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2008年5月31日 (土)

『ドクター・サイクロップス』(『Dr. Cyclops』 1940)

 『ドクター・サイクロップス』(『Dr. Cyclops』 1940)

ドクター・サイクロプス役のアルバート・デッカーは『エデンの東』や『去年の夏突然に』等で知られる性格俳優ですが、そのキャリアよりも彼自身の異常な死にざまによって記憶されている人であります。1968年5月5日アルバート・デッカーはバスルームで女物の下着を身につけ、スカーフで目隠し、口にはゴムボール、両手に手錠をつけた首吊り死体として発見されました。注射器が刺さった腕には「コックサッカー」「スレイヴ」といった文字が彫りこまれていたそうで、どうもひとりSMの最中の事故死だったらしい。

 こんな業の深い人がやっぱり業の深い科学者を演じる、映画の世界とは面白いものでございます。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

アマゾンのカラナに作られた薄暗い実験室で光電管が怪しい緑の光を発しております。その傍らで顕微鏡を覗きこんでいるのがこの映画の主人公であるソーケル博士(アルバート・デッカー)であります。彼はいきなり「おお、ついにやったぞ」と歓喜の叫びを上げ背後にいた科学者メンドーサ博士(ポール・フィックス)に「君も見るのだ、この偉大な成果を」メンドーサはどれどれと顕微鏡を覗いて「わああ」真っ青になって振り向きます。「なんだ、君は、なんてことをしたのだ。すぐに研究をやめて資料を全部破棄するんだ、君は神の領域を侵そうとしているぞ!」

 ソーケル博士というのは禿頭に眼鏡を掛けて目をぎらぎらさせているという、まあ、日本のあの人をモデルにしているといわれる、キチガイ博士。こんなアドヴァイスに従うはずもありません。いらだったメンドーサは実力行使に出ようとしたのですが、「き、貴様、何をする。わしの偉大な研究を邪魔させないぞ」と叫んだソーケルに頭をつかまれ光電管に押し付けられてしまいます。ばりんと光電管が割れてほとばしる放射能。見る見るうちにミイラと化すメンドーサであります。

 さて、ソーケル博士、北米科学協会へ「研究のための助手を派遣してくれ」と要請します。まあ、何年もアマゾンのジャングルで研究している変人生物学者といっても世界的なその名声に惹かれ三人の科学者が現地へ向うことになります。ご老人のブルフィンチ博士(チャールス・ホールトン)、紅一点のマリー・ロビンソン博士(ジャニス・ローガン)、若手のビル・ストックトン博士(トーマス・コーレイ)のトリオは飛行機から車に乗り継ぎ、次にオンボロ馬車に乗り換えて最後はチャーターしたロバのお世話になってようやくアマゾン奥地のソーケル博士の研究所にたどり着いたのでした。

 なお、ロバをチャーターする際に持ち主のスティーブ・ベイカー(ヴィクター・キリアン)という男が「わしも一緒に連れて行ってくれなきゃロバ貸さないもんね」と強固に主張したため、仕方なく同行させております。

 彼らの到着を実験室で実験中のソーケルに知らせたのが助手というか下働きのペドロ(フランク・ヤコネッリ)であります。うおんうおんと音をたてる実験室の中からソーケル博士「ウム、分かった、今行く」 そしてソーケル博士、3人を「おお、よく来てくださった、高名なあなた方を招くことができて私は大変光栄です」しかし、この3人をわざわざアメリカから呼び寄せてやらせたのが顕微鏡を覗く事であったという・・・。「いやあ、私は実験のやりすぎで目を痛めましてなあ、もう良く見えないんですよ」三人は代わる代わるに顕微鏡を覗きます。最後のストックトンが「ウウーム、このサンプルは鉄の結晶に似ておりますなあ」と言ったとたん、「やった、ついにやったぞ」と叫ぶソーケル博士。彼は戸惑う三人にハイタッチすると「二年の苦労が報われた。ありがとう、ありがとう。ところであなたたちの仕事は終わりました。後は私一人でやりますので、皆さん、明日の朝、とっとと帰ってください」だって。

 当然納得できない三人。そりゃ、そうです、あんなに苦労してここまでたどり着いたのにやったことと言えば顕微鏡を覗いただけなのですから。しかし三人の抗議にもソーケル博士は涼しい顔。「いや、そう仰られても仕方ありませんな。研究の邪魔になりますので、文句を言わずにとっととお引取りください」

