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2008年8月17日 (日)

『ヴァンパイア・サーカス』(『Vampire Circus』 1972)

 

『ヴァンパイア・サーカス』(『Vampire Circus 1972

 疫病に悩む過疎の村にサーカス団がやってきた。どうにも怪しげなサーカス団なのですが、何しろ娯楽のない田舎の村ですからこんなのでも結構受けてしまうのですなあ。そして、このサーカス団が実はアレで村人たちに復讐するのが目的だったという…。いろいろ趣向が凝らされた楽しいハマー映画であります。

シュテッテル村のミッターハウス伯爵(ロバート・タイマン)は吸血鬼でした。彼は村の教師ミュラー先生(ローレンス・ペイン)の妻アンナ(ドミニ・ブライザ)を手先とし、村の子供たちをどんどん攫って来させたのです。今日も今日とてジョニー・シルトという少女が伯爵の毒牙に掛かりました。彼女の血を吸い尽くした伯爵、ご褒美なのかアンナとベッドイン。激しくヤリはじめます。

 さすがに堪えきれなくなった村人たち、ミュラー先生、村長(ソーリー・ウォルターズ)を先頭に伯爵の城へ押しかけ数人の犠牲者を出しながらもなんとか伯爵の心臓に杭を打ち込むことに成功します。伯爵、物凄い形相で「くくく、この村を呪ってやる、私は必ず蘇って子供たちを皆殺しにしてこの村を滅ぼすぞ」しかし、村人たちは怯まず城のあちこちに火薬を仕掛けます。彼らの手から辛くも逃れたアンナ、伯爵を地下の棺桶へ寝かせます。そしてすると瀕死の伯爵、「お前は闇の城へ行け、いとこのエミールに会うのだ、彼に全てをまかせよ」頷いたアンナ、地下の通路から脱出します。ここで火薬が大爆発。城は無残な瓦礫となってしまいました。

 ここでタイトルでます。しかし、吸血鬼のいとこというのが面白いですな(笑)。

 さて、年月は過ぎて15年後。伯爵の呪いは不気味な形で実現しようとしていました。シュテッテルの村は疫病に犯されていたのです。毎日毎日ばたばたと死んでいく村人。近隣の町や村は疫病拡大を恐れて道路を封鎖しており助けを求めることさえできません。村長を初めミュラー先生、吸血鬼殺害の場面に立ち会ったハウザー(ロビン・ハンター)などは顔を付き合わせるたびに「呪いだ、吸血鬼の呪いだ、略してキューノロだ、どうしよう、どうしよう」と嘆いております。そこに敢然と意を唱えたのが医者のカーシュ先生(リチャード・オーウェンズ)でした。「そんな吸血鬼なんぞ伝説ですよ、ましてやその呪いなどもっての他、これは伝染病です。適切な治療を施せば必ず収まります」彼は道路封鎖を突破し、町まで行って薬を手に入れると宣言したのでした。

 さて、この時唐突に村にサーカスがやってきます。「道路封鎖をどうやって突破したのか」といぶかる村長さんたちに構わず先触れの小人が「さあ、さあ、よってらっしゃい、見てらっしゃい、楽しいサーカス、愉快なサーカス、サーカス、サーカス 皆様のレジャーに奉仕する大サーカスですよ」このサーカス団のメンバーはジプシーの女(アデリーン・コリン)、ヘラクレスのような強力の青年、そして小人。馬車で牽いている檻の中には黒豹やトラ・チンパンジーがいるようです。この黒豹、檻を覗き込んだ子供の前で一瞬若い男に姿を変えたりします。ジプシーの女は「死者を相手に稼ぎにやってきたよ、ホホホホホ」と笑っていたりして、どうもこのサーカス団は怪しい。

 一方カーシュ先生は息子アントン(ジョン・モウルダー・ブラウン)を連れて馬で出発。森へ入ると「これから先へ進んだら殺す!」というブッソウな看板がありまして、早くも道路封鎖の見張りに見つかってしまいました。ここでアントンが囮になって見張りを引きつけ先生を突破させます。アントンはそれを確めてから手を上げて見張りへ降伏。無事シュテッテル村へ帰ることができました。

