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2009年3月30日 (月)

『吸血鬼ドラキュラ』(『Horror of Dracula』 1958)

 

『吸血鬼ドラキュラ』(『Horror of Dracula』 1958

ハマー・プロによる「吸血鬼ドラキュラ」の再映画化。初のカラー版ドラキュラでもあります。この映画は前年度に製作された『フランケンシュタインの逆襲』と同じく大ヒットし、ピーター・カッシングとクリストファー・リーを怪奇映画のスターに押し上げたのは皆様、ご存知の通り。

オープニング、不吉な姿を露にするドラキュラ城。カメラはその地下室を映し出します。中央にどんと置いてあるのはもちろん、ドラキュラの棺。そそっかしい下っ端の吸血鬼が間違えないようにちゃーんと「ドラキュラ」とネームプレートがついております。と、このプレートにぽたぽたと血が滴り落ちて・・・映画の始まり、始まり。

 森をひた走る馬車。乗っているのはもちろん、ジョナサン・ハーカー(ジョン・バン・エイセン)。彼は揺れる車内で日記をしたためております。「ジョナサン・ハーカーの日記 188553日 私の旅も終わりに近づいた。私は目標を必ず達成してみせる」

 そんな彼が向かうのはご存知、ドラキュラ城。御者が嫌がったために数キロ手前で降ろされてしまったハーカー、ぶつぶつ言いながら歩きます。そしてほどなくドラキュラ城へ到着。しかし出迎えるものは誰もいません。大広間のテーブルには食事の用意がされておりますが、ただ手紙が添えられているのみ。ハーカーはその手紙を開きます。「都合があってお迎えできないザマス、用意した食事を食べるザマス ドラキュラ」仕方なくその冷え切った食事を食べるハーカー。

 とその時突然女が現れた。彼女はハーカーに向かって「助けて、助けて、ここから逃がして」 ハーカーは「こりゃまたどうした訳だ、世の中間違っとるよー」とキョトンとします。女はなおも助けを求めようとするのですが、突然体をこわばらせたかと思うと踵を返して走り去ってしまいます。どうして逃げたのかというと、決まってまさあ、ドラキュラ伯爵(クリストファー・リー)が来たのですよ。

 階段から降りてきたドラキュラ、「あなたがハーカーさんザマスか、私がドラキュラざます」ドラキュラは使用人が家族の不幸で休んでいるのでといいながらハーカーを寝室に案内します。「さっそく明日から司書として働いてもらうザマス、ゆっくり休むザマス」部屋を出ようとしたドラキュラ、ふとハーカーが取り出した女性の写真を目に留めて「これは誰ザマス」「婚約者のルーシーですよ」「綺麗な人ザマスねえ」この時ドラキュラの目がきらりと光ったように思われたのは気のせいか。

 ドラキュラは出て行きます。その直後がちゃりと鍵を掛ける音が!なんとハーカーは閉じ込められてしまったのです。「昔、てんぷくトリオが地方のキャバレーに営業に行ったとき、呼んだ芸人にみんな逃げられて頭にきていた支配人に寝室の鍵を外から掛けられたという事件があったというが、まさか、同じ目に会おうとは」とぼやくハーカー。

まあ、クリストファー・リーのドラキュラ語るのにてんぷくトリオを持ち出す奴もなかなかいないと思いますけどね(笑)。

 ハーカー、諦めて日記をしたためます。「予想通りあれは私を司書として雇った。あの男の恐怖を永遠に断ち切る時がきたのだ」すると、このハーカー、伯爵が吸血鬼であることを知ってやっつけに来たということなのでしょうか。一方、ドラキュラ伯爵はそんなハーカーの決意を知ってか知らずか、マントを翻してお出かけです。

 さて、その夜ハーカーの部屋のドアノブがかちりと動きます。何者かが鍵を開けたのです。外へ出たハーカー、見え隠れする人影を追って図書室へ。そこにいたのはあの女でした。「お願いだから、私を助けて、ここから逃がして」あんまり一生懸命に言われたハーカー、同情したのか面倒くさくなったのか(笑)「分かった、助けよう、約束するよ」「わあ、嬉しい」ハーカーにすがりつく女。しかし、この女もまた吸血鬼でありました。彼女は一瞬の隙をついてハーカーの喉にがぶり!

