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2008年6月 1日 (日)

『The Beast of the Yellow Night』 1971年

  『The Beast of the Yellow Night』 1971年

 実に久々のエディ・ロメロの映画。サタン、彼によって何度も生まれ変わり悪事を繰り返す男がさらに怪物になって大暴れという、じつに盛りだくさんで退屈のしようがない映画であります。あ、退屈しないってのは必ず面白いってことにはなりませんからね、誤解しちゃいけませんよ。

1946年の東南アジア、これはエディ・ロメロの映画ですからたぶんと言うか間違いなくフィリピンのことでしょう。さて、軍隊のジープが続々と発進します。米国大使館員も駆けつけてきて、一体何が起こったのかというとこれが米軍脱走兵ジョセフ・ラングドン(ジョン・アシュレー)による殺人事件。女性一人、子供が一人犠牲になっております。逃亡したラングドンを捜索する兵士たち、あ、何かいたぞ、ずがががーん、ろくすっぽ相手を確めることなく自動小銃を乱射。ばたーっと女が倒れます。これはどうやらラングドンの情婦だったらしい。

 さて、肝心のラングドン、何とか追ってから逃げ延びたのですが、疲労と空腹でもうふらふら。ついつい目の前にあった果物に食いついたのですが、「うわああ、にがい、不味い、ぺっぺっぺ」 と、その時ひゅーどろどろと鳴り物が鳴って怪しの声が聞こえて参ります。「おい、ラングトン、ラングトン」びっくりしたラングトン、「いやー、助けて、撃たないで、もう勘弁して」「ラングトン、お前は邪悪なる人間だ、裏切り者でレイプ愛好者で泥棒で人殺しだ。それにお前、5歳の時実家の側のドラッグストアで万引きしたろ!」「ひいい、お許しを」

 「よし、許そう。しかしその代償としてお前はわしに生涯つかえるのじゃ」 ここでまたひゅーどろどろという鳴り物が入って現れたのがサタン氏。フィリピンらしく原住民のカッコをしております。サタンはラングドンが食べた果物を指差して「お前、それは毒だぞ、もうすぐ死んでしまうぞ」ラングドン、慌てて喉に指突っ込んで吐こうとするのですが、これがなかなかでてこない。それを面白そうに長めていたサタン、持っていた袋をばさりと投げ出します。「助かりたければこの肉を食え、生肉だ、美味いぞ」がつがつと貪るラングドン。これはもちろん、人間の肉であったという・・・。

 ここでタイトルでます。続いてオープニングクレジット、これが終わると舞台は一気に24年後に飛ぶという・・・。24年後という字幕がでるのですが、画質が悪くてこれが読めない(笑)。ネットでレビューサイト見つけてようやく分かった訳でして・・。墓地でトム・ミルトンという人物のお葬式をやっております。参列者の愛人らしき女が本妻らしき女を睨みつけたりするのですが、これは何の伏線にもなっていないので忘れてくださってケッコーです。ここにあのサタンが登場します。今度は背広をりゅうと着こなしてまったく現代風のいでたちです。彼は今しがた埋葬されたばかりのトム・ミルトンの墓の傍らに立ちますと「ふふふ、ラングトン、気分はどうだね」ってなぜ赤の他人の墓に話しかけるんだ(笑)。「君はもうすぐ生まれ変わる。また面白いことになるぞ」

 なんだか良く分かりませんが、とにかく、先を急ぎましょう。

 舞台は病院へ。今しがたロジャー・フィリップスという大物ビジネスマンが事故で息を引き取ったところ。その妻ジュリアが弟でロジャーのビジネスパートナーでもあるアールに付き添われて遺体と対面することになったのですが、病室へ入ってみると、わあ、なんとフィリップスの手が動いているではありませんか。怪我のために顔面を包帯で覆われていたフィリップス、その包帯の隙間から目をぎらぎらさせております。仰天する医者、看護婦、ジュリア、アール。ジュリアは叫びます。「夫の、夫の包帯を外して頂戴」震える手でフィリップスの顔面から包帯を取る看護婦。現れたのはラングドンの顔でした。これを見た医者、「ぐわっ、く、苦しい」心臓麻痺を起こして死んじゃった。なんなんだかなあ。

サタンがミルトンの墓で言っていた通りラングトンはロジャーとして生まれ変わったのです。

 顔が変わったのは形成手術のせいだと無理やりに納得して(笑)、ジュリアはロジャーと共に豪壮な屋敷へ戻ります。はっきりいって彼らの夫婦生活は崩壊しかかっていたのですが、退院後のロジャーは何故か優しい。これだったらやり直せるかも知れないわということでロジャーとジュリアはハッピーなセックスを致します。