 その夜憤懣やるかたない三人はベイカーも交えて一体彼は何の研究をしているのだろうと語り合います。「おれ、知ってますよ」とベイカー、「博士、鉱山掘ってるんすよ」「信じられないわ」と首を振るマリー。ベイカーは自分の説を確かめるべく木の柵を乗り越えて実験室の裏庭に忍び込むのでした。なるほど、裏庭に深い穴が掘ってある。やっぱり鉱山だ、何か金目のものを掘っているのだとニヤついたベイカーですが、その時博士が実験室から出てきたではありませんか。慌てて隠れたベイカーの前で博士はウィンチを使って穴から先にドリルのついた球体を引き揚げます。そして球体の計器を見てノートに取り、また穴へ降ろしたのでした。実験室へ戻る博士。ベイカーは慌てて隠れ場所から這い出し、そこらに転がっていた石のかけらを拾い集めて逃げ出します。

 実験室へ戻った博士、皿に被せられた布をぱっと取ると、おお、現れたのは小さな、小さな馬ではありませんか。

 さて翌朝になりました。ソーケル博士、4人のところに顔を出し、「さあさあ、そろそろ出発の時間ですぞ。さよならを言いに来ましたぞ」しかしブルフィンチ博士は「いや、私どもは帰りません。あなたの研究内容を教えて貰うまでここに留まります」ソーケル博士は何か言いかえそうとするのですが、その時「ひひーん」という馬の鳴き声が。「ああ、あの鳴き声はおらの馬のピントだ!」ソーケルは「馬鹿、そんなことがあるか、あの馬はいなくなってしまったのだ」と叫ぶなり非常に慌てた様子で実験室へ引っ込んだのです。

 好奇心に駆られた皆は木の柵の間から庭を覗きます。すると網を持った博士が庭をうろうろして何かを探している風情。「夏休みの宿題の昆虫採集か!」と皆が心の中でツッコンだ時、博士は目的のものを見つけたらしく網をぱっと被せます。そして「良い子だ、良い子だ、じっとして」と呟いております。これでみんな、「ああ、あの博士はおかしくなっているのだな」と思ってしまったという・・・。そしてさらにペドロがこんなことを言い出した。「おらは博士のところに動物いろいろ運びましたよ。鼠4ダース、鶏3ダース、犬14頭、猫7頭」「生物学者が動物実験をするのは当たり前だが、それにしても数が多いなあ。一体博士はあの実験室の中で何をやっているのだ」ブルフィンチの言葉に頷く一同。マリーも「不気味悪いわ、もう博士の言ったとおりとっとと出て行きましょう、こんなとこ」と言い出したのです。

 しかしこの後、ベイカーが取ってきた石から放射能が出ていることが判明。ベイカーとストックトンは「ウラニウムじゃないの、金になるぞ、うひひひひ」という理由で、またブルフィンチとマリーは「あの博士のおかしな行動は放射能にやられたせいだ、助けないといけない」という理由でそれぞれ残ることになります。ベイカーはこれが目的でむりやり彼らについてきたのですなー。

 そしてとりあえず実験室に入ってみようということになります。もちろん鍵が掛けられていたのですがそこはベイカーが釘を使って易々と開けちゃった。博士がいないのをよい事に好き放題に調べまわる一同。ペドロはヘンなチューブがつながれた別の部屋へのドアの前に馬の足跡を発見して「これ、ピントーですだ」ブルフィンチ博士もソーケルの研究メモを勝手に漁って「彼は馬を小さくできると考えていたみたいだな」と、その時庭側のドアがばーんと開いて怒り狂ったソーケル博士が入ってきた!「てめえら、人の実験室で何やっているんだ、あ、ブルフィンチ、てめー、人のメモ勝手に読みやがって、そうか、最初から人の研究を盗むつもりだったなあ、こ、ころしてやるう」しかし、博士の怒りはここまで。彼は急に弱気になると「すまん、こんなこと言うつもりじゃなかった。疲れているんだ」

 そしてうってかわってみんなに彼の実験の成果を見せようと言い出したのです。ソーケル博士は「私は地底から直接放射能を取り入れることに成功したのだ」彼は謎のチューブを指差して「放射能はここを通ってあの部屋へ導かれる」ドアを開けます。「この天井に取り付けてあるのが特性のコンデンサーだ、みんな、中に入ってみてみなさい、ほら、ペドロもこっちへおいで、何、小さくなったピントーを見つけた、それはね、お前、目の錯覚というものです。とっととこちらへはいんなさい」

 それからどうするかって決まっているじゃありませんか。コンデンサーをホーとか、ハーとか感嘆の声を上げながら見ているええと、5人になったのか、の後でいきなりドアを閉めてしまうソーケル。「わあ、何をするんです」「出して、ここから出して」と叫ぶ5人を無視してスイッチオン!びびび、ばばばと音がして5人が閉じ込められた部屋が緑の光で満たされたのです。

