« 『モンスター・パニック』(『Monster』 1980年) | トップページ | 『Im Stahlnetz des Dr. Mabuse』(『The Return of Dr. Mabuse』 1961) »

2008年11月 2日 (日)

『ドラキュラ一家 地上げのえじき』(『Fracchia contro Dracula 』 1985)

 

『ドラキュラ一家 地上げのえじき』(『Fracchia contro Dracula 』 1985

イタリアのドラキュラパロディ映画。話のテンポが遅いのが難点ですが、細かいギャグに見るべきものがあり案外面白く見ることができました。イタリア映画だって、やるときはやるんです。

主人公の小心者の不動産屋フラキア(パオロ・ヴィレッジオ)は仕事でも恋でもドジばかり。恋人のステファニア(フェデリカ・ブリオン)と映画館でホラー映画を見ていたら途中であまりの怖さにぎゃあああと叫んで椅子をひっくり返してしまいます。そしてその椅子が将棋倒しとなって映画館中の客がひっくりこけてしまうという大騒ぎ。せっかくステファニアが部屋へ誘ってくれても仮面を被った子供に驚いて窓から飛び出して逃げ出してしまう始末。じゃあ、今度は自分の部屋へ呼べばいいだろうとなったのですが、テレビの催眠術にかかって背中に触れた手が離れなくなってしまいました。

 彼を診察してようやく手を離したお医者さん、彼から事の顛末を詳しく聞いて、「んー、何回誘っても上手くいかないのかね。なに、君はドーテー?ドーテーというと、高村光太郎のアレか、僕の前に道はない 僕の後ろに 道は出来るってやつか」「先生、それは道程だと思います。私の言っているのは童貞の方で、先生、分かっててボケているんでしょ?」お医者さん、フラキアに「君は自信を持たなくてはいかん、僕は優秀であると自分に言い聞かせるのだ。そうすれば恋も仕事も上手くいくさ!」

 ところがそうは問屋が許さないじゃなかった卸さない。やっぱり仕事でドジを連発したフラキア、ついに社長(ポール・ミューラー)から「お前、3日以内に契約取らないとクビね」と言い渡されてしまったのです。あせったフラキア、一人のお客フィリーニ(ジジ・リーダー)を捕まえたのですが、この人がまたセコ。400万リラで浴室が5以上あるような別荘を探せというのです。いつもなら、「そんな安い物件はないです」と追い出してしまうところですが、何しろフラキアは3日以内に契約を取らねばなりません。「んー、それではこの最新型のコンピューターで探してみましょう」

 いくら最新型のコンピューターとは言ってもそんな物件ある訳ないじゃんと思ったら、これがあるのですなあ、トランシルバニアにブラッド伯爵の城というのが(大笑い)。フラキアは現地で実際の物件を見たいと言い出したフィリーニを連れてトランシルバニアに赴くことになるのです。二人が出て行った直後、コンピューターの画面が不気味に変化。赤い血が垂れてきたのです。コンピューターと言えども吸血鬼の城を検索なんかしたりするとこんな風になっちまうと見えます。

 翌朝、たくさんの荷物を抱えたフィリーニを自分の車にのっけてさあ出発。フラキア、調子よく「すぐですよ、30分でつきますよ」なんて言ってますが、そんな訳がない。画面に目的地トランシルバニアに×印をつけた地図が現れて驀進する車が赤い線になって伸びていくというギャグ。あ、『インディジョーンズ』の安いパクリが素敵です。そしてあっという間に到着。フラキア、「随分と時間がかかったように思うが」と呟くフィリーニに慌てて、「ははは、渋滞っすよ、渋滞のせいっすよ」

 車が大きな×印の上に止まっているのも案外洒落たギャグでございます。

 しかし順調だったのはここまで。フラキアが運転を誤って車を林に突っ込んでしまいました。これで車が故障、後はずっとフラキアが車を押して歩くことになったのです。そして疲労困憊の末、たどり着いた村。そのあまりに古めかしい生活様式にびっくりする二人です。二人はとりあえずホテルへ投宿。言葉の分からない主人やお客に「車の修理を頼もう」として四苦八苦するのでした。次にフラキア、お客の皆さんに「あのー、皆さん、すいません、ブラッド伯爵の城はどこでしょう」と聞くと、今まで陽気にさんざめいていた人たちがぱっと顔色を変え一斉に逃げ出すのでした。犬もワンと吼えて逃げるし、猫はニャーと鳴いて天井裏に逃げ込みます。母親に忘れられた乳母車の赤ん坊もばぶばぶ言いながら這って逃げだすのです!