 その夜華々しく行われるサーカスの公演。小人のコミカルな演技、突然出てきたウェーバー、セリナの猛獣調教を模した踊り。セリナ、上半身裸でその上からトラ模様のボディペインティングという誠にいやらしい格好でありまして、村の男たちは目をサラのようにしてみております(笑)。続いてジプシー女が突然豹を連れて現れた。ぱっと紐を放すものですから観客驚きますが、豹はぱっとジャンプすると人間エミール(アンソニー・ヒギンズ)に早変わり。この妙技に拍手喝采する観客。

 ここでアントンが戻ってきたのですが、みんなサーカスに夢中で全然気付いて貰えないという・・・(笑)。

 サーカスはやっとお開き。しかし実に印象的な登場の仕方をしたエミールに村長の娘ローザ(クリスティーナ・ポール)が惚れてしまって、いやまあ、どうも奔放なことに馬車の檻の中でヤッてしまいます。もちろん、このエミールというのは吸血鬼でありまして、ヤッている最中に彼女の喉に喰らいつこうとするのですが、ジプシー女が何かに気付いて「今はおやめ、ヤバイよ」知らぬうちに難を逃れたローザであります。

 さて、翌日、城跡へ出かけて強力男が瓦礫を取り除きます。そしてついに発見される伯爵の棺。みんなは頭を垂れて「お迎えに参りました伯爵様」伯爵の不気味な声が響き渡ります。「ごくろう、わしもようやく復活するときが来た。見ておれ、村長、ミュラー、ええと後は誰だったかな、まあ、いいや、他の有象無象共含めて皆殺しだ!」

 その夜再びサーカスの公演が開かれます。今度は男女の空中回転芸。身軽に飛び回る二人の姿に拍手喝采の観客。二人が飛び上がるたびに蝙蝠ははたはた飛んでいるのが気に掛かりますが、まあ、今のところこれは気にしないでおきましょう(笑)。そして今夜の目玉、「命の鏡」の時間であります。ジプシー女は村長の手を取るとテントの入り口に導き、「中に鏡が三つございます。順番に覗いてごらんなさいませ」村長がテントに入って言われたとおりに鏡をみると村長の姿がぐんにゃりと歪んでおります。これで村長、大笑い。「ワハハハ、わしがデブになっておる。これは愉快」次の鏡では「わははは、わしがやせっぽちになっておる、これも愉快」しかし三番目の鏡で村長は立ち尽くします。なんと鏡の中に浮かんできたのは伯爵に惨殺される彼自身の姿だったからです。「ひーっ」恐怖のあまり口から泡を吹いて倒れる村長。村人の手によって自宅へ担ぎ込まれるのでした。

 それを見たある夫婦。「吸血鬼の呪いが始まったのだ。サーカスの人に手引きして貰って俺たちは逃げよう」

 翌日、この夫婦は年老いた母親を連れて小人の案内で森を歩いております。小人、ある地点までくると「さあ、もう封鎖を突破しました。礼金を下さい」金を受け取ると小人一目散に逃げてしまいます。夫婦は「おーい、私ら置いてけぼりかい」と叫ぶのですが後の祭。さあ、どうしようかと思った瞬間、森の中から黒豹出現。三人はずったずったのぎったんたんにされてしまいましたとさ。

 一方アントン、村長の診察をするのですがまったく打つ手なし。母親は母親で「娘がサーカスの男と出来てしまった、ああ、サーカスなんて来なければよかったのだ」と嘆いております。なんだかもうエライことになってまいりました。

 このアントン、実はミュラー先生の娘、ドーラ(レネ・フレドリック)に恋をしております。彼女は今、街へ滞在しており、伝染病とは無縁だと彼は安心していたのですが・・・ぱっと場面が変わって森で逃げる女が登場。背後で銃声が聞こえますます焦って逃げる娘。しかし彼女は足をもつらせてばったり倒れてしまったのでした。その倒れた先に黒豹にずたずたにされた家族の死体があったのです。みんなぐちゃぐちゃで特に妻の首は切断されておまけに目がびろーんと飛び出しているという物凄さ。娘は驚愕したのですが、ここで悲鳴を上げると追っ手に感づかれてしまうので必死に我慢したのでした。