 次の場面になると床に落ちている5人の服を拾い集めているソーケル博士。一体5人の身に何が起こったのか・・・、言うまでもありません、この怪奇な実験装置のために12インチに縮められてしまったのです。目を覚ました彼らは自分達の境遇に気づいてびっくり。あ、服のほうはどうなったのかと言いますと、ちゃーんと5人は白い布を巻きつけてトーガのようなスタイルになっておりますのでご安心を(笑)。ソーケル博士はうろちょろする彼らを見ては「うむ、うむ、身体的な問題はないな」小さくなったブルフィンチが「私たちに何をしたのだ」と叫ぶのを聞いては「うむ、うむ、知能もそのままだ、完璧、完璧」挙句の果てに「君たちは実験後数時間生き延びた最初の例だ。誇りに思いたまえ」と言って実験の疲れを癒すべく仮眠してしまったのです。

 数時間生き延びた最初の例だって、あの馬はどうだっていうんだよなあ(笑)。

 残された5人、逃げ道を探して右往左往。ドアを押し開けようとするのですがあいにく掛け金が掛けられております。これを外そうというのであちこちから集めてきた本を積み重ねてその上よじ登り掛け金を動かそうとします。

 ビルが積み重ねた本の上によじ登りマッチ棒で掛け金をスライドさせようと試みること5分、ついに掛け金が外れました。喜んだ5人はドアを押し開いて外へ逃げるのであります。しかし、ここでやってきたのが猫。わあ、こらはたまらんとあせる5人でしたが、そのすぐ後にペドロの飼い犬ティポがやってきて猫を追い払うという一幕。それから5人は外のテントからフォークを持ってきたりハサミを分解したりして武器を調達するのです。

 ようやく目を覚ますソーケル博士、ドアが開けられているのに気づいて驚きます。急いで窓から外を覗くとみんな逃げもせず、缶詰を開けようとしたり、本を読んだりしています。マリーなんかどこから持ってきたか知らないけど小さな針で縫い物なんかしているんですよ(笑)。にやっとしたソーケル博士、「おおい、みんな、身体検査をするから戻っておいで」これで5人は驚いてようやく逃げ出すという・・・。ソーケル博士、網を持ってくるとさんざん五人を追っかけまわした挙句ブルフィンチ博士を捕まえたのでした。

 彼を実験室に連れ込んでものさしや秤で身体測定。この時ソーケル博士、何か不審なことを発見したらしく「ウウーム」と唸って考え込みます。これで不安になったブルフィンチ、「ねえ、一体どうしたの、わしの体がどうかしたの」ソーケル博士、ようやく口を開いて「見込み違いがあった。君の体は成長をしておる。このままだと遠からず元の大きさに戻ってしまう。すると君たちは間違いなく私の研究を邪魔するだろう」凄絶な笑みを浮かべて「だから死んで貰わねばならん」ブルフィンチ博士、「きゃっ」と叫んで逃げようとしますがソーケルにあっさり掴まれてしまいます。そのまま毒薬に浸した脱脂綿を顔面に押し当てられて「きゅう」死んでしまいました。

これは酷い。

 もちろん後の4人も皆殺しだ。外に飛び出したソーケル博士、4人が逃げ込んだサボテンの茂みをスコップで叩き潰してしまったのです。しかし、彼らの死体は見つからない、なんと、彼らはサボテンの後ろの壁にあった穴から外へ逃げ出していたのでした。「コンチクショー、戻ってこい」と怒りの声を上げるソーケル博士であります。まあ、逃げている最中に戻ってこいとか待てとか言われてその通りにする奴なんかいやしないですけどね(笑)。

 さて、ジャングルへ逃れた4人ですがもうタイミングの悪いことにいきなり嵐になった。豪雨で押し流されそうになるわ、雷に撃たれて倒れた木に潰されそうになるわ、もう踏んだり蹴ったりとはこのことです。4人はなんとか小さな穴を見つけてもぐりこみ嵐を避けることができました。翌日、からりと晴れ渡った青空の下、4人は川とカヌーを見つけます。「よし、これを川まで押して逃げるのだ!」もうみんなで梃子を使って馬鹿でかいカヌーを押しに掛かるのですが、ここでワニが登場。うひゃーと穴に逃げ込んだ4人、大ピンチかと思われたのですが一計を案じて焚き火をワニの頭の上に落として撃退に成功するのです。

