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2008年9月18日 (木)

『百万眼を持つ刺客』(『The Beast with a Million Eyes』 1955年)

 

こけおどしで有名な迷作SF。本当に眼がたくさんついた宇宙人が出てきて大暴れなんてことはなく、退屈極まる映画です。それでも宜しければ先へお進みください。

  警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

映画が始まるといきなり鳴り響く雷鳴。地球が映ります。そして不気味な声が「我、この星を欲す。我、100万光年の彼方より飛来し、今まさにこの星に到着せんとす。鳥、獣、そして弱き人間が我の耳となり目となり、我を支援するであろう。我は100万の目を持つモンスターである」なんだか威勢の良い宇宙人ですな。この後タイトルがばーんと出ます。

 さて、本作の主人公は砂漠に囲まれたしょぼくれた農場を営むアラン・ケリー(ポール・バーチ)。もう三年前から赤字続きで遠からず破産するのではないかというどん底状態です。そのせいで奥さんのキャロル(ローナ・タイヤー)との仲もしっくり行っておらず近頃は言い争いばかり。そして近々大学へ行くことになっている娘サンディ(ドナ・コール)ですが、キャロルは「あの娘には輝かしい未来がある。でも私はここで朽ち果てるばかり」と台所でアランにグチ垂れております。そして犬のデュークの散歩から帰ってきたサンディが偶然ドアの外でこれを聞いて大ショックという実にせせこましい家族ドラマが展開されるのです。

 あ、破産寸前なのに娘を大学にやることができるのかと疑問に思う方がいらっしゃるかも知れませんが、ちゃーんとその分の学費は貯金してあったのでどうかご心配なく。

 おまけに農場の敷地内には口のきけない男カール(レオナード・ターバー)が住んでおりまして、何故だか知りませんがケリー一家はこの人の面倒まで見なくてはなりません。カールはぼろい小屋に住んでおり、その壁を切り抜き水着ピンナップで覆い尽くしているという少々アブナい人で、キャロルは彼についても「あいつはいっつもうちを覗いているわ!」と怒っております。この癇癪には付き合っていられないということで仕事に出かけるアラン、デュークと一緒に泳ぎに出かけるサンディです。

 キャロルは台所でお料理作っております。すると物凄い轟音が轟いて持っていたコーヒーメーカーのサーバーや窓ガラス、食器棚、大事にしていたグラスなどが次々に砕け散ってしまったのです。川で泳いでいたサンディもこれに気がつきます。デュークも何か敵を見たかのようにうううと唸りだしました。怖くなったサンディ、急いで帰ろうとするのですが、近くの木の上から覗いていたカールに気がついて「あんた、そこで何しているの、降りていらっしゃいよ」と叫びます。この騒ぎの間、いつの間にかデュークは姿を消してしまいました。慌てて彼を探すサンディ。

 キャロルは保安官事務所へ電話して、「あのキチガイ飛行機を捕まえてよ、私の台所がムチャクチャよ」と叫んでおります。もぞもぞ言ってはかばかしい返事をしない保安官に腹を立てたキャロル、がちゃんと電話を叩ききるのですが、はっと気がついてオーブンを開けると作っていたミートパイが丸こげ。さらに怒り狂うキャロルであります。ここでカールが昼ゴハン食べさせてとやってきたのですが、「ふん、もう食べ物なんかありゃしないよ」と冷たく彼を追い返してしまうのでした。

 アランは道路に鳥の死骸が落ちていることに気がついて車を止めます。死骸を拾い上げてしげしげと眺めておりますと、「ぴいぴいぴい」 鳥たちが襲ってきた!アラン、「ヒッチコックかよ、『鳥』かよ」と叫びながらほうほうの体で車に逃げ込みます。異変はそれだけではありませんでした。友人のベン(チェスター・コンクリン)の牧場に寄ってみますと「エライうるさい飛行機が飛んできただよ、それで牛の調子がおかしいんだ」乳絞りをやっている最中二度もバケツをひっくり返されたそうな。

