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2009年1月29日 (木)

『The Manipulator』 (1971)

 

The Manipulator 1971

 自分が映画監督であると思い込んだアレな男が女を攫ってきて、彼女を主演にした映画を撮影しようとする、それだけの映画です。ものすごく退屈で、訳が分からないトンデモ作品で、名優ミッキー・ルーニーのキャリアを汚すだけの映画だと私は思うのです。

雨の夜、帽子を目深に被ったコートの男が静かに歩いております。ここでタイトルがバーンと出て、車が走ってきた、そしてその車から降り立ったのは先ほどのコートの男でした。白髭と色の濃い眼鏡のせいで顔は良く分かりません。その男は倉庫のような建物に入っていきました。貨物用のエレベーターで二階に上がります。そこには埃塗れの動物の着ぐるみ?やら、ナチスドイツの鷲の像やら、槍やら、斧やらいろんなものが置いてあります。これらはどうも映画の小道具らしい。

 男はふうと大きく溜息をついてこれまた埃だらけのソファーにどかりと座り込みます。そして帽子を眼鏡をとったその顔はミッキー・ルーニー。この映画でミッキー・ルーニーはBJ・ラングというハリウッドの元名キャップマンに扮しております。その彼が嵐の夜にこんなところにいるのかというと、彼は、そ、そのう、少々頭のネジが緩んでいるというか、春になって温かくなってくると浮かれ出すというか、まあ、手っ取り早く言えば○○であったという。彼はどうやら自分が名映画監督になったと考えているようで、やにわに立ち上がると、「よーし、準備完了だ、撮影をするよ、おはよう、レイ、ビル、君は業界一のカメラマンだ、宜しく頼むよ」ぶつぶつ言い出しました。

 彼はプロジェクター装置を引っ張ってくると倉庫の壁に映画を映します。白塗りの男と女が乱舞するその映像と共に叫び声や笑い声の幻聴。どうもよほど重症らしい。

 ラングはぱっと立ち上がって大またで歩いて倉庫の奥へ。掛かっていたカーテンをばっと引きますと中にいたのが車椅子に縛られた女。名前をカロッタ(ルアナ・アンダース)と言いまして女優さん。どうも不運にもこのラングに捕まって監禁されちゃったようであります。カロッタはラングの姿を見て弱々しく「ラングさん、お腹減ったわ」ラングは取り合わず、「さーあ、みんなセットの掃除だ。汚れていると撮影できないぞ」箒を持って駆け回ります。また「お腹が減った」と訴えるカロッタ、でもやっぱりラングは熱心に掃除中。流石に頭に来たカロッタ、もう夜叉の形相となって「てめえ、腹減ったって言ってんだろがよ、飯だよ、食いもんだよ!」

 さすがにびっくりしたラング、ベビーフードの壜を持ち出してきて彼女にスプーンで食べさせます。でもすぐに飽きて「いかん、スケジュールに遅れる!」食い物を放り出して馬鹿でっかい撮影用のランプをごろごろと押してきます。その間、カロッタはいつの間にか片手の縛めがほどいていることに気がつきます。歓喜の叫びを上げた彼女はすぐに片手、両足の紐をほどき始めたのですが・・・、はっと目覚めました。今のは夢だったのです。がっくりと落ち込むカロッタ。ラングは相変わらず浮かれております。いつの間にか自分にメイクアップを施してとても気持ち悪い顔になっています。「さあ、カロッタ、君もメイクしてあげようね」ラングは彼女に口紅塗り塗り、ドーラン塗り塗り。

 彼はメイクを落として長い付け鼻をします。どうやらシラノ・ド・ベルジュラックの映画を撮っているつもりのようです。さらに三銃士風の剣と帽子を身に着けた彼はカロッタに演技指導。「さあ、闇夜の庭園に危険が忍び寄ろうとしていた・・・、月の光が美しい、さあ、この台詞をしゃべるのだ」弱々しく「闇夜の庭園に」と繰り返すカロッタ。どうやらロクサーヌ役らしいですな(笑)。

 リハーサルに満足したラングは「さあ、みんな撮影開始だ。よーし、アクション」カチンコを慣らします。ロクサーヌ=カロッタが台詞を繰り返すと喜んだラングは踊り始めたのです。なんだ、ミュージカルのつもりなのかしらん。それからひとしきり撮影の真似事が続いて・・・ようやく終わった。するとラングの耳に聞こえてきたのはブラボーという賞賛の声と盛大なる拍手。カロッタ、彼のご機嫌を取ろうと「みんな、あなたが大好きなのよ」などとヨイショします。これですっかり喜んだラング。この後5分以上も続くパーティシーンに突入するのです。このパーティ、クランクアップの記念なのか、映画の公開を祝うものなのか、さっぱり分かりませんが、もうどうでも良かったりします(笑)。

