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2008年7月 4日 (金)

『ヴィンセント・プライスのザ・バット』(『The Bat』 1959年)

  『ヴィンセント・プライスのザ・バット』(『The Bat』 1959年)

 稀代の殺人鬼が屋敷に隠された宝を巡って暗躍す!という映画。ヴィンセント・プライス出演作にしてはストーリーが単調でいささか退屈なのが残念であります。

ヴァージニアのオークス屋敷、一人の女流推理作家が銀行の頭取 ジョン・フレーミング(ハーベイ・ステファン)からここを借りて創作活動に励んでおりました。その女流作家の名前はコーネリア・ヴァン・ゴーダー(アグネス・ムーアヘッド)、他にもメイドのリンジー(レニタ・レーン)、運転手のワーナー(ジョン・サットン)らの使用人がおります。しかしこの近辺には昨今悪い噂が流れておりました。昨年突如出現して近隣を恐怖のどん底に叩き込んだ殺人鬼「バット」が復活したのではないかというのです。最近、やたらに蝙蝠が出現するようになっており、人々は「バット」がこの蝙蝠を放ったのではないかと考えていたのでした。

 コーネリアはもちろん、そんな噂を信じてはいません。「あたしの小説じゃないんだから、そんなのいるわけないでしょ」と彼女はその話をしてきたリンジーにぴしゃりと言い返したのでした。

 さて、ある日コーネリアとリンジーは取引先の銀行に向います。ここで彼女達を迎えたのが副頭取のヴィクター・ベイリー(マイク・スティール)。彼はお得意様の彼女たちに丁寧に挨拶して、「実は僕、結婚したんですよう」だって(笑)。彼は新妻のデール(エレーネ・エドワーズ)を紹介するのでした。さらに新たな登場人物、警察の人なのになぜか銀行に入り浸っているアンダーソン警部補(ゲビン・ゴールド)も現れ彼らは親しげに談笑します。と、ここで変事が発生。ベイリーが金庫から100万ドル分の有価証券が盗まれていることを発見したのです。

 この金庫の鍵を持っているのは彼自身と頭取のフレーミングのみ。しかしフレーミングは現在医師のマルコム・ウェールズ先生(ヴィンセント・プライス)と共に森の別荘で休暇を過ごしておりすぐに連絡を取ることができません。「わあ、どうしよう、どうしよう、大変だ、大変だ」ベイリー、うろたえ騒ぎます。

 ぱっと場面が変わってヴィンセントと頭取が休暇を過ごしている森の別荘へ。ここで頭取、いきなりえらいことを言い出すのです。「ところで、君、ヴィンセント、50万ドル手に入るとしたら何をするね」ヴィンセント、何かの冗談かと思ったのかにやにやしながら、「そりゃ、大金ですな、それだったらたいがいのことはしますよ、人殺しは駄目だけど」「ふふふ、実はわし、自分の銀行から有価証券盗んじゃったの」思いがけない言葉に仰天するヴィンセント。頭取は続けて「それで君に50万ドルやるから手伝って欲しいのだ」

 つまりは頭取が前から悪かった心臓麻痺で死んでしまったことにして欲しいというのです。「そしたら代わりの死体が必要になりますな」とヴィンセントが考え込むのに、頭取ははははと笑って「カンタンなことさ、使用人のサムを殺せばいいのだ。顔を潰してしまえば私と彼の背格好は同じだからバレないって」「いや、私は人殺しはやらないって言ったじゃないですか」「んふふふふ、君だって50万ドルは欲しいだろう」

 いきなり山火事が発生(笑)。物凄いタイミングの良さです。ドアを開けて山火事に気がついた頭取が「わ、やばい、こっちへ向っているぞ」この隙にヴィンセント壁に掛かっていたライフル銃を取って「だから人殺しなんか出来ないっての」と叫ぶなり頭取を銃殺してしまうのでした。いや、人殺ししているじゃないですか。

 この後ヴィンセントは頭取は山火事に巻き込まれて死んだということにして下山します。そのため容疑はベイリーに集中。ついに彼は逮捕されてしまうのでした。

 さて、ここで設定説明。頭取のオークス屋敷は建築時から奇妙な仕掛けが施してあったのです。屋敷のあちこちに秘密の扉や通路、隠し戸棚があって、ヴィンセントは頭取がオークス屋敷内に盗んだ有価証券を隠したのではないかと考えたのであります。

