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2008年7月11日 (金)

『蝋人形館の恐怖』(『Terror in the Wax Museum 』1973)

 

『蝋人形館の恐怖』(『Terror in the Wax Museum 1973

 

 蝋人形館を舞台にした殺人ミステリー。蝋人形館ですからてっきり『肉の蝋人形』みたいに死体を使って蝋人形作りと思ったのですが、いや全然違うタイプの映画でした。蝋人形映画の奥は深い、私の修行もまだまだであります。

真夜中のロンドン、例によって濃い霧に覆われております。と、路上の鉄格子の下から覗く怪奇な顔。もう怪物が現れたのかと思ったら彼は蝋人形館を経営しているクロード・デュプリー(ジョン・キャラダィン)のせむしの従者、カーコブ(スティーブン・マーロ)だったのであります。蝋人形の地下に人形製造工場があって、その鉄格子から外を覗いていただけだったんですね。

雨降ったら流れこんで来て水浸しになっちゃうのではないかと思いますけど(笑)。

 その工場で傷がついてしまった蝋人形を蝋の大釜に放り込むデュプリー。その傍らにはエイモス・バーンズ(ブロデリック・クロフォード)という資産家がおります。実はこのバーンズ、物好きにもこの蝋人形館の蝋人形をデュプリーから売って貰おうとしていたのです。しかし、「わしの人形は実物以上じゃ」と自分の作品にほれ込んでしまっているデュプリー、なかなか決心がつかず「すいませんが明日まで待ってくださらんか」とバーンズに猶予を頼むのです。バーンズは不承不承頷いてデュプリーの人柄などを聞くために隣の酒場へ。そこで主人のティム(ルイス・ヘイワード)と歌手のローリー(シャーニー・ウォルニス)から「凄い変人ですけど、決して悪い人じゃないっすよ」と言われるのでした。

 さて、思い悩むデュプリー、人形達を見回っているのですが、いきなり切り裂きジャックの人形がぎろりと目を剥いて「この裏切り者が」続いて断頭台のマリー・アントワネット、リジー・ボーデンも斧を振り上げて「嘘つきめ」怯えるデュプリーは動き出した人形達に囲まれてしまいます。「裏切り者め」「嘘つきめ」「売らせないぞ」「売らせないわよ」デュプリーをなじる人形達の声・・・。デュプリー、ベッドではっと目を覚まします。人形達が動き出したのは彼の悪夢だったのです。ほっとしたデュプリー、それでも何かが気になって階下へ行き人形達を点検します。

 「ここは売らないから君たちも安心してくれ」と人形達に語りかけるデュプリー。ところがどこからともなく夢と同じように「うそつきめ」という声がしたではありませんか。びっくりしたデュプリー、逃げようとしたのですが階段でスッ転んでメガネを飛ばしてしまいます。「メガネ、メガネ」故横山やすし師匠のネタのように床を探ってメガネを見つけたデュプリー、いそいでかけなおすのですがその目に飛びこんできたのはこちらへ向ってくる切り裂きジャックの人形でした。ナイフが閃いて「ぎゃああ」デュプリー、胸を刺されて絶命します。

 翌日、大変な数の野次馬に囲まれた蝋人形館の中で警察の取調べが始まりました。蝋人形館の店主が蝋人形の切り裂きジャックのナイフで殺されたという怪事件の担当となったマイケル・ホークス刑事(マーク・エドワーズ)は関係者たちを集めて事情聴取です。まずはデュプリーの長年の友人で蝋人形館を手伝っていたハリー・フレクスナー(レイ・ミランド)、続いてバーンズ、そしてカーコブです。しかし、みんなアリバイがありそして動機も特に見当たらなかったことから容疑を免れるのでした。

 ええ、ここで新たなる登場人物。デュプリーの姪であるマーガレットとその後見人であるホーソン(エルサ・ランチェスター)であります。ホーソンはこの蝋人形館を相続するのはマーガレットですと言い出してみんなを慌てさせます。「ええ?彼はここをわしに売ることになっていたんだぞ」これはバーンズ。「そんな相続って、彼は私とカーコブに人形館を遺すと言っていたんだ」これはフレクスナー。しかし二人とも「売買契約が結ばれてない」「遺言がでてこなければ一番の近親者であるマーガレットが相続する」ということで却下されてしまうのでした。

