« 『怪獣島の秘密』 (『Mystery on Monster Island 』 『Misterio en la isla de los monstruos』 1981年)  | トップページ | 『フランケンシュタイン 恐怖の人体実験』(『Frankenstein Must Be Destroyed 』1969) »

2009年1月20日 (火)

『ゴリラの復讐』(『Gorilla at Large』 1954)

 

『ゴリラの復讐』(『Gorilla at Large』 1954

 みみっちい人間の欲望に凶悪なゴリラが絡むというミステリー作品。犯人はゴリラか、それともゴリラの着ぐるみを被った人間かという謎をひっぱって最後まで見るものを飽きさせません。

 警告、警告、このDVDのリージョンは1です。したがって日本国内のDVDプレーヤーでは再生できません。警告、警告。

舞台となるのは遊園地の「邪悪の楽園」(Garden of Evil)。週末ともあって大変賑わっておりますが、その中でも最大の呼び物が「地上最大のゴリラ ゴリアテ」あまりに凶悪・凶暴なために捕獲されるまでに1,000人が犠牲になったといううそ臭い呼び込みにつられて観客が続々と詰め掛けております。その様子を満足げに見ているのがこの遊園地のボス、ミラー(レイモンド・バー)であります。

 さて、いよいよゴリアテショーの始まり、始まり。観客席の前にしつらえられたジャングル風のセット。勿論、ゴリアテの怪力に備えて丈夫な鉄の檻になっております。その内側には鋭いトゲが突き出ておりまして、まずゴリアテには破ることができません。そしてゴリアテの登場です。ゴリアテはいきなりロープにぶら下がって凄まじい吼え声。観客を威嚇します。続いて檻に飛びついてがちゃがちゃと揺らしたもので、もう観客は大騒ぎ。もう入場料の元は取れたってものです(笑)。

 しかし、このショーはこれだけではなかった。ドラムロールがなってなんと、空中ブランコの演技が始まったのです。ゴリラの檻の上で空中ブランコ、この決死の出し物に挑みまするはミラーの妻、ラベーネ(アン・バンクロフト)であります。彼女は軽やかに空中を舞い観客を魅了します。最後はなんと空中ブランコから逆さづりになるという荒業。もうゴリアテが手を伸ばせば届く距離を何度も掠めるのです。大興奮の観客が大拍手を送る中ショーが終了します。この時ミラーはショーの呼び込み係りをやっていたジョーイ・マシューズ(キャメロン・ミッチェル)を呼び出して、「妻が新しい出し物を作りたいといっている。君はそのパートナーをやってくれたまえ。週給50ドル余分に出すからしっかり頼んだよ」

 この遊園地のアルバイトでお金をためてロースクールへ復帰しようと思っているジョーイ、この思いがけない話に大喜び。さっそくモギリをやっている彼の恋人、オードリー・バクスター(シャーロッテ・オースティン)に伝えるのでした。

 ここでこの遊園地で働く人たちのご紹介。まずは広報係りのオーエンス(チャールズ・タネン)、ゴリラの飼育係りのコバックス(ピーター・ホイットニー)、小人のスリム(ビリー・カーティス)、ジョーイとオードリーはすでに紹介済みですね。そしてもう一人、フマジメなモース(ジョン・ケロッグ)というのがおります。この人がもうなまけるわ、アトラクションのアガリを自分のポケットに入れてしまうわ、もうどうしようもない。ついに我慢できなくなったミラーは彼を解雇してしまいます。

 さて、ラベーネの新しい出し物とは一体どんなものでしょうか。彼女は小屋に訪ねてきたジョーイに得意満面で説明します。「あのゴリアテの頭の上を掠める奴だけど、早晩お客に飽きられてしまうと思うのよね。だから、私はいっそゴリラの上に落ちてやろうと思うのよ」いきなりこんなこと言われて驚くジョーイ。ラベーネはくすりと笑って「もちろん、本物のゴリアテじゃなくってよ、私を受け止めるのはゴリラの着ぐるみを被ったあ・な・た」すぐに見破られそうな気がしますけれども、そもそもゴリアテだって着ぐるみ丸分かりのゴリラですから(笑)まあ、かまわんでしょう。

 ラベーネとの打ち合わせを終えたジョーイは「何をやらされるの」と心配しているオードリーを連れてゴリラの小屋へ。ここで演技の説明をしようとしたのです。ジョーイは歩きながら、「とにかく僕がゴリラの着ぐるみを着て、あの檻の中に入って、アー」驚きの声を上げるジョーイ。オードリーも悲鳴を上げます。なんと、先ほどミラーに首にされたモースが檻のトゲに刺さって死んでいるではありませんか。