 まあ、それはそれとして帰途につくアラン。途中で犬を探していたサンディと出合って彼女を車に乗せるのでした。おい、サンディ、犬はどうなった、犬は(笑)。アラン、サンディは家に戻ってガラス類が全部割れていることに驚きます。キャロルは箒を使いながら「飛行機が超低空飛行してきたの、保安官に連絡はしたけど、どうなるか分からない」それから家族総出で家の片付け。おい、サンディ、犬はどうなった、犬は(笑)。

 えー、その犬、デュークは今だ砂漠を彷徨っております。するとキーンという甲高い音が聞こえてきてデュークは何かの機械装置を発見。明らかにアブナイのですがそこは物の道理の分からぬ犬畜生の悲しさ、くんくん鼻を鳴らしながら近づいていってしまったのです。

 この後ケリー一家の元にやってきたのが保安官助手のラリー(ディック・サージャント)。彼はどうやらサンディのボーイフレンドらしく「今夜、私の誕生日なの、夕食に来てね」とかなんとかいわれてやに下がっております。そして仲良く手を繋いで散歩したりするものですからカールがもういらいら。いきなり斧を手に小屋から飛び出してきてサンディ、ラリー、及び観客を驚かすのですが、そのまま薪を割り始めるというギャグ(笑)。そしてサンディとカールはデート、アランも今夜の誕生日パーティのための買出しに出かけます。

 一人取り残されたキャロル、戻ってきたデュークの様子がおかしいことに気がつきます。いつもなら尻尾を振って餌をねだる筈がキャロルに向って牙をむき出しにし飛び掛ってこようとしたのです。「ひいい」驚いたキャロル、カールの小屋に逃げ込もうとしましたがドアが開きません。焦ったキャロル、カールが薪割りに使っていた斧を振り上げて飛び掛ってきたデュークを・・・。戻ってきたアランとサンディ、キャロルが電気もつけず部屋の中でうずくまっているのを見てびっくり。電気をつけてみますと彼女の顔にアザができているではありませんか。「デュークが、デュークが」と呟く彼女にはっとしたサンディ、アランが止める間もなく外に飛び出して犬を探します。そして聞こえてきた彼女の悲鳴。「キャー、あたしの可愛いデュークが荒挽きのミンチに!」

 キャロルは必死に「デュークが襲ってきたの、仕方なかった、ああしなければ私が殺されていた」とサンディに言うのですが、彼女は「信じられないわ」と叫んで外に飛び出してしまいました。ここでぶーんという音が聞こえてきてぼんやりとしたサンディ、いつの間にか砂漠にいることに気がついてびっくり。おまけにすぐ近くにカールがいたではありませんか。この奇妙な出来事に怒りを忘れたサンディ、彼を連れて家へ戻ります。

ね、退屈でしょ?


 変事は翌日も続きました。牛の乳をいつものように搾ろうとしたベンですが、いきなり乳牛がモーッ!彼を襲ったのです。またキャロルは餌をやろうと鶏小屋に入った瞬間、「こけーこっこっこー」と襲われてしまいます。アランに助けられたキャロル、「動物たちが反乱を起こしたみたいね」「反乱にはリーダーが必要だ。ひょっとしたらそのリーダーが砂漠にいるのかも知れない」
 

この訳の分からぬ騒動でたったひとつ良いことがありました。今までばらばらであった家族の気持ちがこの危機に瀕したことで再び一つになったのです。キャロルなんか今までの鬱々としたいたのがウソのように明るくなってアランに「愛しているわ、あなた」ふんふんと鼻歌なんかうなっちゃってサンディをびっくりさせます。

 その後カールと車で仕事に出かけるアラン。この時アランの上着から手紙が落ちたのに気がついたサンディ、拾って彼に手渡します。アランとカールが出かけた後でサンディはキャロルに「パパの持っていたのは復員兵救済施設からの手紙よ、しかも精神科から」この台詞が一応伏線になっているのですが、まあ、実際大した伏線ではないのでソッコー忘れて貰って結構です。人生には覚えておかなければならぬことがたくさんあり、こういう下らないことに脳のリソースを消費するべきではありません(笑)。