 しかしロジャーは前よりもっとヘンになっていた。彼は会社の管理職を大勢首にしてしまいます。そのことをアールに咎められると唐突に「私とジュリアの関係は上手く行ってない。お前、ジュリアを代わりに幸せにしてやってくれないか」凄い話のそらし方だ。

 このロジャー=ラングトンはミルトンの墓でサタンと会合。なんと、彼は1954年以来、生まれ変わりを繰り返してはサタンのために働いていたらしい。彼の使命は人々を悪に貶めること。ラングトンの魂はミルトンからロジャーへ映ったということだったのです。さすがにラングトンは情けなさそうな顔になって「もう私はこんな役いやです。勘弁して下さい。私はただの人間なんです」「やかましい」サタンが手を上げるとラングトンの腹に凄まじい痛みが!ラングトン、地面を転がりまわります。「ぎゃあ、痛い痛い、やめて、やめて」 

 この傷みから逃れるためにはサタンの僕であり続けるしかなかったのです。

 ラングトン=ロジャー、その後もアールと妻を関係させようとしております。これで怒ったジュリアにビンタなんかされたりしまして、どうも冴えない毎日。サタンのおっさんはうるさいし、いっちょ、教会で告解するか、ラングトン、教会へ向うのですが、またあの腹の凄まじい痛みに襲われ道端にうずくまってしまいました。「イテテテ、ひい、たまらん」この様子をみた通りがかりの老人、「どうしたんだね、あんた、持病の癪かね」ぱっと顔を上げるラングドン。おお、なんと、彼の顔は醜いケロイドに覆われた怪物になっていたではありませんか。「な、なんじゃそりゃ!」とのけぞる老人。ラングトン=怪物は老人の胸を一撃で切り裂いて肉や内臓を貪り始めたのでした。

 酔っ払いたちが近づいてきます。これに気づいた怪物、老人の死体を棄てて逃げ出すのでした。夜の町をうろつく怪物、ショーウィンドウに映った自分の顔を見て「な、なんじゃこりゃ!」と驚くのがおかしい。怪物はさんざん町をさ迷った末に列車にはねられて倒れます。するとぱっとラングトンに戻ってついでに朝になったという・・・(笑)。

 警察のデ・サント警部 病院で老人の検視報告を受けて、「なんだ、武器もなしに胸を一撃で切り裂いている、一体どんな奴なんだ」と呻くのでした。

 さて、バーで会っているジュリアとアール、こりゃロジャー=ラングトンの望みどおり出来ちゃったのかなと思いきや、二人でロジャーのことについて話し合っていたのであります。ロジャーに精神科医の治療を受けさせようと言うアールにジュリアは反対して、「いいえ、彼は私を求めているのです。私の愛で彼を元通りにするわ」彼女はロジャーへのお土産として腕時計を購入して帰宅するのでした。

 このプレゼントに相好を崩して喜んだロジャー、ジュリアを抱きすくめてキス。そのままソファーの上でセックス!と思われたのですがこの時ロジャーの腹がまた激しく痛み出した。「やばい」そう直感したロジャーはジュリアを部屋から追い出して鍵を掛けてしまいます。「どうしたの、何が起こったの、私を入れて」と叫ぶジュリアの声もむなしくロジャーは再び怪物化。窓を破って飛び出すのでした。また夜の町をうろつく怪物。いや、この場面ばんばん車が通ったりしているんですがねえ、誰も怪物に気がつかないですねえ(笑)。

 で、街角に立っていた売春婦なんか彼に声をかけちゃうの。「ねえ、お兄さん、遊ばない、安くぐえ」もちろん喉を噛まれて殺されます。さすがにのんびりしたフィリピンの人もこれでようやく怪物に気がついた。おまわりさんや野次馬が逃げ出した怪物を追いかけます。

追っかけてきたおまわりさんや野次馬相手に大暴れをするロジャー。2~3人殴り殺したところで拳銃で撃たれてしまいます。こらたまらんと逃げ出した彼は墓地?建物の中?もう画面真っ暗でどんな場所かさっぱり分からないの(笑)に逃げ込みます。ここでであったのが盲目の老人。彼は何故か怪物であるロジャーを匿うのです。

 一方デ・サント警部たちは会議を開いて付近一帯を封鎖、徹底的に捜査するという方針を固めるのでした。ここで届いたのがロジャーの家の窓が破られ彼自身も失踪しているという知らせ。彼らはロジャーこそが容疑者なのではないかと疑うのでした。