 「何をやっているザマス!」この光景を見て怒り狂ったのが丁度外出先から戻ってきたドラキュラ。彼の口もまた鮮血に染まっております。目も真っ赤に充血していて女以上に恐ろしい。彼はハーカーを突き飛ばして失神させ、女を無理やり連れ去るのでした。

 その後あてがわれた寝室で目を覚ますハーカー。ずいぶん長い間寝ていたらしく、もう窓から見える太陽がずいぶんと傾いています。彼は荷物の中から鏡を取り出し喉をチェック。「ヒーッ」彼は忌まわしき吸血鬼の噛み跡を見つけて戦慄するのでした。「私はもうすぐ彼らの仲間になってしまう。その前に目的を果たさなければ」ハーカー、持参の杭・トンカチの吸血鬼退治セットを持って窓から抜け出すのでした。彼は日記を石塔に隠し、「どうか、私の死体を見つける人に吸血鬼退治の知識がありますように」と祈ります。

 彼は地下室を発見します。入ってみるといました、いました、ドラキュラと女が石の棺の中で眠っていました。ハーカーはすぐに女の胸に杭を突き刺し、トンカチでかんかんかん。女は恐ろしい悲鳴を上げてたちまち老婆へと変わってしまいますって、なんで、お前、先に親玉のドラキュラやらないんだ(大笑い)。ほら、言わんこっちゃない、女の次にドラキュラやっつけようとしたらもう棺の中にいないじゃないか。ハーカーはぱっと顔を上げます。その目に飛び込んできたのは地下室の入り口に立ちふさがるドラキュラでした。

 ドラキュラ城近くの村、クラウンズパークにやってきたのはヴァン・ヘルシング教授(ピーター・カッシング)。彼は村の酒場で食事とブランディを頼みます。店内いたるところににんにくが吊り下げられており、この村の人々は吸血鬼をことのほか恐れている様子。そのせいか、カッシングが「この村にハーカーという男がこなかったね」と尋ねても店主、お客さんたちが声を揃えて「おら、知らね、おら、知らね」「ドラキュラ城へはどう行けばいいのかね」やっぱり「おら、知らね、おら、知らね」呆れるカッシングです。

 ただ、店主の妻インガだけはハーカーに同情していたようで食事を運んでくる時にこっそり「こんなものを見つけたんですの」とカッシングにハーカーの日記を手渡すのです。これを読んだカッシング、馬車を飛ばしてドラキュラ城へ。彼の到着寸前、城から猛スピードで走り出してきた馬車あり。よく見てみるとその荷台には棺が積まれているようです。

 カッシングは城の中へ。いろいろ探し回った結果、ついに地下室へ行き着きます。そこで見つけたのが棺で眠っている吸血鬼となったハーカー。カッシングはやり切れぬ思いでハーカーが残していた杭とトンカチで彼の魂を解放したのでした。

 さて、ロンドンへ戻ったカッシング、ハーカーの婚約者であるルーシー(キャロル・マーシュ)の兄アーサー(マイケル・ガフ)、妻のミナ(メリッサ・ストリブリング)にハーカーの死を伝えます。当然ながら突然の訃報に愕然となる二人。「ああ、ルーシーは病気なのにこんなニュース知らせられないよ」と苦悩するのでした。

 そのルーシー、夜中になるとベッドから起きだし、庭に通じるドアを開け放ちます。そして自分の首に掛かっていた十字架を取り外してベッドへ戻りまるで恋人の到来を待つかのように目を閉じたのです。そしてその首筋にあるのは、おお、あの呪わしき吸血鬼の傷跡。そう、ルーシーもまたすでに吸血鬼の毒牙に掛かっていたのでした。

 一方、カッシングは録音機に吹き込んだ吸血鬼退治法を再生して復習に余念がありません(笑)。1. 吸血鬼は光に弱い。特に日光は致命的である。 2. 吸血鬼はニンニクの臭いを嫌う。 3. 吸血鬼は十字架を恐れる。十字架は悪に打ち勝つ善なる力の象徴である。「吸血鬼に血を吸われた者は、気持ちでは嫌悪するがそれを止めることができない。麻薬のような誘惑と魔力、そして死に至る・・・」 

