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2008年6月 1日 (日)

『Counterblast』 (1948)

 『Counterblast』 (1948)

 元ナチスの戦犯医者が他の科学者と入れ替わりイギリスで細菌兵器の研究をするという映画。この主人公の内面が細やかに描かれてなかなか面白い作品でありました。

第二次大戦に敗退したナチスドイツ。「レーベンズ・ブラックの野獣」とあだ名をつけられるほどぶいぶい言わせていたバクテリア学者のブルックナー博士(マービン・ジョーンズ)も捕まって収容所に入れられてしまいます。そのままなら、いや、何せ、この人は女子供を人体実験に使って大量殺害をした過去がありますので死刑間違いなし。そこである夜三人の仲間と共に脱走を図るのです。このDVDはもう極端に画質が悪くってこの刑務所の金網?塀?がまったく見えません。男たちがこれをよじ登るのですが、まるで空中に這い上がっていくように見えています(笑)。

 他の三人の仲間は足を撃たれたりして捕まってしまいます。一人ブルックナー博士のみが協力者のトラックへ拾い上げられて闇の中どこへともなく消えていったのであります。

 次にブルックナーが現れたのはロンドンでした。彼はナチス地下組織のアジトとなっているケネディ歯科医の元へ赴き新しい服をもらいます。それからさらに別のアジトへ行きイヌマン教授(カレル・ステパニク)から今後の進路についてアドヴァイスを貰うのです。「ふふふ、あなたはここ、イギリスで研究を続けられるかも知れませんよ、でもそれを現実とするのはあなたの役目ですけどね」

 実はイギリスのティボリーホテルにオーストラリアからオックスフォードのバクテリア研究施設に赴任してきた生物学者リチャード・フォレスター(アンソニー・エステル)が滞在しているのですが、この人を殺害し、その身分を詐称するというのがブルックナーの役目と言うわけ。ブルックナー、研究が続けられるならと一も二もなくこの任務を請負ます。

 善は急げとティボリーホテルへ行くブルックナー。フォレスターが滞在している313号室のドアをノックしまして、「ええ、私はアンソニーと申します。私もあなたと同じバクテリア学者なのですが、いつかオーストラリアに行ってみたいと思っていまして、話を伺いにきたのです」って言葉巧みに部屋に入り込んじゃう。突然の珍客にもいやな顔一つ見せないフォレスター博士、「おお、オーストラリアは良いとこ一度はおいで、酒は美味いしネーちゃんは綺麗だ、わ、わ、わっわぁですぞ。どんなことをお聞きになりたいのですか」ブルックナー、これに答えず部屋に備え付けのラジオのヴォリュームを一杯にします。フォレスターは顔をしかめて「うるさいじゃないですか、どうしてそんなことを」「これで言いのです」そういうなり置物でフォレスターの頭を一撃!

 昏倒した彼に毒薬を注射して殺害してしまうのです。ブルックナーは彼の死体を馬鹿でかいトランクに詰め込んでチェックアウト。えー、このトランクはブルックナーが持ち込んだものではなくフォレスターの私物です。もしこのトランクがなかったらどうやって死体を運び出そうと思っていたのでしょうか(笑)。

 チェックアウトでボーイさんが二人掛りでこのトランクを運び出すのですが、何しろ死体が入っていますから重い、重い。ふらふらしております。これを見てブルックナー、ひやひや。タクシーに積み込んで駅へ向ったものの、途中で危うく事故になりそうになってまたひやひや。そして列車を使ってバクテリア研究室のあるギリントンへ到着したのですが、施設より与えられた宿舎兼研究室の屋敷へ運びこむときに引越し屋さんがうっかり落っことしちゃった。ブルックナー、もう失神しそうになります(笑)。

 それでもなんとかばれずに荷物を地下室へ運び込むことができました。ブルックナー博士、地下室を研究室に改造してわしの研究を続けるのだ、ナハ、ナハ、ナハハハと無闇に張り切るのでした。