 しかし、安心したのもつかの間、今度は犬、ティポを連れたソーケル博士がやってきました。彼はライフル銃まで持っていて見つけ次第4人を射殺してしまおうという構え。4人は叢に逃げ込みます。ここでペドロが「旦那方、おらが囮になって犬を引き離します」しかし、叢から飛び出したとたんにソーケルに見つかってズドン、射殺されてしまいましたとさ。さらにソーケル、「ぬふふふふ、隠れているのは分かっているのだ」と叫ぶなりライターで叢に火を放ちます。ああ、まったくもってなんという非道ぶりなのでありましょう。

 人は火に追われて右往左往、その彼らの目に飛び込んできたのはソーケル博士が持ってきていた採集箱でした。幸いソーケルの目は燃え盛る叢に向いています。この隙に採集箱へ潜り込む4人です。

 ソーケルは叢が完全に燃えてしまったので彼らが焼け死んだと考えたようです。彼は3人が潜り込んでいるとは夢にも思わず採集箱と共に実験室へ戻ります。机の上に採集箱を置いたソーケルは再び外出。あの例の穴の実験装置を確認しているようです。このチャンスを逃がすなとばかりに採集箱から逃げ出す3人。一端は逃げようとしたのですが、これに反対したのがビル。「もう逃げるのはいやだ、あの○チガイ博士をやっつけてやる!」残りの二人もこれに賛成。さあ、どうやって戦うのかというとソーケルが椅子に置いていったライフルをえんやこらと動かしてベッドに向けます。そしてその引き金に紐を巻いて、「きゃつめが寝ようとしたらこれでズドンだ、丁度頭に命中するぞ」

 ソーケル戻ってきます。入ってくるなりあくびなんかしていかにも眠そう。物陰からこれを覗いているビルたち、「よし、寝るぞ、寝たらズドンだぞ」ソーケル、ベッドに腰掛けてもうひとつ大きなあくび、「よし、すぐ寝るぞ、今寝るぞ、寝たらズドンだぞ!」ソーケル、ベッドに横たわった・・・かと思いきやすっと立ち上がった。ビル、マリー、スティーブは派手にズッコケます。ソーケル、そのまま机に座って、眼鏡を外し、あ、こいつ、そこで鼾かき始めやがった(大笑い)。大いにがっかりした三人ですが、「まだ、いける、奴の眼鏡を奪うんだ」戸棚からソーケル博士の予備の眼鏡を全部取り出して壁の穴に隠してしまいます。そしてビルが椅子をよじ登って机の上へ。ソーケルの手から眼鏡を取って逃げようとしたのですが、あ、ここで眼鏡を落としちゃった。慌てて飛び降りるビル。

 眼鏡の落ちた音でソーケル目を覚まします。そしてぼんやりとですがビルの姿を認め、「貴様たち、オレをやっつけようとしやがったな、許さん」ライフルを取りに走りますが何しろぼんやりとしか見えないものですから机にぶつかってぶっ倒れます。「いて、いててて」立ち上がりますが、今度は棚に頭をぶつけた、これで棚が壊れて中の食器がどさどさどさ。何故か小麦粉の袋まで落ちてきてソーケル博士の禿頭が真っ白になるという・・・。「駄目だ、こりゃ」と叫んだソーケルは眼鏡を探すのでした。「ああ、眼鏡、眼鏡、眼鏡」 在りし日の横山やすし師匠のように床をはいずるソーケル。「やった、眼鏡を見つけたぞ」ビルが眼鏡の片方のレンズを壊していましたが、まあ、一つあれば見えることは見えます。

 「やばい」と逃げ出す三人。彼らは裏庭へ逃げ込み例の穴の壁に隠れるのです。「うがー、許さんぞ、逃さんぞ」実験室から飛び出してきたソーケル、穴の壁に張り付いている3人を捕まえようと穴の上に差し渡している板の上に、よせばいいのに乗ってしまうのです。たちまち彼の重みで割れる板。ソーケル、はっと手を伸ばしてウィンチから伸びているロープを掴み宙吊りとなったのでした。これを見たビル、ぱっと穴の上に上がってウィンチのロープをずっと持っていたハサミの片刃ですぱっ。ぎゃああああ、悲鳴を上げてソーケル、穴の中へ落下します。

 一ヵ月後、すっかり元通りの大きさになった三人、スティーブが住んでいる村まで戻ってきました。この間にすっかり恋仲になったらしいビルとマリーは手を繋いで微笑みあったりなんかしています。そしてスティーブ、「もうこのことはナイショだよ、○チガイ病院に入れられちゃうからね」という台詞でエンドマーク。

 カラースタンダード、モノラル音声。画質は極上。1940年製作の映画とはとても思えぬ画質でテクニカラーの魅力をいかんなく発揮しているDVDであります。音質も品位が高く台詞が聞き取りやすい。英語字幕付。「クラシック・サイファイ・アルティメイト・セットVolume 2」(『The Deadly Mantis』『Dr. Cyclops』『Cult of the Cobra』『The Land Unknown』『The Leech Woman』を収録したボックスセット)。Volume1と同じくお洒落なアウターケースがついた豪華なボックスセット。こんなDVDセットならわたしゃ女房と交換してもいい(いないけど)。英語字幕つき。ユニバーサルのDVD。

 エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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『Alien Zone』(1978年)

 『Alien Zone』(1978年)

 4人の男女の無残な死に様を描いたオムニバスのホラー映画。序盤のムードは非常にヨロシイのですが、実際のお話は訳が分からないもので、もうつまらないったらない。みんな何考えてこんな映画作っていたんでしょうかねえ。

のっけからベッドで二人だけの運動会に汗を流している男女の姿。主題歌「ザ・サウンド・オブ・グッドバイ」が流れる中、いつまでもヤッてます。いい加減うんざりしたところでようやく女から離れる男。「もう行ってしまうの」女に尋ねられて「うん、ホテルに戻って妻に電話しなくちゃ」この男、タルマッジ(ジョン・エリクソン)は配管材料のセールスマン。全国配管業コンベンションに参加したついでに女の家へ寄ったということらしい。タルマッジ、止める女を振り切って電話でタクシーを呼びホテルへ戻ろうとします。

 昔、アメリカのエッチなジョークで「セックスを終えた男がその後何をするかということについてアンケートをとってみた。結果は煙草を吸うが13パーセント、シャワーを浴びるが7パーセント、寝るが5パーセント、そして一番多かったのが服を着て家路に着く 75パーセント」というのがあって大笑いしたものですが、タルマッジもこのアンケートどおりのことをしております(笑)。

 外は大雨。そしてタクシーの運転手は無愛想。タルマッジが話しかけても返事のひとつもしやしません。おまけにホテルから一ブロック離れたところで彼を降ろしちゃった。「うわあ、ここ違うじゃん、こら、タクシー、戻れ、戻れってば」タクシー水煙を上げて走り去ります(笑)。タルマッジ、諦めて大雨の中ホテルまで歩こうとするのですが何しろ慣れぬ土地ゆえあっという間に道に迷ってしまいました。新聞売りのおじさんに「あのう、アンバサダーホテルってこっちでしょうか」と聞くと物凄い目で睨まれたりして「ああ、やっぱり都会は怖い、人情の薄きこと紙のごとし」と嘆いたりしております。

 大雨の中コートは着ているものの傘もなくさまようタルマッジ。びしょびしょになるし寒いし道は分からないしで踏んだり蹴ったり。しかしこの彼に救いの手を差し伸べるものがいました。頭のはげかかった老紳士であります。彼は「寒いでしょう、うちへ来て少し温まっておいきなさい」タルマッジ、渡りに船とばかりにこの老人のマンションにお邪魔します。そして熱いコーヒーをゴチになりようやっと人心地がついたのでした。そんな彼に老紳士、「実は私はこの部屋で仕事をしております。何の仕事かお分かりか」当然首を振るタルマッジ。老紳士はにやっとして「エンバーマーですよ、私は葬儀業者なのです」え?じゃあ、ここで仕事しているってそれはこの部屋に死体があるってこと?ドン引きのタルマッジ、急にそわそわし始めて「じゃ、私、帰ります。ホテルへ戻って妻に電話しなくちゃなりませんから」

 老紳士、まあ、いいじゃありませんか、減るものじゃなしと彼の手をとって別室へ案内します。そこに並んでいたのが四つの棺桶(笑)。「いや、だから帰りますって」「いいから、いいから、面白いもの見せてあげますって」「ひー、帰して、お願い」「優しく言っているうちに大人しくしなよ」老紳士、彼を一喝しましてまずは一つ目の棺桶の蓋を開きます。中に入っていたのは妙齢の女性。「セブラー(ジョディス・ノブグロッド)さんと言いまして私の一番新しいお客様です。彼女は教師でしたが子供が大っきらいでした」

 むやむやと画面が暗転して学校から不機嫌そうな顔で帰宅しようとしているセブラーの姿が映ります。彼女は自分の車のボンネットに二人の子供が乗っかって宿題をやっているのを見つけまして「こら、このクソガキ、あたしの車からさっさとどきな!」買い物を済ませて自宅へ戻ったのですが、庭にバットが落ちているのを見て「きいい、これも近所のクソガキの仕業だね、今度同じようなことしたらただおかないよ!」家に入ったセブラー、買い物袋を開けて料理に取り掛かります。ラジオの音楽聞きながらキャセロール?みたいなものを作ってオーブンに放り込んだのですが、その時外で物音が!しかし玄関ドアを開けて覗いても誰もいない。首を捻りながら台所へ戻ってきたセブラー、何故かラジオのスイッチが切れていたことに気がついて立ち尽くすのでした。

