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2008年11月 2日 (日)

『燃える大陸』(『Lost Continent』 1951)

 

『燃える大陸』(『Lost Continent』 1951

元祖コマ撮り恐竜映画。シーザー・ロメロも出てきて、大変に面白いですから坊ちゃん、嬢ちゃん、楽しく御覧なさい。

ホワイトサンズの陸軍実験場から史上初の原子力ロケットが発進します。もちろん、定番のV-2ロケット発射実験のフッテージですが、最初っから細かいことを言っていてはこの手の映画は見られませんよ(笑)。

 当初、順調に飛行を続けていた原子力ロケットですが、突然コースを外れ、行方をくらましてしまったのです。実験の責任者であるマイケル・ロストフ博士(ジョン・ホイト)は「あかん、あのロケットは機密の塊みたいなもんや、あれをヨソに取られてみい、アメリカ破滅しますがな」と青ざめます。軍上層部も大慌てで、急遽捜索隊を編成して送り出すことになりました。

 その捜索隊のメンバーはロストフ博士、スタンリー・ブリッグス博士(ホワイト・ビッセル)、ロバート・フィリップス博士(ヒュー・バーモント)の科学者三人とそれを補佐する軍人三人ジョー・ノーラン少佐(シーザー・ロメロ)、ダニー・ウィルソン大尉(チック・シャンダー)、ウィリー・タトロー軍曹(シド・メルトン)の合計6人。国の運命を左右するロケットを探しにいくにはちょっと人数が少なすぎやしませんかってんだ(笑)。

 ちなみにこの軍人三人、それぞれ女を口説いていたところ(ノーラン少佐)、一ヶ月の休暇旅行に出かけようとしていたところ(ウィルソン大尉)、飛行機キチガイで愛機の整備に勤しんでいたところ(タトロー軍曹)を命令の一言で呼び集められたので、もうぶーぶー文句を言っております。

 さて、C-47で飛び立つ捜索隊。目指すはレーダーが原子力ロケットを見失った地点。ノーラン少佐が「ほな、皆さん、このあたりでロケット見失いましたので、それぞれ窓から外覗いて探してくださいな」そんなんで見つかるのかと思いますが(笑)、みんな一生懸命下界を眺めております。その時突然、叫ぶタトロー軍曹。「ん、なんや、なんや、わての時計が狂うてしもうたで、これミナミで高かったのに、どうなっとるんや」さらにブリッグス博士が「うわあ、ガイガーカウンターにえらい反応きてますやんか、こらロケットの放射能や」みんなは正直、タトロー軍曹の腕時計なんてどうでも良かったのですが、放射能と聞いてはそうも行きません。「近くにロケット落ちとるで、探せ、探せ」

 しかし、この時放射能のためかC-47のエンジン・操縦系統も駄目になってしまったのです。ノーラン少佐、なんとか高度を維持しようとしたのですが、とても無理。C-47は眼下の島に向ってどんどん降下していきます。「落ちるねんて、落ちるねんて」ちゅどどどーん。深いジャングルの中に不時着するC-47

 幸いなことにこの酷い不時着の仕方でも全員無傷(笑)。さすが戦争に勝った国の人は違いますな。早速周辺のどこかにある筈のロケットを探すことになります。ところがさっきあれほど強い反応を示していた放射能が不時着後にすっかり消えてしまいました。これではロケットがどこにあるか分かりません。しかし、まことに持って都合の良いことに、すぐ近くに原住民の村があり、たまたま宣教師学校に通って英語を習っていた娘に会うことができたのです。その娘によれば火を吐く鳥が飛んできた。これは凶兆に違いないというので他の村人たちはみんな逃げてしまったそうな。彼女は弟と怪我をした父親を介護するために残っていたというのです。

火を吐く鳥というのはもちろん、原子力ロケットのことですね。

 「ほ、ほな、その火を吐く鳥はどこへ行ったんや」と娘に尋ねる少佐。娘はある山を指差して「あの聖なる山に飛んでいったんや、でもあそこはうちらの言い伝えで神の家やからいうて、タブーになっておりますんや」少佐たちにはタブーは全然関係ないですから、「ほんじゃ、山、登りまひょか」

 これから延々と山登り。非常に険しい崖をロープを使って必死によじ登ったりします。これで日頃運動していない科学者陣の一人が足を滑らせて崖下へ転落。即死なんてことになるかと思っていたら、そういう盛り上げは一切なし。その後もなんの工夫も捻りもない単調な登山が続くのです。

