« 3月7日(土) 『ジキル博士と白馬童子』 | トップページ | 3月8日(日) 水戸拷問 »

2009年3月 9日 (月)

『吸血鬼蘇る』(『The Return of the Vampire 』1944)

 

『吸血鬼蘇る』(『The Return of the Vampire 1944

 ベラ・ルゴシの古典的な演技が楽しい吸血鬼映画。また狼男も登場するのですが、この映画では完全に吸血鬼の従者として扱われております。1962年の『サント対女吸血鬼』(『Santo contra las mujeres vampiros』)の元ネタですかね。

冒頭いきなり女に迫るマント男の影。「ひーっ」と悲鳴が上がったところでオープニングクレジット。そしてナレーションがこの物語はオックスフォード大学のソーンダイク教授の吸血鬼アーマンド・テスラに関する記述に基づいていると説明します。

 そして「1918年ロンドンの郊外である出来事があった。1015日の霧の深い夜であった」舞台は荒れ果てた修道院の墓地。ひょこひょこと歩く男の影。ああ、あれは狼男ではありませんか。この狼男、廟堂へ入りましてある棺桶に向かって話しかけます。「ウォーでがんす。ご主人様、ご主人様、もう夜でございます。お目覚めくださいませ」するってぇとすーと棺桶の蓋が開きまして男が立ち上がります。「うむ、私が寝ていた昼間のことを話せ。あの女はどうなった」「まだ生きて病院におります。なにやらオックスフォード大学の教授が来て診察しているそうでございます」

 吸血鬼、ルゴシ出動。

 病院では冒頭名前の出たソーンダイク教授が彼を呼んだ女医のジェーン・アインスレー(フリーダ・イネスコート)と共にその女性患者を診察しております。「血液検査に異常なし。怪我の痕跡もなし、しかし体内の血液が少なくなっており、明確なショック状態にある。これはどういうことだ」患者の目をみた教授は「ウウーム、これは催眠術を掛けられている目だ」この時遠くで犬の遠吠え。これを合図に患者は叫び始めます。「夢に出てくるの、あの燃える目が、駄目、駄目、こっちにこないで、助けて」一陣の風が窓を押し開きます。「ひっ」と叫ぶ患者。そして次の瞬間、彼女は絶命したのであります。

 この奇妙な死に様に疑問を感じた教授は徹夜で文献を読み漁ります。この甲斐あって見つけたのがアーマンド・テスラ博士の「吸血鬼QA」という本。教授は夢中になって読みふけるのでした。しかし、この時一緒についてきて病院に滞在していた彼の孫娘ニッキー(シェリー・コリアー)にルゴシの魔の手が伸びたのです。黒い影がベッドの彼女に覆いかぶさったかと思うと「ひーっ」というニッキーの悲鳴。この吸血鬼、ちょっとロリが入っているようです(笑)。

 翌朝、あの患者は吸血鬼にやられたのだとジェーンに説明する教授。当然ながらすぐには信じられないジェーンでしたが、患者の首には教授の言うとおり小さな穴が二つ開いてます。しかも看護婦よりニッキーの様子がおかしいという知らせ。あわてて彼女を調べてみるとやっぱり首に二つの穴が。「や、やばい、このままでは彼女は殺されてしまう」それを防ぐにはどうしたらいいか。決まってます。昼間に吸血鬼その人を叩くのです!

 教授とジェーンはさっそくトンカチと金属の杭を持って近隣で唯一の墓地が併設されている修道院へ向かいます。そして地面に残された裸の足跡(笑)をたどって意外にたやすくルゴシが寝ている棺桶を発見したのです。教授は一切のためらいを見せずに杭をルゴシの胸にぐさーっ!とんてんかん、とんてんかんと打ち込みはじめました。この時ルゴシの漏らしたうめき、「グェーッ」が気持ち悪い(笑)。と、この時外出から帰ってきたのが狼男。「ウォーでがんす」と二人に襲い掛かるかと思ったのですがさにあらず、彼もまた胸を押さえて「ぐぐぐ、ご主人様を殺したな」そのままばったり倒れてしまったのでした。その顔の毛がどんどん少なくなっていって普通の人間に戻るのはこの手の映画の定石ですな。

 「彼は吸血鬼に支配されていたのだ。吸血鬼が死んだ今、やっと普通の人間に戻ることができたのだ」教授はジェーンと二人でその男アンドレアス(マット・ウィルス)を連れて帰ります。こうして吸血鬼は滅び、手下の狼男も普通の人間になった。これで世にも怪奇なる事件は終息したかに思われたのですが・・・。