 この後ぱっと時間が経過しまして、オークス屋敷はいつの間にかコーネリア、リンジー、ワーナーだけになっております。実は屋敷の中で使用人たちがヘンな人影を目撃したりと怪事が続きみんな怯えて逃げてしまっていたのです。「奥様、何でもその人影には顔がなかったなんて申しますのよ」恐ろしげに囁くリンジーであります。しかもいつの間にか二人の女性を殺害していたバットも被害者が苦しい息の下から語ったことによれば顔がなかったとか。「ふん、じゃ、バットがこの屋敷に入ってきたというの」「奥様、そんな人事みたいなこと仰らないで下さい。バットは恐ろしいのですよ、鉤爪で女性の喉を切り裂いて殺しているんですから」

 ここでコーネリアがぽつりと「鉤爪で喉をばっさりか、いいわね、私もやってみようかしら」リンジーがびっくりするのに「馬鹿ね、小説の話よ」というギャグが入ります。あんまり面白くはないです(笑)。

 この頃から嵐が酷くなりましてあちこちからがらん、がらんと音が鳴り響いて夜でもありますので大変恐ろしい。かてて加えてリンジーが昼間鍵を掛け忘れていた玄関がぎーっと開いて鉤爪がニューッ。これをみた女二人は怯え切って警察へ電話します。そして周囲を警戒してもらうことになってようやく安心した二人、今夜はコーネリアの部屋で一緒に寝ようということになりました。しかしバット、玄関のガラスを破って屋敷へ侵入。二階の寝室のあたりをうろうろします。寝巻きを自分の部屋へとりに行こうとしたリンジーがこれを見てまたまた「ひーっ」警察に連絡して屋敷の中を調べて貰うのですが異常なし。これで安心して寝るコーネリアとリンジーって寝るなよ、どっか他所へ行けよ、危ないじゃないか(笑)。

 ほうら、言わんこっちゃない。二人が寝静まったのを見計らってバット、寝室の空気取りの扉から蝙蝠を放ったぞ。これがきききーと鳴きながら飛び回った挙句リンジーの腕にがぶり。二人はまたパニックになって「なんとか噛まれた怪我を治療しなくちゃいけない」ということでヴィンセントに往診を依頼したのです。そのヴィンセント、自分の研究室で蝙蝠の研究中。これを外からそっと覗いているのがアンダーソン警部です。どうやら彼はヴィンセントのことを疑っているらしい。そのヴィンセントがコーネリアたちに呼び出されて出て行った後、アンダーソンは彼の研究室に忍び込みます。あちこち調べているうちに彼はガラスの檻に収容されている巨大蝙蝠を発見したのでした。

 さて、ヴィンセント、リンジーの怪我を手当てしまして、またクローゼットに逃げ込んでいた蝙蝠を捕らえ検査します。「ん、大丈夫です、この蝙蝠は狂犬病に感染してはおりません」ヴィンセント、屋敷を辞するのですが帰り際に気になることを言い出します。「フレーミング頭取といい、あなた方といいどうやらここに住む人には悲劇が訪れるようですな」そんなオッカナイことを言うな、ヴィンセント(笑)。この時なぜかアンダーソン警部もやってきまして、バットが破ったガラスを発見します。これでまた騒ぎになるのですが私はいい加減面倒くさくなったので、話を翌日に飛ばすことにします。悪しからず(笑)。

 翌日、フレーミング頭取の甥マーク(ジョン・ブリアント)が営む不動産会社を訪ねるアンダーソンです。ここで二人が「叔父の遺産なんて全然なかった。口座に数百ドル残っていただけですよ」とか「わしゃ、銀行の株持っているんだ。これで証券が見つからなければ銀行がパー。すると私も大損してしまうよ」とグチをコボしあうのがおかしい。

 一方、オークス屋敷ではコーネリアのファンのジュディ(ダーラ・フッド)という女性が直筆サイン入り最新刊を渡されて大喜び。ここには逮捕されて裁判を待つベイリーの奥さん、デールも来ており、どう証言したらいいか彼女に相談をしております。彼女にアドヴァイスを与えるコーネリア。ここで彼女はこの事件をねたに小説を書いてやろうと思い立ったのであります。だったらこの屋敷の設計図が必要だわということになって、この物件を紹介したマークに連絡したのでした。

