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2008年11月 3日 (月)

『The Mistress of Atlantis』(『The Lost Atlantis』  1932)

 

The Mistress of Atlantis』(『The Lost Atlantis  1932

アトランティスを扱った映画は数あれど、本作はその中でもとびきり変てこな作品です。もう見ていてあまりに奇妙な展開に頭がこんがらがってしまいました。

ラジオで考古学者が喋っております。「大昔に存在していたとされる謎の大陸アトランティス。高度な技術を持ち、大変に繁栄していたのですが、突然の災厄によって滅んでしまったと言われております。そして今まではその存在していた位置は大西洋の真ん中だといわれていた。これが違うのです。アトランティスはサハラ砂漠にあったのです。サハラ砂漠の砂に覆い尽くされてしまったのです!」

 私なんぞはウソでーと思っているのですが、この放送をサハラ砂漠の砦で聞いていたフランス軍大尉のアビト(ジョン・スチュワート)は大きく頷いて傍らの同僚に「うん、この人の言っていることは正しい。だって僕は二年前にサハラ砂漠で実際にアトランティスを見ているのだから」同僚は驚いて「二年前というと、モランジ大尉が砂漠民族に殺されたあの時かい」「そうさ、そしてモランジ大尉は砂漠の民族に殺されたのではない。親友だった僕が殺すことになってしまったんだ」

 ここから回想に入って話が2年、ぱっと戻ります。アビトとモランジはフランス陸軍省より、砂漠のルート開拓、地元民、チュアレグ族との協力体制構築を目的にサハラ砂漠へ入ったのでした。最初はバクーへ向うキャラバン隊に同行して、別れてから現地男性の案内人一人を連れてさらにサハラの奥深くへ入って行くという段取りであります。ところがこの案内人がちょっと頼りない男でして、あっという間に迷っちゃった。二人は地図を見ながら、「おっかしいなあ、あっちには山がある筈なのになあ」と首を傾げております(笑)。

 ここで唐突にアトランティスの話題が。モランジは「そういやサハラ砂漠にアトランティスがあるって話があったなあ」と切り出しますとアビトも「うん、うん、子供の頃夢中になったものさ」えー、この会話が後の伏線になっているのですが、伏線と呼ぶにはあまりにもアカラサマではないかと思うのです。

 さて、この後案内人が倒れている人間を見つけます。なんとそれは行き倒れになったチュアレグ族の男ではありませんか。アビト・モランジは彼に水をやって保護したのであります。ところが、助けてやったのにも関わらず、その夜、チュアレグ族どもが襲撃してきたのです。案内人はあっさり殺され、アビト、モランジは捕らえられてしまいます。頭をがんとやられて気絶するアビト。チュアレグ族は二人を自分たちの村に運び込んだのでした。

 彼らの石造りの家の中で眼を覚ましたアビト。見張りはいるのですが、何故か彼が家の外に出ることを許します。アビトはこれ幸いと姿の見えないモランジを探して村の中を彷徨うのでした。この時彼をじっと見つめる村の若い女。この人が後から関わってくるんでしょうかね。

 ともあれ、モランジを探して村中を駆け回った結果、暑さにやられてばったりと倒れるアビトであります。そうするとさっきの女が男二人に命じてアビトを地下へ運び込んだのでした。

 ベッドに横たわっているアビト。何故か汚れていた顔がすっきりで新しいシャツを着ています。散髪・髭剃りもすませたようで、輝くような男っぷり。こ、これはなんでしょう、訳が分かりません。私はてっきり気絶したアビトが見ている夢かと思ったのですが、どうも違うらしい。さらにまたヘンな人が現れた。カイザー髭を蓄えたベロボスキー男爵(ギブ・マクラフィン)であります。さらにもう一人べろんべろんに酔っ払ったイーバ・トルステンセン(マシアス・ウィマン)という男も現れた。この人はアビトを見てもろくすっぽ挨拶もせず、「アンティニア、アンティニア」と呟くばかり。アビトが男爵に「アンティニアって誰」と聞くと「ふふふ、アトランティスの女支配者様ですよ」え?するとここがアトランティスなの?単なる地下街じゃないか、え、高度な技術はどこへ行った、オリハルコンとかどうしたの?なんだか、随分セコなアトランティスだなあ(笑)。

 さてまもなく白い覆面のアトランティス人がやってきてアビトを連れ出そうとします。「女王アンティニアのお召しである」ということですね。これを聞いて絶望したのがトルステンセン。どうやら自分が呼ばれると思っていたらしい彼はアビトが呼び出されたことを知って「きいい、何で俺じゃないんだ」グラスを叩き割ってその破片で手首をすぱっ。自殺しちゃったのでした。

 地下宮殿を延々歩かされて女王アンティニアの前に連れてこられたアビト。アンティニア、「私がアトランティスの女王です。お前の名前を述べよ」なんてことを言うかと思いきや、代わりに出してきたのがチェス盤。女王、ふふふと笑って「自由を掛けて一ゲームしましょう」だって。そしてチェスに熱中する二人。しかし女王は強い。チェックの連続であっという間に彼を追い詰めてしまったのです。そして得意げに「チェックメイト 私の勝ちね」これで当分ここからは出られない、がっかりしてベロスキーの部屋に戻るアビト。するとベロスキーは「あ、アビトさん、トルステンセンの葬式は明日になりましたから」