 この事件より20年ほどあと、すでにソーンダイク教授は飛行機事故によってこの世を去っていました。あの小さかったニッキー(ニナ・フォック)も今では立派なレディに成長、音楽家であるジェーンの息子(ローランド・バーノ)と結婚しようかという話になっております。あのアンドレアスはすっかり元の人間に戻ってジェーンの助手として働いていました。

 場面はジェーンの自宅。スコットランドヤードの警視さんが顔をしかめながらソーンダイク教授の遺稿を読んでおります。「何、人間の体に杭を打ち込んだ?これはああた、殺人罪ですよ。墓を暴いて調べて見なければなりませんな」ジェーンはがっかりするのですがどうせ墓を暴けば死体が腐敗してないことが分かって吸血鬼だと信じて貰えると思いしぶしぶOKするのでした。

 ところが、この晩ドイツ軍の空襲が!すっかり忘れていましたけど、今は第二次大戦中、それもバトル・オブ・ブリテンの真っ最中だったのです。ロンドンの街に降り注ぐ爆弾。このうちの一発が例の墓地に命中。大爆発して棺桶やらなにやらぐちゃぐちゃになった(笑)。翌朝、二人の墓堀が墓場の片付けにきて、「あれあれ、あんなところに棺桶が」「昨日の爆弾で埋まってたのがほじくりだされたんだなあ」中を見てみますと胸に杭が刺さった死体あり。「ひゃああ、なんだこりゃ」「気持ち悪いから早く埋め戻しちゃおう。邪魔だから杭は抜いちゃって」あーあ、杭抜いちゃったよ。当然ながらその夜土の中から手がにょっきり突き出して吸血鬼ルゴシの復活であります。

 翌朝、警視総監と共に墓地を訪れたジェーン、埋めたはずの場所に棺桶がないと知って愕然とするのでした。

 さて、アンドレアス、ジェーンに命令されてドイツから亡命してくる科学者ヒューゴ・ブルックナー博士を海岸に迎えにいったのですが、途中犬の遠吠え、そして霧の吸血鬼出現フラグがたちまして(笑)、その通りルゴシ登場。せっかく人間に戻っていたアンドレアス、ルゴシに「私はいつでもお前の主人なのだ」と言われると顔にどんどん毛が生えていって、「ウォーでがんす、ウォーでがんす」ついでに狼男まで復活しちゃいました。ルゴシはかっての手下に頷いて「わしを酷い目に合わせた奴らに復讐してくれる。すでにソーンダイク教授は私の呪いで事故死した。後はジェーンのアマだ。彼女の愛するものを利用してとことんまで苦しめてやるのだ。わーはっはっはっは、げほごほ」

 アンドレアス、彼の命令どおりに海岸へ行き、ボートで亡命してきたブルックナー博士たちを惨殺。服だの身分証だの身包み剥いで夜の海に沈めてしまいます。この服と身分証を使ってルゴシ、ブルックナー博士に成りすませてジェーンの屋敷に入り込もうというのでしょう。

 タイミングよく、ニッキーとジョンの婚約披露パーティが開かれました。ルゴシはブルックナーの燕尾服に身を包んで出席します。ジェーンにニッキー、ジョンを紹介されたルゴシ、ジョンは放っておいてニッキーをじっと見つめます。「私は一度、あなたのおじい様にお会いしたことがありますよ。その時はあなたはほんの子供だった」この後ジェーンは彼を研究室へ案内します。「おお、これは素晴らしい研究室だ」しきりに感心するルゴシ。ジェーンは止せばいいのに「どうぞ、ご自由にお使いください」なんて言っちゃってます。

 さて、パーティが終わった頃にちょっとした事件。ジェーンが保管していたソーンダイクの遺稿を盗まれてしまったのです。その遺稿がどこに行ったかというと何者かの手によってニッキーの寝室に置かれていたという・・・。ニッキー、好奇心に駆られてこれを読んでしまうのです。彼女は何かしらこれと首をひねりながら眠りについたのですが・・・真夜中、ルゴシが出動。彼は不気味な声でニッキーを呼びます。この声に操られるように体を起こすニッキー。