 ルーシーはドラキュラを部屋へ迎え入れました。ニヤーッとしたドラキュラ、「頂くザマス」ルーシー、ちゅーちゅー吸われてしまいます。

 ルーシーはますます衰弱します。今まで診察していたお医者さんもお手上げ。「もう僕にはよく分からない。他の医者の意見も聞いたほうがいいでしょう」そこでミナはカッシング宅に赴き診察を依頼したのです。

カッシングと対面したルーシーは「ジョナサンは死んだのね、そうでしょ」と問いかけます。「話していないのにどうして知っているのだろう」と首を傾げるアーサーとミナ。カッシングは「そうだね、悲しいことだけど、彼は亡くなった」彼の繊細な指がルーシーの首を探ります。そして呪わしき吸血鬼の刻印を発見。愕然となるカッシングであります。

 カッシングはアーサーとミナに「彼女の部屋の窓とベッドににんにくの花を飾りなさい。そうして窓は絶対に閉めておくこと。これを守ればルーシーは大丈夫、じきに回復するでしょう」この指示がきちんと守られてルーシーの寝室に近づけないドラキュラ、彼は悔しがるのですがどうにもならず、ついにルーシーを諦めて別の獲物を探しに行っちゃった・・・じゃ映画が変な方向に向かってしまいます。ルーシーはお手伝いのゲルダに「ねえ、にんにくの花を片付けて、こんなににんにくの匂いしていたら気持ち悪くなっちゃう。ホルモン屋かってツッコマれちゃうわよ。あと、窓も開けておいてね」これでゲルダ、にんにくを片付けて窓を開けっぱなし。当然ながら大喜びのドラキュラが飛び込んできて「頂くザマス」ルーシー、ちゅーちゅー吸われてしまいます。

 ルーシー、死んでしまいました。

 ミナとアーサーは当然ながらカッシングを非難します。「あなたの言うことは役にたたん、出て行ってくれ」という訳ですね。カッシングは彼らにハーカーの日記を渡し「これに全てが書かれています、ルーシーの死も彼に関係があるのです」と言い残して去っていくのでした。まあ、アーサーとミナはその日記を読みもしないのですが(笑)。

 ルーシーの死によって事件は終わったかと思われたのですが、そうは問屋が許さないじゃなかった卸さない。ゲルダの娘タニア(ジャニーナ・フェイ)がルーシーおばさんと出会ったというのです。不審に思ったアーサーは彼女の廟堂へ赴きます。そして棺を確かめたのですが、もう皆さん、お分かりですね、その棺は空っぽだったのです。

 驚きに眼を見張るアーサー、さらに怪奇なことが起こりました。タニアが再びルーシーに呼び出され墓場に連れ込まれたのです。これを見たアーサー、仰天して彼女の名前を叫びます。ルーシーはタニアを離してアーサーに襲い掛かろうとしたのですが、ここでカッシング登場。彼は毎夜ルーシーのことを見張っていたのです。カッシングは十字架をルーシーの額に突きつけます。額がじゅうと十字に焼けたルーシー「ぎゃああああ」とものすごい悲鳴を上げて廟堂へ逃げ込むのでした。カッシング、アーサーにタニアを連れて帰り一時間後に戻ってきなさいと指示します。

 そして一時間後、恐怖に震えるアーサーの前で杭とトンカチの吸血鬼退治セットを取り出すカッシング。彼は何のためらいもなくルーシーの胸に杭をぶち込んでトンカチでとんてんかんとんてんかん!「ぐええええ」ルーシーは断末魔の叫びを上げます。「酷い、酷すぎる」と呟くアーサーに「彼女はもはや人間ではない、吸血鬼なのだ、彼女の魂を解放するためにはこれしか方法がないのだ」

 杭を打ち込まれたルーシー、先ほどまでの断末魔がウソのような穏やかな死に顔になっております。これを見たアーサー、ようやくカッシングのことを全面的に信頼するようになったのです。

 さあ、次は親玉をやっつけなくてはならない。カッシングがドラキュラ城から運び出されるのを目撃したあの棺を見つけるのだ。カッシングとアーサーは荷物配送所の係員にあて先を尋ねたのですが、「先生、いくらそういわれたってわしらには守秘義務というものがありますからな、そうぽんぽん話す訳にはまいりません」とそっけない返事。まあ、この後でそうっとアーサーがお札を差し出すてぇところっと変わって「ええ、先生方がどうしてもおっしゃるのなら仕方ありませんなあ」になってしまうのですがね(笑)。