 このお葬式というのは白覆面に白マントの男たちが包帯で包んだ死体を担いで練り歩くというもの。この葬式の最中、ちらっとモランジらしき男を目撃したアビト、追いかけるのですがすぐに見失ってしまいました。当のモランジは女王に向って「我々をすぐに釈放せよ」と要求したりベロボスキー男爵に「アビトはどこだと聞いたりしております」なんで二人で同じようなところ行き来して会わないのか、いくら話の都合といっても無理があるのではないですかねー。

 この後アビトは男爵にワインをゴチになります。ぷわあと酔ったアビト、「ああ、女王様に会いたいなあ」と言い出したのでした。酒に何か薬でも入っていたのかしら。

 アビト、ぽわーっとした顔をしてベロスキー男爵に「ところで、アンティニアってどこの人なの」と聞きます。男爵は頷いて「彼女の生まれは花の都パリ!」いきなり場面が大劇場になってフレンチカンカンの踊りが炸裂する訳ですよ。どうやらアンティニアはこの劇場のトップダンサーだったらしいのです。このショーを見ていたチュアレグの王子が彼女を見初めて嫁にしてサハラ砂漠へ連れ帰ったのですなあ。ベロスキー男爵は彼女のマネージャーで一緒についてきたんだそうな。ベロスキー男爵は「彼女の本当の名前はクレメンタインでした。それが、訛ってクレメンティン、クレメンティニアと変わっていき、ついにアンティニアになったのです」ならねえよ(笑)。

 それで彼女を嫁にしたチュアレグ族の王子はどうなったのかというと、まあ、死ぬかなんかして、その後にアンティニアがアトランティスの実権を握ったということなのでしょうが、この辺の事情はまったく語られません。なんか、もうムチャクチャです。

 さて、アビトはアンティニアの魅力のトリコとなりました。しかし、これをまったく受け付けていないのがモランジで、彼女はアンティニアに「俺の友達はどこだ。会わせろ!」と強硬に要求します。しかし皮肉なことにアンティニアはこの男のほうに恋をしちゃっていたのでありました。「私はあなたを選んだ」と囁きかけるアンティニア。モランジ、彼女の涙にちょっと惹かれたそぶりを見せますが、結局最後に彼女を拒否してしまうのです。さらにこの場面を女王に会いたくてやってきたアビトが見ちゃったからモー大変。モランジが立ち去った後、アンティニアは彼に「モランジを殺して、そしたら私はあなたのものよ」

 これを本気にしたアビト、壁に掛けられていたハンマー、ってなぜそんなものを壁に掛けておくのか(笑)。これを取ってモランジの後を追い頭をがんっ。頭蓋骨を叩き割られたモランジ、たまらず絶命します。これで我に帰ったアビト、「ああ、僕はなんてことをしてしまったのだ!」泣き喚く彼を助けたのは若い女。みなさん、もうお忘れかも知れませんが、地上の村でモランジを探して彷徨っていたアビトをじっと見ていた人ですよ。彼女はアビトの手を取り地上へでます。そして彼に覆面を被せ、ラクダを調達して逃げようとしたのですが・・・。

 見張の男が二人に気付いて近寄ってきた!「バレたのか」と身構える二人ですが、この男はいきなり水筒を差し出して、「平和と共にあれ、アビト中尉。これから乾ききった砂漠を旅するのだ、水には気をつけろ」 ということはこの人はあれですか、行き倒れていて、アビトとモランジに助けられたあの人ですか。もうチュアレグ族の男たちはみんな覆面しているから、誰が誰だか全然分からないんだよ(大笑い)。男に礼を言って出発するアビトと娘です。ところが男のくれた水筒の水ではやっぱり足りなかった。まず、ラクダが死に、続いて女が息絶えます。アビトも半死半生。ついに砂漠に倒れこんでしまいました。

 もうまったくスカポンタンの訳の分からない映画で、このままアビトが死んでしまえば面倒がなくっていいと思ったのですが(笑)あいにくとこれは冒頭からの回想ですからね、話が元に戻らなければならない。倒れこんだアビト、その時上空から飛行機のエンジン音が・・・。これでアビトが助かった訳です。

 場面はついと冒頭に戻りって、おいおい、アビトと同僚、冒頭とはまったく別のところにいるじゃないか。ラジオ放送を聴いてアビトが話をしだしたんだから、そこに戻らんかい!

 この後、パトロールによって捕らえられたチュアレグ族の男が連れてこられます。彼を尋問しようとしたアビト、しかしこの男は「平和と共にあれ、アビト大尉」ちゃんと昇進しているのを知っているのがおかしい(笑)。アビトははっとなって「あ、君はあの時の・・・」覆面かぶっているからやっぱり誰が誰か分からんのですが。彼はパトロール隊に「釈放しろ、彼は私の友人だ」男は礼を言って砂漠に帰っていきます。それをじっと見つめているアビト、何を考えたのかラクダに飛び乗って後を追ったのであります。まあ、女王が恋しくなったんでしょうなあ。

 同僚達は戻ってこない彼を心配して追いかけるのですが、あいにくと砂嵐が発生。アビトのラクダの足跡が消えてしまって、はい、後を追えなくなってしまいました。ここでエンドマーク。

 最初から最後までまったく訳の分からない映画でした。それにこんなストーリーならそもそもアトランティスを使う意味さえないじゃないですか。

 モノクロ・スタンダード モノラル音声 画質は駄目。ノイジーで暗部もつぶれています。音質はぼそぼそしていてヒアリングが非常に大変でした。12枚のディスクに50本の映画を収めたNightmare Worlds 50 Movie Pack CollectionMill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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