 彼らの通報によってすぐに警察が駆けつけてきます。捜査の指揮を取るのがガリソン警部(リー・J・コブ)。死体を調べますと直接の死因は首の骨を折られたことだと判明。被害者はジンの空き瓶を持っており、「首にされて自棄酒を飲んで、腹いせにこの遊園地のスターであるゴリラにちょっかいを出そうとして逆にやられたのではないか」ということになります。ところがこれに猛然と反論したのがコバックス。「私はずっとゴリアテの面倒を見ていた。だから奴に人が殺せるはずはない」しかも、なぜかロッカーからジョーイが着ることになっていたゴリラの着ぐるみがなくなっていることが判明。ガリソンは「むむっ、ならばゴリラの着ぐるみを使った者の犯行かもしれない。みんな容疑者になるぞ」いや、人の首折って殺しているのですから、強い力が必要ですよね。そうすると容疑者はどうしても限られてしまうことになってしまうのですが。ほら、ラベーネからゴリラ役を頼まれた誰かさんとか(笑)。

 その夜ミラーの部屋を訪ねてきたのはオーエンスであります。彼はミラーに「奴はジンの空き瓶持っていたってことですけど、あいつ、胃をおかしくしてましてね、酒を飲めなかったんですよ。あの壜は誰かが酔っ払っていたと思わせるためにわざと置いたんですよ」オーエンスはミラーの部屋にあったジンの壜を取り上げると「これ、奴が持っていたのと同じ、ヴァン・パイスターのジンですよね。この遊園地じゃボスしか飲まなかったですよね」ほーら、話が怪しくなってきた。オーエンスはひるむミラーに「当然ながら、このことはガリソン警部に話させて貰いますよ。それが市民の義務ってもんだから」

 さらにジョーイとオードリーの会話から、モースがオードリーに迫っていたこと、怒ったジョーイが彼に「オードリーに近づくな」と警告していたことなどが分かります。この複雑な人間模様が面白いですね(笑)。

 さて、翌日、警察署ではガリソン警部の部下、ジョー(ウォーレン・スティーブンス)が遊園地の人たちについて報告しております。「ジョーイは朝鮮戦争の英雄っすね、他の奴らもまあ、いいとして問題なのはミラーと奥さんですよ。ミラーも前は空中ブランコやっていて、三年前に奥さんのパートナーであったキューピー・アダムスというのが転落死しています。またもう一つ面白いことがあって、ミラーの奥さん、ラベーネは元コバックスの妻だったのです」

 一方、遊園地に出勤してきたジョーイにオードリーが「もうこの仕事やめましょう、深入りしすぎるとろくなことはないわ」でもジョーイは50ドル高くなる週給に拘っています。「いや、お金がたくさん入ればそれだけロースクールに戻るのも君との結婚も早くなるじゃないか」これでオードリー、怒ってしまって、「いいわ、あなたはここで働けばいい。私はやめる」彼女は遊園地を退職してしまうのです。これで焦ったジョーイ、ラベーネのところへ行きましてやめさせて欲しいと頼んだのですが、色気たっぷりに慰留され(笑)、とにかくこの夏まではやると言わされてしまったのです。

 ところがこれを面白く思ってないのがミラー。自分からジョーイに声を掛けたくせにいざ、妻のパートナーになると嫉妬してしまうようですな。すると、三年前の事故にも彼の嫉妬が関係しているのではないかと思うのですが・・・。

 さて、事件以来ゴリラの檻の前におまわりさんが一人頑張っております。ゴリラの餌を取りにいくというコバックスに「あ、じゃ、ついでに僕のランチも頼むよ、コーヒーもお願い」一人になった彼はゴリアテをじっと見ていたのですが、その背後から別のゴリラの手が。これでおまわりさん、殴り倒されてしまいます。そのゴリラの手はゴリアテの檻の鍵を開けてしまいました。ゴリアテ、ごっほごっほと嬉しそうに出て行ってしまうのです。

 その頃、遊園地にガリソン到着。さっそくオーエンスは彼にミラーのジンの壜のことを後注進。この時オードリーは彼に頼まれて電気を消すため鏡の迷路へ。スイッチを探してうろうろするうちに迷ってしまいました。と、そこにゴリアテ出現、オードリー凄まじい悲鳴を上げます。この悲鳴を聞いて駆けつけるオーエンスとガリソン。

オードリーを助けるべく、鏡の迷路館に飛び込んだガリソンとオーエンスでしたが、さすが迷路、二人とも迷ってしまいます(笑)。そうこうするうちにオーエンスの背後からゴリアテが出現。首に手をかけるときゅうっ、絞め殺してしまったのです。ゴリアテはその後オードリーを攫おうとしたのですが、慌ててやってきたコヴァックスに「こら、エテ公、その娘を離せ」と一喝され、しぶしぶ命令に従うのでした。ガリソンはピストルの台尻でガラスを破ってオーエンスと失神したオードリーを発見します。