娘を探す男たち。しかしついに諦めて「もうこれ以上村に近づくのは危険だ、帰ろう」ということになります。娘は危ないところで難を逃れたのでした。ここでまた場面がぱっと変わってサーカス会場に立ち尽くすミュラー先生となります。彼は誰ともなく「なぜ村人たちを脅かす」と問いかけます。すると謎の声が「昔の復讐だ、お前は娘のところへ帰れ」先生が「娘は街にいるぞ」と言い返しますと「いーや、すぐに戻ってくるぞ」その言葉通り先ほどの娘、ドーラが姿を現すのです。

 パパとアントンに会いたくって戻ってきたというドーラ。森で見つけたずたずたの死体のことをみんなに話します。これを聞いたハウザー、「サーカスの猛獣がやったのに違いない!」といきり立ちます。しかし、アントン、サーカス団の連中を庇いまして、「彼らのおかげでみんな病気の恐ろしさを忘れることができたじゃないか」と反論するのであります。

 しかし、サーカス団の連中はそんなことちっとも気にしてないようでジプシー女が覗きにきたハウザーの二人の息子に「命の鏡を見ていかない?タダで見せてあげるわよ」二人はテントの中に入り村長と同じように自分達が歪んで見える鏡に歓声を上げるのですが、そのお楽しみも当然ながら長続きしません。男女の吸血鬼が現れて二人を城の地下、伯爵の納骨堂に連れ込んでしまったのです。そして二人とも正体を現した吸血鬼にちゅーちゅーやられてしまったのです。その血がぽたりぽたりと伯爵の死体に垂れて、そして響き渡る不気味な声。「ハウザーの子供たちは殺した。次はドーラかローザだな、ふふふふふ」

 さて、村では自分の子供が失踪したことを知ってハウザーが半狂乱になっております。彼はサーカス団の仕業だと決め付けて小人を捕まえ殴る蹴るの暴行を加えます。ジプシー女が飛び込んできて「あたしらは何もやっちゃいないよ、彼を放して!」これで村人とサーカス団がにらみ合い一触即発の状態になったのですが、この時子供たちの死体が見つかったのでした。ハウザー、二人の死体を抱きしめて大泣きです。

 これから事態は急展開。子供たちの喉に傷があった。これは伯爵の仕業だ、あの吸血鬼野郎が蘇ったのだ、次はローザやドーラが狙われるぞ!そして半ば錯乱した村長、「あのサーカスの獣たちも関係しているに違いない。奴らを殺せ!」村長とハウザー、ライフル銃を持ち出してチンパンジー、虎、豹と片っ端から射殺してしまうのでした。この暴挙に「なんと酷いことを」を呻くジプシー女、その顔が一瞬、あ、あれはアンナだ、に変わったかと思うと、村長が胸を抑えて倒れます。ハウザーが彼を調べて「あ、死んでいる」だって(笑)。

 その混乱が収まらぬうち、エミールに誘い出されるローザ。城の納骨堂に連れ込まれ正体を現したエミールが喉にがーっ!再び伯爵の死体に垂れる血。エミールは恍惚とした表情で「いとこよ、血を飲め、復讐の始まりだぞ。次はミュラーの娘を今夜中にやるぞ」

 その言葉通り男女の吸血鬼によって例の鏡の前に誘い込まれるアントンとドーラ。夢うつつであったアントンがはっと気がつくとドーラの姿がありません。ドーラはすでに納骨堂に連れ込まれていたのです。男女の吸血鬼がドーラに迫る、ドーラ、絶体絶命の大ピンチ!と思いきや二人の吸血鬼はあるものを目にして後ずさり。あるものとはそりゃあ、決まってます。胸につけている十字架ですよ。この後ドーラはどうした仕組みなのか命の鏡からぽんっとはじき出されるのでした。そしてアントンに助けられます。

 ここでドクターが帰還。彼は村人たちに「皇帝から疫病の薬を貰ってきた。これでみんな助かるぞ、そして吸血鬼の伝説は本物だ。あのサーカス団が行くところでは必ず吸血鬼の犠牲者が出ているのだ。あのエミールと言う奴は伯爵の親族だぞ」と一気に種あかし。彼は皇帝から護衛もつけられております。彼らと村人たちは「じゃあ、サーカス団やっつけてしまえばいいじゃん」と盛り上がるのでした。