 翌朝、元に戻ったロジャー、老人に「なぜオレを匿った」と尋ねます。老人、答えて曰く「わしゃ、その昔名を知られた盗賊団の首領でのう、それで捕まって30年も服役していたのじゃ。それで追われているあんたに同情したという訳さ」礼を言って老人の家?から立ち去るロジャーであります。彼は自宅に戻るのですが、そこで待ち構えていたのがデ・サント警部たち。警部は彼の顔を見て「おお、ラングトンだ」と驚愕します。そのままロジャーは容疑者として逮捕され留置所に入れられたのでした。

 デ・サント警部、ロジャーがラングトンにあまりに似ているというか、生き写しなので米軍の関係者に会って「ラングトンはまだ生きているのではないか」などと言い出します。米軍関係者は呆れて「あんた、そんな馬鹿なこと言うちゃいけませんがな。ラングトン、生きとったらもう50過ぎでっせ、そのロジャーとかいう人、どうみたってそんな年じゃないでしょ」そりゃ、そうだ(笑)。それでも疑いを棄てきれないデ・サント警部であります。

 しかし、結局証拠がないということで釈放されるロジャー。この時警察の周りを群集が取り巻いていて、釈放される彼に罵声を浴びせるのでした。「てめー、ロジャー、この人殺しめ」さらに群集の一人が隠し持っていたナイフを振りかざしてロジャーを襲います。腹を数回ぐさぐさと差されて倒れるロジャーと思いきや、彼の体には傷ひとつついていなかったという・・・。デ・サント警部、ますます疑いを深めます。ロジャーはアールの運転する車でジュリアと共に郊外の家に隠れ住むことになりました。

 デ・サントの部下カンポは彼に「ラングトンというのはどんな奴だったのですか」に尋ねます。帰ってきた答えは「奴は太平洋戦争中日本軍に協力した裏切り者だ。それにレイプや人殺し、五歳の時には実家の側のドラッグストアで万引きしたという極悪人なんだよ。彼は射殺されたがそのまま川に落ちて死体が見つからなかったのだ」冒頭とえらく違うのではないかという気がするのですが(笑)。ともあれ、死体が見つからなかったことで、デ・サントはラングトンがまだ生きているのではないか、ロジャーに成りすましているのではないかと考えたわけです。

 ロジャーは怪我した顔面を形成手術したためにラングトンに似た容貌になったという設定があるので、この疑いはいくらなんでもムチャなのですがね。

 さて隠れ家のロジャーとジュリア、性懲りもなくまたセックスしようとしています。ロジャー、ジュリアのパンツ脱がしています(笑)。しかしさあ、いま正に始めんとスという状況でロジャーの腹がまた痛み出した。「うわ、いてててて、ぎゃあ」はい、変身します。ロジャーはパンツ脱がされたジュリアを突き飛ばして外へ。見張っていた警察官にばすばす弾を撃ち込まれながら逃亡したのです。その行った先はあの老人の家。彼は再び匿われ翌日、二人で密かに逃げることになりました。

 田舎道を行商の牛車に紛れて歩く二人。しかしその先の道路を警察、軍隊が封鎖していたのです。デ・サント警部、カンポもいます。これを見たロジャー、「やばっ」老人と二人で道路から離れて叢の中へ。これに隠れて逃げようとしたのですがあっという間に見つかってしまいます。デ・サント警部が「おい、出て来い、出てこないと攻撃するぞ」とカタチばかりの警告をした後、いきなり兵士たちが一斉射撃。おまけに火炎放射器で叢焼き払った!ロジャー、さすがにたまらんと降伏したのですが老人は承知せず一人で逃げようとします。これを見た兵士がマシンガンを発射、彼を撃ち倒してしまったのです。

 さあ、ロジャー=ラングトン、怒ったね。彼はまた変身して、兵士達相手に大暴れ。三人あまりをずたずたにしたところで瀕死の老人が彼に呼びかけます。「ラングトン、もうやめて私のために祈っておくれ」この願いに答えてラングトン、老人の傍らに跪き、静かに祈りを唱えるのでした。これでラングトン自身の呪いもとけ、彼はあっさりカンポに射殺されてしまうのです。ばたりと倒れた怪物の顔がラングトンにゆっくり戻ったところでエンドマーク。

老人とロジャーの交流は心温まるものがありますが(そ、そうか)、あれほどあれこれ口を出しておせっかい極まりなかったサタンが途中でふいと出てこなくなってしまうのはちょっと納得がいきませんね。ラストで一度顔を見せるのが筋ってものでしょう。

カラー・スタンダード、モノラル音声。画質には解像度という概念がないらしく細かい部分が潰れてしまって見えません。くらい場面でも例によって何をやっているのかさっぱり分かりません。音質も台詞がぼそぼそと歯切れ悪く聞き取りにくいもので、忍耐力を養うにはもってこいの一枚であります。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack Collection。Mill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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