 さてその頃ジョーイは恋人がそんな目に会っているとは露知らず、楽屋で暢気に髭を剃ったりしております。その時彼の背後でがたっという音。慌てて振り返ってみるといつの間にかゴリラの着ぐるみが戻ってきているではありませんか。しかもタイミングの悪いことにジョーが鏡の迷路館での事件を伝えにやってきた!彼は着ぐるみをじろりと見て、「これはどうしたんだ」ジョーイはもう「いや、いつの間にか戻ってきてたんスよ」と言うほかはありません。ともあれ、これで彼に対する疑いはますます濃くなったのであります。

 ガリソンのところへ連れて行かれたジョーイ、オードリーがゴリラに襲われて入院したことを聞かされ半狂乱。でもガリソンは意地悪く、「お前がゴリラの着ぐるみ被ってやったんじゃないの、え、お前、海兵隊で格闘術習ったろ、それを使えば首の骨を折るくらい簡単だよなあ」この後、ねちねちとした尋問を受けて、ようやく解放されたジョーイはオードリーの病院へ。幸い精神的なショックだけで怪我らしい怪我はなく、すぐにでも退院できるわというオードリーにほっとするジョーイであります。「もう、こんなサーカス、すぐにやめましょう」というオードリーですが、ジョーイはガリソンに疑われていることを話して、「今やめようとしたら、完全に犯人だと思われてしまうよ。もうしばらく我慢してくれ」

 さて、ゴリアテはどこに行ったのでありましょうか。それはもちろん、コバックスが遊園地のアトラクションの一つ、水中探検ショーの乗り物に隠していたのであります。このカプセル状の乗り物にゴリラを入れて水中に沈めておけば絶対誰にも見つからないという寸法です。しかし、このままゴリアテが大人しくしていたら映画が進みません(笑)。園内を見回っていたおまわりさんたち、うっかり乗り物を上下させるレバーに触れてしまいます。このショックでかたん、レバーが倒れて乗り物が浮上。ゴリアテ、再びごっほごほと言いながら逃げ出したのです。

 ゴリアテ、園内を彷徨います。さ迷ううちに各種アトラクションのスイッチを入れてしまい、そのたびにおまわりさんたち大騒ぎ。しかし、なんですな、ああいう遊園地のアトラクションってレバー一つ動かしただけで作動するようになっているのですな(笑)。ゴリアテが最終的に行き着いたのはミラーとラベーネの家。窓から手を差し入れて寝ているラベーネに悪戯を・・・。しかしラベーネが悲鳴を上げたので、おまわりさんたち、コバックスが駆けつけてゴリアテ捕らえられてしまいました。

 この時ミラーが不在だったのを不審に思ったガリソンがラベーネに尋ねると「あの人は最近、キューピー、モース、オーエンスの顔が目の前にちらついて寝られないと申すのです」「そりゃまたどうした訳で」ガリソンのこの問いに答えたのは丁度戻ってきたミラー。「決まってる、みんな俺が殺したからさ、だから、あいつらの顔がちらついて俺を寝られなくしているのだ!」ガリソンはさっそく彼を逮捕、収監します。この唐突な告白で事件は一件落着したかのように思えたのですが・・・。

 翌日、団長が逮捕されたというのに、それも三人も殺されたというのに、その犯人が自分の夫だというのに、レベーネはジョーイを相手に新しいアトラクションの練習です(笑)。打ち合わせどおり空中ブランコからジョーイの腕の中に飛び込むレベーネ。しかし、ジョーイ、彼女を受け止めることはできたのですが、その先、彼女を自分の頭上に上げることができません。それを見ていたコバックス、何を考えたのか「おし、俺がお手本をみせてやるよ」彼はジョーイからレベーネを受け取るとまるで重量挙げの選手のごとく頭上に差し上げたのです。お見事と感服するジョーイでしたが、その先がいけない。コバックス、レベーネをなかなか降ろそうとしません。それどころか投げ落とすようなそぶりさえ見せるのです。恐怖に駆られてレベーネが「降ろして、許して、助けてキャー」と叫んでも知らん振り。

 この後何事もなかったかのようにレベーネを降ろすのですがジョーイはその悪魔的な表情から「犯人はこいつだ」と確信してしまったのでした。ジョーイはすぐにガリソンのところへ行き、このことを話すのですがさすがに信じてくれません。「早くコバックスを真犯人として捕まえないとレベーネがアブナイ」と焦ったジョーイ、一計を案じまして呼び出したミラーに「あの、すんませんが、そこの窓ガラス開けてもらえませんか」ミラー、言われたとおり窓を開けようとしたのですが、これがつっかえていてなかなか開かない。実はミラー、昔、レベーネとの曲芸中に腕を折り、その傷が元で曲芸を引退していたという過去があったのです。