 どうやらブラッド伯爵、よほど村の人々に恐れられているようです。これじゃ仕方ないので村の図書館に行ってそこにいた紳士からいろいろ事情を聞くことになります。そして城は空き家ではないと聞かされてびっくりする二人。書類を調べてみるとなるほど1854年からブラッド伯爵の持ち物になってそれが今まで変わってないという・・・。「え、この伯爵、生まれが1421年になっているけど、じゃあ、565歳じゃないか」フラキア、驚いているフィリーニに「そんな訳ないっす。1921年の誤植ですよ」

 と、ここで新たな登場人物。カスパーという顔色の悪い男が図書館に突然現れてフラキアたちに、こう言ったのであります。「あの城へ行かれるのですか、ならば伯爵は私が始末してあげよう」フラキア、びっくりします。さらにその後カスパーがふいと消えてしまったのでますますびっくり。

 さて、このカスパーの不気味な言葉通り、伯爵の正体がいよいよ明らかにされます。盲目の執事が奏でるパイプオルガンの調べに乗って豪壮な縦置きの棺桶の蓋がぎーっ。現れたのは吸血鬼であるブラッド伯爵(エドムンド・パルドム)とその妻カミーラ。二人は城の屋上からこうもりに変身して飛び立ったのです。

 その夜、フラキアは何故かホテルの娘、エカテリーナに部屋へ誘われます。どうやらエカテリーナ、伯爵の正体を教えようとしているらしいのですが、言葉が通じないので身振り手振り。それででフラキアの喉に噛み付くそぶりをしたのが悪かった。フラキア、すっかりその気になって、「うん、うん、ちょっとフィリーニさんに頼まれた寝酒届けてくるから、それが済んだら戻ってくるから」急いで寝酒を渡して戻ってきたのですが・・・、はい、エカテリーナ、いつの間にか忍び込んできていた伯爵に喉からちゅーちゅーやられていたという・・・。フラキア、憮然として、「おい、あんた順番を守りなさいよ」だって(笑)。フラキアにはエカテリーナが伯爵とヤッているように見えたのですな。

 フラキア、未練がましく見ていたのですが、さすがに分がないと分かったのか、「お呼びじゃない?お呼びじゃない・・・・、こらまた失礼しました」と往年の植木等のお呼びギャグをやってから部屋に戻ります。

 この夜に吸血鬼の犠牲になったのはエカテリーナだけではありません。木の杭をたくさん用意していたヴァンパイアハンターのカスパーもカミーラにあっさり血を吸われてしまっていたのです。

 翌朝、馬車をチャーターして城へ向う二人。途中で追いかけてきた狼がフラキアの腕にかぶりつくというギャグはオリジナルのアレですね。馬車はいきなり止まります。御者が無言で二人と荷物を降ろしてしまいました。どうやら、この御者、おらは城まで行きたくないだ、後は歩いていきなというつもりらしい。ぶつくさ言いながら荷物を抱えて歩くと、程なくお城に到着です。

 一方村に戻ってカスパーのお葬式に現れた女、彼が残したたくさんの杭を見ながら「あたしが代わりにやっつけてやるわよ」はて、この人は一体誰なのでしょう。

 フィリーニ、城の門をドンドン叩きます。フラキアは呆れて「そんなフィリーニさん、ホラー映画じゃないんだから、ちゃんと現代のお城にはベルがあるんです」それを押すとやっぱりドンドン音がするという・・・(笑)。こういう細かいギャグは意外と上手いですね。

 二人を迎えたのはあの盲目の執事です。他にもせむしの下男、ボリス(グエスペ・セデルナ)がいまして、まるっきりホラー映画の世界。執事は伯爵に会いたいという二人に「今はお休み中です。その間に場内をご案内しましょう。これ、ボリス、お客様の荷物を運びなさい」執事、案内しようったって、何しろ盲目ですから歩き出したとたんに壁にがんっ!フラキアとフィリーニはこんな奴、頼りにならんということで場内を勝手に見て回ることになります。

 図面片手にフィリーニを案内するフラキア。「ここが趣味の部屋ですな」おいおい、吊るされたかごの中に白骨があるぞ(笑)。フラキア、引きつった笑いを浮かべて、「ははは、なかなか変わったシャンデリアですな」次に案内するのはどこかというとこれがカタコンベ。フィリーニ、「え、この城にはそんなものがあるのか」と仰天します。フラキアはまた作り笑いをして「ははは、きっとトランシルバニアでは地下室のことをカタコンベというのでしょう」んな訳あるかい(笑)。