 ホーソンは自分が相続した訳でもないのにほくほく顔で「さっそく蝋人形館を再開しましょう。殺人現場を公開すれば大儲けができるわ」ってこのおばさんも鬼畜でございます(笑)。

 ホークス刑事はこの後隣の酒場へ行って事情聴取。ティムの話からローリーがカーコブに優しかったこと、そしてそれゆえにカーコブが彼女を崇拝しているということが分かります。さあ、この伏線は後からどう生かされるのでしょうか。

 一夜明けていよいよ蝋人形館の再開です。ホーソンの目論見どおり、大勢の観客が詰め掛けて押すな押すなの大盛況。口上を勤めるフレクスナーも張り切っております。「ええ、こちらがベルリンのソーセージ売り、ウィリー・グロスマン、彼はソーセージ作りに熱心になりすぎてついには自分が殺した田舎娘の死体をミンチにしてソーセージを作ったのであります。ええ、こちらはリジー・ジ・アックス!お母さんとお父さんを40回ずつ斧で切り刻んだ親孝行の娘であります。リジー・ボーデン 斧ふりかざし 父さん 四十 滅多打ち 正気に返って 母さんを 四十と一回 滅多打ち」何を嬉しそうに歌っているんだ、この人は(笑)。

「そしてこちらが極めつけ、ロンドンの怪人、切り裂きジャックであります。彼は20人以上の人を殺しました。当館の元館主デュプリーもまたこの人形が持っているナイフで殺されたのであります。果たして切り裂きジャックがまた戻ってきたのでありましょうか」

 この悪趣味な口上に顔をしかめるマーガレット。その傍らに寄り添っているのはホークス刑事。どうやら、この二人急速接近中!のようです。

 今日の蝋人形館はホーソンの目論見どおり大儲け。笑が止まらぬ彼女は早々にベッドに入ったのですが、マーガレットはなかなか寝付くことができません。それでミルクでも飲もうと階下に下りたのですがこの時妙な物音が。振り返ったマーガレットはある蝋人形の手首がなくなっていることに気がついて立ち尽くします。おまけに例の切り裂きジャックの人形が動き出し、彼女に迫ってきたのです。ぎゃーっ、マーガレットの悲鳴が響き渡ります。これを聞いたホークス刑事は玄関のガラスを破って飛びこんできますって、あんた、あらかじめ張ってたんかい(笑)。

 彼と目を覚ましたホーソンが駆けつけるとマーガレットは床に倒れていました。幸いにも気絶していただけで怪我などは負っていなかったのですが、もう怯えきったマーガレットは「切り裂きジャックよ、あの人形がやったのよ」と喚きます。みんな夢でも見たのではないかというのですがマーガレットは聞き入れません。そして「もうこんな恐ろしいところはいや。とっとと売り払ってしまいましょう」と訴えるのでした。


 翌日、雨の墓地で執り行われるデュプリーのお葬式。カーコブが棺にしがみついてうおーん、うおーんと泣き喚くのが涙を誘います。しかし、その傍らでバーンズが「さあ、売るのか、売らないのか、どないだ」とホーソンに直談判。ホーソン、昨晩の事件が頭にあったのか「んじゃ、売るわよ」だって。これで大喜びのバーンズ、「そりゃ、いい、さっそくいろいろ手続きしましょうかね」「いいわよ、でも今日の営業が終わってからにしてね」なんと、このバーさん、デュプリーの葬儀の日まで蝋人形館開けて儲けようとしていたのです。

 この人でなし(笑)。

 まあ、人でなしはフレクスナーも同じ。なにせレイ・ミランドですから、デュプリーの殺人現場を再現するとか言い出して手回し良くデュプリーの首を作っております。「これで犯人が分かればすぐに展示できます」この首をうっかり見つけちゃったマーガレット、危うく失神するところでした(笑)。しかしこんなフレクスナーの奮闘もむなしく、ホーソンとバーンズ、蝋人形の売買契約書を取り交わしています。バーンズはこれらの蝋人形をニューヨークへ運んで自分の蝋人形館を作るつもりらしい。フレクスナー、これでカンカンになりましてティムの酒場でティム、ローリーと祝杯を挙げているバーンズのところへ怒鳴り込むのです。「てめー、このウンコアメリカ人め、あの蝋人形たちはわしの生きがいだったのだぞ、金でなんでも片がつくと思ったら大間違いだ。絶対人形は渡さないからな」言うだけ言ったフレクスナー、足音も荒く嵐が吹き荒れている外へ出て行くのでした。

