってぇとこれがナレーションの通り思いがけない反応を生み出した。南極で爆発した火山がなぜか北極に影響を与え氷山が溶け出したのであります。割れて落ちる巨大な氷塊。この中にああ、あれはカマキリや、馬鹿でかいカマキリや。ここでタイトルがばーんと出ます。物凄くカッコいいです(笑)。

 オープニングクレジットが終了してからえんえんとアメリカの防衛レーダー網、平たく言えばロスケ撃退用、の説明。北極方面に三重のレーダー網が張り巡らされており絶対侵入を許さない体勢になっております。このへんレーダー基地建設のストックフッテージがずうっと使われており極めてお安く仕上がっていると推察されます。

 しかし、このレーダー網にまったく捉えられない敵がいました。ブーンと羽音を立てて飛んできたそれはレーダー監視所に襲い掛かって破壊してしまったのです。連絡が途絶えたことを知ったレーダー基地イーグル1の司令官、パークマン大佐(クレイグ・スチーブンス)。パイザー中佐(ポール・キャンベル)と調査に向ったのですが、そこで目にしたものはムチャクチャになった監視所の残骸と雪原に残された2本の長い溝だけでした。この後イーグル1のレーダーに何者かが反応、直ちにレッドアラートが発令されF-84G戦闘機が迎撃に向います。しかし目標を発見できず。むなしく帰還することになりました。

 しかしほどなくして第二の事件が発生します。飛行中の輸送機が襲われたのです。これを知ったレーダー基地イーグル1の司令官、パークマン大佐。パイザー中佐と調査に向ったのですが、そこで目にしたものはムチャクチャになった輸送機の残骸と雪原に残された2本の長い溝だけでしたってなんだか同じようなことをしておりますなあ(笑)。たったひとつ監視所と違っていたことは残骸から巨大な棘のようなものが見つかったこと。二人はこれを持ち帰りコンナッド(CONAD コンチネンタル・エア・ディフェンス・コマンド)へ報告します。司令官フォード将軍(ドナルド・ランドルフ)はこれをさらにペンタゴンへ送り科学者グループに分析を依頼したのでした。

 しかし米国の名だたる科学者陣を持ってしてもこの棘の正体は分かりません。「そりゃ困りましたなあ」と渋面を見せる将軍に科学者陣のリーダー ガンサー教授(フローレンツ・エイムス)が「ならばワシントンの自然歴史博物館のネドリック・ジャクソン博士に聞いてごらんなさい。どうやらこの棘の正体を調べるには古生物学者の知識が必要なようだ」

 ここでようやく主人公たるジャクソン(ウィリアム・ホッパー)が登場ですよ。その彼にくっついているのは博物館の編集委員マージ(アリックス・タルトン)、こっちはこの映画のヒロイン役であります。ジャクソンはペンタゴンに呼び出され例の棘を見せられます。彼はためつすがめつして「これは骨じゃないですねー。どうも外骨格のような気がするのですが」これを聞いたガンサー教授は「外骨格ってつまり虫のたぐいかね。わしゃゴキブリとかそういうのが大嫌いなんじゃ」どさくさに紛れて関係ないことを言っております(笑)。「嫌いでもその可能性が高いようです。ガンサー教授、この棘から体液とって分析してくれませんか」

 この結果、体液には赤血球が含まれてないことが判明します。これでこの棘は間違いなく巨大な昆虫のものであるということが判明したのです。

 博物館を訪ねたガンサー教授、ジャクソン、マージと共にこの昆虫の正体について激論を戦わせます。「しかしジャクソン君、巨大な昆虫ったって現在の地球にはそんなものはおらんよ」「巨大な昆虫ですよ、そんなの古生代のものに決まってます」そして大胆な仮説を展開するジャクソン。「これはきっと氷漬けになっていたのです。マンモスだって氷漬けになっていたじゃありませんか」「しかし、そのマンモスは死んでいたのだぞ」「いやいや、シベリア人に食われてなければきっとその後マンモスは生き返ったに違いありません!」そういうことはないと思うけれども(笑)。