 アランはカールを椰子の実農園まで送って木の手入れをさせます。「じゃあ、2時間ぐらいで戻ってくるから、それまで頑張って働いてくれよ」しかし、カール、アランの車が走り去るなり砂漠から聞こえてきた例の高周波音に引かれて行っちゃったという・・・。彼はプローブを発見します。とプローブから強い光が放射され(スタッフの人が鏡で光を反射させて)彼の顔にびかびかびか!はい、アランもまた鳥や牛のごとく宇宙人に操られる身となったのであります。一方アランはベンの農場へ。そこで倒れているベンを見つけてびっくり仰天。手当てしようとしたのですが、彼は既に死んでいました。アランは牛小屋が壊されているのを見て、「あの乳牛にやられたんだ。ウウーム、鳥といい、牛といい一体何が起こっているのだ」

 えー、ベンを殺した牛がどうなったかというと、こちらはアランの農場に逃げ込んだという・・・(笑)。台所の窓からこれを見つけたキャロル、サンディ、「ああら、大変、ベンは今頃必死になって探しているわ」「丁度いいわ、ミルクを絞りましょう」と外に出るサンディ。馬鹿です。案の上、闘牛士に挑発されたかのように怒り狂う牛。サンディを襲います。キャロルも出てきて彼女を助けようとするのですが、逆に追い詰められて大ピンチ!牛にぐしゃぐしゃにされるかと思ったのでが、ここで偶然にもほどがあるぴったりのタイミングで戻ってきたアラン、ライフルで牛を射殺、妻・娘を助けます。

 もうこれはいくらなんでも状況がおかしすぎる。アランは保安官事務所のラリーへ電話を掛けようとするのですが、繋がれるのを待っている間に鳥数羽が電柱の変圧器に体当たり。もちろん鳥は焼き鳥になりますが電柱のほうも変圧器が爆発、電話・電気が駄目になってしまいました。アランはキャロルとサンディに車で町へ避難させ、自分はカールを探しにいくことに。しかし、カールは見つからず、またキャロルとサンディの車にも鳥の大群が波状攻撃。やむなく戻ってきてしまいます。

 キャロル、「鳥達は私たちを家に戻したがっていた。車を家のほうに向けるまで攻撃してきたのよ、アラン、一体これは何なの!」アランは重々しく答えます。「全てはあの飛行物体が来た時から始まった。あれはおそらく他の世界からやってきたのに違いない」

 ここでカールが戻ってきました。しかしすでに謎の存在の操り人形になっているカール、アランの車のタイヤから空気を抜いてしまうのです。このことを見つけたアラン達はもうやけのやんぱち。サンディなんかこんな状況下だというのに誕生日用のドレスを来て、「今夜のパーティにラリー来てくれるかしら」なんて言ってます(笑)。

 その願いが通じたのか、保安官事務所からアランから電話があったことを聞いたラリー、パトカーを飛ばします。ところがここでもカールの妨害。「頼むから家まで乗せていっておくれよう」と身振り手振りで頼み込んでパトカーに乗り込みラリーの頭をがんっ。しかし、ラリーはほどなく意識を回復、プローブのところへ戻ろうとしていたカールに追いついて取っ組み合いであります。カールの意外な強さに苦戦するラリーでしたがさすがは現役の保安官助手。ピストルの台尻でカールの頭をごんっ。からくも勝利します。しかしカールもまたほどなく意識を回復って、こればっかりですな(笑)。あろうことかラリーを心配して家から抜け出てきたサンディを攫ってしまったのです。

 アランの家へたどり着いたラリー、カールに襲われたことを話します。いやな予感を覚えたアランがキャロルにサンディを呼びに行かせますと「大変よ、サンディがいないわ」こら、カールに攫われたのに違いないというので大慌てで探しに出かけます。思ったとおり砂漠にサンディを抱きかかえたカールがいました。しかもプローブから放たれる怪奇な光(スタッフの人が鏡を反射させた光)をサンディに当てているではありませんか。焦ったアラン、「カール、やめろ、サンディを、娘を返してくれ」この言葉にはっとするカール、よろよろとアランの方へ向おうとします。しかしプローブの方も負けてはいません。さらに強い光をぴかぴか、カールはまたプローブのほうへ、「おい、カール」またアランの方へ、ぴかぴかぴか、またプローブの方へっていい加減にせんかい(大笑い)。