 この珍事にもめげず、上機嫌で杯を重ねるバーンズ。とうとう酔いつぶれて看板まで居座ってしまいました。ティムに揺り起こされたバーンズ、ふらつく足取りで帰ろうとします。この時、ローリーを見つけたバーンズ、「ようようネーちゃんよう。デートしようぜい、金ならあるぜい」と誘ったのですが、あっさりとフラれてしまいました。「ちぇ、なんだい、このど淫売め」と毒づいて歩き出すバーンズ。その彼の後を何者かの影が追いかけて・・・。

階段を降りてきたマーガレット、剣で椅子に釘付けにされたバーンズの死体を見つけて「きゃあああ」

 第二の殺人が起きたというのでまたまた大騒ぎになります。ホークス刑事はホーソン、マーガレットに昨夜の事情を聞くのですが新たな発見はなし。「バーンズの死体の上にカーコブがデュプリーの葬式から持ってきて大事にしていた花があった。このままでは彼が容疑者だ」ここでティムがやってきまして、「旦那、バーンズとフレクスナーが人形を売るの売らないので言い争いをしてましたよ」この直後、二日酔いでどろどろのフレクスナーがようやく出勤してくるという・・・(笑)。彼は中国人の店までヤケ酒飲んで朝まで通りで寝ていたというのですがいかにも怪しい。

 この夜悪夢にうなされるマーガレット。ジャックやリジーなどの蝋人形たちに追い掛け回されています。そしてギロチンがダーンと落ちたところで飛び起きたのですが、その彼女の目に飛びこんできたのが物言いたげに部屋の隅に立っていたデュプリーでした。これでまたまた「ぎゃああ」と悲鳴を上げるマーガレット。しかしその悲鳴を聞いてホーソンが駆けつけて来た時にはデュプリーの幽霊?は跡形もなく消え去っていたのです。翌朝、「もうこんなところにはいられません」と荷造り始めたマーガレットですが、ホークス刑事が「とりあえず24時間だけ待ってください、安全は保証しますから」と説得、その言葉に従うことになります。

 ホークス刑事はマーガレットとデートがてらこの中国人の店へ出かけます。そして女主人のマダム・ヤン(リサ・ルー)にフレクスナーのアリバイを確認しようとしたのですが、マダム・ヤンは薄く微笑んで「法律で営業は午前2時までに決まっておりますの」と繰り返すばかり。怪しい。そしてマダム・ヤンはホークスのリクエストに応じてマーガレットのこれからを占うのです。その結果はというと「あなたは危険の中にいる。命を狙われている。誰かがあの世から警告しようとしている」ここでマーガレット、息を飲み込んで「は、きっとそれはおじさまのことね」「あなたはそのうちお金持ちになります」ジュセリーノもびっくりのマダム・ヤン予言。

 さて蝋人形館に戻りますと新たな騒動が持ち上がっていました。デュプリーが生前投函していた手紙が今頃になって届いたのです。これを持ってきたサウスコット弁護士はみんなに向って「これは彼の遺言状です。それによると蝋人形館は特別の事情がない限り、フレクスナーとカーコブに残すものとする。マーガレットには特別の財産を残すものとする。追伸、マーガレット、後見人のホーソンをあまり信用するな。あれはタチの良くない女だ」ホーソン、むっとします(笑)。まあ、このすぐ後で「じゃあ、その特別の財産と言うのが蝋人形館のどこかに隠されているのだわ、探しましょう」と言い出したりしますから、こう言われるのも無理はない。ともあれ、この手紙一通で相続問題は解決です。

 ホークスはマーガレットにピストル渡して、「じゃあ、僕は外で見張っているよ」えーっとあなたの仰ってた24時間の期限はとっくに過ぎちゃっているのではないでしょうか(笑)。