 ベッドから起き上がったニッキー、ふらふらと歩いて研究室へ。そこで待っていたのはもちろん、ルゴシ。「私を呼んだのはあなた?」ルゴシはにやりとします。「ふふふ、お祖父さんの原稿を読んだね。私はテスラだ。ここでやるべきことを終えたらお前は私と一緒に故郷へ帰り、永遠の伴侶となるのだ、ふふふふ」ニッキー、ルゴシの目に魅入られてしまいます。そしてそのままばたり。場面暗転。

 翌朝、家政婦のエルザが凄まじい悲鳴を上げます。驚いたジェーンとジョンがニッキーの部屋へ駆けつけると、床に倒れた彼女の姿が!ジェーンは彼女の首に忌まわしき傷があるのを見つけて愕然とするのでした。彼女はニッキーに輸血をした後、ジョンに吸血鬼のことを教えます。「信じられないよ」「でも事実なの、とにかく彼女のことはお母さんに任せて頂戴」

 ジェーンはあの墓堀人二人にインタビューして、彼らが杭を抜いてしまったことを突き止めます。その後警視総監のところへ言ってすべてを話すのですが、総監はやっぱりそんな怪しげなものの存在を信用しようとはしません。それでも彼はニッキーのガードを引き受け、さらに部下二人にジェーンの助手、アンドレアスの身辺を探れと命令するのでした。

 さっそくアンドレアスを尾行する二人。彼らはアンドレアスが怪しい荷物を持ってブルックナー博士に化けたルゴシが宿泊しているホテルから出てくるのを目撃。早速尋問しようとしたのですが、アンドレアス、にわかに変身して「ウォーでがんす、ウォーでがんす」狼男になってしまいました。刑事二人は驚きのあまり「しぇーっ」と飛び上がります。狼男はこの隙をついてまんまと逃走。

 二人から話を聞いた総監はもうかんかん。「吸血鬼だけでも信じられんのに、狼男ってか、そんな馬鹿なことがあるか」と怒鳴りつけます。ところが部下の一人がアンドレアスの体から引きちぎった毛を分析させたところ、「これは狼の毛です」という結論が出ちゃった。しかも狼男の荷物からブルックナーの名刺が出てきたものですから、総監、ようやくルゴシを疑い始めるのです。

 しかし、その間にもルゴシの魔の手が・・・。彼はニッキーの寝室へ行き、看護していたエルザをやっつけると、「ニッキー、ニッキー、立ち上がれ」彼の暗示によって操られたニッキー、ジョンの寝室へ行って「ええ、一体全体どうしたっていうの、確かに僕たち婚約したけど、これはちょっと早すぎるのでは」と妙に嬉しがる(笑)ジョンを襲わせたのです。翌朝、ニッキーと同じように寝室の床に倒れていたジョン。もちろん、その喉には二つの穴が開いておりました。

 このままではニッキーもジョンも殺されてしまう。焦ったジェーンは総監と一緒にアンドレアスを尋問します。「あなた、私の机から原稿盗んだわね!」「いや、俺、知らないっすよ、そんな」とすっとぼけていたアンドレアスですが総監が「ええい、手を見せろ、手を」彼の手をがっと掴みます。その手の甲にはまごうかたなき狼の毛が。これでアンドレアス、開き直りまして「ばれたとあっちゃ仕方ねえ、しかし、ご主人様はお前らなんかには絶対見つけられないからな」捨て台詞を残し、窓から逃走してしまいます。

 続いてブルックナー博士の宿泊しているホテルへ。「へ、ブルックナー博士ですか、彼は夜明け前にお帰りになってそのままですよ」怪訝な顔をしているクラークに部屋の鍵を開けさせて中へ。もちろん、部屋には誰もいません。ルゴシは爆撃で破壊された教会の地下室で眠っているからです。驚いたクラークは「あ、あれ、おかしいな、確かに外出なんかしてないのに、え、窓からですって、ここは3階ですよ、そんな芸当、超無理っすよ」そして総監は最後の切り札を披露します。「ブルックナー博士の風体は髪が薄く太り気味だった。年齢も62歳だ」これを聞いたジェーンは息を呑んで「ぜんぜん違うじゃない。じゃあ、やっぱりブルックナーがテスラなのね」