 城内をうろうろするフラキアとフィリーニ。ついに二つ並んだ棺桶を見つけてしまいます。フラキアは蓋を開いてびっくり。伯爵が寝ているではありませんか。慌てたフラキア、「そ、そう言えばお腹が空きましたね、夕食に行きましょう、夕食に」フィリーニを連れ出してしまいます。この時伯爵が眼を覚まして棺桶の縁に手を掛けたのですが、フラキアが蓋から手を離したものでバタンとしまって挟まれるというオソマツ。

 この後霧の中で車を飛ばす女が登場。そう、カスパーの葬式に現れて「敵は討つ」と言っていた人ですね。彼女は車を降り、闇に紛れて城の中へ忍び込んだのです。

 そして夕食の席でいよいよ伯爵とその妹オニーリアとご対面。伯爵は「私を追い出そうとしている不動産屋というのは君かね」とフラキアをねめつけます。逆にオニーリアは彼を見るなり「あなた、ドーテー?」と聞いてきて何故か興味津々の様子。彼女は足を伸ばしてフラキアをつつくのですが、彼女はテーブルの向こうに座っていてどうみたって、二メートルの距離がある。フラキア、びっくりして、「へ、へはは、こ、これは長いおみ足で」 また執事はフラキアのカップにぶどう酒を注ごうとするのですが何しろ盲目なものですからあさっての場所にじゃー。

 伯爵はフラキアに「契約とか明け渡しとかそういう話は明日やってくる弁護士としてくれ。彼はオニーリアの婚約者でもあるのだ」

 この後、唐突に「音楽はどうですか」と言い出すブラッド伯爵。ステレオ装置で音楽を掛けるのかと思いきや城内特設の劇場で伯爵 ギター、オニーリア ハープ、せむしのボリスがチェロ、執事がピアノという編成のドラキュラバンド(大笑い)。フラキアは聞こえてくる歌声に耳を済ませて「フィリーニさん、これ、あの宿屋の娘の声ですよ、彼女は伯爵にやられてしまったんだ」フィリーニは信じようとはしないのですが、どうしても気になって仕方ないフラキア、地下室の棺桶の辺りを探してみようと思い立ったのです。トイレへ行くといって劇場を出るフラキア。

 そして地下室で出くわしたのがあの女でした。女はフラキアはお互いそれぞれを吸血鬼と思い込んだものですから大騒ぎ。フラキアはきゃーっと叫んで逃げ出します。なんとか彼女をまいて自分にあてがわれた客間に飛び込んだのですが、そこにいたのがオニーリアでした。「あ、オ、オニーリアさん、大変っすよ、女吸血鬼に襲われたんすよ」オニーリアはまったく耳を貸さずに「あなた、本当にドーテーなのね。私、ドーテーが高村光太郎の次に好きなの」「だから、それは童貞じゃなくって道程でしょうが。やっぱり分かっててボケてんでしょ」

 「キスしちゃうわよー」フラキアに迫るオニーリア。吸血鬼にとってキスはすなわち血を吸うこと。危うしフラキアと思われたのですが、ここでブラッド伯爵が現れたのです。伯爵は二人の様子を見て大変に激怒。「オニーリア、お前、何をしとる。明日はお前と弁護士の結婚式ではないか」「あたし、あの弁護士とは結婚しないわ、この人と結婚するの!」とフラキアを指差すオニーリア。怒り狂った伯爵、「お前か、お前が妹をたぶらかしたのか」フラキア、またきゃーっと逃げ出します。

 そのフラキアを捕まえて倉庫に引っ張り込んだのがあの女ですよ。「あ、お前はさっきの女吸血鬼!」女は苦笑して、「私はルル、あなたと同じ人間よ、兄カスパーの復讐に来たの。さあ、早く逃げましょう」二人は屋上に上がります。そして干草を積んだ荷車を見つけてフラキアがジャンプ。続いてルルが飛んだのですが、この反動で荷車が跳ね上がってフラキア飛ばされちゃった。彼は放物線を描いて丁度やってきた馬車に飛び込みます。フラキア、暗闇の中でかすかに見えている人影に向って「こりゃどうもすみません、とんだ失礼を・・・」フラキアはその人影を見て愕然とします。それは紛れもなくフランケンシュタインの怪物だったからです。ついでにルルもせむしのボリスに捕まってしまいました。

 執事は新たなお客の到来を高々と宣告します。「弁護士様のお着きでございます」ってえ、フランケンシュタインの怪物が弁護士ってこと?