 その夜いつものように帰っていくローリー。何者かにつけられていることに気がつきます。ひゃー、怯えた彼女は物影に潜んでやり過ごそうとしたのですが、やってきたのが警官だったと知って一安心。しかし警官の顔をみた瞬間、ローリーは驚愕して「な、なに、あんた、なんでそんなカッコしてんのよ、どうしぎゃー」

ズダーン、ギロチンが落ちました。この音で起きだしてきたマーガレットとホーソンが見つけたのは、もうお分かりでしょう、ローリーの生首だったのです。「ひいい」「きゃああ」悲鳴を上げる女二人。腰を抜かさんばかりになってがくがくとカーコブを呼びに行きますと、なんということでしょう、彼も殴られたのか頭から血を流して倒れていたのです。マーガレットは外へ飛び出してホークスを探すのですが見つからない。屋敷の中へ戻っておろおろしているうちについに切り裂きジャックの登場だ。

 あまりの恐怖にきゅうと失神したホーソンを放っておいてジャックはマーガレットを拉致しようとします。ここで昏倒していたカーコブが意識を回復、彼女を取り返さんとしてジャックに飛び掛ります。しかし、ジャック強し。彼に渡り廊下から突き落とされたカーコブ、哀れぶくぶくと沸き立っている蝋の大釜にじゃぼん。ジャック、再びマーガレットを抱きかかえて連れ去ろうとしたのですが、今度は秘密の入り口からホークス登場。ということは彼は今までこの秘密の通路を探していたのでしょうか。ジャック、そのまま人形展示室に逃げ込みます。人形に紛れ込んでどこにいるのか分からなくなった。後を追いかけたホークス、あちこち探すのですが見つからない。その時突然、背後から斧が飛んできた!ホークスの脇を掠めて柱にどすんとめり込みます。しかしジャックのナイフといい、この斧、たぶんリジーの奴だな、といい、なんで本物を飾っておくんでしょ。蝋人形館だからダミーでいいじゃないですかねえ。

 続いてジャックが剣をふるって襲い掛かってきた。彼の振り回す剣はある蝋人形の腕をばっさり切り落としてしまいます。ホークス、とっさにこの腕を掴んで思いっきりジャックの頭に叩き付けた!ごっ、鈍い音がしてジャックの頭蓋の一部が陥没します。ふらふらとなったジャック、さきほど己が壁にめり込ませた斧に倒れこんでしまったのです。斧のとがった反対側がぐさりと背中に突き刺さり、ジャック息絶えたのであります。ホークスは彼に近づき顔から蝋で作られたと思しきマスクを剥がして・・・。

 そして勢ぞろいした一同の前で謎解きを披露するホークス。「犯人はデュプリーの隠し財産を狙っていたのです。だから蝋人形館を売ろうとしたデュプリーとバーンズが邪魔になって殺した。その時にローリーに見られてしまったので彼女もやってしまったのですな。彼は秘密の入り口を知っており、またその鍵も持っていた。だから彼は自由にここに出入りできたのです」ここでホーソンが「そんなことはどうでもいいんですけど」いいんですか(笑)。「肝心の隠し財産はどうなりましたの。私、これから探そうと思いますけど」「隠し財産ならもう見つけましたよ。ジャックの袋の中に隠してありました」彼がぱっと包みを開けると出てきたのがオールプラチナの蝋人形工具セット(大笑い)。「彼はこれをマーガレットに遺そうとしていたのです」

 ここでてっきり犯人だと思っていたフレクスナーが出てきまして、「みなさん、できましたよ、蝋人形」みんなが見に行くと、おお、そこにあったのはデュプリーをナイフで刺し殺しているティムの蝋人形が。そう、彼こそが真犯人だったのであります。ちょっと納得がいかないけれども、本当にそうなので仕方ないのです。

 しかし、フレクスナー、レイ・ミランドなのに目立った活躍しませんでしたなー。最後まで、蝋人形、蝋人形と言っていただけでしたなー。それにカーコブがローリーを崇拝していたという伏線も役に立たなかったし、なんだかいい加減な映画だなあ。

カラー・スタンダード。モノラル音声 レンタル落ちVHSソフトなので画質・音質とも評価外。日本語字幕付。

 エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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