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2008年8月18日 (月)

『リインカーネーションの恐怖』(『J.D.'s Revenge』1976)

 

『リインカーネーションの恐怖』(『J.D.'s Revenge1976

30年以上も前に殺された黒人の例が主人公の青年に取り付いて復讐を遂げるという物語。邦題のリインカーネーション(輪廻)は微妙に間違っているような気がしますが、いいじゃないですか、こんな細かいこと気にしないでいっちょぶわーっと行きましょう。

1942年のニューオーリンズ。屠殺施設付の食肉冷蔵倉庫という極めてややこしい場所で言い争っている黒人の男女あり。「エライジアと別れんかい」「あかん、うち、あの人好きやねん」「あかん、絶対別れるのや」「ふーん、そないなこと言うならうち、赤ん坊のこと言うで、そしたらあんたなんかすぐに首や」これでカッとなった男、剃刀を取り出して女の喉をすぱすぱすぱー!

 女の死体を見つけたのがお兄さんのJD・ウォーカーというケチな小悪党で「あー、ベティ・ジョー お前どうしたのや」彼女を抱きかかえようとしたらその手に血がべっとり。はっとなって落ちていた剃刀を取り上げたのがまずかった。これを問題のエライジアに見られて「うわ、ひ、人殺しや、人殺し」ウォーカー、「いや、これは違うのや」と弁明する暇も与えられず射殺されてしまうのでした。そして場面が変わってウォーカーとベティ・ジョーのお墓が映ります。

 ここで現代のニューオーリンズにタイムワープ!そしてタイトル、オープニングクレジット。

 この作品の主人公、アイク(グリン・ターマン)はタクシーの仕事をしながら法律を学んでいる学生さん。勤勉で仲間たちへの人望もあり、また妻クリステラ(ジョアン・プリングル)との仲も宜しいナイスガイ。その夜彼はクリステラ、そして友人のトニー(カール・W・クルーダップ)とその奥さんとお出かけ。彼らの結婚一周年を祝うためです。まずはヌードクラブにいってダンサー達の肢体を堪能したあとって、結婚記念のお祝いによくヌードクラブに行きますな(笑)。その後は呼び込みにつられてマダム・デバイン(ジョー・アン・メレディス)の催眠術ショーへ。アイク、よせばいいのに他の客三人と共に舞台に上げられて催眠術の実験台になります。御馴染み「あなたは眠くなーる、眠くなーる」というデバインの催眠術でコロリと寝てしまう4人。

 「さあ、みんな、催眠術にかかりましたえ、これから右手を上げさせます。上げたら最後、自分の意思では下ろせませんのや、これが催眠術でっせ!」その言葉通り催眠状態で右手を上げた4人、そのまま下ろせなくなってもがいております。その様子を見てげらげら笑う観客達。次にデバイン、「えー、あんたがたはサハラの砂漠におります。暑い、ほんまに暑い、服脱がんととても我慢できませんわ!」4人は汗をだらだら流しながら服を脱ぎ始めます。観客涙を流して笑っています。さらに「えー、今度は巨大冷蔵庫の中ですわ。今度は寒い、寒い、これでは凍え死んでしまいますえ!」4人、脱いだ服をまた大慌てで着込むという・・・。観客、やんややんやの大喝采。

 しかし、ここでアイクに異変が起こりました。巨大冷蔵庫という暗示を掛けられたとたん、彼は喉をナイフで切り裂かれて屠殺される牛、剃刀で殺される女の幻覚を見てしまったのです。これで気分が悪くなったアイク、次に行ったディスコでも調子が上がらず、「うう、頭が痛い、ビールの飲みすぎや」ということで帰宅したのであります。しかし、ベッドに入ってからも度々彼を襲う幻覚。これが一週間も続いたのでたまらなくなったアイク、トニーに相談するのでした。「ほんなら、わてがコールドウェル先生を紹介したるわ、あの先生、名医やからいっぺん行って診てもらったらよろしいがな」