 それで肝心の正体はというと「羽を持ち棘があってしかも肉食、これはカマキリですな」ということになりました。

 この後三度出現する巨大カマキリ。今度は全身をはっきり現してエスキモー村、ポリティカルコレクトでいくならばイヌイット村、を襲います。

 これは大変、早いところ調査をしなければならないということでイーグル1へ向うことになったジャクソン。マージもちゃっかりカメラウーマンとして同行しております。ところがイーグル1の兵士たち、長いこと女など見ておりませんから、やってきたマージにもう大はしゃぎ。ぴーぴー口笛を鳴らす馬鹿者までいる始末(笑)。

 そんな彼女は放っておいてパークマン大佐と輸送機の残骸を見に行くジャクソン。彼らの飛行機を谷から見上げる大カマキリという図がこれまた大変カッコ良い。その夜兵士達はマージ歓迎のダンスパーティ。レクレーションルームで踊り狂っております。そんな中基地にひたひた近づいてくる大カマキリ。

 大カマキリ、基地の窓から中を覗きます。覗き込んだ部屋の中ではジャクソンが計算尺片手に一心に研究しております。そこへ踊り疲れたマージとパークマン大佐が戻ってきた。窓からドアップで大カマキリの顔が見えているのにみんな全然気がつかず普通に会話しているこの間抜けさよ(大笑い)。ようやくマージが気がついて「ヒーッ」と魂消る悲鳴。これを合図に大カマキリは研究室の屋根を破壊します。命からがら逃げ出すみんな。大佐は直ちにマイクを取って「レッドアラートだ、みんな出撃せよ!」

 隊員たちがライフル銃や機関銃、果ては火炎放射器まで持って大かまきりに立ち向かいます。みんなぞろぞろ出てきた筈なのに実際戦っているのは僅か2名。ちょっとヘンですがまあ、あまり気にしないでください。機関銃、火炎放射を受けた大カマキリ、羽を広げてわっさわっさと飛び立ちます。

 大カマキリはその後海上で漁船を襲撃。船員二人を食べちゃった。その後飛行を続けどうやら北米大陸へ侵入を目論んでいるらしい。ジャクソンは言います。「彼は南下しています。もともとの生息域である南米を目指している。その温かい空気に引き寄せられているのです」そんなカマキリがなぜ北極くんだりで氷漬けになってたかって言うんですよ(笑)。ともあれ米国は大カマキリを警戒せねばならぬ。そこでフォード将軍がラジオ、テレビを通じて米国民に呼びかけたのであります。ひとしきり将軍が喋った後で交代したジャクソン。大カマキリの想像図と例の棘をテレビカメラに見せて「ごらんなさい、このカマキリはC-47より大きいのです。しかもこのカマキリは人ば食います。とにかく不審な飛行物体を見たら通報してください」

 この呼びかけに答えて空を見張る米国の人々。

 しかし実際に大カマキリを発見したのはこれまでの流れにまったく関係ない(笑)空母でした。迎撃命令が下され空母から飛び立つF-9パンサー戦闘機部隊。彼らは眼下を飛行する大カマキリに勇躍ロケット弾攻撃を敢行します。大カマキリはこの攻撃を嫌って降下雲海の中に姿を消すのでした。攻撃の効果を確認することも出来ずむなしく引き返すパンサー部隊。

 大カマキリは姿を消しますが全米各地から上がってくる不審な目撃情報を検証してみるとどうやらひたひたとワシントンに近づいている様子です。そして濃い霧の夜、ついにその姿を現した!大カマキリはまず列車や車を血祭りに。その後沿線バスを襲います。霧の中にぼんやりと浮かび上がる大カマキリのカッコいいこと。この現場に行き当たったのが何故か急速に仲良くなったマージとパークマン大佐。車の中でキスなんかしているという・・・(笑)。最初は単なる事故と思われたのですがマージとパークマンの乗った車が走り去ると例のスキッド跡が残されているという演出が憎い。