 気のせいかと無理やり自分を納得させて今度は二階のバスルームでシャワーを浴びます。しかしここでも異変が!シャワーカーテンの向こうを何者かが横切ったのです。セブラー、急いでバスルームから出て家を調べるのですが何もありません。バスルームに戻ってみると今度はなんと彼女が触った覚えのないお湯のバルブが開かれていたという・・・。これでパニックになった彼女、ひいいと悲鳴を上げながら台所へ行き包丁を手に取ります。家を改めて調べてみると、ひいいい、電話線が切られている、オーブンからキャセロールが出されている、台所の窓が開いている、おまけに窓を閉めるために流しに置いた包丁がいつの間にか消えちゃったぁ!戦慄する彼女の前に現れたのはおもちゃのお面をつけた三人の子供でした。セブラー、「なななによ、あんたたち、ハロウィーンはまだ半年も先でしょ」背後から他に子供が4人現れた。階段からもぞくぞく降りてくる。子供に取り巻かれたセブラー、最早恐怖で声も出ません。そしてお面を取る子供たち。なんと彼らの口には鼠のそれのような鋭い歯が生えているではありませんか。子供たちは一斉にセブラーに襲い掛かりぼりぼりくちゃくちゃげっぷと食べてしまいましたとさ。

 はい、場面が元に戻ります。タルボット、思わず「そんな話が信じられるものですか」老紳士はにやりとして「じゃあ、この人、グロウスキー(ブル・デブニング)さんの話は如何です」次の棺桶の蓋を開きます。再び場面が暗転して・・・。いきなり警察に逮捕されているグロウスキー、実はこの男、妙齢の女性専門のシリアルキラーでしかもそれを趣味のムービーカメラで撮影していたと言う人。さらに時間がぱっと遡ってカメラを仕掛けた彼の部屋にデート相手がやってくることになります。グロウスキー、彼女に「ねえ、手品見たくない、俺、得意なんだ」女性は喜んで「私、手品超好き、うん、見たい、見たい」まあ、これは普通の会話なのですが、グロウスキー、いきなり「んじゃあ、この手品にはストッキングが必要なんだ。片方でいいから君のを貸してくれない」どんな頼みなんだ(笑)。「でもあたしのってぇ、パンティストッキングだから両足分あるのよね」と答える女も女だ。グロウスキー、「ん、それで大丈夫さ。じゃあ、僕はアッチを向いているから君、ストッキング脱いでくれたまえよ」本当に脱ぎだす女。やい、この映画観客なめとるじゃろう。

 女はパンティストッキングをグロウスキーに渡して一体どんな手品が始まるのかとわくわくしております。グロウスキー、女の背後に立って「ふふふ、今から消えるストッキングというのをやるから、目をつぶってね」「ええ、消えるストッキングって超不思議、超楽しみ!ぐっ」グロウスキーはしゃぐ女の首にストッキング巻きつけて一気絞め。げえ、ごええぐがと無駄にリアルなうめきを上げて息絶える女であります。消えるのはストッキングじゃなくって自分の命だったというオソマツ。

 次の犠牲者はキャロルという女。ところがこの女、グロウスキーが仕掛けておいた隠しカメラに気がついちゃった。「なあに、あれ、隠しカメラじゃないの、なによ、あんた、何をしようっての、このど変態!ぐ」グロウスキー、キャロルに飛び掛って電源コードで絞殺してしまいました。第三の犠牲者はこれまでとはうって変わってゴージャスな上流婦人。グロウスキーも「こんな女は初めてだ」とわくわくしながら彼女を部屋へ招き入れたのですが、何かの拍子に彼女を怒らせてしまったようです。「もうこんなところにはいられない、電話を貸して頂戴、タクシーを呼んで帰ります」電話のダイヤル回して「もしもしタクシーを一台お願いしま、ぐっ!」グロウスキー、彼女の背中をナイフで滅多刺しにしたという・・・。

 はい、ここで場面が戻ります。すっかり毒気を抜かれてぼんやりしているタルマッジ、老紳士はさらに三番目の棺桶の蓋を開けて「彼は私の大事なお客様でした」場面が暗転、第三の人物、マルコム・トレバー刑事(チャールス・エイドマン)の登場です。彼は同僚の刑事や警察官が見守る中、首吊り死体を調べております。彼は死体の背広から航空券を見つけたり、袖口から指紋を採取したり、くんくん匂いを嗅いだりしております。ええ、指紋を採取するためのブラシですが、これはどうみても女性の化粧用具の流用ですね(笑)。