 電話を受けたマーク、「あ、たぶん屋敷の中にあると思いますよ。今夜、僕、そっちへ行って探しましょう」

 ところがこのマーク、どうも叔父が盗んだ証券類を屋敷の中に隠していると思っていたらしい。彼は約束の時間より早く行くとお茶をしているコーネリア、デール、リンジーの隙をついて秘密の隠し戸棚を開きます。そこにあったのは屋敷の設計図。これをこっそり我が物として、屋敷の中を探そうというのでしょう。後でコーネリアたちには「すんません、やっぱ地図は見つかりませんでした」と誤魔化すつもりなんだな。きっと。しかし、やはり天はこの悪事を見逃さなかった。バットが現れたのです。彼はマークの後ろから忍び寄るとその鋭い鉤爪で喉を切り裂いてしまいます。ばったり倒れるマーク。

バットは彼の死体を大きな振り子時計の裏にある隠し戸棚にぶち込んで姿を消します。この際時計を元に戻さずすぐ見つかるようにするバット。なかなか気が利いておりますな(笑)。

 その目論見どおり死体はコーネリアたちにあっさり発見されて「キャーッ、大変よう」

 急いで警察へ連絡。アンダーソン警部がやってきます。検死に呼ばれたヴィンセントも間もなく到着。「むむっ、これは鉤爪で喉を裂かれておりますな。ということはこれはバットの仕業」アンダーソンは「奴は100万ドルを探している。ひょっとしたらまだ屋敷の中にいるかもしれない」さらにアンダーソンはこの時鍵を忘れたというので戻ってきていたワーナーに疑いの目を向けるのでした。「どうも、お前に見覚えがあるような気がする。やい、お前、屋敷から出るな、後でたっぷり調べてやるからな!」

 この後鑑識班がやってきて屋敷の中は大騒ぎ。アンダーソンはみんなに、「さ、皆さん、もう寝てください。鍵をしっかり掛けておけば安心です」って、バットが屋敷の中にいるかも知れないって言ってたじゃないか、何が安心なものか。みんなもみんなで本当に寝ようとするなよ、タクシー呼んでどっかのホテルへ行けよ(笑)。コーネリア、リンジー組とジュディ・デール組に別れてお休みなさいとなりました。

 一人残ったアンダーソン警部。屋敷の中や外を調べております。その姿をじっと見つめるワーナー。やっぱりこいつは怪しいと思いきや、バットがまたまた登場。彼は屋敷に忍び込むと電話線を切断。それから三階の物置部屋に入り込んでトンカチとノミでがんがん壁に穴を開け始めます。当然五月蝿くって(笑)飛び起きるみんな。バットはまさか屋敷内に人が残っているとは思っていなかったのかなあ。デールはこの音を聞いて警察に連絡しようとするのですが電話線を切られているので通じません。だったら私が直接調べるわ、だってお金を見つければ夫が無実だと分かるもの!止めようとするジュディを振り切って三階へ向うデール。問題の部屋のドアに手をかけたところで反対側からバットがぐいっ。大変な勢いで引っ張ったのでジュディ、部屋の中へ倒れこんでしまいます。その隙にぱっと逃げ出すバット。ところがここにデールを追っかけてきたジュディがいた。バット、無慈悲にもこのジュディを殺害してしまうのでした。デール、とっさに火かき棒をバットに投げつけます。見事額に命中し、バットよろめくのですが、そのまま逃げられてしまいました。

 外を調べていたというアンダーソン警部がばたばた戻ってきて「何、ジュディが殺されたのですか!」彼は集まっている面々を見て「ムム、ワーナーはどこです、奴が怪しい!」そのとたんにワーナーが現れるという・・・(笑)。彼は頭を抑えつつ「私はここにいましたよ、外で誰かに殴られて今まで気絶していたのです」アンダーソンは彼を睨みつけます。「下手な芝居はやめるのだな。私は今、お前を思い出したぞ。お前は殺人容疑でシカゴ警察に手配されていた奴だ!」この決定的な告発に対してワーナーの言い返した言葉がいい。「それ、もう終わってます。私捕まったけど無実だってことで釈放されてるんですよ」

 大騒動でありますが、その最中にもう一人増えた。ヴィンセントが戻ってきたのです。彼は帰宅途中に対向車をよけようとして車のタイヤを溝に落としてしまったというのです。大変怪しいことに彼は額から血を流していました。彼はこれは事故の怪我だというのですがみんな、怪しい目でじとーっ(笑)。何だか、もう良く分からなくなってまいりました。