 ところがそうは問屋が許さないじゃなかった卸さない、教会に隠れたアントンとドーラをエミール達が襲撃します。エミールが二階の下宿人たちを皆殺し(笑)アントンをおびき寄せ、その隙にジプシー女と兄妹の吸血鬼がドーラを襲うのです。ジプシー女はにやにやしながらドーラの十字架を毟り取り、「ほら、あとはあんたたちの好きにしなさい」ドーラ、好きにされてはたまりませんから二人から逃げて二階に上がります。ここでアントンが戻ってきて吸血鬼と戦うのですがどうもかないそうにありません。この戦いをはらはらしながら見ていたドーラ、思わず二階の梁に取り付けてあったでっかい十字架に手をついて倒しちゃった。十字架はあっさりと落下、二人の吸血鬼を押しつぶすのです。二人の唐突な死に「うわー、私の子供たちが」と慟哭するジプシー女。エミールは彼女を連れて逃げ出します。

 これ以上ぐずぐずしてはいられない。奴らは伯爵を蘇らせようとしているのだ、夜明け前にやっつけないと大変なことになる!村人たちはドーラをハウザーの妻を付き添わせて自宅にこもらせ自分達はサーカス団と伯爵を退治に向います。しかし、先手を打ったのは吸血鬼軍団。あの強力男にドーラとハウザーの妻を襲わせたのです。ハウザーの妻は十字架を突きつけたのですが、この強力男は吸血鬼に操られているただの人間ですから効果なし。逆に十字架握りつぶされてしまいました(笑)。強力男、二人を攫って納骨堂へ。

 村人達は武器や松明を持ってサーカス団を襲います。またまた出ました強力男、ドーラさらったり、村人たちに立ち向かったり忙しいこと。しかし、強力男、あっさり村人達に射殺されてしまうのでした。ハウザー、松明をもってテントに放火します。しかし、ここでうっかり命の鏡を見たのが運のツキ。彼は自分の妻がエミールに襲われるところを見てしまったのです。呆然としている間に自分がつけた火に巻かれて大火傷を負ってしまうのでした。

 この間、城の近くで納骨堂への入り口を探すアントン。やっと見つけたと思ったら小人に襲われた!これを辛くも撃退して納骨堂へもぐりこみます。エミールはようやく捕まえたドーラの喉にがーっとかぶりつくのかと思ったら、なぜかジプシー女に行ったという・・・(笑)。ばたりと倒れたジプシー女、アンナに戻ります。ここでアントンが現れた。彼は十字架をかざしてエミールを威嚇するのですが、ぱたぱた飛んできた蝙蝠に十字架を叩き落とされてしまったのです。エミール、守りを失ったアントンに襲い掛かります。

 この時他の村人たちもやっと入り口を見つけて納骨堂へ入っていきます。皇帝からじきじきに送り込まれた兵士たちはピストルで、村人たちはボウガンや鋤・鍬で戦うのですが、相手は吸血鬼まったく役に立ちません。そんな中、ミューラー先生がエミールに飛びかかってもみ合いになります。ミューラー先生、エミールに喉をがぶりとやられながらも手を伸ばして伯爵の胸に刺さっていた杭を引き抜きエミールにぐさあっ!壮絶な相打ちです。しかし、物語はこれで終わった訳ではありません。杭を抜かれた伯爵が蘇ったのですって、エミールたち、とっとと杭を抜いてりゃ良かったんじゃないか(大笑い)。

 立ち上がる伯爵。アントンはボウガンを手に取りそれを縦に構えて十字架の形にするというナイスアイデア。これで伯爵が「わあ」とひるみますな。この隙を逃がさずボウガンを伯爵の首に押し付けて引き金を絞ります。放たれたボウガンの弦が伯爵の首をちょきーん。復活して30秒でやられちゃった(笑)。

 アントン、ドーラを抱きかかえるようにして納骨堂から出ます。そして村人たちが死体がごろごろ転がっている納骨堂に松明をぽんぽん投げ込んでエンドマーク。

本当にねえ、エミールがとっとと伯爵の杭を引き抜いておれば吸血鬼が二人揃ってこんな風におめおめやられることはなかったのにねえ。

カラー・スタンダード。モノラル音声 レンタル落ちVHSソフトなので画質・音質とも評価外。日本語字幕付。

 エロの冒険者
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      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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