 そして彼の出した結論というのがこの死体カストローチ氏は自殺ではない。自殺を装った殺人事件であるというもの。「この人はそもそもヒゲを剃ってローションをつけている。自殺する人がそんな身なりに構うものかね。それにこの航空券、本日のニューヨーク発、イタリア行きのものだ。自殺する人がそんなものは買わないからな」と理由を説明します。では誰が殺したのかといいますと、「それはもうサビオ・フリンスキーに決まっている。葉巻の灰を調べたけど、この葉巻を吸うなんて奴はこの街で奴だけだ」

 命令を受けて彼の逮捕に飛び出していく警察官。

 このマルコムの仕事を見てしきりに感心していたのがスコットランドヤードから郵便列車強盗の捜査のために訪米していたマクドワル警視(バーナード・フォックス)であります。ウウーム、これは米英友好のために地元警察の仕事を視察させていたっていうことなのでしょうか(笑)。マクドワルとマルコムは意気投合、この後レストランでディナーをご一緒しませんか、ははは、喜んでということになったのです。

 ぱっと場面はレストランへ映りまして二人は食前酒のワインなぞをたしなんでおります。ワイン通という設定らしいマクドワル、ワインを口に含んでゆっくりと味わうと「むむむ、これは1968年物のヴィンテージ、いや、1969年だ、そうですな」今度はマルコムが大感心。「素晴らしい、なんという舌の冴えだろう」ここから物語をどうやって展開させるつもりなのだと思っておりますとウェイターが「マルコム様にメッセージでございます」と手紙を持ってきた。なんだなんだと読んでみますと「3日以内にあなたの知己の人間が殺されます。あなただけがそれを防ぎ得るのです」その文面はというと新聞の見出しから切り抜いた文字を糊付けしてあるという御馴染みのもの。これでマクドワル、すっかり喜んで、まあ、何しろ人事ですからなあ(笑)、「マルコム警部、あなた、これを捜査してその殺されるという人を助けるんでしょ、だったら私も捜査に加えてくださいな」

 マルコム、実験室でこの手紙を顕微鏡で調べて「指紋などまったくついていない。これは絶対にプロフェッショナルの仕事だ」と難しい顔で呟いております。その傍らではしゃぐマクドワル、「犯罪捜査で肝心なのは素敵なタイミングじゃなかった、誰が、どこで、なぜ、どうして、どうやって殺人をおかすのか、いわば事件の5W1Hですよ」これでいらついたマルコム、マクドワルに「ウルサイ!そんなことは分かっているんだよ、とにかく静かにしてくれ」しゅんとなるマクドワル。彼は大人しく椅子に座るのですが、この椅子がちゃちで彼が身動きするたびにきーきーうるさいの。これでさらにいらつくマルコムでありました。

 さて、その予告の3日後になりました。マルコムは唐突にマクドワルを自宅に招きます。いそいそとやってきたマクドワルに「まあ、まあ、そこの椅子にお掛け下さい、私は事件を解決しましたよ」「して、その犯人と狙われた人物とは一体誰だったのですかな」マルコムは悠然とソファーに座って「狙われるのは私の知己の人物、しかしこれはトリックです。犯人の本当の目標はこの私なのだ」はあ?「そしてその私を狙う犯人とはマクドワル警視、あなたですね」マクドワル懐からさっとピストルを引き抜いて「わっはっはっは、大当たり!さすがはマルコム警部ですな、まさに天才と言うべき手腕だ。しかし、それも今夜で終わり」引き金を引くマクドワル。発射された弾は狙い過たずマルコムに命中します。

 しかし前のめりに倒れたのはマクドワルの方でした。マルコムはにやりとして「私は2日前に解決していたんだよ」マクドワルが今の今まで座っていた椅子の背もたれから鋭いヤリが飛び出しています。機械仕掛けのこのヤリがマクドワルの命を奪ったのです。しかし弾丸が命中したのに何故マルコムは平気なのか、もちろん防弾チョッキを着ていたのでした。マルコムはマクドワルの持ってきていたスーツケースを持って書斎へ。葉巻なぞ燻らしながらスーツケースの中身を調べるべく蓋を開けたら中にあったのが時限爆弾。はあ?驚きのあまり立ち尽くすマルコム、その直後爆弾は爆発して彼をばらばらにしたのでした。

この訳の分からぬオチを見よ!