このヘンから映画の実質的な主人公はパークマン大佐となります。なんだか必要以上にややこしい映画です。

 大カマキリは首都ワシントンに侵入。なんとよりにもよってワシントンのシンボルとでもいうべきワシントン記念塔に取り付きます。これをやっつけるべく出撃したのがパークマン大佐率いるF-86Fセイバー部隊。と思ったら大カマキリいつの間にか飛び上がってやんの(笑)。フォード将軍の命令で周囲に配置された対空砲が火を噴きます。しかし大カマキリもただ撃たれているばっかりではありません。レーダー電波の下にもぐりこみまた姿を消してしまったのですと思ったら市民に見つかって通報されちゃった。これでようやくパークマン大佐のセイバー部隊対大カマキリの戦いになるという・・・。生意気なこというようですみませんけど、これちょっと段取り悪くありません?

 セイバー部隊はロケット弾攻撃を敢行します。あ、なぜかF86FセイバーがF86Dセイバードックに変わっちゃったぞ(笑)。しかしまったくひるまない大カマキリ。なんとセイバー部隊に向って体当たり。パークマン大佐機は大カマキリと正面衝突してしまったのです。直前になんとか脱出を果たしたパークマンでしたがまたも大カマキリを取り逃がしてしまったのです。大カマキリはその後どうなったのかというと誰にも姿を見られないくらいの早業でニューヨークに行きマンハッタントンネルに潜りこんだのだそうな。いや、空を飛んでいた大カマキリが次の場面ではマンハッタントンネルの中、これはなかなか大胆な編集ですな(笑)。

 それにパークマンとマージは恋仲になったのですから彼の墜落の連絡が入ってきてマージ、真っ青、しかしその後生存が確認されて一安心なんて場面があったとしてもおかしくないのですが。

 さていつの間にかトンネルの中に入っちゃった大カマキリをどうするか。まずフォード将軍は両側をビニールシートで閉鎖させ煙を送り込ませるのです。この煙を目隠しとして毒ガスを持った決死隊を送ろうという計画。この決死隊を率いるのがもちろんパークマン大佐。北極のレーダー基地にいたり戦闘機で戦ったりトンネルに入らされたり本当にいろいろやらされますな。彼を心配そうに送り出すのがマージとジャクソン。しかし、この時点でもう映画は残り10分を切っています。残されているのは大カマキリの最後だけです。だからあんまり心配することはないのです(笑)。

 防護服を着た決死隊、トンネルの中を進みカマキリ発見。直ちに毒ガス弾を投げつけます。二発投げつけたところで大カマキリ、ついに口から涎を垂らしつつ崩れ折れたのでした。

 ラスト、ジャクソン、将軍、マージ、パークマンが大カマキリの死体見物。マージが雑誌の表紙ためにカマキリの写真を撮影しようとします。するとその時カマキリの前足が動いた。マージ、危うし。これに気がついたパークマンが彼女を助けてキス。ジャクソンが「いや、これは単なる筋肉の反応で大カマキリはやっぱり死んでいるんだよ」と言ってキスしている二人の写真を撮影したところでエンドマーク。

最初の雰囲気は物凄くいいのに、主人公がいつの間にか入れ替わったり、盛り上がるべき後半で大カマキリが空を飛んでばっかりだったりと残念なことが多い映画でありました。

 モノクロ・スタンダード モノラル音声。画質はさほどでもなし。黒は沈んでおりますが解像度感がなく細かい部分が潰れてしまっています。音声は上出来。大カマキリの鳴き声がカッコいい!「クラシック・サイファイ・アルティメイト・セットVolume 2」(『The Deadly Mantis』『Dr. Cyclops』『Cult of the Cobra』『The Land Unknown』『The Leech Woman』を収録したボックスセット)。Volume1と同じくお洒落なアウターケースがついた豪華なボックスセット。こんなDVDセットならわたしゃ一兆万枚欲しい。英語字幕つき。ユニバーサルのDVD

 エロの冒険者 

       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/

      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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