 さて、この屋敷には他に二人の人間がおります。一人はブルックナー博士の助手となるポール・ランキン博士(ロバート・ビーティ)、そして家政婦のプラム夫人(グラディス・ヘンソン)です。ランキン博士はブルックナーじゃなかったフォレスター博士の業績を尊敬しておりますので、ちょっとヘンなブルックナー博士の振舞いも理解しているのですが、夫人はそうもいきません。「やたらに無愛想だし、食事も不機嫌な顔でちっともおいしそうに食べないし、実験用かなんか知らないけど鼠を山ほど飼っているし、気味悪いったらないわ。前任のカーター博士の方がどんなに良かったか知れやしない」

 さて、博士が研究を開始して数週間が過ぎました。今日も今日とて研究施設で実験に勤しんでいたブルックナー、同僚から「こんなの来てましたよ」と電報を渡されます。読んでみるとトレイシー・ハート(ノヴァ・ピルブリム)なる女性でオーストラリアから○月○日にロンドンへ到着します。お会いしたいという内容でした。どうやら彼女の父親がフォレスターの旧友だったらしい。その娘になんか会ってしまったら正体がばれてしまう。もうこうなったらフォレスターと同じでヤルしかないっすよということでブルックナーロンドンへ。ホテルの部屋で彼女に面会します。

 ところがどっこい、トレイシーはフォレスターの顔を知らなかった。最後に会ったのが15年前で彼の顔をすっかり忘れていたのです。ほっとしたブルックナーですが、彼女殺害の意思は代わりません。なるたけフォレスターの関係者は少なくしておく方が良いからです。またもホテルの部屋備え付けのラジオのヴォリュームをぐいっと上げるブルックナー、しかし、彼は彼女の次の言葉を聞いて殺害を思いとどまったのです。「わたくし、先生の助手になりたいんですの。細菌学の学位も持っておりますし、研究のほか、お掃除でもお料理でもなんでもします」

 手元に置いておけるのなら、この娘から身分がばれる心配も少ないだろう。それに何しろ彼女は若くて美人だ、うひひひひと考えたかどうか知りませんが(笑)ブルックナーは彼女を屋敷に連れ帰りランキン博士とプラム夫人に紹介するのでした。プラム夫人たちまち柳眉を逆立て「ンマー、この人はこんな若い娘連れ込んで、何するつもりなんだろ、いやらしい」と思っているという・・・。

 さて、ブルックナーは自分がやっている研究をトレイシーに説明します。「未来の戦争では細菌兵器が使われる。バクテリアを大量に培養して敵国に送り込むのだ」これで我がナチスが大勝利、第三帝国の夢再びだ、ナハ、ナハ、ナハハハなんていうとトレイシー逃げちゃいますからこれをたくみにぼかして「私たちはそれに対抗する方法を考えなければならんのだ」だって。上手い事を言いますなー。

 えー、この人たちも研究ばかりやっている訳ではありません。地元の名士倶楽部主宰のダンスパーティに出席なんかしたりします。トレイシーとランキンはいちゃいちゃと踊って良いムード。ところがブルックナーの方はそうもいかない。オーストラリア人でフォレスターの友人だったというオバさんが現れたり、捕虜収容所の関係者に「捕虜に病人が出ました。フォレスター博士、手伝ってください」と頼まれたりと非常に不味い状況に追い込まれてしまったのです。

捕虜収容所で乱闘騒ぎで大怪我を追ったドイツ人の治療にあたるブルックナー、そのドイツ人は苦悶しながらも彼の顔を見分けた様子です。「あ、あなたは、あのブルックナー博士じゃぐむ」慌ててドイツ人の口を押さえるブルックナー、懐から毒薬のカプセルを取り出しためらいもなく注射してしまうのでした。あえなく絶命するドイツ人。ブルックナー、後から「いやあ、脳に酷いダメージを負ってましたからな、駄目でしたよ」だって。