 三度場面は葬儀社へ戻ります。世にもキモチ悪そうな顔をしたタルマッジ、「じゃあ、この棺桶の中身は・・・」「ふふふふ、それは言わぬが花でしょうな」

 老紳士は四番目の、そして最後の棺桶の蓋を開くのでした。

 今度の主人公デニーはビジネスマン、彼はなんだかいろいろ不満が多いようでしょっちゅう心の中で文句をぶつぶつ言っております。同僚のターナーに「おい、ハンバーガー食いに行こうよ、なんか20種類の味を揃えているそうだぜ」と誘われたのに「いいよ、ハンバーガーなんか食わない」と断わって(世の中には20種類の馬鹿がいるっての)。帰宅しようとして外に出ると浮浪者が「すんませーん、わて、3日も食べてまへんのや、小銭めぐんでくれまへんか」と来たのに「やかましい、仕事しろ!」と怒鳴りつけて(なんで、あんな奴がおおいんだ)。

 どうもトゲトゲした人で。

 さて、この人、店に入ったのですが、ああ、あまりに画質が悪いのでどんな店かさっぱり分かりません(笑)、この店の中は空っぽになっていました。びっくりしたデニー、出ようとするのですが今しがた入ってきたばかりのドアが開きません。どんどん叩いても全然駄目。「誰かいないのか、出してくれ」と叫んでも誰も答えてくれません。それでうろうろ出口をさ迷ううちにうっかり開いていたエレベーターのドアからシャフトの中に落ちちゃった。「ぐえっ、いたたたた」幸い軽傷だったのですが、いきなり上からエレベーターが降りてきた。このままでは潰されてしまう。しかしその時不意にシャフトの底の出口が開いたのです。ぎりぎりのタイミングでなんとか脱出に成功します。

 なんで、わし、こんな目にあうんやろとボヤきながらまた出口を探してさ迷うダニー。あ、出口のサインが見えたぞ。喜びいさんでそのドアを開けますとそこは出口どころか窓も何もない四角い小部屋でした。「な、なんじゃ、こりゃ」と思うまもなく反対側の壁一面に鋭いとげがニョキッと突き出たではありませんか。しかもその壁が彼に向ってしずしずと進んできたのです。「うわー、ぎゃー、なんだ、どうなっているんだ、世の中まちがっとるよー」このまま鋭いトゲに全身を刺し貫かれて穴だらけになるかと思われたのですが、ぎりぎりのところで壁はその動きを止め、また引っ込み始めたのです。そして壁の一部ががーっと上にスライドして、その先に見えたのはおお、路地だ、やっと外に出られたのだ。夜も明けている、やった俺は助かったのだ。しかし数々の試練にさらされた彼の服装はもうぼろぼろ。昨日の浮浪者とあまり変わらない姿となっていたのです。彼は通りがかりのビジネスマンに「助けてください」と声を掛けたのですが返ってきた返事は「小銭はないよ、仕事しろ、仕事!」だったという・・・。

一応、因果応報ってことなんすかね、これは。

 葬儀社へ場面は戻ります。呆然とするタルマッジ「あの、今の人、死んでないですけど」「いや、あの後アルコールに溺れて死んだのです」どうも納得できないという顔をするタルマッジであります(笑)。

 老紳士は「今の4人の共通点は分かりますか」うーん、私には分かりませんな(笑)。「4人はみんなアヤマチをおかした。セブラーさんは子供を憎んだ。グロウスキーは快楽のために女たちを殺害した。マルコムは捜査に失敗した。ダニーは冷たすぎた」グロウスキーはアヤマチというより当然の結果だと思いますけどねえ。そしてタルマッジの顔を意味ありげに見つめる老紳士。「タルマッジさん、あなたもアヤマチを犯していますね」タルマッジは驚きます。「なんで私の名前を知っているのだ、それにアヤマチって、うわああ」恐ろしくなったタルマッジ、葬儀社を飛び出すのでした。

 夜の町を闇雲に逃げるタルマッジ。路地に隠れた彼の背後から黒い影が近づいてきます。それはなんとタルマッジが冒頭でやっていた女(皆さん、覚えていますか)の夫。彼はピストルを取り出すと「よくも人の女房に手を出しくさったな、コノヤロー、死ね」ピストルの銃弾がタルマッジの体を貫いたのです。

 主題歌の「ザ・サウンド・オブ・グッドバイ」が流れます。救急車が来てタルマッジを収容。その助手席にいたのは、おお、あの老紳士(画質があまりに酷かったので確実ではないのですが)ではありませんか。エンドマーク。

 カラー・スタンダード、モノラル音声。画質・音質が今までの最悪といっていいもので発色がぐちゃぐちゃで暗い部分が完全に潰れてしまっています。解像度もなきに等しく人の顔の区別がようつかん(笑)。音はバックグラウンドノイズが大きくて台詞がろくすっぽ聞き取れないという有様。

 僕はこんなの我慢して何百本も見ているんですよ(笑)。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack Collection。Mill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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