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2008年3月 2日 (日)

『The Doomsday Machine』 1972年

 

The Doomsday Machine』 1972

 最初っから最後までいかがわしさと安っぽさに満ちた地球終末もの映画。ストーリーも訳が分からないし、まったくよくもまあ、こんな映画を作ってしかも公開できたもんですよ。

ここは中国(多分)。犬を連れた警備兵がたった一名という物々しい警戒の中、一人の女スパイが研究所らしき建物に忍び寄ります。この女スパイ、小脇に抱えていた猫を兵の中へぽいっ。わんわん、ふぎゃあ、たちまち巻き起こる犬対猫地球最大の決戦!この隙に乗じて塀を乗り越え見事潜入を果たした女スパイって、お前ら、人をなめとるじゃろう(笑)。女スパイは更衣室で白衣を奪い科学者に変装します。こんなことするなら最初っから白衣で来た方が良かったんじゃないか。

 さらに女スパイはここで働いているらしい仲間と合流、エレベーターに見張りを倒し、立ち入り禁止区域の階へ。立ち入り禁止にしては見張りの一人もいないフロアで、馬鹿でかい鉄の扉を潜ります。その先で彼らを待ち構えていたのは赤い檻に入れられた怪奇な兵器。実はこれは中国が秘密裏に開発したドームズディ・マシーン、何だか分からないけれどもこれに掛かれば地球もイチコロという最終兵器だったのです。女スパイは「檻の鍵は毛主席しか持っていないわ、我々に出来ることはこの存在を世界に知らしめることだけ」女スパイ取り出したカメラでぱちぱち写真を撮り、仲間の助けを借りて通風孔から脱出したのです。

 このフィルムがアメリカに持ち込まれまして科学者たちを集めてスライド上映会(笑)。女スパイ、「これを使うと核の連鎖反応が起こって地球が壊滅します。彼らは51時間後に使うつもりです」って随分急だな、オイ。慌てて同席していた政府の人が大統領にこのことを連絡します。

 ぱっと場面が変わりまして今しも金星探検計画、プロジェクトアストラが実施されようとしているロケット基地。探検隊隊長のカート・メイソン少佐(グラント・ウィリアムス)が記者会見を開いております。金星への飛行コースを説明した後で「では皆さん、何かご質問は?」 記者たち、はいはいはいと手を上げて「探検はどのくらいの期間を予定しているのですか」「行きに4ヶ月、帰りに4ヶ月、金星調査に16ヶ月で合計2年になりますな」「その間ご家族はどうするのですか、二年間放ったらかしですか」「メガマウスの口より大きなお世話です」私もそう思います(笑)。

 そんな中、突然基地に鳴り響く警報音。なんと第一級非常体勢が発令され基地は軍の指揮下に入ることになったのです。「なんだ、なんだ」と驚き騒ぐ隊員たち。そうするうちに政府・軍のオエライさんがやってきて、「あ、君たち、発射がずんと早まったから。それに三人、交代してもらうね」寝耳に水のことで隊員たち、呆然とします。しかも交代要員というのが三名の美女だったからなおさらです。カート少佐は気色ばんで「そんな、女を入れてどうするんです。女性用の部屋がある訳じゃないからプライバシーもへったくれもありません。そんなんで二年の任務をこなせるはずないじゃないですか」「いや、そんな事言っても駄目なの、大人しく彼女達を連れていきなさいっての」オエライさん、ぴしゃりとカートの反撃を封じます。

 ここでこの三人の美女を紹介しておきましょう。生物学者 マリオン・ターナー少佐(ルタ・リー)、ソ連第一等の女性宇宙飛行士で月へ降り立った最初の女性であるジョルジアナ・ブロンスキー(マラ・パワーズ)、コンピュータースペシャリスト ケイティ・カールソン大尉(アン・グラント) あたしたちにはプライベートなんか必要ありませんよ、だって女性宇宙飛行士ですもの、フンてな顔をしております(笑)。

 そして慌しく発射準備が再開されます。とにかく早く発射するために細かなチェックはすっ飛ばしてしまうのが凄い。発射された金星ロケット、大丈夫かと思いますが、何しろわが東宝特撮の『妖星ゴラス』のJX-2鳳号のフッテージを使用しておりますからな、ちゃんと宇宙へ飛び出すのです。しかしこの発射時の加速でペリー船医(ヘンリー・ウィルコクソン)の心臓がおかしくなった。酸素吸入しなければ命が危ないのですが、何しろ第二次加速の時間が迫っており手出しをすることができません。