 ジョーイはコレを見て「ほら、ガリソン警部、彼はあんな窓も開けられない。だからモースたちの首の骨を折るなんて芸当はとても無理だったんですよ。彼は自分がコバックスに怨まれていることを知っていた、だから殺されないために自分が犯人だといってわざと捕まったのです」

 では真犯人はコバックスか、彼は今夜の出し物できっと何かやらかすに違いない。慌てて遊園地へ戻るジョーイとガリソン警部たち。ジョーイはそのままアトラクションに参加、警部たちは客席で成り行きを見守ることになります。ジョーイはジャングルのセットの下でコバックスに用心しながらゴリラの着ぐるみを着ようとしたのですが、手に何かが触れました。引き出してみるとそれはテープ。しかもレベーネが空中ブランコの時に手に巻いているやつではありませんか。驚愕するジョーイ。「そ、それでは彼女が犯人だったのか、彼女がこれを着てモース達を襲ったのか、いや、待て、女の身で大の男の首の骨を折るなんて真似は・・・、そうだ、彼女はジュードーを知っていた。ジュードーの技を使ったのだ」ジュードーの技でも絞め落とすぐらいならともかく首の骨をへし折るのは無理だと思いますがね(笑)。コバックスは暗い笑いを浮かべて「ようやく気付いたのか、そうだ、みんなあの女がやったのだ。キューピーを突き落として殺し、それをモースに揺すられて彼も殺し、さらに真犯人も知っていたオーエンスもやっつけたのだ」

 いや、少なくともオーエンスは彼女が真犯人であることを知っていたという描写はかけらもされなかったのですがね。ちょっとミステリーとしてはアンフェアじゃないですかね。

 ショーが始まりました。ここでコバックスがゴリアテを引っ込めて代わりにジョーイが出てくる段取りの筈ですが、コバックスは腕組したまま動こうとはしません。「おい、何をしているんだ、このままだとレベーネがゴリアテに捕まってしまうぞ」コバックス、それでも動かず。ついにゴリアテをジョーイと勘違いしたレベーネが飛んでゴリアテの腕にすぽっ。彼女はそれが着ぐるみではなく本物であることを知って「ひー」ゴリアテ、興奮して彼女を抱いたままジャングルのセットから逃亡したのです。

 美女を抱えたゴリラがこんな時どうするか、決まっています。高いところに登るのです(笑)。ゴリアテはジェットコースターのコースによじ登り始めます。「うわあ、アブナイ」いてもたってもいられなくなったジョーイ、単身ゴリアテの後を追いかけたのでした。そしてゴリアテのすぐ下までくると、ガリソン警部たちに「花火を使って奴の注意をそらしてください、その隙に彼女を救出します」その言葉通りロケット花火が用意されて、ジョーイの合図で発射。ひゅーん、ひゅーんと飛びすぎるロケット花火に手を伸ばすゴリアテ。4発目でついにゴリアテがレベーネから手を離した。この隙にジョーイ、彼女を救出することに成功します。警官たちはゴリアテに向ってライフル・ピストルを「何時までもお前の好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」と叫んで乱射します。哀れゴリアテ、蜂の巣となって落下してしまいました。

 事件はようやく終結しました。レベーネが連行されジョーイはオードリーと抱き合ってキス。エンドクレジット。

ウウーム、目出度し、目出度しモード映画は終わってしまいましたが、これはちょっとゴリアテが可哀想じゃないかなあ。

モノクロ・スクイーズワイド 落ち着きのあるモノクロ画像でいやなノイズがないのが宜しい。BGMの品位も高く台詞も聞き取りやすいです。英語字幕、クローズドキャプションつき。Mystery on Monster Island 』(『Misterio en la isla de los monstruos』 『怪獣島の秘密』 1981年)とのカップリング MGMミッドナイトムービーシリーズのDVD 

エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 『怪獣島の秘密』 (『Mystery on Monster Island 』 『Misterio en la isla de los monstruos』 1981年)  | トップページ | 『フランケンシュタイン 恐怖の人体実験』(『Frankenstein Must Be Destroyed 』1969) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ゴリラの復讐』(『Gorilla at Large』 1954):

« 『怪獣島の秘密』 (『Mystery on Monster Island 』 『Misterio en la isla de los monstruos』 1981年)  | トップページ | 『フランケンシュタイン 恐怖の人体実験』(『Frankenstein Must Be Destroyed 』1969) »