 ようやく退屈な一日が過ぎて野営をします。雷鳴の光でロストフ博士が一瞬目撃したもの。それは恐竜でしたって、どう見たってフツーのトカゲで巨大感も何もありゃしませんので、ここでもまったく盛り上がらないのです(笑)。この後ノーラン少佐と「本当に見たんですのん?見間違いやないのですか」「いや、ほんまに見たんや」というやりとりがあって、皆さん、寝てしまうという・・・。

 翌日もやっぱり山登りって、観客なめとんのか、コノヤロー。

この後も延々山登り。崖をよじ登っていたブリッグス、突然苦しそうな息をし始めて、腕から力が抜けたかのようにずるずる滑り始めます。「あかん!」とロストフ博士がとっさにその腕を掴んだのですが、滑落は止まらずついにブリッグス、「ぎゃあああ」と崖下へ落下してしまいます。ロストフ博士はノーラン少佐に「彼は心臓があかんかったのや」と説明するのですが、少佐は納得せず「ひそかにこの博士が突き落としたんちゃうか」と疑惑を抱くのです。

 いや、ちゃんとロストフ博士がフィリップを助けようとした場面があるのですから、この疑惑にはまったく正当性がありません。ちょっとちぐはぐな脚本ですね。

 その後もまたえんえん山登り。5分ほどもだらだら登った挙句ようやく頂上にたどり着くことができました。しかし、その光景は予想とはまったく違ったもの。山の頂上は先史時代のジャングルに覆われていたのです。思わず、「お、ほな、これが失われた大陸ちゅうやつでっかいな」と浮かれる軍曹。一行は早速フィリップのガイガーカウンターを頼りにロケットの捜索を始めます。

 この時ウィルソンに自分の疑惑を話すノーラン。「ロケットの専門家ちゅうたら三人しかおらんやったやろう。それでブリッグスがあないなことになって、今度フィリップスに何かあったら専門家はロストフ博士一人や、わてらにはロケットのこと、なーんも分からんからごまかし放題やで、あいつ、何かたくらんどるのと違うんか」あまり興味を示さないウィルソンでした(笑)。

 ロケットを探しているうちにどんどん反応が強くなってくる放射能。どうやら近くにウラン鉱があるのではないかということになります。飛行機を墜落させ、軍曹の時計を止めたのはこのウラン鉱だったらしい。ノーラン少佐、「ロストフ博士、あんた、ウラン鉱めあてに原子力ロケット撃ちこんだんかい」とまた訳の分からぬことを言い出します。みんなに軽く無視されましたけど(笑)。

 ちなみにガイガーカウンターによる放射能反応は2万ミリレントゲン。フィリップは「なあにこれくらいだったら大丈夫ですねん」と言って笑っていたけれども、本当に大丈夫か。

 さて、いい加減飽きたところで(笑)ようやく変事発生。巨大な足跡が見つかったのです。それを見て青ざめるロストフ博士、「こんなん博物館でしかお目にかかれんわ、これ、ブロントサウルスの足跡やないか」じゃあ、近くにそんなブッソウなものがいるのかとびびった一行、先を急ぎます。しかし、いくらも行かないうちに軍曹が「あ、あれはなんですのん!」と前方を指差したのです。はい、ようやくブロントサウルス登場。ブロントサウルス、木の葉っぱを食べていたのですが一行を見るなり「ぱおーっ」と吠えて襲ってきます。「きゃああ」「あかん!」と逃げ散る捜索隊。ここでフィリップが逃げ遅れた!彼はとっさに近くの木によじ登るのですが、そんなことにごまかされなかったブロントサウルスは激しく頭突き攻撃です。探検隊はライフルで一斉射撃。ブロントサウルスをなんとか追い払ってフィリップを救出することができました。

 この時銃弾を受けたブロントサウルスの頭部からだらだら血が流れます。妙に残酷です(笑)。

 こらたまらんということで捜索隊は小高い岩の上で野営することとなりました。翌朝、眼を覚ましたノーラン少佐は愕然とします。科学者二人の姿がなかったからです。見張りのはずの軍曹はグーグー寝ています(笑)。彼はみんなを叩き起こして科学者二人を探すのでした。「奴ら、わてら出し抜いてウラン鉱をどうにかするつもりなのや、ゆるさん、エライ目に会わせたる!」ぷんぷんしながら探すノーラン。二人はすぐに見つかりました。フィリップが岩の隙間に足を突っ込んでしまい身動きできなくなっていたのです。ノーランはさっそく「あんたら、いったいどういうつもりなのや」と怒鳴ったのですが、フィリップの説明によると彼が恐竜の写真を撮影しようと無断で出てきたそうで、ロストフはそんな彼を止めるべく追ってきたというのです。