 その結果得られた配送先というのがフリードリッヒストラッセ 49番地。ところがこの同時刻、若い男が持ってきたアーサーの伝言、もちろん、ニセ!によって、このフリードリッヒストラッセ49番地にミナが呼び出されていたのです。その住所にあった葬儀屋に入ってアーサーを探すミナ。たくさん並んでいる棺桶の一つの蓋がずりずり動き始めます。

 翌朝、葬儀屋を訪ねたカッシングとアーサー、店の主人に店内を案内されたのですが、店主、いきなり「あ、ここにあった棺がない、どうしたのだ」二人はこれで再びドラキュラが移動したことを知ったのです。急ぎ屋敷へ戻り今後の対応を検討する二人。この時カッシングは用心のためということでミナに十字架を手渡します。するとミナの手に十字架がじゅうと焼きついたではありませんか。「ぎゃあ」と叫んで失神するミナ。「わあ、彼女もドラキュラにやられた」カッシング・アーサーは愕然とするのでした。

 その夜ミナの部屋に訪れるであろうドラキュラを見張る二人。しかし、意外なことにドラキュラはアーサーの屋敷の中から現れたのです。ドラキュラは彼を出迎えたミナを抱くと「頂くザマス」ちゅーちゅー吸ってしまいました。屋敷の外のカッシングとアーサー、もちろん気づきません。

 夜が明けて「やつは来なかったですな」「ふむ、我々の待ち伏せに気づいたのでしょうか」「あー、腹減った、朝飯、朝飯」と屋敷に戻って初めてミナがやられたことを知るという・・・。カッシングは急いでアーサーの血液を彼女に輸血。これが終わって疲労回復のためにワインを飲もうということになります。アーサーがゲルダに「ワインを持ってきなさい」といいますと、ゲルダ、「それが奥様がワインセラーに近づいてはいけないとおっしゃっていたので」この台詞でぴんときたカッシング、ワインセラーへ突進します。そこにあったのはもちろん、ドラキュラの棺。しかし、この時すでに日は暮れており棺の中にドラキュラはいません。それどころかドラキュラ、逆にワインセラーの扉を閉めてカッシングを閉じ込めるとミナを連れて風のように逃走してしまったのです。

 アーサーに助けられたカッシング、「奴の行く先はドラキュラ城だ。急ぎましょう」

 馬車を飛ばすドラキュラ、後を追うカッシング、アーサー。夜明けが迫ってきた、時間との戦いだ。ドラキュラの馬車がわずかに早くドラキュラ城に到着。焦りまくったドラキュラ、ミナを棺に入れる代わりに墓地に埋めようとします(笑)。ところが埋め終わらないうちにカッシングとアーサーもやってきた。「畜生ザマス」舌打ちをしたドラキュラ、ミナを放っておいて城の中へ。カッシングはアーサーにミナを任せて後を追います。そして城内にてドラキュラ対カッシングの対決となったのでした。

 しかし、いくらピーター・カッシングとはいえ生身の人間、吸血鬼に正面から挑んでも勝てる筈がありません。カッシングはふとカーテンで覆われた窓に眼をやります。なんと、太陽の光がその隙間からかすかに差し込んでいるではありませんか。カッシング、カーテンに飛びつきめいっぱいに開きます。差し込んできた太陽の光はドラキュラを直撃。「ぎゃあああザマス」この期を逃してはならぬとカッシング、2本の蜀台を十字に組み合わせて「いつまでも好き勝手にはさせん、正義は必ず勝つ!」と叫んでドラキュラに突きつけます。「ひいいザマス」ドラキュラは溶けて崩れて灰になってしまいましたとさ。

 ミナの手の平から十字型の火傷が消えます。ドラキュラの呪いは永遠に消え去ったのです。そしてびゅううと風が吹き込んでドラキュラの灰が吹き飛ばされたところでエンドマーク。

いやあ、さすがに面白い。私はどっちかというと本家のユニバーサル版よりこちらの方が好きですな。やっぱりドラキュラはリーに限る…なんてこと言ったらクリストファー・リーに「そんな人を秋刀魚みたいに!」と怒られそうですが。

 スクイーズ・ワイド カラー モノラル音声。画質は良好。色の滲みが目立ちますが、その分発色が宜しい。音質も映画の製作年代を考えれば十分なレベル。ワーナー・ホームビデオ。ぽすれんのレンタルDVD


エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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