 さて、ここから解決編。事件の真相をデールに後述筆記させているコーネリアに合わせて物語が進行するというスタイル。コーネリアはリンジーにも知らせず自分ひとりで三階の物置を調べることにします。バットが開けた穴を見つけて懐中電灯片手に覗き込んでみるのですが何にもなし。バットは一体何をしたかったのでしょうな(笑)。次に彼女は壁を調べに掛かります。

 ここで場面が変わってヴィンセントの研究室。なぜかバットがいて紙になにやら文字を書きなぐっております。なんて書いてあるのかというと「バット、ここに眠る、露呈を恐れて自殺す」何なのだ、これはと私が頭を捻っておりますと、いきなりピストル構えたヴィンセントが現れた。「貴様、わしを殺してバットに見せかけようというのだな、そうはいかんぞ、死ぬのはお前だ。そして私は金を回収してこの後幸せに暮らすのだ、どうだ分かったか、わーっはっはっは、うほげほ」咳き込んだ隙を狙って飛び掛るバット。もみ合いとなります。そして銃声が響いて、倒れたのはバットではなくヴィンセントの方でした。

 一方部屋を調べ続けているコーネリア。偶然にもマントルピースのパネルに仕掛けてあったスイッチを作動させてしまいます。パネルがスライドして現れたハンドルをぐいと捻るとあら不思議、マントルピースが回転して裏の隠し部屋が現れたのです。しかもその中には金庫らしきものが!コーネリア、大喜びで中に飛び込むのですがあ、マントルピースがまた回転して閉じ込められてしまったのです。この部屋やたらに気密が高いらしくすぐに息苦しさを覚えるコーネリア。「このままじゃ窒息よ、リンジー、助けて、助けて」

 この声を聞きつけて起きたリンジー、コーネリアがどこにもいないことを知って仰天。警備に配置されていた刑事、ダヴェンポート、と一緒に彼女を探します。屋敷の中を一通り探してもいない。じゃあ、外だというので飛び出すと、三階の窓から明かりが洩れている。コーネリアはきっとそこだというので三階へ急行します。そして壁の向こうから聞こえる息も絶え絶えのコーネリアの声にしたがってスイッチを操作。ようやく彼女を助け出すことができたのです。ダヴェンポート刑事は隠し部屋の中を調べて「おお、金庫がありますな、バットはきっとこれを狙っていたのだ」

 と更なる変事が発生。何者かがガレージに放火したのです。燃え上がるガレージを見たリンジーたちはさっそく駆けつけようとするのですがコーネリアが「待って、これはバットの作戦よ。私たちをここから追い出そうとしているのよ」ならばこの部屋でバットを待ち伏せするべし。その通りみんな出て行ったと思ってのこのこやってくるバット(笑)。さっそくマントルピースのスイッチを操作して中に入ります。これを待っていたダヴェンポート、ぱっと隠れ場所から飛び出してスイッチをカチッ!バットを閉じ込めてしまったのでした。

 でも、そのままにしておけばいいものをピストル片手のダヴェンポート、再びスイッチを押してマントルピースを開きます。すかさず逮捕と思っていたのでしょうがさすがはバット、彼の拳銃がダヴェンポートのそれより僅かに早く発射されて命中。刑事射殺されてしまいました(笑)。バットはふふふと笑いながら出てきてコーネリアたちに「小説ならばこれがさしずめクライマックスということですな。まあ、皆さんはその先を知らずに死んでしまうことになるのですが」この時彼の背後に人影が。その人物は「いつまでもお前の好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ」と叫んでピストルを発射。バットを射殺したのでした。

 この人物はなんと一番疑わしいと思われていたワーナー。では本物のバットは誰だ?覆面を脱がしてみるとこれがアンダーソン警部だったのであります。稀代の連続殺人鬼バットの正体がアンダーソン、ちょっとこれは無理があるのではないですかねえ。

 デールに口述筆記させているコーネリアの場面に戻りまして「金庫からは有価証券が発見されて銀行に戻された。これでベイリーの無実も証明されてめでたし、めでたしになったのよ」はい、これでオシマイ。

 バット、うろちょろしすぎ。ドリフのコントじゃないんだから。

モノクロ・スタンダード。珍しくマトモな画質。夜の場面で何をやっているのかきっちりと分かるのは久しぶりです(笑)。国内盤 日本語字幕付。レトロムービーコレクション 有限会社フォワードのDVD。

      エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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