 この後屋敷へ帰りますとまだトレーシーとランキンが帰ってきてない。おまけにプラム夫人がぷんすかしながら「あたくし、明日お暇を頂きます」驚いたブルックナーが訳を尋ねますと「ヘンな女があなたの家政婦になるといって押しかけてきました。私はお役目御免という訳ですから出て行くのです」このヘンな女と言うのがナチス支援組織から派遣されてきたスパイ マーサ(シビル・バインダー)。彼女は驚くブルックナーに「スペイン経由で南米へ逃げる手はずは整っております。博士、研究のほうはどうなりましたか、早く完成させて逃げましょう」

 一方、車でダンスパーティ会場から帰宅途中のランキンとトレーシー。大方の予想通り光よりも早いスピードで恋に落ちた彼らは途中で車を止めてキスするのであります。ぶちゅぶちゅぶちゅちゅちゅー。で、そのまんま唇にトレーシーの口紅をつけたまま屋敷に戻ったものですから、ブルックナー、かんかんになって「い、一体君たちは何をしとるのかね、特にトレーシー、私は君のお父さんからくれぐれも宜しくと頼まれているのだよ。それをだね、こんなに夜遅くまで男と遊び歩いているとは、なんとふだしらな・・・じゃなかったふしだらな」びょえーと泣き出すトレーシー、ランキンはこれで屋敷を追い出されることになってしまいましたとさ。

 一応この後で「うむ、研究についてはこれまでどおりよろしく頼む」ということで和解したのですが、これでランキン、ブルックナーに疑惑を抱いてしまうのであります。

 こっそり屋敷に来たランキン。トレーシーにその疑惑をぶちまけます。「あの人はオーストラリアからわざわざゴルフクラブを持ってくるほどのゴルフ好きでしかもシングルプレーヤーなんだぜ。そんな人が何ヶ月もゴルフに行かないなんて考えられないよ。それにこの間なんとかっていう薬を大戦中に使ったといっていたけど、その薬はドイツでしか作られていなかったんだ。あの人は本当にオーストラリアから来たのか。ひょっとしらナチスの残党じゃないのか」そんなのは誤解だ、確かにおかしな振舞いが多いけど、天才とキチガイは紙一重だって言うしと庇うトレーシー。でも天才とキチガイは紙一重というのは擁護になっていないと思うのですが(笑)。

 ついにランキン、「彼が持ってきたあのトランクが怪しい。信じられないくらい重かったんだ。あれを調べてみよう」と言い出します。トレーシーと二人で地下室に降り、苦労してトランクの鍵を開けて開いたらぶちゃぶちゃに腐乱した本物のフォレスター博士の死体がどさり・・・とはなりませんで本が転がり出てきただけ。「ほほほほほ、やっぱり何もないじゃない、みんなあなたの誤解よ」ランキンはもごもごと「いや、ここに運び込んだ時より随分と軽くなっているんだけど」と言い訳するのですが、結局、この疑惑は沙汰やみとなってしまったのです。

 さて、ブルックナー博士のワクチン製造研究も進みましてついにモルモットによる実験に成功します。じゃあ次は人体実験だということになるのですが、この対象がなんとトレーシーだったという・・・。博士から頼まれたトレーシー、「喜んでお手伝いさせて頂きます。でもその前に」ぽっと頬を染めまして(モノクロ映画だけど)「私、ランキンに会いたいのです。私彼を愛していますの」

 そして実験前のデートが実現してボートで楽しい時間を過ごすトレーシーとランキンです。

 いよいよ人体実験の開始です。トレーシーに細菌を接種させるブルックナー博士。「後からワクチンを接種する。これで回復することができれば実験は成功だ」トレーシー、たちまち高い熱を発しましてランキンからの電話にも出られない状態になってしまいました。何度電話を掛けても取り付いてくれないマーサにいらついたランキン、直接屋敷を訪ねるのですが「え、具合が悪い?どうしたんですか、え、彼女が僕に会いたくないといってる?」ということであえなく追い返されてしまったのです。

 長らく危険な状態が続いたトレーシーでしたがようやくワクチンが効いたのか意識を回復します。大喜びのブルックナー博士、シャンパンでマーサと乾杯するのですが、次の彼女の一言で凍りつくのです。「明日にでも彼女を殺してください。証拠は全て抹消されなければなりません」