 ついにカール、アランにサンディを返します。しかしそれと同時に崩れ落ちるカール。なんと彼はアランとプローブの板ばさみになって精神的に崩壊し、死んでしまったのです。良く分かりませんが、死んだものは仕方ないのです。

 やっとサンディを取り戻したアランでしたが、しかしその彼女もすでに謎の存在に囚われていたのです。彼はキャロルと「サンディはあの存在に囚われてしまった。我々は戦わなければならない」「その通りだ地求人よ」突然割り込んできたのが宇宙人の声。どうやら彼らはテレパシーを使うようです。「我々は実体のない生命体だ。だから他の生命体の脳に取り付いて生きるのだ。だが残念ながらこれは長持ちしない。次々に新しいものと取替えなければならないのだ。我が星にはもうそれがいなくなった。だから我々はこの星が欲しいのだ」

 いつも思うのですがねえ、何も自分たちの企みを一から十まで説明するこたぁないっていうんですよねえ。あ、言っておくのを忘れていましたがいつの間にかラリーの姿がありません。一応アランの台詞で「鳥に襲われた」と説明されるのですが、そんな場面はなく、本当に唐突に姿を消してしまうのです。

 宇宙人はさらに続けます。「この星の鳥や犬、牛はカンタンに操れた。あの喋れない男もカンタンだった」「カールのことか、彼は戦争で頭を負傷して脳の一部を失っているのだ。彼は私の部下で、その負傷は私のミスによるものだった。だから私は彼の面倒を見ていたのだ」キャロル、びっくりして「えっそうだったの」と言うのがオカシイ。あの復員兵救済施設の手紙はカールについてのものだったのですね。

 宇宙人は話の腰を折られたので多少不機嫌となって(笑)「そんなことはどうでもいい。だが、お前たちは違う。お前たちは強い、容易に屈服しない。謎だ。私はこの娘を母星へ連れて帰って研究するつもりだ」そんなことをされてはたまらん、アラン、必死になって「いや、そんなことをする必要ない、私がその秘密を教えてやろう。それは愛だ、L、O、V、E ラブだ。家族の愛情なのだ!」私、ここで思わずずっこけてしまったのはナイショですよ。宇宙人、「むむ、愛情か、いや、それはむしろ弱さに繋がるはずだ。やっぱり娘は連れていく」「いや、駄目だ、娘はわたさん」

 宇宙人の精神波とアランたちの愛情波がもやもやと戦います。この時プローブの小窓からのぞく小さな宇宙人の顔、おお、これが飛び出してきて大暴れなのかと思ったら、いきなりぱたり。アラン、「よし、死んだぞ」だって。え、どういうことですか、これはと呆然としている私を全く無視してアランは「宇宙船が自動操縦で飛び上がるぞ、アブナイ、離れろ!」三人は急いで逃げ出します。そしてアランの言葉通り下部からロケット噴射して空中へ舞い上がるプローブ。

 あ、あれ、いつの間にかまたラリーがいるぞ、何の説明もなくサンディと抱き合っているぞ、困ったな、こりゃ。

 アラン、「あの窓から見えたのは宇宙船操縦用の体だった。ひょっとしたら宇宙人の精神はまだ残っているかも知れない」と砂漠に小さなネズミが出現します。ひょっとしたら宇宙人、これに取り付いたかと思いきや鷲がひらーっと飛んできてネズミ食っちゃいました(大笑い)。めでたし、めでたしでエンドマーク。

モノクロ・スタンダード 画質はあまり良くありません。ノイズが目立ち全体的にがさついています。音声の品位はそれなり。とりあえず台詞は聞き取り易いです。英語字幕、クローズドキャプションつき。『海底一万マイルからの妖怪』(『The Phantom From 10,000 Leagues1956)とのカップリング。MGMミッドナイトムービーシリーズのDVD

エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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受信: 2008年9月18日 (木) 18時57分

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