 自分の正体がばれたことを知ったルゴシ、オルガンを弾いているジェーンの前に現れます。「ふふふ、私を止めることはできん、今夜にでもニッキーを連れていくぞ。彼女は絶対に見つからない。そしていつの日かジョンの前に現れて目的を遂げるのだ」ジェーンはぱっと楽譜を取り上げます。その下にあったのが十字架。今の今まで自信満々であったルゴシ、これをみてたちまち顔色を変えて「ヒーッ」ぼんと消えてしまいました。

 しかし、これでおとなしくニッキーを諦めるはずもなし。ルゴシは彼女の寝室に現れます。今夜のニッキーは十字架をつけていない。何事かを計画したジェーンがあらかじめ取り去っておいたのです。ルゴシは三度「ニッキー、ニッキー、起きるのだ」 ニッキーはふらふらと立ち上がって屋敷の外へ。その彼女を尾行するジェーンと総監。彼女の計画とはニッキーを囮にして(酷い!)ルゴシの居場所を突き止めようというものだったのです。ニッキーは例の破壊された教会へ赴きます。待っていたのはもちろん、ルゴシ。狼男も現れました。

 総監とジェーン、もう少しで潜伏場所が分かると張り切ったのですが、この時偶然にもドイツ空軍の空襲が!また爆弾が降り注いできてあちこちでどっかんどっかん爆発します。総監は逃げようとする狼男にピストル発射、見事命中させたのですが、結局彼らの姿を見失ってしまったのです。ジェーンと総監は屋敷に戻り警察の捜査に望みを託すことになりました。

 ルゴシと狼男はニッキーを地下室へと運び込みます。銃弾の深手にあえぐ狼男って、この映画の狼男はフツーの弾丸でやっつけられるのか(笑)。狼男は「ご主人様、ご主人様、私はもう死にそうです。助けてくださいませ。あなたは永遠の命を約束してくださったではありませんか」しかし、ルゴシは冷たい。「わし、そんなこと知らんもんね、もうお前は用済みだからね、部屋の隅に行って静かに死になさいっての」さすがに愕然となる狼男。彼の脳裏にジェーンの優しい声が響きます。「良心を取り戻しなさい。良心さえあれば悪には決して負けないのよ」だんだんとアンドレアスに戻っていく狼男。そして彼の手がたまたま土に埋まっていた十字架を探り当てます。

 こうなったらやるっきゃない。彼は嬉しそうにニッキー用の棺桶に土を入れているルゴシの背後に忍び寄って「てめえ、死ね!」十字架を突きつけます。思わぬ反撃を食らって「ヒーッ」と驚くルゴシ。そこにドイツ軍の爆撃機が投下した爆弾がどかーん。ルゴシ、アンドレアス、ニッキー、みんな瓦礫に埋もれて失神です。

 いち早く意識を取り戻したアンドレアス、地下室の入り口を見上げますと差し込んでいる明るい太陽の光が!失神している間に夜が明けたのですなあ。ならばやることはただひとつ。彼は最後の力を振り絞って陽光の元へルゴシを引きずりだしたのです。おまけにどこからか長い釘を拾ってきてルゴシの胸にレンガでとんてんかんてん。ルゴシ、「グエエエエ」という恐ろしい呻きと共に溶け崩れてしまうのでした。アンドレアスも彼の後を追うように倒れて絶命します。

 ニッキーはスコットランドヤードに無事保護されてジェーンと感動の対面です。ジェーンは総監に服を着た骸骨を見せて、「どう、これであなたも吸血鬼を信じたでしょ」総監は頑固なことに首を振って「いーや、何か合理的な説明があるはずだ、お前たちもそう思うだろ」と部下たちに尋ねるのですが、彼らはあいまいに笑って「い、いやそんなこともないと思いますが」びっくりした総監、「お前たちまでそんなことを信じているのか」ついで総監はこちら、つまり観客のほうをみて「あなた方も信じているのですか」と問いかけたところでエンドマーク。

モノクロ・スタンダード。モノラル音声。ときおりちりちりとしたノイズが入ったり、また霧の圧縮が上手く行ってないところなど不満点はあるのですが、総じて高画質といえるモノクロ画像。音質も上々でルゴシの台詞がカッコ良い。日本語字幕付 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント ぽすれんのレンタルDVD


エロの冒険者 
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

|

« 3月7日(土) 『ジキル博士と白馬童子』 | トップページ | 3月8日(日) 水戸拷問 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『吸血鬼蘇る』(『The Return of the Vampire 』1944):

« 3月7日(土) 『ジキル博士と白馬童子』 | トップページ | 3月8日(日) 水戸拷問 »