 翌日、ブルックナーはすっかり健康体になったトレーシーの部屋を尋ねます。そして思いつめたように「君は私の実験の功労者だ。それに君はとても、とても美しい」トレーシー、ぽっと頬を染めまして(モノクロ映画だけど)「まあ、ありがとうございます」ブルックナー、彼女をいきなり抱きしめて「私は君を愛してしまったのだ」キスをするのです。しかし体を強張らせたトレーシーから明確な拒否を感じ取ったブルックナー、いつものごとく「ええやろ、させんかい!」とはなりませんで(笑)、すっと彼女から離れると「私は明日からロンドンで開かれるミーティングに参加する。君は2~3日の間、どこにも出ずに屋敷に留まってくれたまえ」

 ブルックナーはついに彼女を殺すことができなかったのです。

 ブルックナーはゴルフバックからクラブを一本引き抜いて地下室へ。そして実験動物のモルモットを処理しているマーサの後からこっそり近づくと思い切り頭をぶん殴ったのでした。マーサ、即死です。ついにあのゴルフクラブが役に立ったのであります(大笑い)。その死体を地下室に残したままブルックナーは逃亡するのでした。

 ちなみにマーサのモルモット処理法とは一匹ずつ体を抑えてトンカチで頭を叩き潰すというものだったという・・・。ひでえなあ。

 さて、2~3日屋敷にじっとしていろと言われていたトレーシーでしたがブルックナーが出て行くなりランキンに電話します。やっと会えるというので飛んできたランキン、ブルックナーがロンドンのミーティングに出かけたと聞いて「おかしいな、そんな予定は聞いてないけど、え、家政婦のマーサさんまで出て行った?こりゃますます妙だ」

 彼は悩んだ挙句、ダンスパーティで会ったコールズ夫人の家へ出かけます。フォレスター博士のメルボルンでの知り合いだったという彼女は「フォレスター博士、なつかしいわあ、早く会いたいわ」と言いさらにランキンを困惑させるのでした。「いや、フォレスター博士とはダンスパーティでお会いになっている筈ですよ。ほら、あなたとベンチで話していたあの紳士です」夫人はびっくりして、「いえいえ、何を勘違いされているのかしら、あの方はフォレスター博士じゃありませんことよ、まったくの別人ですわ」

 はい、これでナチスの残党決定(笑)。ランキンから通報を受けたスコットランドヤード、ただちに非常線を張ります。そしてラジオや新聞でもばんばんニュースが流れたのでブルックナーは外国へ逃げることができなくなったのです。ナチス支援組織を回ってみるのですが、みんな既に逃げ出していました。ケネディ歯科医には会えたのですが逆に拳銃で脅されて「もうとっととどこへでも逃げろ、まったく大変なミスをしやがって」と追い返されてしまいましたとさ。

 一目を避けて地下鉄へ乗り込むブルックナー、思い余った彼はポケットの中のカプセルを弄びます。中には危険な細菌が入っておりこれを開放すれば大勢の人間が感染してって、お前は○ウ○か、やめろう、やめろう。私の叫びが功を奏しまして(笑)地下鉄から降りるブルックナー。

 この後彼はパブに行きましていい調子でメートル上げている船乗りと知り合います。彼に酒を奢って「ねえ、お金稼ぐ気ない、君の船に乗せてくれれば大金払うよ」これで話がまとまって深夜その船乗りが乗船する予定の客船に偲びこむブルックナー。船倉のハッチを開けてもぐりこんだのはいいのですが、後から鍵を掛けられてしまいました。おまけに船内燻蒸のために青酸ガスが注入されてしまったのです。当然ながら悶絶死するブルックナー。エンドマーク。

モノクロ・スタンダード、モノラル音声。画質は例によって酷いもの。暗い場面が本当に真っ暗になります。その代わり音質は上々でちゃんと台詞が聞き取れるのがありがたい。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack Collection。Mill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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