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2009年1月30日 (金)

『フリークス』(『Freaks』 1932)

 

『フリークス』(『Freaks』 1932

 旅回りのサーカス・見世物小屋が舞台で、出演者は実際の見世物小屋のスター、本物の奇形者や障害者だということで公開当事に大問題となったのは有名すぎるエピソード。また監督のトッド・ブラウニングはこの映画を製作したことで事実上映画人としてのキャリアを失うことになったという曰くつきの映画でもあります。

タイトルを描いた紙が後からばりばり破られるイヤーなオープニング(笑)。見世物小屋の主人が紳士淑女の前で口上を述べております。「親の因果が子に報い 生まれてきたのがこの子でござい~ はなちゃんや あいあーい!」じゃなかった、「これは紛れもない怪物です。しかし、あなた方もそうなる可能性があったのです。さあ、さあ、こちらへずずいとよってごらんください」彼が示した箱の中を覗いた観客達は「ひーっ」とどん引き。

 「なるほど怪物でございましょ、でも彼女は生まれた時からこういう姿だった訳ではありません。昔はそれはそれは美しく、空中の孔雀と呼ばれたほどだったのでございます」

 舞台はサーカスにぱっと変わりまして空中ブランコで華麗な芸を披露しているのが件の空中の孔雀、クレオパトラ(オルガ・バクラノバ)、その彼女をうっとりと見つめて「ああ、彼女はこの世で一番美しい」と呟いているのが小人スターのハンス(ハリー・アールズ)であります。彼の婚約者でやっぱり小人のフリーダ(ディジー・アールズ)はそんな彼を嫉妬して「あんたには私ってものがいるでしょうが」と言うのですがまるっきり効果なし。またクレオパトラの方も小人とは言え想われて悪い気はしないらしく、彼になにくれと優しい言葉をかけるのでした。

 ハンスはさらにのぼせ上がって彼女に花束を捧げたりします。クレオパトラは花の香りをかいで「ああ、なんて芳しいお花でしょう、ハンス、本当にありがとう」とここまでは良かったのですが「ねえ、ついでにお金も貸してくれない?仕送りが遅れてるのよ」だって。なんだハンス、結局たかられているんじゃないか。

 ここでこのサーカス団に所属するフリークスの皆さんをご紹介しましょう。小人のハンス・フリーダ、シャム双生児のヴァイオレットとディジー(ヒルトン姉妹)、ディジーはロスコー(ロスコー・エイツ)というどもりの男と結婚しております。生ける屍のピーター・ロビンソン。その奥さんは髭女のオルガ。二人はこの映画の中で玉のような赤ちゃんをもうけます。これが女の子だったから、周囲から「良かったな、大きくなったら遺伝で髭が生えるぞ」と祝福されているという(笑)。キュートな小頭症の三人組、エルヴァイラとジェニー・リーのスノー姉妹とシュリッツ君。どこか漫画家の蛭子先生を思わせる風貌をしております。下半身だけなので人呼んでハーフ・ボーイのジョニー・エック。ランディアン王子は四肢欠落症。芋虫のような体でくねくねと這い回り、口に咥えたマッチをすってタバコに火をつけるという芸を披露します。阿修羅男爵みたいな両性具有のジョセフィーヌ。最後は両手のないフランセス・オコーナー。

 さて、このサーカス団の中でお付き合いしておりましたカップル、強力芸のヘラクレス(ヘンリー・ヴィクター)とヴィーナス(レイラ・ハイアムズ)が大ゲンカ。かっとなったヴィーナスは彼の馬車から荷物を持って逃げ出します。この時ヘラクレスが「おい、出て行くんならその荷物置いていけ、みんな俺が買ってやったものじゃないか」「何、ケツの穴の小さなこと言ってんのよ」「もともとケツの穴は小さいっての、でかいケツの穴した男がいたら会ってみたいね」という会話が愉快(笑)。この後ヴィーナスは心優しいピエロのフロゾ(ウォレス・フォード)に出会いお互い恋に落ちることに。

 一方性根の悪いヘラクレス男。何しろこの男は自分とヴィーナスの喧嘩しているところを見られたってんで、両性具有、本当は多分女性のジョセフィーヌにパンチを浴びせたりするのですから。この男が転がり込んだのがクレオパトラの馬車。二人は早速抱き合います。「ああ、この力が強いのがたまらないのよ」とうめくクレオパトラ。こっちもカップルになってしまいました。