 でも騒ぎはますます大きくなります。オニーリアがはっきりと「フランキー、あんたとは結婚しないわよ、だって会話が続かないんだもの」怒ったフランケンシュタインの怪物、「ふんがー」それ、それだよ、オニーリアが嫌がる理由は(笑)。そこでフラキアと怪物を勝負させて結婚相手を決めようということになりました。

 その勝負とはバドミントン(笑)。短パン姿もりりしいフランケンシュタインの怪物がサーブの構え。ここでブラッド伯爵、杖をぱっと差し上げて雷を呼ぶのです。これがぱーんと怪物に落雷してパワーアップ(笑)。放たれたサーブは動くこともできないフラキア直前の地面に命中してどかーん!でもオニーリア、「それってインチキじゃん、こんな勝負認めないわよ」じゃあというので今度は伯爵、怪物、フラキアのポーカーとなります。でもこれも勝負がつく前に夜が明けちゃった。

 この後檻に入れられたルルを助けようとしたり、彼女に言われて説明書片手に棺桶のブラッド伯爵の胸に杭を打ち込もうとしたりするのですが結局どちらも上手くいかずにフランケンシュタインの怪物に捕まってしまったのでした。そうこうするうちに夜になってしまってさあ、フラキアとオニーリアの結婚式。フィリーニは所詮人事ですから、にやにやとしながら彼の着替えを手伝っています。そこへ執事が「お客様がおそろいでございます。どうぞおいでくださいませ」フィリーニとフラキアは「え、お客、だったらフツーの人間ということ?だったら伯爵の正体ばらして助けてもらおう」さっそく二人は会場に飛びこんで「みなさーん、大変です、伯爵は吸血鬼でーす!」でも「それがどうしましたか」と数人のゾンビに言われてしまったという・・・。

 そう、お客は全てゾンビだのノスフェラトウだののモンスターだったのです。

 さあ、結婚式の始まり。はなはだしく居心地の悪そうな顔をしているフラキアの腕を取って会場を練り歩くオニーリア。と、ここで巨大なウェディングケーキの登場。お二人の最初の共同作業です、ウェディングケーキ入刀どうぞ、二人が進み出たその瞬間、ぱかりとケーキの蓋があいて飛び出したのはルルではありませんか。彼女は対モンスター用電撃発射装置で電撃をぴぴぴ、ぴぴぴと乱射。モンスターどもを追い散らします。その隙に「さあ、フラキア、フィリーニ、逃げるのよ」そして彼女に付き従うのはあのせむしのボリス。そう、ボリスが彼女に惚れたどうかして、あの檻から助け出していたのですね。

 さあ、逃げろや、逃げろ。ここで執事が「お帰りならばお荷物をお忘れにならないでくださいませ」フラキアに彼のカバンと傘を差し出すのがオカシイ。みんなは馬車を探すのですが、逃げ出す前にモンスターたちに追いつかれてしまいました。これでフラキア、仲間たちとはぐれてしまい、一人ブラッド伯爵から逃げ回ることとなります。瞬間移動で彼を追い詰めようとする伯爵。フラキア、ついに屋上へ追い詰められてしまいました。下から仲間たちが「フラキア、飛んで、飛んで、傘を開いてパラシュートの代わりにするの!」フラキア、傘をぱっと開くと、ああ、なんということでしょう、偶然と言うにはあまりにも良すぎるタイミングで瞬間移動してきた伯爵が傘の先でぐさっ、心臓を刺されてしまったのです。口から血をだらだら流して苦悶する伯爵・・・。

 「フラキア、起きて、起きて、もう映画は終わったわよ」とステファニアに揺り起こされるフラキア。彼はぱっと目を覚まして寝ぼけまなこで周囲を見回します。「あ、あれ、吸血鬼は?フランケンシュタインは」「やーね、どんな夢みてんのよ」なんと今までの物語が夢落ちだったという。呆然として帰ろうとするフラキア。と、後の紳士が彼の肩を叩いて「もし忘れ物ですよ」と傘を差し出します。フラキアはお礼を言って出口へ向うのでした。その紳士は良く見るとブラッド伯爵。彼がふふふ、はははと笑ったところでエンドマーク。

 カラー・レターボックスのワイド。モノラル音声。レンタル落ちVHSソフトなので画質・音質とも評価外。日本語字幕付。 

 エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『モンスター・パニック』(『Monster』 1980年) | トップページ | 『Im Stahlnetz des Dr. Mabuse』(『The Return of Dr. Mabuse』 1961) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ドラキュラ一家 地上げのえじき』(『Fracchia contro Dracula 』 1985):

« 『モンスター・パニック』(『Monster』 1980年) | トップページ | 『Im Stahlnetz des Dr. Mabuse』(『The Return of Dr. Mabuse』 1961) »