 しかし、ここにブロンスキーさんあり、彼女は危険を承知でシートから飛び出すと素早く携帯用のタンクを取って酸素マスクをペリーの口にあてがいます。タンクのバルブを緩めると酸素がシューっと思いきや、これがでてこないんだ(笑)。国家的プロジェクトなのになんでこんなボロを使うんだ。慌ててタンクを叩いたりひっくり返したりするブロンスキー。加速の時間は刻々と迫っています。このままだと加速のショックでブロンスキーは放り出されて壁に激突、ぐしゃりと潰れるなんてことになりかねません。あせるブロンスキー、まさに手に汗を握るサスペンスであります。まあ、ぎりぎりのところでちゃんと間に合うようにはなっているのですが。

 その通りちゃんと間に合って席につくブロンスキー、直後に第二次加速が開始され、宇宙船はさらにスピードを上げて金星を目指します。

 このあたりからこの任務についての疑惑を語り始めたのがペリー。「中国が世界を破滅するような兵器を作っているという噂がある。発射直前の乗組員交代なんか、これに関係があるんじゃないか。地球が破滅してもこの宇宙船に女と男が乗っていれば人類が滅亡することもない」なんて言ってます。はい、その通りです。

 もっとも他の隊員たちは暢気なもの。女達が着替えているところにうっかり男性隊員が入っていって「ちょっとノックぐらいしてよ」と叱られたりしております。なんだ、お前ら(笑)。そして狭いところ(宇宙船)に妙齢の男女がいれば出来てしまうのが世の理。カートはターナーと話しているうちにたまらんごとなってキス。ブロンスキーはペリーと仲良くなったのか、「そう言えばソ連の幽霊宇宙船の噂を聞いたよ」「それは、金星探査ロボットシップのイズベスチャよ、無人船なの」「いや、しかし、その幽霊船と時を同じくしてイゴール・ミカーノ博士が失踪したと聞いたが」「馬鹿なこと言わないで、彼は私の宇宙飛行訓練のインストラクターだった、そんな船には乗っていないわ」という会話を交わしております。なにやら意味深ですが、後から金星でそのロボットシップを発見して乗り込んだらイゴール博士とやらの干からびた死体がばーんと出てきたりするのでありましょう。

 この間、時々『妖星ゴラス』の宇宙ステーションや鳳号の映像が挿入されます。まったく話の流れを考えずテキトーに繋いでいるだけ。フッテージ使うならもうちょっと丁寧にやって欲しいものです。

 いい加減退屈してきたところで事件発生。いきなり地球からの通信が途絶えたのです。なんだ、なんだと観測室の望遠鏡で地球を覗いてみますとなんということでしょう、禍々しい光が地球全土で明滅しているではありませんか。そしてまたまた使われる『妖星ゴラス』フッテージ。場面は東京洪水、水没シーンであります。みんなは呆然となって「大変だ、地球で核戦争が起こったぞ!」

 ついに地球が吹っ飛んだ、もう地球と言う星はなくなった、愕然となるクルー達。ケイティなどパニックにかられて暴れだすのでした。面倒ですからクルー全員でタコ殴りにして彼女を失神させベッドに縛り付けます。象でも倒れそうな量の鎮静剤をたっぷりと注射してようやく大人しくなった。女だけじゃない、男のダニー乗組員(ボビー・ヴァン)もショックのあまり硬直してしまいます。やっぱり面倒ですからクルー全員でタコ殴り。その痛みにぎゃああと叫んだダニー乗組員、やっと正気づいたのでした。

 しかし安心してはいられません。砕け散った地球のかけらが隕石となって宇宙船アストラを襲ってきたのです。ぶつかればイチコロ、おまけに隕石から放射線が出ていてこのままだと被曝してしまいます。急遽宇宙船のコースを変えて隕石を回避。放射線は壁にシーツを掛けて(笑)遮蔽することで当座の危機を逃れたのであります。