 翌日、タクシー運転手として働くアイク。彼は古道具屋で一つの帽子を見つけます。なんてことのないデザインの帽子なのですが、これが妙に気に入って買ってしまうマイク。ほくほくしながら家へ戻って「あら、あんた、こんな帽子買うなんて珍しいやないの」といぶかるクリステラを尻目に鏡の前で被って見ます。「おー、なかなか良く似合うやんけ」と喜ぶアイク。しかし、鏡の中の顔が一瞬別人に変わったのです。「うわ、なんやこれは」と戦慄するアイク。この別人の顔とは言うまでもなく冒頭で殺されたウォーカーのものでした。

 彼はコールドウェル先生の診察を受けるのですが、何も肉体的な異常は見つかりません。「あんた、何事にも根つめすぎは良くないで、適当にどこかで息抜きする、これが人生を楽しく生きるコツやね」

 しかしアイクの振舞いはどんどんおかしくなってきます。まず悪友にどんなに勧められても決して手を出さなかったナンバー賭博に大金を掛け、そして勉強にも身がまったく入りません。幻覚はますます激しくなり、ベッドで「お前、いてもうたるわ」と叫びつつ女を激しく責めるという3流ポルノまがいの映像まで見えてくる始末。実際のクリステラとのセックスもこれに影響されたのか激しく容赦のないものとなって、「おら、お前、いてもうたるわ」「ひーっ、あんた、いつもと違う!」

 どうやらアイク、ウォーカーの魂に乗り移られてしまったらしい。

 再びタクシーの仕事をしているアイク。おばあさんのお客さんを乗せて走行中です。と、その時ポケットラジオから流れてきたのが「戦う牧師、エライジア(ルイス・ゴセット・ジュニア)の演説。「悪魔がきたら徹底的に叩きのめすのだ」といささかブッソウなことを言っております。ん?エライジア?それは冒頭のカップルの喧嘩に出てきた名前ではありませんか。アイク、この演説を聴くなり豹変、いきなりタクシーを暴走させます。その時ルームミラーに映った顔はもちろん、ウォーカー!アイク=ウォーカー、人気のないところにタクシーを飛ばすと、「ええい、このババア、さっさと降りんかい!」と引きずりだし、金を奪った上で置き去りにしたという・・・。

 その後家に戻ったアイク、剃刀に異様な興味を示しじーっと見つめております。ついでにベッド脇に飾ってあった熊の人形を取り上げずたずたにしたりなんかしております。ひー、怖い(笑)。

 さて、エライジアのことが忘れられなくなったアイク、彼の演説を聞きに教会まで出かけます。本物の彼はもうラジオ演説より一層過激で「悪魔が来たらかまうことあらへん、パンチや、パンチや、ノックダウンでっせ!」などと叫んでおります。ところがこの彼に殴りかかった暴漢あり。「この詐欺師め、地獄へ落ちんかい」一発殴られます。しかしそこでエライジアを救ったのがアイク。彼は暴漢を取り押さえたのです。エライジアは彼の手をとって「おおきに、あんたは命の恩人や、ところであんた、どこかで会わへんかった?」会ってたのはウォーカーの方ですけどね(笑)。エライジア、娘のロバータと共に笑顔で「あんた、良かったらまた来てや」と彼を見送ります。

 アイクの精神、肉体はますますウォーカー化しているようで、彼が次に向ったのはあの事件が起こったイーグル社の食肉倉庫。すでに使われなくなって久しいらしく蜘蛛の巣なんか張っております。中をみて回るアイク、当然あの現場に行き当たりまして冒頭の会話、「エライジアと別れんかい」「あかん、うち、あの人好きやねん」「あかん、絶対別れるのや」「ふーん、そないなこと言うたらうち、赤ん坊のこと言うで、そしたらあんたなんかすぐに首や」が幻聴で繰り返されるのです。

 家へ戻ったアイク。彼の帰りが遅いのを心配していたクリステラが「あんた、いったいどないしたん、電話もせんでこないに遅くなって、うち、心配したんよ」アイクは彼女の頬桁ばしーっと張り倒して「このクソアマ、やかましいのじゃ、この×××××の大×××め、出て行きさらせ!」彼女を追い出してしまいました。クリステラ、涙ながらにトニー夫婦の家へ避難。アイク、荒れ狂います。鏡に映った彼の顔はもちろん、ウォーカーのもの。アイク、恐怖して鏡を叩き割るのでした。