 二人はクレオパトラに贈りものをし続けるハンスを密かに嘲笑しております。

さて、ハンスはいよいよクレオパトラにめろめろになっております。そしてついにフリーダに「僕達、もう終わりにしよう」と宣言したのでありました。失意のフリーダ、ハンスからプラチナのネックレスを貰ってほくほくしているクレオパトラに会い、「遊びならやめてください、あの人を傷つけないで下さい」と訴えるのですが、クレオパトラは鼻もひっかけません。そしてこの時フリーダはつい、ハンスが莫大な遺産を相続していたことを話してしまうのです。

 クレオパトラとヘラクレスはその遺産を奪取しようと考えます。「じゃあ、私がハンスと結婚しましょう。でも小人は体が丈夫じゃない、病気になってしまうことだってあるわ、上手い方法があるのよ」って実に悪い奴らですな(笑)。

 そして次の場面ではもう結婚披露宴をやっております。ハンスは幸せそうなのですが、クレオパトラは早速彼のワインに怪しげな薬をたらたら。「さあ、ダーリン、飲んで飲んで」 この後クレオパトラはひどく酔っ払い、あろうことか隣に座っていたヘラクレスに熱烈なキス。さらにフリークス仲間が「彼女を仲間に迎えよう」と歌いだしたのに激しく怒って「あんたたちは汚らしい怪物よ、さあ、出てお行き!」

 ハンスはもうしょんぼり。酔いがさめたクレオパトラは彼に謝るのですが、彼の気分は落ち込んだまま。もう、彼への愛ゆえにクレオパトラが結婚してくれたのではないことがはっきりと分かってしまったからです。そして追い討ちをかけるように効いてきた薬。ハンス、ばったり倒れます。医者の診察を受けて一命を取り留めるハンス。医者は「これは毒を飲まされたのですな、プトマイン中毒だ」

 これでフリークスたちもヴィーナスもクレオパトラとヘラクレスが毒を飲ませたのだと確信するのです。

 ヴィーナスはヘラクレスを呼び出して薬のことを詰問します。ヘラクレス、どうにかごまかしたのですが、ヴィーナスの口を塞がねばならぬと決意したようです。

 一週間が経過して今だベッドに伏せたままのハンス。クレオパトラはわざとらしく甘い声で「ダーリン、お薬を用意するわ」 例の薬をスプーンで飲ませます。しかし、彼女が出かけた後、ハンスは口にためておいた薬をハンカチにぷっと吐き出して「ふん、何がお薬を用意するわだ」ここからフリークスたちの反撃開始であります。

 嵐の夜、興行を終えたサーカス団は馬車のキャラバンを編成して移動開始。ハンスとクレオパトラの馬車には小人やハーフ・ボーイが屯しております。クレオパトラはそんな彼らを苦々しく思いつつも薬の用意。と、ハンスは立ち上がって「やい、この糞女、その壜を渡すのだ」他のフリークスもピストルやナイフを取り出してクレオパトラを脅かします。仕方なく小瓶をハンスに渡すクレオパトラ、「これで僕を殺すつもりだったのだな」

 この間、ヘラクレスは密かにヴィーナスの馬車へ。彼女をやっつけようと思っているのです。彼は入り口を蹴破って馬車に侵入したのですが、フリーダから彼女の危機を知らされたフロゾが駆けつけてきて戦いになります。この戦いを遠巻きにするフリークス。と、小人の一人がナイフを投げた。狙い過たず彼の胸にぐさーっ。ひいひい這い回る彼にじりじりと寄って来るフリークス。ひー、これはコワい。

 ここで場面は冒頭に戻りまして「何故こうなったかは謎です。怪物たちの掟だったのか、それとも嵐のせいだったのか」カメラにぱっと映ったのは今や忌まわしきアヒル人間となったクレオパトラでした。

 相続した遺産で豪壮な屋敷の主人となったハンス。事件のせいですっかり人嫌いになった彼は「お客様でございます」と知らせにきた執事に「会わん、追い返せ」しかし、強引に屋敷の中へ入ってきたのはヴィーナス、ロゾフ、そして、フリーダ。ヴィーナスとロゾフが気をきかせて(笑)二人だけにしたところでエンドマーク。

モノクロ・スタンダード モノラル音声 画質・音質は結構なもの。 200811月に宝島社より発売されたムック 「ホラー映画の世紀」付録DVD。ムックの付録とは思えないほどの高画質・高音質。このDVDだけでもこのムックを買う価値があると思います。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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