 ところがこの回避行動で燃料を消費しすぎたため、金星へ着陸することができなくなってしまったのでした。重量オーバーのため降りられるのは人間三人だけ。後の4人は宇宙の藻屑にならなければならないという・・・。この過酷な現実に直面したクルー達が取った行動と言えば、そらもう決まってますがな、男や女のあんなことやこんなことですがな!ダニーはブロンスキー、カートはマリオン、ハインズはケイティをそれぞれ仲良くなるのであります。一人あぶれたペリー、「わしゃ年だからもういいのじゃ」

 さあ、いよいよ金星に着陸する時がやってきた。コンピューターに3人を選ばせるというカークたちに反発するハインズ。ほらみろ、やっぱり選ばれなかったじゃないかということでこうなりゃやけだ、力づくで・・・とブッソウなことを言い出します。これに怯えたケイティはひーっと逃げ出してよりにもよってエアロックに逃げ込みました。後を追っかけたハインズ、何故かケイティの服をびりびりに破きまして「ひひひ、ひひひ、させんかい、ええやろ!」この時ついうっかりボタンを押しちゃいまして壁面ががーっと開いて宇宙に投げ出されてしまいましたとさ(大笑い)。そんなうっかり押しちゃうようなところに開放ボタンつけとくなあ!

 クルー達、宇宙船のモニターで二人を見て「おお、なんてことだ」「ケイティ、ケイティ」と大騒ぎするのですが、モニター画面は真っ黒のままだという・・・。この映画の特撮の下手さ、ここに極まれり、なんでこんなことやっちゃうんだ。

 その後協議して金星へはカート、マリオン、ブロンスキーが降りようということになったのですが、ここでカートが「二人分軽くなったことだし、このままいちかばちか着陸してみよう」と言い出します。みんな席についてブースター噴射シークエンスを開始するのですが、その途端、「あ、ブースター前段の切り離しができねー」という故障が起こった。ダニー、ぱっと立ち上がると「じゃ、僕が修理してきます」 宇宙服をつけて外へ飛び出したのでした。ブースター噴射シークエンスは中止ができません。修理が成功してももはやダニーは戻ってくることができないのです。その彼を放っておけずに後を追ったのがブロンスキー。二人でバールのでっかい奴(大爆笑)でがんがん叩いたり、隙間に入れてこじったりした挙句ついに前段を切り離すことに成功します。ブースターを吹かして減速する宇宙船アストラ。

 取り残された二人、このまま静かに死を待つしかないのかと思われたのですがその時二人の目に飛び込んできたのが宇宙船、「イズベスチャ」でした。皆さん、覚えてますか、映画の前半でペリーとブロンスキーの会話に出てきたソ連のロボット金星探査船ですよ。こりゃええもん見つけた、さっそく乗り込む二人。中に干からびたイゴール博士の死体があったのは私の予想通り。まあ、そんなの当たっても嬉しくともなんともないですけどね(笑)。この宇宙船、さすがロボット探査船だけあって、太陽電池の力で稼動しております。二人はさっそく宇宙船アストラに無線通信。「こちらダニーとブロンスキーです。イズベスチャを見つけて乗り込みました。我々はこれを使って金星に着陸します。データーをお願いします」

 この無線を聞いて大喜びのアストラ・クルー達。さっそくカートはデーターを送ろうとするのですが、なぜかここで無線が途絶します。ダニーとブロンスキー、一生懸命に呼びかけるのですが返答なし。その時不意に聞こえてくる不思議な声。

 「わしゃあ金星の集合意識じゃけん。おまえさんが通信していた相手はもう存在せんとよ、わしゃあ、おまえさんたちが地球をぶっ壊したことを知っちょる。そんなのを金星に着陸はさせんけん。おまえらの旅は始まったばかりじゃけん」

 ゴーっと音がしてロケットのようなものがぱっと光ります。これはそれでも着陸しようとしたイズベスチャがブースター使ったということ?それとも集合意識によってエンジンに点火され他の方向へ発進させられたということ?もしかして爆発したの?まったく訳が分かりません。その後空虚な宇宙空間を延々と映した挙句エンドマーク。な、なんじゃ、こりゃ。

 どんな酷い話でも絵がついていればそれなりに分かるのですが、この映画ったらぱっと光らせたりするだけなの。もう『2001年宇宙の旅』より難解なのであります。

 カラー・スタンダード モノラル音声。映画がトンデモなら画質もトンデモ。細かいところがまったく分かりません。音質は歪んでいて耳が痛くなります。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack CollectionMill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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