 翌日、アイクに戻ったアイク(ややこしいですな)はトニー家に避難しているクリステラに電話して平謝り。「わて、なんも覚えてないねん、すまんかった、すまんかった、戻ってくれへんかー」がちゃりと電話を切られてしまいました(笑)。

ここで新しい登場人物が出てきます。クリステラの両親から連絡を受けたという刑事カール。彼はクリステラの元夫だそうで、彼女のことを大変に心配しております。「暴力振るう男やらろくなもんじゃあらへん、とっとと別れた方が身のためやで」一度離婚した男が言ったってあまり説得力はないけれども。クリステラもそう思ったかどうか知りませんが(笑)「うち、あの人のこと、まだ好っきやねん」カール、「ほなら、あの男がいたらんことせんようにわてが監視したるわ」

 そのろくでもない男、カール、彼は仕事中に路面電車に乗り込むクリステラを偶然に目撃、タクシーを乗り捨てて自分も電車に乗り込みます。そして他の観客が聞き耳立てている中「なー、クリステラ、わてが悪かった、ほんますまんかった、だから戻ってきてくれへんか」と説得に掛かります。しかしクリステラは首を振って「あんた、何してたのか覚えてないんやろ、あんたのこと愛しているけど、そんな人とは一緒におられへんわ!」

 この後再びウォーカーが発動。彼はエライジアの教会へ向かいます。そしてエライジアの娘、ロバータを送っていくことになるのですが、この時エライジアと一緒にいた弟のシオティスは「兄貴は奴のこと気に入っているようやけど、わてはすかん、あいつはトラブルの元や」どうやらこの兄弟、実質的に教団を仕切っているのは弟の方のようです。エライジアはたんなるお飾りらしい。おっと話がそれた。ロバータを送っていったウォーカーはどうなったのかというと、それは決まってます、ロバータと始めるのです。あ、オッパイが見えた。

 一発済ませてすっきりとして帰途につくウォーカー。しかしその彼を三人の暴漢が襲います。三人は彼を押さえつけて「ええか、これは警告じゃ、ロバータに近づいたらあかん」ははあ、どうやらシオティスの回し者らしい。しかしこの時ウォーカーは三人の言葉がきっかけとなって「あいつに近づいたらあかん、あいつはわての敵やねん」「いやや、うち、あの人好きなんや」という妹ベティとの会話を思いだしていたのです。だんだん話の筋が見えてまいりました。

 翌日、アイクがシャワーを浴びていると考え直したクリステラが戻ってきました。この時ウォーカーからアイクに戻っていたアイク(ややこしいですな)は大喜び。二人はひしと抱き合うのです。しかし、これも長続きせず。クリステラが買い物に行って帰ってきたらもうアイクがウォーカーに戻っていたという。ウォーカー、いきなりクリステラの髪をがっと掴むと「このクソアマ、刑事に尾行させとるやろ、まったくずるがしこいことしおってからに」バシーッ、頬桁張り飛ばします。床に転がったまま恐怖で声も出せないクリステラにウォーカーは「ええか、わしゃ、アイクじゃない、JD・ウォーカーじゃ、今からJDのファック、教えたる!」なんだ、お前は(大笑い)。クリステラ、ウォーカーにレイプされかかるのですがとっさに花瓶を手にとってウォーカーの頭にがんっ!なんとか逃げることができました。

 しかしこんなことでめげるウォーカーではありません。失神から目覚めるなり30年前に流行ったオールドファッションの服装に身を固めてナイトクラブでミシェルという女をナンパです。さっそく彼女のアパートにしけこんで始めます。あ、オッパイが見えた。

 さて、クリステラやトニーたちから電話でアイクの豹変振りを聞かされたカール、ってあんたアイクを監視していたんじゃなかったの(笑)、大そう憤慨しております。「なに、わしゃ、JDウォーカーだと、あいつ、頭おかしくなっとるで」その名前に反応したのが側にいた警察上司。「おまえ、JD・ウォーカーいうたら30年も前に死んだチンピラやぞ、そいつがどうかしたんかい」