延々続くパーティ。裸の男がいたり、女性に囲まれて「ラブ!」と叫んでみたり唐突に出てきた裸の赤ん坊を抱いたり、もう訳わかんないッス。この幻想がようやく終わってソファーに座り込んでいるラング。しかしあまりに興奮したためか発作を起こして「ぐぐぐ、苦しい、苦しい」ばったり倒れてしまいました。カロッタは驚いて「え、な、何、ラングさんどうしたの、ちょっと死なないでよ、死んだらあたしこのままじゃん、やだ、ちょっと死なないでったら」

 ラング、苦しい息の下から「薬、薬、テーブルに薬」取ってくれということなのでしょうが、カロッタは車椅子に縛り付けられているので動けません。ラングはナイフを取り出し彼女ににじり寄って縛っている紐を切り始めます。片手が自由になったカロッタ、歓声を上げながら残りの紐をほどきます。そして立ち上がるなり薬を取ってやるどころか倒れたラングにキック、キック、またキック。「この○○、よくもあたしに、○○○○○○○○○○!」聞くに堪えぬことを喚き散らしながらラングをぼこぼこに・・・と思ったら場面がぱっと変わって薬をラングに飲ませています。割とすぐに復活するラング。

なんで飲ませるかね。


 ラングはカロッタにのしかかって「ええやろ、させんかい!」無理やりキス。カロッタ、渾身の力で彼を押しのけ逃げ出します。この後5分に渡って続くスローモーションの追いかけっこ。私はこのへん、あまりつまらないので本を読んだりしていました(笑)。追っかけるのをやっとやめたと思ったら歌って踊りだすラング。まったく○○はしょうがねえなあ(笑)。といきなり謎の老人チャーリー(キーナン・ウィン)が登場。彼は怯えるカロッタに「大丈夫だ、何もしないよ」しかしラングは自身をシラノ・ド・ベルジュラックつまり、ロクサーヌ=カロッタを守る立場だと思っていますので、現れた敵チャーリーの胸にいきなり剣をずくーっ!

 この惨劇に「ひーっ」と悲鳴を上げるカロッタ。彼女はまた逃げ出します。またまたこの後5分に渡って続くスローモーションの追いかけっこっていい加減にせえ!カロッタは何故か食肉工場の冷蔵倉庫に迷い込みます。働く職人達、その傍らにはなぜかオーケストラの面々が。彼らの奏でる音楽に合わせて踊るカロッタ。と、これがぱっと変わってラングがチャーリーを刺し殺した場面に戻る訳ですね。

もう現実と妄想?の区別なんかつきゃしませんよ。

 ラング、カロッタに「さあ、私から逃げてみなさい。逃げられたら自由だよ」カロッタ、三度逃げ出します。10まで数えてその後を追うラング。カロッタ、荷物用のエレベーターで1階に降り外に出ようとしたのですが鍵が掛かっていてでられません。仕方なく中庭に置いてあった車の中に逃げ込むカロッタ。ざあざあ雨が降っております。階段を使って1階にやってきたラング、すぐに彼女を見つけてドラム缶で車の後部ガラスを粉砕。彼女を捕らえてまた2階へ連れ戻すのでした。

 ラングはカロッタに話しかけます。「私は狂っているよ、分かっている、そなたへの愛に狂っているのだ」いきなりキス。カロッタ、ついに精神のバランスを崩したのか唐突に笑い始めます。その笑い声がどんどん大きくなって、しまいには周囲からさまざまな人間の笑い声が聞こえてくるようになるのです。ラング、大ショックを受けた模様。「笑うな、笑うな、どうしてそんなことをする」彼はついに自分の胸に剣をずくーっ!愛に破れたラングが自殺を図ったのです。ばったり倒れるラング。そして周囲の笑い声が彼の演技をたたえるものに変化します。「ブラボー、ブラボー」という叫び、劇場を包み込むような盛大な拍手。カロッタはこの拍手に答えて深々とオジギ。おお、スポットライトが彼女を映し出しました・・・エンドクレジット。

 クレジットが終わって唐突にセットでちょこまか動くラングの映像が入って、いきなりぶつりと切れました。最後の最後まで訳の分からぬ映画でありました。

 カラー・スタンダード モノラル音声。画質は暗い場面の描写が不十分。何が映っているのかさっぱり分かりません。音声もノイズは少ないのですがとにかく台詞が聞き取りずらい。こんなクオリティのDVDでこんな映画を見る。あなた、これがどんなにつらいことか分かりますか、分からないでしょう!

12枚のディスクに50本の映画を収めたDrive-In Movie Classics 50 Movie Pack

Mill Creek EntertainmentのDVD。

           エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/ 
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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