 捜索隊はフィリップの足をなんとか引き抜こうとします。ところがそこに現れたのがトリケラトプス。トリケラトプスはやっぱり捜索隊を発見するとウォーと吠えて襲ってきた・・・と思いきや、直後に現れた第二のトリケラトプスに突っかかっていったのです。巻き起こるトリケラトプス同士の戦い。角で突きあいたちまち血だるまとなるトリケラトプスたち。この隙にフィリップの足を引きぬいた捜索隊、彼を抱えて逃げ出したのでした。

 一応の危機を脱したノーラン、ロストフ博士に疑っていたことを謝罪します。ふっと寂しげに微笑むロストフ博士、「まあ、わてが亡命ロシア人やからな、あんたがそう思うたのも無理はない。それにわては迫害にはなれっこや。第二次大戦ではヒトラーの強制収容所に入れられた。戦争が終わったら今度はソ連の強制収容所や、妊娠中だった妻もそこで死んだわ。それでわてはロシアを見限って亡命してきた。あの国はわてのような国民の期待を見事に裏切りおった。そんな国に未来はないで!」

 述懐がいつの間にかアカラサマな共産ソ連批判になるところがいかにも時代であります。

 その後、また延々とロケットを探す捜索隊。もはや食い物も弾丸も底を尽き掛けております。そんな時軍曹が「あ、あれは翼竜やないですか、あれ撃って食いましょ」さっそくライフルでズドーン。翼竜落下します。さあ、焼いて食おうか煮て食おうか、はたまた思い切って生で食おうかと落ちた翼竜を探していますと、はい、代わりにロケットが見つかった。翼竜のことは綺麗さっぱり忘れて「さあ、中から装置外してデーター回収するのや」と張り切る捜索隊ですが、なんと悪いことにブロントサウルスが再出現。さらに二頭のトリケラトプスまでやってきた。

 ノーランはすばやく作戦を立てます。「軍曹とウィルソンはライフル撃ちまくれ、やつらがひるんだ隙にわてが二人連れてロケットへ入るわ!」まあ、作戦と言うほどのものではありませんか(笑)。その言葉通り軍曹とウィルソン大尉はライフルで乱射。恐竜達はたまらず引き下がります。「それ、今や」ロケットに走り寄った三人、外部パネルを外してロストフとフィリップが中へもぐりこみました。ノーランはライフルを構えて油断なく周囲に目を光らせています。ここで恐竜たちが戻ってきて装置が外れるのが早いか、恐竜に襲われるのが早いか手に汗握るスリル・スピード、サスペンスという展開になるとなると思いきや案外カンタンに装置外しちゃった(笑)。

 そしてその装置からさらにデーターを取り出すロストフ博士。このデーターとやらが紙っきれだったのには大笑い。いくら1951年の映画でもこれはないんじゃありませんか。

 さあ、任務終了だ。後は帰るだけとほっとする捜索隊の面々でしたが、その直後に悲劇が起こりました。戻ってきたトリケラトプスが軍曹を襲い、ぐしゃぐしゃに踏み潰してしまったのです。慌ててライフルで追い払ったのですがあわれ軍曹、まもなく絶命してしまいました。

 彼を埋葬して、「いつまでも悲しんでいても仕方ないわ、とっとと帰ろうやないけ」また延々山を降りるという・・・。こんな山登って降りてばかりいる映画も珍しいよ(笑)。とここで思いもよらぬことがおきました。聖なる山が唐突に爆発したのです。どうやら火山活動の熱とウラン鉱脈が反応したらしく地割れが起こるわ、山崩れが起こるわ、物凄いことになってしまいました。今や4人となった捜索隊。落ちてくる岩を避けながら降りていきます。ごっ、あ、ノーラン少佐の頭にこぶし大の石が命中した!でも少佐ったらなんともないの(大笑い)。

 さあ、急げや、急げ、降りろや降りろ、ついに地上に戻った4人。しかし鳴動は収まりません。凄まじい地震が起こり、下の地面も地割れを起こし始めたのです。例の村ももうむちゃくちゃです。「あかん、あかんがな、そうや、あの村にはカヌーがあった、あれで逃げるのや」カヌーがあることをどうやって知ったのかと思いますが(笑)4人はたまたま都合よく残っていた一隻のカヌーに乗り込んで海に逃れたのです。海底火山のフッテージが流されて、ありゃ、あの島海底に沈んでしまったのかい?びっくりしている私を尻目にエンドマーク。

恐竜のぎくしゃくとした動きが微笑ましい好編(そ、そうか)。延々と山を登るという暢気な展開にも心が癒されます(ほ、ほんとうか)。


 モノクロスタンダード。モノラル音声。画質は黒浮きが激しくまたフィルムの傷もそのまま残っている箇所があり、あまり感心できたものではありません。音声はクリア。非常に台詞が聞きやすいです。日本語字幕付

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