 まさか自分の正体がばれたとも知らずミシェルとヤッていたウォーカー。この時、最悪のタイミングでミシェルの夫が帰ってきたのですねえ。こういうところに踏み込まれた男女というのは訳の分からない言い訳を口にするのが筋でありまして、ウォーカーも「旦那様、わたくし、今、奥様に腕立て伏せをご指南しておりましたところでございます!さすが奥様、呑みこみが早い」 しかしこんな言い訳で騙される男もいるはずがなく、旦那も「ウソつけ!」と激怒してしまいました。ならば仕方ないとウォーカー、懐から自慢の剃刀を取り出して、スパッ、スパッ、スパパパっと旦那の腕、足に斬りつけたのです。血まみれの旦那、真っ青になって震えているミシェルを尻目にゆうゆうと帰ってしまいました。

 この後、ウォーカーはエライジアの教会へ行きます。いきなりボディガードを張り飛ばして驚くエライジアたちに、「わしゃ、JD・ウォーカーじゃ、シオティスに借りを返しにきたのじゃ、後であの場所へこい!」例の場所とはもちろん、あの倉庫ですね。最初はインチキ宗教のつもりだったのがすっかり本気になってしまったエライジア、「よし、わしが行って悪霊追い払ったる」と張り切ります。しかしシオティス、そんな兄貴を軽蔑の目で見て、自分はこっそりとピストルを用意するのでした。

 二人は倉庫へ出かけます。後からロバータがつけてきているとも知らずに・・・。

 倉庫で彼らを待つウォーカー。そしてついに事件の真相が明らかにされます。。「エライジアと別れんかい」「あかん、うち、あの人好きやねん」「あかん、絶対別れるのや」「ふーん、そないなこと言うたらうち、赤ん坊のこと言うで、そしたらあんたなんかすぐに首や」この会話の後でベティを殺したのは、そう、シオティスだったのです。

 倉庫へ到着したエライジアとシオティス。エライジア、すっかり教祖きどりで「おーい、出て来い、ウォーカー、お前の魂を永遠の安息につかせてやるわ」なんて言ってます。これに呆れたウォーカー、ぱっと現れると「お前なあ、いつまでそんなアホなこと言うてんねん、お前、その弟に操られておるんやど」ここでロバータも登場。彼女はウォーカーの言葉を聞いて目を丸くしております。「ええか、妹ベティを殺したのはそのシオティスや、そして赤ん坊もシオティスの子供やったんやで。それがバレたらえらいことになるさかい、殺したのや」ウォーカー、ロバータにふっと優しい目線を向けると「お前は母ちゃんにそっくりやな」

 えー、冷静になって考えると、これは叔父が姪とやった霊的近親相姦ということになるのですが(笑)。

 シオティス、真相をバラされて大慌て。エライジアとロバータから冷たい視線を向けられて「あんたを有名にしたのはこのわしやで、でもその見返りはなーんもなかった、金も女も兄貴のものやった、あの女はそんなわしに秘密をばらすと脅しかけよったんや」きいいと錯乱したシオティス、ピストルを取り出します。「あかん!」とっさにエライジアとロバータが飛びついてピストルを取り上げようとして揉みあいになります。一瞬後、ズドンと言う銃声が響いてシオティスばったり倒れたのでした。

 遠くから聞こえてくるパトカーの音。

 彼らは警察へ連行されて取調べを受けます。カールは「あいつは死刑じゃ、死刑じゃ」と喚き散らすのですが警察上司はいたって冷静。「ふむ、揉みあいになってピストルが暴発したわけでんな、だったらそら、事故だす。誰の責任でもあらしません」そして驚くべきことにアイクはウォーカーの霊に取り付かれていたということでお咎めなし。ええっ?そのまま釈放されてしまうのです。クリステラ、トニー夫婦に迎えられたアイク、「やー良かった、良かった、万事めでたしや、飯でも食いにいこうやないかい」エンドマーク。

 ええ、あの旦那をさんざん斬りつけているんですけど、それも関係なしですかい。それにこんなにあっさりと終わってどうする、フツーこういう映画なら「もうウォーカーの霊は成仏した、飯でも食いにいこやないかい」となった後、アイクが不気味な笑みを見せたりするもんじゃないですか。

カラー・スタンダード。モノラル音声 レンタル落ちVHSソフトなので画質・音質とも評価外。日本語字幕付。 

 エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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